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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107540
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】作業支援システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240802BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
E02F9/26 A
E02F9/24 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011512
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】島津 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】小岩井 一茂
(72)【発明者】
【氏名】武本 靖充
(72)【発明者】
【氏名】川本 真大
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB07
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】運搬車両に特別な装置を設けなくても、運搬車両の運転者に目標停止位置を把握させることが可能な作業支援システムを提供する。
【解決手段】運搬車両の目標停止位置80を算出する算出手段と、地面に投影像を投影可能な投影装置と、算出手段が算出した目標停止位置80を示す投影像である境界線82を投影装置に投影させる投影制御手段と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場において積載物を運搬する運搬車両の運転者を支援する作業支援システムであって、
前記運搬車両の目標停止位置を算出する算出手段と、
地面に投影像を投影可能な投影装置と、
前記算出手段が算出した前記目標停止位置を示す前記投影像を前記投影装置に投影させる投影制御手段と、
を有することを特徴とする作業支援システム。
【請求項2】
前記作業現場における、前記作業現場で作業を行う作業機械以外の場所に前記投影装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記作業現場で作業を行う作業機械に前記投影装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記作業機械に設けられ、前記作業機械の位置を測定する測位装置を有し、
前記算出手段は、前記測位装置の測位結果に基づいて、前記目標停止位置を算出することを特徴とする請求項3に記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記作業機械の姿勢を検出する姿勢検出手段を有し、
前記算出手段は、前記姿勢検出手段の検出結果に基づいて、前記目標停止位置を算出することを特徴とする請求項3又は4に記載の作業支援システム。
【請求項6】
前記算出手段は、前記運搬車両の大きさに基づいて、前記目標停止位置を算出することを特徴とする請求項3又は4に記載の作業支援システム。
【請求項7】
前記投影制御手段は、前記目標停止位置と、前記目標停止位置に隣接する領域との境界を示す図形を前記投影像として前記投影装置に投影させることを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項8】
前記運搬車両と前記目標停止位置との距離を測定する距離測定装置を有し、
前記投影制御手段は、前記距離測定装置が測定した前記距離に応じて前記投影像の表示態様を変化させることを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項9】
前記投影装置の上下左右の向きを調整可能な調整装置を有することを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項10】
前記作業現場で作業を行う作業機械は、
下部走行体と、
前記下部走行体の上部に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、
を有し、
前記投影装置は、前記上部旋回体に設けられており、
前記上部旋回体が旋回したり、前記下部走行体が走行したりしても、同じ位置に前記投影像が位置し続けるように、前記調整装置を制御する調整制御手段を有することを特徴とする請求項9に記載の作業支援システム。
【請求項11】
前記目標停止位置に基づいて、前記作業現場で作業を行う作業機械の侵入を禁止する侵入禁止領域を、前記運搬車両を含む位置に設定する設定手段と、
前記侵入禁止領域内に前記作業機械が侵入しないように、前記作業機械の動作を制限する制限手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載物を運搬する運搬車両の運転者を支援する作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、積載物を運搬するダンプトラックの目標停止位置を算出し、算出した目標停止位置をダンプトラックに向けて送信する施工支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-155937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ダンプトラックに向けて送信された目標停止位置を受信する装置をダンプトラックに設けなければならず、汎用性に欠ける。
【0005】
本発明の目的は、運搬車両に特別な装置を設けなくても、運搬車両の運転者に目標停止位置を把握させることが可能な作業支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作業現場において積載物を運搬する運搬車両の運転者を支援する作業支援システムであって、前記運搬車両の目標停止位置を算出する算出手段と、地面に投影像を投影可能な投影装置と、前記算出手段が算出した前記目標停止位置を示す前記投影像を前記投影装置に投影させる投影制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、算出された目標停止位置を示す投影像が地面に投影される。よって、運搬車両の運転者は、投影像を認識することで、運搬車両の目標停止位置を把握することができる。そして、目標停止位置を示すための特別な装置を運搬車両に設ける必要がない。これにより、運搬車両に特別な装置を設けなくても、運搬車両の運転者に目標停止位置を把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】作業支援システムの構成図である。
図2】作業機械の機能構成図である。
図3】目標停止位置を示す図である。
図4】目標停止位置に停止した運搬車両を示す図である。
図5】作業支援処理のフローチャートである。
図6】運搬車両および作業機械の上面図であり、運搬車両の後端部の停止線を示す図である。
図7】運搬車両および作業機械の上面図であり、運搬車両の前端部の停止線を示す図である。
図8】運搬車両および作業機械の上面図であり、運搬車両の後端部および前端部の停止線を示す図である。
図9】運搬車両および作業機械の上面図であり、作業機械に対して運搬車両が横付けされた状態を示す図である。
図10】運搬車両および作業機械の上面図であり、目標停止位置が有する領域の全てを示す面画像を示す図である。
図11】運搬車両および作業機械の上面図であり、目標停止位置が有する領域を囲む枠を示す図である。
図12】運搬車両および作業機械の上面図であり、上部旋回体の旋回方向に離隔した2本の境界線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(作業機械の構成)
本発明の実施形態による作業支援システム1は、作業支援システム1の構成図である図1に示すように、作業現場において積載物を運搬する運搬車両70の運転者を支援するものである。運搬車両70は、例えばダンプトラックである。作業現場では、作業機械20が作業を行う。本実施形態において、作業機械20は油圧ショベルであり、例えば、バケット33で土砂を掬う。運搬車両70の荷台71には、作業機械20が掬った土砂(積載物)が積載される。つまり、作業機械20と運搬車両70とは、共同して積載物の積み込み作業を行う。作業支援システム1は、運搬車両70の運転者が積み込み作業に適した停止位置に運搬車両70を停止させることができるように、運搬車両70の運転者を支援する。
【0011】
図1に示すように、作業機械20は、アタッチメント30で作業を行う機械であり、上述のように油圧ショベルである。作業機械20は、下部走行体21と上部旋回体22とを備えた機械本体24と、アタッチメント30と、シリンダ40と、を有している。
【0012】
なお、作業機械20は、油圧ショベルに限定されず、クレーンなどであってもよい。作業機械20がクレーンである場合、作業機械20が吊り下げた作業対象物が、運搬車両70の荷台71に積載される。
【0013】
下部走行体21は、作業機械20を走行させる部分であり、例えばクローラを備える。上部旋回体22は、下部走行体21の上部に旋回装置25を介して旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22の前部には、キャブ(運転室)23が設けられている。
【0014】
アタッチメント30は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アタッチメント30は、ブーム31と、アーム32と、バケット33と、を備える。ブーム31は、上下方向に回動可能(起伏可能)に上部旋回体22に取り付けられる。アーム32は、上下方向に回動可能にブーム31に取り付けられる。バケット33は、アタッチメント30の先端部である先端アタッチメントであり、前後方向に回動可能にアーム32に取り付けられる。バケット33は、土砂の、掘削、均し、すくい、などの作業を行う部分である。なお、バケット33が保持する作業対象物は、土砂に限定されず、石でもよく、廃棄物(産業廃棄物など)でもよい。また、先端アタッチメントは、バケット33に限られず、グラップルやリフティングマグネット等であってもよい。
【0015】
シリンダ40は、アタッチメント30を油圧で回動させることが可能である。シリンダ40は、油圧式の伸縮シリンダである。シリンダ40は、ブームシリンダ41と、アームシリンダ42と、バケットシリンダ43と、を備える。
【0016】
ブームシリンダ41は、上部旋回体22に対してブーム31を回動させる。ブームシリンダ41の基端部は、上部旋回体22に回動可能に取り付けられる。ブームシリンダ41の先端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。
【0017】
アームシリンダ42は、ブーム31に対してアーム32を回動させる。アームシリンダ42の基端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。アームシリンダ42の先端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。
【0018】
バケットシリンダ43は、アーム32に対してバケット33を回動させる。バケットシリンダ43の基端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。バケットシリンダ43の先端部は、バケット33に回動可能に取り付けられたリンク部材34に、回動可能に取り付けられる。
【0019】
また、作業機械20は、角度センサ52と、傾斜角センサ60と、を有している。
【0020】
角度センサ(姿勢検出手段)52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度を検出する。角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の現在の旋回角度である現在角度を検出する。角度センサ52は、例えば、エンコーダ、レゾルバ、又は、ジャイロセンサである。本実施形態では、上部旋回体22の前方が下部走行体21の前方と一致するときの上部旋回体22の旋回角度を0°としている。
【0021】
傾斜角センサ(姿勢検出手段)60は、アタッチメント30の姿勢を検出する。傾斜角センサ60は、ブーム傾斜角センサ61と、アーム傾斜角センサ62と、バケット傾斜角センサ63と、を備える。
【0022】
ブーム傾斜角センサ61は、ブーム31に取り付けられ、ブーム31の姿勢を検出する。ブーム傾斜角センサ61は、水平線に対するブーム31の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、ブーム傾斜角センサ61は、ブームフットピン(ブーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、ブームシリンダ41のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0023】
アーム傾斜角センサ62は、アーム32に取り付けられ、アーム32の姿勢を検出する。アーム傾斜角センサ62は、水平線に対するアーム32の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、アーム傾斜角センサ62は、アーム連結ピン(アーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、アームシリンダ42のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0024】
バケット傾斜角センサ63は、リンク部材34に取り付けられ、バケット33の姿勢を検出する。バケット傾斜角センサ63は、水平線に対するバケット33の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、バケット傾斜角センサ63は、バケット連結ピン(バケット基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、バケットシリンダ43のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0025】
また、作業機械20は、投影装置26を有している。投影装置26は、キャブ23の上に設けられている。投影装置26は、地面に投影像を投影可能である。本実施形態において、投影装置26はプロジェクタであるが、レーザ装置などであってもよい。なお、投影装置26は、キャブ23内に設けられていてもよい。
【0026】
また、作業機械20は、調整装置27を有している。調整装置27は、投影装置26の上下左右の向きを調整可能である。
【0027】
また、作業機械20は、測位装置28を有している。測位装置28は、上部旋回体22に設けられている。本実施形態において、測位装置28はGNSS(Global Navigation Satellite System)センサであり、作業現場内における上部旋回体22の座標(絶対座標)を検出する。なお、測位装置28はGNSSセンサに限定されず、トータルステーションなどの測距センサであってもよい。また、測位装置28は、アタッチメント30(特にブーム31)やキャブ23に設けられていてもよい。
【0028】
また、作業機械20は、距離測定装置29を有している。距離測定装置29は、上部旋回体22に設けられている。本実施形態において、距離測定装置29はLiDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)である。距離測定装置29は、少なくともキャブ23の前方側にスキャン範囲が位置するように走査方向が固定されている。距離測定装置29は、距離測定装置29が取り付けられている位置から物体までの距離を示す点群データ(三次元点群)を取得する。距離測定装置29が取得した点群データから、距離測定装置29が取り付けられている位置から物体までの距離が特定される。なお、距離測定装置29はLiDARに限定されず、TOF(Time of flight)センサや超音波センサなどの測距センサであってもよい。また、距離測定装置29は、アタッチメント30(特にブーム31)やキャブ23に設けられていてもよい。
【0029】
なお、作業機械20は、作業機械20の外部から遠隔操作される構成であってもよい。この場合、キャブ23内に設けられたカメラが撮像した画像が、作業機械20の外部のモニタに表示され、操作者は、モニタを見ながら作業機械20を遠隔操作する。
【0030】
(作業機械の機能構成)
作業機械20の機能構成図である図2に示すように、作業機械20は、コントローラ11と、記憶装置13と、を有している。
【0031】
コントローラ11には、角度センサ52が検出した、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度(姿勢)に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、ブーム傾斜角センサ61が検出した、ブーム31の姿勢に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、アーム傾斜角センサ62が検出した、アーム32の姿勢に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、バケット傾斜角センサ63が検出した、バケット33の姿勢に関する情報が入力される。
【0032】
また、コントローラ11には、測位装置28が検出した上部旋回体22の座標(絶対座標)、および、距離測定装置29が測定した物体までの距離が入力される。また、コントローラ11には、入力ボタン50からの信号が入力される。入力ボタン50は、キャブ23(図1参照)内に設けられている。
【0033】
記憶装置13には、複数種類の運搬車両70の各々の大きさに関する情報が記憶されている。大きさに関する情報には、運搬車両70の車格(4t車、10t車など)の情報や、荷台71の幅、長さ、高さの情報が含まれる。
【0034】
コントローラ(算出手段)11は、運搬車両70の目標停止位置を算出する。この目標停止位置は、積み込み作業に適した停止位置である。コントローラ11は、入力ボタン50が操作されたことをトリガーとして、目標停止位置を算出する。また、コントローラ11は、測位装置28の測位結果に基づいて、目標停止位置を算出する。また、コントローラ11は、角度センサ52および傾斜角センサ60の検出結果に基づいて、目標停止位置を算出する。また、コントローラ11は、運搬車両70の大きさに基づいて、目標停止位置を算出する。
【0035】
角度センサ52および傾斜角センサ60の検出結果、即ち、作業機械20の姿勢に基づいて、目標停止位置を算出することで、作業機械20の相対座標として目標停止位置が算出される。また、測位装置28の測位結果に基づいて、目標停止位置を算出することで、絶対座標として目標停止位置が算出される。
【0036】
例えば、図1に示すように、積み込み作業を行うのに好ましい位置に運搬車両70が停止したと仮定する。図1では、積み込み作業を行うのに好ましい位置に停止した運搬車両70を仮想線で示している。作業機械20の操作者は、この位置に位置する運搬車両70の荷台71に土砂を積載するのに適した姿勢となるように、上部旋回体22を旋回させたり、アタッチメント30を駆動させたりする。その後、作業機械20の操作者は、入力ボタン50を押下する。
【0037】
入力ボタン50が押下されると、コントローラ11は、測位装置28の測位結果を取得する。また、コントローラ11は、作業機械20の姿勢を、角度センサ52および傾斜角センサ60の検出結果として取得する。また、コントローラ11は、運搬車両70の大きさの情報を記憶装置13から読み出す。今回の積み込み作業の積み込み先である運搬車両70の種類の情報は、前もってコントローラ11に入力される。
【0038】
コントローラ11は、基準位置を算出する。基準位置は、目標停止位置を算出するための基準となる位置であり、例えば、目標停止位置の中心である。ここで、目標停止位置が所定の領域を有するとともに、基準位置が点であることを前提としている。コントローラ11は、測位装置28の測位結果および作業機械20の姿勢に基づいて、基準位置を算出する。なお、目標停止位置は点であってもよい。この場合、目標停止位置は基準位置である。
【0039】
図1に示すように、基準位置は、バケット33の下方に設定される。コントローラ11は、基準位置と運搬車両70の大きさの情報とを用いて、所定の領域を有する目標停止位置を算出する。目標停止位置80を示す図である図3に示すように、目標停止位置80は、例えば、1台の運搬車両70分の大きさの領域を有し、上部旋回体22の前後方向に延びる2本の境界線82と、上部旋回体22の左右方向に延びる1本の境界線82とで区画されている。この場合、基準位置81から左右の境界線82までの距離は、運搬車両70の幅の半分であり、基準位置81から作業機械20の手前側の境界線82までの距離は、運搬車両70の長さの半分である。
【0040】
なお、運搬車両70の大きさによっては、作業機械20の手前側の境界線82が機械本体24に近づきすぎる場合がある。この場合、実際に運搬車両70を停止させた際に運搬車両70と作業機械20とが干渉する恐れがある。そこで、運搬車両70の大きさによっては、基準位置は、バケット33の真下よりも機械本体24から離れた位置に設定される。
【0041】
図2に示すように、コントローラ(投影制御手段)11は、自身が算出した目標停止位置80を示す投影像を投影装置26に投影させる。図3に示すように、コントローラ11は、目標停止位置80と、この目標停止位置80に隣接する領域との境界線82を投影像として投影装置26に投影させる。運搬車両70の運転者は、地面に投影された3本の境界線82を認識することで、これらで区画された領域が目標停止位置80であることを把握することができる。運搬車両70の運転者は、サイドミラーやバックモニタを見ながら、目標停止位置80に運搬車両70を停止させる。なお、図3では、便宜上、基準位置81を図示しているが、基準位置81は投影装置26で投影されない。
【0042】
なお、目標停止位置80と、この目標停止位置80に隣接する領域との境界を示す図形として、境界線82を採用しているが、境界を示す図形は線に限らず、点でもよい。例えば、矩形の領域である目標停止位置80を、目標停止位置80の四隅にそれぞれ配置された4つの点で示してもよい。
【0043】
以上のように、算出された目標停止位置80を示す投影像が地面に投影される。
よって、運搬車両70の運転者は、投影像を認識することで、運搬車両70の目標停止位置80を把握することができる。そして、目標停止位置80を示すための特別な装置を運搬車両70に設ける必要がない。これにより、運搬車両70に特別な装置を設けなくても、運搬車両70の運転者に目標停止位置80を把握させることができる。
【0044】
また、作業機械20に投影装置26が設けられている。よって、作業機械20を移動させることで、投影装置26を容易に移動させることができる。そして、作業現場の作業機械20以外の場所に投影装置26を設ける必要がないので、投影装置26の設置工事を削減することができる。
【0045】
また、作業機械20の位置を測定する測位装置28の測位結果に基づいて、目標停止位置80が算出される。作業機械20によって、運搬車両70に積載物が積み込まれる場合に、作業機械20の位置に基づいて目標停止位置80を算出することで、作業機械20の位置を変更することなく、積載物の積み込み作業を行うことができる。
【0046】
また、作業機械20の姿勢を検出する角度センサ52および傾斜角センサ60の検出結果に基づいて、目標停止位置80が算出される。作業機械20によって、運搬車両70に積載物が積み込まれる場合に、作業機械20の姿勢に基づいて目標停止位置80を算出することで、作業機械20に無理な動作を行わせることなく、積載物の積み込み作業を行うことができる。
【0047】
また、運搬車両70の大きさに基づいて、目標停止位置80が算出される。作業機械20によって、運搬車両70に積載物が積み込まれる場合に、運搬車両70の大きさに基づいて目標停止位置80を算出することで、作業機械20に無理な動作を行わせることなく、積載物の積み込み作業を行うことができる。
【0048】
また、目標停止位置80と目標停止位置80に隣接する領域との境界を示す図形(境界線82)が投影像として地面に投影される。よって、運搬車両70の運転者は、この図形を認識することで、運搬車両70の目標停止位置80を具体的に把握することができる。
【0049】
図2に戻って、距離測定装置29は、目標停止位置80に向かって移動してくる運搬車両70と目標停止位置80との距離を測定する。運搬車両70と目標停止位置80との距離は、距離測定装置29が取り付けられている位置から運搬車両70までの距離から、距離測定装置29が取り付けられている位置から目標停止位置80までの距離を差し引いた距離である。
【0050】
コントローラ(投影制御手段)11は、距離測定装置29が測定した距離に応じて投影像の表示態様を変化させる。例えば、運搬車両70と目標停止位置80との距離が短くなるにつれて、投影像の色が、青→黄→赤と変化される。なお、運搬車両70と目標停止位置80との距離が短くなるにつれて、投影像の濃淡が濃くされたり、投影像の線の太さが太くされたり、投影像の明るさが明るくされたりしてもよい。
【0051】
このように、運搬車両70と目標停止位置80との距離に応じて投影像の表示態様が変化される。よって、運搬車両70の運転者は、投影像の表示態様の変化を認識することで、運搬車両70が目標停止位置80にどれだけ近づいたのかを把握することができる。
【0052】
図1に戻って、調整装置27は、投影装置26の上下左右の向きを調整可能である。よって、作業機械20に投影装置26が固定されている場合と比べて、投影像の位置を柔軟に変更することができる。
【0053】
コントローラ(調整制御手段)11は、上部旋回体22が旋回したり、下部走行体21が走行したりしても、同じ位置に投影像が位置し続けるように、調整装置27を制御する。例えば、運搬車両70が目標停止位置80に向かって移動してくる最中に、上部旋回体22が旋回したり、下部走行体21が走行したりする場合がある。この場合、投影装置26の向きや位置が変化する。そこで、作業機械20がどのように動作しようとも、同じ位置に投影像が位置し続けるようにすることで、運搬車両70の運転者は、運搬車両70の目標停止位置80を把握し続けることができる。
【0054】
目標停止位置80に停止した運搬車両70を示す図である図4に示すように、運搬車両70は、目標停止位置80に停止される。運搬車両70が目標停止位置80に向かって移動してくる最中、および、運搬車両70が目標停止位置80に停止された後に、コントローラ(設定手段)11は、目標停止位置80に基づいて、作業機械20の侵入を禁止する侵入禁止領域85を、運搬車両70を含む位置に設定する。本実施形態では、コントローラ11は、境界線82に基づいて、運搬車両70の荷台71の左側のあおり面73に沿った侵入禁止領域85を、運搬車両70を含む位置に設定する。この侵入禁止領域85の上端は、あおり面73の上端と同じか、それよりも若干高く設定される。なお、運搬車両70の荷台71の鳥居面75に沿った侵入禁止領域85が運搬車両70を含む位置に設定されてもよい。
【0055】
コントローラ(制限手段)11は、侵入禁止領域85内に作業機械20が侵入しないように、作業機械20の動作を制限する。これにより、作業機械20が運搬車両70に積載物を積み込む際に、運搬車両70と作業機械20との接触を抑制することができる。そして、目標停止位置80に基づいて侵入禁止領域85を設定することで、目標停止位置80とは別に侵入禁止領域85を設定するのに比べて、コントローラ11の計算負荷を低減させることができる。
【0056】
ここで、コントローラ11は、アタッチメント30(バケット33)が侵入禁止領域85に近づくほど、境界線82の表示態様を変化させてもよい。例えば、バケット33が侵入禁止領域85に近づくほど、境界線82の色が青→黄→赤と変化されたり、境界線82の太さが太くされたりされる。また、コントローラ11は、アタッチメント30(バケット33)が侵入禁止領域85に近づくほど、アタッチメント30(バケット33)の動作速度を減速させてもよい。
【0057】
また、コントローラ11は、キャブ23内に設けられたカメラが撮像した、図4に示すような風景画像を、キャブ23内に設けられたディスプレイに表示させるとともに、侵入禁止領域85や境界線82を風景画像に重畳させてディスプレイに表示させてもよい。この場合、ディスプレイの表示においても、アタッチメント30(バケット33)が侵入禁止領域85に近づくほど、侵入禁止領域85や境界線82の表示態様を変化させてよい。
【0058】
(作業支援システムの動作)
次に、作業支援処理のフローチャートである図5を参照して、作業支援システム1の動作を説明する。
【0059】
まず、コントローラ11は、入力ボタン50が押下されたか否かを判定する(ステップS1)。図1に示すように、作業機械20の操作者は、積み込み作業を行うのに好ましい位置に運搬車両70が停止していると仮定して、この位置に位置する運搬車両70の荷台71に土砂を積載するのに適した姿勢となるように、上部旋回体22を旋回させたり、アタッチメント30を駆動させたりする。その後、作業機械20の操作者は、入力ボタン50を押下することになる。
【0060】
ステップS1において、入力ボタン50が押下されていないと判定した場合には、コントローラ11は、ステップS1を繰り返す。一方、ステップS1において、入力ボタン50が押下されたと判定した場合には、コントローラ11は、測位装置28が検出した上部旋回体22の座標を取得する(ステップS2)。また、コントローラ11は、作業機械20の姿勢を、角度センサ52および傾斜角センサ60の検出結果として取得する(ステップS3)。また、コントローラ11は、運搬車両70の大きさの情報を記憶装置13から取得する(ステップS4)。
【0061】
次に、コントローラ11は、基準位置81を算出する(ステップS5)。そして、コントローラ11は、目標停止位置80を算出する(ステップS6)。
【0062】
次に、コントローラ11は、目標停止位置80を示す投影像を投影装置26に投影させる(ステップS7)。運搬車両70の運転者は、投影像を認識することで、運搬車両70の目標停止位置80を把握することができる。
【0063】
次に、コントローラ11は、距離測定装置29が測定した、運搬車両70と目標停止位置80との距離を取得する(ステップS8)。コントローラ11は、運搬車両70と目標停止位置80との距離に応じて、投影像の態様を変化させる(ステップS9)。そして、本フローを終了する。なお、運搬車両70が目標停止位置80に停止した後は、投影装置26からの投影を終了してよい。
【0064】
なお、投影像が地面に投影されている間、コントローラ11は、同じ位置に投影像が位置し続けるように、投影装置26の上下左右の向きを調整する。また、コントローラ11は、運搬車両70が目標停止位置80に向かって移動してくる最中、および、運搬車両70が目標停止位置80に停止された後に、侵入禁止領域85を運搬車両70を含む位置に設定し、作業機械20の動作を制限する。
【0065】
(変形例)
なお、投影装置26は、作業機械20ではなく、作業現場における作業機械20以外の場所に設けられていてもよい。作業機械20以外の場所とは、例えば作業現場の地面上や、作業現場に設置されたポールなどの構造物である。この場合、作業機械20がどのように移動しても、投影装置26の位置は変わらないので、同じ位置に投影像を投影し続けることができる。
【0066】
また、上記の実施形態では、図3に示すように、目標停止位置80を示す投影像が、3本の境界線82であったが、目標停止位置80を示す投影像は、以下のようなものであってもよい。
【0067】
例えば、運搬車両70および作業機械20の上面図である図6に示すように、目標停止位置80を示す投影像は、運搬車両70の後端部(例えば後輪)の停止線86であってもよい。この停止線86は、上部旋回体22の旋回中心を中心とする円形である。この停止線86は、バケット33が届く範囲に基づいて設定されてよい。
【0068】
また、例えば、運搬車両70および作業機械20の上面図である図7に示すように、目標停止位置80を示す投影像は、運搬車両70の前端部(例えば前輪)の停止線87であってもよい。この停止線87は、上部旋回体22の旋回中心を中心とする円形である。この停止線87は、バケット33が届く範囲に基づいて設定されてよい。
【0069】
また、例えば、運搬車両70および作業機械20の上面図である図8に示すように、目標停止位置80を示す投影像は、運搬車両70の後端部(例えば後輪)の停止線86、および、運搬車両70の前端部(例えば前輪)の停止線87であってもよい。停止線86と停止線87で挟まれた領域が、目標停止位置80である。よって、運搬車両70の運転者は、目標停止位置80を把握しやすい。
【0070】
また、上記の実施形態では、図3に示すように、運搬車両70が後進しながら作業機械20の前方に停止する場合を想定しているが、運搬車両70および作業機械20の上面図である図9に示すように、作業機械20に対して運搬車両70が横付けされてもよい。この場合、目標停止位置80を示す投影像は、上部旋回体22の左右方向に延びる2本の境界線82と、上部旋回体22の前後方向に延びる1本の境界線82とであってよい。
【0071】
また、例えば、運搬車両70および作業機械20の上面図である図10に示すように、目標停止位置80を示す投影像は、目標停止位置80が有する領域の全てを示す面画像88であってもよい。
【0072】
また、例えば、運搬車両70および作業機械20の上面図である図11に示すように、目標停止位置80を示す投影像は、目標停止位置80が有する領域を囲む枠89であってもよい。
【0073】
また、例えば、運搬車両70および作業機械20の上面図である図12に示すように、目標停止位置80を示す投影像は、上部旋回体22の旋回方向に離隔した2本の境界線82であってもよい。
【0074】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る作業支援システム1によれば、図3に示すように、算出された目標停止位置80を示す投影像が地面に投影される。よって、運搬車両70の運転者は、投影像を認識することで、運搬車両70の目標停止位置を把握することができる。そして、目標停止位置80を示すための特別な装置を運搬車両70に設ける必要がない。これにより、運搬車両70に特別な装置を設けなくても、運搬車両70の運転者に目標停止位置80を把握させることができる。
【0075】
また、図1に示すように、作業機械20に投影装置26が設けられている。よって、作業機械20を移動させることで、投影装置26を容易に移動させることができる。そして、作業現場の作業機械20以外の場所に投影装置26を設ける必要がないので、投影装置26の設置工事を削減することができる。なお、作業現場の作業機械20以外の場所に投影装置26が設けられていてもよい。この場合、作業機械20がどのように移動しても、投影装置26の位置は変わらないので、同じ位置に投影像を投影し続けることができる。
【0076】
また、図1に示すように、作業機械20の位置を測定する測位装置28の測位結果に基づいて、目標停止位置80が算出される。作業機械20によって、運搬車両70に積載物が積み込まれる場合に、作業機械20の位置に基づいて目標停止位置80を算出することで、作業機械20の位置を変更することなく、積載物の積み込み作業を行うことができる。
【0077】
また、図1に示すように、作業機械20の姿勢を検出する角度センサ52および傾斜角センサ60の検出結果に基づいて、目標停止位置80が算出される。作業機械20によって、運搬車両70に積載物が積み込まれる場合に、作業機械20の姿勢に基づいて目標停止位置80を算出することで、作業機械20に無理な動作を行わせることなく、積載物の積み込み作業を行うことができる。
【0078】
また、図1に示すように、運搬車両70の大きさに基づいて、目標停止位置80が算出される。作業機械20によって、運搬車両70に積載物が積み込まれる場合に、運搬車両70の大きさに基づいて目標停止位置80を算出することで、作業機械20に無理な動作を行わせることなく、積載物の積み込み作業を行うことができる。
【0079】
また、図3に示すように、目標停止位置80と目標停止位置80に隣接する領域との境界を示す図形(境界線82)が投影像として地面に投影される。よって、運搬車両70の運転者は、この図形を認識することで、運搬車両70の目標停止位置80を具体的に把握することができる。
【0080】
また、図3に示すように、運搬車両70と目標停止位置80との距離に応じて投影像の表示態様が変化される。よって、運搬車両70の運転者は、投影像の表示態様の変化を認識することで、運搬車両70が目標停止位置80にどれだけ近づいたのかを把握することができる。
【0081】
また、図1に示すように、投影装置26の上下左右の向きを調整装置27で調整可能である。よって、作業現場の作業機械20以外の場所や作業機械20に投影装置26が固定されている場合と比べて、投影像の位置を柔軟に変更することができる。
【0082】
また、図1に示すように、上部旋回体22が旋回したり、下部走行体21が走行したりしても、同じ位置に投影像が位置し続けるように、投影装置26の向きが調整される。よって、作業機械20がどのように動作しようとも、運搬車両70の運転者は、運搬車両70の目標停止位置80を把握し続けることができる。
【0083】
また、図4に示すように、目標停止位置80に基づいて、運搬車両70を含む位置に設定された侵入禁止領域85内に作業機械20が侵入しないように、作業機械20の動作が制限される。これにより、作業機械20が運搬車両70に積載物を積み込む際に、運搬車両70と作業機械20との接触を抑制することができる。そして、目標停止位置80に基づいて侵入禁止領域85を設定することで、目標停止位置80とは別に侵入禁止領域85を設定するのに比べて、コントローラ11の計算負荷を低減させることができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0085】
1 作業支援システム
11 コントローラ(算出手段、投影制御手段、調整制御手段、設定手段、制限手段)
13 記憶装置
20 作業機械
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 機械本体
25 旋回装置
26 投影装置
27 調整装置
28 測位装置
29 距離測定装置
30 アタッチメント
31 ブーム
32 アーム
33 バケット
34 リンク部材
40 シリンダ
41 ブームシリンダ
42 アームシリンダ
43 バケットシリンダ
50 入力ボタン
52 角度センサ(姿勢検出手段)
60 傾斜角センサ(姿勢検出手段)
61 ブーム傾斜角センサ
62 アーム傾斜角センサ
63 バケット傾斜角センサ
70 運搬車両
71 荷台
73 あおり面
75 鳥居面
80 目標停止位置
81 基準位置
82 境界線
85 侵入禁止領域
86,87 停止線
88 面画像
89 枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12