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特開2024-107608画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、給送装置
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  • 特開-画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、給送装置 図1
  • 特開-画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、給送装置 図2
  • 特開-画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、給送装置 図3
  • 特開-画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、給送装置 図4
  • 特開-画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、給送装置 図5
  • 特開-画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、給送装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107608
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、給送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 43/02 20060101AFI20240802BHJP
   B65H 1/00 20060101ALI20240802BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
B65H43/02
B65H1/00 501A
B65H1/04 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011626
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】西崎 豊
【テーマコード(参考)】
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA02
3F048BB02
3F048BC03
3F048CB05
3F048DA02
3F048DB03
3F048DB07
3F048DB11
3F048DC14
3F048EB02
3F343FA01
3F343FB01
3F343FC30
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA12
3F343HE04
3F343HE22
3F343LC12
3F343MA23
3F343MA26
3F343MB02
3F343MC28
(57)【要約】
【課題】画像形成装置に印刷媒体を補充する作業について、ユーザーの負荷の軽減と利便性の向上を図る。
【解決手段】印刷媒体が載置されるトレイと、トレイに設けられ印刷媒体をガイドする一対のガイド部と、一対のガイド部の間の距離またはトレイに載置された印刷媒体のサイズである第1サイズを検出する第1検出部と、トレイから給送可能な印刷媒体の有無を検出する第2検出部と、を備える媒体保持部を有し、印刷ジョブを実行する際に第2検出部によって印刷媒体がないことを検出した場合に、印刷ジョブで指定される印刷媒体のサイズである第2サイズを保持してエラー状態に移行し、エラー状態において第2検出部によって印刷媒体を検出した場合にタイマーのカウントを開始し、タイマーのカウント値が閾値に達するまでの間に第1サイズが第2サイズに適合した場合に、エラー状態を解除する、画像形成装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を保持する媒体保持部と、
前記媒体保持部から搬送される前記印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記印刷媒体のサイズを指定する印刷ジョブを実行することにより、前記印刷部により印刷を実行させる制御部と、を備え、
前記媒体保持部は、
前記印刷媒体が載置されるトレイと、
前記トレイに設けられ前記印刷媒体をガイドする一対のガイド部と、
一対の前記ガイド部の間の距離または前記トレイに載置された前記印刷媒体のサイズである第1サイズを検出する第1検出部と、
前記トレイから給送可能な前記印刷媒体の有無を検出する第2検出部と、を備え、
一対の前記ガイド部の少なくとも一方は前記トレイにおいて移動可能であり、
前記制御部は、
前記印刷ジョブを実行する際に前記第2検出部によって前記印刷媒体がないことを検出した場合に、前記印刷ジョブで指定される前記印刷媒体のサイズである第2サイズを保持して、エラー状態に移行し、
前記エラー状態において前記第2検出部によって前記印刷媒体を検出した場合にタイマーのカウントを開始し、
前記タイマーのカウント値が閾値に達するまでの間に、前記第1サイズが前記第2サイズに適合した場合に、前記エラー状態を解除する、画像形成装置。
【請求項2】
一対の前記ガイド部の少なくとも一方は、前記トレイにおいて、前記印刷媒体の搬送方向と交差する第1軸に沿ってスライド移動可能であり、
前記ガイド部は、前記第1軸に沿った方向から前記印刷媒体に当接して、搬送される前記印刷媒体をガイドする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記エラー状態において前記第2検出部によって前記印刷媒体を検出した場合に、前記閾値を第1設定値に設定して前記タイマーのカウントを開始する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記タイマーのカウントを開始した後、前記第1サイズが変化した場合に、前記タイマーのカウントを停止し、前記タイマーのカウント値を消去する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1サイズが変化したことにより前記第1サイズが前記第2サイズに適合した場合に、前記タイマーの前記閾値を前記第1設定値とは異なる第2設定値に設定し、前記タイマーのカウントを開始する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2設定値は、前記第1設定値よりも短い時間で前記タイマーがカウントする値である、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1サイズが変化した場合であって変化後の前記第1サイズが前記第2サイズに適合しない場合に、前記タイマーのカウント値を消去した後で前記タイマーのカウントを開始する、請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1サイズの複数の値のそれぞれに対応する複数の設定値を有し、前記タイマーのカウント値が前記閾値に達するまでの間に前記第1サイズが変化した場合、前記複数の設定値のうち変化後の前記第1サイズに対応する設定値を前記閾値に設定して、前記タイマーのカウントを開始する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記印刷ジョブを実行している間に前記第2検出部の検出値を取得したとき、前記制御部が前記印刷ジョブを有していて前記印刷ジョブを待機中、または開始する前に前記第2検出部の検出値を取得したときに、前記第2検出部の検出結果に基づき前記印刷媒体の有無を判定し、
前記印刷媒体がないと判定した場合に、前記エラー状態に移行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
印刷媒体を保持する媒体保持部と、前記媒体保持部から搬送される前記印刷媒体に印刷する印刷部と、を有し、前記媒体保持部に、前記印刷媒体が載置されるトレイと、前記トレイに設けられ前記印刷媒体をガイドする一対のガイド部と、を備え、一対の前記ガイド部の少なくとも一方が前記トレイにおいて移動可能に構成された画像形成装置により、
一対の前記ガイド部の間の距離または前記トレイに載置された前記印刷媒体のサイズである第1サイズを第1検出部により検出し、
前記トレイから給送可能な前記印刷媒体の有無を第2検出部により検出し、
前記印刷媒体のサイズを指定する印刷ジョブを実行し、前記印刷ジョブを実行する際に前記第2検出部によって前記印刷媒体がないことを検出した場合に、前記印刷ジョブで指定される前記印刷媒体のサイズである第2サイズを保持して、エラー状態に移行し、
前記エラー状態において前記第2検出部によって前記印刷媒体を検出した場合にタイマーのカウントを開始し、
前記タイマーのカウント値が閾値に達するまでの間に、前記第1サイズが前記第2サイズに適合した場合に、前記エラー状態を解除する、画像形成装置の制御方法。
【請求項11】
印刷媒体に印刷する印刷部を有する画像形成装置に設けられ、前記印刷媒体を給送する給送装置であって、
前記印刷媒体が載置されるトレイと、
前記トレイに設けられ前記印刷媒体をガイドする一対のガイド部と、
一対の前記ガイド部の間の距離または前記トレイに載置された前記印刷媒体のサイズである第1サイズを検出する第1検出部と、
前記トレイから給送可能な前記印刷媒体の有無を検出する第2検出部と、を備え、
一対の前記ガイド部の少なくとも一方は前記トレイにおいて移動可能であり、
前記画像形成装置が前記印刷媒体のサイズを指定する印刷ジョブを実行する際に、前記第2検出部によって前記印刷媒体がないことが検出された場合に、前記印刷媒体のセットを待機する待機状態に移行し、
前記待機状態で前記第2検出部によって前記印刷媒体を検出した場合にタイマーのカウントを開始し、
前記タイマーのカウント値が閾値に達するまでの間に、前記第1サイズが所定のサイズに適合した場合に、前記待機状態を解除する、給送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及び、給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、印刷用紙あるいは印刷媒体をガイドによって所定位置に保持しながら搬送する構成が知られている。例えば、特許文献1は、印刷装置の給紙トレイにおいて、用紙台に積載された印刷用紙を所定位置に保持するスライドガイドを設け、用紙がないときにはスライドガイドの位置を認識し、ユーザーが入力した用紙サイズに応じた所定位置にスライドガイドを移動させる構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-84306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガイドを利用する構成において、ユーザーが印刷媒体を補充するときには、補充の邪魔にならないようにガイドが移動されることが多い。この場合、印刷媒体の補充が完了するまではガイドが正規の位置にないので、ガイドの位置の認識や検出を行ってもエラーとなる可能性がある。このため、作業中にエラーが続けて検出されることにより、ユーザーが印刷媒体を補充する作業の心理的な負荷が懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、印刷媒体を保持する媒体保持部と、前記媒体保持部から搬送される前記印刷媒体に印刷する印刷部と、前記印刷媒体のサイズを指定する印刷ジョブを実行することにより、前記印刷部により印刷を実行させる制御部と、を備え、前記媒体保持部は、前記印刷媒体が載置されるトレイと、前記トレイに設けられ前記印刷媒体をガイドする一対のガイド部と、一対の前記ガイド部の間の距離または前記トレイに載置された前記印刷媒体のサイズである第1サイズを検出する第1検出部と、前記トレイから給送可能な前記印刷媒体の有無を検出する第2検出部と、を備え、一対の前記ガイド部の少なくとも一方は前記トレイにおいて移動可能であり、前記制御部は、前記印刷ジョブを実行する際に前記第2検出部によって前記印刷媒体がないことを検出した場合に、前記印刷ジョブで指定される前記印刷媒体のサイズである第2サイズを保持して、エラー状態に移行し、前記エラー状態において前記第2検出部によって前記印刷媒体を検出した場合にタイマーのカウントを開始し、前記タイマーのカウント値が閾値に達するまでの間に、前記第1サイズが前記第2サイズに適合した場合に、前記エラー状態を解除する、画像形成装置である。
【0006】
本開示の別の一態様は、印刷媒体を保持する媒体保持部と、前記媒体保持部から搬送される前記印刷媒体に印刷する印刷部と、を有し、前記媒体保持部に、前記印刷媒体が載置されるトレイと、前記トレイに設けられ前記印刷媒体をガイドする一対のガイド部と、を備え、一対の前記ガイド部の少なくとも一方が前記トレイにおいて移動可能に構成された画像形成装置により、一対の前記ガイド部の間の距離または前記トレイに載置された前記印刷媒体のサイズである第1サイズを第1検出部により検出し、前記トレイから給送可能な前記印刷媒体の有無を第2検出部により検出し、前記印刷媒体のサイズを指定する印刷ジョブを実行し、前記印刷ジョブを実行する際に前記第2検出部によって前記印刷媒体がないことを検出した場合に、前記印刷ジョブで指定される前記印刷媒体のサイズである第2サイズを保持して、エラー状態に移行し、前記エラー状態において前記第2検出部によって前記印刷媒体を検出した場合にタイマーのカウントを開始し、前記タイマーのカウント値が閾値に達するまでの間に、前記第1サイズが前記第2サイズに適合した場合に、前記エラー状態を解除する、画像形成装置の制御方法である。
【0007】
本開示の別の一態様は、印刷媒体に印刷する印刷部を有する画像形成装置に設けられ、前記印刷媒体を給送する給送装置であって、前記印刷媒体が載置されるトレイと、前記トレイに設けられ前記印刷媒体をガイドする一対のガイド部と、一対の前記ガイド部の間の距離または前記トレイに載置された前記印刷媒体のサイズである第1サイズを検出する第1検出部と、前記トレイから給送可能な前記印刷媒体の有無を検出する第2検出部と、を備え、一対の前記ガイド部の少なくとも一方は前記トレイにおいて移動可能であり、前記画像形成装置が前記印刷媒体のサイズを指定する印刷ジョブを実行する際に、前記第2検出部によって前記印刷媒体がないことが検出された場合に、前記印刷媒体のセットを待機する待機状態に移行し、前記待機状態で前記第2検出部によって前記印刷媒体を検出した場合にタイマーのカウントを開始し、前記タイマーのカウント値が閾値に達するまでの間に、前記第1サイズが所定のサイズに適合した場合に、前記待機状態を解除する、給送装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の印刷装置の外観図。
図2】印刷装置の要部構成を示す平面図。
図3】スライド機構の説明図。
図4】印刷装置の制御系を示すブロック図。
図5】印刷装置の動作例を示すフローチャート。
図6】印刷装置の動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.印刷装置の構成]
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態の印刷装置1の外観図であり、図2は印刷装置1の要部構成を示す平面図である。
【0010】
図1図2および後述する図3において、印刷装置1における方向を定義するためX軸、Y軸、及び、Z軸を図示する。X軸は印刷装置1の左右方向に対応し、X軸に沿う+X方向は右方向に対応し、X軸に沿う-X方向は左方向に対応する。+X方向と-X方向とは互いに反対を向く。同様に、Y軸は印刷装置1の前後方向に対応し、Y軸に沿う+Y方向は後方向に対応し、Y軸に沿う-Y方向は前方向に対応する。+Y方向と-Y方向とは互いに反対を向く。また、Z軸は印刷装置1の上下方向に対応する。X軸は第1軸の一例に対応する。
【0011】
印刷装置1は、後述する印刷ヘッド41によって印刷媒体Mに画像を印刷する装置であり、画像形成装置の一例に対応する。印刷装置1は、本体2と、本体2に取り付けられる給送装置3とを備える。本体2の上面には、印刷装置1の動作状態等を表示する表示パネル23が配置される。表示パネル23は、例えば、液晶表示パネルやLED(Light Emitting Diode)インジケーターにより構成される。
【0012】
本体2には、本体2の内部に印刷媒体Mを供給するための開口21が設けられる。開口21の内部には、印刷媒体Mを下方から支持する案内面22が設けられる。
給送装置3は、開口21に対向して配置される。給送装置3は、印刷媒体Mが載置されるトレイ30を有し、トレイ30に印刷媒体Mを保持する。トレイ30に載置された印刷媒体Mの先端は開口21の内部に入り込み、案内面22によって支持される。給送装置3は、媒体保持部の一例に対応する。
【0013】
印刷装置1が印刷を行う印刷媒体Mは、紙あるいは合成樹脂製のシートである。印刷媒体Mは、長尺の連続シートであってもよいし、定型サイズのカットシートであってもよい。本実施形態では、印刷媒体Mとして定型サイズの印刷用紙を使用する場合を例に挙げる。
トレイ30には複数枚の印刷媒体Mを重ねて載置することができる。トレイ30に載置された印刷媒体Mは、符号Fで示す方向に沿って、本体2の内部に搬送される。本実施形態において搬送方向Fは+Y方向と一致する。
【0014】
給送装置3は、一対のガイド部32A、32Bを備える。ガイド部32A、32Bは、印刷媒体Mに当接し、搬送方向Fと交差する方向における印刷媒体Mの動きを規制する。これにより、搬送方向Fに印刷媒体Mが移動する間の印刷媒体Mの斜行を抑制できる。本実施形態では、ガイド部32Aは印刷媒体Mの一方の側部に当接し、ガイド部32Bは印刷媒体Mの他方の側部に当接する。
【0015】
トレイ30には長孔34A、34Bが形成されている。トレイ30の内部には、後述するスライド機構35が収容される。長孔34A、34BはX軸に沿って伸びる孔であり、ガイド部32Aは、長孔34Aを通じてスライド機構35に連結され、ガイド部32Bは長孔34Bを通じてスライド機構35に連結される。従って、ガイド部32Aは長孔34Aに沿ってスライド移動可能であり、ガイド部32Bは長孔34Bに沿ってスライド移動可能である。
【0016】
以下の説明において、ガイド部32Aとガイド部32Bとを区別しない場合はガイド部32と記載する。同様に、長孔34Aと長孔34Bとを区別しない場合は長孔34と記載する。後述するベース33A、33B、ワイヤー37A、37B、バネ38A、38Bについても同様とする。
【0017】
印刷装置1を使用するユーザーは、トレイ30に載置された印刷媒体Mが少なくなった場合や、印刷媒体Mがなくなった場合に、印刷媒体Mを補充する。印刷媒体Mを補充する作業において、ユーザーは、ガイド部32を、印刷媒体Mから離れる方向に移動させる。ガイド部32が印刷媒体Mに当接した状態、或いは、ガイド部32が印刷媒体Mに当接する位置にある状態では、印刷媒体Mをトレイ30に置こうとすると、印刷媒体Mとガイド部32とが接触してしまうためである。このとき、ユーザーは、手作業でガイド部32をX軸に沿って動かせばよい。ガイド部32A及びガイド部32Bは、スライド機構35によってスライド移動可能に支持されているので、ユーザーの操作によってX軸に沿って移動する。
【0018】
ユーザーは、印刷媒体Mをトレイ30に載せた後に、ガイド部32A、32BをX軸に沿って移動させる。詳細には、ユーザーは、ガイド部32Aを+X方向に移動させて印刷媒体Mに当接させる。また、ユーザーは、ガイド部32Bを-X方向に移動させて印刷媒体Mに当接させる。これにより、印刷媒体Mは、両方の側端部をガイド部32によって支持される。
【0019】
図2は、本体2の内部に配置される印刷部4を図示するため、本体2の上面を省略した平面図となっている。印刷部4は、印刷ヘッド41、キャリッジ42、キャリッジガイド軸43、搬送ローラー44、及び、搬送ローラー45を含む。
【0020】
印刷ヘッド41は、印刷媒体Mに画像を形成する。印刷ヘッド41は、例えば、印刷媒体Mに向けてインクを吐出するインクジェット式のヘッドである。印刷ヘッド41は、ドットインパクト式や昇華式の印刷ヘッドであってもよい。
【0021】
本実施形態の印刷装置1は、印刷ヘッド41を、印刷媒体Mの搬送方向Fと交差する方向に往復走査させることにより、印刷媒体Mの所定範囲に印刷するシリアル式のプリンターである。印刷ヘッド41はキャリッジ42に搭載される。キャリッジ42は、不図示のキャリッジ駆動モーターの動力により、キャリッジガイド軸43に沿って+X方向および-X方向に移動する。
【0022】
搬送ローラー44、45は、不図示の搬送モーターの動力によって回転し、印刷媒体Mを搬送する。搬送ローラー44は搬送方向Fにおいて印刷ヘッド41よりも上流に位置し、搬送ローラー45は印刷ヘッド41の下流に位置する。搬送ローラー44は、給送装置3に搭載された印刷媒体Mを印刷ヘッド41に向けて搬送する。搬送ローラー45は、印刷ヘッド41により印刷された印刷媒体Mを、本体2の後部に設けられた排出部25に向けて搬送する。
【0023】
[2.ガイド部の構成]
図3は、スライド機構35の説明図である。スライド機構35は、トレイ30の内部に収容されるベース33A、33B、巻取部36、ワイヤー37A、37B、及び、バネ38A、38Bを含む。
【0024】
ガイド部32Aは、長孔34Aを貫通する連結部材39Aによって、ベース33Aに連結される。ガイド部32Bは、長孔34Bを貫通する連結部材39Bによって、ベース33Bに連結される。
【0025】
ベース33A、33Bはトレイ30の内部を移動可能な板状部材である。ベース33Aとベース33Bとの間にはバネ38A、38Bが配置される。バネ38A、38Bは、例えば圧縮コイルばねであり、ベース33Aとベース33Bとを、互いに離隔させる方向に付勢する。
【0026】
また、ベース33Aにはワイヤー37Aの一端が連結される。ワイヤー37Aの他端は巻取部36に連結される。ベース33Bにはワイヤー37Bの一端が連結される。ワイヤー37Bの他端は巻取部36に連結される。巻取部36は、軸36Aによって回転可能に支持される。巻取部36は、不図示の付勢手段を内蔵しており、軸36Aを中心として符号Rで示す方向に回転するよう付勢される。付勢手段は、例えばぜんまいやねじりコイルばねである。付勢手段の付勢力によって、巻取部36は、ワイヤー37A、37Bを巻き取る方向に回転する。これにより、ベース33A及びベース33Bは、巻取部36に向けて引っ張る方向の力を受ける。
【0027】
このように、ベース33A及びベース33Bには、ワイヤー37によってベース33Aとベース33Bとを互いに近接させる方向の力が作用し、バネ38によってベース33Aとベース33Bとを互いに離隔させる方向の力が作用する。これらの力のバランスにより、ガイド部32A及びガイド部32Bは、例えばユーザーが外力を加えることによりX軸に沿って容易に移動可能であり、かつ、外力が加わらない状態では静止する。
【0028】
例えば、ガイド部32A及びガイド部32Bのいずれか一方が他方に近づくように外力によって移動されると、巻取部36は不図示の付勢手段の付勢力により回転方向Rに回転し、ワイヤー37が弛むことなく巻取部36に巻き取られる。また、例えば、ガイド部32A及びガイド部32Bのいずれか一方が他方から離れる方向に外力によって移動されると、外力とバネ38の付勢力によって、巻取部36は不図示の付勢手段の付勢力に抗して回転方向Rと逆向きに回転する。これにより、ガイド部32の移動とともにワイヤー37が巻取部36から引き出される。
【0029】
図3の構成によれば、ガイド部32Aとガイド部32Bとが連動して移動する。例えば、ユーザーがガイド部32Aを+X方向に移動させると、ワイヤー37Aが弛むことによって巻取部36が回転する。この巻取部36の回転によりワイヤー37Bが巻き取られるので、ガイド部32Bが-X方向に移動する。この構成によれば、ユーザーがガイド部32Aとガイド部32Bのいずれか一方を動かすことで、一対のガイド部32の両方を動かせるという利点がある。この構成は一例であり、例えば、ガイド部32A、32Bの一方のみがX軸に沿って移動可能であり、他方が固定されていてもよい。また、ガイド部32Aとガイド部32Bとが連動せずに、互いに独立して、X軸に沿って移動可能であってもよい。
【0030】
図2に戻り、本体2には、トレイ30に載置された印刷媒体Mの有無を検出する媒体センサー51が配置される。媒体センサー51は、例えば反射型の光センサー、或いは、スイッチ式のセンサーで構成される。媒体センサー51は案内面22に設置され、載置面31に印刷媒体Mが載置されている状態と、載置面31に印刷媒体Mが存在しない状態とで異なる値を出力する。媒体センサー51は第2検出部の一例に対応する。
【0031】
給送装置3は、ガイド部32の位置を検出するガイド位置センサー52を備える。ガイド位置センサー52の具体的な構成は制限されないが、本実施形態では、ガイド部32Bに搭載される光センサーを用いる構成を例示する。この構成では、ガイド位置センサー52は、載置面31に対向して配置される。載置面31には、ガイド部32Bの移動に伴いガイド位置センサー52が移動する軌跡に沿って、複数のマーカーPが配置される。図2の例では、3つのマーカーP1、P2、P3が載置面31に配置されている。マーカーPは載置面31に貼付、埋設或いは描画により形成される。マーカーPの色あるいは光の反射率は、マーカーP以外の載置面31とは異なっている。ガイド位置センサー52は、例えば反射型の光センサーであり、反射光の受光量に応じた値を出力する。このため、ガイド位置センサー52の出力に基づいて、ガイド位置センサー52がマーカーPの上にあるか否かを判断できる。また、マーカーP1、P2、P3は、それぞれ、X軸に沿う方向において異なる位置に配置されているので、ガイド部32Bの移動中におけるガイド位置センサー52の出力の変化に基づき、マーカーP1、P2、P3の位置を基準としてガイド部32Bの位置を特定できる。ガイド位置センサー52は第1検出部の一例に対応する。印刷装置1は、マーカーPを案内面22に設けた構成であってもよいし、本体2における他の部分にマーカーPを設けた構成であってもよい。
【0032】
本実施形態の印刷装置1は、上述のように、ガイド部32Aとガイド部32Bとが連動して移動する構成を有する。このため、印刷装置1は、ガイド部32Bの位置を検出するための1個のガイド位置センサー52を備えているが、これは一例である。例えば、ガイド位置センサー52に相当するセンサーをガイド部32Aにも設け、ガイド部32Aの位置とガイド部32Bの位置とを別に検出してもよい。
【0033】
ガイド位置センサー52は、例えば、巻取部36の回転量や回転方向における位置を検出するロータリーエンコーダーであってもよい。また、X軸に沿って配置され、ガイド部32Aまたはガイド部32Bの位置を検出するリニアエンコーダーであってもよい。
【0034】
[3.印刷装置の制御系]
図4は、印刷装置1の制御系を示すブロック図である。
図4に示すように、印刷装置1は、制御部110を有する。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等で構成されるプロセッサー111を備える。制御部110は、プロセッサー111により制御プログラムを実行することによって、ソフトウェアとハードウェアとの協働により印刷装置1の各部を制御する。プロセッサー111は、タイマーカウント機能を有し、この機能により時間をカウントする。例えば、プロセッサー111は、時間のカウントを実行し、カウント値が設定された閾値に達するとカウントを終了する。プロセッサー111のタイマーカウント機能は、例えば、RTC(Real Time Clock)を利用して実現される。
【0035】
制御部110は、プロセッサー111に接続されるメモリー120を備える。メモリー120は、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリー等で構成される不揮発性の記憶装置である。メモリー120は、プロセッサー111が実行する制御プログラム121、及び、設定データ122を記憶する。メモリー120は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置を備えてもよい。
【0036】
制御部110には、印刷部4、媒体センサー51、ガイド位置センサー52、操作部131、表示部132、及び、I/F(インターフェイス)143が接続される。図4に示した構成は制御部110により制御される印刷装置1の要部であり、制御部110の制御対象は、図4に示した構成に限定されない。
【0037】
制御部110に接続される印刷部4は、印刷ヘッド41のほか、キャリッジ42を駆動するキャリッジ駆動部47、及び、搬送ローラー44、45を駆動する搬送部48を含む。キャリッジ駆動部47は、不図示のキャリッジ駆動モーターと、キャリッジ駆動モーターの回転を制御する回路等を含む。搬送部48は、不図示の搬送モーター、及び、搬送モーターの回転を制御する回路等を含む。制御部110は、印刷ヘッド41、キャリッジ駆動部47、及び搬送部48を制御することにより、印刷媒体Mの搬送、及び、印刷媒体Mに対する印刷を実行する。
【0038】
制御部110は、媒体センサー51及びガイド位置センサー52に接続される。制御部110は、媒体センサー51の出力値に基づいて、載置面31における印刷媒体Mの有無を判定する。制御部110は、ガイド位置センサー52の出力値に基づいて、ガイド部32の位置を検出する。例えば、制御部110は、ガイド位置センサー52の出力値の変化をカウントすることにより、ガイド位置センサー52とマーカーP1、P2、P3との相対的な位置を特定する。制御部110は、特定した位置に基づいて、トレイ30におけるガイド部32の位置を特定する。制御部110がガイド位置センサー52を利用して特定するガイド部32の位置は、一対のガイド部32の間の距離であり、第1サイズに相当する。
【0039】
操作部131は、本体2に設けられる不図示の操作パネルに接続され、操作パネルのスイッチ等の操作を検出する。表示部132は、表示パネル23に接続され、制御部110の制御に従って表示パネル23に文字や画像を表示させる。表示パネル23がLEDインジケーターを有する場合、表示部132は、制御部110の制御に従ってLEDインジケーターを点灯、消灯、点滅させる。
【0040】
I/F143は、印刷装置1の外部の装置との間で、ケーブルを利用する有線通信、または、無線通信回線を利用する無線通信を実行する通信装置である。I/F143は、ケーブルを接続するコネクター及び送受信回路、或いは、アンテナ、RF回路、及び送受信回路を備える。
【0041】
I/F143には、ホストコンピューター200が接続される。ホストコンピューター200は、デスクトップ型コンピューター、ノート型コンピューター、タブレット型コンピューター等のコンピューターである。ホストコンピューター200は、スマートフォン等の可搬型の情報処理装置であってもよい。I/F143は、制御部110の制御に従って通信を実行する。I/F143は、印刷ジョブをホストコンピューター200から受信して、制御部110に出力する。印刷ジョブは、少なくとも、印刷対象の印刷媒体Mのサイズを指定するデータを含む。このほか、印刷ジョブは、印刷装置1に対する印刷指示のコマンド、印刷装置1が印刷すべき画像や文字のデータ、及び、印刷枚数を指定するデータ等を含む。制御部110は、I/F143により受信した印刷ジョブを実行する。
【0042】
[4.印刷装置の動作]
図5及び図6は、印刷装置1の動作例を示すフローチャートである。図5のステップS11~S18及び図6のステップS21~S30は、制御部110により実行される。
【0043】
印刷装置1は、ホストコンピューター200から印刷ジョブを受信する(ステップS11)。印刷装置1は、印刷ジョブに含まれるデータによって指定される印刷媒体Mのサイズを取得し、第2サイズとして保持する(ステップS12)。ステップS12で、印刷装置1は、例えば、第2サイズの値をメモリー120に一時的に記憶する。
【0044】
印刷装置1は、印刷ジョブを開始する(ステップS13)。詳細には、印刷装置1は、トレイ30に載置された印刷媒体Mの搬送、及び、印刷部4による印刷を開始する。
【0045】
印刷装置1は、媒体センサー51の検出結果に基づき、トレイ30に印刷媒体Mが無い状態であるか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14の最初の判定は、印刷ジョブを開始する前であってもよいし、印刷ジョブを開始した後であってもよい。印刷媒体Mがある、すなわち、印刷媒体Mがない状態でないと判定した場合(ステップS14;NO)、印刷装置1は、後述するステップS18に移行する。
【0046】
トレイ30にセットされている印刷媒体Mがないと判定した場合(ステップS14;YES)、印刷装置1は、媒体なしエラーを検出し、印刷ジョブを停止する(ステップS15)。媒体なしエラーは、印刷に使用する印刷媒体Mがないことを示すエラーである。媒体なしエラーが検出された状態を、エラー状態と呼ぶ。エラー状態において、印刷装置1は、エラーが検出されたことをユーザーに報知してもよい。例えば、印刷装置1は、ステップS15で、エラーが検出されたことを、表示パネル23の表示、或いは、LEDの点灯や点滅により報知してもよい。
【0047】
印刷装置1は、媒体なしエラーを検出した後、媒体待機処理を実行する(ステップS16)。媒体待機処理は、トレイ30に印刷媒体Mが補充されることを待機する間に実行される処理である。媒体待機処理の詳細は、図6を参照して後述する。
【0048】
媒体待機処理において印刷媒体Mがトレイ30に補充された場合、印刷装置1は、印刷ジョブを再開する(ステップS17)。
その後、印刷装置1は、印刷ジョブを完了したか否かを判定する(ステップS18)。印刷ジョブが完了していない場合は(ステップS18;NO)、印刷装置1はステップS14に戻る。印刷ジョブを完了した場合(ステップS18;YES)、印刷装置1は本処理を終了する。
【0049】
ステップS14の判定は、印刷装置1が印刷ジョブを開始する際に、印刷ジョブと並行して実行してもよい。この場合、印刷装置1は、予め設定されたサンプリング周期で媒体センサー51の検出値を取得し、印刷媒体Mがないことを示す媒体センサー51の検出値を取得した場合に、ステップS15の動作を割込処理で実行してもよい。
【0050】
図6には、媒体待機処理を詳細に示す。
媒体待機処理は、印刷装置1が印刷ジョブを実行中、待機中または実行前において、トレイ30に印刷媒体Mがない場合に印刷装置1が実行する処理である。媒体待機処理において、印刷装置1が、ユーザーが印刷媒体Mをトレイ30にセットすることを待機する(ステップS21)。ステップS21で、印刷装置1は、媒体センサー51の検出値に基づきトレイ30に印刷媒体Mがあるか否かを判定する。印刷装置1は、印刷媒体Mがないと判定した場合(ステップS21;NO)、ステップS21で待機し、予め設定された周期で媒体センサー51の検出値の判定を行う。なお、媒体待機処理は、ユーザーが印刷媒体Mを一旦トレイ30から取り除いた後、別の印刷媒体Mを再度セットすることを待機するケースも含む。例えば、トレイ30にセットされていた印刷媒体MのサイズがA4だったのに対し、印刷ジョブが指定する印刷媒体MのサイズがA3だったときなどが、このケースに該当する。
【0051】
印刷媒体Mがあると判定した場合(ステップS21;YES)、印刷装置1は、ガイド部32の位置が変化したか否かを判定する(ステップS22)。印刷装置1は、ガイド位置センサー52を用いて、ガイド部32の位置を周期的に特定する処理、及び、ガイド位置センサー52の出力が変化する毎にガイド部32の位置を特定する処理の少なくともいずれかを実行する。印刷装置1は、最初にステップS22を実行する場合は、ガイド位置が変化したとみなす(ステップS22;YES)。印刷装置1は、2回目以後にステップS22を実行する場合は、前回のステップS22の判定を行ったときのガイド部32の位置から、ガイド部32の位置が変化したか否かを判定する。
【0052】
ガイド部32の位置が変化していないと判定した場合(ステップS22;NO)、印刷装置1は、後述するステップS28に移行する。
ガイド部32の位置が変化したと判定した場合(ステップS22;YES)、印刷装置1は、カウント値をリセットする(ステップS23)。ステップS23において、印刷装置1は、タイマーのカウントを実行中である場合にはタイマーのカウントを停止し、タイマーのカウント値を消去、すなわちタイマーリセットする。
【0053】
印刷装置1は、第1サイズを取得する(ステップS24)。印刷装置1は、ガイド位置センサー52を利用してガイド部32A、及びガイド部32Bの位置を特定し、特定した位置から一対のガイド部32の間の距離を示す第1サイズを算出し、取得する。印刷装置1は、ステップS24で取得した第1サイズが、ステップS12で保持した第2サイズに適合する位置か否かを判定する(ステップS25)。
【0054】
第1サイズが第2サイズに適合するとは、第2サイズで示される印刷媒体MのX軸に沿う方向における大きさと、ガイド部32の間隔を示す第1サイズとの差が所定値以下であることをいう。印刷装置1は、第1サイズが第2サイズと一致する場合、及び、第1サイズが第2サイズと完全に一致していなくても、その差が所定値以下であれば、第1サイズが第2サイズと適合すると判定する。
【0055】
第1サイズが第2サイズに適合しないと判定した場合(ステップS25;NO)、印刷装置1は、タイマーに第1設定値をセットしてカウントを開始する(ステップS26)。これにより、印刷装置1は、タイマーの閾値として第1設定値を設定した状態で、カウントを開始する。その後、印刷装置1は、タイマーのカウント値が閾値に達したか否かを判定する(ステップS28)。
【0056】
第1サイズが第2サイズに適合すると判定した場合(ステップS25;YES)、印刷装置1は、タイマーに第2設定値をセットしてカウントを開始する(ステップS27)。これにより、印刷装置1は、タイマーの閾値として第2設定値を設定した状態で、カウントを開始する。その後、印刷装置1は、ステップS28に移行する。
【0057】
タイマーのカウント値が閾値に達していないと判定した場合(ステップS28;NO)、印刷装置1は、ステップS22に戻る。
タイマーのカウント値が閾値に達したと判定した場合(ステップS28;YES)、印刷装置1は、ガイド部32の位置を特定することにより第1サイズを再度取得し、第1サイズが第2サイズに適合するか否かを判定する(ステップS29)。
【0058】
第1サイズが第2サイズに適合すると判定した場合(ステップS29;YES)、印刷装置1は、エラーを解除し(ステップS30)、図5のステップS17に移行する。
第1サイズが第2サイズに適合しないと判定した場合(ステップS29;NO)、印刷装置1は、ステップS21に戻る。
【0059】
図6の媒体待機処理で、印刷装置1は、エラー状態で、ユーザーが印刷媒体Mをトレイ30にセットすることを待機する。そして、トレイ30に印刷媒体Mがセットされた後に、印刷装置1は媒体なしエラーを解除して、印刷媒体Mの搬送を含む動作を開始する。印刷装置1は、搬送不良等を防止するため、印刷媒体Mが確実にトレイ30にセットされてから媒体なしエラーを解除する。具体的には、印刷装置1は、媒体センサー51により印刷媒体Mを検出してから、タイマーのカウントを行い、カウント値が閾値に達するまで媒体なしエラーを解除しない。
【0060】
ユーザーがトレイ30に印刷媒体Mをセットするとき、ガイド部32が第2サイズに適合する位置にあると、印刷媒体Mをトレイ30に載せる際にガイド部32が邪魔になることがある。このため、一般的なユーザーによる印刷媒体Mの補充作業において、ユーザーは、印刷媒体Mをトレイ30に載せる前に、ガイド部32Aとガイド部32Bとの間隔が広がるように、ガイド部32をX軸に沿って移動させる。具体的には、ユーザーはガイド部32Aを-X方向に、ガイド部32Bを+X方向に移動させてから、ガイド部32Aとガイド部32Bの間に印刷媒体Mを置く。その後、ユーザーは、印刷媒体Mにガイド部32が当接するように、ガイド部32Aとガイド部32Bをそれぞれ移動させる。
【0061】
本実施形態の印刷装置1のように、スライド機構35によってガイド部32Aとガイド部32Bとが連動して移動する構成では、ガイド部32A及びガイド部32Bのいずれか一方をユーザーが動かすことにより、ガイド部32Aとガイド部32Bとの両方を移動させることができる。また、ガイド部32Aとガイド部32Bとが、巻取部36を中心として左右対称の位置を維持する。このため、ガイド部32を印刷媒体Mに当接させることにより、X軸に沿う方向における印刷媒体Mの位置合わせを行えるという利点もある。
【0062】
印刷装置1は、ガイド位置センサー52を用いて第1サイズを求め、取得する。第1サイズが第2サイズに適合しない場合、ガイド部32は印刷媒体Mに当接していない。つまり、ユーザーがガイド部32を移動させる作業中であると見做すことができる。この状態では、印刷装置1は、媒体なしエラーを解除するまで十分に長い時間、待機することが好ましい。そこで、印刷装置1は、タイマーの閾値を第1設定値にする。第1設定値は、印刷装置1がタイマーによりカウントする時間を示す値である。
【0063】
これに対し、第1サイズが第2サイズに適合する場合、トレイ30にセットされた印刷媒体Mにガイド部32が当接していると見做すことができる。この状態は、ユーザーが印刷媒体Mをセットする作業が完了したか、或いは、作業が間もなく完了する状態である。この場合、印刷装置1は、タイマーの閾値を第2設定値にする。第2設定値は、印刷装置1がタイマーによりカウントする時間を示す値であり、第2設定値は第1設定値よりも短い時間を示す。これにより、印刷装置1は、タイマーの閾値を第1設定値にする場合よりも短い時間だけ待機してから、印刷媒体Mの搬送を開始する。
【0064】
このように、印刷装置1は、第1設定値と第2設定値とを使い分けることによって、タイマーによるカウントを行って待機する時間を切り替えることができる。ユーザーが印刷媒体Mをセットする作業が完了していないと見なせる場合、印刷装置1は第1設定値を用いて待機する。これにより、ユーザーの作業が確実に完了するまで待機することができる。また、印刷媒体Mをセットする作業が完了したと見なせる場合、印刷装置1は第2設定値を用いて、より短い時間だけ待機する。これにより、印刷媒体Mをセットする作業の完了後にユーザーを待たせる時間を短縮し、利便性の向上を図ることができる。
【0065】
給送装置3は、ガイド部32をX軸に沿う方向にスライド移動させることが可能な構成であり、ガイド部32を印刷媒体Mに当接させることにより、印刷媒体Mの搬送中にガイド部32によって印刷媒体Mをガイドする。この構成では、印刷媒体Mを補充する際に、ガイド部32をスライド移動させることによって、印刷媒体Mをトレイ30に置く作業が容易になり、作業性が高い。そして、印刷装置1が媒体なしエラーを検出した場合、ユーザーは、タイマーのカウント値が閾値に達するまでの時間を利用して印刷媒体Mを補充できる。このため、ユーザーの作業が、より一層やりやすいので、ユーザーの作業負荷を軽減できる。
【0066】
印刷装置1は、媒体センサー51により印刷媒体Mを検出した場合にタイマーの閾値を第1設定値に設定してカウントを行い、第1サイズが第2サイズに適合する場合には、第1設定値よりも短い時間を示す第2設定値をタイマーの閾値としてカウントを行う。すなわち、第1サイズが第2サイズに適合する場合は印刷媒体Mの補充作業の完了が近いとみなして短時間のカウントを行い、第1サイズが第2サイズに適合しない場合は印刷媒体Mの補充作業が続くとみなして長時間のカウントを行う。このため、ユーザーが印刷媒体Mを補充する作業の時間を確保することと、タイマーのカウントに伴う待ち時間の短縮とを両立できる。
【0067】
印刷装置1は、第1サイズが変化した場合にタイマーのカウントを停止し、カウント値をリセットし、改めて第1設定値または第2設定値を閾値設定して、カウントを開始する。これにより、ガイド部32が移動する毎にタイマーをリセットすることによって、ユーザーが印刷媒体を補充する作業中にタイマーのカウント値が閾値に達してしまうことを防止できる。このため、ユーザーが作業を行うための十分な時間を確保することができ、ユーザーの負荷を軽減できる。
【0068】
印刷装置1が、第1サイズが第2サイズに適合するか否かによって第1設定値と第2設定値とを使い分ける構成は、本開示の一例である。例えば、印刷装置1は、第1サイズと第2サイズとの差に応じて、3以上の設定値を、タイマーの閾値として用いてもよい。具体的には、第1サイズが第2サイズに適合する場合に閾値を第2設定値とし、第1サイズと第2サイズとの差が所定の基準以下である場合に閾値を第1設定値とする。さらにこの例では、第1サイズと第2サイズとの差が所定の基準を超える場合には閾値を第3設定値とすることが挙げられる。第3設定値は、タイマーにより第1設定値よりも長い時間のカウントをさせる値である。
【0069】
つまり、印刷装置1が、第1サイズの複数の値のそれぞれに対応する複数の設定値を有し、タイマーのカウント値が閾値に達するまでの間に第1サイズが変化した場合、変化後の第1サイズに対応する設定値を閾値に設定して、タイマーのカウントを開始してもよい。この場合、第1サイズに応じた閾値をタイマーに設定できるので、印刷媒体Mを補充する作業の状況に合わせてタイマーの閾値を変更することができ、作業性をより高めることができる。
【0070】
また、印刷装置1は、第1サイズに代えて、ガイド部32の位置に基づいてタイマーの閾値を異なる値に設定してもよい。例えば、印刷装置1は、ステップS25、S29で、ガイド部32の位置が第2サイズに適合する位置か否かを判定してもよい。
さらに、印刷装置1は、ガイド部32の位置が第2サイズに適合しない場合に、ガイド部32の位置の変化に応じてタイマーの閾値を設定してもよい。例えば、印刷装置1は、ガイド部32の移動方向に応じて複数の異なる値をタイマーの閾値として設定してもよい。この場合、印刷装置1は、ガイド部32の位置が、第2サイズに適合する位置に向けて移動しているか、第2サイズに適合する位置から離れる方向に移動しているかを判定する。印刷装置1は、ガイド部32の位置が第2サイズに適合する位置に向けて移動している場合は第2設定値を閾値とし、ガイド部32が第2サイズに適合する位置から離れる方向に移動している場合は第1設定値を閾値とする。
【0071】
また、印刷装置1は、第1サイズとして、一対のガイド部32の間の距離を取得する構成に限定されない。例えば、印刷装置1は、トレイ30に載置された印刷媒体Mのサイズを検出するセンサーを備え、印刷媒体Mのサイズを第1サイズとして取得してもよい。具体的な例として、印刷装置1が、トレイ30または案内面22に、複数の反射式光センサーをX軸に沿って並べて配置し、各光センサーの検出値に基づいて、印刷媒体MのX軸方向におけるサイズを求める構成が挙げられる。この構成において、印刷装置1は、複数の光センサーの検出値から求められた印刷媒体Mのサイズを第1サイズとして取得する。
【0072】
[5.他の実施形態]
上記実施形態は、本発明を適用した一具体例を示したものに過ぎない。本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することができる。
【0073】
上記実施形態において図3に示したスライド機構35の構成は一例であり、本開示は、ワイヤー37及びバネ38によりガイド部32Aとガイド部32Bとが連結された構成に限定されない。例えば、ガイド部32Aとガイド部32Bとをリンク機構により連結した構成であってもよい。また、スライド機構35は、モーターの動力により自動的にガイド部32を移動させる構成であってもよい。例えば、印刷装置1は、巻取部36をモーターの動力によって回転させることにより、ガイド部32を移動させる構成であってもよい。
【0074】
上記実施形態では、ガイド位置センサー52によりX軸に沿う方向におけるガイド部32の位置を検出することによって、第1サイズを求める構成としたが、これは一例である。第1サイズはX軸に沿った方向サイズに限定されず、Y軸に沿った方向におけるサイズであってもよい。例えば、給送装置3が、Y軸に沿った方向から印刷媒体Mに当接するガイド部材を備え、このガイド部材を移動させて印刷媒体Mを補充することが可能な構成であってもよい。この構成において、印刷装置1は、媒体なしエラーを検出した場合に、Y軸に沿った方向におけるガイド部材の位置を第1サイズとして検出し、第1サイズが第2サイズに適合するか否かに応じてタイマーの閾値を設定すればよい。
【0075】
図1図3に示した構成、及び、図4に示した機能的構成は印刷装置1の一例であり、本発明の適用対象は各図に示した構成に限定されない。例えば、印刷装置1は、図4に示した各部に個別に対応するハードウェアを実装する必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで各部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。ソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアとしてもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0076】
プログラム、又は情報処理装置の制御方法を、印刷装置1に搭載されたコンピューターを用いて実現する場合、コンピューターに実行させるプログラムを記録媒体、又はプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。記録媒体には、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、フラッシュメモリー、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。上記記録媒体は、サーバー装置が備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
【0077】
図5及び図6に示す動作のステップ単位は、印刷装置1の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。そのステップの順番は、適宜に入れ替えてもよい。
【0078】
[6.実施形態により説明される構成]
上記の実施形態により、以下の構成が説明される。
【0079】
(構成1)印刷媒体を保持する媒体保持部と、前記媒体保持部から搬送される前記印刷媒体に印刷する印刷部と、前記印刷媒体のサイズを指定する印刷ジョブを実行することにより、前記印刷部により印刷を実行させる制御部と、を備え、前記媒体保持部は、前記印刷媒体が載置されるトレイと、前記トレイに設けられ前記印刷媒体をガイドする一対のガイド部と、一対の前記ガイド部の間の距離または前記トレイに載置された前記印刷媒体のサイズである第1サイズを検出する第1検出部と、前記トレイから給送可能な前記印刷媒体の有無を検出する第2検出部と、を備え、一対の前記ガイド部の少なくとも一方は前記トレイにおいて移動可能であり、前記制御部は、前記印刷ジョブを実行する際に前記第2検出部によって前記印刷媒体がないことを検出した場合に、前記印刷ジョブで指定される前記印刷媒体のサイズである第2サイズを保持して、エラー状態に移行し、前記エラー状態において前記第2検出部によって前記印刷媒体を検出した場合にタイマーのカウントを開始し、前記タイマーのカウント値が閾値に達するまでの間に、前記第1サイズが前記第2サイズに適合した場合に、前記エラー状態を解除する、画像形成装置。
構成1によれば、印刷ジョブで使用する印刷媒体がない場合にエラーを検出し、タイマーのカウント値が閾値に達するまでに印刷媒体が補充されるとエラーを解除する。このため、ユーザーは、タイマーのカウント値が閾値に達するまでの所定時間を利用して、ガイド部を移動させて印刷媒体をセットすることができ、印刷媒体の補充を容易に行うことができる。これにより、画像形成装置に印刷媒体を補充する作業について、ユーザーの負荷を軽減し、利便性の向上を図ることができる。また、エラー状態の解除をさせるためのユーザーの操作を必要としないので、ユーザーの手間を省くことができる。
【0080】
(構成2)一対の前記ガイド部の少なくとも一方は、前記トレイにおいて、前記印刷媒体の搬送方向と交差する第1軸に沿ってスライド移動可能であり、前記ガイド部は、前記第1軸に沿った方向から前記印刷媒体に当接して、搬送される前記印刷媒体をガイドする、構成1に記載の画像形成装置。
構成2によれば、印刷媒体にガイド部が当接する構成において、ユーザーが印刷媒体を補充する際にガイド部を移動させることができる。このため、ユーザーが印刷媒体を補充する作業の作業性を高め、ユーザーの作業負荷を軽減できる。
【0081】
(構成3)前記制御部は、前記エラー状態において前記第2検出部によって前記印刷媒体を検出した場合に、前記閾値を第1設定値に設定して前記タイマーのカウントを開始する、構成1または構成2に記載の画像形成装置。
構成3によれば、印刷媒体がトレイに載せられてからタイマーのカウントを開始し、カウント値が第1設定値になるまでの間にユーザーが印刷媒体の位置調整等を行うことができる。これにより、ユーザーが印刷媒体を補充する作業をより容易にし、ユーザーの負荷を軽減できる。
【0082】
(構成4)前記制御部は、前記タイマーのカウントを開始した後、前記第1サイズが変化した場合に、前記タイマーのカウントを停止し、前記タイマーのカウント値を消去する、構成3に記載の画像形成装置。
構成4によれば、第1検出部により検出される一対のガイド部の間の距離またはトレイに載置された印刷媒体のサイズが変化した場合に、タイマーのカウントをリセットする。印刷媒体を補充する作業の状況に合わせてタイマーのカウントをリセットすることにより、ユーザーが印刷媒体を補充する作業をより容易にし、ユーザーの負荷を軽減できる。
【0083】
(構成5)前記制御部は、前記第1サイズが変化したことにより前記第1サイズが前記第2サイズに適合した場合に、前記タイマーの前記閾値を前記第1設定値とは異なる第2設定値に設定し、前記タイマーのカウントを開始する、構成3または構成4に記載の画像形成装置。
構成5によれば、第1検出部により検出される第1サイズが第2サイズに適合する場合に、タイマーの閾値を、第1設定値とは異なる第2設定値に変更して、カウントを開始する。このため、第1サイズが第2サイズに適合する場合と、適合しない場合とで、タイマーの閾値を異なる値とすることができる。例えば、第1サイズが第2サイズに適合する場合は印刷媒体の補充作業の完了が近いとみなして短時間のカウントを行い、第1サイズが第2サイズに適合しない場合は印刷媒体の補充作業が続くとみなして長時間のカウントを行う態様を実現できる。このため、ユーザーが印刷媒体を補充する作業の時間を確保することと、タイマーのカウントに伴う待ち時間の短縮とを両立できる。
【0084】
(構成6)前記第2設定値は、前記第1設定値よりも短い時間で前記タイマーがカウントする値である、構成5に記載の画像形成装置。
構成6によれば、第1サイズが第2サイズに適合する場合には、適合しない場合よりもタイマーの閾値を短い時間とする。このため、ユーザーが印刷媒体を補充する作業の時間を確保することと、タイマーのカウントに伴う待ち時間の短縮とを両立できる。
【0085】
(構成7)前記制御部は、前記第1サイズが変化した場合であって変化後の前記第1サイズが前記第2サイズに適合しない場合に、前記タイマーのカウント値を消去した後で前記タイマーのカウントを開始する、構成3から構成6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
構成7によれば、ガイド部32の移動等により第1サイズが変化した場合にタイマーのカウント値をリセットするので、ユーザーが印刷媒体を補充する作業中にタイマーのカウント値が閾値に達してしまうことを防止できる。このため、ユーザーが作業を行うための十分な時間を確保することができ、ユーザーの負荷を軽減できる。
【0086】
(構成8)前記制御部は、前記第1サイズの複数の値のそれぞれに対応する複数の設定値を有し、前記タイマーのカウント値が前記閾値に達するまでの間に前記第1サイズが変化した場合、前記複数の設定値のうち変化後の前記第1サイズに対応する設定値を前記閾値に設定して、前記タイマーのカウントを開始する、構成4から構成7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
構成8によれば、一対のガイド部の間の距離またはトレイに載置された印刷媒体のサイズである第1サイズに応じた閾値をタイマーに設定できる。このため、印刷媒体を補充する作業の状況に合わせてタイマーの閾値を変更することができ、作業性をより高めることができる。
【0087】
(構成9)前記制御部は、前記印刷ジョブを実行している間に前記第2検出部の検出値を取得したとき、前記制御部が前記印刷ジョブを有していて前記印刷ジョブを待機中、または開始する前に前記第2検出部の検出値を取得したときに、前記第2検出部の検出結果に基づき前記印刷媒体の有無を判定し、前記印刷媒体がないと判定した場合に、前記エラー状態に移行する、構成1から構成8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
構成9によれば、第2検出部を利用した印刷媒体の有無の判定を、印刷ジョブを実行している間または印刷ジョブを開始する前に行う。このため、印刷ジョブに用いる印刷媒体がないことに速やかに対応してエラーを検出し、印刷媒体の補充に対応してエラーを解除するので、印刷媒体を補充する作業を促すことができる。
【0088】
(構成10)印刷媒体を保持する媒体保持部と、前記媒体保持部から搬送される前記印刷媒体に印刷する印刷部と、を有し、前記媒体保持部に、前記印刷媒体が載置されるトレイと、前記トレイに設けられ前記印刷媒体をガイドする一対のガイド部と、を備え、一対の前記ガイド部の少なくとも一方が前記トレイにおいて移動可能に構成された画像形成装置により、一対の前記ガイド部の間の距離または前記トレイに載置された前記印刷媒体のサイズである第1サイズを第1検出部により検出し、前記トレイから給送可能な前記印刷媒体の有無を第2検出部により検出し、前記印刷媒体のサイズを指定する印刷ジョブを実行し、前記印刷ジョブを実行する際に前記第2検出部によって前記印刷媒体がないことを検出した場合に、前記印刷ジョブで指定される前記印刷媒体のサイズである第2サイズを保持して、エラー状態に移行し、前記エラー状態において前記第2検出部によって前記印刷媒体を検出した場合にタイマーのカウントを開始し、前記タイマーのカウント値が閾値に達するまでの間に、前記第1サイズが前記第2サイズに適合した場合に、前記エラー状態を解除する、画像形成装置の制御方法。
構成10によれば、印刷ジョブで使用する印刷媒体がない場合にエラーを検出し、タイマーのカウント値が閾値に達するまでに印刷媒体が補充されるとエラーを解除する。このため、ユーザーは、タイマーのカウント値が閾値に達するまでの所定時間を利用して、ガイド部を移動させて印刷媒体をセットすることができ、印刷媒体の補充を容易に行うことができる。これにより、画像形成装置に印刷媒体を補充する作業について、ユーザーの負荷を軽減し、利便性の向上を図ることができる。また、エラー状態の解除をさせるためのユーザーの操作を必要としないので、ユーザーの手間を省くことができる。
【0089】
(構成11)印刷媒体に印刷する印刷部を有する画像形成装置に設けられ、前記印刷媒体を給送する給送装置であって、前記印刷媒体が載置されるトレイと、前記トレイに設けられ前記印刷媒体をガイドする一対のガイド部と、一対の前記ガイド部の間の距離または前記トレイに載置された前記印刷媒体のサイズである第1サイズを検出する第1検出部と、前記トレイから給送可能な前記印刷媒体の有無を検出する第2検出部と、を備え、一対の前記ガイド部の少なくとも一方は前記トレイにおいて移動可能であり、前記画像形成装置が前記印刷媒体のサイズを指定する印刷ジョブを実行する際に、前記第2検出部によって前記印刷媒体がないことが検出された場合に、前記印刷媒体のセットを待機する待機状態に移行し、前記待機状態で前記第2検出部によって前記印刷媒体を検出した場合にタイマーのカウントを開始し、前記タイマーのカウント値が閾値に達するまでの間に、前記第1サイズが所定のサイズに適合した場合に、前記待機状態を解除する、給送装置。
構成11によれば、印刷ジョブで使用する印刷媒体がない場合にエラーを検出し、タイマーのカウント値が閾値に達するまでに印刷媒体が補充されるとエラーを解除する。このため、ユーザーは、タイマーのカウント値が閾値に達するまでの所定時間を利用して、ガイド部を移動させて印刷媒体をセットすることができ、印刷媒体の補充を容易に行うことができる。これにより、画像形成装置に印刷媒体を補充する作業について、ユーザーの負荷を軽減し、利便性の向上を図ることができる。また、エラー状態の解除をさせるためのユーザーの操作を必要としないので、ユーザーの手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0090】
1…印刷装置(画像形成装置)、2…本体、3…給送装置(媒体保持部)、4…印刷部、21…開口、22…案内面、25…排出部、30…トレイ、31…載置面、32、32A、32B…ガイド部、33A、33B…ベース、34、34A、34B…孔、35…スライド機構、36…巻取部、36A…軸、37、37A、37B…ワイヤー、38、38A、38B…バネ、39A、39B…連結部材、41…印刷ヘッド、42…キャリッジ、43…キャリッジガイド軸、44…搬送ローラー、45…搬送ローラー、47…キャリッジ駆動部、48…搬送部、51…媒体センサー(第2検出部)、52…ガイド位置センサー(第1検出部)、110…制御部、111…プロセッサー、120…メモリー、121…制御プログラム、122…設定データ、131…操作部、143…インターフェイス、200…ホストコンピューター、F…搬送方向、M…印刷媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6