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特開2024-107624冷却装置、気体吸い込み防止方法、および冷却方法
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  • 特開-冷却装置、気体吸い込み防止方法、および冷却方法 図1
  • 特開-冷却装置、気体吸い込み防止方法、および冷却方法 図2
  • 特開-冷却装置、気体吸い込み防止方法、および冷却方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107624
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】冷却装置、気体吸い込み防止方法、および冷却方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20240802BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20240802BHJP
   H05K 7/20 20060101ALN20240802BHJP
【FI】
G06F1/20 A
G06F1/20 D
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011650
(22)【出願日】2023-01-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 学
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA07
5E322DA01
5E322DA02
5E322FA04
5F136CB06
5F136CB13
5F136CB15
5F136DA41
(57)【要約】
【課題】この発明は冷媒液に混入した気体によるポンプのエア噛み込みを防止することができる冷却装置、気体吸い込み防止方法、冷却方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかる冷却装置は、発熱部品1から熱が伝達されるとともに、伝達された熱を液体に受熱させる放熱部2と、該放熱部2と、前記液体を冷却する熱交換部3との間に設けられ、該熱交換部3から供給された液体を前記放熱部2に供給するとともに、該放熱部2で前記熱を受熱した液体を前記熱交換部3へ戻すポンプ4と、該ポンプ4と前記放熱部2との間の液の流れを監視する監視部5と、該監視部5が前記液への気体の混入を判定した場合に、前記ポンプ4が吸い込む液体を増加させる流量増加手段6とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品から熱が伝達されるとともに、伝達された熱を液体に受熱させる放熱部と、
該放熱部と、前記液体を冷却する熱交換部との間に設けられ、該熱交換部から供給された前記液体を前記放熱部に供給するとともに、該放熱部で前記熱を受熱した前記液体を前記熱交換部へ戻すポンプと、
該ポンプと前記放熱部との間の前記液体の流れを監視する監視部と、
該監視部が前記液体への気体の混入を判定した場合に前記ポンプが吸い込む前記液体を増加させる流量増加手段と、
を有する冷却装置。
【請求項2】
所定量の液体を貯留するタンクを備え、
前記流量増加手段は、前記タンクと前記ポンプの吸い込み側との間に直列に接続可能な付加ポンプである、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記熱交換部と前記ポンプの吸い込み側との間を結ぶ吸い込み管路と、
該吸い込み管路と並列に設けられた吸い込みバイパス管路と、
を備え、
前記吸い込みバイパス管路が前記付加ポンプを備え、
前記吸い込みバイパス管路と前記吸い込み管路とを切り替える切り替え弁を備え、
該切り替え弁は、前記監視部によって切り替えられる、
請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記ポンプと前記熱交換部とを結ぶ排出管路と、
該排出管路と並列に設けられた排出バイパス管路と、
を備え、
前記排出バイパス管路が前記タンクを備え、
該排出バイパス管路と前記排出管路とを切り替える切り替え弁を備え、
該切り替え弁は、前記監視部によって切り替えられる、
請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記流量増加手段は、前記ポンプの吸い込み側の管路を流れる液体を加圧する加圧手段である、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記流量増加手段は、前記ポンプの吸い込み側の管路を流れる液体の流量を増加させる流量増加手段である、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記監視部は、前記液の圧力、流量、前記ポンプの回転数、駆動モータの負荷電流の少なくともいずれかの測定データによって前記気体の混入を判定する、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項8】
発熱源から熱が伝達される放熱部に液体を供給する工程と、
該放熱部に供給された前記液体に前記熱を受熱させる工程と、
前記放熱部から受熱した前記液体を排出する工程と、
前記放熱部に供給される前記液体の流れを監視する工程と、
該監視により前記液体への気体の混入を判定した場合に前記供給される液体の流量を増加させる工程と、
を有する気体吸い込み防止方法。
【請求項9】
請求項8に記載された気体吸い込み防止方法により気体の吸い込みを防止するとともに、
前記放熱部から排出された前記液体を冷却した後、前記放熱部へ供給する工程を有する、
冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置、気体吸い込み防止方法、および冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CPU(Central processing unit)等の発熱性を有する電子部品を適正な動作温度に維持するため、該電子部品あるいは該電子部品と熱的に一体に接続された放熱フィンやヒートシンクを水等の冷媒液に直接接触させて冷却するDLC(Direct liquid cooling)と呼ばれる冷却システムが採用される場合がある。
この種の冷却システムとして、一の集中ポンプによって複数の発熱体のヒートシンクへ冷媒液を循環させる方式の他、各発熱体のヒートシンクにそれぞれポンプを装備して、各ヒートシンクへ個々に冷媒液を循環させる分散ポンプシステムが採用されることがある。
【0003】
前記冷却システム内を循環する冷媒液には、マイクロバブルと呼ばれる細かい気泡が含まれることがあるが、これを完全に除去することは難しい。また、このマイクロバブルは、冷媒の循環系の一部、例えば液の滞留個所等に集まって大きな気泡となり、前記ポンプの吸い込み側あるいはポンプ内に空気だまりを形成するに到ることがある。
この空気だまりは、ポンプの出力が落ちる、いわゆるエア噛みという現象の原因となり、前記発熱部品の冷却に必要な冷媒液の流量を確保することができなくなる。この問題に対する一般的な対処として、ヒートシンクポンプの故障と見做して交換しようとすると、システムの停止が必要になり、ポンプの数が多い分散ポンプシステムでは影響が大きい。
【0004】
本発明に関連する特許文献1には、ポンプの回転数のばらつきから空気混入の程度を判定し、この判定に基づいてポンプの吐出流量を制御する技術が開示されている。
また本発明に関連する特許文献2には、冷媒を循環させるポンプに付加して設けた補助ポンプにより、冷却システムの起動に際して冷媒をシステム内で循環させることにより、前記ポンプによる冷媒の循環を安定させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2012/164745号
【特許文献2】国際公開第2017/187644号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ポンプに空気が溜まる問題の対処方法としては、ポンプを冷媒の循環系の最も低い位置に配置し、冷媒に混入したマイクロバブルを循環系の上方へ導くことにより、ポンプ内に空気が滞留しないようにする、機器配置上の対策が一般的とされる。
これに対し、前記発熱素子の、より具体的には当該発熱素子を備えるサーバ等の電子機器の設置の向きは、ユーザの使用状況により様々であるから、その設置の向きが変わると、ポンプとヒートシンク等との位置、あるいは、これらを結ぶ給水管路や排水管路の相対位置が当初の想定通りの空気溜まりを回避し得る関係とならず、前記マイクロバブルの集合により生じた空気溜まりに起因するポンプの故障を招くことがあり得る。
【0007】
例えば、通常のラック搭載サーバなどで使用される水平設置のヒートシンクポンプ(ヒートシンクに一体に搭載されたポンプ)は、ポンプに対して給水配管や排水配管の高さが変わらないためポンプのエア噛みが起きにくい。また、ポンプ内部の羽根車は、ポンプ内が全て空気だけになるまでは全ての羽が水に漬かった状態であり、動力を伝えることができる。
【0008】
さらに、ブレード型やタワー型のようなマザーボード(代表的な発熱体であるCPUが搭載される回路基板)が縦置きの向きでサーバに装着する形式では、前記水平設置用のヒートシンクポンプを垂直方向に設置すると、ポンプが最も下に配置されるとは限らないため、さらにポンプ内に空気が溜まりやすくなることがある。また羽根車を垂直方向に設置すると、空気だまりができた時に羽根車の一部の羽が冷媒液に漬からなくなり、動力を伝えることができなくなる。
特にブレード型のサーバは、単に垂直方向に設置されるだけでなく、搭載数を増やすために1段目と2段目で上下を反転して搭載することがあり、それぞれの設置位置に応じてエア噛みが発生しづらい仕様のヒートシンクポンプを用意することは、ヒートシンクポンプの汎用性を失うことになる。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、冷媒液中へ発生した気泡に起因するポンプの出力低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明にかかる冷却装置は、発熱部品から熱が伝達されるとともに、伝達された熱を液体に受熱させる放熱部と、該放熱部と、前記液体を冷却する熱交換部との間に設けられ、該熱交換部から供給された前記液体を前記放熱部に供給するとともに、該放熱部で前記熱を受熱した前記液体を前記熱交換部へ戻すポンプと、該ポンプと前記放熱部との間の前記液体の流れを監視する監視部と、該監視部が前記液体への気体の混入を判定した場合に前記ポンプが吸い込む前記液体を増加させる流量増加手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また本発明にかかる気体吸い込み防止方法は、発熱源から熱が伝達される放熱部に液体を供給する工程と、該放熱部に供給された前記液体に前記熱を受熱させる工程と、前記放熱部から受熱した前記液体を排出する工程と、前記放熱部に供給される前記液体の流れを監視する工程と、該監視により前記液体への気体の混入を判定した場合に前記供給する前記液体の流量を増加させる工程とを有する。
【0012】
また本発明にかかる冷却方法は、上記気体吸い込み防止方法により気体の吸い込みを防止する工程と、前記放熱部から排出された液体を冷却した後、前記放熱部へ供給する工程を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、冷媒中の気泡に起因するポンプの出力低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の最小構成例を示す配管系統図である。
図2】本発明の一実施形態の配管系統図である。
図3】本発明の一実施形態の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る最小構成について図1を参照して説明する。
この冷却装置は、発熱部品1から熱が伝達されるとともに、伝達された熱を液体に受熱させる放熱部2と、該放熱部2と、前記液体を冷却する熱交換部3との間に設けられ、該熱交換部3から供給された液体を前記放熱部2に供給するとともに、該放熱部2で前記熱を受熱した液体を前記熱交換部3へ戻すポンプ4と、該ポンプ4と前記放熱部2との間の液体の流れを監視する監視部5と、該監視部5が前記液体への気体の混入を判定した場合に前記ポンプ4が吸い込む液体を増加させる流量増加手段6とを備える。
【0016】
上記構成によれば、ポンプ4に吸い込まれ、あるいは吐出される液へ気体が混入したことを監視部5が検出した場合に、前記流量増加手段6によって前記ポンプ4へ強制的に液を送り込むことにより、前記気体の吸い込みによるポンプ4の作動不良の原因となっていた気体をポンプ4から押し出し、ポンプ4へ再び液体を吸入させて正常な運転を継続させることができる。
【0017】
また上記冷却装置の動作に伴い、発熱源から熱が伝達される放熱部2に液体を供給する工程と、該放熱部2に供給された液体に前記熱を受熱させる工程と、前記放熱部2から受熱した液体を排出する工程と、前記放熱部に供給される液体の流れを監視する工程と、該監視により液体への気体の混入を判定した場合に前記供給する液体の流量を増加させる工程とによる気体吸い込み防止方法が実行される。
また上記気体吸い込み防止方法により気体の吸い込みを防止する工程に加えて、前記放熱部から排出された液体を冷却した後、前記放熱部へ供給する工程により、冷却方法が実行される。
【0018】
以下、図2、3を参照して本発明の一実施形態を説明する。
まず、分散ポンプ型の水冷装置を備えたサーバの全体構成について図2を用いて説明する。
サーバ装置等の電子機器11は、その内部にCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphic Processing Unit)に代表される発熱体12を持つ。この発熱体12は、発生した熱を吸収してその温度を適正な動作環境に維持するため、冷却用の水冷式のヒートシンク13を有する。該ヒートシンク13は、詳細には、前記発熱体12に密着して取り付けられる面を備えていて、熱伝導性の良好なアルミニウム等の金属により形成され、冷媒液に浸積し、あるいは、冷媒液を流通させるための流路を備えている。前記ヒートシンク13は、ヒートシンクポンプ14を備えており、このヒートシンクポンプ14によって前記冷媒液を循環させる構成となっている。
【0019】
前記サーバ等の電子機器11は、その外部に給水管20と排水管21を備えており、サーバ内部の熱交換で温度が上昇した冷媒液は、熱交換器22で外気や外部から供給される別系統の冷媒液と熱交換し、冷却されてサーバへ循環する。すなわち、前記ヒートシンクポンプ14は、前記熱交換器22から給水管20を経由して冷媒液を吸い込み、排水管21を経由して熱交換器22へ冷媒液を排出する動作を繰り返すことにより、前記ヒートシンク13において熱を吸収した冷媒液を熱交換器22で冷却して再度ヒートシンク13へ循環させることにより、前記発熱体12を冷却する。
【0020】
なお図2では、単純化するために一台の電子機器11を表記しているが、複数の電子機器(サ―バ)11を備える構成では、各電子機器11のヒートシンクポンプ14についての前記給水管20と排水管21をマニフォールドと呼ばれる分岐管に接続して並列に給水排水し、複数のサーバで1台の熱交換器22を共有する構成となっている。
次に図2を用いて、一実施形態における冷媒液中の気泡を除去するための構成について説明する。
図2の符号30は、前記ヒートシンクポンプ14でエア噛み等の動作不良が発生した時に、外部から冷媒液を送り込む動力を発生させる外部ポンプである。該外部ポンプ30は前記ヒートシンクポンプ14と同じ構造である必要はなく、ヒートシンクポンプ14と同時に空気溜まりが発生することがないよう、異なる原理による液の圧送が可能な方式であることが望ましい。
【0021】
前記熱交換器22からヒートシンクポンプ14に到る管路は、前記外部ポンプ30からの冷媒液を前記ヒートシンクポンプ14に送り込む経路変更を行う三方弁31Aを備え、前記ヒートシンクポンプ14から前記熱交換器22へ到る管路は、前記ヒートシンクポンプ14から押し出された空気を含む冷媒液から空気を抜くためのリザーバタンク32へ向かう経路変更を行う三方弁31Bを備える。該リザーバタンク32は、所定の容積を有し、大気開放、あるいは減圧状態に維持されていて、前記冷媒液を一次的に貯留することにより、液相部33に含まれる気泡を分離して上部の空気溜まり34へ貯留する(冷媒が水の場合は、大気中に放出する)。
【0022】
前記三方弁31Aは、前記熱交換器22から前記給水管20を経由して直接前記ヒートシンクポンプ14へ向かう管路と、バイパス管路23から前記外部ポンプ30およびバイパス管路24を経由して前記給水管20に到る管路とを切り替える。
前記三方弁31Bは、前記ヒートシンクポンプ14から前記排水管21を経由して直接前記熱交換器22へ向かう管路と、バイパス管路25から前記リザーバタンク32およびバイパス管路26を経由して前記熱交換器22へ向かう管路とを切り替える。
【0023】
また前記ヒートシンクポンプ14、三方弁31A、31Bは、弁・ポンプ制御装置40によって制御される。
該弁・ポンプ制御装置40は、信号線として、前記ヒートシンクポンプ14の回転数を制御装置に受信するためのポンプ回転数監視線41を備え、前記外部ポンプ30の起動・停止の命令を送信する外部ポンプ制御線42を備え、さらに、経路変更を行うための弁制御信号を前記三方弁31A、31Bへ送信する三方弁制御線43A、43Bを備える。
【0024】
図3を参照して、前記弁・ポンプ制御装置40で実行される制御とともに、一実施形態の動作を説明する。
ステップSP1
前記弁・ポンプ制御装置40は、ポンプ回転数監視線41から供給される信号に基づき、ヒートシンクポンプ14の回転数を常時監視している。具体的には、前記ヒートシンクポンプ14に気体が吸い込まれると、空転により負荷電流が通常の運転状態から大きく乖離することから、電流から間接的に、あるいは、ヒートシンクポンプ14の回転数を直接検出することによって、回転数を監視する。
ステップSP2、SP3、SP4
前記弁・ポンプ制御装置40が、ヒートシンクポンプ14の回転数が閾値を越えた回転数を検知すると、外部ポンプ制御線42を介して前記外部ポンプ30を起動し、三方弁制御線43Aを介して三方弁31Aを外部ポンプ30側に切替え、三方弁制御線43Bを介して三方弁31Bをリザーバタンク32側に切替える。すなわち、前記熱交換器22からバイパス管路23を経由して外部ポンプ30へ冷媒液を吸い込み、バイパス管路23、給水管20を経由して前記ヒートシンクポンプ14へ冷媒液を強制的に押し込むことにより、ヒートシンクポンプ14内に滞留していた気体を排水管21へ押し出すことができる。さらに、前記三方弁31Bからバイパス管路25を経由して前記リザーバタンク32へ冷媒液が戻され得る。さらに、前記リザーバタンク32からバイパス管路26を経由して前記熱交換器22へ冷媒液を循環させる。
前記ヒートシンクポンプ14の回転数の異常を判定する閾値の設定は、冷媒液循環系の温度等の環境に応じて適切に設定する必要があるが、例えば、エア噛みの状態では30%の回転数上昇が判定されることがある。また、リザーバタンク32では、排水管21に押し出され大量の気体が混入した冷媒液は、リザーバタンク32内に一次滞留することにより気液分離され、気体が分離された冷媒液が熱交換器22へ戻されて経路を循環する。
【0025】
ステップSP5
前記弁・ポンプ制御装置40は、ポンプ回転数監視線41から供給される信号に基づき、ヒートシンクポンプ14の回転数の監視を継続し、通常回転数となったと判定したことを条件に次のステップへ進む。
SP6、SP7、SP8
前記弁・ポンプ制御装置40は、前記外部ポンプ制御線42を介して前記外部ポンプ30を停止し、前記三方弁制御線43A、43Bを介して三方弁31A、31Bを切り替え操作し、熱交換器22から給水管20を経由してヒートシンクポンプ14へ冷媒液を吸い込み、発熱体12の熱を吸収した冷媒液を排水管21を経由して熱交換器22へ戻す経路で冷媒液を循環させる通常の冷却動作に戻す。
【0026】
上記弁・ポンプ制御装置40による制御によって、一実施形態の冷却装置は、下記の効果を奏する。
前記ヒートシンクポンプ14の動作のために一般的に利用される回転数の検出値からエア噛みを検知することができるため、検知のための追加コストが小さい。
前記外部ポンプ30から冷媒液を押し込むことにより、気体を含んだ冷媒液を強制的に押し出してエア噛みを復旧することができ、ヒートシンクポンプ14の修理や交換が不要になる。
冷媒液の循環系を停止させることなく、ひいてはシステムを停止させることなく、運用中にヒートシンクポンプ14をエア噛み状態から復旧することができる。
ヒートシンクポンプ14が設けられるサーバの設置方向に依存することなく、前記外部ポンプ30の動作により復旧することができる、サーバの設置方向にかかわらず、一定の仕様(気泡が集まる方向をサーバの設置方向に応じて変更することなく)ヒートシンクポンプ対応することができる。
【0027】
前記一実施形態のヒートシンクポンプ14におけるエア噛みの検出は、該ヒートシンクポンプ14の駆動モータの負荷電流値等に基づくヒートシンクポンプ14の回転数に基づいて判断したが、回転数に代えて、冷媒液の循環経路中における前記冷媒液の圧力、流量、温度、あるいは、冷媒液の循環不良の結果として生じる発熱素子自身の温度上昇等、他の測定値によってエア噛みを検出しても良い。
前記外部ポンプ30からの冷媒液の供給個所は上記一実施形態に限定されるものではなく、ヒートシンクポンプ14内に冷媒液を強制的に送り込むことができる限り、冷媒循環系路のいずれの個所であっても良い。
前記一実施形態の外部ポンプによる冷媒液の供給に代えて、例えば、リザーバタンク32を高所に設置して、自然ヘッドを利用してリザーバタンク32から冷媒液を循環経路内に注入してヒートシンクポンプ14内へ送り込むようにしても良い。
また、外部ポンプ等の流量増加手段に代えて、循環する冷媒液に圧力を加えて強制的にヒートシンクポンプ14の吸い込み側へ冷媒液を押し込む方式を採用しても良い。
【0028】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、冷却装置、気体吸い込み防止方法、および冷却方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 発熱部品
2 放熱部
3 熱交換部
4 ポンプ
5 監視部
6 流量増加手段
11 電子機器
12 発熱体
13 ヒートシンク
14 ヒートシンクポンプ
20 給水管
21 排水管
22 熱交換器
23、24、25、26 バイパス管路
30 外部ポンプ
31A、31B 三方弁
32 リザーバタンク
33 液相部
34 空気溜まり
40 ポンプ制御装置
41 ポンプ回転数監視線
42 外部ポンプ制御線
43A、43B 三方弁制御線
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品から熱が伝達されるとともに、伝達された熱を液体に受熱させる放熱部と、
該放熱部と、前記液体を冷却する熱交換部との間に設けられ、該熱交換部から供給された前記液体を前記放熱部に供給するとともに、該放熱部で前記熱を受熱した前記液体を前記熱交換部へ戻すポンプと、
該ポンプと前記放熱部との間の前記液体の流れを監視する監視部と、
該監視部が前記液体への気体の混入を判定した場合に前記ポンプが吸い込む前記液体を増加させる流量増加手段と、
を有し、
所定量の液体を貯留するタンクを備え、
前記流量増加手段は、前記タンクと前記ポンプの吸い込み側との間に直列に接続可能な付加ポンプであり、
前記熱交換部と前記ポンプの吸い込み側との間を結ぶ吸い込み管路と、
該吸い込み管路と並列に設けられた吸い込みバイパス管路と、
を備え、
前記吸い込みバイパス管路が前記付加ポンプを備え、
前記吸い込みバイパス管路と前記吸い込み管路とを切り替える切り替え弁を備え、
該切り替え弁は、前記監視部によって切り替えられる、
冷却装置。
【請求項2】
前記ポンプと前記熱交換部とを結ぶ排出管路と、
該排出管路と並列に設けられた排出バイパス管路と、
を備え、
前記排出バイパス管路が前記タンクを備え、
該排出バイパス管路と前記排出管路とを切り替える切り替え弁を備え、
該切り替え弁は、前記監視部によって切り替えられる、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記監視部は、前記液の圧力、流量、前記ポンプの回転数、駆動モータの負荷電流の少なくともいずれかの測定データによって前記気体の混入を判定する、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
発熱部品から熱が伝達されるとともに、伝達された熱を液体に受熱させる放熱部と、
該放熱部と、前記液体を冷却する熱交換部との間に設けられ、該熱交換部から供給された前記液体を前記放熱部に供給するとともに、該放熱部で前記熱を受熱した前記液体を前記熱交換部へ戻すポンプと、を備えた冷却装置の前記ポンプへの気体の吸い込みを防止する方法であって、
監視部が、前記放熱部に供給される前記液体の流れを監視する工程と、
流量増加手段が、該監視により前記液体への気体の混入を判定した場合に前記供給される液体の流量を増加させる工程と、
を有し、
前記冷却装置は、所定量の液体を貯留するタンクを備え、
前記流量増加手段は、前記タンクと前記ポンプの吸い込み側との間に直列に接続可能な付加ポンプであり、
前記熱交換部と前記ポンプの吸い込み側との間を結ぶ吸い込み管路と、
該吸い込み管路と並列に設けられた吸い込みバイパス管路と、
を備え、
前記吸い込みバイパス管路が前記付加ポンプを備え、
前記吸い込みバイパス管路と前記吸い込み管路とを切り替える切り替え弁を備え、
該切り替え弁は、前記監視部によって切り替えられる、
気体吸い込み防止方法。
【請求項5】
請求項4に記載された気体吸い込み防止方法により気体の吸い込みを防止するとともに、
前記放熱部から排出された前記液体を前記熱交換部が冷却した後、前記ポンプが前記放熱部へ供給する工程を有する、
冷却方法。