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特開2024-107607画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107607
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/62 20060101AFI20240802BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H04N1/62
G06T1/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011625
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】田行 一成
【テーマコード(参考)】
5B057
5C079
【Fターム(参考)】
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CE17
5B057CE18
5B057DA08
5B057DA17
5B057DC25
5C079HB06
5C079LA02
5C079LA10
5C079LA20
5C079LB11
5C079MA17
5C079MA20
5C079NA06
5C079PA05
(57)【要約】
【課題】色弱者であっても画像データを容易に編集可能な画像処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様にかかる画像処理装置1は、画像データを取得する取得部11と、取得した画像データを表示する表示部12と、表示部12が表示している画像データに対する編集の指示をユーザーから受け付ける受付部13と、ユーザーの指示に従って編集した画像データを出力する出力部14と、を備える。表示部12は、画像データを表示する際に、ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得する取得部と、
前記取得した画像データを表示する表示部と、
前記表示部が表示している画像データに対する編集の指示をユーザーから受け付ける受付部と、
前記ユーザーの指示に従って編集した画像データを出力する出力部と、を備え、
前記表示部は、前記画像データを表示する際に、前記ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記受付部は、前記色空間内の特定色を調整する指示を前記ユーザーから受け付ける、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記色空間内の特定色を調整する指示は、色相、彩度、及び明度の少なくとも一つを調整する指示である、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記受付部は、前記ユーザーの色弱に関する情報を受け付け、
前記表示部は、前記ユーザーの色弱の種類および大きさに応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記受付部は、前記ユーザーの色弱の種類を特定するテストパターンを用いて前記ユーザーの色弱に関する情報を受け付ける、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記表示部は、
前記ユーザーの色弱の種類に基づいて決定された前記ユーザーが識別困難な特定色が指定されたことに応じて前記特定色に対応する画素を識別可能に表示し、
前記ユーザーの色弱の種類に基づいて決定された前記ユーザーが識別可能な色に対応する画素が指定されても当該指定された画素に対して一般色覚者に対する表示を維持する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する際、前記特定色に対応する画素を点滅させて表示する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する際、前記特定色に対応する画素を含む領域を線で囲って表示する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示するとともに、前記特定色に対応する画素に前記特定色の色情報をツールチップに表示させる、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記受付部は、編集ツールを介して色の指定を前記ユーザーから受け付け可能に構成されており、
前記表示部は、前記ユーザーの色弱の種類に応じて、前記編集ツールの色に関する色情報をツールチップに表示させる、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記編集ツールは、色相を調整するための一次元の色相バーを備え、
前記表示部は、前記ツールチップに色情報を表示させる色を前記色相バーの中央部側に配置し、前記ツールチップに色情報を表示させない色を前記色相バーの端部側に配置する、
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記表示部は、前記ユーザーの色弱の種類がP(Protanope)型またはD(Deuteranope)型である場合、レッド系およびグリーン系の色を前記特定色とし、前記画像データを表示する際に前記特定色に対応する画素を識別可能に表示する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記表示部は、前記ユーザーの色弱の種類がT(Tritanope)型である場合、ブルー系およびイエロー系の色を前記特定色とし、前記画像データを表示する際に前記特定色に対応する画素を識別可能に表示する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項14】
画像データを取得するステップと、
前記取得した画像データを表示するステップと、
前記表示している画像データに対する編集の指示をユーザーから受け付けるステップと、
前記ユーザーの指示に従って編集した画像データを出力するステップと、を備え、
前記画像データを表示する際に、前記ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する、
画像処理方法。
【請求項15】
画像データを取得するステップと、
前記取得した画像データを表示するステップと、
前記表示している画像データに対する編集の指示をユーザーから受け付けるステップと、
前記ユーザーの指示に従って編集した画像データを出力するステップと、を備え、
前記画像データを表示する際に、前記ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する、画像処理をコンピューターに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやスマートフォン等のデジタル機器の普及により、パーソナルコンピューターやスマートフォン等を用いてユーザー自身が画像データを編集する機会が増えてきている。
【0003】
ところで、色覚に障害のある色弱者は、一般の人よりも色の区別が困難である。また、色弱者の中にも様々なタイプがある。例えば、CUDO(NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構)は、色覚のタイプを次のように分類している。
C型:一般色覚者
P型:赤錐体異常、赤緑色盲
D型:緑錐体異常、赤緑色盲
T型:青錐体異常、黄青色盲
A型:全色盲
【0004】
特許文献1には、入力データを作成したデータ作成者が強調を意図して用いた色の情報を保ったまま、色弱者でもその入力データの強調領域の色が識別できるように色表現情報を配置して画像を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-206572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、近年、デジタルカメラやスマートフォン等のデジタル機器が広く普及したことに伴い、ユーザー自身が画像データを編集する機会が増えてきている。このため、色弱者であっても画像データを容易に編集可能な画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる画像処理装置は、画像データを取得する取得部と、前記取得した画像データを表示する表示部と、前記表示部が表示している画像データに対する編集の指示をユーザーから受け付ける受付部と、前記ユーザーの指示に従って編集した画像データを出力する出力部と、を備え、前記表示部は、前記画像データを表示する際に、前記ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する。
【0008】
本発明の一態様にかかる画像処理方法は、画像データを取得するステップと、前記取得した画像データを表示するステップと、前記表示している画像データに対する編集の指示をユーザーから受け付けるステップと、前記ユーザーの指示に従って編集した画像データを出力するステップと、を備え、前記画像データを表示する際に、前記ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する。
【0009】
本発明の一態様にかかるプログラムは、画像データを取得するステップと、前記取得した画像データを表示するステップと、前記表示している画像データに対する編集の指示をユーザーから受け付けるステップと、前記ユーザーの指示に従って編集した画像データを出力するステップと、を備え、前記画像データを表示する際に、前記ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する、画像処理をコンピューターに実行させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態にかかる画像処理装置の一例を説明するためのブロック図である。
図2】実施の形態にかかる画像処理装置の編集画面の具体例を示す図である。
図3】実施の形態にかかる画像処理装置の編集画面の具体例を示す図である。
図4】実施の形態にかかる画像処理装置の編集画面の具体例を示す図である。
図5】実施の形態にかかる画像処理装置の編集画面の具体例を示す図である。
図6】実施の形態にかかる画像処理装置の編集画面の具体例を示す図である。
図7】実施の形態にかかる画像処理装置の編集画面の具体例を示す図である。
図8】実施の形態にかかる画像処理装置の編集画面の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかる画像処理装置の一例を説明するためのブロック図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる画像処理装置1は、取得部11、表示部12、受付部13、及び出力部14を備える。
【0012】
本実施の形態にかかる画像処理装置1は、例えばパーソナルコンピューターやスマートフォン等の電子機器であり、ユーザーは表示部12が表示している操作画面を見ながら操作することで画像データを編集する。また、本実施の形態にかかる画像処理装置1は、プリンターに備え付けられていてもよい。この場合、ユーザーは表示部12が表示している操作画面を見ながら操作して画像データを編集し、編集後の画像データを印刷することができる。なお、本実施の形態にかかる画像処理装置1はこれらに限定されることはなく、表示部12が表示している画像データをユーザーが編集可能な電子機器であればどのような装置であってもよい。
【0013】
図1に示す取得部11は、画像データを取得する。具体的には、取得部11はユーザーが編集しようとしている画像データを取得する。本実施の形態において画像データは、典型的には写真データである。取得部11は画像処理装置1に内蔵されている記憶部に保存されている画像データを取得してもよい。また、取得部11は、画像処理装置1の外部の電子機器に保存されている画像データを取得してもよい。例えば、取得部11は、クラウドストレージに保存されている画像データをネットワーク回線を介して取得してもよい。
【0014】
表示部12は、取得部11で取得した画像データを表示させる。表示部12は、例えば、液晶パネルや有機ELパネル等を制御するコントローラーである。表示部12は、画像処理装置1に内蔵される機構に表示させてもよく、また画像処理装置1の外部に設けられる機構に表示させてもよい。例えば、画像処理装置1がスマートフォンを用いて構成される場合、表示部12は画像処理装置1に内蔵されている液晶パネルや有機ELパネル等に表示させる。一方、画像処理装置1がパーソナルコンピューターを用いて構成される場合、表示部12は画像処理装置1本体の外部に設けられる液晶パネルや有機ELパネル等に表示させる。また、表示部12はプロジェクターでもよく、画像データをスクリーン等に投影することで表示させてもよい。
【0015】
受付部13は、表示部12が表示している画像データに対する編集の指示をユーザーから受け付ける。例えば、ユーザーは表示部12が表示している操作画面を見ながら操作することで画像データを編集する。受付部13は、このときユーザーが操作した編集の指示に関する情報を受け付ける。例えば、画像処理装置1がスマートフォンの場合、受付部13はタッチパネルを用いてユーザーが入力した編集の指示を受け付ける。また、画像処理装置1がパーソナルコンピューターの場合、受付部13は、マウスやキーボードを用いてユーザーが入力した編集の指示を受け付ける。
【0016】
出力部14は、ユーザーの指示に従って編集した画像データを出力する。例えば、出力部14は、編集した画像データを画像処理装置1に内蔵されている記憶部に出力して保存してもよい。また、出力部14は、編集した画像データを外部の電子機器の記憶部に出力して保存してもよい。例えば、出力部14は、編集した画像データをクラウドストレージに出力して保存してもよい。また、出力部14は、編集した画像データを印刷機構に印刷させることで印刷出力をしてもよい。
【0017】
本実施の形態にかかる画像処理装置1では、色弱者であっても画像データを容易に編集することができるように、表示部12は、画像データを表示させる際に、ユーザーの色弱の種類や程度に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する。色空間とはRGB色空間、HSV色空間、CMY色空間などである。
【0018】
例えば、ユーザーの色弱の種類がP(Protanope)型またはD(Deuteranope)型である場合、ユーザーが識別困難な色の組み合わせは、レッド系とグリーン系の組み合わせである。したがって、任意の画像の中で識別が難しくなる可能性が高いレッド系およびグリーン系の色を特定色として指定する。この場合、表示部12は、画像データを表示する際に特定色であるレッド系およびグリーン系の色の画素を識別可能に表示する。また、ユーザーの色弱の種類がT(Tritanope)型である場合、ユーザーが識別困難な色の組み合わせは、ブルー系とイエロー系の組み合わせである。したがって、任意の画像の中で識別が難しくなる可能性が高いブルー系およびイエロー系の色を特定色として指定する。この場合、表示部12は、画像データを表示する際に特定色であるブルー系およびイエロー系の色の画素を識別可能に表示する。さらにこれに加えてユーザーの色弱の程度にも応じて特定色を指定してもよい。すなわち彩度が高ければ色を識別可能であるが、彩度が低ければ識別困難であるユーザーの場合は、彩度が低い色を特定色として指定し、彩度が高い色は特定色として指定しない、としてもよい。
【0019】
例えば、表示部12は、ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する際、特定色に対応する画素を点滅させて表示してもよい。また、表示部は、ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する際、特定色に対応する画素を含む領域を線で囲って表示してもよい。
【0020】
本実施の形態では、受付部13がユーザーの色弱に関する情報を受け付けてもよい。ここでユーザーの色弱に関する情報とは、ユーザーの色弱の種類および大きさに関する情報である。ユーザーの色弱の種類に関する情報は、上述したC型、P型、D型、T型の情報である。ユーザーの色弱の大きさに関する情報は、ユーザーの色弱の程度に関する情報、すなわち、色弱の強弱に関する情報である。例えば、受付部13は、ユーザーの色弱の種類を特定するテストパターンを用いてユーザーの色弱に関する情報を受け付けてもよい。また、受付部13は、所定の設定画面でユーザーが色弱の種類および大きさに関する情報を入力することで、ユーザーの色弱に関する情報を受け付けてもよい。表示部12は、このようにして取得したユーザーの色弱の種類および大きさに応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する。
【0021】
本実施の形態において表示部12は、ユーザーの色弱の種類に基づいて決定されたユーザーが識別困難な特定色が指定された場合に、特定色に対応する画素を識別可能に表示してもよい。このとき、表示部12は、ユーザーの色弱の種類に基づいて決定されたユーザーが識別可能な色に対応する画素が指定された場合は、当該指定された画素に対して一般色覚者に対する表示と同じ表示を維持してもよい。換言すると表示部12は、ユーザーが識別困難な特定色が指定された場合にのみ、特定色に対応する画素を識別可能に表示してもよい。
【0022】
以下、図2図8を用いて、本実施の形態にかかる画像処理装置の編集画面の具体例について説明する。
【0023】
図2図8は、本実施の形態にかかる画像処理装置の編集画面の具体例を示す図である。図2図8に示す編集画面21_1~21_2、22_1~22_3、23_1~23_2は、表示部12が表示する編集画面の一例を示している。図2図8に示す編集画面には、編集対象の画像データ31と編集ツール32、33、34とが表示されており、ユーザーが編集ツール32、33、34を操作することで編集対象の画像データ31が編集される。以下では、一例として、編集対象の画像データ31がレッドの花弁41とグリーンの葉42を備える場合について説明する。
【0024】
図2図3に示す例において、編集ツール32は、色相を調整するための一次元の色相バー51と、同一色相内で明度と彩度が変化する二次元パレット52と、を備える。受付部13は、ユーザーが色相バー51と二次元パレット52を操作して入力した色空間内の特定色を調整する指示を受け付ける。
【0025】
色相バー51は、色相を一次元のグラデーションで表しており、上下方向において色相が変化する。二次元パレット52は、色相バー51で選択された色相における明度および彩度をグラデーションで示している。二次元パレット52において横方向は彩度のグラデーションを示しており、左方向が無彩色を示し、右方向が高彩度を示している。二次元パレット52の縦方向は明度のグラデーションを示している。
【0026】
図2に示すように、編集対象の画像データ31はレッドの花弁41とグリーンの葉42を備えるので、ユーザーの色弱の種類がP型またはD型である場合、ユーザーは花弁41の色と葉42の色を区別するのが困難となる。このような場合、本実施の形態では、画像データ31や編集ツール32を表示する際に特定色であるレッドおよびグリーンの色の画素を識別可能に表示する。
【0027】
例えば、図2図3に示すように、色相バー51にレッドの色情報を示すツールチップ35_2やグリーンの色情報を示すツールチップ35_4を表示する。色情報の名称には、例えば、JIS慣用色名を使用することができる。ユーザーが色弱者の場合は、色相方向の色の識別が困難であるので、図2図3に示すように、色相バー51にユーザーが識別困難な色の組み合わせのツールチップを表示する。一方、二次元パレット52は、色相バー51で選択された色相における明度および彩度を示しており、ユーザーは明度および彩度を認識することができるので、二次元パレット52には色情報を示すツールチップを表示しなくてもよい。なお、ユーザーの利便性を考慮し、二次元パレット52にも色情報を示すツールチップを表示するようにしてもよい。
【0028】
例えば図2に示すように、ユーザーが色相バー51のレッドの位置を選択した場合、表示部12は色相バー51にレッドの色情報を示すツールチップ35_2を表示する。このとき、表示部12は、画像データ31に含まれるレッドの部分、つまり花弁41の部分を識別可能に表示する。例えば、表示部12は、花弁41の部分の画素を点滅させて表示してもよい。また、表示部12は、花弁41の部分の画素を含む領域を線で囲って表示してもよい。図2では一例として、花弁41の部分をハッチングで示している。また、花弁41の部分にレッドの色情報を示すツールチップ35_1を表示してもよい。なお、本実施の形態では、ツールチップを表示するとともに、色情報を音声で読み上げるようにしてもよい。
【0029】
また、図3に示すように、ユーザーが色相バー51のグリーンの位置を選択した場合、表示部12は色相バー51にグリーンの色情報を示すツールチップ35_4を表示する。このとき、表示部12は、画像データ31に含まれるグリーンの部分、つまり葉42の部分を識別可能に表示する。例えば、表示部12は、葉42の部分の画素を点滅させて表示してもよい。また、表示部12は、葉42の部分の画素を含む領域を線で囲って表示してもよい。図3では一例として、葉42の部分をハッチングで示している。なお、図3では、茎の色もグリーンなので茎の部分もハッチングで示している。また、葉42の部分にグリーンの色情報を示すツールチップ35_3を表示してもよい。
【0030】
また、本実施の形態では、図2図3に示した色相バー51にレッドの色情報を示すツールチップ35_2とグリーンの色情報を示すツールチップ35_4を同時に表示してもよい。
【0031】
図4図6に示す例では、編集ツール33は、色相、彩度、及び明度を調整可能な調整バー61~63である。受付部13は、ユーザーが調整バー61~63を操作して入力した特定色を調整する指示を受け付ける。例えば、画像データが写真データの場合は、人間の視覚に馴染みのある色相、彩度、明度を用いて画像データを調整するほうが容易に画像データを編集できる。例えば、RGBを明度・彩度・色相に変換したHSVを用いることもできるが、より人間の感覚に近いLabを明度・彩度・色相に変換したLchを用いることもできる。このような各種の色空間を用いることで、画像データを容易に編集できる。
【0032】
例えば、明度やコントラストの調整や彩度の調整は、ヒストグラムやガマットを分析することで自動算出も可能であるが、好みに合わない場合は微調整が必要になる。また、色相に関しても、空色や人間の肌色など記憶色と言われる色については、統計的に最も出現する確率の高い色彩値や、最も好まれる色彩値が学術研究の結果から分かっており、それらの値を設定することで、自動処理も可能である。しかし、色相をドラスティックに変えたい場合、例えば赤い花を青い花に変えるというような編集は、手作業での調整が必要になる。このような場合は、色相、彩度、及び明度を調整可能な調整バー61~63を用いることで画像データを容易に編集できる。
【0033】
色相の調整バー61は、色相を一次元のグラデーションで表しており、左右方向において色相が変化する。色相の調整バー61は、-180度~+180度の範囲で色相を調整可能である。彩度の調整バー62は、左方向に行くほど彩度が減少し、右方向に行くほど彩度が増加する。彩度の調整バー62は、-100%~+100の範囲で彩度を調整可能である。明度の調整バー63は、左方向に行くほど明度が減少し、右方向に行くほど明度が増加する。明度の調整バー63は、-100%~+100の範囲で彩度を調整可能である。
【0034】
図4に示すように、編集対象の画像データ31はレッドの花弁41とグリーンの葉42を備えるので、ユーザーの色弱の種類がP型またはD型である場合、ユーザーは花弁41の色と葉42の色を区別するのが困難となる。このような場合、本実施の形態では、画像データ31や編集ツール33を表示する際に特定色であるレッドおよびグリーンの色の画素を識別可能に表示する。
【0035】
例えば、図4図5に示すように、色相の調整バー61にレッドの色情報を示すツールチップ36_2やグリーンの色情報を示すツールチップ36_4を表示する。色情報の名称には、例えば、JIS慣用色名を使用することができる。ユーザーが色弱者の場合は、色相方向の色の識別が困難であるので、図4図5に示すように、色相の調整バー61にユーザーが識別困難な色の組み合わせのツールチップを表示する。一方、調整バー62、63は、彩度および明度の調整バーであり、ユーザーは彩度および明度を認識することができるので、調整バー62、63には色情報を示すツールチップを表示しなくてもよい。なお、ユーザーの利便性を考慮し、調整バー62、63にも色情報を示すツールチップを表示するようにしてもよい。
【0036】
例えば図4に示すように、ユーザーが色相の調整バー61のレッドの位置を選択した場合、表示部12は、色相の調整バー61にレッドの色情報を示すツールチップ36_2を表示する。このとき、表示部12は、画像データ31に含まれるレッドの部分、つまり花弁41の部分を識別可能に表示する。例えば、表示部12は、花弁41の部分の画素を点滅させて表示してもよい。また、表示部12は、花弁41の部分の画素を含む領域を線で囲って表示してもよい。図4では一例として、花弁41の部分をハッチングで示している。また、花弁41の部分にレッドの色情報を示すツールチップ36_1を表示してもよい。なお、本実施の形態では、ツールチップを表示するとともに、色情報を音声で読み上げるようにしてもよい。
【0037】
また、図5に示すように、ユーザーが色相の調整バー61のグリーンの位置を選択した場合、表示部12は、色相の調整バー61にグリーンの色情報を示すツールチップ36_4を表示する。このとき、表示部12は、画像データ31に含まれるグリーンの部分、つまり葉42の部分を識別可能に表示する。例えば、表示部12は、葉42の部分の画素を点滅させて表示してもよい。また、表示部12は、葉42の部分の画素を含む領域を線で囲って表示してもよい。図5では一例として、葉42の部分をハッチングで示している。なお、図5では、茎の色もグリーンなので茎の部分もハッチングで示している。また、葉42の部分にグリーンの色情報を示すツールチップ36_3を表示してもよい。
【0038】
また、本実施の形態では、図6に示すように、彩度の調整の目処を示す目印64を彩度の調整バー62上に表示してもよい。例えば、調整の目処を示す目印64について説明する。彩度の調整をする場合、画像をより鮮やかにしたい要求が多いので拡張するケースが多い。ところが何も配慮することなく彩度を拡張してしまうと、空間的に配置されている階調データが同じ色彩値に飽和して階調つぶれになってしまうため、最適な程よい彩度拡張点が存在することが分かる。調整の目途とは、階調をつぶすことなく最大限に彩度を拡張できる最大彩度拡張点である。このように、彩度の調整の目処を示す目印64を彩度の調整バー62上に表示することで、色弱者であっても彩度の調整を容易に実施することができる。
【0039】
また、本実施の形態では、図4図5に示した色相の調整バー61にレッドの色情報を示すツールチップ36_2とグリーンの色情報を示すツールチップ36_4を同時に表示してもよい。
【0040】
図7図8に示す例では、編集ツール34は、色相を調整するための円状の色相環71と、同一色相内で明度と彩度が変化する二次元パレット72と、を備える。受付部13は、ユーザーが色相環71と二次元パレット72を操作して入力した色空間内の特定色を調整する指示を受け付ける。
【0041】
色相環71は、色相を円状のグラデーションで表しており、回転方向において色相が変化する。二次元パレット72は、色相環71で選択された色相における明度および彩度をグラデーションで示している。二次元パレット72において横方向は彩度のグラデーションを示しており、左方向が無彩色を示し、右方向が高彩度を示している。二次元パレット72の縦方向は明度のグラデーションを示している。
【0042】
図7図8に示すように、編集対象の画像データ31はレッドの花弁41とグリーンの葉42を備えるので、ユーザーの色弱の種類がP型またはD型である場合、ユーザーは花弁41の色と葉42の色を区別するのが困難となる。このような場合、本実施の形態では、画像データ31や編集ツール34を表示する際に特定色であるレッドおよびグリーンの色の画素を識別可能に表示する。
【0043】
例えば、図7図8に示すように、色相環71にレッドの色情報を示すツールチップ37_2やグリーンの色情報を示すツールチップ37_4を表示する。色情報の名称には、例えば、JIS慣用色名を使用することができる。ユーザーが色弱者の場合は、色相方向の色の識別が困難であるので、図7図8に示すように、色相環71にユーザーが識別困難な色の組み合わせのツールチップを表示する。一方、二次元パレット72は、色相環71で選択された色相における明度および彩度を示しており、ユーザーは明度および彩度を認識することができるので、二次元パレット72には色情報を示すツールチップを表示しなくてもよい。なお、ユーザーの利便性を考慮し、二次元パレット72にも色情報を示すツールチップを表示するようにしてもよい。
【0044】
例えば図7に示すように、ユーザーが色相環71のレッドの位置を選択した場合、表示部12は、色相環71にレッドの色情報を示すツールチップ37_2を表示する。このとき、表示部12は、画像データ31に含まれるレッドの部分、つまり花弁41の部分を識別可能に表示する。例えば、表示部12は、花弁41の部分の画素を点滅させて表示してもよい。また、表示部12は、花弁41の部分の画素を含む領域を線で囲って表示してもよい。図7では一例として、花弁41の部分をハッチングで示している。また、花弁41の部分にレッドの色情報を示すツールチップ37_1を表示してもよい。なお、本実施の形態では、ツールチップを表示するとともに、色情報を音声で読み上げるようにしてもよい。
【0045】
また、図8に示すように、ユーザーが色相環71のグリーンの位置を選択した場合、表示部12は、色相環71にグリーンの色情報を示すツールチップ37_4を表示する。このとき、表示部12は、画像データ31に含まれるグリーンの部分、つまり葉42の部分を識別可能に表示する。例えば、表示部12は、葉42の部分の画素を点滅させて表示してもよい。また、表示部12は、葉42の部分の画素を含む領域を線で囲って表示してもよい。図8では一例として、葉42の部分をハッチングで示している。なお、図8では、茎の色もグリーンなので茎の部分もハッチングで示している。また、葉42の部分にグリーンの色情報を示すツールチップ37_3を表示してもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、図7図8に示した色相環71にレッドの色情報を示すツールチップ37_2とグリーンの色情報を示すツールチップ37_4を同時に表示してもよい。
【0047】
以上で説明した編集画面の具体例では、ユーザーの色弱の種類がP型またはD型である場合について説明したが、本実施の形態にかかる発明は、ユーザーの色弱の種類がT型の場合についても同様に適用することができる。つまり、ユーザーの色弱の種類がT型の場合は、ユーザーが識別困難な色の組み合わせ、つまりブルー系およびイエロー系の色のツールチップを画像データ31や編集ツール32~34に表示する。
【0048】
また、本実施の形態において表示部12は、ツールチップに色情報を表示させる色を色相バーの中央部側に配置し、ツールチップに色情報を表示させない色を色相バーの端部側に配置するようにしてもよい。例えば、図4に示した色相の調整バー61において、レッドとグリーンの色相が中央部側に配置されるようにしてもよい。このように配置することで、ツールチップを調整バー61の中央側に配置でき、ユーザーが視認しやすくできる。
【0049】
以上で説明したとおり、本実施の形態において、表示部12は、画像データを表示する際に、ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示している。具体的には、表示部12は、ユーザーの色弱の種類がP型またはD型である場合、レッド系およびグリーン系の色を特定色とし、画像データを表示する際に特定色に対応する画素を識別可能に表示する。また、表示部12は、ユーザーの色弱の種類がT型である場合、ブルー系およびイエロー系の色を特定色とし、画像データを表示する際に特定色に対応する画素を識別可能に表示する。したがって、色弱者であっても画像データを容易に編集可能な画像処理装置を提供することができる。特定色の表記は、本明細書では「レッド」、「グリーン」としたが、これに限定されるものではない。色名称と色認識の間には個人差があることは周知のとおりである。例えば、同じ分光分布の刺激を「レッド」と認識する人もいれば、「オレンジ」と認識する人もいるので、実施の形態として「レッド」の代わりに「オレンジ」と表記してもよい。また、色弱の種類を何種類に分類するのか、どのような名前を付けるのか、は適宜設定することができるが、医学的知見に基づいて設定することが望ましい。
【0050】
なお、本実施の形態では、上記動作を実行可能なプログラムをコンピューターに実行させてもよい。すなわち、画像データを取得するステップと、取得した画像データを表示するステップと、表示している画像データに対する編集の指示をユーザーから受け付けるステップと、ユーザーの指示に従って編集した画像データを出力するステップと、を備え、画像データを表示する際に、ユーザーの色弱の種類に応じた色空間内の特定色に対応する画素を識別可能に表示する、画像処理を実行可能なプログラムをコンピューターに実行させてもよい。
【0051】
例えば、コンピューターは、プロセッサーおよびメモリーを備える。メモリーには、上記動作を実行可能なプログラムが格納されている。プロセッサーは、メモリーからプログラムを読み出す。そして、プロセッサーにおいてプログラムを実行することで、上述した画像処理を実行できる。
【0052】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
1…画像処理装置、11…取得部、12…表示部、13…受付部、14…出力部、21_1~21_2…編集画面、22_1~22_3…編集画面、23_1~23_2…編集画面、31…画像データ、32、33、34…編集ツール、35_1~35_4…ツールチップ、36_1~36_4…ツールチップ、37_1~37_4…ツールチップ、41…花弁、42…葉、51…色相バー、52…二次元パレット、61~63…調整バー、64…目印、71…色相環、72…二次元パレット
図1
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図6
図7
図8