(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107585
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】診断装置、診断プログラム、及びそのプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 1/267 20060101AFI20240802BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20240802BHJP
G16H 30/40 20180101ALI20240802BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240802BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20240802BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
A61B1/267
G16H50/20
G16H30/40
A61B1/045 621
A61B10/00 J
A61B5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011590
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】513314274
【氏名又は名称】株式会社MINTEL
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 格
【テーマコード(参考)】
4C117
4C161
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XA01
4C117XB01
4C117XB08
4C117XB09
4C117XD08
4C117XE43
4C117XF22
4C117XG05
4C117XJ12
4C117XJ32
4C117XJ35
4C117XJ48
4C117XK33
4C117XL01
4C117XL12
4C117XL13
4C117XL14
4C117XL23
4C117XM12
4C117XP03
4C161AA13
4C161CC06
4C161HH51
4C161LL02
4C161QQ06
4C161SS21
4C161WW02
4C161WW03
4C161WW08
4C161WW10
4C161WW14
4C161WW15
4C161WW18
4C161YY12
4C161YY15
4C161YY16
5L099AA04
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】判断精度の向上を図ることが可能な診断装置、診断プログラム、及びそのプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体を提供する。
【解決手段】診断装置1は、カメラ12と、記憶部22と、異常判断部23aと、ディスプレイ24とを備える。カメラ12は対象者の咽頭を撮像可能なものである。記憶部22は対象者固有の正常時における咽頭画像を記憶したものである。異常判断部23aは、撮像によって得られた咽頭画像と記憶された正常時の咽頭画像とに基づいて、咽頭部が異常であるかを判断する。ディスプレイ24は、判断結果をユーザに提示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の咽頭を撮像可能な撮像手段と、
前記対象者固有の正常時における咽頭画像を記憶した記憶手段と、
前記撮像手段による撮像によって得られた咽頭画像と前記記憶手段により記憶された咽頭画像とに基づいて、咽頭部が異常であるかを判断する異常判断手段と、
前記異常判断手段により算出された結果をユーザに提示する提示手段と、
を備えることを特徴とする診断装置。
【請求項2】
前記異常判断手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた咽頭画像と前記記憶手段により記憶された咽頭画像とに基づき、咽頭部が異常であるかを判断した場合、咽頭部の異常から判断できる病名の候補を示す病名候補情報と、当該病名が示す病気の重症度を示す重症度情報と、当該病名が示す病気である可能性を示す精度情報とを算出し、
前記提示手段は、前記異常判断手段により算出された前記病名候補情報、前記重症度情報、及び前記精度情報をユーザに提示する
を備えることを特徴とする請求項1に記載の診断装置。
【請求項3】
前記異常判断手段により算出された前記病名候補情報、前記重症度情報、及び前記精度情報を電子カルテに書き込む書込手段をさらに備える
を備えることを特徴とする請求項2に記載の診断装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、対象者情報を予め記憶し、
前記異常判断手段は、前記記憶手段に記憶される対象者情報を加味して、前記病名候補情報、前記重症度情報、及び前記精度情報の少なくとも1つを算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の診断装置。
【請求項5】
前記提示手段は、前記記憶手段により記憶された前記対象者固有の正常時における咽頭画像と、前記撮像手段により撮像された咽頭画像とを比較可能に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の診断装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記対象者の過去の医療機関受診時において咽頭部の異常が見られないときの咽頭画像を記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の診断装置。
【請求項7】
前記撮像手段を備える端末と、前記異常判断手段を備える処理装置とを備え、
前記端末は、前記撮像手段による撮像によって得られた咽頭画像に対して加工処理を行う加工手段と、前記加工手段により加工処理されて得られた加工画像データを送信する送信手段と、を有し、
前記処理装置は、前記送信手段により送信された加工画像データを受信し、受信した加工画像データに基づいて咽頭部が異常であるかを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の診断装置。
【請求項8】
対象者の咽頭を撮像して得られた咽頭画像と、前記対象者固有の正常時における咽頭画像とに基づいて、咽頭部が異常であるかを判断する異常判断ステップを、コンピュータに実行させることを特徴とする診断プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の診断プログラムが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断装置、診断プログラム、及びそのプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの身体部位を撮像した画像データ、及び、ユーザからの問診回答を示す問診回答データを送信し、送信先において解析や症例などを判断し、医師が最終診断を行う診断装置が提案されている(特許文献1参照)。この診断装置では、遠隔地の患者の状態を適切に認識し、診断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載のような診断装置においては、ユーザの身体部位を撮像した画像データを正常な状態と比較などすることで、身体部位に異常があるかなどを判断することができる。しかし、正常な状態については患者毎に異なるものであり、特定の患者にとって異常な場合であっても他の患者にとっては正常であることもあり得る。特に、患部の赤みなどで異常であるかを判断する場合などには、元の色がどの程度のものであるのか個人差があり、異常判断の精度が低下してしまうこととなる。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、判断精度の向上を図ることが可能な診断装置、診断プログラム、及びそのプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の診断装置は、撮像手段と、記憶手段と、異常判断手段と、提示手段とを備える。撮像手段は対象者の咽頭を撮像可能なものである。記憶手段は対象者固有の正常時における咽頭画像を記憶したものである。算出手段は、撮像によって得られた咽頭画像と記憶された正常時の咽頭画像とに基づいて、咽頭部が異常であるかを判断する。提示手段は、判断結果をユーザに提示する。
【0007】
また、本発明の診断プログラムは、対象者の咽頭を撮像して得られた咽頭画像と、対象者固有の正常時における咽頭画像とに基づいて、咽頭部が異常であるかを判断する異常判断ステップを、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のコンピュータ読取可能な記録媒体は、上記に記載の診断プログラムが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【0009】
これらの発明によれば、撮像した咽頭画像と正常時の咽頭画像とに基づいて咽頭部が異常であるかを判断する。ここで、咽頭については、他の部位とは異なり、例えば健康診断や対象者が胃腸炎などであるときにも医者などによって確認されるものであり、この確認時の咽頭を正常時における咽頭画像として記憶しておけば、咽頭の異常判断について、判断精度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、判断精度の向上を図ることが可能な診断装置、診断プログラム、及びそのプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る診断装置を示す外観図である。
【
図2】
図1に示した診断装置を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示したディスプレイに表示される診断結果の画像例を示す正面図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示している。
【
図4】本実施形態に係る診断装置の処理を示すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態に係る診断装置を示す外観図である。
【
図6】第3実施形態に係る診断装置を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態に係る診断装置を示す外観図である。
図1に示すように、診断装置1は、端末10と、処理装置20とを備えて構成されている。なお、
図1では、医療従事者が使用する診断装置1を例に説明する。
【0014】
端末10は、例えばペンライト形状に構成された円柱形状の装置である。この端末10は、先端にLED(Light Emitting Diode)などの光源を有するライト11と、ライト11に隣接して先端に設けられるカメラ(撮像手段)12とを備えている。この端末10は、ライト11により患者(対象者)の咽頭を照射可能であり、カメラ12はライト11により照らされた咽頭部を撮像可能となっている。
【0015】
処理装置20は、カメラ12による撮像によって得られた咽頭画像に基づいて、各種処理を実行し結果となる情報を算出するものであって、例えば診断プログラム(後述の第2診断プログラム)が記憶された一般的なパーソナルコンピュータによって構成されている。このため、パーソナルコンピュータは診断プログラムを実行することで処理装置20として機能することとなる。このような処理装置20には、例えば端末10がUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して接続されている。
【0016】
図2は、
図1に示した診断装置1を示すブロック図である。
図2に示すように、端末10は、上記したライト11及びカメラ12に加えて、CPU(Central Processing Unit)13を備えている。CPU13は、端末10の全体を制御するものであり、第1診断プログラムが実行されることで、サブ処理を行う加工部(加工手段)13aと、加工部13aにより加工されたデータを送信する送信部(送信手段)13bとが機能する。
【0017】
加工部13aは、カメラ12による撮像によって得られた咽頭画像に対して加工処理を行うものである。ここでの加工処理は、2値化、エッジ検出、色付け、及び患部拡大などの少なくとも1つである。加工部13aは、例えば咽頭画像を2値化してエッジ検出することにより咽頭部の形状を明らかにして、腫れを判断し易くする。また、加工部13aは、例えば画像中で赤みがある部分に対して赤みが強調されるように色付けを行ったり、扁桃腺などの患部を拡大したりする。
【0018】
送信部13bは、加工部13aにより加工処理された加工画像データを処理装置20に送信するものである。この送信部13bは、処理装置20から読み込み指示があったときに加工画像データを送信するようになっていてもよいし、端末10に設けられたスイッチ(不図示)などが操作されることを契機に加工画像データを送信するようになっていてもよい。
【0019】
処理装置20は、端末10の送信部13bにより送信された加工画像データを受信する受信部21と、記憶部(記憶手段)22と、CPU23と、ディスプレイ(提示手段)24とを備えている。
【0020】
記憶部22は、処理装置20を機能させるための第2診断プログラムが格納されたものである。CPU23は、処理装置20の全体を制御するものであって、記憶部22に記憶される第2診断プログラムを実行することで、異常判断部(異常判断手段)23aと、書込部(書込手段)23bとが機能する。
【0021】
ここで、記憶部22は、対象者固有の正常時における咽頭画像を記憶したものである。記憶部22は、対象者の過去の医療機関受診時において咽頭の異常が見られないときの咽頭画像を記憶している。咽頭の異常が見られないときとは、例えば健康診断での受診時や、医者による診断結果が胃腸炎などであるときの受診時である。この咽頭画像は、上記カメラ12によって撮像されたものであってもよいし、他の診断装置1のカメラ12によって撮像されたものであってもよいし、診断装置1に限らず他の装置によって撮像されたものであってもよい。
【0022】
異常判断部23aは、カメラ12による撮像によって得られた咽頭画像と記憶部22により記憶された咽頭画像とに基づいて咽頭部が異常であるかを判断するものである。この異常判断部23aは、加工部13aによって加工処理された加工画像データに基づいて異常判断を行う。
【0023】
ここで、記憶部22は、咽頭部の所定の異常所見(例えば扁桃腺肥大、発疹、赤みなど)を記憶している。異常判断部23aは、撮像された咽頭画像に、このような異常所見が見られた場合に咽頭部が異常であると判断する。
【0024】
より詳細に説明すると、記憶部22は、口内における部位定義情報を有しており、高口蓋や扁桃腺などの位置を把握可能となっている。また、記憶部22は、部位定義情報によって定義される各部位の異常時における所見を記憶している。具体的に記憶部22は、アデノウイルスについて、咽頭後壁全体並びに高口蓋に及ぶ発赤の所見が見られると記憶している。同様に、記憶部22は、溶連菌について、扁桃腺に赤ではない白から黄色の斑点の所見が見られると記憶している。また、記憶部22は、インフルエンザについて、咽頭後壁に縦長の水疱が1つ以上あり、水疱の色は正常時より周囲が赤く且つ中心部が透明な膜となる所見が見られると記憶している。異常判断部23aは、このような異常所見に基づいて咽頭部が異常であると判断する。
【0025】
さらに、異常判断部23aは、咽頭部が異常であると判断した場合、病名の候補を示す病名候補情報D1と、当該病名が示す病気の重症度を示す重症度情報D2と、当該病名が示す病気である可能性を示す精度情報D3とを算出する(各情報D1~D3は
図3参照)。
【0026】
例えば、異常判断部23aは、記憶部22に記憶される咽頭画像と比較して、撮像された咽頭画像(加工画像データ)の咽頭後壁から高口蓋に及ぶ発赤が見られる場合、アデノウイルスを病名候補情報D1として算出する。また、異常判断部23aは、このときの発赤の範囲や赤みの強さから重症度情報D2や精度情報D3を算出する。
【0027】
同様に、異常判断部23aは、記憶部22に記憶される咽頭画像と比較して、撮像された咽頭画像(加工画像データ)内の扁桃腺に赤ではない白から黄色の斑点が見られる場合、溶連菌を病名候補情報D1として算出する。また、異常判断部23aは、このときの斑点の数や扁桃腺の肥大具合から重症度情報D2や精度情報D3を算出する。
【0028】
CPU23は、上記のようにして算出した情報D1~D3をディスプレイ24に表示する。これにより、これらの情報D1~D3はユーザに提示される。
【0029】
書込部23bは、異常判断部23aにより算出された情報D1~D3を電子カルテに書き込むものである。これにより、診断結果を電子カルテに入力する手間を軽減している。なお、電子カルテについては、書込部23bによって書き込まれた情報D1~D3を削除・訂正可能となっていることが好ましい。また、電子カルテを開いたときに、書込部23bによって書き込まれた情報D1~D3であることが明らかとなるように、他の情報とは色が異なる文字によって書き込まれていたり、その旨の情報が付与されていたりなど、区別可能に書き込まれることが好ましい。さらには、情報D1~D3のうちいずれか1つ以上を書き込まないように予め設定できることが好ましい。
【0030】
さらに、上記において記憶部22は、対象者情報を予め記憶しており、異常判断部23aは、対象者情報を加味して咽頭部が異常であるか否かを判断すると共に、情報D1~D3を算出する。ここで、対象者情報とは、年齢、性別、検査数値、既往歴、家族歴、及び予防接種歴の少なくとも1つである。例えば、年齢によって掛かり易い病気と掛かり難い病気とがある。また、女性特有の病気などがある。さらに、検査数値によって将来的に発症する可能性がある病気や発症する可能性が高い病気などがわかる。また、既往歴、家族歴及び予防接種歴から、掛かり易い病気や掛かり難い病気の傾向がわかる。このため、異常判断部23aは、このような対象者情報に基づいて、病名候補情報D1を算出するようにしてもよいし、精度情報D3が示す可能性を調整するようにしてもよい。加えて、異常判断部23aは、カレンダー情報を読み込んで、季節的に発生し易い病気などを判断して、咽頭部が異常であるか否かを判断すると共に、情報D1~D3を算出するようにしてもよい。
【0031】
図3は、
図2に示したディスプレイ24に表示される診断結果の画像例を示す正面図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示している。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、CPU23は、異常判断部23aにより咽頭部が異常であると判断された場合に算出された病名候補情報D1と、重症度情報D2と、精度情報D3とを同一の画面上に表示させる。また、これらの情報D1~D3に隣接させて咽頭画像G1を表示させる。この咽頭画像G1は、
図3(a)に示すように、患部などが拡大された咽頭画像G1(すなわち加工画像)であってもよいし、
図3(b)に示すように、撮像されたそのままの咽頭画像G1であってもよい。
【0032】
加えて、CPU23は、咽頭画像G1と比較可能に、記憶部22に記憶される対象者固有の正常時における咽頭画像(以下参考画像G2という)を表示させる。ここで、比較可能とは、例えば両者の画像G1,G2を並べて表示したり、重ねて表示したりすることをいう。なお、
図3(a)に示すように、CPU23は、患部が拡大された咽頭画像G1を表示する場合、参考画像G2についても患部(正確には正常時であるため患部ではなく同じ部位)が拡大されたものを表示する。すなわち、CPU23は、咽頭画像G1と同じ加工処理が施された参考画像G2を、咽頭画像G1と比較可能に表示させる。
【0033】
なお、参考画像G2は咽頭部の異常判断のみに用いられ、咽頭画像G1と比較可能に表示させられる画像は、一般的な正常時の汎用画像であってもよい。また、
図3に示す例は、表示される病名が1つであるが、表示される病名(候補となる病名)が複数である場合には、病名候補情報D1、重症度情報D2、精度情報D3、咽頭画像G1及び参考画像G2のセットが複数個表示されることとなる。
【0034】
次に、本実施形態に係る診断装置1の処理を、フローチャートを参照して説明する。
【0035】
図4は、本実施形態に係る診断装置1の処理を示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、端末10のCPU13は、咽頭画像G1が撮像されたかを判断する(S1)。この際、CPU13は、単に撮像処理が行われたと判断した場合に咽頭画像G1が撮像されたと判断してもよいし、加工部13aによって加工処理を行った結果、咽頭が撮像されたと判断できる場合(例えば形状的に咽頭と判断できる場合)に咽頭画像G1が撮像されたと判断してもよい。
【0036】
咽頭画像G1が撮像されていないと判断した場合(S1:NO)、撮像されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、咽頭画像G1が撮像されたと判断した場合(S1:YES)、加工部13aは咽頭画像G1に対して加工処理を施す(S2)。これにより、加工画像データが得られることとなる。なお、ステップS1において加工処理を行っていたとしても、ステップS1の加工処理は咽頭画像G1であるか否かを判断するための加工処理であることから、ステップS2において更に加工処理が実行されることとなる。なお、場合によっては、ステップS2の加工処理が省略されることもあり得る。
【0037】
その後、CPU13の送信部13bは、ステップS2において得られた加工画像データを処理装置20に送信する(S3)。
【0038】
次に、処理装置20のCPU23は、送信された加工画像データを受信すると共に、カレンダー情報や、記憶部22に記憶される対象者情報を読み込む(S4)。次いで、CPU23の異常判断部23aは、ステップS4において受信した加工画像データ及び読み込んだ情報に基づいて、咽頭部が異常であるかを判断すると共に、異常であると判断した場合には病名候補情報D1、重症度情報D2、及び精度情報D3を算出する(S5)。
【0039】
その後、CPU23は、咽頭部が異常である場合にはステップS5において算出した病名候補情報D1、重症度情報D2、及び精度情報D3をディスプレイ24に表示させる(S6)。この際、
図3に示すように、CPU23は咽頭画像G1や参考画像G2についてもディスプレイ24に表示させることが好ましい。なお、咽頭部に異常が見られない場合には、その旨の情報が表示される。
【0040】
次いで、書込部23bは、ステップS5において算出した情報D1~D3を電子カルテに書き込む(S7)。この際、書き込まれた情報D1~D3が書込部23bによるものであることが分かるように、区別可能に書き込まれることが好ましい。
【0041】
その後、
図4に示す処理は終了する。なお、ステップS6においてCPU23は、電子カルテに書き込むか否かを指示するための指示ボタンなどを表示するようにしてもよい。
【0042】
このようにして、本実施形態に係る診断装置1及び診断プログラム及び記録媒体によれば、撮像した咽頭画像と正常時の咽頭画像とに基づいて咽頭部が異常であるかを判断する。ここで、咽頭については、他の部位とは異なり、例えば健康診断や対象者が胃腸炎などであるときにも確認されるものであり、この確認時の咽頭を正常時における咽頭画像として記憶しておけば、咽頭の異常判断について、判断精度の向上を図ることができる。
【0043】
さらに、病名の候補を示す病名候補情報D1と、当該病名が示す病気の重症度を示す重症度情報D2と、当該病名が示す病気である可能性を示す精度情報D3とを算出してユーザに提示する。これにより、ユーザは、風邪などのように市販薬にて対処可能な病気なのか、インフルエンザなどの処方薬が必要な病気であるのかなどをより正確に知ることができる。
【0044】
また、病名候補情報D1、重症度情報D2、及び精度情報D3を電子カルテに書き込む書込部23bをさらに備えるため、医療従事者がユーザとして診断装置1を用いる場合などに、入力の手間が軽減され、一層の利用頻度の向上につなげることができる。
【0045】
また、対象者情報(年齢、性別、検査数値、既往歴、家族歴、及び予防接種歴の少なくとも1つ)を加味して、病名候補情報D1などを算出するため、病名候補情報D1などの算出精度を向上させることができる。しかも、対象者情報は予め記憶されていることから、精度向上のために問診回答のように入力する必要がない。よって、判断精度向上にあたり入力の手間による利用頻度の低下を抑えることができる。
【0046】
また、対象者固有の正常時における咽頭の参考画像G2と撮像された咽頭画像G1(加工処理されたものを含む)とを比較可能に表示するため、ユーザは単なる見た目での重症度などを知ることができ、病院に行くべきなのかを直感的にユーザに知らせることができる。
【0047】
加えて、記憶部22は、対象者の過去の医療機関受診時において咽頭の異常が見られないときの咽頭画像を記憶するため、咽頭という健康診断などにおいても確認される咽頭という部位を利用して正常時における咽頭画像を記憶することができる。
【0048】
また、カメラ12を備える端末10と、異常判断部23aを備える処理装置20とを備え、処理装置20における算出に先立って、端末10にて加工処理を行うため、処理装置20には加工後の加工画像データが送信されて、画像データ自体を送信する必要がなく、送信負荷を軽減することができる。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る診断装置は第1実施形態のものと同様であるが、一部構成が異なっている。なお、以下の説明において第1実施形態と同一又は同様の要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
図5は、第2実施形態に係る診断装置を示す外観図である。
図5に示す診断装置2は、医療従事者以外の者によって使用されるものであって、端末10と、処理装置20とを備えている。
【0051】
端末10は、スマートフォンなどの携帯端末によって構成され、ライト11と、カメラ12と、CPU13と、ディスプレイ(提示手段)14とを備えている。処理装置20は、端末10とネットワーク接続されるサーバであって、受信部21と、記憶部22と、CPU23とを備えている。CPU23は、異常判断部23a及び書込部23bに加えて、送信部23cを備えている。第2実施形態に係る診断装置2は、ネットワークNを経由してシステム化されたものとなっている。
【0052】
このような診断装置2において、端末10はライト11を点灯させてカメラ12により咽頭画像G1を撮像する。CPU13の加工部13aは撮像により得られた咽頭画像G1に対して加工処理を行う。そして、CPU13の送信部13bは送信処理を実行し、ネットワークNを経由して加工画像データを処理装置20に送信する。
【0053】
処理装置20の異常判断部23aは、受信した加工画像データ、記憶部22に記憶された正常時における咽頭画像、対象者情報、及び、カレンダー情報などに基づいて、咽頭部が異常であるか否かを判断し、病名候補情報D1、重症度情報D2、及び精度情報D3を算出する。書込部23bは、これら情報D1~D3を電子カルテに書き込む。このとき、書込部23bは、ネットワークNを介して病院などのコンピュータにアクセスのうえ、電子カルテに書き込むようにしてもよい。
【0054】
その後、送信部23cは、スマートフォンなどの端末10に咽頭部が異常であるか否かの情報、及び算出した場合には情報D1~D3を送信する。次いで、端末10のディスプレイ14は、咽頭部が異常であるか否かの情報や情報D1~D3を表示させる。この際、
図3に示したように、咽頭部が異常である場合には咽頭画像G1や参考画像G2を表示させることが好ましい。
【0055】
このようにして、第2実施形態に係る診断装置2によれば、第1実施形態と同様に、判断精度の向上を図ることができ、インフルエンザなどの処方薬が必要な病気であるのかなどをより正確に知ることができる。また、一層の利用頻度の向上につなげることができ、判断精度向上にあたり入力の手間による利用頻度の低下を抑えることができる。さらに、病院に行くべきなのかを直感的にユーザに知らせることができ、咽頭という健康診断などにおいても確認される咽頭という部位を利用して正常時における咽頭画像を記憶することができる。加えて、処理装置20には加工後の加工画像データが送信されて、画像データ自体を送信する必要がなく、送信負荷を軽減することができる。
【0056】
さらに、第2実施形態によれば、医療従事者用に限らず、医療従事者以外の者によって用いられるものであってもよい。この場合において、診断装置2はネットワークNを介してシステム化されたものであることが好ましい。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係る診断装置は第1実施形態のものと同様であるが、一部構成が異なっている。なお、以下の説明において第1実施形態と同一又は同様の要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0058】
図6は、第3実施形態に係る診断装置を示す外観図である。
図6に示す診断装置3は、医療従事者以外の者によって使用されるものであって、診断装置3であるスマートフォンなどの携帯端末に診断プログラムが導入されることで構成されている。
【0059】
このような第3実施形態において診断装置3は、カメラ12と、ライト11と、CPU13と、ディスプレイ14と、記憶部(記憶手段)15とを備えており、携帯端末単体で構成されている。
【0060】
このような診断装置3はライト11を点灯させてカメラ12により咽頭画像G1を撮像し、CPU13の加工部13aにより加工処理を行う。そして、CPU13の異常判断部(異常判断手段)13cは、加工画像データ、記憶部(記憶手段)15に記憶された対象者固有の正常時における咽頭画像、対象者情報、及び、カレンダー情報などに基づいて、咽頭部が異常であるか否かを判断し、異常である場合には病名候補情報D1、重症度情報D2、及び精度情報D3を算出する。次いで、ディスプレイ14は、咽頭部が異常であるか否か情報や算出した情報D1~D3を表示させる。この際、
図3に示したように、咽頭部が異常である場合には咽頭画像G1や参考画像G2を表示させることが好ましい。
【0061】
なお、第3実施形態に係る診断装置3は、携帯端末単体で成立していることから、書込部23bを有していないが、これに限らず、書込部23bを有し、ネットワークNを介して電子カルテに書込可能になっていてもよい。
【0062】
このようにして、第3実施形態に係る診断装置3によれば、第1実施形態と同様に、判断精度の向上を図ることができ、インフルエンザなどの処方薬が必要な病気であるのかなどをより正確に知ることができる。また、判断精度向上にあたり入力の手間による利用頻度の低下を抑えることができ、病院に行くべきなのかを直感的にユーザに知らせることができる。さらに、予め対象者自身が撮像可能な咽頭という部位を利用して正常時における咽頭画像を記憶することができる。
【0063】
加えて、第3実施形態によれば、ユーザが保有する機器(スマートフォンなど)の単体によっても構成することができる。
【0064】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態の技術を組み合わせてもよい。
【0065】
例えば、本実施形態に係る診断装置1~3を機能させるための診断プログラムは、装置1~3内に予め記憶される場合に限らず、HDD、USB、CD-ROM、CD-Rなどの他の種類の記録媒体に記憶され、これがダウンロードされるようになっていてもよい。また、ダウンロードは、ネットワークNを通じて行われてもよい。
【0066】
さらに、本実施形態において咽頭部が異常であるか否かの情報及び各情報D1~D3は表示によってユーザに提示されているが、これに限らず、音声によって提示されてもよいし、プリントアウトされるようになっていてもよい。さらに、診断装置1~3は、算出した情報D1~D3に基づいて、病院で受診すべきか否かの情報を提示するようになっていてもよい。
【0067】
加えて、診断装置1~3は、問診回答を入力させる処理を含まないが、煩わしさを与えない範囲で他の情報を入力させる構成となっていてもよい。特に、熱やだるさの情報などを加味したり、鼻水、咳、及び喉の痛みの症状などを足し合わせることで一層判断精度の向上を図ることができる。この際、入力される情報は、保護者が子供の様子を観察して得られる範囲の情報(外部から観察可能な情報)であり、痛みのように本人に聞かないと分からない情報(本人限定の申告情報)を含まないことが好ましい。
【0068】
さらに、算出した情報D1~D3については同一の画面上に表示させなくともよい。加えて、これら情報D1~D3のみを表示し、咽頭画像G1などを表示させない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1~3 :診断装置
10 :端末
11 :ライト
12 :カメラ(撮像手段)
13 :CPU
13a :加工部(加工手段)
13b :送信部(送信手段)
13c :異常判断部(異常判断手段)
14 :ディスプレイ(提示手段)
15 :記憶部(記憶手段)
20 :処理装置
21 :受信部
22 :記憶部(記憶手段)
23 :CPU
23a :異常判断部(異常判断手段)
23b :書込部(書込手段)
23c :送信部
24 :ディスプレイ(提示手段)
D1 :病名候補情報
D2 :重症度情報
D3 :精度情報
G1 :咽頭画像
G2 :参考画像
N :ネットワーク