(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010759
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】取付具
(51)【国際特許分類】
F16B 19/00 20060101AFI20240118BHJP
B60K 15/073 20060101ALI20240118BHJP
F16L 3/08 20060101ALI20240118BHJP
F16L 3/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F16B19/00 F
B60K15/073
F16L3/08 D
F16L3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112235
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】中川 義隆
【テーマコード(参考)】
3D038
3H023
3J036
【Fターム(参考)】
3D038CD12
3H023AE08
3J036AA01
3J036BA01
3J036BB06
3J036CA06
3J036DA06
3J036EA01
(57)【要約】
【課題】抜去力を十分に得ることができる取付具を提供する。
【解決手段】樹脂部材の表面に凹んで形成されて内面に互いに接近するように隆起する一対の隆起部を有する凹部に取り付けられる取付具10は、凹部に挿入され、凹部への挿入方向に延びる支持部12と、支持部12に支持され、互いに対向して接近するように撓み可能であり、隆起部に係止する一対の弾性脚部14と、を備える。弾性脚部14は、凹部への挿入方向逆向きに突出する突部を有する。突部は、隆起部の挿入方向奥側に食い込むように係止する形状を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂部材の表面に凹んで形成されて内面に互いに接近するように隆起する一対の隆起部を有する凹部に取り付けられる取付具であって、
前記凹部に挿入され、前記凹部への挿入方向に延びる支持部と、
前記支持部に支持され、互いに対向して接近するように撓み可能であり、前記隆起部に係止する一対の弾性脚部と、を備え、
前記弾性脚部は、前記凹部への挿入方向逆向きに突出する突部を有し、
前記突部は、前記隆起部の前記挿入方向奥側に食い込むように係止する形状を有することを特徴とする取付具。
【請求項2】
前記突部は前記弾性脚部の対向方向外側の縁に位置し、その縁を含む前記突部の外側面が前記挿入方向に沿った平面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の取付具。
【請求項3】
前記弾性脚部は、取付状態で前記隆起部の前記挿入方向奥側に潜り込む端面を有し、
前記突部は、前記端面に突出して形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の取付具。
【請求項4】
前記突部は、一対の前記弾性脚部の対向方向および前記挿入方向にそれぞれ直交する幅方向に離れて前記端面に一対形成されることを特徴とする請求項3に記載の取付具。
【請求項5】
前記突部は、一対の前記弾性脚部の対向方向に延びるように突条に形成されることを特徴とする請求項3に記載の取付具。
【請求項6】
前記支持部は、前記支持部の外側面に形成されるリブを有し、
前記リブは、取付状態で前記隆起部の前記挿入方向手前側に当接することを特徴とする請求項1または2に記載の取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部材の表面に凹んで形成される凹部に取り付けられる取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料タンクに取り付けられる取付脚部を有するプパイプ取付クランプが開示される。燃料タンクは、外壁に形成されて取付脚部を挿入する取付脚部孔部を有し、取付脚部孔部は、側壁内面に形成された取付脚部孔突起を有する。取付脚部の側面には、取付脚部孔突起に係止する取付脚部係止片が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、取付脚部を係止するための取付脚部孔突起が形成されるが、燃料タンクの外壁に形成されていることによる突出高さの制限によって、引っ掛かり代を十分に確保できず、抜去力を確保しづらい。
【0005】
本発明の目的は、抜去力を十分に得ることができる取付具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、樹脂部材の表面に凹んで形成されて内面に互いに接近するように隆起する一対の隆起部を有する凹部に取り付けられる取付具であって、凹部に挿入され、凹部への挿入方向に延びる支持部と、支持部に支持され、互いに対向して接近するように撓み可能であり、隆起部に係止する一対の弾性脚部と、を備える。弾性脚部は、凹部への挿入方向逆向きに突出する突部を有する。突部は、隆起部の挿入方向奥側に食い込むように係止する形状を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、抜去力を十分に得ることができる取付具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】下方側から見た実施例の取付具の斜視図である。
【
図2】上方側から見た実施例の取付具の斜視断面図である。
【
図4】燃料タンクに重ねて示す取付具の断面図である。
【
図5】燃料タンクに取り付けた状態の取付具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、下方側から見た実施例の取付具10の斜視図である。
図2は、上方側から見た実施例の取付具10の斜視断面図である。また、
図3は、実施例の取付具10の側面図である。
【0010】
取付具10は、支持部12、弾性脚部14および機能部品16を備える。取付具10は、樹脂部材の表面に形成された凹部32に機能部品16を取り付ける。取付具10を取り付ける樹脂部材は、例えば車両用の燃料タンクであり、射出成形によって凹部が表面に形成されている。機能部品16は、管継手として機能し、燃料タンクから出た管を別の管に接続する。取付具10は、燃料タンクよりも堅い材料で形成される。
【0011】
機能部品16は、第1張出部18a、第2張出部18b、第3張出部18c(これらを区別しない場合「張出部18」という)、第1差込部20a、第2差込部20b、第3差込部20c(これらを区別しない場合「差込部20」という)を有する。
【0012】
張出部18は、外向きに張り出すように板状に形成され、弾性片として撓み可能に形成される。第1張出部18aは、第2張出部18bおよび第3張出部18cとは逆方向に延在している。張出部18は燃料タンクの表面に弾接し、取付状態の取付具10のガタつきを抑える。差込部20は、ホースや配管に差し込まれる。複数の差込部20は、凹部への挿入方向D1に直交する異なる方向に延びている。なお、挿入方向D1は、
図2の上下方向で示される。
【0013】
支持部12は、角筒状に形成され、機能部品16から挿入方向D1に沿って延出している。支持部12は、燃料タンクの凹部に挿入される。
【0014】
弾性脚部14は、支持部12に支持され、支持部12から機能部品16側に向かって延出する。一対の弾性脚部14は、互い対向して形成され、接近および拡開するように撓み可能である。一対の弾性脚部14は、支持部12よりも対向方向D2外向きに出ている。一対の弾性脚部14の対向方向D2は、凹部への挿入方向D1に直交する。
【0015】
弾性脚部14は、燃料タンクの凹部に係止し、取付具10を燃料タンクに取り付ける。弾性脚部14は、凹部への挿入方向D1逆向きに突出する突部24を有する。つまり、突部24は、上方に突出して形成される。これにより、取付時に突部24が燃料タンクの凹部に食い込むように引っ掛かり、取付具10の抜去力を向上できる。
【0016】
突部24は、弾性脚部14の上端面26に突出して形成される。これにより、突部24が安定した座面に形成されるため、突部24を尖った形状にしつつも突部24の剛性を確保できる。
【0017】
ここで新たな図面を参照しつつ説明する。
図4は、燃料タンク30の凹部32に重ねて示す取付具10の断面図である。
図4では、取付具10に外力が加わっていない状態を示しており、弾性脚部14が撓んでいない状態を示し、弾性脚部14が燃料タンク30の凹部32に干渉している程度を示しており、弾性脚部14の突部24が十分に凹部32に当たる設定になっている。突部24は、弾性脚部14の対向方向D2外側の縁に位置し、その縁を含む突部24の外側面28が挿入方向に沿った平面に形成される。つまり、突部24は、弾性脚部14から対向方向D2外側に出ないものの、弾性脚部14の縁に達するまで位置する。これにより、突部24が対向方向D2の外側に出ないため、弾性脚部14が凹部に挿入される際に挿入動作に干渉せず、挿入抵抗が上昇することを抑えることができる。
【0018】
突部24は、一対の弾性脚部14の対向方向および凹部への挿入方向D1にそれぞれ直交する幅方向D3に離れて上端面26に一対形成される。これにより、一対の突部24が燃料タンクの凹部にバランスよく食い込み、取付具10が支持部12の中心軸周りに動くことを抑えることができる。
【0019】
突部24は、一対の弾性脚部14の対向方向に延びるように突条に形成され、三角柱を横たえた状態で形成される。これにより、突部24の角に長さを持たせ、突部24の角を凹部に確実に当て、食い込ませることができる。また、突部24の剛性を確保できる。
【0020】
リブ22は、支持部12の外側面12aに形成され、挿入方向D1に沿って突条に形成される。リブ22は燃料タンクの凹部に当接して、取付具10のガタつきを抑える。リブ22は、突部24の上方に位置し、突部24と上下に離間して配置される。
【0021】
図5は、燃料タンク30に取り付けた状態の取付具10の断面図である。
図5(b)は
図5(a)に示す領域Aの拡大図である。燃料タンク30の表面には、取付具10を取り付けるための凹部32が形成されている。
【0022】
凹部32は、有底の略四角筒状に形成される。凹部32の対向する内面には、互いに接近するように隆起する隆起部34がそれぞれ形成される。隆起部34は、凹部32の上部に形成され、滑らかに膨出するように形成される。凹部32を無理抜き成形で形成すると、隆起部34が内向きに突出する長さには制限がある。弾性脚部14は、隆起部34に係止する。
【0023】
突部24は、隆起部34の奥側に食い込むように係止する形状を有する。隆起部34の奥側とは、
図5に示す隆起部34の下側をいい、凹部32の底部側を奥とし、表面側を手前としている。取付具10は、燃料タンク30よりも硬質の材料で形成されており、突部24は、隆起部34を窪ませて食い込むように係止する。これにより、取付具10の抜去力を向上できる。
【0024】
弾性脚部14の上端面26は、取付状態で隆起部34の奥側に潜り込んでおり、挿入方向D1において隆起部34と重なっている。この上端面26の縁まで突部24が突出していることで、隆起部34に食い込みやすい配置になっており、抜去力を向上できる。
【0025】
図5(b)に示すように、リブ22は、取付状態で隆起部34の手前側に当接する。一方、突部24は隆起部34の奥側に当接しており、リブ22と突部24とが隆起部34を挟むことができる。これにより、取付具10のガタつきを抑えることができる。
【0026】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【0027】
実施例では、取付具10が燃料タンク30に取り付けられる態様を示したが、この態様に限られない。例えば、樹脂部材からなる車載部品や内装パネルに取り付けられてよい。いずれにしても、樹脂部材の表面に、取付具10を取り付けるための凹部32が形成されていればよい。
【0028】
また、実施例では、機能部品16が管継手である態様を示したが、この態様に限られない。例えば、機能部品16がハーネスを保持するクリップやバンドであってもよい。機能部品16が管継手でなくても、支持部12と一体に成形されてよい。
【0029】
また、実施例では、弾性脚部14が挿入方向D1逆向きに(上方に)延出する態様を示したが、この態様に限られず、弾性脚部14が下方に延出してもよい。例えば、弾性脚部14は、下方に延出し、下端部に対向方向D2外向きに突出する爪部を有し、その爪部に突部24が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 取付具、 12 支持部、 12a 外側面、 14 弾性脚部、 16 機能部品、 18a 第1張出部、 18b 第2張出部、 18c 第3張出部、 20a 第1差込部、 20b 第2差込部、 20c 第3差込部、 22 リブ、 24 突部、 26 上端面、 28 外側面、 30 燃料タンク、 32 凹部、 34 隆起部。