(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107558
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】指針センサ装置
(51)【国際特許分類】
G08C 19/00 20060101AFI20240802BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20240802BHJP
G01B 7/30 20060101ALN20240802BHJP
【FI】
G08C19/00 301F
G08C17/00 Z
G01B7/30 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011544
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英次
(72)【発明者】
【氏名】井上 良
(72)【発明者】
【氏名】陳 晋宇
【テーマコード(参考)】
2F063
2F073
【Fターム(参考)】
2F063AA35
2F063BB03
2F063BC03
2F063BD02
2F063CA01
2F063CA34
2F063DA01
2F063DA05
2F063DC08
2F063DD02
2F063GA52
2F063KA05
2F063NA01
2F073AA01
2F073AA03
2F073AA04
2F073AA06
2F073AB04
2F073AB07
2F073AB11
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CD11
2F073DD01
2F073EE12
2F073FF01
2F073GG04
(57)【要約】
【課題】視認性が損なわれない指針センサ装置を提供する。
【解決手段】目盛が付された目盛板G16と当該目盛板G16上を回動する指針G14と当該指針G14を回動させる軸部材G17とを有する計器G1に取り付けて使用される指針センサ装置M1は、センサ回路1と電源回路2とを備え、センサ回路1は、指針G14の位置を示す位置情報を非接触で取得するセンサ部11とセンサ制御部12とを有し、センサ部11は、計器G1に取り付けられた状態において、軸部材G17の軸心に沿う軸方向視で、軸部材G17と重複する位置に配置されており、電源回路2は、電源部21と電源制御部とを有し、電源部21は、センサ回路1と電源制御部とに給電し、軸方向視において、センサ回路1と重複しない位置に配置されており、軸方向視において、目盛板G16の目盛と重複しない位置に配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目盛が付された目盛板と前記目盛板上を回動する指針と前記指針を回動させる軸部材とを有する計器に取り付けて使用される指針センサ装置であって、
センサ回路と電源回路とを備え、
前記センサ回路は、前記指針の位置を示す位置情報を非接触で取得するセンサ部とセンサ制御部とを有し、
前記センサ部は、前記計器に取り付けられた状態において、前記軸部材の軸心に沿う軸方向視で、前記軸部材と重複する位置に配置されており、
前記電源回路は、電源部と電源制御部とを有し、
前記電源部は、前記センサ回路と前記電源制御部とに給電し、前記軸方向視において、前記センサ回路と重複しない位置に配置されており、
前記軸方向視において、前記目盛板の前記目盛と重複しない位置に配置されている指針センサ装置。
【請求項2】
前記センサ回路及び前記電源制御部を収容する第1収容部と、前記電源部を収容する第2収容部と、前記第1収容部と前記第2収容部とを互いに分離する壁部とを有するモジュールケースを更に備え、
前記電源回路は、接続部材を有し、
前記接続部材は、前記壁部を貫通した状態で前記第1収容部と前記第2収容部とに亘って設けられ、前記電源部と前記電源制御部とを電気的に接続する請求項1に記載の指針センサ装置。
【請求項3】
前記モジュールケースにおける前記第2収容部が含まれる部位は、前記計器に取り付けられた状態において、前記軸方向視で、前記目盛板における前記目盛が配置されていない扇形形状内に配置されている請求項2に記載の指針センサ装置。
【請求項4】
前記指針の前記位置情報を受信機へ送信する無線回路を更に備え、
前記センサ部は、取得した前記位置情報を前記センサ制御部に伝達し、
前記センサ制御部は、前記センサ部からの前記位置情報を前記無線回路に伝達する請求項1から3のいずれか一項に記載の指針センサ装置。
【請求項5】
前記無線回路は、アンテナを有し、
前記アンテナは、前記計器に取り付けられた状態において、前記軸方向視で、前記軸部材と重複しない位置に配置されている請求項4に記載の指針センサ装置。
【請求項6】
前記指針は、前記計器が有する磁石と共に前記軸部材を中心に回動し、
前記センサ部は、前記磁石の回動に応じた磁界の変化に基づいて前記指針の位置を計測する磁気センサである請求項1から3のいずれか一項に記載の指針センサ装置。
【請求項7】
前記第1収容部は、樹脂材料により封止されている請求項2又は3に記載の指針センサ装置。
【請求項8】
前記モジュールケースの開口部分を覆う蓋部材を更に備え、
前記電源部は電池を有し、
前記蓋部材は、前記計器に取り付けられた状態において、前記モジュールケースから離間又はスライド移動が可能である請求項2に記載の指針センサ装置。
【請求項9】
前記電源部は、自己発電及び非接触給電の少なくともいずれか一方により取得した電力に基づいて前記センサ回路と前記電源制御部とに給電する請求項1から3のいずれか一項に記載の指針センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計器に取り付けて使用される指針センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造工場の自動化が進み、組み立て装置や検査装置においてロボット等の利用が増えてきている。自動組み立てや自動検査用のロボット装置には、駆動のために空気の圧力を使用しているものが多く、適正な圧力で駆動していることが求められる。空気の圧力を使用している装置には、圧力が適正な状態を維持しているか否かを確認するために、圧力計が取り付けられているものがある。圧力計によって示される圧力値を目視にて確認する場合には、人手を要し、圧力計の数が多くなると確認時間が長くなる。また、始業点検後に行われる運転時において異常を検知する場合には、検査頻度が多くなり、それによっても人手と時間を要することになる。そこで、このような課題を解決する技術が検討されてきた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、圧力計の指針の動きをセンサで読み取る検針機能を有し、センサで読み取った値を送信する機能を有する指針読取装置が記載されている。この指針読取装置は、電源装置や指針読取装置からの電気信号を利用する装置にケーブルで接続されている。遠隔までこのケーブルによって接続して検針を行うには、計器及び計器に設置する指針読取装置の数量だけケーブルが必要となり、ケーブルの数量が多くなる。また、電気信号を利用する装置までの距離が長くなると、敷地内でのケーブルの配策が困難である。電源装置から指針読取装置に給電を行う場合にもケーブルの配策が困難となる。電源装置や電気信号を利用する装置を指針読取装置の近傍に短いケーブルで接続して設置し、複数の指針読取装置から出力される電気信号を集約して利用する装置まで無線で電気信号を送信する手段を用いた場合においても、指針読取装置の近傍に電源装置および無線手段を有する電気信号を利用する装置を設置する場所の確保や、設置作業及びケーブルの配策に必要な場所の確保や、配策作業が必要となる。また、計器は指針読取装置による検針によらず直接目視にて検針を行うことも想定されるが、その場合、ケーブルの配策状態によっては、ケーブルにより、計器の視認性が阻害される可能性がある。
【0005】
そこで、視認性が損なわれない指針センサ装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る指針センサ装置の特徴構成は、目盛が付された目盛板と前記目盛板上を回動する指針と前記指針を回動させる軸部材とを有する計器に取り付けて使用される指針センサ装置であって、センサ回路と電源回路とを備え、前記センサ回路は、前記指針の位置を示す位置情報を非接触で取得するセンサ部とセンサ制御部とを有し、前記センサ部は、前記計器に取り付けられた状態において、前記軸部材の軸心に沿う軸方向視で、前記軸部材と重複する位置に配置されており、前記電源回路は、電源部と電源制御部とを有し、前記電源部は、前記センサ回路と前記電源制御部とに給電し、前記軸方向視において、前記センサ回路と重複しない位置に配置されており、前記軸方向視において、前記目盛板の前記目盛と重複しない位置に配置されている点にある。
【0007】
このような特徴構成とすれば、指針センサ装置が計器に取り付けられた状態の軸方向視において、指針センサ装置を、計器の目盛板の目盛と重複しない位置に配置することができる。したがって、指針による指示値を認識するための視認性が損なわれることを防止できる。また、センサ回路と電源部とを、軸方向視において互いに重複しない位置に配置することにより、センサ回路と電源部とが、軸方向視において互いに重複する位置に配置された指針センサに対して、軸方向の高さ寸法を小さくできる。
【0008】
また、指針センサ装置は、前記センサ回路及び前記電源制御部を収容する第1収容部と、前記電源部を収容する第2収容部と、前記第1収容部と前記第2収容部とを互いに分離する壁部とを有するモジュールケースを更に備え、前記電源回路は、接続部材を有し、前記接続部材は、前記壁部を貫通した状態で前記第1収容部と前記第2収容部とに亘って設けられ、前記電源部と前記電源制御部とを電気的に接続すると好適である。
【0009】
このような構成によれば、センサ回路を第1収容部に収容し、電源回路の電源部を第2収容部に収容することで、センサ回路と電源部とを軸方向視において互いに重複しないように容易に配置できる。また、第1収容部と第2収容部とは壁部で分離されているので、絶縁距離を大きくとることができないセンサ回路や電源制御部を第1収容部に収容した状態で、センサ回路や電源制御部を例えばポッティング剤などで封止し、容易に防爆仕様を実現できる。
【0010】
また、前記モジュールケースにおける前記第2収容部が含まれる部位は、前記計器に取り付けられた状態において、前記軸方向視で、前記目盛板における前記目盛が配置されていない扇形形状内に配置されていると好適である。
【0011】
このような構成とすれば、目盛が設けられていない領域を有する目盛板を使用している計器であれば、指針と目盛との視認性が損なわれないようにできる。
【0012】
また、指針センサ装置は、前記指針の前記位置情報を受信機へ送信する無線回路を更に備え、前記センサ部は、取得した前記位置情報を前記センサ制御部に伝達し、前記センサ制御部は、前記センサ部からの前記位置情報を前記無線回路に伝達すると好適である。
【0013】
このような構成とすれば、指針センサ装置とは別体の無線モジュールを備える必要がないので、電気的に接続するためのケーブルの配策作業や、計器とは別のところに無線モジュールを設置する作業が不要となる。
【0014】
また、前記無線回路は、アンテナを有し、前記アンテナは、前記計器に取り付けられた状態において、前記軸方向視で、前記軸部材と重複しない位置に配置されていると好適である。
【0015】
このような構成とすれば、計器に取り付けられた状態の軸方向視において軸部材と重複しない位置にアンテナが配置されているので、例えば軸部材が金属で形成されている場合でも、軸部材によってアンテナの特性に影響を与えて無線機能が低下することを抑制できる。
【0016】
また、前記指針は、前記計器が有する磁石と共に前記軸部材を中心に回動し、前記センサ部は、前記磁石の回動に応じた磁界の変化に基づいて前記指針の位置を計測する磁気センサであると好適である。
【0017】
このような構成とすれば、指針の回動に伴う磁石の回動に応じた磁界の変化に基づいて、指針の回転角度を読み取ることが可能となる。また、このような構成とすれば、センサ部として、汎用の磁気センサを使用できる。なお、磁気のセンシングはホール効果やMR効果、MI効果、その他の効果を利用するタイプのセンサを用いて行ってもよい。
【0018】
また、前記第1収容部は、樹脂材料により封止されていると好適である。
【0019】
このような構成とすれば、例えば絶縁距離を大きくとることができないセンサ回路や電源制御部を第1収容部に収容した状態で、センサ回路や電源制御部をポッティング剤などの樹脂材料で封止することで容易に防爆仕様を実現できる。
【0020】
また、前記モジュールケースの開口部分を覆う蓋部材を更に備え、前記電源部は電池を有し、前記蓋部材は、前記計器に取り付けられた状態において、前記モジュールケースから離間又はスライド移動が可能であると好適である。
【0021】
このような構成とすれば、指針センサ装置を計器に固定した状態で、電池交換が可能である。したがって、利便性を向上できる。
【0022】
また、前記電源部は、自己発電及び非接触給電の少なくともいずれか一方により取得した電力に基づいて前記センサ回路と前記電源制御部とに給電すると好適である。
【0023】
このような構成とすれば、センサ回路や電源制御部に給電することができる。なお、電源部は太陽電池等の光電変換により自己発電するものや、無線給電用受電コイルや棒材或いはホーン状或いは基板上にパターンで形成される受電アンテナや、その他の自己発電できるものとすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】計器に指針センサモジュールを取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の指針センサ装置について説明する。なお、後述する実施形態の各構成要素は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能であることに留意されたい。また、後述する実施形態の各態様における各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変形することが可能であることにも留意されたい。
【0026】
指針センサ装置の一例として、指針センサモジュールM1を例に挙げて、
図1-
図7を参照しつつ説明する。
図1は、計器G1に指針センサモジュールM1を取り付けた状態を示す図である。
図2は、
図1のII-II線の断面図である。
図3は、計器G1の斜視図である。
図4は、計器G1の分解斜視図である。
図5及び
図6は、指針センサモジュールM1の分解斜視図である。
図7は、電池21Aの交換についての説明図である。
図1-
図7には、軸方向Zが示される。以下では、軸方向一方側をZ1側(「軸方向一方側Z1」と称することもある)とし、軸方向他方側をZ2側(「軸方向他方側Z2」と称することもある)として説明する。なお、軸方向Zは、後述する軸部材G17の軸心に沿う方向に相当する。
【0027】
図1及び
図2に示されるように、指針センサモジュールM1は、別体の計器G1に取り付けて使用される。
図3及び
図4に示されるように、計器G1は、本体部G11とケースG12と外枠G13と指針G14と透明板G15と目盛板G16と軸部材G17とを有する。
【0028】
本体部G11は、ケースG12に目盛板G16と共に収容される。本体部G11は、目盛板G16の軸方向他方側Z2に配置されている。
【0029】
透明板G15は、外枠G13に嵌め込まれた状態でケースG12に組み込まれる。これにより、透明板G15は、外枠G13に内包される。本実施形態では、透明板G15は、目盛板G16の軸方向一方側Z1に配置されている。
【0030】
指針G14は、目盛板G16の軸方向一方側Z1であって、且つ、透明板G15の軸方向他方側Z2に配置される。したがって、指針G14は、目盛板G16と透明板G15との間に配置される。また、指針G14は、先端部G141を有している。
【0031】
軸部材G17は、軸方向Zに沿って目盛板G16を貫通して設けられる。軸部材G17は、ケースG12の中心(径方向中心)において、回動中心として指針G14を回動させる。
【0032】
目盛板G16の表面(軸方向一方側Z1の面)には、
図4に示されるように、目盛G161が付されている(
図3では、目盛G161が省略されている)。本実施形態では、目盛G161は目盛板G16における径方向外側の領域に周方向に沿って設けられる。指針G14の先端部G141は、指針G14の回動によって目盛G161上を回動し、指針G14の先端部G141が重なる(重複する)目盛G161上の位置によって、計量値を認識することができるように構成されている。
【0033】
図5及び
図6に示されるように、指針センサモジュールM1は、センサ回路1と電源回路2を備えている。
図2に示されるように、指針センサモジュールM1は、計器G1の透明板G15の軸方向一方側Z1に配置される。
【0034】
センサ回路1は、センサ部11とセンサ制御部12を有している。センサ部11は、指針G14の位置を示す位置情報を非接触で取得する(詳細は後述する)。
【0035】
図1及び
図2に示されるように、センサ部11は、計器G1に取り付けられた状態において、軸部材G17の軸心に沿う軸方向視において、軸部材G17と重複する位置に配置されている。すなわち、センサ部11は、軸部材G17の軸心を軸心方向に沿って延長した延長線上に設けられる。
【0036】
図6に示されるように、電源回路2は、電源部21と電源制御部22とを有している。
【0037】
電源部21は、センサ回路1と電源制御部22とに給電し、軸方向視において、センサ回路1と重複しない位置に配置されている。すなわち、
図1及び
図2に示されるように、軸部材G17の軸心方向に沿って指針センサモジュールM1を見た場合に、電源部21はセンサ回路1と重ならないように配置される。これにより、軸部材G17の軸心方向に沿って電源部21とセンサ回路1とが重なるように配置した場合に比べて、指針センサモジュールM1における電源部21が実装された部位の軸部材G17の軸心方向に沿う高さ(計器G1からの高さ)と、指針センサモジュールM1におけるセンサ回路1が実装された状態での基板7が設けられている部位の高さとを、低くすることが可能となる。
【0038】
また、指針センサモジュールM1は、軸方向視において、目盛板G16の目盛G161と重複しない位置に配置されている。すなわち、
図1に示されるように、軸部材G17の軸心方向に沿って計器G1に取り付けた状態の指針センサモジュールM1を見た場合に、指針センサモジュールM1は目盛G161と重ならないように配置される。
【0039】
指針センサモジュールM1は、更にモジュールケース3を備えている。
【0040】
図6に示されるように、モジュールケース3は、第1収容部311と第2収容部321と壁部33とを有する。モジュールケース3を軸心方向に沿って見て、壁部33により隔てられる一方側を第1部31とし、壁部33により隔てられる他方側を第2部32とすると、第1部31に第1収容部311が設けられる。また、第2部32に第2収容部321が設けられる。したがって、壁部33は、第1収容部311と第2収容部321とを互いに分離する。
【0041】
第1収容部311には、センサ回路1及び電源制御部22が収容される。また、第2収容部321には、電源部21が収容される。したがって、センサ回路1及び電源制御部22と、電源部21とは、壁部33により分離される。
【0042】
電源回路2は、更に接続部材23を有する。本実施形態では、2本の接続部材23(後述するプラス用端子231及びマイナス用端子232)を有する。
【0043】
接続部材23は、壁部33を貫通した状態で第1収容部311と第2収容部321とに亘って設けられ、電源部21と電源制御部22とを電気的に接続する。後述するように、電源部21は電池21Aを有する。2本の接続部材23のうちの一方の一端が電池21Aの一方の電極(陽極)に接続され、2本の接続部材23のうちの一方の他端が電源制御部22の端子(正端子)に接続される。また、2本の接続部材23のうちの他方の一端が電池21Aの他方の電極(陰極)に接続され、2本の接続部材23のうちの他方の他端が電源制御部22の端子(負端子)に接続される。
【0044】
モジュールケース3における第2収容部321が含まれる部位である第2部32は、計器G1に取り付けられた状態の軸方向視で、目盛板G16における目盛G161が配置されていない扇形形状内に全体が配置されている。すなわち、
図1に示されるように、計器G1の目盛G161が設けられていない範囲の角度をθとした場合において、この角度θ内に、第2部32が含まれるように配置される(例えば、軸方向視における第2部32の外縁が60°以下となるように配置される)。
【0045】
また、指針センサモジュールM1は、指針G14の位置情報を受信機(図示せず)へ送信する無線回路4を備えている。位置情報とは、目盛G161上を回動する指針G14の位置を示す情報であって、具体的には、指針G14が指し示す目盛G161における位置が相当する。このような位置情報は、後述するようにセンサ部11が非接触で取得する。
【0046】
センサ部11は、取得した位置情報をセンサ制御部12に伝達し、センサ制御部12は、センサ部11からの位置情報を無線回路4に伝達する。
【0047】
無線回路4は、アンテナ41を有する。アンテナ41は、指針センサモジュールM1が計器G1に取り付けられた状態の軸方向視で、軸部材G17と重複しない位置に配置されている。すなわち、軸部材G17の軸心方向に沿って指針センサモジュールM1を見た場合に、アンテナ41は軸部材G17と重ならないように配置される。後述するように、軸部材G17には磁石G18が固定されているので、アンテナ41は軸部材G17から可能な限り離れた位置に配置することが望ましい。
【0048】
電源部21は、電池21Aを有する。例えば円柱状の電池21Aを用いる場合、電池21Aの軸方向に沿う寸法が最小となる方向に沿って配置するとよい。すなわち、電池21Aの軸心が軸部材G17の軸心と平行となる状態で配置するとよい。これにより、電池21Aの軸方向一方側Z1の面及び軸方向他方側Z2の面の双方が、第2収容部321の底面と平行な状態で配置され、指針センサモジュールM1における高さ寸法の増大を抑制できる。
【0049】
指針G14は、計器G1が有する磁石G18と共に軸部材G17を中心に回動する。本実施形態では、
図2及び
図3に示されるように、指針G14の延出方向が軸部材G17の軸心に対して直交するように、軸部材G17に指針G14が固定され、更に軸部材G17の軸心に円柱状の磁石G18の軸心が一致するように磁石G18が固定される。このとき、磁石G18は、軸方向視において、少なくとも2つの磁極が存在するように設けられる。
図3の例では、磁石G18の軸方向において、軸心を中心に180°毎にN極とS極とが設けられている。この場合、センサ部11として磁気センサを用いると、磁石G18の回動に応じた磁界の変化に基づいて、非接触で指針G14の位置を計測することが可能となる。
【0050】
本実施形態では、第1収容部311は、樹脂部材により封止されている。上述したように、第1収容部311には、センサ回路1と電源制御部22とが収容されている。第1収容部311には、センサ回路1と電源制御部22とが収容された状態で樹脂材料が注入される。これにより、センサ回路1と電源制御部22とを、樹脂材料により覆うことが可能となる。
【0051】
指針センサモジュールM1は、モジュールケース3の開口部分を覆う蓋部材6を備えている。このとき、蓋部材6は、少なくとも電池21A(電源部21)が収容される第2収容部321を覆うとよい。また、
図7に示されるように、この蓋部材6は、計器G1に取り付けられた状態において、モジュールケース3から離間又はスライド移動が可能に構成される。これにより、指針センサモジュールM1を、計器G1の透明板G15に取り付けられた状態のまま、モジュールケース3から蓋部材6を離間又はスライド移動させて電池21A(電源部21)を露出させ、電池21A(電源部21)を交換することが可能となる。
【0052】
電源部21は、自己発電及び非接触給電の少なくともいずれか一方により取得した電力に基づいてセンサ回路1と電源制御部22とに給電するように構成することが可能である。自己発電とは、例えば光発電や熱発電、振動等の運動エネルギーを利用したアンビエント発電である。この場合、電源部21は、電池21Aに代えて、自己発電素子を用いて構成するとよい。非接触給電とは、例えば無線給電用受電コイルや、棒材、ホーン状、又は基板上にパターンで形成される受電アンテナを介して互いの端子を接触させることなく行う給電である。もちろん、その他の給電機能を有する素子を用いて構成することも可能である。
【0053】
次に、計器G1の一様態として、計器G1はブルドン管型圧力計を用いた場合の具体的な構成について説明する。ブルドン管型圧力計である計器G1は、
図3及び
図4に示されるように、更に第2軸G19とギヤGgとを備えている。
【0054】
本体部G11は、取り付け部G111とブルドン管部G112とリンク部G113とセクタ部G114とを有する。取り付け部G111の注入口G111aから注入された流体(例えば空気)は、ブルドン管部G112の内部に導入され、流体の圧力によってブルドン管部G112の先端G112aが、軸方向Zに直交する仮想平面(透明板G15と平行な面)上で変位し、先端G112aの変異に応じてリンク部G113は、仮想平面に平行な面上で傾きを変え、セクタ部G114を、第2軸G19を中心に回動させる。セクタ部G114はギヤ部G114aを有しており、セクタ部G114が第2軸G19を中心に回動することでギヤ部G114aが咬み合っているギヤGgを回転させる。ギヤGgは、当該ギヤGgの軸心が軸部材G17の軸心と一致した状態で軸部材G17が貫通されており、ギヤGgの回転と共に軸部材G17が回動する。軸部材G17が回動すると指針G14も回動する。このため、ブルドン管部G112の内部に導入された流体圧の変化に基づいて、ブルドン管部G112の先端G112aの変位に応じて回動する指針G14の回転角度は、ブルドン管部G112の内部に導入された流体圧によって決定される。したがって、計器G1で計測可能な圧力の範囲に合わせて、ブルドン管部G112やリンク部G113やセクタ部G114やギヤGgの形状及び第2軸G19の位置が調整される。目盛板G16の目盛G161は、ブルドン管部G112に導入される流体の圧力に応じて指針G14の先端部G141と軸方向視において重複する位置に、ブルドン管部G112の内部に導入される流体の圧力を認識可能な目盛り線や数値が表示される。
【0055】
このようなブルドン管型圧力計である計器G1の指針G14に固定される磁石G18は、上述したように、軸方向Zに直交し、且つ、軸部材G17の軸心を通る仮想線に対して一方側にS極が設けられ、他方側にN極が設けられる。なお、
図4では、磁石G18は円柱状の形状を呈しているが、円盤形状でもよいし、四角柱形状でもよい。また、その他の形状でもよい。
【0056】
次に、指針センサモジュールM1の具体例について説明する。指針センサモジュールM1は、例えば磁気センサモジュールとすることが可能である。磁気センサモジュールである指針センサモジュールM1は、
図5及び
図6に示されるように、基板7を備えている。基板7は、軸方向Zにおける軸方向一方側Z1に第2面72を有し、軸方向他方側Z2に第1面71を有している。第1面71には、センサ回路1のセンサ部11が実装されており、第2面72にはセンサ回路1のセンサ制御部12と、電源回路2の電源制御部22と、無線回路4とが実装されている。また、第2面72には、無線回路4のアンテナ41が設けられており、アンテナ41は第2面72にパターンニングにより形成してもよい。
【0057】
電源回路2の電源部21は、コイン型電池であり、接続部材23は、導電性材料からなる一組のプラス用端子231とマイナス用端子232とを有する。プラス用端子231は、プラス保持部231aと、プラス保持部231aの一端側に設けられるプラス接点部231bと、プラス保持部231aの他端側に設けられるプラス実装部231cとを有する。マイナス用端子232は、マイナス保持部232aと、マイナス保持部232aの一端側に設けられるマイナス接点部232bと、マイナス保持部232aの他端側に設けられるマイナス実装部232cとを有する。
【0058】
プラス実装部231c及びマイナス実装部232cは、夫々、基板7に半田溶着により電気的に接続されている。基板7は、モジュールケース3の第1収容部311にセンサ回路1と電源回路2の電源制御部22と無線回路4と共に収容されている。プラス保持部231a及びマイナス保持部232aは、モジュールケース3の壁部33を貫通した状態で設けられる。プラス接点部231bとマイナス接点部232bとは、夫々、第2収容部321に収容されており、プラス接点部231bは、第2収容部321に収容されるコイン型電池である電源部21のプラス電極に弾性接触して電気的に接続されている。また、マイナス接点部232bは、コイン型電池である電源部21のマイナス電極に弾性接触して電気的に接続されている。第1収容部311に基板7と共に収容されるセンサ回路1のセンサ部11は、指針センサモジュールM1が計器G1に取り付けられた状態において、軸方向視で軸部材G17と重複する位置に配置されるように基板7の第1面71に実装されている。また、無線回路4のアンテナ41は、指針センサモジュールM1が計器G1に取り付けられた状態において、軸方向視で軸部材G17と重複しない位置に配置されるように基板7の第2面72に実装されている。モジュールケース3には、蓋部材6がネジ8により固定されている。このネジ8を外すと、
図7に示されるように、蓋部材6はモジュールケース3の第1収容部311の中央部を中心軸として回転してずらすことができ、これにより第2収容部321が露出し、電池21Aを交換できるように構成されている。
【0059】
基板7は、リジット基板でもよいし、フレキシブル基板でもよい。また、第1面71と第2面72との2層からなる両面基板(2層基板)でもよいし、内層を有する3層以上の多層基板であってもよい。
【0060】
接続部材23は、導電性材料からなる一組のプラス用端子231及びマイナス用端子232であってもよいし、コイン型電池のプラス電極とマイナス電極との夫々に溶接されたタブに電気的に接続される電線であってもよい。もちろん、その他の導電性材料によって形成された、基板7とコイン型電池である電源部21とを電気的に接続できる機能を有しているものであってもよい。
【0061】
モジュールケース3への蓋部材6の取り付けは、上述したネジ8による固定でもよいし、係止部を形成して係合させてもよいし、その他の方法で固定してもよい。また、電池21Aを交換する際に、蓋部材6がモジュールケース3から離間するような構造であってもよい。
【0062】
指針センサモジュールM1の第1収容部311は、樹脂部材を注入して、基板7と共に収容されているセンサ回路1と電源回路2の電源制御部22と無線回路4とを封止することにより、密封状態とすることが可能である。
【0063】
指針センサモジュールM1の計器G1への取り付けは、指針センサモジュールM1のモジュールケース3と計器G1の透明板G15とを接着剤を用いて接着固定してもよいし、熱溶着で固定もよいし、超音波溶着で固定もよい。また、ネジ8を用いた固定のように固定部材を使用して固定してもよく、固定方法は限定されない。更に、固定される部材はモジュールケース3や透明板G15以外のものであってもよい。また、指針センサモジュールM1が透明板G15に取付けられた状態の外枠G13を、計器G1の既設の外枠G13と交換するようにしてもよい。
【0064】
図6では、無線回路4は基板7の第2面72に実装されているが、無線回路4は基板7の第1面71に実装されてもよい。
【0065】
〔その他の実施形態〕
モジュールケース3は、例えば透明の絶縁材料で形成することが可能である。
【0066】
蓋部材6は、例えば透明の絶縁材料で形成することが可能である。
【0067】
指針センサモジュールM1は、モジュールケース3と蓋部材6とを不図示のシール部材を介して封止し、第1収容部311及び第2収容部321を液密構造とすることが可能である。シール部材は、例えばOリング等のパッキン部材のように別体であってもよいし、モジュールケース3及び蓋部材6の一方にコーキング剤を塗布したり、二色成型や二次成型で一体化してもよい。もちろん、シール部材の材料や形態は、上記に限定されるものではない。
【0068】
指針センサモジュールM1の電源回路2の電源部21は、自己発電可能な素子であってもよく、無線給電用受電コイルや、棒材、ホーン状、又は基板上にパターンニングで形成される受電アンテナであってもよく、その他の給電機能を有する部材であってもよい。
【0069】
上記実施形態では、指針センサモジュールM1を取り付ける計器G1として圧力計を例に挙げて説明した。計器G1は、圧力計に限定されるものではなく、例えば電圧計、電流計、電力計、電力量計等であってもよい。また、流量計等に利用することも可能である。
【0070】
〔技術的特徴及び効果〕
以上のように構成される計器G1に取り付けて使用される指針センサモジュールM1は、以下のような技術的特徴及び効果を奏する。
【0071】
(1)第1技術的特徴及び効果
指針センサモジュールM1は、軸方向視において計器G1の目盛板G16の目盛G161と重複しない位置に配置されているので、指針G14が目盛G161に重複することにより計量値を認識するための視認性が確保される。
【0072】
電源回路2の電源部21は、軸方向視においてセンサ回路1と重複しない位置に配置されている。これにより、センサ回路1と電源回路2の電源部21とが、軸方向視において互いに重複するように配置されている指針センサに比べて指針センサモジュールM1全体の軸方向Zに沿う高さ寸法を低くできる。例えば、工場の設備に取り付けられる計器G1である場合、計器G1の周辺には他の装置や配線が存在することがあるため、計器G1に取り付ける指針センサモジュールM1を低背で構成することで、計器G1の周辺に指針センサモジュールM1を取り付けるための大きなスペースを必要としない。また、計器G1の近くに、人や協働ロボットの動線が設けられている場合でも、動線の確保に影響を与えることが少ない。
【0073】
センサ回路1のセンサ部11は、計器G1に取り付けられた状態において、軸方向視において軸部材G17と重複する位置に配置されているので、センサ部11が磁気センサである場合において、指針G14と共に回動する磁石G18に軸部材G17を貫通させて軸方向Zにおいて指針G14と透明板G15との間に配置すると、指針G14の回動に伴う軸部材G17を中心とした磁石G18の回動による磁界の変化より磁気センサが指針G14の回動位置を読み取る検針が可能となる。このため、磁石G18を、軸部材G17を中心とした径方向に大きく広げる必要がなく、磁石G18を小型化できる。磁石G18が大きくなるとセンサ部11以外のセンサ回路1や電源回路2等に磁界による影響を与えることになるが、磁石G18が小型であれば、磁界による影響を抑制する対策を削減できる。
【0074】
指針センサモジュールM1は、計器G1の透明板G15の軸方向Zにおける軸方向一方側Z1側に配置されているので、既存の計器G1に後付けすることが可能である。
【0075】
指針センサモジュールM1の軸方向Zにおける高さ寸法を抑えることができるので、計器G1の指針G14が示す目盛を目視で読み取る場合に邪魔になることがない。例えば軸方向Zに対して斜めから見た場合でも、目盛の視認性が悪化することを防止できる。
【0076】
(2)第2技術的特徴及び効果
センサ回路1及び電源制御部22を第1収容部311に収容し、電源回路2の電源部21を第2収容部321に収容することで、センサ回路1と電源部21とを軸方向視において、互いに重複しないように配置することが可能となる。
【0077】
第1収容部311と第2収容部321とは壁部33で互いに分離されているので、絶縁距離を大きくとることができないセンサ回路1や電源回路2の電源制御部22を第1収容部311に収容した状態で、センサ回路1や電源回路2の電源制御部22をポッティング剤等の樹脂材料を使用して封止することで、防爆仕様を容易に実現できる。工場など圧力計を設置する環境においては、暴露仕様を必要とされる場合があるので効果的である。
【0078】
壁部33への接続部材23の貫通は、例えば壁部33に溝や孔を形成し、この溝や孔を利用して行うことが可能である。これにより、第1収容部311に収容されている電源回路2の電源制御部22と、第2収容部321に収容されている電源回路2の電源部21とを容易に電気的に接続することができる。また、接続部材23が導電性部材によって形成され、且つ、弾性接触で電源部21の電極と電気的に接続できる端子形状とすることで、壁部33に形成される溝や孔は、接続部材23の保持機能を有する構成とすることができる。また、接続部材23の第2収容部321における配置位置を容易に設定することが可能となる。
【0079】
電源部21が電池21Aを有し、接続部材23を導電性材料からなる一組のプラス用端子231とマイナス用端子232とする。また、プラス用端子231は、プラス保持部231aと、プラス保持部231aの一端側に設けられるプラス接点部231bと、プラス保持部231aの他端側に設けられるプラス実装部231cとを有し、マイナス用端子232は、マイナス保持部232aと、マイナス保持部232aの一端側に設けられるマイナス接点部232bと、マイナス保持部232aの他端側に設けられるマイナス実装部232cとを有するとする。更に、プラス実装部231cとマイナス実装部232cとが、夫々、基板7に半田溶着によって電気的に接続されている場合において、電池21Aのサイズに合わせて電池21Aのプラス電極に弾性接触が可能な位置にプラス用端子231のプラス接点部231bを配置し、電池21Aのマイナス電極に弾性接触が可能な位置にマイナス用端子232のマイナス接点部232bを配置する。これにより、モジュールケース3の第2収容部321が電池ホルダとなるので、電池21Aの交換をする場合には、電池21Aをモジュールケース3の第2収容部321から古い電池21Aを取り出し、新たな電池21Aを元の第2収容部321に収容させることにより行えるので、電池交換を行う際に、電源回路2の電源部21と電源制御部22との電気的接続のために半田付けやコネクタ嵌合等の作業が不要となる。したがって、計器G1に指針センサモジュールM1を取り付けたまま、電池21Aを交換することができるので、半田付け不良やコネクタ嵌合時の端子座屈や異物の噛み込み等による接触不良や、電気的接続を阻害する要因となるような危険をなくすことが可能となる。また、第2収容部321の形状は、電池21Aの形状にあわせて形成してもよいが、更にソケット部材を有して電池21Aの形状の違いに対応できるようにすることも可能である。
【0080】
(3)第3技術的特徴及び効果
指針センサモジュールM1のモジュールケース3における第2収容部321が含まれる部位(第2部32)は、計器G1に取り付けられた状態において、軸方向視で、目盛板G16における目盛G161が配置されていない扇形形状内に全体が配置されるように構成されている。一般的な圧力計は、軸部材G17を中心とする少なくとも中心角が60°の範囲に目盛が設けられていないデッドスペースを有している。そこで、軸方向視における第2部32の外縁が60°以下となるように配置することで、計器G1の透明板G15に指針センサモジュールM1を取り付けても、指針G14が目盛板G16の目盛G161における指し示す位置を確認するための視認性が損なわれることがない。なお、一般的な圧力計として、「JIS7505-1アネロイド型圧力計-第1部:ブルドン管圧力系」が規定されているが、この規定では、「目盛の角度」に関して、「目盛は、全範囲を、左右振り分けの約270°にする。他の角度を必要とする場合は、受け渡し当事者間の協定による。」とされている。この場合、目盛が付されていない領域は、360°-約270°=約90°となる。したがって、上述したように、軸方向視における第2部32の外縁が、この約90°の範囲に含まれるように、60°以下とするとよい。指針センサモジュールM1は、このような圧力計(「JIS7505-1アネロイド型圧力計-第1部:ブルドン管圧力系」で規定される圧力計)に適用することが可能である。
【0081】
(4)第4技術的特徴及び効果
指針センサモジュールM1は、指針G14の位置情報を受信機へ送信する無線回路4を備えて構成することが可能である。センサ回路1のセンサ部11は、位置情報を非接触で取得してセンサ制御部12に伝達し、センサ回路1のセンサ制御部12がセンサ部11からの位置情報を無線回路4に伝達して、計器G1から離間した受信機へ無線通信できる構成とすることで、計器G1の検針結果を計器G1から遠隔の位置で確認することが可能となる。したがって、計器G1が工場内の設備に設置される複数箇所における圧力を測定する場合、工場の始業時の点検作業として設備が正常な圧力を得て可動しているか否かを複数の圧力計の全てに亘って検査員が目視検査する必要がない。また、事務所で全ての圧力計の検針情報を確認することができるので、始業前点検の時間短縮が可能である。また、目視は検針結果に不確かさが含まれるが、センサによる検針が行えるので検針結果に含まれる不確かさを低減できる。また、検針結果を自動保存するシステムを構築することで、日々の検針結果をデータとして記録でき、記録したデータを工場の稼働時間把握や、部品の交換時期を知らせるアラートに使用できる。
【0082】
更には、指針センサモジュールM1とは別体の無線モジュールを必要とせず、また、別体の無線モジュールと接続するためのケーブルが不要である。したがって、ケーブルの配策作業や計器G1とは別のところに無線モジュールの設置スペースを確保して設置する作業が不要となる。
【0083】
電源回路2の電源制御部22は、電源部21が電池21Aを有する場合に、電池21Aの起電力や内部抵抗を監視する機能を有するように構成することで、電池21Aの起電力や内部抵抗を監視して認識した情報を電気信号に変換し無線回路4によって、計器G1から離間した受信機に送信することができる。したがって、例えば、工場や屋外に設置されている計器G1に取り付けられる指針センサモジュールM1の電池交換時期を事前に察知することで、電池寿命によって計器G1の検針結果が誤って認識されたり、認識できない状態となって、検針データの保存ができなかったり、工場や屋外で稼働中の設備を含むシステム全体が可動停止となってしまうことを防止することができる。
【0084】
(5)第5技術的特徴及び効果
無線回路4のアンテナ41は、計器G1に取り付けられた状態において、軸方向視で、軸部材G17と重複しない位置に配置されているので、軸部材G17が例えば金属で形成されている場合であっても、金属製の軸部材G17がアンテナ41の特性に影響を与えて無線機能が低下するといったことを抑制できる。
【0085】
無線回路4は、基板7の第1面71に実装されてもよいし、第2面72に実装されてもよい。センサ回路1のセンサ部11が磁気センサである場合は、計器G1は磁石G18を備えており、指針G14と共に回動する磁石G18により、磁界の変化が生じる。そこで、磁界の変化がアンテナ41の特性に影響を与えないようにするために、アンテナ41は、基板7の第2面72に実装されている方が、磁界の変化の影響を受け難くできる。
【0086】
(6)第6技術的特徴及び効果
計器G1は、磁石G18を備えている。磁石G18は、指針G14の軸方向Zの軸方向一方側Z1側に配置されており、指針G14と共に軸部材G17を中心として回動する。センサ回路1のセンサ部11を、磁気センサを用いて構成することで、磁石G18の回動に応じた磁界の変化に基づいて指針G14の位置を計測することが可能となる。センサ回路1のセンサ部11は、一般的な磁気センサを使用することが可能である。磁気センシングの方式は、ホール効果や、MR効果や、MI効果等のいずれの効果を利用するものであってもよい。利用する磁気センサ用ICが一対のセンサを内蔵し、センシング結果を差動で出力するタイプである場合には、1つの磁気センサ用ICを軸方向視において軸部材G17に重複する位置に配置することで、磁界の変化を高精度にセンシングすることができる。したがって、指針G14の回動位置を高精度、且つ、高分解能で検針することが可能となる。
【0087】
(7)第7技術的特徴及び効果
指針センサモジュールM1のモジュールケース3の第1収容部311と第2収容部321とは、壁部33で互いに分離されている。絶縁距離を大きくとることができないセンサ回路1や電源回路2の電源制御部22を第1収容部311に収容した状態で、センサ回路1や電源制御部22をポッティング剤等の樹脂材料で封止することにより、容易に防爆仕様を実現できる。また、第1収容部311は、防塵・防水構造とすることも可能であるので、センサ部11に水滴や埃等が付着してセンサ機能の低下させることを防止できる。
【0088】
(8)第8技術的特徴及び効果
指針センサモジュールM1は、モジュールケース3の開口部分を覆う蓋部材6を備えている。モジュールケース3が計器G1の透明板G15に取り付けられた状態のまま、この蓋部材6をモジュールケース3から離間させる、又は、スライド移動させることにより、指針センサモジュールM1を計器G1に固定したままで、電池21Aを交換することが可能となる。
【0089】
また、電池21Aの寿命による電池交換だけでなく、計器G1に予め指針センサモジュールM1を取り付けた状態で流通させる場合、流通在庫中は電池21Aをモジュールケース3の第2収容部321から取り出しておいて、設置場所に計器G1を設置した後に電池21Aを取り付けることで、流通過程での電池21Aの消費を抑制できる。また、流通過程での電池21Aの消費を抑制できるので、電池21Aを交換する時期は、電池取り付け日から積算して容易に設定することが可能となる。
【0090】
モジュールケース3と蓋部材6とは、シール部材で封止され、第1収容部311及び第2収容部321は液密構造とすることで、モジュールケース3と蓋部材6の内部とを防水仕様とすることが可能である。また、同様にシール部材により防塵構造とすることも可能である。これにより、例えば指針センサモジュールM1が劣悪な環境で使用され、高湿度や結露による水滴、埃や塵等に起因した短絡等、指針センサモジュールM1の検針異常や故障を防止できる。
【0091】
(9)第9技術的特徴及び効果
電源回路2の電源部21は、自己発電(例えば光発電や熱発電、振動等の運動エネルギーを利用したアンビエント発電)するものや、非接触給電(例えばマイクロ波を無線で受電して発電)するものや、その他の自己発電できるものを採用することが可能である。したがって、指針センサモジュールM1に電池21Aを搭載しなくてもよい。また、電池21Aを使用する場合、電池21Aの寿命による電池交換が必要となるが、電池21Aを搭載しない場合には、交換を行う必要がないので、指針センサモジュールM1を電池21Aの交換が可能な構造とする必要がない。したがって、簡素な構造とすることができる。
【0092】
(10)その他の技術的特徴及び効果
指針センサモジュールM1は、モジュールケース3や蓋部材6を例えば透明な樹脂を用いて形成することで、基板7に実装したLEDの点灯を目視して電池容量の低下を認識する構成とすることが可能である。これにより、指針センサモジュールM1の電池21Aの交換時期を事前に察知することができるので、電池21Aの寿命によって計器G1の検針結果が誤って認識されたり、認識できない状態となって、工場や屋外で稼働中の設備を含むシステム全体が可動停止となってしまうといった状況に陥ることを回避できる。
【0093】
(11)その他の技術的特徴及び効果
電源回路2の電源部21が電池21Aを有するので、指針センサモジュールM1への電源供給に商用電源等の外部電源と電線で接続する必要がない。
【0094】
また、指針センサモジュールM1は、計器G1の目盛板G16の目盛G161に軸方向視において重複しない位置に設けられているので、電池21Aは第2収容部321に収容可能なサイズのコイン型電池を選定することにより、軸方向視における専有面積にかかわらず軸方向Zにおける高さ寸法を低くすることが可能となる。すなわち、コイン型電池の平坦な面に設けられる負極を、軸方向Zと直交する面と平行に配置することになる。電池21Aはセンサ回路1や電源回路2の電源制御部22と軸方向視において重複する位置に配置されているので、コイン電池の厚みを考慮しても電池21Aが収容されている第2収容部321が第1収容部311に比べて、軸方向Zの高さ寸法が大きくなり、指針センサモジュールM1の軸方向Zにおける高さ寸法が大きくなることがない。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、工場内や屋外で使用される計器の動作状況を遠隔にて検針できるシステムに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1:センサ回路
2:電源回路
3:モジュールケース
4:無線回路
6:蓋部材
11:センサ部
12:センサ制御部
21:電源部
21A:電池
22:電源制御部
23:接続部材
33:壁部
41:アンテナ
311:第1収容部
321:第2収容部
G1:計器
G14:指針
G16:目盛板
G17:軸部材
G18:磁石
G161:目盛
M1:指針センサモジュール(指針センサ装置)