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特開2024-107579経路生成システム、経路生成方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107579
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】経路生成システム、経路生成方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240802BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240802BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G01C21/34
G09B29/00 A
G09B29/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011581
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 尚徳
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2C032HC08
2C032HC11
2C032HC14
2C032HD07
2C032HD16
2C032HD21
2F129AA06
2F129BB02
2F129DD20
2F129DD42
2F129EE02
2F129EE52
2F129FF12
2F129FF20
2F129FF32
2F129HH02
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】経路生成システムにおいて、目的地の入口近傍に精度良く案内することができる技術を提供する。
【解決手段】経路生成システムは、道路のつながり状態を示す道路ネットワークデータおよび地物の入口の位置として予め設定される複数の入口データを格納する記憶部と、道路ネットワークデータおよび複数の入口データを用いて、出発地から目的地までの経路を表す経路データを生成する経路生成部と、生成した経路データを用いて経路を案内する経路案内部と、を備える。経路生成部は、設定された目的地の最寄りの入口を入口データから抽出し、設定された目的地と、抽出された最寄りの入口との間の距離が予め定められた閾値以下である場合には、最寄りの入口までの経路データを生成する。距離が閾値より大きい場合には、設定された目的地までの経路データを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路生成システムであって、
道路のつながり状態を示す道路ネットワークデータと、地物の入口の位置として予め設定される複数の入口データとを格納する記憶部と、
前記道路ネットワークデータおよび前記複数の入口データを用いて、出発地から目的地までの経路を表す経路データを生成する経路生成部と、
生成した前記経路データを用いて経路を案内する経路案内部と、を備え、
前記経路生成部は、
設定された目的地の最寄りの入口を前記複数の入口データから抽出し、
前記設定された目的地と、抽出された前記最寄りの入口との間の距離が予め定められた閾値以下である場合には、前記最寄りの入口までの経路データを生成し、
前記距離が前記閾値より大きい場合には、前記設定された目的地までの経路データを生成する、
経路生成システム。
【請求項2】
前記閾値は、前記設定された目的地の種類ごとに異なる値で設定される、請求項1に記載の経路生成システム。
【請求項3】
前記経路案内部は、前記距離が前記閾値より大きい場合に、さらに、前記入口データを追加登録するための登録画面を表示させる、請求項1に記載の経路生成システム。
【請求項4】
前記経路案内部は、前記最寄りの入口までの経路データを生成した後に、さらに、前記設定された目的地と、前記最寄りの入口との関連性をユーザに評価させる評価画面を表示させる、請求項1に記載の経路生成システム。
【請求項5】
前記経路案内部は、前記最寄りの入口との関連性が高いと評価された場合には、前記最寄りの入口を、前記設定された目的地に関連付けた入口データとして記憶させる、請求項4に記載の経路生成システム。
【請求項6】
経路生成方法であって、
地物の入口の位置として予め設定される複数の入口データから、設定された目的地の最寄りの入口データを抽出し、
前記設定された目的地と、抽出された前記最寄りの入口との間の距離が予め定められた閾値以下である場合には、前記最寄りの入口までの経路データを生成し、
前記距離が前記閾値より大きい場合には、前記設定された目的地までの経路データを生成する、
経路生成方法。
【請求項7】
プログラムであって、
地物の入口の位置として予め設定される複数の入口データを記憶する記憶部を参照して、設定された目的地の最寄りの入口データを抽出する機能と、
前記設定された目的地と、抽出された前記最寄りの入口との間の距離が予め定められた閾値以下である場合には、前記最寄りの入口までの経路データを生成する機能と、
前記距離が前記閾値より大きい場合には、前記設定された目的地までの経路データを生成する機能と、をコンピュータに実現させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経路生成システム、経路生成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数の施設や複数の駐車場を有する大型施設を目的地として設定した場合に、目的地周辺の拡大図を表示して、大型施設に含まれる複数の施設および複数の駐車場のいずれを目的地にするかをユーザに設定させるナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-91282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、ユーザは、例えば、目的地としての建物に入場したいような場合には、建物の入口周辺の駐車場を、代替する目的地として手動で設定することになり得る。しかしながら、建物の入口の位置が明確でない場合などには、設定した駐車場が建物の入口に近いとは限らない。そのため、目的地の入口近傍まで高い精度で案内することができる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、経路生成システムが提供される。この経路生成システムは、道路のつながり状態を示す道路ネットワークデータおよび地物の入口の位置として予め設定される複数の入口データを格納する記憶部と、前記道路ネットワークデータおよび前記複数の入口データを用いて、出発地から目的地までの経路を表す経路データを生成する経路生成部と、生成した前記経路データを用いて経路を案内する経路案内部と、を備える。前記経路生成部は、設定された目的地の最寄りの入口を前記入口データから抽出し、前記設定された目的地と、抽出された前記最寄りの入口との間の距離が予め定められた閾値以下である場合には、前記最寄りの入口までの経路データを生成する。前記距離が前記閾値より大きい場合には、前記設定された目的地までの経路データを生成する。
この形態の経路生成システムによれば、入口データを用いることにより目的地の入口近傍に精度良く案内することができる。また、目的地と抽出された最寄りの入口との関連性が低いと想定される場合には、抽出した入口に代えて目的地へと案内することができ、設定した目的地から離れた入口の座標に経路案内を行うという不具合を防止または抑制することができる。
(2)上記形態の経路生成システムにおいて、前記閾値は、前記設定された目的地の種類ごとに異なる値で設定されてよい。
この形態の経路生成システムによれば、設定される目的地の種類ごとに入口データの適正を判定することができ、より適正な経路案内を行うことができる。
(3)上記形態の経路生成システムにおいて、前記経路案内部は、前記距離が前記閾値より大きい場合に、さらに、前記入口データを追加登録するための登録画面を表示させてよい。
この形態の経路生成システムによれば、ユーザによる入口データの追加を促すことにより、入口データを拡充させることができる。
(4)上記形態の経路生成システムにおいて、前記経路案内部は、前記最寄りの入口までの経路データを生成した後に、さらに、前記設定された目的地と、前記最寄りの入口との関連性をユーザに評価させる評価画面を表示させてよい。
この形態の経路生成システムによれば、ユーザの評価結果に基づいて、修正すべき入口データを容易に抽出することができる。
(5)上記形態の経路生成システムにおいて、前記経路案内部は、前記最寄りの入口との関連性が高いと評価された場合には、前記最寄りの入口を、前記設定された目的地に関連付けた入口データとして記憶させてよい。
この形態の経路生成システムによれば、次に同じ目的地が設定される場合には、ユーザのニーズに合わせた入口への経路案内を実行することができる。
本開示は、上述した経路生成システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、経路生成装置、経路案内装置、コンピュータにより実行される経路生成方法や、経路を生成するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムが記録された一時的でない有形な記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態における経路生成システムの概略構成を示す説明図。
図2】経路生成システムが実行する経路生成処理のフローチャート。
図3】本実施形態に係る経路生成処理の一例を示す第1の説明図。
図4】評価画面の一例を示す説明図。
図5】本実施形態に係る経路生成処理の一例を示す第2の説明図。
図6】手動操作による登録画面の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における経路生成システム10の概略構成を示す説明図である。経路生成システム10は、例えば、配送車両50を用いて主に建物の入口などに荷物の配送を行う配送業務に用いられる。経路生成システム10は、経路案内装置100と、経路生成サーバ200とを備えている。経路案内装置100は、例えば、車両に搭載して利用することが可能であり、また、歩行中に使用することも可能である。
【0009】
経路案内装置100は、例えば、スマートフォン等の携帯端末によって構成されている。経路案内装置100は、送受信アンテナと無線基地局と交換局とを含む通信キャリア70を介して、インターネット80に接続された経路生成サーバ200にアクセスすることができる。経路案内装置100は、中央演算処理装置としてのCPU110と、ROMやRAM等の記憶部120と、通信部102と、タッチパネル124と、表示部126と、測位部122と、を備えている。これらは内部のバスやインターフェース回路を介して互いに接続されている。
【0010】
通信部102は、通信キャリア70を介した経路生成サーバ200とのデータ通信、あるいは無線LAN通信などを行うための回路である。通信部102は、ユーザに経路を案内するためのデータを経路生成サーバ200から取得するためのデータ取得部として機能する。「経路を案内するためのデータ」とは、経路データを意味する。経路データは、出発地から目的地までの経路を表すデータである。経路を案内するためのデータには、さらに、例えば、地図データ、案内データなどが含まれてもよい。地図データは、道路や地物の形状を表すデータである。案内データは、経路データが表す経路周辺における案内標識や交差点の画像、インターチェンジの出入口の画像等を含むデータである。通信部102によって取得されたデータは、記憶部120に記憶される。
【0011】
表示部126は、例えば、液晶モニタや有機ELモニタ等であり、経路等の各種情報を表示する装置である。タッチパネル124は、表示部126に重畳して設けられており、指やペンによるユーザからのタッチ操作を受け付ける。測位部122は、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)受信機を備え、GNSSを構成する人工衛星から受信した電波に基づいて、経路案内装置100の現在位置である緯度および経度を測位する。経路案内装置100は、タッチパネル124に限らず、各種ボタンやジョイスティック、タッチパッドなどの他の入力装置を備えていてもよい。
【0012】
CPU110は、経路案内装置100の各部の制御を統括している。記憶部120には、本実施形態において提供される各機能を提供するためのプログラムが格納されている。CPU110が記憶部120に格納されたプログラムを実行することにより、経路案内部112などの機能の一部あるいは全部が実現される。
【0013】
経路案内部112は、地図データ、経路データ、案内データを、後述する経路案内処理時に経路生成サーバ200から取得する。経路案内部112は、例えば、現在位置周辺の地図データを、メッシュ状に分割されたパーセル単位で取得する。経路案内部112は、案内データを、経路上を予め定められた距離進む毎に取得する。経路案内部112は、経路データを、例えば経路生成時やリルート時に取得する。リルートとは、現在位置が経路から逸脱した際に、新たな経路を設定する処理を意味する。本実施形態では、経路生成およびリルートは、経路生成サーバ200によって行われる。ただし、これに限らず、経路生成およびリルートは、経路生成サーバ200または経路案内装置100のいずれかで行われてもよい。
【0014】
経路案内部112は、経路生成サーバ200から受信した各種データと、測位部122によって取得された現在位置とに基づき表示部126を制御して経路案内を行う。具体的には、経路案内部112は、現在位置周辺の地図データを経路生成サーバ200から取得して地図を表示部126に表示し、経路生成サーバ200から取得した経路データによって表される経路をその地図上に表示する。さらに、経路生成サーバ200から取得した案内データ224を用いて、経路と現在位置との関係に基づき、右左折する地点や乗降するインターチェンジ等を表す画像を表示する。また、経路案内部112は、後述する登録画面や評価画面などを表示部126に表示させる制御を行うことができる。
【0015】
経路生成サーバ200は、中央演算処理装置としてのCPU210と、記憶部220と、通信部202とを備えており、これらは、バスやインターフェース回路等を介して相互に接続されている。通信部202は、インターネット80を介して経路案内装置100と通信を行うための回路である。
【0016】
記憶部220は、たとえば、RAM、ROM、ハードディスクドライブ(HDD)である。HDDまたはROMには、本実施形態において提供される機能を実現するための各種プログラムが格納されている。記憶部220に記憶されたコンピュータプログラムがCPU210によって実行されることにより、CPU210は、経路生成部212として機能する。記憶部220の読み書き可能な領域には、地図データ222と、案内データ224と、入口データ226と、道路ネットワークデータ228とが格納されている。
【0017】
地図データ222は、地物の種類、位置、および形状等を表すデータである。地物とは、天然と人工とにかかわらず、土地を占有する物のことを指し、河・山・植物・橋・鉄道・建築物などの実世界に存在するものを意味する。地図データ222には、例えば、地物の緯度および経度を表す情報が地物の種類に対応付けて登録されている。道路ネットワークデータ228は、道路を表すリンクデータと、交差点や屈曲点、行き止まりを表すノードデータとにより道路の繋がり状態を表すデータである。ノードデータには、緯度および経度を表す情報が含まれる。リンクデータには、そのリンクデータを構成するノードを示す情報と、その道路の通過に要する旅行時間を表すコスト情報とが含まれる。案内データ224は、案内標識や交差点の画像、インターチェンジの出入口の画像等を表す。案内データ224は、ノードデータあるいはリンクデータに対応付けられている。
【0018】
入口データ226は、地物の入口の位置を示すデータであり、例えば、緯度および経度を表す情報が含まれている。入口データ226は、経路案内の便宜を目的として予め設定されている。入口データ226は、例えば、地物の入口の位置に合わせて手動で登録することができる。経路案内時には、設定された目的地の座標に代えて、入口データ226が示す座標に案内することにより、目的地の入口近傍まで経路案内することができ、目的地自体に案内する場合に比べて目的地への荷物の配達あるいは目的地への入場等が容易となり得る。なお、入口データ226は、入口データ226生成時の初期状態では、地物とは関連付けて登録されていない。これにより、入口データ226の初期登録を容易に行うことができる。入口データ226は、例えば、所定期間ごとや地物の増設などのタイミングで追加登録することも可能である。
【0019】
経路生成部212は、経路案内装置100からの経路生成要求あるいはリルート要求を、通信部202を介して受信した場合に、それらの要求に従って経路を生成する経路生成処理を行うことができる。本実施形態では、経路生成部212は、経路生成要求またはリルート要求によって指定された目的地を経路案内装置100から受信すると、指定された目的地までの経路、あるいは当該指定された目的地から最も近い入口データ226までの経路を、道路ネットワークデータ228を用いて探索し、経路データを生成する。経路生成に用いるアルゴリズムとしては、周知のダイクストラ法やA-Starアルゴリズム等を用いることができる。経路生成部212は、生成した経路データを、地図データ222および案内データ224とともに、通信部202を介して経路案内装置100に送信する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る経路生成システム10が実行する経路生成処理のフローチャートである。この処理は、例えば、経路案内装置100に対して、経路の案内を開始するための操作が行われた場合に実行される。
【0021】
ステップS10では、経路案内装置100の経路案内部112は、ユーザから出発地および目的地の指定を受け付ける。経路案内部112は、出発地および目的地を、緯度および経度を示す座標情報、あるいは住所として取得する。出発地や目的地が住所として取得される場合には、経路案内部112あるいは経路生成サーバ200によって座標情報に変換されてよい。経路案内部112は、取得した出発地から目的地までの経路生成を経路生成サーバ200に要求する。出発地が指定されない場合、経路案内部112は、測位部122によって測位された現在位置を出発地としてもよい。経路生成サーバ200の経路生成部212は、経路案内装置100から受信した経路生成要求に従い、地図データ222、入口データ226、ならびに道路ネットワークデータ228を用いて経路生成を開始する。
【0022】
ステップS20では、経路生成部212は、入口データ226に含まれる座標情報を用いることによって、取得した目的地から最も近い入口データ226を抽出する。ステップS30では、経路生成部212は、取得した目的地と、抽出した入口データ226との間の距離を算出する。本実施形態では、目的地と入口データ226との直線距離を算出する。ただし、直線距離には限らず、目的地から入口データ226までの経路上の距離であってもよい。経路生成部212は、算出した直線距離と、記憶部220に予め格納された閾値とを比較する。算出した直線距離が閾値よりも短い場合には(S30:NO)、経路生成部212は、処理をステップS100へと移行する。
【0023】
閾値は、抽出された入口データ226が、設定された目的地に対応する入口データ226であるか否かを判定するために用いられる。例えば、当該距離が過剰に長い場合には、抽出された入口データ226と、目的地の入口との関連性が低いことが予想され得る。
【0024】
閾値は、例えば、100メートルなど、任意の距離を用いて設定することができる。閾値は、入口データ226の適正を判断し得る程度の値であることが好ましい。閾値には、例えば、地物の登録座標あるいは地物の中心座標等から、当該地物の入口近傍の道路までの一般的な距離を用いて設定することができる。また、一般に、地物から当該地物の入口近傍の道路までの距離は、地物の種類や大きさに応じて異なる。したがって、閾値は、例えば、地物の種類ごとに適した値で設定されることがより好ましい。例えば、一般的な住宅であれば5メートル以上20メートル以下の範囲で設定することが好ましく、マンションなどの集合住宅であれば100メートル以上200メートル以下の範囲で設定することが好ましく、遊園地などの娯楽施設、ショッピングモールなどの大型商業施設などであれば500メートル以上2000メートル以下で設定することが好ましい。また、閾値は、未舗装の道路の有無、階段の有無、勾配の有無や勾配の大きさなど、地物から当該地物の入口近傍の道路までの間の地形や道路の状態に関する情報を用いて設定されてもよい。例えば、地物に配送業者用の入口が設定されている場合などでは、配送する荷物の種類、重さ、個数等の配送物に関する情報を用いて閾値を設定してもよい。ただし、これに限らず、閾値は、地物の種類などに関わらず一律の値で設定されていてもよい。本実施形態では、経路生成部212は、地図データ222を参照して目的地の種類を抽出して、目的地の種類ごとに設定された閾値を用いる。
【0025】
ステップS100では、経路生成部212は、抽出した入口データ226を目的地とする経路データを生成する。経路生成部212は、生成した経路データを経路案内装置100に送信する。経路案内部112は、案内データ224の送信を経路生成サーバ200に要求し、案内データ224を取得する。経路案内処理の実行直後には、経路案内部112は、例えば、現在位置から経路に沿って15km先までの案内データ224の取得を行う。また、経路案内部112は、現在位置周辺の地図データ222をパーセル単位で経路生成サーバ200に要求して取得する。なお、ステップS100では、経路生成部212は、入口データ226を経由地として、さらに、入口データ226から目的地までの経路データを生成してもよい。入口データ226から目的地までの経路データは、本実施形態のように経路生成システム10が配送業務に用いられる場合には、歩行用の経路データであることが好ましい。また、目的地が道路ネットワーク上にない場合には、経路生成部212は、入口から目的地までを直線で結ぶ経路を生成してもよい。
【0026】
ステップS110では、経路案内部112は、取得した経路データ、案内データ224、および地図データ222を用いて、表示部126を制御して経路案内を行う。具体的には、地図データ222が表す地図を表示部126に描画し、その地図の上に経路データによって表される経路を描画する。現在位置が案内データ224に対応する位置に到来した場合には、案内データ224を用いて、交差点や交通標識、インターチェンジの出入り口を表す画像等を表示する。経路案内部112は、画像に限らず、音声を発信して案内を行ってもよい。
【0027】
ステップS120では、経路案内部112は、設定した目的地と、目的地とされた入口データ226との関連性をユーザに評価させるための評価画面を表示部126に表示させる。目的地と入口データ226との関連性は、例えば、案内された入口データ226が目的地の入口から近いか遠いか、あるいは案内された入口データ226が目的地の入口近傍の位置として適正であるか否か、ユーザによる点数付けなどによって評価することができる。
【0028】
ステップS130では、経路案内部112は、タッチパネル124の入力を介してユーザによる評価の入力を受け付ける。入口データ226が適正である場合(S130:YES)、経路案内部112は、処理をステップS140へと移行する。ステップS140では、経路案内部112は、今回設定された入口データ226を地図データ222に関連付けて記憶させて、処理を終了する。このように構成することにより、入口データ226と地図データ222とを、ユーザの評価に基づいて適正に関連付けることができる。入口データ226の評価結果が適正でない場合(S130:NO)、経路案内部112は、処理を終了する。この場合には、入口データ226の改善を促すようにシステム管理者に報知してもよい。なお、入口データ226の位置精度が充分である場合、あるいは入口データ226の改善よりもユーザによる配達作業の効率化が優先される場合などには、ステップS120からステップS140までを省略してもよい。
【0029】
ステップS30において、直線距離が閾値以上である場合には(S30:YES)、経路生成部212は、処理をステップS200へと移行する。ステップS200では、経路生成部212は、ユーザにより設定された目的地までの経路データを生成する。なお、目的地が建物など車両で進入できない場所である場合には、経路生成部212は、目的地から最短距離となる道路上の座標までの経路データを生成する。ステップS210では、経路案内部112は、上述したステップS110と同様の方法により目的地までの経路案内を行う。
【0030】
ステップS220では、経路案内部112は、入口データ226を追加登録するための登録画面を表示部126に表示させる。ステップS230では、ユーザのタッチパネル124の操作によって入口データ226を追加登録するか否かが決定される。入口データ226が追加登録されない場合には(S230:NO)、処理を終了する。入口データ226が追加登録される場合には(S230:YES)、処理をステップS240へと移行する。ステップS240では、ステップS140と同様に、経路案内部112は、今回設定された目的地の座標を入口データ226として地図データ222に関連付けて記憶させて、処理を終了する。このように構成することにより、ユーザの評価に基づく適正な入口データ226を追加登録することができる。なお、入口データ226の位置精度が充分である場合、あるいは入口データ226の改善よりもユーザによる配達作業の効率化が優先される場合などには、ステップS220からステップS240までを省略してもよい。
【0031】
図3は、本実施形態に係る経路生成処理の一例を示す第1の説明図である。図3、ならびに後述する図4から図6には、経路案内装置100の表示部126上の表示画面DPが模式的に示されている。図3に示すように、表示画面DPは、例えば、経路案内を示すウインドウW1と、ユーザの入力部等を示すウインドウW2とによって構成されている。
【0032】
図3には、地物の一例としての建物B1,B2,B3が示されている。また、図3には、説明の便宜のために、建物B1,B2,B3それぞれの入口BE1,BE2,BE3と、入口データ226の一例として入口BE1,BE2近傍に設定された座標EP1,EP2とが示されている。入口BE1,BE2,BE3および座標EP1,EP2は、説明の便宜のために図示されたものであり、表示画面DPに表示されなくてもよい。
【0033】
図3には、現在位置ALのユーザが建物B1を目的地に設定した場合の経路案内が示されている。経路生成部212は、現在位置ALを出発地SPとし、建物B1を目的地G1とする経路案内部112からの経路生成要求に従い、目的地G1に最も近い座標EP1の入口データ226を抽出する。
【0034】
経路生成部212は、目的地G1と、座標EP1との間の距離D1を算出する。図3の例では、距離D1は、閾値よりも小さい。そのため、経路生成部212は、座標EP1までの経路RT1を示す経路データを生成して経路案内装置100に送信する。
【0035】
図4は、評価画面の一例を示す説明図である。図4に示すように、目的地G1までの経路案内が終了すると、経路案内部112は、目的地G1と、座標EP1との関連性をユーザに評価させるための評価画面を、ウインドウW2に表示させる。図4の例では、目的地G1の入口BE1から座標EP1までの距離の遠近に対する評価を入力可能である。ユーザが「近い」を選択する場合には、建物B1と入口データ226との関連性が適正であると判定し、経路生成部212は、建物B1の地図データ222に座標EP1の入口データ226を関連付けて記憶させる。
【0036】
図5は、本実施形態に係る経路生成処理の一例を示す第2の説明図である。図5には、現在位置ALのユーザが目的地として建物B3を設定した場合に表示される経路案内の例が示されている。経路生成部212は、現在位置ALを出発地SPとし、建物B3を目的地G2とする経路案内部112からの経路生成要求に従い、目的地G2に最も近い入口データ226を抽出する。図5の例では、建物B3の周囲には、入口データ226が登録されていない。経路生成部212は、目的地G2から最短距離となる座標EP1を入口データ226として抽出する。なお、建物B3に対応する入口データ226が登録されていない要因としては、建物B3が入口データ226の登録時期あるいは更新時期よりも後に建設されたことなどが考えられる。
【0037】
図5に示すように、経路生成部212は、目的地G2と、座標EP1との間の距離D2を算出する。図5の例では、距離D2は、閾値以上である。そのため、経路生成部212は、座標EP1に代えて目的地G2までの経路データを生成する。このように構成することにより、建物B3を目的地G2として設定した場合に、目的地G2から離れた座標EP1への経路案内を行うという不具合が発生することを防止または抑制することができる。なお、図5の例では、目的地G2が車両で進入できない場所であるため、目的地G2から最短距離となる道路上の座標を目的地GPとする経路RT2を示す経路データを生成する。
【0038】
経路案内部112は、目的地GPまでの経路案内が終了すると、入口データ226を追加登録するための登録画面をウインドウW2に表示させる。追加登録の方法としては、図5の例のように、目的地GPを入口データ226として登録させる方法、あるいは、ユーザの手動により任意の位置を登録する方法等が挙げられる。
【0039】
図5に示すように、ユーザは、今回の案内先を登録するか否かを示すメッセージM1に対応する回答をタッチパネル124の操作により入力する。「YES」を示すボタンBT1の操作を経路案内部112が受け付けると、経路生成部212は、建物B3の情報に目的地GPを入口データ226として関連付けて記憶させる。「NO」を示すボタンBT2が操作された場合には、経路生成部212は、関連付けの登録を行うことなく処理を終了する。手動登録を促すボタンBT3が操作された場合には、経路案内部112は、手動操作による登録画面を表示する。
【0040】
図6は、手動操作による登録画面の一例を示す説明図である。図6に示すように、ユーザは、例えば、指HDでタッチパネル124をタッチ操作してウインドウW1上の任意の座標EP3を指定し、座標EP3を新たな入口データ226として登録する。ここで、経路生成処理において、入口データ226が目的地として使用されなかった場合には、設定した目的地に対応する入口データ226が未登録である可能性がある。そのため、ユーザによる新たな入口データ226の登録を行うことができるとともに、ユーザの評価に基づく適正な位置を入口データ226として登録することができる。
【0041】
以上、説明したように、本実施形態の経路生成システム10によれば、経路生成部212は、設定された目的地G1の最寄りの入口の座標EP1を入口データ226から抽出し、設定された目的地G1と、抽出された最寄りの入口の座標EP1との間の距離D1が予め定められた閾値以下である場合には、最寄りの入口の座標EP1までの経路データを生成する。距離が閾値より大きい場合には、設定された目的地までの経路データを生成する。本実施形態の経路生成システム10によれば、入口データを用いることにより、地物の入口近傍に精度良く案内することができる。また、目的地と、抽出された入口データ226との関連性が低いと想定される場合には、抽出した入口に代えて目的地へと案内することによって、設定した目的地から離れた入口の座標に経路案内を行うという不具合を防止または抑制することができる。
【0042】
本実施形態の経路生成システム10によれば、閾値は、設定された目的地の種類ごとに異なる値で設定されている。目的地と、抽出された入口データ226との関連性の評価を、目的地の種類ごとに実行することができる。したがって、設定される目的地の種類ごとに入口データ226の適正を判定することができ、より適正な経路案内を行うことができる。
【0043】
本実施形態の経路生成システム10によれば、経路案内部112は、目的地と最寄りの入口との距離が閾値より大きい場合に、さらに、入口データ226を追加登録するための登録画面を表示させるように構成されている。ここで、目的地と、抽出された入口データ226との距離が閾値より大きい場合には、設定された目的地に対応する入口データ226が未登録である可能性が高いと考えられる。そのため、ユーザによる入口データ226の追加を促すことにより、入口データ226の未登録を解消させることができる。また、ユーザによる追加登録により、ユーザの評価に基づく適正な経路案内を行うことができる。
【0044】
本実施形態の経路生成システム10によれば、経路案内部112は、最寄りの入口までの経路データを生成した後に、さらに、設定された目的地と、目的地から最寄りの入口との関連性をユーザに評価させる評価画面を表示させる。したがって、ユーザの評価結果に基づいて、修正すべき入口データ226を容易に抽出することができる。
【0045】
本実施形態の経路生成システム10によれば、経路案内部112は、ユーザにより目的地と、最寄りの入口との関連性が高いと評価された場合には、当該最寄りの入口を、設定された目的地に関連付けた入口データ226として記憶させる。これにより、目的地と入口データ226とをユーザの評価に基づいて適正に関連付けることができる。したがって、次に同じ目的地が設定される場合には、ユーザのニーズに合わせた入口までの経路案内を実行することができる。具体的には、次に同じ目的地が設定される場合には、経路生成部212は、ステップS20に代えて、取得した目的地に関連付けられた入口データ226を抽出し、処理をステップS100に移行する。したがって、ステップS30ならびにステップS200からステップS240までを省略することができ、簡易な処理によって入口データ226までの経路を生成することができる。
【0046】
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態では、経路案内装置100は、スマートフォンによって構成されている例を示した。これに対して、経路案内装置100は、カーナビゲーションシステムや、タブレット、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等の装置により構成されてもよい。
【0047】
(B2)上記実施形態では、経路生成システム10は、配送車両50を用いた配送業務に用いられる例を示したが、配送業務での利用には限定されず、一般的な種々の車両の走行に用いられてよく、歩行時に用いられてもよい。
【0048】
(B3)上記実施形態では、ステップS240では、経路案内部112は、設定された目的地の座標を入口データ226として地図データ222に関連付けて記憶させる例を示した。これに対して、ステップS240では、新たな入口データ226の登録のみを行い、地図データ222との関連付けは実行されなくてもよい。この場合には、地図データ222の容量を増加させることなく、入口データ226を追加登録することができる。
【0049】
(B4)経路生成サーバ200が有する機能は、経路案内装置100に備えられていてもよい。すなわち、経路生成システム10は、経路案内装置100単体によって構成されてもよい。
【0050】
(B5)記憶部220に格納された各データは、経路生成サーバ200とネットワークにより接続された他の機器や装置に記憶されていてもよい。
【0051】
本開示に記載の制御及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0052】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10…経路生成システム、50…配送車両、70…通信キャリア、80…インターネット、100…経路案内装置、102…通信部、110…CPU、112…経路案内部、120…記憶部、122…測位部、124…タッチパネル、126…表示部、200…経路生成サーバ、202…通信部、210…CPU、212…経路生成部、220…記憶部、222…地図データ、224…案内データ、226…入口データ、228…道路ネットワークデータ、AL…現在位置、B1,B2,B3…建物、BE1,BE2,BE3…入口、BT1,BT2,BT3…ボタン、DP…表示画面、G1,G2,GP…目的地、HD…指、RT1,RT2…経路、SP…出発地、W1,W2…ウインドウ
図1
図2
図3
図4
図5
図6