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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107638
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】消毒装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 13/00 20060101AFI20240802BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20240802BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
A01K13/00 F
A61L2/18
A61L2/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011665
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】506310050
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】内海 洋
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA30
4C058BB07
4C058DD01
4C058DD07
4C058JJ06
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】有蹄動物である牛の蹄部を適切に消毒できる消毒装置を提供する。
【解決手段】消毒装置1は、消毒液を用いて牛2の蹄部3を消毒するための装置である。そして、消毒装置1は、消毒液を貯留する貯留部11を備え、この貯留部11内の消毒液に牛2の蹄部3を浸漬する。また、消毒装置1は、貯留部11内に消毒液を供給する供給手段21と、この供給手段21の供給時に貯留部11内の消毒液をオーバーフローにより排出する排出手段22とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒液を用いて有蹄動物の蹄部を消毒する消毒装置であって、
消毒液が貯留され、その消毒液に有蹄動物の蹄部が浸漬される貯留部と、
前記貯留部内に消毒液を供給する供給手段と、
前記貯留部内の消毒液を排出する排出手段と
を備えることを特徴とする消毒装置。
【請求項2】
消毒液を用いて有蹄動物の蹄部を消毒する消毒装置であって、
消毒液が貯留され、その消毒液に有蹄動物の蹄部が浸漬される貯留部と、
供給ポンプを有し、前記貯留部内に消毒液を供給する供給手段と、
前記貯留部内の消毒液を排出する排出手段と、
有蹄動物を検知する検知部と、
前記検知部の検知に基づいて前記供給ポンプを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、有蹄動物が前記貯留部上に進入したと判断した際に前記供給ポンプを作動させる
ことを特徴とする消毒装置。
【請求項3】
消毒液を用いて有蹄動物の蹄部を消毒する消毒装置であって、
消毒液が貯留され、その消毒液に有蹄動物の蹄部が浸漬される貯留部と、
供給ポンプを有し、前記貯留部内に消毒液を供給する供給手段と、
前記貯留部内の消毒液を排出する排出手段と、
有蹄動物を検知する検知部と、
前記検知部の検知に基づいて前記供給ポンプを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、有蹄動物が前記貯留部上に進入したと判断した際に前記供給ポンプを作動させ、その後、有蹄動物が前記貯留部上から退出したと判断した際に前記供給ポンプを停止させる
ことを特徴とする消毒装置。
【請求項4】
排出手段は、貯留部内の消毒液をオーバーフローにより排出する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の消毒装置。
【請求項5】
供給手段は、貯留部内に配置された供給管を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の消毒装置。
【請求項6】
貯留部内に配置され、有蹄動物が載る載置部を備え、
供給管は、前記貯留部内で前記載置部の側面に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項5記載の消毒装置。
【請求項7】
供給管は、貯留部内で上方に向かって開口した複数の供給孔を有する
ことを特徴とする請求項5記載の消毒装置。
【請求項8】
貯留部上の有蹄動物の蹄部に向けて消毒液を噴射する噴射手段を備える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の消毒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有蹄動物の蹄部を適切に消毒できる消毒装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された有蹄動物用の消毒装置が知られている。
【0003】
この従来の消毒装置は、有蹄動物の蹄部に向けて消毒液を噴射する側方噴射手段を備え、この側方噴射手段は、前後方向に並びかつ第1方向を向いた複数の第1ノズルからなる第1ノズル群と、前後方向に並びかつ第2方向を向いた複数の第2ノズルからなる第2ノズル群とのうち、少なくともいずれか一方のノズル群を有したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-142006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、この種の消毒装置においては、より効果的に蹄病予防を図るためにも、有蹄動物の蹄部を適切に消毒できることが求められている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、有蹄動物の蹄部を適切に消毒できる消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る消毒装置は、消毒液を用いて有蹄動物の蹄部を消毒する消毒装置であって、消毒液が貯留され、その消毒液に有蹄動物の蹄部が浸漬される貯留部と、前記貯留部内に消毒液を供給する供給手段と、前記貯留部内の消毒液を排出する排出手段とを備えるものである。
【0008】
また、本発明に係る消毒装置は、消毒液を用いて有蹄動物の蹄部を消毒する消毒装置であって、消毒液が貯留され、その消毒液に有蹄動物の蹄部が浸漬される貯留部と、供給ポンプを有し、前記貯留部内に消毒液を供給する供給手段と、前記貯留部内の消毒液を排出する排出手段と、有蹄動物を検知する検知部と、前記検知部の検知に基づいて前記供給ポンプを制御する制御部とを備え、前記制御部は、有蹄動物が前記貯留部上に進入したと判断した際に前記供給ポンプを作動させるものである。
【0009】
さらに、本発明に係る消毒装置は、消毒液を用いて有蹄動物の蹄部を消毒する消毒装置であって、消毒液が貯留され、その消毒液に有蹄動物の蹄部が浸漬される貯留部と、供給ポンプを有し、前記貯留部内に消毒液を供給する供給手段と、前記貯留部内の消毒液を排出する排出手段と、有蹄動物を検知する検知部と、前記検知部の検知に基づいて前記供給ポンプを制御する制御部とを備え、前記制御部は、有蹄動物が前記貯留部上に進入したと判断した際に前記供給ポンプを作動させ、その後、有蹄動物が前記貯留部上から退出したと判断した際に前記供給ポンプを停止させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有蹄動物の蹄部を適切に消毒できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る消毒装置の平面図である。
図2】同上消毒装置の後方視の断面図である。
図3】同上消毒装置の側方視の断面図である。
図4】同上消毒装置の部分構成図である。
図5】同上消毒装置で蹄部を消毒する場合の説明図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る消毒装置の平面図である。
図7】同上消毒装置で蹄部を消毒する場合の説明図である。
図8】本発明の第3の実施の形態に係る消毒装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図5を参照して説明する。
【0013】
図中の1は有蹄動物用の消毒装置で、この消毒装置1は、有蹄動物の蹄病予防を図るために消毒液を用いて有蹄動物である牛2の蹄部3を消毒する蹄消毒装置である。
【0014】
なお、この消毒装置1は、牛舎内の所定位置、すなわち例えば牛2が前方(進行方向)に向かって歩いて移動する通路の途中位置に設置されたものである。
【0015】
消毒液は、例えば人や動物等に対して無害の消毒液であって、環境を汚染しない「食品衛生法の飲用適の水」に合致した水、すなわち例えば次亜塩素酸(HClO)を含む水である次亜塩素酸水(例えば商品名「クリーン・リフレ」の無塩型次亜塩素酸水)である。なお、消毒液としては、そのような次亜塩素酸水を用いることが好ましいが、これには限定されず、他の消毒液を使用することも可能である。
【0016】
牛(有蹄類)2は、前後左右の4本の脚5を備え、これら4本の各脚5は、主蹄3a及び副蹄3bからなる蹄部3を脚先に有している。つまり、蹄部3は、床面や地面等の接地面に接地する主蹄3aと、この主蹄3aよりも少し上方に位置する副蹄3bとで構成されている。なお、副蹄3bは、脚5の下端部(脚先)の後側に左右対となって設けられている。
【0017】
消毒装置1は、図1ないし図3等に示すように、所定量の消毒液が内部(貯留室)に貯留され、この貯留された所定量の消毒液に牛2の蹄部3の全体が浸漬され、その消毒液(貯留消毒液)による蹄部3の消毒処理が行われる槽状の貯留部(貯留槽)11を備えている。
【0018】
貯留部11は、例えば前後方向に長手方向を有する上面開口状で有底四角筒状のもので、底板部12と、前後左右の4つの側板部13とを有している。なお、左右の側板部13は、後述するカバー体56の一部で構成されている。
【0019】
貯留部11の底板部12上には、牛2が載る前後方向長手状で矩形板状の載置部である載置板15が配置されている。つまり、貯留部11内の下部には、牛2が上面上に載った状態でその上面上を歩いて前方へ移動する載置板15が底板部12の略全体を覆うように配置されている。
【0020】
載置板15の前後左右の4つの側面と、貯留部11の前後左右の4つの側板部13との間には、それぞれ細長い長手状の隙間16が形成されている。載置板15は、例えば消毒液が浸み込むことが可能でかつ弾性変形可能な材料(素材)で構成されており、例えば1枚状のゴムマットやスポンジマット等のマット部材からなるものである。
【0021】
また、消毒装置1は、貯留部11内に消毒液を供給する供給手段21と、この供給手段21による供給時に貯留部11内の消毒液をオーバーフローにより貯留部11外に排出する排出手段22とを備えている。
【0022】
供給手段21は、例えば貯留部11内の下部に配置された平面視略コ字状の供給管23を有している。供給管23には、貯留部11内で上方に向かって開口した複数の供給孔24が形成されている。複数の供給孔24は、供給管23の上流端側(一端側)から下流端側(他端側)にわたって互いに等間隔をおいて並設されている。
【0023】
供給管23の上流端部には上流側配管26が接続され、かつ、供給管23の下流端部には下流側配管27が接続されており、これら両配管26,27は、消毒液を貯留するタンク28に接続されている。そして、上流側配管26の途中には、そのタンク28内の消毒液を供給管23に向けて圧送する供給ポンプ30が接続されている。つまり、供給手段21は、新液貯留部であるタンク28内の新しい消毒液(以下、単に「新液」という場合がある)を供給管23の複数の供給孔24から貯留部11内に供給させるための供給ポンプ30を有している。
【0024】
また、図1に示されるように、平面視で略コ字状をなす供給管23は、貯留部11内で隙間16に挿入された状態となって載置板15の3つの側面(周囲の3辺)に沿って配置されている。
【0025】
より具体的には、供給管23は、左側の第1管部31と、右側の第2管部32と、後側の第3管部33とを有し、第1管部31が載置板15の左側の側面と貯留部11の左側の側板部13との間の隙間16にその左側側面に沿って配置され、第2管部32が載置板15の右側の側面と貯留部11の右側の側板部13との間の隙間16にその右側の側面に沿って配置され、第3管部33が載置板15の後側の側面と貯留部11の後側の側板部13との間の隙間16にその後側の側面に沿って配置されている。なお、各管部31,32,33の上部には、貯留部11内に消毒液を供給する複数の供給孔24が互いに間隔をおいて開口形成されている。
【0026】
さらに、当該図1に示されるように、貯留部11の底板部12のうち、載置板15の前側の側面と貯留部11の前側の側板部13との間の隙間16に臨んだ部分(底板部の前端部)には、牛2の糞尿等の汚物を貯留部11外に排出するための排出口35が設けられている。なお、排出口35の位置は、当該図示した例には限定されず、例えば図示しないが、底板部12の後端部や左右の側端部等に排出口を設けてもよい。また図示しないが、排出口35には排出管が接続されている。
【0027】
排出手段22は、例えば供給管23による消毒液の供給時に貯留部11内の消毒液(古い消毒液)を貯留部11外にオーバーフローにより排出する複数のオーバーフロー管41を有し、これら複数のオーバーフロー管41は、例えば貯留部11の左右両側に接続されている。
【0028】
各オーバーフロー管41は、水平状に位置する水平管部42と、貯留部11内に位置して水平管部42の端部から上方に立ち上がった立上管部43とを有し、この立上管部43の上端部には、貯留部11内の消毒液が流入する流入口(上流端開口)44が形成されている。
【0029】
立上管部43の下端部は、載置板15の左右の各側面と貯留部11の左右の各側板部13との間の隙間16に配置されている。立上管部43は、左右の各側板部13に近接して鉛直状に配置されている。この立上管部43の上端部の流入口44は、カバー体56のノズル用開口58よりも下方に位置しており、このため、貯留部11内の消毒液はカバー体56内には流入しない。
【0030】
なお、例えば牛2の大きさや種類等に応じてオーバーフロー管41の流入口44の高さ位置を調整可能な構成としてもよい。また、図1に図示した例では、オーバーフロー管41の本数は左右2本ずつで4本であるが、これには限定されず、例えば5本以上設けた構成でもよい。
【0031】
また、消毒装置1は、貯留部11上に進入した牛2の左右の側方から当該貯留部11上の牛2の蹄部3に向けて消毒液(例えば貯留部内の消毒液と同じ次亜塩素酸水)を噴射する噴射手段46を備えている。
【0032】
噴射手段46は、例えば前後方向に並んで位置する複数のノズル47からなる左右のノズル群48を有している。各ノズル47の先端部には、主として蹄部3に向けて消毒液を噴射(噴霧)する噴射口50が形成されている。
【0033】
複数のノズル47は、前後方向に沿ったノズル取付管51に取り付けられており、このノズル取付管51の上流端部に接続配管52が接続され、この接続配管52はタンク28に接続されている。そして、接続配管52の途中には、タンク28内の消毒液(新液)をノズル取付管(ノズル)51に向けて圧送する噴射ポンプ55が接続されている。つまり、噴射手段46は、タンク28内の新液を複数のノズル47の噴射口50から噴射させるための噴射ポンプ55を有している。
【0034】
また、複数のノズル47及びノズル取付管51は、前後方向長手状で四角筒状をなすカバー手段であるカバー体56内に配置され、当該カバー体56によって覆われている。カバー体56は、ノズル47の噴射口50との対向位置にノズル用開口58が形成された内側板部57を有し、この内側板部57が貯留部11の左右の側板部13を兼ねている。
【0035】
つまり、貯留部11の左右の側板部13は、対応する左右のカバー体56の内側板部57で構成され、これら互いに離間対向する両内側板部57の対向面と底板部12の上面とで貯留部11の貯留室(空間部)10が区画形成されている。
【0036】
なお、消毒装置1は、その貯留室10に所定量の消毒液が貯留された貯留部11上に進入した牛2を所定の停止位置に所定時間(例えば5分)だけ停止させるための停止手段61を備えている(図5参照)。そして、停止手段61は、例えば停止部材である開閉扉(ゲート)62を有し、この開閉扉62は、駆動源であるモータ63からの動力に基づいて回動可能なもので、閉方向への回動により牛2の前方移動を規制する規制状態となり、開方向への回動により牛2の前方移動を許容する許容状態となる。
【0037】
また、消毒装置1は、次に消毒処理する消毒対象の有蹄動物である牛2を検知する検知部(センサ部)66と、この検知部66の検知(検知部からの検知情報)に基づいて、少なくとも供給ポンプ30、噴射ポンプ55及びモータ63を制御する制御部67とを備えている(図4参照)。
【0038】
検知部66は、例えば貯留部11上に対する牛2の進入及び退出(貯留部上に位置する牛の有無等)を検知するもので、例えば貯留部11の後方側に配置された光学系のセンサ等で構成されている。なお、検知部66は、例えばカメラ、重量センサ、音センサ、温度センサ、動作センサ、タッチセンサ等を用いて牛の有無や位置等を検知するものや、また、牛に装着したタグ等を検知するセンサや、搾乳ロボットのセンサ等を用いたもの等でもよい。
【0039】
そして、制御部67は、検知部66の検知に基づいて、牛2が貯留部11上に進入したと判断した際に供給ポンプ30及び噴射ポンプ55を同時に作動させ、その後、当該ポンプ作動開始から所定時間(例えば5分)の経過によりモータ63を作動させて開閉扉62を規制状態から許容状態に切り換えた後、その牛2が貯留部11上から退出したと判断した際に供給ポンプ30及び噴射ポンプ55を同時に停止させるものである。
【0040】
次に、消毒装置1の作用等を説明する。
【0041】
図5(a)に示すように、停止手段61の開閉扉62が規制状態である場合において、消毒対象の牛2が所定位置まで移動して貯留部11上に進入したときに、制御部67は、検知部66の検知に基づいて、牛2の4本のすべての脚5の蹄部3が貯留部11内の消毒液に浸漬された状態になる所定位置(蹄部浸漬位置)まで牛2が前方移動したことにより牛2が貯留部11上に進入したと判断する。
【0042】
すると、図5(b)に示すように、制御部67の制御によって供給ポンプ30が作動し、その結果、タンク28内の新しい消毒液(新液)が供給管23から貯留部11内に供給(投入)されるとともに、貯留部11内の古い消毒液がオーバーフロー管41から貯留部11外にオーバーフローによって排出される。そして、このような新液供給に基づく古い消毒液のオーバーフロー排出により貯留部11内の消毒液の略全体が新液となり、こうして、消毒対象物である牛の一頭毎に貯留部11内の消毒液の入れ替えが行われることになる。
【0043】
また、制御部67の制御によって噴射ポンプ55が供給ポンプ30と同時に作動し、その結果、タンク28内の新液が噴射手段46のノズル47から牛2の蹄部3に向かって噴射される。
【0044】
このため、貯留部11上に位置した牛2の4本脚5の蹄部3は、ノズル47からの消毒液で消毒され、かつ貯留部11内の消毒液でも消毒される。
【0045】
特に、貯留部11内の貯留消毒液に浸漬された浸漬状態の供給管23の複数の供給孔24から新液が上昇流となって供給されるとともに、複数のノズル47からの新液が貯留消毒液の液面に当たるため、供給手段21による消毒液の供給と噴射手段46による消毒液の噴射との両方で貯留部11内の貯留消毒液が全体的に流動し、この流動する貯留消毒液によって浸漬状態の蹄部3が効率的に消毒される。
【0046】
すなわち例えば、貯留部11内の消毒液に浸漬された浸漬状態の蹄部3は、その表面に付着した付着物が流動中の消毒液で洗浄除去されるとともに、その洗浄除去によって露出した表面が流動中の消毒液に直接接触して効率的に消毒される。
【0047】
なお、このように供給管23による消毒液の供給時には、貯留部11内の消毒液が流動するため、牛2がそれを怖がって蹄部浸漬位置よりも手前で停止しないように、牛2の4本のすべての脚5の蹄部3が消毒液に浸漬された状態となった直後に供給ポンプ30が作動するようになっている。
【0048】
次いで、図5(c)に示すように、両ポンプ30,55の作動開始から所定時間(予め設定された設定時間、例えば5分)が経過した場合に、制御部67の制御によってモータ63が作動して開閉扉62が許容状態になり、その結果、牛2が前方に向かって歩いて移動する。
【0049】
そして、図5(d)に示すように、停止手段61の開閉扉62が許容状態である場合において、消毒処理後の牛2が所定位置まで移動して貯留部11上から退出したときに、制御部67は、検知部66の検知に基づいて、牛2の4本のすべての脚5の蹄部3が貯留部11内の消毒液から出た状態になる所定位置(蹄部浸漬解除位置)まで牛2が前方移動したことにより牛2が貯留部11上から退出したと判断する。
【0050】
すると、制御部67の制御によって供給ポンプ30及び噴射ポンプ55が同時に停止し、その結果、供給管23による消毒液の供給とノズルによる消毒液の噴射が止まる。その後、制御部67は、次の消毒処理のためにモータ63を作動させて開閉扉62を規制状態に戻す。
【0051】
なお、両ポンプ30,55の停止のタイミングについては、牛2が貯留部11上から退出する前の時点でもよく、例えばタイマ等を利用してポンプ作動開始から所定時間(例えば5分)が経過した際にモータ63の作動と同時にポンプ作動の停止を行うようにしてもよい。
【0052】
そして、上記第1の実施の形態に係る消毒装置1によれば、消毒液が貯留室10に貯留されてこの貯留された消毒液に牛2の蹄部3の全体が浸漬されて消毒処理される貯留部11を備えるため、牛2の蹄部3を適切に消毒でき、よって蹄病予防を効果的に図ることができる。
【0053】
また、消毒装置1は、その貯留部11上の所定位置に進入した牛2の側方から当該貯留部11上に位置した牛2の蹄部3に向けて消毒液を噴射する噴射手段46を備えるため、牛2の蹄部3をより一層適切に消毒できる。
【0054】
さらに、消毒装置1は、貯留部11内に新しい消毒液を供給する供給手段21と、この供給手段21による新液の供給時に貯留部11内の古い消毒液をオーバーフローにより貯留部11外に排出する排出手段22とを備えるため、貯留部11内の消毒液の入れ替えを行いつつ新液で蹄部3をより効果的に消毒できる。
【0055】
また、消毒装置1は、牛2を検知する検知部66と、この検知部66の検知に基づいて供給ポンプ30等を含む制御対象を制御する制御部67とを備え、この制御部67は、検知部66の検知に基づいて、牛2が蹄部浸漬位置まで前方移動して貯留部11上に進入したと判断した際に供給ポンプ30を作動させ、その後、その牛2が蹄部浸漬解除位置まで前方移動して貯留部11上から退出したと判断した際に供給ポンプ30を停止させるため、貯留部11内の消毒液の入れ替えを自動的に行うことができ、しかも、牛2が蹄部浸漬位置よりも手前で停止することがなく、牛2を貯留部11上の所定位置まで移動させることができ、効率よく消毒処理ができる。
【0056】
さらに、供給手段21の供給管23は、複数の供給孔24を有し、かつ貯留部11内で載置板部15の側面(周囲の3辺)に沿って配置されているため、貯留部11内の消毒液を全体的に流動させることができ、貯留部11内で流動する消毒液で牛2の蹄部3を効率的に消毒できる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態について図6及び図7を参照して説明する。
【0058】
この第2の実施の形態に係る消毒装置1は、停止手段61を設けず、その代わりに貯留部11及び供給管23等の前後方向長さを長くして、牛2が貯留部11上を歩いて移動するのに要する時間が所定時間(例えば5分)になる長手状の構成である。
【0059】
そして、この消毒装置1の制御部67も、図7に示すように、上記第1の実施の形態と同様、検知部66の検知に基づいて、牛2が蹄部浸漬位置まで前方移動して貯留部11上に進入したと判断した際に供給ポンプ30を作動させ、その後、その牛2が蹄部浸漬解除位置まで前方移動して貯留部11上から退出したと判断した際に供給ポンプ30を停止させるものである。
【0060】
次に、本発明の第3の実施の形態について図8を参照して説明する。
【0061】
この第3の実施の形態に係る消毒装置1は、牛舎内の所定位置、すなわち例えば搾乳ロボットによって牛2の搾乳が自動的に行われる搾乳位置(搾乳用の停止位置)に設置されたものである。
【0062】
なお、搾乳ロボットは、搾乳時に牛2の乳頭に装着されるティートカップ70を有する自動搾乳ユニット71、及び牛2に餌を与えるための給餌部72等を備えている。この給餌部72は、例えば牛2の前方の給餌位置(第1位置)とこの給餌位置から退避して牛2の前方移動を許容する退避位置(第2位置)との間で移動可能となっている。
【0063】
また、この消毒装置1の排出手段22は、供給管23による消毒液の供給時に貯留部11内の消毒液(古い消毒液)を貯留部11外にオーバーフローにより排出する筒状の排出部75を有し、この排出部75は載置板15の開口部76に配置されている。なお、排出部75は、古い消毒液と一緒に牛2の糞尿等の汚物を貯留部11外に排出するためのものであり、この排出部75には排出管が接続されている。また、排出部75の上面開口を例えば格子状の蓋等の閉鎖部材で部分的に閉鎖してもよい。
【0064】
そして、この消毒装置1では、搾乳ロボットの自動搾乳ユニット71による搾乳時に牛2の蹄部3を適切に消毒することができる。なお、この図8に図示した例では、排出手段22として排出部75のみが設けられているが、例えば排出部75と複数のオーバーフロー管41との両方を設けてもよい。
【0065】
また一方、上記いずれの実施の形態においても、ノズルを有した噴射手段を設けた構成について説明したが、噴射手段(ノズル)は必ずしも必要なものではなく、例えば噴射手段(ノズル)を設けない構成等でもよい。
【0066】
また、例えば液量センサ等の検知部からの検知情報による制御部の制御に基づいて、三室型電解装置(例えば商品名「クリーン・ファイン」)で生成された次亜塩素酸水がその生成直後に新液としてタンク内に自動補充される構成等としてもよい。
【0067】
さらに、例えば冬の時期等において消毒液の凍結を防止するために、貯留部内の消毒液を加熱する加熱手段を設けてもよく、例えば温水が流れる加熱用パイプを貯留部内やカバー体内に配置した構成等でもよい。
【0068】
また、例えばカバー体の内側板部に貯留部内の消毒液をオーバーフローにより排出する排出口を開口形成した構成等でもよい。
【0069】
さらに、排出手段は、貯留部内の消毒液をオーバーフローにより排出する構成が好ましいが、例えば貯留部の底部の排出口から消毒液を排出する構成等でもよい。
【0070】
なお、本発明のいくつかの実施形態及びその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 消毒装置
2 有蹄動物である牛
3 蹄部
11 貯留部
15 載置部である載置板
21 供給手段
22 排出手段
23 供給管
24 供給孔
30 供給ポンプ
46 噴射手段
66 検知部
67 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8