(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107591
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
A47L15/42 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011598
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】足立 瑛
(72)【発明者】
【氏名】大坂 宏
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BL03
(57)【要約】
【課題】洗浄工程又は濯ぎ工程の終了後に噴射孔から水が滴り落ちる時間を短縮化できる洗浄機を提供する。
【解決手段】食器洗浄機100は、食器Dを収容する洗浄室1Bの内面上部に設けられ、一方向に回転しながら洗浄室に水を噴射するノズル本体30を備える洗浄機である。ノズル本体30は、ノズル本体における回転軸R3の回転中心である基端部BPから半径方向に沿って先端部TPまで延在すると共に、基端部BP側が先端部TP側よりも低くなる傾斜面SSが延在方向の少なくとも一部に形成された底面34aを有する濯ぎ流路34と、底面34aに形成される複数の濯ぎ噴射孔33と、互いに隣り合う濯ぎ噴射孔33の間に設けられると共に、底面34aから上方に立ち上がり、先端部TP側から基端部BP側に向って底面34aを伝う水の流れを堰き止める第一壁部38Aと、を有している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を収容する洗浄室の内面上部に設けられ、一方向に回転しながら前記洗浄室に水を噴射するノズル本体を備える洗浄機であって、
前記ノズル本体は、
前記ノズル本体における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在すると共に、前記基端部側が前記先端部側よりも低くなる傾斜面が延在方向の少なくとも一部に形成された底面を有する流路と、
前記底面に形成される複数の噴射孔と、
互いに隣り合う前記噴射孔の間に設けられると共に、前記底面から上方に立ち上がり、前記先端部側から前記基端部側に向って前記底面を伝う前記水の流れを堰き止める壁部と、
を有している、洗浄機。
【請求項2】
前記壁部によって堰き止められる水を貯留する水溜部が形成されている、請求項1記載の洗浄機。
【請求項3】
前記壁部は、前記噴射孔の前記先端部側に隣接するように形成されている、請求項2記載の洗浄機。
【請求項4】
前記噴射孔及び前記壁部は、前記流路の延在方向に沿って配列されており、
洗浄工程又は濯ぎ工程時に前記壁部によって仕切られた各空間から前記噴射孔を介して排出される水の量がそれぞれ等しくなるように、前記壁部の上端高さ、前記壁部の配置位置、前記噴射孔の配置位置が設定されている、請求項1~3の何れか一項記載の洗浄機。
【請求項5】
複数の前記壁部のそれぞれは、その上端位置が、水平方向に一致するように形成されている、請求項4記載の洗浄機。
【請求項6】
前記ノズル本体は、
洗浄水が流れる前記流路である洗浄流路と、
前記洗浄流路に形成される前記噴射孔である洗浄噴射孔と、
濯ぎ水が流れる前記流路である濯ぎ流路と、
前記濯ぎ流路に形成される前記噴射孔である濯ぎ噴射孔と、
が一体的に形成されており、
前記壁部は、前記濯ぎ流路のみに形成されている、請求項1又は2記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物の洗浄を行う洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄タンクに貯留された洗浄水を洗浄室内に収容された食器に噴射して洗浄を行い、濯ぎ水タンク内に貯留された濯ぎ水を食器に噴射して濯ぎを行う洗浄機(食器洗浄機)が知られている。このような洗浄機には、水を噴射する噴射孔を有するノズル本体が洗浄室に回転自在に設けられている。例えば、特許文献1には、ノズル本体の内部(言い替えれば噴射孔にまで延びる流路)の排出性を高めるために、内部底面が回転中心ほど低くなるように形成されたノズル本体が開示されている。
【0003】
このようなノズル本体からは、濯ぎ工程終了後にノズル本体に残った高温の水が噴射孔から滴り落ちる。このため、洗浄機は、作業者の安全を考慮し、濯ぎ工程終了後しばらくしてから、ドアを開放してもよいタイミングを報知することがある。しかしながら、上記タイミングが遅くなれば、その分だけ一回あたりの洗浄運転の時間が長くなってしまう。このような問題を解決するために、ノズル本体の内部において噴射孔の周囲を囲むような囲い壁を設けることが考えられる。この構成によれば、濯ぎ工程終了後、当該囲い壁に囲まれた部分に残る水が噴射孔から排出された後は、噴射口から水が滴り落ちることを低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、底面が回転中心ほど低くなるように形成されたノズル本体では、濯ぎ工程終了後にノズル本体内部に残る水が回転部中心に集まり、回転部中心の近くにある囲い壁では、その上端を乗り越えて水が侵入する。このため、回転部中心の近くにある噴射孔では、長時間の間、水が滴り落ちるという問題が発生する。
【0006】
そこで、本発明の目的は、洗浄工程又は濯ぎ工程の終了後に噴射孔から水が滴り落ちる時間を短縮化できる洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の洗浄機は、被洗浄物を収容する洗浄室の内面上部に設けられ、一方向に回転しながら洗浄室に水を噴射するノズル本体を備える洗浄機であって、ノズル本体は、ノズル本体における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在すると共に、基端部側が先端部側よりも低くなる傾斜面が延在方向の少なくとも一部に形成された底面を有する流路と、底面に形成される複数の噴射孔と、互いに隣り合う噴射孔の間に設けられると共に、底面から上方に立ち上がり、先端部側から基端部側に向って底面を伝う水の流れを堰き止める壁部と、を有している。
【0008】
この構成では、底面が全体として先端部に比べて基端部が低くなるように形成され、先端部と基端部との間に壁部が形成される構成であっても、ポンプから圧送される水は、基端部から先端部に向かって水が流れ、噴射孔から水が噴射されることによって、ノズル本体が回転するようになる。一方、洗浄工程又は濯ぎ工程が終了してポンプが停止すると、ポンプからの水の圧送がなくなり、流路内の水は、噴射孔から排出されつつ相対的に高い位置にある先端部から低い位置にある基端部に向かって底面を伝って流れる。このとき、水は壁部によって堰き止められ、壁部によって仕切られた空間ごとに噴射孔から排出される。すなわち、この構成では、ポンプ停止時に流路に残る水が、底面が相対的に最も低い位置に形成された一の噴射孔から排出されるのではなく、壁部によって仕切られた空間ごとに分散して排出されるようになる。この結果、洗浄工程又は濯ぎ工程の終了後に噴射孔から水が滴り落ちる時間を短縮化できる。
【0009】
(2)上記(1)記載の洗浄機において、壁部によって堰き止められる水を貯留する水溜部が形成されていてもよい。この構成では、ポンプ停止時に、相対的に高い位置にある先端部から低い位置にある基端部に向かって底面を伝って流れる水の一部は、壁部によって堰き止められ、水溜部に貯留される。このため、水溜部によって貯留される水の量だけ、噴射孔から排出される水の総量を減らすことができる。この結果、洗浄工程又は濯ぎ工程の終了後に噴射孔から水が滴り落ちる時間を短縮化できる。
【0010】
(3)上記(2)記載の洗浄機において、壁部は、噴射孔の先端部側に隣接するように形成されてもよい。この構成では、互いに隣り合う噴射孔の間の流路空間において水溜部に貯留される水の量を最大化することができる。これにより、洗浄工程又は濯ぎ工程の終了後に噴射孔のそれぞれから水が滴り落ちる時間を最大限に短縮化できる。
【0011】
(4)上記(1)~(3)の何れかに記載の洗浄機において、噴射孔及び壁部は、流路の延在方向に沿って配列されており、洗浄工程又は濯ぎ工程時に壁部によって仕切られた各空間から噴射孔を介して排出される水の量がそれぞれ等しくなるように、壁部の上端高さ、壁部の配置位置、噴射孔の配置位置が設定されてもよい。この構成では、ノズル本体に残る水を各噴射孔に分散して排出させることができ、更に、各噴射孔から排出される水の量を平均化することができる。これにより、洗浄工程又は濯ぎ工程の終了後に噴射孔のそれぞれから水が滴り落ちる時間を効果的に短縮化することができる。
【0012】
(5)上記(4)記載の洗浄機において、複数の前記壁部のそれぞれは、その上端位置が、水平方向に一致するように形成されてもよい。この構成では、ノズル本体の製造が容易となり、ノズル本体の回転時に先端部側に向かって均等に水を供給することができる。
【0013】
(6)上記(1)~(5)の何れかに記載の洗浄機において、ノズル本体は、洗浄水が流れる流路である洗浄流路と、洗浄流路に形成される噴射孔である洗浄噴射孔と、濯ぎ水が流れる流路である濯ぎ流路と、濯ぎ流路に形成される噴射孔である濯ぎ噴射孔と、が一体的に形成されており、壁部は、濯ぎ流路のみに形成されていてもよい。この構成では、ノズル本体は、洗浄水を噴射する洗浄工程と、洗浄工程の後の工程であって、濯ぎ水を噴射する濯ぎ工程との両方で回転をする。洗浄流路においては、濯ぎ工程時のノズル本体の回転による遠心力によって、洗浄流路内に残った水は洗浄噴射孔から排出されるので、濯ぎ工程の終了後に洗浄噴射孔のそれぞれから水が滴り落ちる頻度は低くなっている。この構成では、濯ぎ流路の底面に壁部を設けるシンプルな構成によって、濯ぎ工程の終了後に洗浄噴射孔のそれぞれ及び濯ぎ噴射孔のそれぞれから水が滴り落ちる時間を短縮化できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、洗浄工程又は濯ぎ工程の終了後に噴射孔から水が滴り落ちる時間を短縮化できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る食器洗浄機の概略構成を示す図である。
【
図5】
図5は、上側ノズル及び下側ノズルを構成する本体部のパーツの一方である。
【
図6】
図6は、上側ノズル及び下側ノズルを構成する本体部のパーツの他方である。
【
図7】
図7は、上側ノズルを濯ぎ流路の延在方向に沿って切断した断面図である。
【
図8】
図8(A)~(D)は、濯ぎポンプ作動している時から作動が停止したときの上側ノズルの濯ぎ流路における水の変化を示した図である。
【
図9】
図9(A)及び
図9(B)は、濯ぎポンプ作動している時から作動が停止したときの上側ノズルの濯ぎ流路における水の変化を示した図である。
【
図10】
図10は、濯ぎポンプが作動を停止した後の上側ノズルの濯ぎ流路における水の貯留状態を示す図である。
【
図11】
図11(A)は、上部支持部と上側ノズルとの取付状態を示す断面図である。
図11(B)は、
図11(A)の一部拡大断面図である。
【
図12】
図12(A)は、下部支持部と下側ノズルとの取付状態を示す断面図である。
図11(B)は、
図12(A)の一部拡大断面図である。
【
図13】
図13は、上部支持部に下側ノズルを取り付けようとしたときの状態を示す断面図である。
【
図14】
図14(A)は、上側ノズルと第一ノズルベアリングとの取付状態を示す斜視図であり、
図14(B)は、上側ノズルと第一ノズルベアリングとの取付状態を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して一実施形態に係る食器洗浄機(洗浄機)100について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、説明の便宜のため、
図1において、前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれ設定した。
【0017】
図1に示されるように、一実施形態に係る食器洗浄機100は、洗浄室1Bの前面にドア部15が設けられたアンダーカウンタ式の洗浄機である。
図1及び
図2に示されるように、食器洗浄機100は、洗浄機本体部1と、ドア部15と、洗浄タンク20と、上側ノズル3と、下側ノズル4と、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、コントローラ10と、を備えている。
【0018】
洗浄機本体部1は、図示しないフレームと、ステンレス製の外装パネル11と、内装パネル2と、を含んで形成されている。外装パネル11は、左右方向における側面を形成する一対の側部パネル11A,11Aと、上部パネル11Bと、上側前部パネル11Cと、下側前部パネル11Dと、後部パネル11Eと、を有している。少なくとも、下側前部パネル11Dは、フレームに対して容易に着脱可能に設けられている。洗浄機本体部1の下部の四隅には、脚部12が取り付けられている。上側前部パネル11Cには、食器洗浄機100の各種動作を操作する操作部13が設けられている。
【0019】
操作部13は、運転モードや各種設定の入力操作を行う部分である。本実施形態の操作部13は、液晶画面とこれを覆う強化ガラス(静電スイッチ)とによって構成されている。作業者は、液晶画面を覆う強化ガラスに触れることによって各種操作が可能となっている。なお、操作部13は、各種ボタンやタッチパネルによって構成されてもよいし、洗浄機本体部1とは別体のリモコン、操作端末等によって構成されてもよい。
【0020】
洗浄機本体部1の下部領域には、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、を収容する機械室1Aが形成されている。洗浄機本体部1の上部領域には、食器(被洗浄物)D等がセットされたラックを収容する洗浄室1Bが形成されている。洗浄室1Bは、洗浄タンク20の上方の空間であって、内装パネル2によって構成されている。内装パネル2は、主に、一対の側部パネル2A、2Aと、上部パネル2Bと、後部パネル(図示せず)と、を有している。一対の側部パネル2A,2Aの内面には、ラックを支持するラックレール23が形成されている。洗浄機本体部1には、食器D等がセットされたラックを洗浄室1Bに出し入れする開口部1Cが形成されている。ラックレール23は、絞出加工によって側部パネル2A、2Aと一体的に形成されてもよいし、他の部材を側部パネル2A、2Aの内面に取り付けることによって形成されてもよい。
【0021】
ドア部15は、開口部1Cの外側に配置されている。ドア部15は、開口部1Cを開閉可能に設けられており、ドア部15が開けられると、洗浄室1Bが洗浄機本体部1の外部に開放される。ドア部15は、ドア部15の下端において左右方向に延在する軸を回転軸として回動可能に設けられている。作業者は、ドア部15の上端に設けられた取っ手15Aを手前に倒すことで、洗浄室1Bを開放することができる。
【0022】
洗浄タンク20は、洗浄室1Bの下方に設けられている。洗浄タンク20は、洗浄室1Bに収容された食器D等の洗浄に用いられる洗浄水を貯留する。洗浄水は、洗浄工程において洗浄室1Bに噴射される水である。洗浄タンク20には、洗浄水検知部24と、洗浄水ヒータ25Aと、洗浄水温度センサ25Bと、が設けられている。
【0023】
洗浄水検知部24は、洗浄タンク20に貯留された洗浄水の水位を検知する。洗浄水検知部24は、例えば、洗浄タンク20内の水位が定水位H1を超えている場合にONとなり、定水位H1以下の場合にOFFとなるスイッチである。洗浄水検知部24による検知結果は、コントローラ10によって取得される。後段にて詳述する洗浄ポンプ5は、駆動中に空気を吸い込むと、いわゆるエア噛みを起こして上側ノズル3及び下側ノズル4から洗浄水を噴射できなくなる。一実施形態では、洗浄水検知部24が運転中にOFFになったときに洗浄ポンプ5の稼働を停止することで、洗浄ポンプ5による空気の吸い込みを防止する。
【0024】
洗浄水ヒータ25Aは、殺菌能力及び洗浄能力を向上させるために洗浄タンク20に貯留された洗浄水を加熱する。洗浄水温度センサ25Bは、洗浄タンク20に貯留された洗浄水の温度を検知する。洗浄水温度センサ25Bによる検知結果は、コントローラ10によって取得される。洗浄水ヒータ25AにおけるON・OFFは、コントローラ10によって制御される。例えば、洗浄水ヒータ25Aは、洗浄水温度センサ25Bが検知する水温に基づいて洗浄水を所定温度に維持するように、コントローラ10によって制御される。
【0025】
洗浄タンク20の底部20aには、円形状の貫通孔20bが形成されている。貫通孔20bは、厚み方向に貫通する複数の長孔が形成された円形の板状部材であって、異物の侵入を防止するポンプガード26によって覆われている。貫通孔20bは、接続部50を介して洗浄ポンプ5に接続されている。接続部50には、貫通孔20bに接続される第一接続孔50aと、洗浄機本体部1の外部に水を排出する排水管28に接続される排水孔50bと、洗浄ポンプ5に接続される第二接続孔50cと、が形成されている。なお、接続部50は、洗浄ポンプ5を構成するケーシングの一部として洗浄ポンプ5と一体的に構成されてもよいし、洗浄タンク20と洗浄ポンプ5と接続する部材として洗浄ポンプ5とは別に設けられてもよい。
【0026】
洗浄タンク20には、上下方向に延びるオーバーフローパイプ27が設けられている。オーバーフローパイプ27は、洗浄タンク20において所定水位を超えた水をその上端から流入させて洗浄タンク20の外部に排水し、洗浄タンク20に貯留される洗浄水の水位を規定する。オーバーフローパイプ27の下端は貫通孔20bを覆うポンプガード26を通って接続部50に形成された排水孔50bに着脱可能に差し込まれている。オーバーフローパイプ27は、その下端が排水孔50bから抜き取られることで、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を、貫通孔20b及び排水孔50bを介して排出することができる。
【0027】
上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられている。上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられた上部支持部21Aに回転自在に設けられている。上側ノズル3は、上側ノズル3における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在するノズル本体30を有している。ノズル本体30には、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔31と、回転中心から洗浄噴射孔31まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路32と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔33と、回転中心から濯ぎ噴射孔33まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路34と、が一体的に形成されている。上側ノズル3は、洗浄流路32に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路34に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。上側ノズル3には、洗浄流路32に洗浄水を供給する上側洗浄配管58及び濯ぎ流路34に濯ぎ水を供給する上側濯ぎ配管78が接続されている。
【0028】
下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられている。下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられた下部支持部21Bに回転自在に設けられている。下側ノズル4は、下側ノズル4における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在するノズル本体40を有している。ノズル本体40には、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔41と、回転中心から洗浄噴射孔41まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路42と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔43と、回転中心から濯ぎ噴射孔43まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路44と、が一体的に形成されている。下側ノズル4は、洗浄流路42に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路44に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。下側ノズル4には、洗浄流路42に洗浄水を供給する下側洗浄配管59及び濯ぎ流路44に濯ぎ水を供給する下側濯ぎ配管79が接続されている。
【0029】
食器ラックに並べられた食器Dは、洗浄工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって洗浄水が噴射され、濯ぎ工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって濯ぎ水が噴射される。
【0030】
洗浄ポンプ5は、機械室1Aに配置されている。洗浄ポンプ5は、食器D等を収容する洗浄室1Bに洗浄タンク20に貯留された洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ5は、接続部50を介して洗浄タンク20の洗浄水を取り込み、上側ノズル3及び下側ノズル4に洗浄水を圧送する。洗浄ポンプ5の第一吐出口には、上側洗浄配管58が接続されている。上側洗浄配管58は、上側ノズル3に接続されている。洗浄ポンプ5の第二吐出口には、下側洗浄配管59が接続されている。下側洗浄配管59は、下側ノズル4に接続されている。
【0031】
濯ぎタンク6は、機械室1Aに配置されている。濯ぎタンク6は、食器D等の濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する。濯ぎ水は、初期給湯工程や濯ぎ工程において洗浄室1Bに噴射される水である。濯ぎタンク6には、外部の水源から給水管60を介して水が供給される。給水管60には、ストレーナ60Aが設けられている。給水管60におけるストレーナ60Aの下流側には、バルブ60Bが設けられている。
【0032】
濯ぎタンク6には、濯ぎ水検知部62と、オーバーフロー部63と、濯ぎ水ヒータ64Aと、濯ぎ水温度センサ64Bと、が設けられている。
【0033】
濯ぎ水検知部62は、濯ぎタンク6に貯留された水が、定水位H2にあることを検知するスイッチである。濯ぎ水検知部62の検知結果は、コントローラ10によって取得される。バルブ60Bは、コントローラ10によって制御されている。例えば、コントローラ10は、濯ぎ水検知部62における定水位H2の検知と連動して弁を開閉し、濯ぎタンク6に貯留される濯ぎ水の水位を一定に維持するように、バルブ60Bを制御する。
【0034】
オーバーフロー部63は、濯ぎタンク6において満水位を超えた水を排出する。濯ぎタンク6は、密閉型のタンクであり、例えば、バルブ60Bが閉弁異常となったときに満水位を超える。濯ぎ水ヒータ64Aは、殺菌能力及び濯ぎ能力を向上させるために濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を加熱する。濯ぎ水温度センサ64Bは、濯ぎ水の温度を検知する。濯ぎ水温度センサ64Bによる検知結果は、コントローラ10によって取得される。濯ぎ水ヒータ64AにおけるON・OFFは、コントローラ10によって制御される。例えば、濯ぎ水ヒータ64Aは、濯ぎ水温度センサ64Bが検知する水温に基づいて濯ぎ水を所定温度に維持するように、コントローラ10によって制御される。
【0035】
濯ぎポンプ7は、食器D等を収容する洗浄室1Bに濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を送り出す。濯ぎポンプ7は、濯ぎタンク6の濯ぎ水を取り込み、上側ノズル3及び下側ノズル4に濯ぎ水を圧送する。濯ぎポンプ7の吐出口には、濯ぎ配管77を介して上側濯ぎ配管78と下側濯ぎ配管79とが接続されている。上側濯ぎ配管78は、上側ノズル3に接続されている。下側濯ぎ配管79は、下側ノズル4に接続されている。
【0036】
洗剤供給ポンプ8は、機械室1Aに配置されている。洗剤供給ポンプ8は、洗剤タンク8A内に貯留された洗剤を配管8Bを介して洗浄室1Bに供給する。洗浄室1B内に吐出された洗剤は、洗浄タンク20内に流れ込み、洗浄水と混じり合う。リンス剤供給ポンプ9は、機械室1Aに配置されている。リンス剤供給ポンプ9は、リンス剤タンク9Aに貯留されたリンス剤を配管9Bを介して濯ぎ配管77に供給する。濯ぎ配管77に供給されたリンス剤は、濯ぎ水と混じり合い、上側ノズル3及び下側ノズル4を介して洗浄室1Bに供給される。
【0037】
コントローラ10は、洗浄機本体部1における上部パネル11Bと洗浄室1Bを構成する上部パネル2Bとの間に配置されている。コントローラ10は、食器洗浄機100における動作全般を制御する。コントローラ10は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び入出力インターフェース等から構成される。ROMには、各種プログラム又はデータが格納されている。コントローラ10は、洗浄水を洗浄室1B内に噴射して食器Dを洗浄する洗浄工程の実行と、濯ぎ水を洗浄室1B内に噴射して食器Dを濯ぐ濯ぎ工程の実行とを一サイクルとする洗浄運転を制御する。
【0038】
次に、上側ノズル3について、主に
図3、
図5~
図7を用いて詳細に説明する。
図3、
図5~
図7に示されるように、上側ノズル3は、上側ノズル3における回転軸R3の回転中心である基端部BPから半径方向に沿って先端部TPまで延在すると共に、先端部TP側が上側ノズル3の回転方向Rの後方に湾曲するノズル本体30を備える。ノズル本体30は、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する複数の洗浄噴射孔31と、回転軸R3の回転中心の基端部BPから先端部TPまで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路32と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する複数の濯ぎ噴射孔33と、回転軸R3の回転中心の基端部BPから先端部TPまで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路34と、が一体的に形成されている。
【0039】
図5及び
図6は、上側ノズル3のノズル本体30を回転面に沿って二つに分割された第一パーツ(上面34b側のパーツ)3Aと第二パーツ(底面34a側のパーツ)3Bとをそれぞれ内面側(流路側)から見た図である。ノズル本体30を構成する第一パーツ3A及び第二パーツ3Bは、ポリプロピレン等の樹脂材料によって一体成形されている。上側ノズル3のノズル本体30は、このような二つの第一パーツ3A及び第二パーツ3Bを溶着等によって固着することによって形成される。なお、
図5及び
図6に示される第一パーツ3A及び第二パーツ3Bの状態では、下記に詳述する洗浄流路32及び濯ぎ流路34は形成されておらず、第一パーツ3A及び第二パーツ3B同士を固着したときに洗浄流路32及び濯ぎ流路34となる溝が形成されているに過ぎない。ここでは、説明の便宜上、これらの溝も洗浄流路32及び濯ぎ流路34と称して、上側ノズル3について説明する。
【0040】
洗浄流路32は、回転軸R3の回転中心の基端部BPから半径方向に沿って先端部TPまで延びている。洗浄流路32は、回転方向R前方に凸状に湾曲するように延びている。洗浄流路32は、ノズル本体30が上部支持部21Aに取り付けられたときに、基端部BPが先端部TPよりも低くなるように形成された底面32aを有している。具体的には、洗浄流路32の底面32aには、基端部BP側が先端部TP側よりも低くなる傾斜面SSが延在方向の少なくとも一部に形成されている。本実施形態の洗浄流路32では、基端部BPから第一境界位置P1までは水平面FSが形成され、第一境界位置P1から先端部TPまでは傾斜面SSが形成されている。また、洗浄流路32は、ノズル本体30が上部支持部21Aに取り付けられたときに、基端部BPから先端部TPまでが略水平となる上面32bを有している。洗浄流路32は、上側洗浄配管58から第一流入軸30aを介して洗浄水が流入する。
【0041】
洗浄噴射孔31は、洗浄ポンプ5によって洗浄タンク20から圧送される水を洗浄室1Bに噴射する。より詳細には、洗浄噴射孔31は、上側ノズル3の下方に配置された食器Dに向けて噴射する。食器Dの汚れを洗い落とすためには洗浄噴射孔31から大流量の洗浄水が噴射されることが必要である。上側ノズル3の洗浄流路32では、大流量の洗浄水の流通を可能にするため、延在方向と直交する方向に(円周方向に沿って)幅を有している。洗浄噴射孔31は、このような幅を有する洗浄流路32において回転方向Rにおける前方側(例えば、幅方向中心位置よりも前方側)に設けられると共に、洗浄流路32の延在方向に沿って複数配列されている。また、洗浄噴射孔31は、洗浄流路32を構成する底面32aに形成されている。
【0042】
洗浄流路32には、鉛直方向上方に向かって(すなわち、ノズル本体30の外側から内側に向かって)突出する半球状の第一突出部35が形成されている。第一突出部35は、ノズル本体30を下側から見れば上方に向かって窪んでいる。洗浄噴射孔31は、このような第一突出部35に設けられている。第一突出部35は、ノズル本体30からの洗浄水の噴射方向を方向付ける。より詳細には、半球状の第一突出部35に洗浄噴射孔31を設ける場合、第一突出部35のどの部分に洗浄噴射孔31を設けるかによって孔(貫通方向)の向きが変わる。このため、第一突出部35における洗浄噴射孔31の位置を調整することで、所望の方向に洗浄水を噴射できるようになる。例えば、半球状の第一突出部35の頂点近傍に洗浄噴射孔31を設ければ、真下に近い下方に向けて洗浄水を噴射することができ、半球状の第一突出部35の周縁部近傍に洗浄噴射孔31を設ければ、斜め下方に向けて洗浄水を噴射することができる。これにより、例えば、ノズル本体30の先端部TP側に配置される洗浄噴射孔31はラックの周縁部に近い部分に収容される食器Dに向けて噴射するように方向付けたり、ノズル本体30の基端部BP側に配置される洗浄噴射孔31はラックの中央部近傍に収容される食器Dに向けて噴射するように方向付けたりすることが容易となる。
【0043】
本実施形態では、このような第一突出部35の一部を一方向に切り欠くことによって洗浄噴射孔31を形成することで、洗浄噴射孔31を、第一突出部35の回転方向Rにおける前方側に寄せている。より詳細には、第一突出部35において上記の切り欠いた部分(切り欠いた部分が長さを有している場合(一方向に延在している場合)であればその一方の端部)を洗浄流路32の回転方向前方側の流路壁面に沿って配置することで、洗浄噴射孔31を洗浄流路32の回転方向Rにおける前方側、すなわち洗浄流路32の流路壁面に寄せている。なお、洗浄噴射孔31の回転方向前方側への寄せの程度は、濯ぎ工程時の上側ノズル3の回転によって、洗浄流路32において回転方向前方側に誘導される洗浄水が洗浄噴射孔31から排出できるように適宜調整される。
【0044】
濯ぎ流路34は、回転軸R3の回転中心の基端部BPから半径方向に沿って先端部TPまで延びている。濯ぎ流路34は、回転方向R前方に凸状に湾曲するように延びている。濯ぎ流路34は、ノズル本体30が上部支持部21Aに取り付けられたときに、基端部BPが先端部TPよりも低くなるように形成された底面34aを有している。具体的には、濯ぎ流路34の底面34aには、基端部BP側が先端部TP側よりも低くなる傾斜面SSが延在方向の少なくとも一部に形成されている。
【0045】
本実施形態の濯ぎ流路34では、基端部BPから先端部TPに向かって、水平面FSと傾斜面SSとが交互に形成されている。より具体的には、濯ぎ流路34では、基端部BPから第二境界位置P2までは水平面FSが形成され、第二境界位置P2から第三境界位置P3までは傾斜面SSが形成され、第三境界位置P3から先端部TPまでは水平面FSが形成されている。また、濯ぎ流路34は、ノズル本体30が上部支持部21Aに取り付けられたときに、基端部BPから先端部TPまでが略水平となる上面34bを有している。濯ぎ流路34は、上側濯ぎ配管78から第二流入軸30bを介して濯ぎ水が流入する。
【0046】
濯ぎ噴射孔33は、濯ぎポンプ7によって濯ぎタンク6から圧送される水を洗浄室1Bに噴射する。より詳細には、濯ぎ噴射孔33は、上側ノズル3の下方に配置された食器Dに向けて水を噴射する。濯ぎ噴射孔33は、濯ぎ流路34の延在方向に沿って複数配列されている。また、濯ぎ噴射孔33は、濯ぎ流路34を構成する底面34aに形成されている。
【0047】
濯ぎ流路34には、鉛直方向上方に向かって(すなわち、ノズル本体30の外側から内側に向かって)突出する半球状の第二突出部36が形成されている。第二突出部36は、ノズル本体30からの濯ぎ水の噴射方向を方向付けるために設けられている。濯ぎ噴射孔33は、このような第二突出部36の一部を一方向に切り欠くことによって形成されている。複数の濯ぎ噴射孔33のサイズは、それぞれ同じである。これにより、濯ぎポンプ7からの濯ぎ水の圧送が停止された後の複数の濯ぎ噴射孔33における単位時間あたりの排出量は、どれもほぼ同じとなる。
【0048】
濯ぎ流路34には、互いに隣り合う濯ぎ噴射孔33,33の間に第一壁部(壁部)38Aが形成されている。本実施形態では、第一壁部38Aは、濯ぎ噴射孔33の先端部TP側に隣接するように形成されている。第一壁部38Aは、底面34aから上方に立ち上がるように形成されている。第一壁部38Aは、濯ぎ流路34の延在方向に直交する主面と、上端と、を有している。濯ぎ流路34において、第一壁部38Aの上端と濯ぎ流路34の上面34bとの間には、隙間が形成されている。第一壁部38Aは、ノズル本体30と一体的に形成されてもよいし、別体として濯ぎ流路34内に配置されてもよい。
【0049】
第一壁部38Aは、濯ぎ流路34を延在方向に複数のブロックに仕切るように配置されている。第一壁部38Aは、先端部TP側から基端部BP側に向って底面34aを伝う水の流れを堰き止めることができる。また、第一壁部38Aは、上述したように、先端部TP側から基端部BP側に向って底面34aを伝う水の流れを堰き止め、濯ぎ工程の終了後に水が貯留する水溜部39を形成する。
【0050】
以下、
図8を用いて濯ぎ工程時の上側ノズル3の水の流れを説明する。なお、
図8に示される図は模式的なものであり、濯ぎ噴射孔33、第一壁部38Aの位置、第一壁部38Aの上端高さ位置は、実施形態のものとは必ずしも一致しない。
図8に示されるように、濯ぎ工程において、濯ぎポンプ7から濯ぎタンク6に貯留された水が濯ぎ流路34に圧送されると、第一壁部38Aの上端を乗り越えて基端部BPから先端部TPに向かって水が流れる。そして、複数の濯ぎ噴射孔33のそれぞれから水が噴射されることによって、ノズル本体30に力が作用し、ノズル本体30が回転するようになる。このとき、
図8(A)に示されるように、濯ぎ流路34内は、濯ぎタンク6から圧送される水で満たされている。
【0051】
一方、濯ぎポンプ7からの水の圧送がなくなると、
図8(B)に示されるように、上面噴射孔37Aを介して濯ぎ流路34内に空気が流入すると共に、各濯ぎ噴射孔33から排出(噴射)される水によって濯ぎ流路34内全体の水位が徐々に下がり、第一壁部38Aの上端位置にまで低下する。本実施形態では、第一壁部38Aの上端位置が全て同じ高さ位置にある(言い替えれば、ノズル本体30が上部支持部21Aに取り付けられたときに、第一壁部38Aの上端の高さ位置が全て同じとなるように形成されている。)ので、水位が下がることによって第一壁部38Aの上端は、ほぼ同じタイミングで露出する。
【0052】
本実施形態では、濯ぎ流路34における水位が第一壁部38Aの上端位置になった後に各濯ぎ噴射孔33から排出される水の総量がそれぞれ等しくなるように、第一壁部38Aの上端高さ、第一壁部38Aの配置位置、濯ぎ噴射孔33の配置位置が設定されている。ここで、濯ぎ流路34における水位が第一壁部38Aの上端位置になった後に各濯ぎ噴射孔33から排出される水の総量とは、
図8(C)においてハッチングされる各空間S1,S2,S3に対応する水の量である。各空間S1,S2,S3は、第一壁部38Aによって仕切られる濯ぎ流路34の空間のうち、底面34aから第一壁部38Aの上端の高さ位置までの空間から、
図8(D)に示されるような第一壁部38Aによって堰き止められた水が貯留される空間(水溜部39を形成する空間)を差し引いた空間である。本実施形態では、各空間S1,S2,S3が同じ容積となるように形成されている。以下、当該空間をそれぞれ第一単位空間S1、第二単位空間S2、第三単位空間S3と称する。
【0053】
上述したように、本実施形態では、第一単位空間S1、第二単位空間S2、第三単位空間S3が同じ容積となるように形成されると共に、各濯ぎ噴射孔33から排出される単位時間あたりの排出量が同じとなるように濯ぎ噴射孔33のサイズが形成されているので、濯ぎ噴射孔33を介した各空間S1,S2,S3からの水の排出完了は、ほぼ同じタイミングとなる。各空間S1,S2,S3から水の排出が完了した後は、
図8(D)に示されるように、濯ぎ流路34における水溜部39に水が貯留される。
【0054】
上面噴射孔37Aは、濯ぎ流路34を構成する上面34bに形成されている。上面噴射孔37Aは、洗浄室1Bの内面側上面である上部パネル2Bを濯ぐ。より詳細には、上面噴射孔37Aは、上側ノズル3の上方に配置された上部パネル2Bに向けて水を噴射する。
【0055】
濯ぎ流路34には、最も先端部TP側にある濯ぎ噴射孔33の基端部BP側に隣接するように第二壁部38Bが形成されている。第二壁部38Bも、第一壁部38Aと同様に、底面34aから上方に立ち上がるように形成されている。第二壁部38Bは、濯ぎ流路34の延在方向に直交する主面と、上端と、を有している。第二壁部38Bの上端と濯ぎ流路34の上面34bとの間には、隙間が形成されている。第二壁部38Bは、ノズル本体30と一体的に形成されてもよいし、別体として濯ぎ流路34内に配置されてもよい。本実施形態では、第一壁部38Aの上端高さ位置と、第二壁部38Bの上端高さ位置とが略等しくなるように形成されている。
【0056】
第一壁部38Aに類似する形状を有する第二壁部38Bではあるが、濯ぎ流路34に配置される目的は、上述した第一壁部38Aとは大きく異なる。上述したような上側ノズル3では、濯ぎポンプ7による圧送が停止した後も、しばらくの間は、ノズル本体30の惰性回転から発生する遠心力によって、ノズル本体30の内部(濯ぎ流路34)に残る残水が濯ぎ噴射孔33から排出される。このとき、濯ぎ噴射孔33から排出された水は遠心力によって外側に向かって飛び散るが、先端部TP側にある濯ぎ噴射孔33は回転中心からの距離が長くなり、その分、遠心力が大きく作用するので、飛び散る距離が長くなる。そして、ノズル本体30が惰性による回転をしているときに、作業者等がドア部15を開放すると、先端部TP側の濯ぎ噴射孔33から排出される水が庫外に飛び散る可能性がある。水が庫外に飛び散ると、床面等を濡らしてしまうため、床面を歩く作業者等が足を滑らせて転倒してしまったりするおそれがある。
【0057】
本実施形態の上側ノズル3では、濯ぎポンプ7による圧送が停止すると、
図9(A)に示されるように、最初は、濯ぎ流路34の全てが水で満たされているところ、濯ぎ噴射孔33から水が排出されるに従って、
図9(B)に示されるように、第二壁部38Bの上端高さ位置まで水位が下がる。本実施形態では、第二壁部38Bが形成されているので、第二壁部38Bの上端高さ位置まで水位が下がった後は、遠心力による先端部TP側への水の流れが遮られる。したがって、比較的早い段階で、最も先端部TP側にある濯ぎ噴射孔33から水が排出されることを止めることができる。
【0058】
上述したとおり、従来の第一壁部38Aが形成されていない上側ノズル3では、濯ぎ工程終了後、濯ぎ流路34内に残る全ての水が基端部BP側に流れてくるところ、本実施形態の上側ノズル3では、第一壁部38Aによって水の流れが遮られ、一部の水のみが基端部BP側に流れてくる。すなわち、本実施形態の上側ノズル3では、従来の構成と比べて基端部BP側に流れてくる水の量が大幅に減少する。
図10は、このときの水の貯留状態の一例を示した断面図である。
【0059】
本実施形態の上面噴射孔37Aの開口径は、
図10に示されるような水の貯留状態において、上面噴射孔37Aに残っている水滴WD1の表面張力が、濯ぎ流路34において最も基端部BP側にある濯ぎ噴射孔33から排出される水滴WD2の表面張力と釣り合うようなサイズとなるように形成されている。これにより、濯ぎ流路34の基端部BP側に集まって来た水は、しばらくは濯ぎ流路34において最も基端部BP側にある濯ぎ噴射孔33から排出されるものの、上述した水滴WD1,WD2の表面張力同士が釣り合う状態となったときに、排出が止まることとなる。この結果、従来であれば、濯ぎ流路34の基端部BP側に集まって来た水は、最も基端部BP側にある濯ぎ噴射孔33から全排出されていたところ、本実施形態の上側ノズル3では途中で水の排出が止まるので、濯ぎ工程後に濯ぎ噴射孔33から水が排出される時間を短縮化できる。
【0060】
更に、本実施形態では、上面噴射孔37Aの開口径は、上面噴射孔37Aに水滴が残らずに表面張力が働かない状況において濯ぎ流路34の基端部BP側に集まって来た水が、基端部BP側の濯ぎ噴射孔33から滴下するようなサイズではなく、にじみ出る程度の速度となるような圧力バランスとなるようなサイズに形成されている。これにより、上面噴射孔37Aに水滴が残っていない場合には、濯ぎ流路34の基端部BP側に集まって来た水は濯ぎ噴射孔33から排出されるものの、その速度は非常に低速であり、にじみ出る程度のものである。したがって、濯ぎ噴射孔33からにじみ出た水滴WD2は、上側ノズル3の下面から滴下する前に水温が下がり、また、場合によっては上側ノズル3の下面から滴下する前に上側ノズル3に蓄積された熱によって蒸発する。したがって、濯ぎ工程後に、濯ぎ噴射孔33からにじみ出た水滴WD2が滴下することによって作業者等がやけど等したりすることを抑制できる。
【0061】
上側ノズル3は、洗浄室1Bに設けられた上部支持部21Aからノズル本体30を着脱する着脱機構22を備えている。着脱機構22は、一方向に対向して配置される一対のつまみ部22B,22Bを有している。着脱機構22は、一対のつまみ部22B,22Bの両方を互いに近づける方向に押圧することによって、上部支持部21Aからノズル本体30を着脱することができる。
【0062】
次に、下側ノズル4について、
図4~
図7を用いて詳細に説明する。
図1及び
図4~
図6に示されるように、下側ノズル4は、下側ノズル4における回転軸R4の回転中心である基端部BPから半径方向に沿って先端部TPまで延在すると共に、先端部TP側が下側ノズル4の回転方向Rの後方に湾曲するノズル本体40を備える。ノズル本体40は、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する複数の洗浄噴射孔41と、回転軸R4の回転中心である基端部BPから先端部TPまで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路42と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する複数の濯ぎ噴射孔43と、回転軸R4の回転中心である基端部BPから先端部TPまで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路44と、が一体的に形成されている。なお、下側ノズル4は、上側ノズル3を上下ひっくり返した状態で下部支持部21Bに取り付けられることで構成される。すなわち、下側ノズル4の構成は、上側ノズル3の構成と同じである。このため、ここでの下側ノズル4の詳細な説明は省略する。
【0063】
上述したとおり、上側ノズル3と下側ノズル4とは構成が同じであるので、上下の区別無く、上側ノズル3を下部支持部21Bに取り付けることもできるし、下側ノズル4を上部支持部21Aに取り付けることもできる。ところが、食器洗浄機100の機種によっては、ノズルの回転中心位置からドア部15までの距離が、上側ノズル3と下側ノズル4とで互いに異なる場合がある。このような場合には、各ノズルがドア部15に接触しないように、上側ノズル3と下側ノズル4とで、互いにサイズを変える必要がある。ここでいうサイズとは、回転中心である基端部BPから先端部TPまでの直線長さであり回転半径である。上側ノズル3と下側ノズル4とで互いにサイズが変える場合には、上側には上側専用のノズル、下側には下側専用のノズルを、互いに間違うことなく正しく取り付ける必要がある。以下では、このようなノズルの取り付け間違いを防止できる構成について説明する。
【0064】
まず、上部支持部21Aについて説明する。
図11(A)及び
図11(B)に示されるように、上部支持部21Aは、第一ヘッダ130と、第二ヘッダ131と、を備えている。第一ヘッダ130は、上側ノズル3を回転自在に支持すると共に、上側濯ぎ配管78から供給される濯ぎ水を上側ノズル3に供給する。上側濯ぎ配管78は、上側洗浄配管58の内部に配置されている。すなわち、上側濯ぎ配管78及び上側洗浄配管58は、二重管構造を成している。第一ヘッダ130は、シャフト132と、キャップ133と、ベアリング134と、ストッパ135と、を有している。
【0065】
シャフト132は、中空状の部材であり、円筒状に形成されている。シャフト132は、上側濯ぎ配管78に挿入されている。具体的には、シャフト132の上端部が、上側濯ぎ配管78の下端部に挿入されている。シャフト132は、流入口136と、供給穴137と、張出部139と、を有している。流入口136は、上側濯ぎ配管78から供給される濯ぎ水をシャフト132に流入させる。供給穴137は、上側ノズル3に濯ぎ水を供給する。供給穴137は、上側ノズル3の濯ぎ流路34に対して、流入口136から流入した濯ぎ水を供給する。供給穴137は、シャフト132の内部と外部とを貫通するように形成されている。供給穴137は、シャフト132の周方向において、所定の間隔をあけて配置されている。
【0066】
張出部139は、シャフト132の外周面から外側に張り出している。張出部139は、円環状に形成されている。張出部139は、シャフト132が上側濯ぎ配管78に挿入されたときに、上側濯ぎ配管78の下端と対向配置される。張出部139は、上側濯ぎ配管78の下端と第二ヘッダ131との間に配置され、上側濯ぎ配管78と第二ヘッダ131とに挟持される。これにより、第一ヘッダ130は、上側濯ぎ配管78に対して固定される。
【0067】
キャップ133は、シャフト132の下部に挿入され、シャフト132の上下方向に延在する流路を閉じている。キャップ133の下端には、ストッパ135が接続される接続部133Aが形成されている。ベアリング134は、ストッパ135の軸部に外挿され、ストッパ135に対して回転自在に設けられている。ベアリング134は、上側ノズル3の着脱機構22が接続される。上側ノズル3は、着脱機構22のフック22Fがベアリング134に設けられている凹部134Aに係合することにより、ベアリング134と一体化される。これにより、上側ノズル3は、ストッパ135に対して回転自在に設けられる。
【0068】
ストッパ135は、キャップ133に着脱可能に設けられている。ストッパ135は、キャップ133の接続部133Aに接続される。ストッパ135は、例えばねじである。ストッパ135は、キャップ133との間でベアリング134を回転可能に挟持する。第一ヘッダ130では、ストッパ135を取り外すことによって、キャップ133及びベアリング134をシャフト132から取り外すことができる。
【0069】
第二ヘッダ131は、装着部143と、流入部144と、吐出部145と、を有している。装着部143、流入部144及び吐出部145は、一体に形成されている。第二ヘッダ131は、上側洗浄配管58から供給される洗浄水を上側ノズル3に供給する。
【0070】
装着部143は、上側洗浄配管58に装着される。装着部143は、円筒状に形成されている。装着部143は、螺旋溝等に螺合されることよって上側洗浄配管58に固定される。流入部144は、上側洗浄配管58から供給された洗浄水を第二ヘッダ131に流入させる。流入部144は、上側洗浄配管58と連通している。流入部144には、上側洗浄配管58から流入する洗浄水の流路を狭くする絞り部144Aが形成されている。
【0071】
吐出部145は、流入部144から流入する洗浄水を上側ノズル3の洗浄流路32に吐出する。吐出部145には、上方に向かって凹む凹部145Aが形成されている。凹部145Aは、流入部144の絞り部144Aによって狭くなった流路を再び広くする部分である。凹部145Aは、下方に向かって径が拡がるテーパー面によって形成されている。このような流入部144及び吐出部145の構成によって、上側洗浄配管58から流入する洗浄水の流路は一旦絞られ、その後に上側ノズル3の洗浄流路32に向かって広げられる。そして、このような流路が形成されることで、上側洗浄配管58から上側ノズル3の洗浄流路32にスムーズに水が流入し、洗浄流路32の先端部TP側に向かってスムーズに洗浄水が流れる。
【0072】
上側ノズル3は、上述したような構成の上部支持部21Aに取り付けられる。具体的には、上側ノズル3に形成された挿入部22Aを第一ノズルベアリングB31を介してシャフト132に外挿すると共に、上側ノズル3における着脱機構22のフック22Fをベアリング134に設けられている凹部134Aに係合させる。挿入部22Aの内周面には、第一ノズルベアリングB31及び第二ノズルベアリングB32が設けられている。
【0073】
第一ノズルベアリングB31は、シャフト132に外挿され、シャフト132に対して回転自在に上側ノズル3を支持する。第一ノズルベアリングB31がシャフト132に外挿されたとき、第一ノズルベアリングB31は、吐出部145の凹部145Aの内側に位置する。第一ノズルベアリングB31は、挿入部22Aが外挿されている部分より上側に突出する突出部Pr3が形成されている。吐出部145における凹部145Aの高さ寸法J3は、第一ノズルベアリングB31における突出部Pr3の突出寸法G3に合わせて形成されている。第二ノズルベアリングB32は、キャップ133に外挿され、キャップ133に対して回転自在に上側ノズル3を支持する。
【0074】
続いて、下部支持部21Bについて説明する。
図12(A)及び
図12(B)に示されるように、下部支持部21Bは、第一ヘッダ230と、第二ヘッダ231と、を備えている。第一ヘッダ230は、下側ノズル4を回転自在に支持すると共に、下側濯ぎ配管79から供給される濯ぎ水を下側ノズル4に供給する。下側濯ぎ配管79は、下側洗浄配管59の内部に配置されている。すなわち、下側濯ぎ配管79及び下側洗浄配管59は、二重管構造を成している。第一ヘッダ230は、シャフト232と、キャップ233と、ベアリング234と、ストッパ235と、を有している。
【0075】
シャフト232は、中空状の部材であり、円筒状に形成されている。シャフト232は、下側濯ぎ配管79に挿入されている。具体的には、シャフト232の下端部が、下側濯ぎ配管79の上端部に挿入されている。シャフト232は、流入口236と、供給穴237と、逆止弁238と、張出部239と、を有している。流入口236は、下側濯ぎ配管79から供給される濯ぎ水をシャフト232に流入させる。供給穴237は、下側ノズル4に濯ぎ水を供給する。供給穴237は、下側ノズル4の濯ぎ流路44に対して、流入口236から流入した濯ぎ水を供給する。供給穴237は、シャフト232の内部と外部とを貫通するように形成されている。供給穴237は、シャフト232の周方向において、所定の間隔をあけて配置されている。
【0076】
逆止弁238は、供給穴237側から流入口236(濯ぎ水の流路の上流側)に向かう水の流れを阻止する。逆止弁238は、弁体241と、止水部242と、を含んで構成されている。本実施形態では、弁体241は、球体である。弁体241は、例えば樹脂で形成されている。弁体241は、シャフト232の内部に配置されており、シャフト232内において移動可能に設けられている。止水部242は、シャフト232内の水の経路において、流入口236と供給穴237との間に設けられている。止水部242は、シャフト232の内面から内側に向かって突出している。止水部242は、円環状に形成されている。止水部242は、流入口236と供給穴237とを連通させ、弁体241の直径よりも小さな流通穴を形成している。逆止弁238では、弁体241が止水部242に接触することによって、流通穴が閉塞される。逆止弁238では、弁体241が止水部242から離間することによって、流通穴が開放される。
【0077】
張出部239は、シャフト232の外周面から外側に張り出している。張出部239は、円環状に形成されている。張出部239は、シャフト232が下側濯ぎ配管79に挿入されたときに、下側濯ぎ配管79の上端と対向配置される。張出部239は、下側濯ぎ配管79の上端と第二ヘッダ231との間に配置され、下側濯ぎ配管79と第二ヘッダ231とに挟持される。これにより、シャフト232(第一ヘッダ230)は、下側濯ぎ配管79に対して固定される。
【0078】
キャップ233は、シャフト232の上部に挿入され、シャフト232の上下方向に延在する流路を閉じている。キャップ233の上端には、ストッパ235が接続される接続部233Aが形成されている。ベアリング234は、ストッパ235の軸部に外挿され、ストッパ235に対して回転自在に設けられている。ベアリング234は、下側ノズル4の着脱機構22が接続される。下側ノズル4は、着脱機構22のフック22Fがベアリング234に設けられている凹部234Aに係合することにより、ベアリング234と一体化される。これにより、下側ノズル4は、ストッパ235に対して回転自在に設けられる。
【0079】
ストッパ235は、キャップ233に着脱可能に設けられている。ストッパ235は、キャップ233の接続部233Aに接続される。ストッパ235は、例えばねじである。ストッパ235は、キャップ233との間でベアリング234を回転可能に挟持する。第一ヘッダ230では、ストッパ235を取り外すことによって、キャップ233及びベアリング234をシャフト232から取り外すことができる。
【0080】
第二ヘッダ231は、装着部243と、流入部244と、吐出部245と、を有している。装着部243、流入部244及び吐出部245は、一体に形成されている。第二ヘッダ231は、下側洗浄配管59から供給される洗浄水を下側ノズル4に供給する。
【0081】
装着部243は、下側洗浄配管59に装着される。装着部243は、円筒状に形成されている。装着部243は、下側洗浄配管59の上端部に差し込まれる。装着部243は、ねじ247等によって下側洗浄配管59に固定される。流入部244は、下側洗浄配管59から供給された洗浄水を第二ヘッダ231に流入させる。流入部244は、下側洗浄配管59と連通している。流入部244には、下側洗浄配管59から流入する洗浄水の流路を狭くする絞り部244Aが形成されている。
【0082】
吐出部245は、流入部244から流入する洗浄水を下側ノズル4の洗浄流路42に吐出する。吐出部245には、上側ノズル3の凹部145Aと同様に、下方に向かって凹む凹部245Aが形成されている。凹部245Aは、流入部244の絞り部244Aによって狭くなった流路を再び広くする部分である。凹部245Aは、上方に向かって径が拡がるテーパー面によって形成されている。このような流入部244及び吐出部245の構成によって、下側洗浄配管59から流入する洗浄水の流路は一旦絞られ、その後に下側ノズル4の洗浄流路42に向かって広げられる。そして、このような流路が形成されることで、下側洗浄配管59から下側ノズル4の洗浄流路42にスムーズに水が流入し、洗浄流路42の先端部TP側に向かってスムーズに洗浄水が流れる。
【0083】
下側ノズル4は、上述したような構成の下部支持部21Bに取り付けられる。具体的には、下側ノズル4に形成された挿入部22Aを第一ノズルベアリングB41を介してシャフト232に外挿すると共に、下側ノズル4における着脱機構22のフック22Fをベアリング234に設けられている凹部234Aに係合させる。挿入部22Aの内周面には、第一ノズルベアリングB41及び第二ノズルベアリングB42が設けられている。
【0084】
第一ノズルベアリングB41は、シャフト232に外挿され、シャフト232に対して回転自在に下側ノズル4を支持する。第一ノズルベアリングB41がシャフト232に外挿されたとき、第一ノズルベアリングB41は、吐出部245の凹部245Aの内側に位置する。第一ノズルベアリングB41は、挿入部22Aが外挿されている部分より下側に突出する突出部Pr4が形成されている。吐出部245における凹部245Aの高さ寸法J4は、第一ノズルベアリングB41における突出部Pr4の突出寸法G4に合わせて形成されている。第二ノズルベアリングB42は、キャップ233に外挿され、キャップ233に対して回転自在に下側ノズル4を支持する。
【0085】
次に、上側ノズル3と下側ノズル4とが上下の正しい組合わせでないと上部支持部21A又は下部支持部21Bに取り付けることができず、同時に、誤って組み付けようとしたときに、その組合わせが誤りであると作業者に気付かせることができる構成(以下、誤組付防止構成)について説明する。具体的には、上側ノズル3における第一ノズルベアリングB31の突出部Pr3の高さ方向の寸法(突出寸法)G3と、下側ノズル4における第一ノズルベアリングB41の突出部Pr4の高さ方向の寸法(突出寸法)G4とが、互いに異なっている。具体的には、突出部Pr4の高さ方向の寸法K4が、突出部Pr3の高さ方向の寸法K3よりも大きくなるように形成されている。また、第一ノズルベアリングB41の外側に配置される吐出部245における凹部245Aの高さ寸法J4は、第一ノズルベアリングB31の外側に配置される吐出部145における凹部145Aの高さ寸法J3よりも大きくなるように形成されている。
【0086】
このような誤組付防止構成では、
図13に示されるように、下側ノズル4を間違って上部支持部21Aに取り付けようとしても、下側ノズル4における着脱機構22のフック22Fの位置が、上側ノズル3を正しく取り付けようとするときの位置よりも下方に下がり、ベアリング134に設けられている凹部134Aの位置と一致しない。したがって、上部支持部21Aを構成するベアリング134の凹部134Aに着脱機構22のフック22Fを係合させることができない。言い替えれば、ベアリング134の凹部134Aでない一部とフック22Fとが重なり合い(
図13に示される黒塗部分)、ベアリング134の凹部134Aに着脱機構22のフック22Fを係合させることができない。このため、上部支持部21Aに下側ノズル4を間違って取り付けることはできず、その組合わせが誤りであると作業者に気付かせることができる。なお、上側ノズル3及び下側ノズル4を正しい組合わせでないと取り付けできない構成としては、以下に示す構成(A)~(C)も考え得る。
【0087】
(A)上部支持部21Aのシャフト132の軸径A3(
図11(A)参照)と下部支持部21Bのシャフト232の軸径A4(
図12(A)参照)とを互いに異ならせる構成
【0088】
例えば、下部支持部21Bのシャフト232の軸径A4を上部支持部21Aのシャフト132の軸径A3よりも大きくしてもよい。このような構成とすれば、下部支持部21Bのシャフト232には、上側ノズル3の挿入部22Aを外挿できなくなる。これにより、上側ノズル3及び下側ノズル4を間違って取り付けることはできず、その組合わせが誤りであると作業者に気付かせることができる。なお、この構成の場合、上部支持部21A、下部支持部21B、上側ノズル3及び下側ノズル4の各部の寸法変更が必要となり、コストがかかる。
【0089】
(B)上部支持部21Aのベアリング134に設けられている凹部134A及び凹部134Aに係合する上側ノズル3における着脱機構22のフック22Fの高さ寸法B3(
図11(B)参照)と、下部支持部21Bのベアリング234に設けられている凹部234A及び凹部234Aに係合する下側ノズル4における着脱機構22のフック22Fの高さ寸法B4(
図12(B)参照)とを互いに異ならせる構成
【0090】
例えば、下部支持部21Bの凹部234A及びフック22Fの高さ寸法B4を、上部支持部21Aの凹部134A及びフック22Fの高さ寸法B3よりも大きくしてもよい。このような構成とすれば、上部支持部21Aの凹部134Aには、下側ノズル4の着脱機構22のフック22Fを完全に係合させることができず、作業者に取付時の違和感を与えることができる。これにより、上側ノズル3及び下側ノズル4を間違って取り付けることはできず、その組合わせが誤りであると作業者に気付かせることができる。なお、この構成の場合、作業者に取付時の違和感を与えることができるものの、取り付けを完全に排除できるわけではないので、組み付け間違いの抑制効果は低い。
【0091】
(C)上部支持部21Aの吐出部145と上側ノズル3における着脱機構22のフック22Fとの位置関係と、下部支持部21Bの吐出部245と下側ノズル4における着脱機構22のフック22Fとの位置関係とを互いに異ならせる構成
【0092】
例えば、下部支持部21Bの吐出部245と上側ノズル3のフック22Fとの距離C4(
図12(A)参照)を、上部支持部21Aの吐出部145と上側ノズル3のフック22Fとの距離C3(
図11(A)参照)よりも大きくしてもよい。このような構成とすれば、下側ノズル4を間違って上部支持部21Aに取り付けようとしても、下側ノズル4における着脱機構22のフック22Fの位置が、上側ノズル3を正しく取り付けようとするときの位置よりも下方に下がり、ベアリング134に設けられている凹部134Aの位置と一致しない。したがって、上部支持部21Aを構成するベアリング134の凹部134Aに着脱機構22のフック22Fを係合させることができない。なお、この構成の場合、上部支持部21A、下部支持部21B、上側ノズル3及び下側ノズル4の各部の寸法変更が必要となり、コストがかかる。
【0093】
このような構成(A)~(C)に比べて、本実施形態の誤組付防止構成では、上側ノズル3の第一ノズルベアリングB31又は下側ノズル4の第一ノズルベアリングB41、そして、上部支持部21Aの第二ヘッダ131の吐出部145又は下部支持部21Bの第二ヘッダ231の吐出部245の寸法の変更だけで済むので製造コストを抑制できる。
【0094】
上述したとおり、上側ノズル3の第一ノズルベアリングB31の突出寸法G3と下側ノズル4の第一ノズルベアリングB41の突出寸法G4とが互いに異なる構成とした。なお、上側ノズル3を上部支持部21Aに取り付けるときは、前もって上側ノズル3の挿入部22Aに第一ノズルベアリングB31を内挿させる。また、下側ノズル4を下部支持部21Bに取り付けるときは、前もって下側ノズル4の挿入部22Aに第一ノズルベアリングB41を内挿させる。このため、上側ノズル3の挿入部22Aに下側ノズル4用の第一ノズルベアリングB41を内挿させたり(組み付けたり)、下側ノズル4の挿入部22Aに上側ノズル3用の第一ノズルベアリングB31を内挿させたり(組み付けたり)することを防止したいという要望がある。
【0095】
そこで、第一ノズルベアリングB31と上側ノズル3の挿入部22Aに対する嵌合構成と、第一ノズルベアリングB41と下側ノズル4の挿入部22Aに対する嵌合構成とを互いに異ならせる構成としてもよい。具体的には、
図14(A)及び
図14(B)に示されるように、上側ノズル3の挿入部22Aの上端には、凸部22Aaが形成されており、挿入部22Aの内周面には、内径の変更箇所である段部22Abが形成されている。また、第一ノズルベアリングB31の上端には、挿入部22Aの上端に形成された凸部22Aaに嵌合する凹部B31aと、第一ノズルベアリングB31の外周面には、挿入部22Aの内周面に形成された段部22Abに係合する段部B31bが形成されている。
【0096】
一方、下側ノズル4の挿入部22Aには、上述したような凸部22Aa及び段部22Abは形成されておらず、下側ノズル4に内挿される第一ノズルベアリングB41にも、凹部B31a及び段部B31bは形成されていない。このような構成とすることで、上側ノズル3の挿入部22Aには、下側ノズル4用の第一ノズルベアリングB41は組み付けできず、上側ノズル3用の第一ノズルベアリングB31しか組み付けできないようなる。また、上側ノズル3用の第一ノズルベアリングB31は、下側ノズル4の挿入部22Aには組み付けできず、上側ノズル3の挿入部22Aにしか組み付けできないようになる。この結果、上側ノズル3の挿入部22Aに下側ノズル4用の第一ノズルベアリングB41を玖付けたり、下側ノズル4の挿入部22Aに上側ノズル3用の第一ノズルベアリングB31を組み付けたりすることを防止できる。
【0097】
次に、上記実施形態の食器洗浄機100の作用効果について説明する。上記実施形態の食器洗浄機100における濯ぎ流路34では、底面34aが全体として先端部TPに比べて基端部BPが低くなるように形成され、先端部TPと基端部BPとの間に第一壁部38Aが形成される構成であっても、濯ぎポンプ7から圧送される水は、基端部BPから先端部TPに向かって水が流れ、濯ぎ噴射孔33から水が噴射されることによって、ノズル本体30が回転するようになる。一方、濯ぎポンプ7からの水の圧送がなくなると、濯ぎ流路34内の水は、相対的に高い位置にある先端部TPから低い位置にある基端部BPに向かって底面34aを伝って流れる。このとき、水は第一壁部38Aによって堰き止められ、第一壁部38Aによって仕切られた空間ごとに濯ぎ噴射孔33から排出される。すなわち、本実施形態では、濯ぎポンプ7停止時に濯ぎ流路34に残る水が、底面34aが相対的に最も低い位置に形成された一の濯ぎ噴射孔33から排出されるのではなく、第一壁部38Aによって仕切られた空間ごとに分散して排出されるようになる。この結果、濯ぎ工程の終了後に濯ぎ噴射孔33から水が滴り落ちる時間を短縮化できる。
【0098】
上記実施形態の食器洗浄機100では、第一壁部38Aによって堰き止められる水を貯留する水溜部39が形成されている。これにより、濯ぎポンプ7停止時に、相対的に高い位置にある先端部TPから低い位置にある基端部BPに向かって底面34aを伝って流れる水の一部は、第一壁部38Aによって堰き止められ、
図8(D)に示されるように、水溜部39に貯留される。このため、水溜部39によって貯留される水の量だけ、濯ぎ噴射孔33から排出される水の総量を減らすことができる。この結果、濯ぎ工程の終了後に濯ぎ噴射孔33から水が滴り落ちる時間を短縮化できる。
【0099】
上記実施形態の食器洗浄機100では、第一壁部38Aは、濯ぎ噴射孔33の先端部TP側に隣接するように形成されている。これにより、互いに隣り合う濯ぎ噴射孔33,33の間の濯ぎ流路34における空間において水溜部39に貯留される水の量を最大化することができる。これにより、濯ぎ工程の終了後に濯ぎ噴射孔33のそれぞれから水が滴り落ちる時間を最大限に短縮化できる。
【0100】
上記実施形態の食器洗浄機100では、濯ぎ噴射孔33及び第一壁部38Aは、濯ぎ流路34の延在方向に沿って配列されており、
図8(C)に示されるような第一単位空間S1、第二単位空間S2、第三単位空間S3のそれぞれから濯ぎ噴射孔33を介して排出される水の量がそれぞれ等しくなるように、第一壁部38Aの上端高さ、第一壁部38Aの配置位置、濯ぎ噴射孔33の配置位置が設定されている。これにより、ノズル本体30に残る水を各濯ぎ噴射孔33に分散して排出させることができ、更に、各濯ぎ噴射孔33から排出される水の量を平均化して、ほぼ同時に排出を完了することができる。この結果、濯ぎ工程の終了後に濯ぎ噴射孔33のそれぞれから水が滴り落ちる時間を効果的に短縮化することができる。
【0101】
なお、上記実施形態では、第一単位空間S1、第二単位空間S2及び第三単位空間S3は、同じ容積となるように濯ぎ流路34が形成される例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、最も基端部BPに近い位置に配置される空間S3等を、他の空間S1,S2の容積と比べて小さくする等、全ての空間S1,S2,S3を同じ容積とする必要はない。濯ぎポンプ7による圧送が停止した後、上述したように各空間S1,S2,S3から濯ぎ噴射孔33を介して水が排出される場合、少なくとも最後まで水が残る複数の空間の容積が同じとなるように濯ぎ流路34を構成してもよい。このように構成すれば、複数の空間S1,S2,S3のうち早期に排出が完了する空間はあるものの、残りの空間ではほぼ同時に排出が完了するので、この場合も濯ぎ工程の終了後に濯ぎ噴射孔33のそれぞれから水が滴り落ちる時間を効果的に短縮化することができる。なお、先端部TP側の底面34aが基端部BP側の底面34aよりも高くなる構成では、濯ぎポンプ7による圧送が停止した後、基端部BP側に比べ先端部TP側の濯ぎ噴射孔33が先に露出する。よって、上述したような、ほぼ同時に排出が完了する複数の空間は、基本的に基端部BP側の複数の空間で実施されるように設定される。
【0102】
上記実施形態の食器洗浄機100では、複数の第一壁部38Aのそれぞれは、その上端位置が、水平方向に一致するように形成されている。これにより、ノズル本体30の製造が容易となり、ノズル本体30の回転時に先端部TP側に向かって均等かつ安定的に水を供給することができる。
【0103】
上記実施形態の食器洗浄機100では、ノズル本体30は、洗浄流路32と、洗浄噴射孔31と、濯ぎ流路34と、濯ぎ噴射孔33と、が一体的に形成されており、第一壁部38Aは、濯ぎ流路34のみに形成されている。この構成では、ノズル本体30は、洗浄水を噴射する洗浄工程と、洗浄工程の後の工程であって、濯ぎ水を噴射する濯ぎ工程との両方で回転をする。ここで、濯ぎ工程時のノズル本体30の回転による遠心力によって、洗浄流路32内に残った水は洗浄噴射孔31から排出されるので、濯ぎ工程の終了後に洗浄噴射孔31のそれぞれから水が滴り落ちる頻度は低くなっている。この構成では、濯ぎ流路34の底面34aのみに第一壁部38Aを設けるシンプルな構成によって、濯ぎ工程の終了後に洗浄噴射孔31のそれぞれ及び濯ぎ噴射孔33のそれぞれから水が滴り落ちる時間を短縮化できる。
【0104】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0105】
上記実施形態の食器洗浄機100では、濯ぎ流路34に形成される濯ぎ噴射孔33及び第一壁部38Aの両方が複数配置されている例を挙げて説明したが、第一壁部38Aは一つのみ配置されてもよい。すなわち、変形例に係る食器洗浄機100では、濯ぎ流路34に、二つの濯ぎ噴射孔33,33と、一つの第一壁部38Aとが配置されてもよい。このような構成であっても、第一壁部38Aによって仕切られた二つの空間ごとに分散して水が排出されるようになるので、濯ぎ工程の終了後に濯ぎ噴射孔33から水が滴り落ちる時間を短縮化できる。
【0106】
上記実施形態及び上記変形例では、洗浄流路32には第一壁部38Aが形成されていない例を挙げて説明したが、洗浄流路32にも、濯ぎ流路34と同様に、第一壁部38Aを配置してもよい。このような変形例に係る食器洗浄機100では、洗浄工程の終了後に洗浄噴射孔31のそれぞれから水が滴り落ちる時間を短縮化できる。
【0107】
上記実施形態及び上記変形例では、第一壁部38Aよって堰き止められる水を貯留する水溜部39が形成されている例を挙げて説明したが、水溜部39は形成されなくてもよい。例えば、第一壁部38Aのすぐ先端部TP側に濯ぎ噴射孔33が形成されている場合、当該第一壁部38Aによって堰き止められる水は、濯ぎ噴射孔33から全て排出されてしまい、水が貯留されることはない。このような構成であっても、第一壁部38Aが形成されることによって仕切られた空間ごとに分散して水が排出される。したがって、水溜部39に貯留される水量の分だけ、各濯ぎ噴射孔33から排出される水の総量は増加するものの、上記のような分散排出によって、濯ぎ工程の終了後に濯ぎ噴射孔33から水が滴り落ちる時間を短縮化できる。
【0108】
上記実施形態及び上記変形例では、濯ぎ流路34の底面34aには、水平面FSと傾斜面SSとが形成されている例を挙げて説明したが、濯ぎ流路34全体として基端部BP側が先端部TP側よりも低くなっておればよい。濯ぎ流路34の底面34aは、例えば、水平面FSを有していなくてもよく、基端部BPから先端部TPに向かって徐々に底面34aの高さ位置が高くなるように形成されていてもよい。
【0109】
上記実施形態及び上記変形例では、洗浄噴射孔31と洗浄流路32と濯ぎ噴射孔33と濯ぎ流路34とが一体的に形成されたノズル本体30を例に挙げて説明したが、洗浄噴射孔31と洗浄流路32とが形成された洗浄ノズル本体と、濯ぎ噴射孔33と濯ぎ流路34とが一体的に形成された濯ぎノズル本体とが、それぞれ別々に構成されていてもよい。この場合であっても、洗浄流路32及び濯ぎ流路34の少なくとも一方に第一壁部38Aを形成することによって、洗浄工程又は濯ぎ工程の終了後に、洗浄噴射孔31又は濯ぎ噴射孔33から水が滴り落ちる時間を短縮化できる。
【0110】
上記実施形態及び上記変形例では、互いに隣り合う濯ぎ噴射孔33,33の間に一つの第一壁部38Aが形成される例を挙げて説明したが、例えば、互いに隣り合う濯ぎ噴射孔33,33の間に二つ以上の第一壁部38Aが形成されてもよい。また、上記実施形態及び上記変形例では、互いに隣り合う第一壁部38A,38Aの間に一つの濯ぎ噴射孔33が形成される例を挙げて説明したが、例えば、互いに隣り合う第一壁部38A,38Aの間に二つ以上の濯ぎ噴射孔33が形成されてもよい。
【0111】
上記実施形態及び上記変形例は、上側ノズル3の洗浄流路32は幅を有し、洗浄噴射孔31は、このような幅を有する洗浄流路32において回転方向Rにおける前方側に設けられている例を挙げて説明したが、例えば、このような幅を有する洗浄流路32において幅方向中央部に設けられてもよい。
【0112】
上記実施形態及び上記変形例は、洗浄機本体部1の前面側にドア部15が設けられたタイプの食器洗浄機100に適用するだけでなく、例えば、ドア部が上下に開閉するタイプの食器洗浄機等にも適用することができる。
【0113】
上記実施形態及び上記変形例では、洗浄機本体部1の機械室1Aに内蔵される濯ぎタンク6から上側ノズル3及び下側ノズル4に濯ぎ水が供給される構成の食器洗浄機100を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、食器洗浄機100の洗浄機本体部1の外側に設けられると共に、ガス又は電気等の加熱源によって濯ぎタンクに貯留された水が加熱されるガスブースタ又は電気ブースタから上側ノズル3及び下側ノズル4に濯ぎ水が供給される構成の食器洗浄機に適用されてもよい。
【0114】
本願発明は、上記実施形態及びその他の変形例を適宜組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…洗浄機本体部、1B…洗浄室、3…上側ノズル、4…下側ノズル、5…洗浄ポンプ、6…濯ぎタンク、7…濯ぎポンプ、20…洗浄タンク、31…洗浄噴射孔、32…洗浄流路、33…濯ぎ噴射孔、34…濯ぎ流路、34a…底面、34b…上面、35…第一突出部、36…第二突出部、37A…上面噴射孔、38A…第一壁部、38B…第二壁部、39…水溜部、100…食器洗浄機、BP…基端部、TP…先端部、D…食器、FS…水平面、SS…傾斜面、S1…第一単位空間、S2…第二単位空間、S3…第三単位空間。