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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107568
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】発車時刻自動案内システム
(51)【国際特許分類】
   B61L 25/02 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
B61L25/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011560
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐門 準
(72)【発明者】
【氏名】千種 健二
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161GG11
5H161GG14
5H161GG15
5H161GG17
5H161GG23
(57)【要約】
【課題】電話による問い合わせに対して自動で音声により列車の発車時刻を案内することができる発車時刻自動案内システムを提供する。
【解決手段】顧客対応装置と会話支援装置とを備え、利用客により指定された駅を発車する列車の発車時刻を電話へ音声で伝える発車時刻自動案内システムにおいて、所定の線区の運転計画情報および列車の運行状況情報を保持する機能を有するデータベースと、データベース内のデータを管理する機能および利用客へ返答する案内文を作成する機能を有する案内文作成装置とを備え、案内文作成装置は、所定の条件を満たさない場合には指定された駅を次に発車する列車の発車時刻を知らせる案内文を作成し、所定の条件を満す場合には指定された駅を次に発車する列車およびその次に発車する列車の発車時刻を知らせる案内文を作成し、顧客対応装置は案内文作成装置が作成した案内文を会話支援装置と連携して音声で伝えるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用客の電話による問い合わせに対応する機能を有する顧客対応装置と、
音声/文字変換機能および文字/音声変換機能を有する会話支援装置と、
を備え、利用客からの問い合わせに応じて、利用客により指定された駅を発車する列車の発車時刻を、前記電話へ音声で伝える発車時刻自動案内システムであって、
所定の線区の運転計画情報および列車の運行状況情報を保持する機能を有するデータベースと、
前記データベース内のデータを管理する機能および利用客へ返答する案内文を作成する機能を有する案内文作成装置と、を備え、
前記案内文作成装置は、所定の条件を満たさない場合には指定された駅を次に発車する列車の発車時刻を知らせる案内文を作成し、前記所定の条件を満す場合には指定された駅を次に発車する列車の発車時刻およびその次に発車する列車の発車時刻を知らせる案内文を作成し、
前記顧客対応装置は、前記案内文作成装置が作成した前記案内文を、前記会話支援装置と連携して前記電話へ音声で伝えることを特徴とする発車時刻自動案内システム。
【請求項2】
前記所定の条件は、列車の属性が予め決められた所定の属性であることを特徴とする請求項1に記載の発車時刻自動案内システム。
【請求項3】
前記所定の属性は、通過駅を有する特急列車または快速列車であるか通過駅を有しない普通列車であるかを表わす種別情報であることを特徴とする請求項2に記載の発車時刻自動案内システム。
【請求項4】
前記案内文作成装置は、
複数の線区の運転計画情報データおよび複数の線区の列車位置情報を記憶している外部の運行情報システムより、前記所定の線区の運転計画情報および列車の運行状況情報を取得し、前記データベースにテーブル形式で記憶させる機能を有し、
前記運転計画情報には前記種別情報が含まれ、前記運行状況情報には前記運転計画情報の発車時刻からの遅れを示す遅れ時間情報が含まれており、
前記案内文作成装置は、前記運行状況情報に前記遅れ時間情報が含まれており、遅れのある列車の発車時刻を案内する場合には、当該列車の前記運転計画情報の発車時刻および前記遅れ時間情報が示す遅れ時間を知らせる案内文を作成するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の発車時刻自動案内システム。
【請求項5】
前記運行状況情報には前記列車の属性として運休を示す運休情報が含まれており、
前記案内文作成装置は、次に発車する列車の運行状況情報に含まれている前記運休情報が運休を示している場合には、次の列車は運休であることおよび指定された駅を運休に係る列車が予定していた発車時刻の次に発車する列車の発車時刻を知らせる案内文を作成するように構成されていることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の発車時刻自動案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅の列車の発車時刻自動案内システムに関し、特に電話による列車発車時刻の問い合わせに対して自動で音声により列車の発車時刻を案内する発車時刻自動案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道列車の運行に遅延が生じた場合、駅構内に配置されている電光掲示板や液晶ディスプレイにより列車遅延情報を報知するシステムが実用化されている。また、利用客が保有する携帯端末により列車の遅延情報や列車の位置情報を知らせる運行情報提供システムも実用化されている(特許文献1参照)。
また、交通車両を利用するユーザが使用する情報端末(ユーザ端末)からの、一対の駅その他のノードの指定を受け付け、指定を受け付けた時点以降における当該交通車両の経路の運行状況に関する情報をユーザ端末へ提供するようにした発明が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-155220号公報
【特許文献2】特許第7146203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、地方の鉄道路線の線区には、駅員が常駐していない無人駅が幾つかある。かかる無人駅のある線区で列車の遅延が発生した場合、無人駅で列車を待つ利用客は時刻表に記載されている時刻に列車が到着しないと、不安な状態に陥る。そこで、利用客の利便性を向上させるため、上述した電光掲示板や液晶ディスプレイにより列車遅延情報を報知するシステムを駅構内に設置することが考えられる。しかし、このようなシステムは設置費用が嵩むため、費用対効果の観点から無人駅に設置するにはコスト的に難がある。
【0005】
一方、携帯端末により列車の遅延情報や列車の位置情報を知らせる特許文献1のよう運行情報提供システムは、情報を取得するのに携帯端末を操作するスキルが必要である。また、携帯端末により指定されたノード(駅等)間の列車の運行状況を解析し提示する特許文献2の発明も、携帯端末を操作するスキルが必要である。そのため、そのようなスキルのないあるいは乏しい高齢の利用客にとっては、ハードルが高いという課題がある。
また、無人駅が存在する線区においても特急列車や快速列車が走行することがあり、特急列車や快速列車が停止せず通過してしまう無人駅もある。そのため、単に列車の現在位置を追跡して遅延時間を把握し、予測した発車時刻を利用客へ知らせたのでは、実際には利用することができない列車の情報を知らせてしまい、情報提供サービスの質が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、高齢の利用客でも容易に利用できる電話による列車発車時刻の問い合わせに対して、自動で音声により列車の発車時刻を案内することができる発車時刻自動案内システムを提供することを目的とするものである。
本発明の他の目的は、列車の属性や利用客の位置等の条件に応じて適切な発車時刻を案内することができる発車時刻自動案内システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、
利用客の電話による問い合わせに対応する機能を有する顧客対応装置と、
音声/文字変換機能および文字/音声変換機能を有する会話支援装置と、
を備え、利用客からの問い合わせに応じて、利用客により指定された駅を発車する列車の発車時刻を、前記電話へ音声で伝える発車時刻自動案内システムにおいて、
所定の線区の運転計画情報および列車の運行状況情報を保持する機能を有するデータベースと、
前記データベース内のデータを管理する機能および利用客へ返答する案内文を作成する機能を有する案内文作成装置と、を備え、
前記案内文作成装置は、所定の条件を満たさない場合には指定された駅を次に発車する列車の発車時刻を知らせる案内文を作成し、前記所定の条件を満す場合には指定された駅を次に発車する列車の発車時刻およびその次に発車する列車の発車時刻を知らせる案内文を作成し、
前記顧客対応装置は、前記案内文作成装置が作成した前記案内文を、前記会話支援装置と連携して前記電話へ音声で伝えるように構成したものである。
【0008】
上記のような構成する発車時刻自動案内システムによれば、利用客の電話による問い合わせに対して、所定の条件が成立した場合には指定された駅を次に発車する列車の発車時刻およびその次に発車する列車の発車時刻を知らせる案内文を作成し、利用客へ音声で伝えることができるので、高齢の利用客でも容易に案内サービスを受けることができる。また、通常は次に発車する列車の発車時刻のみ知らせるが、所定の条件が成立した場合には、次の次に発車する列車の発車時刻も知らせるため、実際には利用することができない列車の発車時刻を知らせてしまうのを回避することができ、それによって適切な発車時刻を案内することができる。
【0009】
ここで、前記所定の条件は、列車の属性が予め決められた所定の属性であるようにする。
さらに、前記所定の属性は、通過駅を有する特急列車または快速列車であるか通過駅を有しない普通列車であるかを表わす種別情報であるようにする。
かかる構成によれば。次の列車が特急列車または快速列車であり、指定された駅を通過する場合に、利用することができない列車の発車時刻を知らせてしまうのを回避することができる。
【0010】
さらに、望ましくは、前記案内文作成装置は、
複数の線区の運転計画情報データおよび複数の線区の列車位置情報を記憶している外部の運行情報システムより、前記所定の線区の運転計画情報および列車の運行状況情報を取得し、前記データベースにテーブル形式で記憶させる機能を有し、
前記運転計画情報には前記種別情報が含まれ、前記運行状況情報には前記運転計画情報の発車時刻からの遅れを示す遅れ時間情報が含まれており、
前記案内文作成装置は、前記運行状況情報に前記遅れ時間情報が含まれており、遅れのある列車の発車時刻を案内する場合には、当該列車の前記運転計画情報の発車時刻および前記遅れ時間情報が示す遅れ時間を知らせる案内文を作成するように構成する。
【0011】
上記構成によれば、既存の運行情報システムから運転計画情報および列車の運行状況情報を取得して、データベースに記憶させ案内文の作成に利用することができるため、安価にシステムを構築することが可能となる。
【0012】
また、望ましくは、前記運行状況情報には前記列車の属性として運休を示す運休情報が含まれており、
前記案内文作成装置は、次に発車する列車の運行状況情報に含まれている前記運休情報が運休を示している場合には、次の列車は運休であることおよび指定された駅を運休に係る列車が予定していた発車時刻の次に発車する列車の発車時刻を知らせる案内文を作成するように構成する。
かかる構成によれば、誤って運休の列車の発車時刻を利用客へ知らせてしまうのを回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る発車時刻自動案内システムによれば、高齢の利用客でも容易に利用できる電話による列車発車時刻の問い合わせに対して、自動で音声により列車の発車時刻を案内することができる。また、列車の属性や利用客の位置等の条件に応じて適切な発車時刻を案内することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る発車時刻自動案内システムの概要を示すブロック図である。
図2】実施形態の発車時刻自動案内システムにおける時刻案内処理の手順を示すフローチャートである。
図3】実施形態の発車時刻自動案内システムを構成する案内文作成装置におけるデータベースの更新処理の手順を示すフローチャートである。
図4】案内文作成装置における案内文作成処理の手順を示すフローチャートである。
図5】案内文作成装置によってデータベース内に構築されるテーブルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る発車時刻自動案内システムの一実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る発車時刻自動案内システム10の全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の発車時刻自動案内システム10は、利用客(ユーザ)の携帯電話20もしくは固定電話による問い合わせを受けるコールセンタの機能を有する顧客対応装置11と、音声認識や音声/文字変換機能、文字/音声変換機能を有する会話支援装置12、所定の線区の運転計画情報および列車の運行状況情報をリアルタイムで保持する機能を有するデータベース13、データベース13内のデータを管理する機能や利用客へ返答する案内文を作成する機能を有する案内文作成装置14などから構成されている。
【0016】
上記システム構成装置のうち、顧客対応装置11は、予め記憶されている案内文を利用客の携帯電話20へ送信する機能や、会話支援装置12と連携して利用客との間の会話を実行する機能、会話支援装置12と案内文作成装置14との間のデータ転送を仲介する機能を有するように構成されている。
会話支援装置12と案内文作成装置14は、それぞれコンピュータ装置により構成することができ、会話支援装置12にはAI(人工知能)を利用した自動会話プログラムが格納される。なお、会話支援装置12と案内文作成装置14を、1つのコンピュータ装置により構成しても良い。また、データベース13と案内文作成装置14を、1つのサーバ装置により構成しても良い。
【0017】
データベース13には、複数線区の運転計画(当日の計画ダイヤ)および実際の列車の運行状況を記憶している外部の運行情報システム30から、システムが担当する1の線区の情報を取得して記憶される。運行情報システム30は、ユーザの携帯端末に対して列車の運行状況の情報を提供する特許文献1に記載されているサーバであってもよい。なお、この種のサーバは、軌道回路からの情報や列車に搭載されているGPS装置の情報に基づいて各列車の位置をリアルタイムで把握している鉄道会社の列車運行管理システムから、列車の運行状況(遅延、運休を含む)の情報を取得し、記憶するように構成されている。従って、サーバを介さずに、列車運行管理システムから運行状況情報を直接取得してデータベース13に記憶しても良い。
【0018】
本実施形態の発車時刻自動案内システム10においては、運行情報システム30から運行状況情報を取得してデータベース13に記憶させる機能は、案内文作成装置14が担っている。データベース13自体をサーバ装置で構成し、サーバ装置が運行状況情報を取得する機能を有するように構成しても良い。
さらに、発車時刻自動案内システム10の各構成要素(11,12,13,14)を、アマゾンなどのウェブサービスを提供する会社が保有するAWS(Amazon Web Services)のクラウドコンピューティングを利用して実現するようにしても良い。その場合、例えば会話支援装置12は、クラウドコンピュータとチャットボットと呼ばれるプログラムで実現することができる。また、案内文作成装置14はLambda(ラムダ)と呼ばれるソフトウェアツールで実現することができる。
【0019】
次に、本実施形態の発車時刻自動案内システム10における動作について説明する。
図2には、本実施形態のシステム全体の動作の流れが示されている。
ユーザが携帯電話(または固定電話)を用いて所定の電話番号にアクセスすると、先ず顧客対応装置(コールセンタ)11が、例えば「○○線列車運行ナビです」のようなサービスの名称等を知らせる定型文をユーザの携帯電話へ音声で送信する(ステップS1)。
続いて、顧客対応装置11はサービスの種類を選択させるための定型文をユーザの携帯電話へ音声で送信する(ステップS2)。
【0020】
次に、ステップS2の音声内容に応じて、例えば運行状況案内に対応された「1」が選択されたと顧客対応装置11が判断すると、案内対象の駅名を音声入力させるための定型文をユーザの携帯電話へ音声で送信する(ステップS3)。これに応じて、駅名が音声入力されると、顧客対応装置11はその音声データを会話支援装置12へ転送して、音声認識させる。会話支援装置12からの応答で、音声入力された駅名を認識できたと顧客対応装置11が判断すると、次のステップS4へ進み、行き先方面(上りまたは下り)を音声入力させるための定型文をユーザの携帯電話へ音声で送信する。
そして、音声入力された行き先方面を認識できたと顧客対応装置11が判断すると、次のステップS5へ進み、駅名と行き先方面を確認するための定型文をユーザの携帯電話へ音声で送信する。
【0021】
ステップS5の音声内容に応じて、ユーザが「いいえ」と返答した場合は、ステップS2へ戻って上記処理S2~S5を繰り返し、ユーザが「はい」と返答した場合は、次のステップS6へ進む。
ステップS6では、会話支援装置12で音声/文字変換した駅名と行き先方面を案内文作成装置14へ渡して、案内文作成装置14がそれを検索ワードとしてデータベース13を検索して、ユーザとの通話開始時刻よりも後の列車発車時刻を読み出す。
なお、列車発車時刻に、列車の種別や行き先、遅延の有無、運休等の付随情報があればその情報も読み出す。また、案内文作成装置14は、列車発車時刻の付随情報が「特急」、「快速」または「運休」であった場合は、その次の列車発車時刻および遅延の有無等の付随情報も読み出す。
【0022】
そして、案内文作成装置14は、読み出した情報に基づいて例えば「次の○○方面の列車は○時○分発、××行きです」のような案内文を作成する。このとき、付随情報として「遅延」または「運休」であった場合には、その情報も追加して案内文を作成する。「遅延」の場合には、例えば「次の○○方面の列車は○:○発です。この列車は○分遅れで運行しています。」のような案内文を作成する。また、遅れのある列車の発車時刻を案内する場合には、当該列車の運転計画情報の発車時刻に遅れ時間情報が示す時間を加算した時刻を見込み発車時刻とした案内文を作成するようにしてもよい。続いて、案内文作成装置14は作成した案内文を会話支援装置12へ送り、会話支援装置12で文字/音声変換をして顧客対応装置11へ渡し、ユーザの携帯電話へその音声案内を送信する(ステップS7)。
【0023】
その後、「再案内」、「終了」等、処理の種類を選択させるための定型文をユーザの携帯電話へ音声で送信する(ステップS8)。続いて、ステップS8の音声内容に応じて、例えば「1」が選択されたと顧客対応装置11が判断すると、ステップS7へ戻って音声により再度同一内容の発車時刻案内をユーザの携帯電話へ送信する。また、「2」が選択されたと顧客対応装置11が判断すると、ステップS2へ戻って上記処理S2~S8を繰り返し、「3」が選択されたと顧客対応装置11が判断すると、発車時刻案内サービスを終了する(ステップS11)。
【0024】
一方、ステップS2で、「2」が選択されたと顧客対応装置11が判断すると、ステップS9へ移行して、鉄道会社からのお知らせを内容とする音声案内をユーザの携帯電話へ送信する。その後、「再案内」、「終了」等、処理の種類を選択させるための定型文をユーザの携帯電話へ音声で送信する(ステップS10)。続いて、ステップS10の音声内容に応じて、例えば「1」が選択されたと顧客対応装置11が判断すると、ステップS9へ戻って音声により再度同一内容のお知らせをユーザの携帯電話へ送信する。また、「2」が選択されたと顧客対応装置11が判断すると、ステップS2へ戻り、「3」が選択されたと判断すると、当該案内サービスを終了する(ステップS11)。
なお、図2に示す処理の手順は、1つの線区の発車時刻を案内するように構成されたシステムの場合であって、複数の線区の発車時刻を案内可能なシステムを構成する場合には、ステップS2の次に、「ご利用の線区を話してください」のような音声を出力し、利用客からの応答を判断するステップを追加するようにしても良い。
【0025】
次に、上記案内文作成装置14による処理のうち、データベース13の更新処理および案内文作成処理の手順について、図3および図4を用いて説明する。このうち、図3にはデータベース(DB)の更新処理が、図4には案内文作成処理の手順が示されている。
図3に示すように、データベース13の更新処理においては、案内文作成装置14は、担当する線区における最も早い始発列車の発車時刻よりも前の所定時刻になったか否か判定し(ステップS21)、所定時刻になった(Yes)と判定すると、当該線区の全駅の当日分の運転計画データ(時刻表データ)を運行情報システム30から読み出して、データベース13内のデータテーブルを更新する(ステップS22)。
【0026】
次に、案内文作成装置14は、例えば10分のような所定時間T1が経過したか否か判定1し(ステップS23)、所定時間が経過した(Yes)と判定すると、運行情報システム30から当日分の運転計画データ(時刻表データ)のうち変更があった情報を読み出して、データベース13内のデータテーブル(運転計画・実績データテーブル)を更新する(ステップS24)。これにより、運転計画・実績データテーブル内の運転計画に関する情報はT1時間(10分)ごとに更新される。
【0027】
さらに、案内文作成装置14は、例えば1分のような所定時間T2が経過したか否か判定し(ステップS25)、所定時間が経過した(Yes)と判定すると、運行情報システム30からその時点における各列車の在線情報を読み出して、データベース13内のデータテーブルを更新する(ステップS26)。これにより、運転計画・実績データテーブル内の列車の位置情報はT2時間(1分)ごとに更新される。
続いて、案内文作成装置14は、当日の営業が終了したか否か判定し(ステップS27)、営業が終了し営業が終了していない(No)と判定すると、ステップS23へ戻る。また、営業が終了し営業が終了した(Yes)と判定すると、ステップS21へ戻る。なお、ステップS27では、データベース13内の運転計画・実績データテーブルの全列車の全駅の運用済みフラグに「1」が立っている場合に、当日の営業が終了したと判定することができる。
【0028】
図5には、上記データベース13内の運転計画・実績データテーブルの構成例が示されている。図5に示すように、運転計画・実績データテーブルは、「方向」、「列車番号」、「列車種別」、「行先」、「駅」、「計画発時刻」、「運休フラグ」、「通過フラグ」、「遅れ(分)」、「見込み発時刻」、「運済みフラグ」の欄を有する。ここで、「方向」とは列車の向かう方面であり、「上り」または「下り」で区別される。「列車種別」は特急、快速等の列車の属性を示す情報である。
また、「発時刻」は、当該駅の各列車の発車時刻である。特急、快速等の列車の「通過フラグ」に「1」が立っている駅の「発時刻」は通過時刻を表わしている。「運済みフラグ」は、運用が終了したか否かを示す情報で、当該フラグが「1」であれば、現時点で既に運用が終了していることを意味している。これに対し、「運休フラグ」と「通過フラグ」は、運転計画上の情報である。なお、列車の属性には「急行」など、通過駅を有する列車を含めても良い。また、上記項目以外に、日付、線区名を追加しても良い。
【0029】
上記データテーブルの「日付」から「通過フラグ」までの欄の情報は、運行情報システム30から読み出した当日分の運転計画データ(時刻表データ)に基づいて記載される。一方、「遅れ(分)」、「見込み発時刻、「運済みフラグ」の欄の情報は、運行情報システム30から読み出した実績データに基づいて記載される。具体的には、現行の運行情報システムは、運転計画データ(時刻表データ)と実績データ(在線データ)を別々に管理しているので、案内文作成装置14は、運行情報システム30より、時刻表API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を使用して運転計画データを取得し、実績データは在線APIを使用して取得する。
【0030】
図4に示す案内文作成処理においては、案内文作成装置14は、先ず、「線区」、「駅名」、「方向」のデータを受信したか否か判定し(ステップS31)、受信した(Yes)と判定すると、受信したデータに含まれる「線区」が、当該音声案内システムが担当する「線区」と一致しているか否か判定する(ステップS32)。なお、ステップS31における「受信」には、あるプログラムから他のプログラムへデータやコマンドが渡される事象が含まれる。 ステップS32で、「線区」が一致していると判定すると、ステップS33へ進み、データベース13内の運転計画・実績データテーブル(図5)から、現在時刻以降に運行を予定している列車群(列車番号)とそれに紐付いている情報をリストとして抽出する。この際、運用済みフラグや通過フラグの立っている列車は抽出の対象外とされる。
【0031】
次に、ステップS31で受信した「駅名」(指定駅)に基づいて、上記リストから指定駅に関する情報を抽出する(ステップS34)。続いて、抽出した情報を参照して、図2のステップS6で説明したような所定の判断規則(ロジック)に従って、文字で表わされた発車時刻の案内文を作成する(ステップS35)。その後、ステップS35で作成した案内文を、顧客対応装置11を介して会話支援装置12へ送信して(ステップS36)、一連の処理を終了する。
なお、ステップS32で、「線区」が一致していない(No)と判定すると、ステップS37へ移行して、「線区」が一致しない旨の応答(NACK)もしくは「○○線区以外の発車時刻案内はできません」のような案内文を顧客対応装置11へ送信し、処理を終了する。
【0032】
以上説明したように、上記実施形態の発車時刻自動案内システムにおいては、次に発車する列車が特急列車または快速列車である場合のように、所定の条件を満たした場合に、指定された駅を次に発車する列車の発車時刻およびその次に発車する列車の発車時刻を知らせる案内文を作成し、利用客の電話へ音声で伝えることができるので、高齢の利用客でも容易に利用することができる。また、通常は次に発車する列車の発車時刻のみ知らせるが、所定の条件を満たした場合には、次の次に発車する列車の発車時刻も知らせるため、実際には利用することができない列車の発車時刻を知らせてしまうのを回避することができ、それによって適切な発車時刻を案内することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述したような実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。例えば、前記実施形態では、電話による自動案内で、案内対象に含ませる列車の駅発車時刻を選択する条件として、通話開始時刻(利用客が電話をかけてきた時刻)を採用した例について説明したが、利用客に時刻を選択させて選択された時刻以降の列車の駅発車時刻を案内できるように構成しても良い。また、利用客が使用している電話の位置情報を取得して、位置情報に基づいて駅から離れている場合には、駅に到着するのに必要な時間を現在時刻に加算して、その算出時刻以降の列車の駅発車時刻を案内するように構成しても良い。
【0034】
また、図4のフローチャートには示されていないが、ステップS34で抽出されたデータテーブル内の指定された駅を発車するすべての列車の運用済みフラグに「1」が立っている場合には、「本日の営業列車は終了した」旨の案内文を作成するようにしても良い。
また、前記実施形態では、会話支援装置12と案内文作成装置14との間のデータやコマンドの伝達を、顧客対応装置11を介して行なっているが、会話支援装置12と案内文作成装置14との間でデータやコマンドを直接伝達するようにしても良い。
さらに、前記実施形態では、本発明を鉄道における駅発車時刻を案内するシステムとして構成した場合を例としたが、バス等の他の交通機関における発車時刻を案内するシステムにも利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 発車時刻自動案内システム
11 顧客対応装置
12 会話支援装置
13 データベース
14 案内文作成装置
20 携帯電話
30 運行情報システム
図1
図2
図3
図4
図5