IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-積層フィルム、包装材及び包装袋 図1
  • 特開-積層フィルム、包装材及び包装袋 図2
  • 特開-積層フィルム、包装材及び包装袋 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107600
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】積層フィルム、包装材及び包装袋
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20240802BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240802BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240802BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D65/40 D
B32B7/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011611
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100211018
【弁理士】
【氏名又は名称】財部 俊正
(72)【発明者】
【氏名】福田 悠華
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA25
3E086BA33
3E086BB21
3E086BB35
3E086BB41
3E086BB51
3E086BB55
3E086BB58
3E086CA01
3E086CA03
3E086CA28
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK07C
4F100AK51G
4F100AR00D
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA16
4F100EC182
4F100EJ38A
4F100EJ38C
4F100GB15
4F100GB23
4F100JD02D
4F100JK03
4F100JL12B
4F100JN30A
4F100JN30B
4F100JN30C
4F100YY00
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】ポリプロピレンを主構成材料としながらも、直線カット性に優れる積層フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリプロピレン含有量が80質量%以上である積層フィルムであって、第一のポリプロピレンフィルムからなる基材層と、第二のポリプロピレンフィルムからなるシーラント層と、を少なくとも備え、第一のポリプロピレンフィルムの、波長586.4nmの光に対する面内方向のレターデーション値が、300.0~600.0nmであり、第二のポリプロピレンフィルムの、波長586.4nmの光に対する面内方向のレターデーション値が、50.0~210.0nmであり、シーラント層の厚さが、積層フィルムの総厚の50.0~85.0%である、積層フィルム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン含有量が80質量%以上である積層フィルムであって、
第一のポリプロピレンフィルムからなる基材層と、第二のポリプロピレンフィルムからなるシーラント層と、を少なくとも備え、
前記第一のポリプロピレンフィルムの、波長586.4nmの光に対する面内方向のレターデーション値が、300.0~600.0nmであり、
前記第二のポリプロピレンフィルムの、波長586.4nmの光に対する面内方向のレターデーション値が、50.0~210.0nmであり、
前記シーラント層の厚さが、前記積層フィルムの総厚の50.0~85.0%である、積層フィルム。
【請求項2】
前記基材層と前記シーラント層との間に第三のポリプロピレンフィルムからなる層をさらに備え、
前記第三のポリプロピレンフィルムの、波長586.4nmの光に対する面内方向のレターデーション値が300.0~600.0nmである、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
ガスバリア層をさらに備える、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項4】
下記(1)~(3)の手順で測定されるシール部の引裂強度が12.0N以下となる、請求項1に記載の積層フィルム。
(1)前記積層フィルムから、該積層フィルムのMD方向を長さ方向とする幅50mm及び長さ150mmの大きさの試験片を2枚切り出す。
(2)前記(1)で切り出された一対の試験片を、前記シーラント層同士が互いに対向するように重ね合わせ、前記一対の試験片の周縁から5mm以内の領域をヒートシールにより貼り合わせることにより、周縁に沿って幅5mmのシール部を有する、幅50mm及び長さ150mmの大きさの袋状試験片を得る。
(3)JIS K 7128-1:1998に記載されるトラウザー引裂法に準拠し、引裂速度200mm/minの条件で、前記(2)で得られた前記袋状試験片の前記長さ方向における前記シール部の引裂強度を測定する。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の積層フィルムを含む、包装材。
【請求項6】
内容物が液体を含む包装体に用いられる、請求項5に記載の包装材。
【請求項7】
レトルト処理又はボイル処理が施される包装体に用いられる、請求項5に記載の包装材。
【請求項8】
請求項5に記載の包装材を製袋してなる、包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層フィルム、包装材及び包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
食品等を収容して密封保存し、開封前に加熱する包装袋が知られている。従来、このような包装袋を構成する包装材には、ポリオレフィン等の材料からなるシーラント層と、該シーラント層よりも高融点の材料(ポリエステル等)からなる基材層と、を備える、マルチマテリアル構成の積層フィルムが用いられてきた(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
近年では、環境配慮の観点からモノマテリアル化の取り組みが進められており、レトルト処理等の加熱処理に対する耐熱性などの観点から、上記マルチマテリアル構成の積層フィルムに代えて、ポリプロピレンを主構成材料とする積層フィルムを包装材として用いることも検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-178357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記包装袋を開封する場面では、利用者がはさみ等の道具を用いずに上記包装袋を一方向に引裂くことが想定される。しかしながら、従来の包装袋では、袋の表側のフィルムと裏側のフィルムがずれる現象(泣き別れ)が発生することがある。
【0006】
上記のような問題の発生を防止する方法として、レーザー加工によって包装材を直線状に引裂きやすくする(すなわち、包装材に直線カット性を付与する)ことが考えられる。しかしながら、ポリプロピレンを主構成材料とする積層フィルムは、レーザーを吸収しにくく、レーザー加工適性に課題があるため、該積層フィルム自体が直線カット性に優れていることが望ましい。
【0007】
そこで、本開示は、ポリプロピレンを主構成材料としながらも、直線カット性に優れる積層フィルムを提供することを目的とする。本開示はまた、上記積層フィルムを含む包装材及び該包装材を製袋してなる包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、いくつかの側面において、下記[1]~[8]を提供する。
【0009】
[1]
ポリプロピレン含有量が80質量%以上である積層フィルムであって、
第一のポリプロピレンフィルムからなる基材層と、第二のポリプロピレンフィルムからなるシーラント層と、を少なくとも備え、
前記第一のポリプロピレンフィルムの、波長586.4nmの光に対する面内方向のレターデーション値が、300.0~600.0nmであり、
前記第二のポリプロピレンフィルムの、波長586.4nmの光に対する面内方向のレターデーション値が、50.0~210.0nmであり、
前記シーラント層の厚さが、前記積層フィルムの総厚の50.0~85.0%である、積層フィルム。
【0010】
[2]
前記基材層と前記シーラント層との間に第三のポリプロピレンフィルムからなる層をさらに備え、
前記第三のポリプロピレンフィルムの、波長586.4nmの光に対する面内方向のレターデーション値が300.0~600.0nmである、上記[1]に記載の積層フィルム。
【0011】
[3]
ガスバリア層をさらに備える、上記[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
【0012】
[4]
下記(1)~(3)の手順で測定されるシール部の引裂強度が12.0N以下となる、上記[1]~[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
(1)前記積層フィルムから、該積層フィルムのMD方向を長さ方向とする幅50mm及び長さ150mmの大きさの試験片を2枚切り出す。
(2)前記(1)で切り出された一対の試験片を、前記シーラント層同士が互いに対向するように重ね合わせ、前記一対の試験片の周縁から5mm以内の領域をヒートシールにより貼り合わせることにより、周縁に沿って幅5mmのシール部を有する、幅50mm及び長さ150mmの大きさの袋状試験片を得る。
(3)JIS K 7128-1:1998に記載されるトラウザー引裂法に準拠し、引裂速度200mm/minの条件で、前記(2)で得られた前記袋状試験片の前記長さ方向における前記シール部の引裂強度を測定する。
【0013】
[5]
上記[1]~[4]のいずれかに記載の積層フィルムを含む、包装材。
【0014】
[6]
内容物が液体を含む包装体に用いられる、上記[5]に記載の包装材。
【0015】
[7]
レトルト処理又はボイル処理が施される包装体に用いられる、上記[5]又は[6]に記載の包装材。
【0016】
[8]
上記[5]~[7]のいずれかに記載の包装材を製袋してなる、包装袋。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、ポリプロピレンを主構成材料としながらも、直線カット性に優れる積層フィルムを提供することができる。本開示によれば、上記積層フィルムを含む包装材及び該包装材を製袋してなる包装袋を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施形態に係る積層フィルムを示す模式断面図である。
図2図2は、他の一実施形態に係る積層フィルムを示す模式断面図である。
図3図3は、実施例で使用した切り込み入り袋状試験片を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、具体的に明示する場合を除き、「~」の前後に記載される数値の単位は同じである。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
【0020】
以下、場合により図面を参照しつつ本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
<積層フィルム>
図1は、一実施形態の積層フィルムを示す模式断面図である。図1に示される積層フィルム10Aは、基材層11と、シーラント層12と、を備える。基材層11とシーラント層12とは、接着層Sによって互いに接着されている。
【0022】
図2は、他の一実施形態の積層フィルムを示す模式断面図である。図2に示される積層フィルム10Bは、積層フィルム10Aと同様に、基材層11と、シーラント層12と、を備える。積層フィルム10Bは、基材層11とシーラント層12との間に、中間層13をさらに備える。基材層11と中間層13とは、第一の接着層S1によって互いに接着されており、中間層13とシーラント層12とは、第二の接着層S2によって互いに接着されている。
【0023】
積層フィルム10A及び10Bは、いずれもポリプロピレンを主構成材料とする積層フィルムであり、基材層11、シーラント層12及び中間層13は、いずれもポリプロピレンフィルムからなる層である。具体的には、積層フィルム10A及び10Bにおけるポリプロピレン含有量(積層フィルムの全質量基準)は、80質量%以上であり、90質量%以上又は95質量%以上であってもよい。なお、本明細書において、「ポリプロピレンフィルム」とは、ポリプロピレンをフィルム全量の80質量%以上含む樹脂フィルムを意味する。
【0024】
積層フィルム10A及び10Bの厚さ(すなわち総厚)は、特に限定されないが、例えば、50~200μmであり、70μm以上又は90μm以上であってもよく、150μm以下又は120μm以下であってもよい。
【0025】
以下、積層フィルム10A及び10Bを構成する各層について説明する。
【0026】
(基材層)
基材層11は、支持体の一つとなる層であり、積層フィルムの一方の最表面を構成する層であり得る。
【0027】
基材層11は、ポリプロピレンフィルム(以下、「第一のポリプロピレンフィルム」という。)で構成されている。第一のポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体(ホモポリマー)あってよく、プロピレンと他の共重合モノマーとの共重合体(コポリマー)であってもよい。本明細書では、プロピレンと他の共重合モノマーの合計に占めるプロピレンの割合が50質量%以上であれば、プロピレンと他の共重合モノマーとの共重合体(コポリマー)であってもポリプロピレンとみなす。コポリマーとしては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体等が挙げられる。ポリプロピレンは、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステル等を用いてグラフト変性された酸変性ポリプロピレンであってもよい。
【0028】
第一のポリプロピレンフィルムにおけるポリプロピレンの含有量は、フィルム全量の80質量%以上であり、90質量%以上又は95質量%以上であってもよい。ただし、ポリプロピレンがコポリマーである場合、フィルム全量の50質量%以上がプロピレン由来である。
【0029】
第一のポリプロピレンフィルムは、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、静電防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0030】
第一のポリプロピレンフィルムの、波長586.4nmの光に対する面内方向のレターデーション値は、積層フィルムが直線カット性に優れたものとなる観点から、300.0~600.0nmであり、350.0nm以上、400.0nm以上又は500.0nm以上であってもよく、550.0nm以下又は400.0nm以下であってもよい。
【0031】
ここで、「フィルムの面内方向のレターデーション値」とは、フィルムの面内方向、すなわち、フィルムの厚さ方向に垂直な方向における位相差を意味し、面内方向において最も高い屈折率を示す方向をx方向とし、x方向に垂直な方向をy方向としたとき、x方向の屈折率nxとy方向の屈折率nxの差である複屈折Δn(=nx-ny)と、フィルムの厚さdとの積(=Δn×d)により求められる。したがって、複屈折及びフィルムの厚さが大きいほどレターデーション値が大きくなり、複屈折及びフィルムの厚さが小さいほどレターデーション値が小さくなる。一般に、フィルム内のポリマーの配向が強いほど複屈折が大きくなり、配向方向の直線カット性が向上する。一方、フィルムの厚さが大きいほど引裂強度が上昇し、直性カット性が低下する。
【0032】
「フィルムの面内方向のレターデーション値」は、王子計測機器(株)製の位相差測定装置(型番KOBRA-WR)を用い、波長586.4nmの光を測定光とし、平行ニコル回転法に準拠して測定することができる(王子計測機器(株)KOBRA 技術資料 第7頁等参照)。測定は、無作為に選択した3箇所で行い、これらの測定値の平均値を用いる。
【0033】
なお、一般にフィルムのMD方向とは、フィルムの製造における流れ方向を意味するが、本明細書においては、上記x方向(面内方向において最も高い屈折率を示す方向)をフィルムのMD方向とみなしてよい。
【0034】
第一のポリプロピレンフィルムは、上記特定のレターデーション値が得られやすい観点から、好ましくは延伸ポリプロピレンフィルムであり、より好ましくは二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。第一のポリプロピレンフィルムは、一軸延伸ポリプロピレンフィルムであってもよい。延伸が強いほどフィルムを構成する樹脂(例えばポリプロピレン)の配向が強くなる傾向があるため、延伸の程度を調整することによって、上述したフィルムのレターデーション値を調整可能である。
【0035】
第一のポリプロピレンフィルムは、単層フィルムであってよく、多層フィルム(例えば共押出多層フィルム)であってもよい。
【0036】
第一のポリプロピレンフィルムの表面には、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の各種前処理が施されていてもよい。
【0037】
ところで、基材層11は製袋時(ヒートシール時)にヒートシールバーに直接接する又は近接する部分であり、積層フィルムを構成する層の中でも特に熱がかかる部分である。そのため、第一のポリプロピレンフィルムを150℃で熱処理した際の該フィルムのMD方向の熱収縮率及びTD方向の熱収縮率は、それぞれ20.0%未満であることが好ましい。また、上記熱による溶融を防止する観点から、第一のポリプロピレンフィルムの融点は、155℃以上であることが好ましい。
【0038】
基材層11(第一のポリプロピレンフィルムからなる層)の厚さは、積層フィルムの直線カット性を高める観点から、5~50μmであってよく、15μm以上又は25μm以上であってもよく、35μm以下又は25μm以下であってもよい。
【0039】
(シーラント層)
シーラント層12は、積層フィルムにヒートシールによる封止性を付与する層であり、積層フィルムの一方(基材層11とは反対側)の最表面を構成する層であり得る。
【0040】
シーラント層12は、ポリプロピレンフィルム(以下、「第二のポリプロピレンフィルム」という。)で構成されている。第二のポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンの例(種類及び含有量)は、第一のポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンの例と同じである。第二のポリプロピレンフィルムは、第一のポリプロピレンフィルムと同様の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0041】
第二のポリプロピレンフィルムの、波長586.4nmの光に対する面内方向のレターデーション値は、積層フィルムが直線カット性に優れたものとなる観点から、50.0~210.0nmであり、80.0nm以上、120.0nm以上又は150.0nm以上であってもよく、180.0nm以下又は130.0nm以下であってもよい。
【0042】
第二のポリプロピレンフィルムは、延伸ポリプロピレンフィルムであってもよいが、ヒートシールによる封止性を高める観点、及び、上記特定のレターデーション値が得られやすい観点から、好ましくは無延伸ポリプロピレンフィルムである。第二のポリプロピレンフィルムが無延伸ポリプロピレンフィルムである場合、フィルムの厚さ等により上記レターデーション値を調整可能である。
【0043】
第二のポリプロピレンフィルムは、単層フィルムであってよく、多層フィルム(例えば共押出多層フィルム)であってもよい。
【0044】
シーラント層12(第二のポリプロピレンフィルム)の融点は、基材層11(第一のポリプロピレンフィルム)の融点よりも低く、例えば、100~170℃である。
【0045】
シーラント層12(第二のポリプロピレンフィルムからなる層)の厚さは、積層フィルムの直線カット性を高める観点から、30~150μmであってよく、50μm以上、70μm以上又は90μm以上であってもよく、110μm以下、85μm以下又は70μm以下であってもよい。シーラント層12の厚さの範囲も上記と同じである。
【0046】
シーラント層12(第二のポリプロピレンフィルムからなる層)の厚さは、積層フィルムが直線カット性に優れたものとなる観点から、積層フィルムの総厚の50.0~85.0%である。シーラント層12の厚さは、積層フィルムの総厚の50.0%以上、60.0%以上又は70.0%以上であってもよく、75.0%以下、68.0%以下、61.0%以下又は55.0%以下であってもよい。
【0047】
(中間層)
中間層13は、積層フィルムの中間(基材層11とシーラント層12との間)に位置する層であり、例えば、積層フィルムに更なる機能を付与する目的で設けられる。
【0048】
中間層13は、ポリプロピレンフィルム(以下、「第三のポリプロピレンフィルム」という。)で構成されている。第三のポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンの例(種類及び含有量)は、第一のポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンの例と同じである。第三のポリプロピレンフィルムは、第一のポリプロピレンフィルムと同様の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0049】
第三のポリプロピレンフィルムの、波長586.4nmの光に対する面内方向のレターデーション値は、積層フィルムが直線カット性に優れたものとなる観点から、300.0~600.0nmであり、350.0nm以上、400.0nm以上又は500.0nm以上であってもよく、550.0nm以下又は400.0nm以下であってもよい。
【0050】
第三のポリプロピレンフィルムは、上記特定のレターデーション値が得られやすい観点から、好ましくは延伸ポリプロピレンフィルムであり、より好ましくは二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。第三のポリプロピレンフィルムは、一軸延伸ポリプロピレンフィルムであってもよい。
【0051】
第三のポリプロピレンフィルムは、単層フィルムであってよく、多層フィルム(例えば共押出多層フィルム)であってもよい。
【0052】
第三のポリプロピレンフィルムの表面には、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の各種前処理が施されていてもよい。
【0053】
中間層13の厚さ(第三のポリプロピレンフィルムからなる層の厚さ)は、積層フィルムの直線カット性を高める観点から、5~50μmであってよく、15μm以上又は25μm以上であってもよく、35μm以下又は25μm以下であってもよい。
【0054】
(接着層)
接着層S,S1,S2は、隣接する2つの層を互いに接着する層である。接着層S,S1,S2の材料としては、ドライラミネート用接着剤、ノンソルベントラミネート用接着剤、バリア性接着剤等の接着剤を使用可能である。具体的には、例えば、ポリエステル-イソシアネート系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられる。積層フィルムをレトルトパウチ用途に使用する場合、接着層の材料として、レトルト耐性のある2液硬化型のウレタン系接着剤を用いることが好ましい。すなわち、接着層は、2液硬化型のウレタン系接着剤の硬化物からなる層であることが好ましい。環境配慮の点からは、接着層の材料は、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)を含まなくてもよい。なお、接着層S1の材料と接着層S2の材料とは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0055】
接着層S,S1,S2の厚さは、積層フィルム中のポリプロピレンの含有量を80質量%以上としつつ十分な接着性を確保する観点から、それぞれ、0.5~4μmであってよい。
【0056】
上記のとおり、積層フィルム10A及び10Bは、ポリプロピレンを主構成材料とすることから、リサイクル性及び耐熱性に優れる。そのため、積層フィルム10A及び10Bは、環境負荷の小さなモノマテリアル包装材に使用可能であり、特に、レトルト処理又はボイル処理が施される包装体用の包装材に好ましく用いられる。なお、本明細書では、包装袋と該包装袋に内包される内容物とで構成される袋体を包装体という。
【0057】
また、積層フィルム10Aは、第一のポリプロピレンフィルム及び第二のポリプロピレンフィルムが所定のレターデーション値を有すること、及び、総厚に対するシーラント層12の厚さの割合が所定の範囲内であることから、ポリプロピレンを主構成材料としながらも、直線カット性に優れるものである。同様に、積層フィルム10Bは、第一のポリプロピレンフィルム、第二のポリプロピレンフィルム及び第三のポリプロピレンフィルムが所定のレターデーション値を有すること、及び、総厚に対するシーラント層12の厚さの割合が所定の範囲内であることから、ポリプロピレンを主構成材料としながらも、直線カット性に優れるものである。そのため、上記積層フィルム10A及び10Bによれば、泣き別れ等の開封不良に伴う問題が発生し難い包装袋を得ることができる。
【0058】
また、包装体の引裂強度(特にシール部の引裂強度)が大きいと、内容物の種類によっては開封時に該内容物が飛び散るといった問題が発生することがあるが、積層フィルム10A及び10Bによれば、シール部の引裂強度が小さい包装袋を形成しやすい。例えば、下記(1)~(3)の手順でシール部の引裂強度を測定したとき、該シール部の引裂強度は、12.0N以下であり得る。
(1)前記積層フィルムから、該積層フィルムのMD方向を長さ方向とする幅50mm及び長さ150mmの大きさの試験片を2枚切り出す。
(2)前記(1)で切り出された一対の試験片を、前記シーラント層同士が互いに対向するように重ね合わせ、前記一対の試験片の周縁から5mm以内の領域をヒートシールにより貼り合わせることにより、周縁に沿って幅5mmのシール部を有する、幅50mm及び長さ150mmの大きさの袋状試験片を得る。
(3)JIS K 7128-1:1998に記載されるトラウザー引裂法に準拠し、引裂速度200mm/minの条件で、前記(2)で得られた前記袋状試験片の前記長さ方向における前記シール部の引裂強度を測定する。
【0059】
上記手順で測定されるシール部の引裂強度は、第1のポリプロピレンフィルムの製膜条件、前記積層フィルムの総厚及びその総厚に占めるシーラント層の厚さの割合などにより上記範囲に調整可能であり、これらの方法により、該引裂強度を8.0N以下、6.5N以下、5.5N以下又は4.5N以下とすることもできる。内容物の飛散は、特に、内容物が液体を含む場合に生じやすいことから、積層フィルム10A及び10Bは、内容物が液体を含む包装体用の包装材に好適に用いられる。
【0060】
また、積層フィルム10A及び10Bは、上記特徴を有することから、レトルト処理やボイル処理等の熱処理が行われた場合でも、引裂強度が上昇し難く、該熱処理後の直線カット性にも優れる傾向がある。
【0061】
上記積層フィルム10A及び10Bは、例えば、各層を構成するフィルムを貼り合わせること等により作製することができる。貼り合わせの方法は特に限定されず、公知の方法(例えばドライラミネート法)を使用できる。
【0062】
以上、積層フィルム10A及び10Bを例に挙げて本開示の積層フィルムについて説明したが、本開示の積層フィルムは上記に限定されない。
【0063】
例えば、積層フィルムは、ガスバリア層をさらに備えてよい。ガスバリア層は、例えば、金属又は無機酸化物を含む層である。金属としては、例えば、アルミニウム、ステンレス等が挙げられる。無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化錫等が挙げられる。ガスバリア層の厚さは、例えば、10~50nmである。
【0064】
ガスバリア層は、基材層11とシーラント層12との間に設けられてよい。例えば、基材層11と接するように、該基材層11のシーラント層12側の面上にガスバリア層が設けられてよい。ガスバリア層は、第三のポリプロピレンフィルムからなる層とともに中間層13を構成してもよい。この場合、第三のポリプロピレンフィルムからなる層と接するように、該第三のポリプロピレンフィルムの基材層11側の面上及び/又はシーラント層12側の面上にガスバリア層が設けられてよい。
【0065】
ガスバリア層は、上記金属又は無機酸化物を上記層上に蒸着することにより形成することができる。蒸着方法は特に限定されず、物理気相成長法であっても化学気相成長法であってもよい。
【0066】
また、例えば、積層フィルムが、易接着層等のコート層、印刷層などを備えていてもよい。コート層は、有機系コート剤(例えばPVAコート剤)等で形成されるバリアコート層であってもよい。これらの層は、ガスバリア層と同様に、基材層11とシーラント層12との間に設けられてよい。
【0067】
また、例えば、積層フィルムが、接着層を備えなくてもよく、各層が互いに密着していてもよい。
【0068】
<包装材>
本開示の包装材は、上述した本開示の積層フィルムを含む。本開示の包装材は、本開示の積層フィルムのみからなっていてよく、本開示の積層フィルムと他の材料とを組み合わせて構成されていてもよい。
【0069】
本開示の包装材は、内容物が液体を含む包装体に好適に用いられる。また、本開示の包装材は、レトルト処理又はボイル処理が施される包装体に好適に用いられる。
【0070】
<包装袋>
本開示の包装袋は、上述した本開示の包装材を製袋してなる。包装袋の形状に特に制限はないが、包装袋は、例えば、1枚の包装材をシーラント層が対向するように二つ折りにした後、3方をヒートシールすることによって袋形状としたものであってよく、2枚の包装材をシーラント層が対向するように重ねた後、4方をヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよく、2枚の包装材をシーラント層が対向するように重ねるとともに、底材も挟んでシールする自立可能なスタンディングパウチであってもよい。包装袋は、内容物として食品、医薬品等の内容物を収容し、レトルト処理、ボイル処理等の加熱殺菌処理を施すことができる。なお、レトルト処理は、食品、医薬品等を保存するために、カビ、酵母、細菌等の微生物を加圧殺菌する方法として公知の方法である。
【実施例0071】
以下、本開示の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0072】
<フィルム及び接着剤の準備>
下記表1に示すフィルムを用意し、実施例及び比較例で使用した。また、ドライラミネート用接着剤(接着剤A)として、二液反応型ポリエステルポリウレタン系樹脂(三井化学株式会社製)を用意し、実施例及び比較例で使用した。
【0073】
【表1】
【0074】
表1中、「PET」はポリエチレンテレフタレートフィルムを示し、「OPP」は二軸延伸ポリプロピレンフィルムを示し、「CPP」は無延伸ポリプロピレンフィルムを示し、ALはアルミニウム箔を示し、「NY」はナイロンフィルムを示す。また、「R値」は、王子計測機器(株)製の位相差測定装置(型番KOBRA-WR)を用い、波長586.4nmの光を測定光とし、平行ニコル回転法に準拠して測定したフィルムの面内方向のレターデーション値であり、無作為に選択した3箇所における測定値の平均値である。
【0075】
<実施例1>
表2に示す各フィルムを用いて、基材層、中間層及びシーラント層をこの順で備える実施例1の積層フィルム(ポリプロピレン含有量:80質量%以上)を得た。具体的には、まず、基材層形成用のフィルムとして、上記OPP1を用意し、OPP1の一方の面に上記接着剤Aを用いて第一の接着層を形成した。第一の接着層の厚さは、乾燥状態で3μmとなるように調整した。次に、中間層形成用のフィルムとして、上記OPP3を用意し、OPP3を、OPP1の第一の接着層を設けた面に貼り合わせ、(OPP3/第一の接着層/OPP1)からなる積層体を得た。次に、OPP3のOPP1を貼り合わせた面とは反対の面に、上記接着剤Aを用いて第二の接着層を形成した。第二の接着層の厚さは、乾燥状態で3μmとなるように調整した。次に、シーラント層形成用のフィルムとして上記CPP2を用意し、CPP2を、OPP3の第二の接着層を設けた面に貼り合わせ、(CPP2/第二の接着層/OPP3/第一の接着層/OPP1)からなる実施例1の積層フィルム(包装材料用積層フィルム)を得た。なお、ラミネートの際は、各フィルムのMD方向が互いに一致するようにした。
【0076】
<実施例2>
表2に示す各フィルムを用いて、基材層及びシーラント層を備える実施例2の積層フィルム(ポリプロピレン含有量:80質量%以上)を得た。具体的には、まず、基材層形成用のフィルムとして、上記OPP4を用意し、OPP4の一方の面に上記接着剤Aを用いて接着層を形成した。接着層の厚さは、乾燥状態で3μmとなるように調整した。次に、シーラント層形成用のフィルムとして上記CPP2を用意し、CPP2を、OPP4の接着層を設けた面に貼り合わせ、(CPP2/接着層/OPP4)からなる実施例2の積層フィルム(包装材料用積層フィルム)を得た。
【0077】
<実施例3>
表2に示す各フィルムを用いたことを除き、実施例2と同様にして、実施例3の積層フィルム(ポリプロピレン含有量:80質量%以上)を得た。
【0078】
<実施例4~6>
表2に示す各フィルムを用いたことを除き、実施例1と同様にして、実施例4~6の積層フィルム(ポリプロピレン含有量:80質量%以上)を得た。
【0079】
<比較例1及び3>
表3に示す各フィルム又は箔を用いたことを除き、実施例1と同様にして、比較例1及び比較例3の積層フィルムを得た。
【0080】
<比較例2>
まず、基材層形成用のフィルムとして、上記PET1を用意し、PET1の一方の面に上記接着剤Aを用いて第一の接着層を形成した。第一の接着層の厚さは、乾燥状態で3μmとなるように調整した。次に、中間層形成用のフィルムとして、上記NY1及びAL1を用意し、NY1を、PET1の第一の接着層を設けた面に貼り合わせ、(NY1/第一の接着層/PET1)からなる積層体を得た。次に、NY1のPET1を貼り合わせた面とは反対の面に、上記接着剤Aを用いて第二の接着層を形成した。第二の接着層の厚さは、乾燥状態で3μmとなるように調整した。次に、上記AL1を、NY1の第二の接着層を設けた面に貼り合わせ、(AL1/第二の接着層/NY1/第一の接着層/PET1)からなる積層体を得た。次に、NY1のPET1を貼り合わせた面とは反対の面に、上記接着剤Aを用いて第三の接着層を形成した。次に、シーラント層形成用のフィルムとして上記CPP2を用意し、CPP2を、AL1の第三の接着層を設けた面に貼り合わせ、(CPP2/第三の接着層/AL1/第二の接着層/NY1/第一の接着層/PET1)からなる比較例2の積層フィルム(包装材料用積層フィルム)を得た。なお、ラミネートの際は、各フィルムのMD方向が互いに一致するようにした。
【0081】
<比較例4~5>
表3に示す各フィルム又は箔を用いたことを除き、実施例2と同様にして、比較例4~5の積層フィルムを得た。積層フィルムにおけるポリプロピレンの含有量はいずれも80質量%以上であった。
【0082】
<評価1>
(袋状試験片の作製)
上記で得られた積層フィルムを用いて、下記の手順で、実施例1~6及び比較例1~5の袋状試験片をそれぞれ作製した。まず、積層フィルムから、該積層フィルムのMD方向を長さ方向とする幅50mm及び長さ150mmの大きさの試験片を2枚切り出した。次いで、切り出された一対の試験片を、シーラント層同士が互いに対向するように重ね合わせ、一対の試験片の周縁から5mm以内の領域をヒートシールにより貼り合わせることにより、周縁に沿って幅5mmのシール部を有する、幅50mm及び長さ150mmの大きさの袋状試験片を得た。なお、積層フィルムのMD方向は、積層フィルムを構成する各フィルムのMD方向に一致する。
【0083】
(引裂強度の測定)
上記で得られた袋状試験片の引裂強度を、JIS K 7128-1:1998に記載されるトラウザー引裂法に準拠して測定した。具体的には、まず、上記袋状試験片の一方の短辺の中央から他方の短辺の中央に向かって長さ75mmの切り込みを入れて、図3に示す切り込み入り袋状試験片を作製した。図3中の斜線で示される領域が袋状試験片のシール部であり、シール部以外の領域が本体部である。
【0084】
次いで、引張試験機(ORIENTEC社製、RTG-1225)を用い、引裂速度200mm/minの条件で上記切り込み入り袋状試験片を引裂き、袋状試験片の本体部及びシール部の引裂強度を測定した。本体部の引裂強度は、本体部で測定された引裂強度の平均値であり、シール部の引裂強度は、シール部で測定された引裂強度の平均値である。測定は3回行い、3回の平均値を本体部及びシール部の引裂強度とした。結果を表2及び表3に示す。
【0085】
(直線カット性評価)
上記袋状試験片の手裂きズレ量により直線カット性を評価した。手裂きズレ量の測定は、試験者5名により以下の手順で行った。まず、上記袋状試験片の一方の短辺の中央から他方の短辺の中央に向かって長さ2mmの切り込みを入れた。次に、この切り込みを起点として上記他方の短辺の中央に向かって両手で袋状試験片を引裂き、引き裂いた際の2枚の試験片の裂け目のズレ幅(手裂きズレ量)を測定した。裂け目のズレ幅は、2枚の試験片それぞれにおける上記他方の短辺の中央から、該短辺上に位置する裂け目の終点までの距離を測定し、これらの差をとることにより求めた。各試験者が上記測定を5回行い、計25回の平均値を各実施例及び比較例の袋状試験片の手裂きズレ量とした。結果を表2及び表3に示す。
【0086】
(開封性評価)
上記で得られた積層フィルムを用いて、下記の手順で、実施例1~6及び比較例1~5の袋状試験片をそれぞれ作製した。まず、積層フィルムから、該積層フィルムのMD方向を長さ方向とする幅160mm及び長さ120mmの大きさの試験片を2枚切り出した。次いで、切り出された一対の試験片を、シーラント層同士が互いに対向するように重ね合わせ、一対の試験片の周縁から5mm以内の領域をヒートシールにより貼り合わせることにより、周縁に沿って幅5mmのシール部を有する、幅160mm及び長さ120mmの大きさの袋状試験片を得た。この際、内容物として水を80mL封入した。これにより、開封性評価用試験体を得た。得られた開封性評価用試験体を用いて、試験者5名による開封性評価を行った。具体的には、上記直線カット性評価と同様にして開封性評価用試験体を引裂き、下記の評価基準で開封性を評価した。なお、開封性評価用試験体を引裂く際には、一方の長辺の中央から他方の長辺の中央に向かって長さ2mmの切り込みを入れ、この切り込みを起点として上記他方の長辺の中央に向かって両手で袋状試験片を引裂いた。
3(非常に良好):内容物が飛び散らずに試験体を2つに切り離すことが可能
2(良好):試験体を2つに切り離すことは可能だが、内容物が飛び散りやすい
1(不良):試験体を2つに切り離すことができない
上記評価を各試験者が3回行い、計15回の平均点(小数点以下は四捨五入)を各実施例及び比較例の各実施例及び比較例の開封性の評価結果とした。結果を表2及び表3に示す。
【0087】
<評価2>
評価1で作製した袋状試験片及び開封性評価用試験体に対して121℃で30分間のレトルト処理を行った後、評価1と同様にして、引裂強度の測定、直線カット性評価及び開封性評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【符号の説明】
【0090】
10A,10B…積層フィルム、11…基材層(第一のポリプロピレンフィルム)、12…シーラント層(第二のポリプロピレンフィルム)、13…中間層(第三のポリプロピレンフィルム)、S,S1,S2…接着層。
図1
図2
図3