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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107601
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】盗難防止システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/24 20060101AFI20240802BHJP
   G08B 13/22 20060101ALI20240802BHJP
   A45F 3/00 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G08B21/24
G08B13/22
A45F3/00
A45F3/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011612
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】後藤 彰大
(72)【発明者】
【氏名】大塚 観月
【テーマコード(参考)】
5C084
5C086
【Fターム(参考)】
5C084AA03
5C084AA09
5C084CC31
5C084DD07
5C084EE02
5C084HH01
5C084HH07
5C086AA28
5C086AA55
5C086CA06
5C086CA25
5C086FA02
5C086FA11
(57)【要約】
【課題】 キャンプギアの盗難を防止する
【解決手段】 本開示の盗難防止システムSは、親機1と、キャンプギアG2に装着され親機1と無線通信する子機2と、キャンプギアG2のユーザUに携帯され親機1と無線通信する携帯端末3と、を備える。親機1は、子機2が親機1を中心とした第1距離範囲外にあり、且つ、携帯端末3が親機1を中心とした第2距離範囲内にある、と判定すると、子機2に盗難警告を報知させる。また、親機1は、子機2が親機1を中心とした第1距離範囲外にあり、且つ、携帯端末3が親機1を中心とした第2距離範囲外にある、と判定すると、子機2及び携帯端末3に盗難警告を報知させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と、
キャンプギアに装着され前記親機と無線通信する子機と、
前記キャンプギアのユーザに携帯され前記親機と無線通信する携帯端末と、を備え、
前記親機は、前記子機が前記親機を中心とした第1距離範囲の外にあり、且つ、前記携帯端末が前記第1距離範囲よりも遠い第2距離範囲の内にある、と判定すると、前記子機に盗難警告を報知させる第1警告動作をし、
前記親機は、前記子機が前記親機を中心とした第1距離範囲の外にあり、且つ、前記携帯端末が前記第2距離範囲の外にある、と判定すると、前記子機及び前記携帯端末に盗難警告を報知させる第2警告動作をする、
盗難防止システム。
【請求項2】
前記親機は、
前記第1警告動作及び前記第2警告動作において前記盗難警告を音で報知する第1モードと、
前記第1警告動作及び前記第2警告動作において前記盗難警告を音と光で報知する第2モードと、を切り替え可能に備える、
請求項1に記載の盗難防止システム。
【請求項3】
前記第2モードは、前記第1警告動作及び前記第2警告動作において前記親機も光で盗難警告を報知する、
請求項2に記載の盗難防止システム。
【請求項4】
前記親機は、外光照度または時刻に基づいて、前記第1モードと前記第2モードを切り替える、
請求項3に記載の盗難防止システム。
【請求項5】
前記親機は、前記子機が前記親機から遠くに離れるほど、前記盗難警告の報知の度合いを段階的に強める、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の盗難防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャンプギアの盗難を防止する盗難防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
野外で一時的な生活をするキャンプにおいては、キャンプを行う拠点近辺でバーベキューなどの煮炊きや野外で寛ぐための様々な道具が用いられる。このようなキャンプ用の道具は、例えば、焚火台、着火具、杭、木槌、など多数あるが、これらを総称して本開示ではキャンプギアと定義する。
【0003】
これらキャンプギアの中には高価なものもあり、キャンプギアの盗難を防止することが望まれている。
【0004】
盗難を防止するものとして、特許文献1に開示された盗難防止機能を備えたキャンプギアがある。このキャンプギアは、設置箇所から移動させようとすると盗難防止のために警告音を吹鳴するレジャーシートである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-117844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、設置箇所から動かさないものに対しては有効であるが、着火具、木槌、椅子などのようにユーザが持ち運んで使用するものについては利便性が悪く改善の余地がある。
【0007】
本開示は、上述した事情を考慮し、様々な状況で盗難を防止できるキャンプギアの盗難防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の盗難防止システムは、
親機と、
キャンプギアに装着され前記親機と無線通信する子機と、
前記キャンプギアのユーザに携帯され前記親機と無線通信する携帯端末と、を備え、
前記親機は、前記子機が前記親機を中心とした第1距離範囲の外にあり、且つ、前記携帯端末が前記第1距離範囲よりも遠い第2距離範囲の内にある、と判定すると、前記子機に盗難警告を報知させる第1警告動作をし、
前記親機は、前記子機が前記親機を中心とした第1距離範囲の外にあり、且つ、前記携帯端末が前記第2距離範囲の外にある、と判定すると、前記子機及び前記携帯端末に盗難警告を報知させる第2警告動作をする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、様々な状況で盗難を防止できるキャンプギアの盗難防止システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】盗難防止システムを構成する親機、子機、携帯端末の外観図。
図2】盗難防止システムのシステム構成図。
図3】親機、子機、携帯端末の配置を示す図。
図4】盗難防止システムの第1フローチャート
図5】盗難防止システムの第2フローチャート
図6】盗難防止システムの第3フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面の図1図6を参照して本開示の盗難防止システムSの実施形態を説明する。
【0012】
盗難防止システムSは、野外で一時的な生活をするキャンプで用いる道具(キャンプギア)の盗難を防止するシステムである。
【0013】
(第1実施形態)
盗難防止システムSの第1実施形態を、キャンプギアとしてテントG1及び椅子G2の所有者であるユーザUがキャンプをしているシーンを例示して説明する。
【0014】
盗難防止システムSは、図2および図3に示すように、親機1、子機2、携帯端末3を備える。
【0015】
親機1は、制御部11、無線通信部12、音源部13、発光部14、フック部15、内機(制御部11、無線通信部12、音源部13、発光部14)の動力源となるバッテリ、モード切替スイッチを備える。
【0016】
親機1は、発光部14によって周囲を照らすランタンであり、例えば、フック部15を用いてテントG1の天井に吊るされてテントG1内に置かれる。
【0017】
制御部11は、集積演算回路が実装された回路基板である。制御部11は、無線通信部12、音源部13、発光部14を制御する。
【0018】
無線通信部12は、子機2や携帯端末3と無線通信を行う。無線通信部12は、例えば、BLUETOOTH(登録商標)方式やWIFI(登録商標)方式の無線通信を行う。
【0019】
音源部13は、音を吹鳴する報知器であり、例えば、オーディオスピーカーである。
【0020】
発光部14は、光を発する報知器であり、例えば、LEDである。
【0021】
親機1は、発光部14によって周囲を照らすランタンであり、例えば、フック部15を用いてテントG1の天井に吊るされてテントG1内に置かれる。
【0022】
子機2は、制御部21、無線通信部22、音源部23、発光部24、固定部25、内機(制御部21、無線通信部22、音源部23、発光部24)の動力源となるバッテリを備える。
【0023】
子機2は、固定部25を用いて椅子G2に固定される。
【0024】
制御部21は、集積演算回路が実装された回路基板である。制御部21は、無線通信部22、音源部23、発光部24を制御する。
【0025】
無線通信部22は、親機1と無線通信を行う。無線通信部22は、例えば、BLUETOOTH(登録商標)方式やWIFI(登録商標)方式の無線通信を行う。
【0026】
音源部23は、音を吹鳴する報知器であり、例えば、オーディオスピーカーである。
【0027】
発光部24は、光を発する報知器であり、例えば、LEDである。
【0028】
固定部25は、キャンプギアに子機2を固定する固定具である。固定部25は、例えば、錠前がついたワイヤー(セキュリティワイヤー)である。
【0029】
携帯端末3は、制御部31、無線通信部32、音源部33、表示部34、振動部35、内機(制御部31、無線通信部32、音源部33、表示部34、振動部35)の動力源となるバッテリを備える。
【0030】
携帯端末3は、ユーザUが持ち歩いて携帯する。
【0031】
制御部31は、集積演算回路が実装された回路基板である。制御部31は、無線通信部32、音源部33、表示部34、振動部35を制御する。
【0032】
無線通信部32は、親機1と無線通信を行う。無線通信部32は、例えば、BLUETOOTH(登録商標)方式やWIFI(登録商標)方式の無線通信を行う。
【0033】
音源部33は、音を吹鳴する報知器であり、例えば、オーディオスピーカーである。
【0034】
表示部34は、表示光を発する報知器であり、例えば、ディスプレイである。
【0035】
振動部35は、振動を発する報知器であり、例えば、偏心回転質量方式やリニア共振アクチュエータ方式のバイブレータである。
【0036】
(盗難防止警告の手順)
次に、図4図6を参照して盗難防止警告の手順について説明する。
【0037】
前述したように、親機1はテントG1の内部に配置され、子機2は椅子G2に配置され、携帯端末3はユーザUが携帯している。親機1が子機2および携帯端末3と無線通信のペアリングを完了すると、手順S1を実行し盗難防止警告の動作を開始する。
【0038】
(手順S1)
親機1の制御部11は、モード切替スイッチの状態を判定して、第1モードM1または第2モードM2が選択されているかを判定する。制御部11は、第1モードM1が選択されている場合は、手順S2に進む。制御部11は、第2モードM2が選択されている場合は、手順S3に進む。
【0039】
(手順S2:第1モード)
制御部11は、以下の手順S21-S24によって第1モードによる盗難警告を行う。
【0040】
(手順S21)
制御部11は、子機2が親機1を中心とした第1距離範囲の内にあるか否かを判定する。第1距離は、親機1が配置されたテントG1を中心としたキャンプ拠点Bの範囲に子機2があるか否かを判定するためのもので、例えば10m(メートル)とする。制御部11は、例えば、子機2から受信した無線通信の強度に基づいて、親機1から子機2までの距離を推定する。制御部11は、子機2との無線通信のペアリングが切断されたときにも子機2が第1距離範囲内にないと判定してもよい。制御部11は、子機2が第1距離範囲内にあると判定すると、一切の警告を行わず所定時間待機して再び手順S21を実行する。制御部11は、子機2が第1距離範囲内にない場合は、手順S22に進む。
【0041】
(手順S22)
制御部11は、携帯端末3が親機1を中心とした第2距離範囲の内にあるか否かを判定する。第2距離は、ユーザが用便などのためにキャンプ拠点Bから遠く離れた状態であるか否かを判定するためのもので、例えば20m(メートル)とする。制御部11は、例えば、携帯端末3から受信した無線通信の強度に基づいて、親機1から携帯端末3までの距離を推定する。制御部11は、携帯端末3が第2距離範囲内にあると判定すると、手順23に進む。制御部11は、携帯端末3が第2距離範囲内にないと判定すると、手順24に進む。
【0042】
(手順S23:第1警告動作)
制御部11は、第1警告動作として、子機2に音を吹鳴させて報知する。この吹鳴音は、子機2が親機1から離れるほど報知の度合いを段階的に強めることが好ましい。報知の度合いを強めるとは、例えば、吹鳴音の音量を高めることである。
【0043】
上述の第1警告動作は、キャンプ拠点Bの近くにユーザUがいる状態において子機2が盗難警告を報知する。この警告により、ユーザUは椅子G2の窃盗犯に気づくことができ盗難を防止できる。また、椅子G2に取り付けられた子機2が音を吹鳴することで窃盗犯への威嚇ができ、窃盗犯が椅子G2を持ち去ることを抑制できる。
【0044】
(手順S24:第2警告動作)
制御部11は、第2警告動作として、子機2に音を吹鳴させて報知し、さらに、携帯端末3に音、振動、光のいずれかによって椅子G2が盗難された虞があることを報知する。これら子機2と携帯端末3の報知の度合いは、子機2が親機1から離れるほど強めることが好ましい。
【0045】
上述の第2警告動作は、キャンプ拠点Bの近くにユーザUがいない状態において子機2及び携帯端末3が盗難警告を報知する。この警告により、ユーザUはキャンプ拠点Bから椅子G2が持ち去る窃盗犯が現れたことを早期段階で気づくことができ、ユーザUは急いでキャンプ拠点Bに戻ることで未然に盗難を防ぐことができる可能性が高まる。また、椅子G2に取り付けられた子機2が音を吹鳴することで窃盗犯への威嚇ができ、窃盗犯が椅子G2を持ち去ることを抑制できる。
【0046】
(手順S3:第2モード)
制御部11は、以下の手順S31-S34によって第2モードによる盗難警告を行う。
【0047】
(手順S31)
制御部11は、子機2が第1距離範囲内にあるか否かを判定する。制御部11は、子機2が第1距離範囲内にあると判定すると、一切の警告を行わず所定時間待機して再び手順S31を実行する。制御部11は、子機2が第1距離範囲内にない場合は、手順S32に進む。
【0048】
(手順S32)
制御部11は、携帯端末3が第2距離範囲内にあるか否かを判定する。制御部11は、携帯端末3が第2距離範囲内にあると判定すると、手順33に進む。制御部11は、携帯端末3が第2距離範囲内にないと判定すると、手順34に進む。
【0049】
(手順S33:第1警告動作)
制御部11は、第1警告動作として、子機2に音を吹鳴させて報知する。さらに、制御部11は、子機2に光を出力させる。
【0050】
このように構成することで、例えば、周囲が暗い夜間において、椅子G2に取り付けられた子機2が光輝するため、ユーザUは窃盗犯が持ち去ろうとする椅子G2の位置を目視により把握しやすい。また、夜間に子機2が光輝することにより窃盗犯への威嚇ができ、窃盗犯が椅子G2を持ち去ることを抑制できる。
【0051】
(手順S34:第2警告動作)
制御部11は、第2警告動作として、子機2に音を吹鳴させて報知し、さらに、携帯端末3に音、振動、光のいずれかによって椅子G2が盗難された虞があることを報知する。さらに、制御部11は、子機2に光を出力させる。
【0052】
このように構成することで、例えば、周囲が暗い夜間において、椅子G2に取り付けられた子機2が光輝するため、ユーザUは窃盗犯が持ち去ろうとする椅子G2の位置を目視により把握しやすい。また、夜間に子機2が光輝することにより窃盗犯への威嚇ができ、窃盗犯が椅子G2を持ち去ることを抑制できる。
【0053】
以上が、盗難防止システムSの第1実施形態である。
【0054】
(変形例)
上述した盗難防止システムSは、以下のように構成を変更してもよい。
【0055】
第1実施形態において、ユーザUは活動中の昼間に第1モードに切り替え、ユーザUがテントG1内で就寝する夜間に第2モードに切り替えて親機を使うことを想定している。このような事情を考慮すると、親機1が外光の強度を計測する照度センサを備えて、親機1の制御部11が照度センサの値に基づいて、周囲が暗い場合に第2モードを選択し、周囲が明るい場合に第1モードを選択するようにしてもよい。また、親機1の制御部11が時刻に基づいて、夜間に第2モードを選択し、夜間でない場合に第1モードを選択するようにしてもよい。
【0056】
また、第1実施形態の手順S33の第1警告動作及び手順S34の第2警告動作において、親機1も光輝するようにしてもよい。このように構成すると、例えばユーザUがテントG1内で就寝する夜間に第2モードを選択している場合に、第1警告動作及び第2警告動作のときにテントG1が親機1で照らされて光輝するため、窃盗者への威嚇効果が高まり盗難を抑制する効果が高まる。
【0057】
また、子機2にGPSなどの測位部を備えてもよい。この場合、第2警告動作において親機1が子機2のGPSの測位位置を携帯端末3に表示させることが好ましい。このように構成することで、第2警告動作においてユーザUが持ち去られた椅子G2の位置を把握できるので窃盗犯を追跡することができる。
【0058】
また、親機1の制御部11は、子機2が第1距離範囲の外にあると判定した場合であっても、子機2と携帯端末3との距離が1m(メートル)以内にある場合は、警告を禁止してもよい。このように構成することで、例えば、シェラカップなどの小型なキャンプギアに子機2を装着した場合に、携帯端末3を持ち運ぶユーザUがシェラカップを持ってキャンプ拠点Bから離れた洗い場に移動する際に誤って警告されない。
【符号の説明】
【0059】
S …盗難防止システム
1 …親機
11 …制御部
12 …無線通信部
13 …音源部
14 …発光部
15 …フック部
2 …子機
21 …制御部
22 …無線通信部
23 …音源部
24 …発光部
25 …固定部
3 …携帯端末
31 …制御部
32 …無線通信部
33 …音源部
34 …表示部(発光部)
35 …振動部
B …拠点
U …ユーザ
G1 …テント(キャンプギア)
G2 …椅子(キャンプギア)
M1 …第1モード
M2 …第2モード
図1
図2
図3
図4
図5
図6