(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107613
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】ビード供給装置
(51)【国際特許分類】
B29D 30/32 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
B29D30/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011631
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川脇 義徳
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215AQ01
4F215VA12
4F215VD12
4F215VK12
4F215VL13
4F215VL25
4F215VM01
4F215VM05
4F215VM06
4F215VM08
4F215VQ03
4F501TA12
4F501TC11
4F501TD12
4F501TE11
4F501TE20
4F501TF01
4F501TF05
4F501TF06
4F501TF08
4F501TQ03
4F501TS01
4F501TV01
(57)【要約】
【課題】ビードを確実に1本ずつ後工程に供給することができるビード供給装置を提供する。
【解決手段】ビード供給装置10は、複数のビード70をストックするストック部13と、ビード70を後工程に供給する供給部12と、ストック部13のストック先頭位置S1にあるビード70を保持するビード保持部20、及びビード保持部20を変位させる変位部50を有し、ストック部13から供給部12にビード70を移載する移載部14と、ビード保持部20により保持されたビード70の状態を検知する検知部60と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のビードをストックするストック部と、
前記ビードを後工程に供給する供給部と、
前記ストック部のストック先頭位置にある前記ビードを保持するビード保持部、及び前記ビード保持部を変位させる変位部を有し、前記ストック部から前記供給部に前記ビードを移載する移載部と、
前記ビード保持部により保持された前記ビードの状態を検知する検知部と、
を備える、ビード供給装置。
【請求項2】
前記検知部が、
光の投光及び受光を行うセンサと、
光を反射する反射部材と、を含み、
前記センサが前記移載部に設けられ、かつ、前記反射部材が前記ストック部に設けられる、請求項1に記載のビード供給装置。
【請求項3】
前記センサと前記反射部材との間に前記ビードを配置した状態で、
前記センサが、前記ビードの近傍に光を投光する、請求項2に記載のビード供給装置。
【請求項4】
前記ビード保持部に1個の前記ビードを保持した場合の当該ビードが位置する領域から外れた位置であって、かつ、前記ビード保持部に2個以上の前記ビードを保持した場合の当該ビードが位置する領域内の位置に、前記センサが光を投光する、請求項2又は請求項3に記載のビード供給装置。
【請求項5】
前記検知部は、
前記反射部材を保護する保護部材をさらに備える、請求項2又は請求項3に記載のビード供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビード供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造工程では、複数のビードをストックしておき、後工程からの要求に応じてビードを供給するビード供給装置が用いられる。ビード供給装置は、後工程に1本ずつビードを供給する。従来のビード供給装置では、ビード間にスペーサを介在させた状態で複数のビードをストックする。ビード供給装置としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ビードを確実に1本ずつ後工程に供給することができるビード供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係るビード供給装置は、複数のビードをストックするストック部と、前記ビードを後工程に供給する供給部と、前記ストック部のストック先頭位置にある前記ビードを保持するビード保持部、及び前記ビード保持部を変位させる変位部を有し、前記ストック部から前記供給部に前記ビードを移載する移載部と、前記ビード保持部により保持された前記ビードの状態を検知する検知部と、を備える。
【0006】
上記構成のビード供給装置は、ストック部から供給部へビードを移載するときに、検知部によって、ビードの状態を検知することができる。このため、上記構成のビード供給装置によれば、ビードを確実に1本ずつ後工程に供給することができる。
【0007】
(2)本発明の前記(1)の態様のビード供給装置は、前記検知部が、光の投光及び受光を行うセンサと、光を反射する反射部材と、を含み、前記センサが前記移載部に設けられ、かつ、前記反射部材が前記ストック部に設けられると好ましい。
上記構成のビード供給装置は、反射部材をストック部に設けることで、ビードの移載に伴ってセンサに振動が生じた場合であっても、センサの投光部から投光された光を安定して反射させることができる。このため、上記構成のビード供給装置によれば、センサの受光部が安定して光を受光することが可能となり、検知部によるビードの状態の誤検知を抑制することができる。これにより、ビードを確実に1本ずつ後工程に供給することができる。
【0008】
(3)本発明の前記(2)の態様のビード供給装置は、前記センサと前記反射部材との間に前記ビードを配置した状態で、前記センサが、前記ビードの近傍に光を投光すると好ましい。
上記構成のビード供給装置は、ビードにおいて反射した光を検知するのではなく、ビードの背部に配置した反射部材で反射した光を検知する構成とすることで、安定した反射光に基づいて、ビードの状態を検知することが可能となる。このため、上記構成のビード供給装置によれば、検知部によるビードの状態の誤検知を抑制することができる。また、上記構成のビード供給装置によれば、比較的安価な回帰反射型のセンサを用いて検知部を構成することが可能となり、ビード供給装置のコスト抑制を図ることができる。
【0009】
(4)本発明の前記(2)又は(3)の態様のビード供給装置は、前記ビード保持部に1個の前記ビードを保持した場合の当該ビードが位置する領域から外れた位置であって、かつ、前記ビード保持部に2個以上の前記ビードを保持した場合の当該ビードが位置する領域内の位置に、前記センサが光を投光すると好ましい。
上記構成のビード供給装置によれば、受光部が光を受光するか否かによって、ビードの状態を検知することが可能となる。このため、上記構成のビード供給装置によれば、検知部によるビードの状態の誤検知を抑制することができる。
【0010】
(5)本発明の前記(2)又は(3)の態様のビード供給装置において、前記検知部は、前記反射部材を保護する保護部材をさらに備えると好ましい。
上記構成のビード供給装置によれば、反射部材の破損を抑制することができる。これにより、反射部材の破損に起因する誤検知の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ビードを確実に1本ずつ後工程に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るビード供給装置の全体構成を示す側面模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るビード供給装置の部分拡大模式図である。
【
図4】ビード供給装置の検知部の説明図であり、(a)は異常がない場合の検知状態を示す図、(b)は異常がある場合の検知状態を示す図である。
【
図5】ビード供給装置の待機位置及びストック先頭位置間の動作説明図である。
【
図6】ビード供給装置のストック先頭位置及び検知位置間の動作説明図である。
【
図7】ビード供給装置の検知位置、移載位置及び待機位置間の動作説明図である。
【
図8】検知部の変形例の説明図であり、(a)は異常がない場合の検知状態を示す図、(b)は異常がある場合の検知状態を示す図である。
【
図9】ビードの説明図であり、(a)はビードの第1実施形態を示す模式図であり、(b)はビードの第2実施形態を示す模式図である。
【
図10】スペーサ間に複数のビードが配置された状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[ビードについて]
図9は、ビードの説明図であり、(a)はビードの第1の態様を示す模式図であり、(b)はビードの第2の態様を示す模式図である。
図9には、ビード供給装置により供給するビードの一例であるビード70を示している。なお、
図9(a)には、ビード70の第1の態様である第1ビード70Aを示しており、
図9(b)には、ビード70の第2の態様である第2ビード70Bを示している。本説明で示すビード70には、第1ビード70A及び第2ビード70Bが含まれる。ビード70は、タイヤの構成要素である。ビード70は、リング状である。
【0014】
第1ビード70Aは、鋼製のワイヤを巻いて形成されたコア71と、ゴム組成物を所定の形状に加工して得られたエイペックス72とを備える。エイペックス72はコア71の外周面に載せられる。これにより、第1ビード70Aが得られる。第2ビード70Bは、鋼製のワイヤを巻いて形成されたコア71と、ゴム組成物を所定の形状に加工して得られるエイペックス72と、ゴム組成物を含んだ補強エレメント73とを備える。エイペックス72はコア71の外周面に載せられる。コア71及びエイペックス72が補強エレメント73で包み込まれる。コア71と補強エレメント73とを圧着することで、第2ビード70Bが得られる。ビード70は、鋼製のコア71を備えるため、磁石で吸着することができる。なお、本発明のビード供給装置の適用対象たるビードは、
図9(a)(b)に示す態様には限定されず、リング状に構成した鋼製のワイヤとゴム組成物とを含む態様であればよい。
【0015】
[本発明の基礎となった知見]
図10は、スペーサ間に複数のビードが配置された状態を示す模式図である。
図10には、後で説明するビード供給装置10のストック部13にストックされた複数のビード70を示している。ビード70は、ビード供給装置10のストック部13において、リング状のスペーサ80を介在させてストックされる。ビード70及びスペーサ80は、前工程(図示せず)からストック部13に1本ずつ供給される。通常の場合、ビード70は、2個のスペーサ80の間にストックされる。しかしながら、何らかの理由によってストック部13に対するスペーサ80の供給に失敗し、2個のスペーサ80の間に複数(
図10の場合は2個)のビード70が配置される場合がある。ビード70は、ワイヤをゴム組成物で被覆して作成されるため、
図10に示すように、ゴム組成物が有する粘着性によって、ビード70同士がひっつく場合がある(1点鎖線で示した囲み部参照)。このため、従来のビード供給装置では、1度に複数のビード70が後工程に供給される場合があった。そこで、ビードを確実に1本ずつ後工程に供給することができるビード供給装置の構成について、本発明者らは鋭意検討した。
【0016】
[ビード供給装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るビード供給装置の全体構成を示す側面模式図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るビード供給装置の部分拡大模式図である。
図1には、本発明に係るビード供給装置の一実施形態であるビード供給装置10を示している。
図1に示すように、ビード供給装置10は、柱11、供給部12、ストック部13、移載部14、及びスペーサ回収部15を備える。ビード供給装置10は、ストック部13にビード70(
図9参照)をストックし、そのストックしたビード70を供給部12によって後工程に供給する装置である。ストック部13、移載部14、及びスペーサ回収部15は、床面に固定された柱11によって支持される。
【0017】
[供給部]
供給部12は、移載部14によってストック部13から移載されたビード70を後工程(図示せず)に供給する。供給部12は、移載部14からビード70を受け継ぐ(保持する)手段(
図7に示すローラ12a)、及び受け継いだビード70を後工程に搬送する手段(図示せず)等を備える。
【0018】
[ストック部]
図1及び
図2に示すように、ストック部13は、前工程(図示せず)から供給されるビード70をストックする部位である。ストック部13は、柱11から水平方向に延びて設けられた竿13aを備える。ビード供給装置10は、ストック部13において、複数のビード70の間にスペーサ80を介在させた状態で、ビード70をストックする。
【0019】
図2に示すように、ストック部13は、ビード70の内側に竿13aを通すことで、ビード70を吊り下げた状態でストックする。
【0020】
スペーサ80は、隣接するビード70同士がひっつくのを防止するための部材である。スペーサ80は、リング状の形態を有する。スペーサ80は、前工程(図示せず)から供給されたビード70をストック部13にストックする際に、ビード70と交互にストック部13に供給される。スペーサ80は、ビード70と同様に、内側(孔部)に竿13aが通されて、吊り下げられた状態でビード70間に配置される。
【0021】
[移載部]
図1及び
図2に示すように、移載部14は、ストック部13のストック先頭位置Sに位置するビード70を供給部12に移載する。移載部14は、ビード保持部20、スペーサ保持部30、支持部40、変位部50、及び検知部60を備える。なお、ここでいう「ストック先頭位置S」とは、ストック部13にストックされたビード70及びスペーサ80のうち、そのとき最も供給部12側にあるビード70及びスペーサ80の位置である。
図2に示すように、「ストック先頭位置S」には、最も供給部12側にあるビード70の位置S1と、最も供給部12側にあるスペーサ80の位置S2とが含まれる。なお、移載部14は、ストック先頭位置S2に位置するスペーサ80をスペーサ回収部15へ送る機能も有する。
【0022】
[ビード保持部]
ビード保持部20は、ビード70を保持するための部位である。ビード保持部20は、プレート状の本体21とマグネット22とを備える。マグネット22は電磁石であり、通電時には、磁力によってビード70を吸着させることが可能となり、通電を止めることによって、ビード70の吸着を解除することができる。ビード保持部20は、ストック先頭位置S1に位置するビード70を、マグネット22で吸着して保持する。なお、マグネット22は、永久磁石(例えば、ネオジム磁石)であってもよい。この場合、例えば、ストック部13にマグネット22からビード70を取り外すための機構(図示せず)を設けておき、前記機構の作動によりビード70をビード保持部20から取り外し可能とする。
【0023】
[スペーサ保持部]
スペーサ保持部30は、スペーサ80を保持するための部位である。スペーサ保持部30は、ステー31及び吸着部32を備える。吸着部32は、図示しない真空排気設備等に接続された吸盤33を備える。吸盤33は、前記真空排気設備をONにしたときにはスペーサ80を吸着することができ、前記真空排気設備をOFFとしたときには、スペーサ80の吸着を解除することができる。スペーサ保持部30は、ストック先頭位置S2に位置するスペーサ80を、吸盤33で吸着して保持する。
【0024】
[支持部]
支持部40は、ビード保持部20及びスペーサ保持部30を支持するための部位であり、支持ステー41及びスライド部材42を備える。支持ステー41は、スライド部材42に固定されている。スライド部材42は、変位部50によって変位される。このため、支持部40によって支持されたビード保持部20及びスペーサ保持部30は、支持部40が変位部50によって変位されるのに伴って変位される。
【0025】
[変位部]
変位部50は、後で説明する待機位置(原点X0)、ストック先頭位置S、検知位置T、及び移載位置Uの間で、ビード保持部20及びスペーサ保持部30を変位させる。変位部50は、ビード70の移載方向に沿ってスライド部材42を往復変位させるアクチュエータ(サーボモータ等)を備える。
【0026】
[検知部]
検知部60は、ビード保持部20に保持されたときのビード70の状態(後で説明する「正常」な状態又は「異常」な状態)を検知する。検知部60は、センサ61及び反射部材62を備える。
【0027】
[センサ]
センサ61は、回帰反射型の光電センサであり、投光部61a及び受光部61bを備える。センサ61は、反射部材62と組み合わせて使用される。センサ61は、投光部61aから光(以下、光b1と称する)を投光する。センサ61は、反射部材62で反射された光b1(以下、反射光b2と称する)を受光部61bが受光する。センサ61は、受光部61bが反射光b2を受光した場合に、外部に信号を出力する。センサ61は、支持部40における支持ステー41に固定される。
【0028】
[反射部材]
反射部材62は、投光部61aより投光された光b1を反射し、反射光b2を生じさせる。反射部材62は、ストック部13における竿13aに固定される。反射部材62は、その反射面が、後で説明する投光位置Pに位置するように配置される。
【0029】
[保護部材]
検知部60は、さらに保護部材63を備える。保護部材63は、反射部材62の破損を抑制するための部材であり、反射部材62の反射面以外の部分を覆うことができる。保護部材63は、竿13aに反射部材62を固定するための支持部材を兼ねている。なお、検知部60は、保護部材63を省略してもよい。
【0030】
[スペーサ回収部]
図1に示すように、スペーサ回収部15は、ビード70の移載が完了した後、不要になったスペーサ80を回収するための部位である。スペーサ回収部15は、後で説明する移載位置Uにおいて、スペーサ保持部30より脱落させたスペーサ80を受けて回収する。
【0031】
[制御部]
図3は、ビード供給装置の制御ブロック図である。
図4は、ビード供給装置の検知部の説明図であり、(a)は異常がない場合の検知状態を示す図、(b)は異常がある場合の検知状態を示す図である。ビード供給装置10は、
図3に示すように、制御部16をさらに備える。制御部16は、ビード保持部20、スペーサ保持部30、変位部50、及び検知部60が接続され、検知部60の検知結果に応じて、これらの動作を制御する。制御部16は、ビード保持部20によってビード70を保持(又は保持を解除)するための制御プログラム、スペーサ保持部30によってスペーサ80を保持(又は保持を解除)するための制御プログラム、変位部50によってビード保持部20及びスペーサ保持部30を変位させるための制御プログラム、等がインストールされたパーソナルコンピュータや、その他の制御デバイスにより構成される。
【0032】
図4(a)(b)に示すように、センサ61は、後で説明する検知位置Tにビード保持部20が位置している状態で、投光部61aから反射部材62上の投光位置Pに向けて光b1を投光する。投光位置Pは、投光部61aから光b1の投光方向を見た場合に、ビード保持部20に1個のビード70が保持された場合の当該ビード70が位置する領域から外れた位置であり、かつ、ビード保持部20に2個以上のビード70が保持された場合の当該ビード70が位置する領域内の位置である。センサ61と反射部材62との間にビード70を配置した状態で、センサ61が、ビード70の近傍に光b1を投光する。
【0033】
図4(a)に示すように、ビード保持部20に保持されたビード70が1個である場合、投光部61aから投光位置Pに向けて投光された光b1は、反射部材62上の投光位置Pに到達する。そして、光b1は、反射部材62で反射して受光部61bに向かう反射光b2となり、受光部61bによって受光される。センサ61は、受光部61bで反射光b2を受光した場合、信号を制御部16に出力する。この信号は、ビード保持部20に保持されたビード70の状態が「正常」である(1個である)ことを示す。
【0034】
図4(b)に示すように、ビード保持部20に保持されたビード70が2個以上である場合、投光部61aから投光位置Pに向けて投光された光b1は、ビード70によって遮られて、反射部材62上の投光位置Pに到達しない。この場合、反射光b2が生じないため、受光部61bは、反射光b2を受光することがない。センサ61は、受光部61bが反射光b2を受光しなかった場合、制御部16に信号を出力しない。この信号が出力されない状況は、ビード保持部20に保持されたビード70の状態が「異常」である(2個以上である)ことを示す。
【0035】
制御部16は、センサ61からの信号が入力された場合、ビード保持部20に保持されたビード70の状態が「正常」であると判断し、センサ61から信号が入力されない場合、ビード保持部20に保持されたビード70の状態が「異常」であると判断する。
【0036】
[ビード供給装置の動作について]
図5は、ビード供給装置の待機位置及びストック先頭位置間の動作説明図である。
図6は、ビード供給装置のストック先頭位置及び検知位置間の動作説明図である。
図7は、ビード供給装置の検知位置、移載位置及び待機位置間の動作説明図である。ここでは、ビード供給装置10におけるビード70の移載動作について説明する。なお、本説明では、ストック部13にビード70及びスペーサ80が既にストックされていて、ビード保持部20及びスペーサ保持部30が待機位置(原点X0)に位置している状態からのビード供給装置10の動作を説明する。
【0037】
図5に示すように、制御部16は、まず、変位部50によってビード保持部20及びスペーサ保持部30を待機位置(原点X0)からストック先頭位置Sに変位させる(矢印X1参照)。そして、制御部16は、マグネット22に通電して、ストック先頭位置S1にあるビード70をマグネット22によって吸着すると共に、吸着部32に接続された真空排気設備をONとし、ストック先頭位置S2にあるスペーサ80を吸盤33によって吸着する。
【0038】
次に、
図6に示すように、制御部16は、変位部50によってビード保持部20及びスペーサ保持部30をストック先頭位置Sから検知位置Tに変位させる(矢印X2参照)。そして、制御部16は、ビード保持部20が検知位置Tに位置している状態で、検知部60によって、ビード70の状態を検知する。具体的には、
図4(a)(b)に示すように、検知部60は、ビード保持部20により保持された状態のビード70に対して、投光部61aから光b1を投光し、受光部61bによって反射光b2を受光することを試みる。制御部16は、センサ61からの信号が入力された場合、ビード70の状態が「正常」であると判断し、センサ61から信号が入力されない場合、ビード70の状態が「異常」であると判断する。
【0039】
ここで、制御部16は、ビード70の状態が「正常」であると判断した場合は、次の動作に移行する。一方、制御部16は、ビード70の状態が「異常」であると判断した場合は、ここで移載部14の動作を停止する。これにより、例えば、2本のビード70がひっついた状態(
図10参照)で後工程に供給されるのを防ぐことができる。これにより、ビード70を確実に1本ずつ後工程に供給することができる。なお、この場合、制御部16は、ビード70の状態が「異常」である旨をユーザに報知すると好ましい。
【0040】
次に、
図7に示すように、ビード70の状態が「正常」であると判断した場合、制御部16は、変位部50によってビード保持部20及びスペーサ保持部30を検知位置Tから移載位置Uに変位させる(矢印X3参照)。このとき、ビード70及びスペーサ80は、移載位置Uに搬送される。移載位置Uは、ビード保持部20に保持されたビード70を供給部12(ローラ12a)に受け渡すことができる位置であり、かつ、スペーサ保持部30に保持されたスペーサ80をスペーサ回収部15によって回収することができる位置である。
【0041】
次に、制御部16は、マグネット22への通電を止めて、ビード保持部20から供給部12(ローラ12a)にビード70を受け渡す。さらに制御部16は、吸着部32に接続された真空排気設備をOFFとして、スペーサ80をスペーサ保持部30から下方に脱落させてスペーサ回収部15により回収する。
【0042】
そして、制御部16は、変位部50によってビード保持部20及びスペーサ保持部30を移載位置Uから待機位置(原点X0)に変位させる(矢印X4参照)。以上により、移載部14による一連のビード70の移載動作を完了する。ビード供給装置10において、制御部16は、ストック部13にストックしたビード70がなくなるまで、
図5~
図7に示す動作を繰り返し実行する。なお、制御部16は、ビード保持部20が検知位置Tから移載位置Uに変位されたとき(
図7参照)に、受光部61bによる反射光b2の受光が一旦OFFとなり、かつ、移載位置Uから待機位置(原点X0)に変位される途中で検知位置Tを通過する際に、受光部61bによる反射光b2の受光が一旦ONとなることを検知し、これにより、センサ61に異常がないことを確認するとより好ましい。
【0043】
以上に説明したとおり、本実施形態のビード供給装置10は、複数のビード70をビード間にスペーサ80を介在させた状態でストックするストック部13と、ビード70を後工程に供給する供給部12と、ストック部13から供給部12にビード70を移載する移載部14と、を備える。移載部14は、ストック部13のストック先頭位置S1にあるビード70を保持するビード保持部20と、ストック部13のストック先頭位置S2にあるスペーサ80を保持するスペーサ保持部30と、ビード保持部20及びスペーサ保持部30を変位させる変位部50と、ビード保持部20により保持されたビード70の状態を検知する検知部60と、を備える。検知部60は、光b1を投光する投光部61a、及び反射光b2を受光する受光部61bを有するセンサ61と、光b1を反射する反射部材62と、を含んでいる。ビード供給装置10は、センサ61が移載部14に設けられ、かつ、反射部材62がストック部13に設けられる。
【0044】
[検知部の変形例について]
図8は、ビード供給装置の検知部の変形例の説明図であり、(a)は異常がない場合の検知状態を示す図、(b)は異常がある場合の検知状態を示す図である。本発明のビード供給装置10は、前述した検知部60に代えて、
図8(a)(b)に示す検知部65を有する構成であってもよい。検知部65は、センサ66を備えている。センサ66は、拡散反射型のレーザセンサであり、投光部66a及び受光部66bを備える。
【0045】
センサ66は、ビード保持部20に保持されたビード70に対して、投光部66aからレーザ光b3を投光する。センサ66は、ビード70で反射したレーザ光b3の反射光b4を受光部66bで受光する。反射光b4は、ビード保持部20に保持されたビード70が1本である場合(
図8(a)参照)に比べて、ビード保持部20に保持されたビード70が2本以上である場合(
図8(b)参照)の方が、光量が多くなる。検知部65は、この反射光b4の光量の大小によって、ビード70の状態を検知する。
【0046】
[各実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態のビード供給装置10は、複数のビード70をストックするストック部13と、ビード70を後工程に供給する供給部12と、ストック部13のストック先頭位置S1にあるビード70を保持するビード保持部20、及びビード保持部20を変位させる変位部50を有し、ストック部13から供給部12にビード70を移載する移載部14と、ビード保持部20により保持されたビード70の状態を検知する検知部60,65と、を備える。
【0047】
このような構成のビード供給装置10は、ストック部13から供給部12へビード70を移載するときに、検知部60,65によって、ビード70の状態を検知することができる。このため、ビード供給装置10によれば、ビード70を確実に1本ずつ後工程に供給することができる。
【0048】
(2)上記実施形態のビード供給装置10は、検知部60が、光の投光及び受光を行う(換言すると、光b1を投光する投光部61a、及び反射光b2を受光する受光部61bを有する)センサ61と、光b1を反射する反射部材62と、を含み、センサ61が移載部14に設けられ、かつ、反射部材62がストック部13に設けられている。
このような構成のビード供給装置10は、反射部材62をストック部13に設けることで、ビード70の移載に伴ってセンサ61に振動が生じた場合であっても、センサ61から投光された光b1を安定して反射させることができる。このため、ビード供給装置10によれば、センサ61の受光部61bが安定して反射光b2を受光することが可能となり、検知部60によるビード70の状態の誤検知を抑制することができる。これにより、ビード70を確実に1本ずつ後工程に供給することができる。
【0049】
(3)上記実施形態のビード供給装置10は、センサ61と反射部材62との間にビード70を配置した状態で、センサ61が、ビード70の近傍に光b1を投光する。
このような構成のビード供給装置10は、ビード70において反射した光を検知するのではなく、ビード70の背部に配置した反射部材62で反射した光(反射光b2)を検知する構成とすることで、安定した反射光b2に基づいて、ビード70の状態を検知することが可能となる。このため、本実施形態のビード供給装置10では、検知部60によるビード70の状態の誤検知を抑制することができる。また、ビード供給装置10では、比較的安価な回帰反射型のセンサ61を用いて検知部60を構成することが可能となり、ビード供給装置10のコスト低減を図ることができる。
【0050】
(4)上記実施形態のビード供給装置10は、ビード保持部20に1個のビード70が保持された場合の当該ビード70が位置する領域から外れた位置であって、かつ、ビード保持部20に2個以上のビード70が保持された場合の当該ビード70が位置する領域内の投光位置Pに、センサ61が光b1を投光する。
このような構成のビード供給装置10によれば、反射光b2の光量の大小ではなく、受光部61bが反射光b2を受光するか否かによって、ビード70の状態を検知することが可能となる。つまり、ビード供給装置10では、ビード保持部20にビード70が保持されている状態で、受光部61bが反射光b2を受光しなかった場合に、制御部16は、ビード保持部20に2以上のビード70が保持されていると判断する。このため、本実施形態のビード供給装置10では、検知部60によるビード70の状態の誤検知を抑制することができる。
【0051】
(5)上記実施形態のビード供給装置10において、検知部60は、反射部材62を保護する保護部材63を備えている。
このような構成のビード供給装置10によれば、反射部材62の破損を抑制することができる。これにより、反射部材62の破損に起因するビード70の状態の誤検知の発生を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明されたビード供給装置の検知部は、ビードの状態を検知する用途のみならず、リング状の形態を有する部材のための移載装置について広く適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10:ビード供給装置
12:供給部
13:ストック部
14:移載部
20:ビード保持部
30:スペーサ保持部
50:変位部
60:検知部
61:センサ
62:反射部材
63:保護部材
65:検知部
70:ビード
80:スペーサ
b1:光
b2:反射光
P:投光位置