(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107575
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】土砂用消泡装置および土砂消泡方法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/06 20060101AFI20240802BHJP
E21D 9/12 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
E21D9/06 301M
E21D9/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011571
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高見沢 計夫
(72)【発明者】
【氏名】志田 智之
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC06
2D054DA35
(57)【要約】
【課題】工事費および施工手間の増大を抑制しつつ、土砂内の気泡を効率的に破泡する。
【解決手段】土砂(掘削土砂84)に含まれる気泡を消泡する土砂用消泡装置8であって、土砂(掘削土砂84)の搬送路81と、絞り部85を有する筒体82と、筒体82の内部に空気を流す送風機83とを備えている。搬送路81が、絞り部85を空気が流れることにより形成される減圧領域Aを通過するように配置されていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂に含まれる気泡を消泡する土砂用消泡装置であって、
前記土砂の搬送路と、絞り部を有する筒体と、前記筒体の内部に空気を流す送風機とを備え、
前記搬送路が、前記絞り部を空気が流れることにより形成される減圧領域を通過するように配置されている
ことを特徴とする土砂用消泡装置。
【請求項2】
前記筒体の内部に前記土砂の搬送路が配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の土砂用消泡装置。
【請求項3】
前記送風機は、前記土砂の搬送方向と逆向きの空気の流れを発生させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の土砂用消泡装置。
【請求項4】
絞り部を有する筒体に空気を流すことにより、気泡を含んだ土砂を搬送する搬送路が通過する空間を減圧する
ことを特徴とする土砂消泡方法。
【請求項5】
送風機により、前記土砂の搬送方向と逆向きに空気を流す
ことを特徴とする請求項4に記載の土砂消泡方法。
【請求項6】
前記搬送路はベルトコンベヤにて構成され、当該ベルトコンベヤが前記筒体の内部を通過する
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の土砂消泡方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂用消泡装置および土砂消泡方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気泡シールド工法は、特殊起泡剤によって作成された微細なシェービングクリーム状の気泡を切羽もしくはチャンバ内に注入しながら掘削する工法であり、砂礫土層から粘性土層までの広範な地層に適用できるシールド工法の一種として知られている。このような気泡シールド工法によれば、気泡が掘削土の流動性と止水性を向上させ、かつ、掘削土の付着を防止するため、切羽の安定を保持しつつスムーズな掘削が可能となる。
気泡シールド工法に伴い発生した掘削土砂は、流動性が高く残土処分に適していないため、気泡を消泡させる必要がある。掘削土砂中に含まれる気泡を消泡させるには、掘削土砂を数日間静置する方法や、掘削土砂を回転する衝撃付与部材と接触させることで破泡させる方法(例えば、特許文献1参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
掘削土砂を数日間静置する方法では、掘削土砂を静置するための広大なスペースや、防音設備および土砂搬出機械等を要するとともに、掘削土砂を静置・移動する作業が必要となるため、工事費および施工手間が増大する問題があった。また、特許文献1の方法においても、衝撃付与部材を備える装置や、当該装置の設置スペース、さらには装置の設置手間を要するため、工事費および施工手間が増大する問題があった。
このような観点から、本発明は、工事費および施工手間の増大を抑制しつつ土砂内の気泡を効率的に破泡できる土砂用消泡装置および土砂消泡方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するための本発明は、土砂に含まれる気泡を消泡する土砂用消泡装置であって、前記土砂の搬送路と、絞り部を有する筒体と、前記筒体の内部に空気を流す送風機とを備えている。前記搬送路が、前記絞り部を空気が流れることにより形成される減圧領域を通過するように配置されていることを特徴とする。
本発明の土砂用消泡装置によれば、送風機からの空気が筒体の絞り部を流れる際に高速流が発生し、減圧領域が形成される。搬送路上の気泡を含む土砂が減圧領域を通過すると、気泡の内外の圧力差によって気泡が破泡し易くなる。また、土砂を搬送しながら消泡できるので、施工手間が増大せず、工事費の増大を抑制できる。
本発明の土砂用消泡装置においては、前記筒体の内部に前記土砂の搬送路が配置されているものが好ましい。このような構成によれば、筒体の設置スペースが小さくて済むので、工事費の増大を抑制できる。
本発明の土砂用消泡装置においては、前記送風機は、前記土砂の搬送方向と逆向きの空気の流れを発生させるものが好ましい。このような構成によれば、送風機からの空気と、搬送路上の土砂との相対速度が大きくなるので、土砂が乾燥し気泡がより一層破泡し易くなる。
【0006】
前記課題を解決するための第二の本発明は、絞り部を有する筒体に空気を流すことにより、気泡を含んだ土砂を搬送する搬送路が通過する空間を減圧することを特徴とする土砂消泡方法である。
本発明の消泡方法によれば、気泡を含む土砂が減圧領域を通過すると、気泡の内外の圧力差によって気泡が破泡し易くなる。また、土砂を搬送しながら消泡できるので、施工手間が増大せず、工事費の増大を抑制できる。
本発明の消泡方法においては、送風機により、前記土砂の搬送方向と逆向きに空気を流すことが好ましい。このような方法によれば、送風機からの空気と、搬送路上の土砂との相対速度が大きくなるので、土砂が乾燥し気泡がより一層破泡し易くなる。
本発明の消泡方法においては、前記搬送路はベルトコンベヤにて構成され、当該ベルトコンベヤが前記筒体の内部を通過することが好ましい。トロッコ等と比べてベルトコンベヤはコンパクトであるので、筒体の大きさを抑制できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の土砂用消泡装置および消泡方法によれば、工事費および施工手間の増大を抑制しつつ土砂内の気泡を効率的に破泡することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る土砂用消泡装置を設置するシールド掘削機を示した断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る土砂用消泡装置を示した破断斜視図である。
【
図3】(a)は本発明の実施形態の第一変形例に係る土砂用消泡装置を示した斜視図、(b)は本発明の実施形態の第二変形例に係る土砂用消泡装置を示した斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態の第三変形例に係る土砂用消泡装置を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る土砂用消泡装置および消泡方法について、添付した図面を参照しながら説明する。まず、本実施形態のシールド掘削機および土砂用消泡装置の構成について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る土砂用消泡装置を設置するシールド掘削機を示した断面図、
図2は本発明の実施形態に係る土砂用消泡装置を示した破断斜視図である。
シールド掘削機は、地山を切削するとともに、特殊起泡剤によって作成された気泡をチャンバ内に注入することで、発生土を気泡混合土にして搬出する。
図1に示すように、本実施形態のシールド掘削機1は、カッターヘッド2、撹拌翼3、隔壁4、チャンバ5、排土手段6、シールドジャッキ7および土砂用消泡装置8を備えている。
【0010】
カッターヘッド2は、地山Gを掘削する部位であり、シールド掘削機1の前面に配設されている。カッターヘッド2は、地山Gに接する前面に固定された複数のカッタービット21,21・・・を備えている。カッターヘッド2は、スキンプレート10内に配設されたカッターモータ22の動力によって回転することで地山Gを切削する。
カッターヘッド2には、図示しない気泡吐出口が形成されている。気泡吐出口は、シールド掘削機1内から延設された注入管に接続されていて、切羽に気泡を吐出する。なお、気泡吐出口の配置、形状および数等は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
【0011】
撹拌翼3は、チャンバ5内の土砂および気泡を撹拌する部位である。撹拌翼3は、カッターヘッド2の後面(内側面)に複数突設されており、カッターヘッド2とともに回転する。チャンバ5内には、カッターヘッド2により切削された土砂(発生土)が入り込み、チャンバ5内において気泡と撹拌されることで気泡混合土が生成される。なお、撹拌翼3の数、形状および配置は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
【0012】
隔壁4は、カッターヘッド2の後方に隙間を開けて形成された壁部材である。隔壁4は、シールド掘削機1の前面側を遮蔽している。カッターヘッド2と隔壁4との間に形成された隙間は、カッターヘッド2によって切削された土砂が入り込むチャンバ5となる。隔壁4には、気泡注入口41が形成されている。気泡注入口41は、チャンバ5へ気泡を注入する際に使用される。なお、気泡注入口41の構成や配置は限定されるものではないが、本実施形態では、隔壁4を貫通するように配管された管材により構成している。
チャンバ5内では、カッターヘッド2によって切削された土砂と、気泡注入口41から
注入された気泡とが、撹拌翼3により撹拌されて、気泡混合土が生成される。チャンバ5には、排土手段6が接続されていて、チャンバ5内の気泡混合土の搬出が可能に構成されている。
【0013】
排土手段6は、スクリューコンベヤ61と、ベルトコンベヤ62とを備えている。スクリューコンベヤ61は、チャンバ5内の土砂を後方へ輸送する。スクリューコンベヤ61の先端は、隔壁4の下端部を貫通してチャンバ5内に挿入されている。また、スクリューコンベヤ61の後端は、ベルトコンベヤ62の上方に位置するように、先端よりも高い位置に配置されている。
ベルトコンベヤ62は、スクリューコンベヤ61の後端部から排出された土砂を、坑口側(坑外)へ輸送する。ベルトコンベヤ62の先端は、スクリューコンベヤ61の後端部に形成された排土口の下方に位置している。
シールドジャッキ7は、シールド掘削機1の後部において組み立てられたセグメント9から反力を取って伸張することで、シールド掘削機1を前進させる。なお、シールドジャッキ7の配置や数は限定されるものではない。
【0014】
土砂用消泡装置8は、シールド掘削機1で掘削した土砂に含まれる気泡を消泡するものである。
図2に示すように、土砂用消泡装置8は、搬送路81と、筒体82と、送風機83とを備えている。
搬送路81は、掘削土砂84が搬送される部分であって、本実施形態では、ベルトコンベヤ62にて構成されている。なお、搬送路81は、ベルトコンベヤ62に限定されるものではない。
【0015】
筒体82は、減圧領域Aを形成するためのものであって、内部に空気が流される。筒体82は、軸方向の両端部が開口しており、ベルトコンベヤ62を囲うように設けられている。つまり、筒体82の内部に搬送路81が配置されている。筒体82は、例えば樹脂等の比較的軽量の材質にて構成されており、セグメント9等の他の部位からブラケット(図示せず)を介して設置されている。筒体82は、絞り部85を有している。絞り部85は、他の部分よりも小さい内径(断面積)を備えており、本実施形態では、筒体82の軸方向中間部に形成されている。筒体82に空気を流すと、直径が一部で縮小した管を流体が流れる場合、収縮部(絞り部85)で流速が大きくなり圧力が低下するという原理(ベルヌーイの定理)により、絞り部85に減圧領域Aが形成される。減圧領域Aは、絞り部85の内側で形成される。絞り部85と他の部分の内径は、公知のベンチュリー管の流量の計算式にて適宜算出される。
【0016】
送風機83は、筒体82の内部に空気を流すものである。送風機83は、本体部86とノズル87とを備えている。本体部86は、ノズル87に高圧空気を送る部分であり、シールド掘削機1の内部に設置されている。ノズル87は、筒体82内に空気を送り出す部分であり、本体部86に配管を介して接続されている。なお、
図2中、配管は模式的に図示しており、一部図示を省略している。
ノズル87は、本体部86からの高圧空気を高速噴射させるために先端部が縮径している。ノズル87は、筒体82の内周面に沿って所定間隔で複数設けられている。ノズル87は、筒体82の軸方向と平行な軸方向に沿って配置されている。ノズル87は、土砂の搬送方向(
図2中右方向)と逆向きに空気を流すように配置されている。ノズル87は、筒体82の両端部に配置されている。空気の流れ方向の上流側(
図2中右側)のノズル87は、筒体82の内部に空気を送り込み、下流側(
図2中左側)のノズル87は、筒体82から空気を吸い出すことで、筒体82内を流れる流量を大きくしている。送風機83からの送風量や流速や、筒体82の絞り部85と他の部分の内径等は、公知のベンチュリー管の流量の計算式にて適宜算出される。
【0017】
次に本実施形態に係る土砂消泡方法を説明する。かかる土砂消泡方法は、シールド掘削機1において、土砂用消泡装置8を用いて掘削土砂84に含まれる気泡を消泡する方法である。土砂消泡方法では、絞り部85を有する筒体82に空気を流すことにより、掘削土砂84(気泡を含んだ土砂)を搬送する搬送路81が通過する空間を減圧する。すなわち、搬送路81の途中に減圧領域Aを形成する。本実施形態では、送風機83により、掘削土砂84の搬送方向と逆向きの気流を筒体82内に発生させている。また、掘削土砂84の搬送路81はベルトコンベヤ62にて構成されており、当該ベルトコンベヤ62が筒体82の内部を通過している。つまり、ベルトコンベヤ62によって掘削土砂84を搬送している。
【0018】
本実施形態の土砂用消泡装置8および土砂消泡方法によれば、送風機83からの空気が筒体82の絞り部85を流れる際に高速流が発生し、減圧領域Aが形成される。気泡を含む掘削土砂84が減圧領域Aを通過すると、気泡の内側よりも外側の圧力が小さくなる。これによって、気泡表面の気泡剤が蒸発し易くなり破泡し易くなる。また、圧力差によって気泡が膨張することで膜厚が薄くなり破泡し易くなる。
さらに、減圧領域Aから通常圧力の領域に出た部分では、膨張状態の気泡が収縮する。気泡の膜の内面は、気泡の中心側に向かうが、膜の内面が向かう方向は気体であるので抵抗が小さく収縮速度が速い。気泡の膜の外面も、気泡の中心側に向かうが、膜の外面が向かう方向は液体(膜体)であるので抵抗が大きく収縮速度が遅い。したがって、膜が厚さ方向に沿って引き延ばされて密度が小さくなり膜の内部に負圧が生じる。これによって、膜の内部圧力と外気の気圧との圧力差が生じ、気泡が破泡し易くなる。
また、掘削土砂84内で破泡が進行すると、破泡により出来た空間に土砂が入り込み、当該土砂と気泡が衝突することで、気泡がより一層破泡し易くなる。
【0019】
さらに、本実施形態では、ベルトコンベヤ62で掘削土砂84を搬送しながら消泡できるので、別途消泡工程を行う必要がなく、施工手間が増大しない。また、掘削土砂84をベルトコンベヤ62で搬送する際に、早期に消泡を行っているので、バクテリアの生分解効果を高め,起泡材のもつ魚毒性を低減することが期待できる。
さらに、筒体82の内部に搬送路81が配置されているので、筒体82を搬送路81の周囲に設置することができる。これによって、筒体82の大きさを抑制できるとともに、筒体82の設置スペースが小さくて済むので、工事費の増大を抑制できる。また、筒体82は比較的単純な形状であるので、容易に形成することができる。したがって、工事費における設備費の増大を抑制できる。
また、本実施形態では、送風機83は、掘削土砂84の搬送方向と逆向き方向に空気を流しているので、送風機83からの空気と、搬送路81上の掘削土砂84との相対速度が大きくなる。これによって、掘削土砂84が乾燥し、より一層気泡が破泡し易くなる。
【0020】
次に
図3および
図4を参照しながら、変形例に係る土砂用消泡装置について説明する。
図3の(a)は、本発明の実施形態の第一変形例に係る土砂用消泡装置を示した斜視図、(b)は本発明の実施形態の第二変形例に係る土砂用消泡装置を示した斜視図、
図4は本発明の実施形態の第三変形例に係る土砂用消泡装置を示した断面図である。
図3の(a)に示すように、第一変形例に係る土砂用消泡装置8aは、筒体82aが、搬送路81の側部に設けられており、筒体82aから吐出される空気にて筒体82aの前方に筒体減圧領域Aが形成されている。絞り部85aは、筒体82aの空気の流れ方向の下流側端部に形成されている。送風機83aは、筒体82aの大径部側から絞り部85a側に向かって空気を流すように配置されている。これにより、筒体82aに流された空気は、絞り部85aで流速が大きくなり圧力が低下する。そして、減圧された空気が絞り部85aから搬送路81に向かって吐出される。これによって、搬送路81において減圧領域Aが形成される。
なお、第一変形例において、筒体82aの設置角度を、空気の流れ方向が搬送路81の搬送方向の上流側に向くように傾斜させてもよい。
【0021】
図3の(b)に示すように、第二変形例に係る土砂用消泡装置8aは、筒体82aは、土砂落下部に対向する位置に設けられている。土砂落下部は、例えば、スクリューコンベヤ61の下流端とベルトコンベヤ62の上流端との間に位置しており、スクリューコンベヤ61からベルトコンベヤ62に向けて掘削土砂84が落下している。なお、土砂落下部は、前記位置に限定されるものではなく、ベルトコンベヤ62の下流側端部で、掘削土砂84が例えば搬送車両等に落下する位置であってもよい。本実施形態では、土砂落下部が、筒体82aに隣り合う搬送路81となっている。
なお、第二変形例において、筒体82aの設置角度を、空気の流れ方向が土砂落下部の上側に向くように傾斜させてもよい。
【0022】
図4に示すように、第三変形例に係る土砂用消泡装置8は、
図2に示した土砂用消泡装置と同様に、搬送路81と、筒体82と、送風機83とを備えている。かかる土砂用消泡装置8は、搬送路81が土砂落下部となっており、筒体82が土砂落下部を囲うように配置されている。第三変形例における土砂落下部は、掘削土砂84がベルトコンベヤ62の下流側端部から、下方の土砂ピット65に向けて落下する部分である。土砂用消泡装置8は、送風機83のノズル87から空気が上向きに流れる向きに配置されている。土砂用消泡装置8は、土砂落下部を囲めばよいので、ベルトコンベヤ62を囲う
図2のものより小さくて済む。なお、土砂用消泡装置8は、
図2の実施形態と同様であるので、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0023】
以上のような第一、第二および第三変形例に係る土砂用消泡装置においても、搬送路81の掘削土砂84が減圧領域Aを通過するので、好適に消泡が行われる。したがって、変形例に係る土砂用消泡装置8a(8)によっても、前記実施形態と同様の作用効果が得られる。さらに、前記変形例においては、筒体82a(82)を小さくできるので、筒体82a(82)の設置スペースをより一層小さくできる。第三変形例によれば、筒体82内の空気の流れが、掘削土砂84の搬送方向(落下方向)と逆向き方向になっているので、送風機83からの空気と、搬送路81内の掘削土砂84との相対速度が大きくなる。これによって、掘削土砂84が乾燥し、気泡が破泡し易くなっている。
【0024】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、前記実施形態では、送風機83のノズル87は、筒体82の上流側端部と下流側端部の両方に設けられているが、ノズル87の配置や形状は、前記実施形態に限定されるものではなく、筒体82の空気の流れ方向の上流側のみに配置してもよい。
また、前記実施形態では、送風機83のノズル87は、筒体82の軸方向と平行な軸方向に沿って配置されているが、これに限定されるものではない。例えば、ノズル87を、筒体82の軸方向と平行な線に対して0°を超え45°以下の角度をもって筒体82の内周面に沿って傾斜させてもよい。このような構成にすれば、筒体82内で旋回流を発生させることができ、筒体82内での負圧の発生効率を向上できる。
さらに、筒体82の内周面に螺旋状の溝を設けたり、筒体82内に旋回流を発生させる案内羽根を設けてもよい。このような構成によっても、筒体82内で旋回流を発生させることができる。
また、搬送路81は、ベルトコンベヤ62や土砂落下部に限定されるものではなく、その他の掘削土砂の通過部分であってもよい。
また、ベルトコンベアと空気の流れ方向が同じ場合は,負圧領域内での滞留時間が相対的に長くなるので破泡効果が向上する。
【符号の説明】
【0025】
1 シールド掘削機
8 土砂用消泡装置
62 ベルトコンベヤ
81 搬送路
82 筒体
83 送風機
84 掘削土砂(土砂)
85 絞り部
A 減圧領域