(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107650
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】搬送加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20240802BHJP
B23K 1/008 20060101ALN20240802BHJP
【FI】
H05K3/34 507L
H05K3/34 507H
B23K1/008 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011680
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003236
【氏名又は名称】弁理士法人杉浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】眞田 卓摩
(72)【発明者】
【氏名】張 超博
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA08
5E319AC01
5E319BB05
5E319CC36
5E319CD22
5E319CD23
5E319CD29
5E319CD37
5E319CD46
5E319GG03
5E319GG15
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】搬送チェーン及び反り防止チェーンの高さ調整を一度に行うことを可能とし、搬送チェーン及び反り防止チェーンを円滑に移動させる。
【解決手段】複数の加熱炉が配列され、加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、加熱装置に対してワークを搬入する複数の搬送チェーンを有する搬送加熱装置において、複数の搬送チェーンのそれぞれが走行する複数の搬送レールと、ワークの下反りを抑制する反り防止レールと、複数の加熱炉間に存在し、複数の搬送レール及び反り防止レールを下支えするレールガイドと、レールガイドの高さを調整する高さ調整手段とを備える搬送加熱装置である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加熱炉が配列され、前記加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、前記加熱装置に対してワークを搬入する複数の搬送チェーンを有する搬送加熱装置において、
前記複数の搬送チェーンのそれぞれが走行する複数の搬送レールと、
前記ワークの下反りを抑制する反り防止レールと、
前記複数の加熱炉間に存在し、前記複数の搬送レール及び前記反り防止レールを下支えするレールガイドと、
前記レールガイドの高さを調整する高さ調整手段とを備える
搬送加熱装置。
【請求項2】
前記複数の搬送チェーンは、互いに平行する少なくとも2本の搬送チェーンを有し、前記2本の搬送チェーンの一方の搬送レールと前記反り防止レールが搬送方向と直交する方向に可動とされた請求項1に記載の搬送加熱装置。
【請求項3】
前記複数の搬送レール及び前記反り防止レールの前記レールガイドの支持面と接する面が平面とされた請求項1又は2に記載の搬送加熱装置。
【請求項4】
前記搬送レールの一方と前記反り防止レールの前記レールガイドの支持面と接する面に1又は複数の溝が形成された請求項2に記載の搬送加熱装置。
【請求項5】
前記溝の延長方向が前記搬送レール及び前記反り防止レールの移動方向と一致又は前記移動方向に対して傾斜した請求項4に記載の搬送加熱装置。
【請求項6】
前記溝が1又は複数のジグザグ溝である請求項4に記載の搬送加熱装置。
【請求項7】
前記レールガイドが前記複数の加熱炉間に存在するようになされた請求項1又は請求項2に記載の搬送加熱装置。
【請求項8】
前記レールガイドが前記複数の加熱炉間に存在するようになされた請求項3に記載の搬送加熱装置。
【請求項9】
前記レールガイドが前記複数の加熱炉間に存在するようになされた請求項4から請求項6のいずれかに記載の搬送加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばリフロー装置に対して適用される搬送加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が搭載されたプリント回路基板に対して、予めはんだ組成物を供給しておき、リフロー炉の中に基板を搬送チェーン等の搬送コンベアで搬送するリフロー装置が使用されている。リフロー装置は、基板を搬送する搬送コンベアと、この搬送コンベアによって被加熱物例えばプリント回路基板が供給されるリフロー炉本体とを備えている。リフロー炉は、例えば、搬入口から搬出口に至る搬送経路に沿って、複数のゾーンに分割されており、これらの複数のゾーンがインライン状に配列されている。複数のゾーンは、その機能によって、加熱ゾーン、冷却ゾーンなどの役割を有する。
【0003】
加熱ゾーンでは、被加熱物(ワークと称する)に対して熱風が吹きつけられることによって、はんだ組成物内のはんだを溶融させてプリント回路基板の電極と電子部品とがはんだ付けされる。リフロー装置では、加熱時の温度を所望の温度プロファイルにしたがって制御することによって、所望のはんだ付けがなされる。すなわち、最初の区間が加熱によって温度が上昇する昇温部とされ、次の区間がほぼ一定温度のプリヒート(予熱)部とされ、次の区間がリフロー(本加熱)部とされ、最後の区間が冷却部とされる。
【0004】
このようなリフロー装置による実装方法において、最近では、電子機器の小型化、薄型化に伴い、ワークとしてのプリント回路基板の厚みが薄いものとなり、プリント回路基板の反りが発生しやすくなっている。プリント回路基板の反り(下反り、以下同様)を防止するために、リフロー装置内を搬送中のプリント回路基板の下面を反り防止体としての突起によって支える反り防止装置が知られている。突起は、基板搬送用の搬送チェーンと同期して送られる反り防止チェーンに取り付けられている。反り防止チェーンを支えて案内するために、搬送方向に延びる反り防止レールが設けられている。反り防止レールが長尺物であることから炉内の所定の場所(間隔)に、撓みを抑制する目的で搬送方向と直交する方向(幅方向と称する)にレールガイドが設けられる。レールガイドは、反り防止レールを面で受けて下支えしている。
【0005】
搬送コンベアは、例えば互いに平行する2本の搬送チェーン及び搬送チェーンを保持する搬送レールによって構成され、2本の搬送チェーンによってプリント回路基板を支持して搬送する。従来のリフロー装置では、反り防止レールを下支えするレールガイドと、搬送レールを下支えするレールガイドが別個の部品とされていた。したがって、リフロー装置の製作時や、稼働後の調整作業において、各レールガイドの高さを調整することによって搬送チェーンと反り防止チェーンの高さを調整していた。熱膨張も考慮して別個に且つ複数のレールガイドを調整する作業は容易ではなかった。
【0006】
また、リフロー装置においては、生産中にフラックスヒュームが発生する。フラックスヒュームは、冷却されることによって凝縮する。特に加熱ゾーンと冷却ゾーンの間といった温度低下する箇所のレールガイド上においては、フラックスヒュームが粘性体となって堆積する。リフロー装置にて生産中においては炉内が高温環境にさらされているため、影響は無いが、生産終了後には炉内の温度が低下し、フラックスが固化してしまうため、品種切り替えを行う際、搬送レール又は反り防止レールの移動が円滑になされなかったり、搬送レール又は反り防止レールとレールガイドが固着したりすることがあった。レールガイドの面と搬送レール又は反り防止レールの面が接触しているので、フラックス固着の影響が大きい。
【0007】
リフロー装置では、生産するプリント回路基板のサイズ(幅)変更する場合、搬送チェーンの幅方向の間隔を可変する。反り防止体は、プリント回路基板の裏面の中央に位置することが効果的であるので、搬送レールの間隔の変更に対応して反り防止レールの幅方向の位置を変更する必要が生じる。
【0008】
例えば特許文献1には、フラックス塗布装置において、搬送用レール間の幅をプリント回路基板の幅に合わせて変更するためのナットが設けられている場合、フラックスが固化することによってナットに対してねじ軸が回転できなくなる問題が記載されている。この問題を解決するために、ナットのねじ山の一部を切り欠いて非噛合部を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1には、搬送コンベアと反り防止レールの高さ調整に関する構成については記載されていない。また、特許文献1に記載のものは、ねじ軸を円滑に回転させる目的及び構成のものであり、上述したような搬送レール又は反り防止レールとレールガイドが固着する問題の解決とは、目的及び構成が異なったものである。なお、搬送レール又は反り防止レールとレールガイドの接触箇所にローラガイドを設けることが考えられるが、ローラガイドは、リフロー装置のコストアップの要因になる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、搬送チェーンと反り防止チェーンの高さ調整作業を同時に行うことができ、また、フラックス固着による生産機会の損失を抑制することができる搬送加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、複数の加熱炉が配列され、加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、加熱装置に対してワークを搬入する複数の搬送チェーンを有する搬送加熱装置において、
複数の搬送チェーンのそれぞれが走行する複数の搬送レールと、
ワークの下反りを抑制する反り防止レールと、
複数の加熱炉間に存在し、複数の搬送レール及び反り防止レールを下支えするレールガイドと、
レールガイドの高さを調整する高さ調整手段とを備える
搬送加熱装置である。
【発明の効果】
【0013】
少なくとも一つの実施形態によれば、搬送レールと反り防止レールが共通のレールガイドによって下支えされているので、レールガイドの高さ調整によって搬送チェーンと反り防止チェーンの高さ調整作業を同時に行うことができる。さらに、搬送レールと反り防止レールを可動させることによって堆積したフラックスを掻き落とすことができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれの効果であってもよい。また、以下の説明における例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明を適用できる従来のリフロー装置の概略を示す略線図である。
【
図2】
図2は、リフロー時の温度プロファイルの例を示すグラフである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態における反り防止装置の断面図である。
【
図4】
図4は、リフロー装置のワーク搬送面を上から見た平面図である。
【
図8】
図8は、搬送チェーンとレールガイドの交叉箇所の拡大底面図である。
【
図9】
図9は、レールガイド受けの他の例の底面図である。
【
図10】
図10は、本発明の他の実施形態のワーク搬送面の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.リフロー装置の一例>
<2.一実施形態>
<3.他の実施形態>
<4.変形例>
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限定されないものとする。
【0016】
<1.リフロー装置の一例>
図1は、本発明を適用できる従来のリフロー装置の概略的構成を示す。プリント配線基板の両面に表面実装用電子部品が搭載されたワークが搬送コンベアの上に置かれ、搬入口101からリフロー装置の加熱装置内に搬入される。搬送コンベアは、互いに平行する2本の搬送チェーンによって構成されている。搬送コンベアが所定速度で矢印方向(
図1に向かって左から右方向)へワークを搬送し、ワークが搬出口102から取り出される。搬送コンベアの搬送方向が水平方向とされている。
【0017】
加熱装置は、搬入口101から搬出口102に至る搬送経路に沿って、複数の加熱炉が配列され、加熱炉によってワークに対して熱風(熱せられた雰囲気ガス)を吹きつけるように構成されている。複数の加熱炉(ゾーンと称する)がインライン状に配列されている。入口側から7個のゾーンZ1~Z7が加熱ゾーンであり、出口側の2個のゾーンZ8及びZ9が冷却ゾーンである。冷却ゾーンZ8及びZ9に関連して強制冷却ユニット103が設けられている。加熱ゾーンZ1~Z7のそれぞれは、それぞれ送風機、ヒータ、吹き出しパネルなどを含む上部加熱炉及び下部加熱炉を有する。なお、このゾーン数は、一例であり、異なる数のゾーンを有する構成としてもよい。
【0018】
上述した複数のゾーンZ1~Z9がリフロー時の温度プロファイルにしたがってワークの温度を制御する。
図2に温度プロファイルの一例の概略を示す。横軸が時間であり、縦軸がワーク例えば電子部品が実装されたプリント回路基板の表面温度である。最初の区間が加熱によって温度が上昇する昇温部R1であり、次の区間がほぼ一定温度のプリヒート(予熱)部R2であり、次の区間がリフロー(本加熱)部R3であり、最後の区間が冷却部R4である。
【0019】
昇温部R1は、常温からプリヒート部R2(例えば150℃~170℃)まで基板を加熱する期間である。プリヒート部R2は、例えば等温加熱を行い、フラックスを活性化し、電極、はんだ粉の表面の酸化膜を除去し、また、プリント回路基板の加熱ムラをなくすための期間である。リフロー部R3(例えばピーク温度で220℃~240℃)は、はんだが溶融し、接合が完成する期間である。リフロー部R3では、はんだの溶融温度を超える温度まで昇温が必要とされる。リフロー部R3は、プリヒート部R2を経過していても、温度上昇のムラが存在するので、はんだの溶融温度を超える温度までの加熱が必要とされる。最後の冷却部R4は、急速にプリント回路基板を冷却し、はんだ組成を形成する期間である。なお、例えばSn―3.0Ag-0.5Cu等の鉛フリーはんだ合金組成の場合では、リフロー部R3における温度は、より高温(例えば240℃~260℃)となる。
【0020】
図2において、曲線1は、一例として、Sn-3.0Ag-0.5Cuの鉛フリーはんだ合金組成の温度プロファイルを示す。Sn-Pb共晶はんだの場合の温度プロファイルの一例は、曲線2で示すものとなる。鉛フリーはんだの融点は、共晶はんだの融点より高いので、プリヒート部R2及びリフロー部R3における設定温度が共晶はんだに比して高いものとされている。
【0021】
図1に示すリフロー装置では、
図2における昇温部R1の温度制御を、主としてゾーンZ1及びZ2が受け持つ。プリヒート部R2の温度制御は、主としてゾーンZ3、Z4及びZ5が受け持つ。リフロー部R3の温度制御は、ゾーンZ6及びZ7が受け持つ。冷却部R4の温度制御は、ゾーンZ8及びゾーンZ9が受け持つ。上述した複数の加熱炉間(ゾーン間)には、隙間が存在する。
【0022】
<2.一実施形態>
各ゾーンには、上部加熱炉及び下部加熱炉が対向して設けられ、上部加熱炉と下部加熱炉との対向間隙内で、プリント回路基板の片面又は両面に表面実装用電子部品が搭載されたワークが搬送コンベアによって搬送される。上部加熱炉内及び下部加熱炉内は、雰囲気ガスである例えば窒素(N2)ガスが充満している。上部加熱炉は、吹き出しパネルを介してワークに対して下方に熱風(熱せられた雰囲気ガス)を噴出してワークを加熱し、下部加熱炉は、吹き出しパネルを介してワークに対して上方に熱風を噴出してワークを加熱する。なお、熱風と共に赤外線を照射しても良い。上部加熱炉及び下部加熱炉は、それぞれモータにより回転されるファン(回転羽根)、ヒータなどを有している。
【0023】
プリント回路基板等のワークWに対してリフロー装置には
図3に示すようなそり防止装置が設けられている。反り防止装置は、反り防止体11と、反り防止体11が取り付けられた反り防止チェーン12と、反り防止チェーン12を案内する反り防止レール13とを有する。反り防止チェーン12は、例えばローラチェーンである。ワークWの幅に合わせて、ワークWを搬送する搬送チェーンと反り防止チェーン12が移動するようになされる。
【0024】
反り防止チェーン12は、搬送コンベアの搬送面の高さよりも下側(より低い)位置で移送される。ワークWの下面側を支えることによって下反り防止を行う反り防止体11が反り防止チェーン12から上方に突出されている。下反り防止体11は、例えば反り防止チェーン12の各リンクプレートに対して取り付けられている金属性の板状体または棒状体である。下反り防止体11によって、ワークWの下面が支えられるので、ワークWが加熱時に搭載されている電子部品の重みによって下側に撓むことが防止される。ワークWの搬送方向において、複数箇所で反り防止体11がワークWの下面に接触することが好ましい。ワークWと反り防止体11の互いの送りが同期しているので、反り防止体11が安定してワークWを支えることが可能となる。
【0025】
反り防止レール13は、搬送コンベアを構成する2本の搬送チェーンの間のほぼ中央位置で、搬送方向に延長するレールであって、反り防止チェーン12を案内するための下側ガイド14を有する。反り防止レール13は、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属からなるものである。反り防止レール13は、ワークWの搬送範囲に設置されている長いレールであるので、その撓みを防止するためにレールガイド21によって下支えられている。反り防止レール13の底面がレールガイド21の支持面と接している。なお、下側ガイドのみならず上側ガイドも設けてもよい。さらに、後述のように、レールガイド21は、2本の搬送レールも下支えしている。
【0026】
図4は、リフロー装置のワーク搬送面を上から見た平面図である。
図1のリフロー装置が9個のゾーンZ1~Z9を有する構成であるのに対して、
図4のリフロー装置が10個のゾーンZ1~Z10を有する構成である。ゾーンZ1~Z9が加熱ゾーンであり、ゾーンZ10が冷却ゾーンである。各ゾーンの下側加熱炉の吹き出しパネルの上面に、ワークを搬送するために、2本の搬送チェーン22a及び搬送チェーン22bが平行して設けられている。搬送チェーン22a及び搬送チェーン22bのそれぞれが複数の搬送レール上を走行する。
【0027】
搬送チェーン22a及び22bの間のほぼ中央位置に搬送チェーン22a及び22bと平行して反り防止レール13が設けられている。高さ方向では、反り防止体11の先端がワークの下面に接するようになされている。ワークの幅に応じて間隔を調整可能とするために、一方の搬送チェーン22b及び搬送レールが搬送方向の直交する方向に移動可能とされている。搬送チェーン22a及び22bの間隔を変更した場合、反り防止レール13も移動して搬送チェーン22a及び22bの間のほぼ中央に位置するようになされている。
【0028】
レールガイド21は、搬送方向で所定の間隔でもって、ゾーン(加熱炉)間の隙間に設けられる。例えばゾーンZ1及びゾーンZ2の間、ゾーンZ3及びゾーンZ4の間、ゾーンZ5及びゾーンZ6の間、ゾーンZ7及びゾーンZ8の間、ゾーンZ9及びゾーンZ10の間にそれぞれ設けられる。ゾーンZ9及びゾーンZ10の間には、2本のレールガイド21が設けられる。レールガイド21は、搬送レール23a及び23bと反り防止レール13を下支えするように、搬送方向と直交して設けられている。
【0029】
図5A及び
図5Bは、レールガイド21の平面図及びB-B線断面図である。レールガイド21は、例えば断面がL字状の金属製のブラケットである。レールガイド21は、搬送チェーン22a及び22bの最大の間隔以上の長さを有する。レールガイド21の基部には、固定部に対してレールガイド21を固定するためのねじ穴と、高さ調整手段としての例えば六角穴付き止めねじを挿入するためのねじ穴が形成されている。レールガイド21の支持面の幅を狭いものとしているのは、接触面内及び接触箇所付近に堆積するフラックスの量を少なくするためである。
【0030】
図6は、搬送面の搬送方向と直交する方向の断面図である。搬送チェーン22aは、搬送レール23aに取り付けられた下側ガイド24a及び上側ガイド25aによって案内される。同様に、搬送チェーン22bは、搬送レール23bに取り付けられた下側ガイド24b及び上側ガイド25bによって案内される。搬送チェーン22a及び22bの間隔を変更するために、片側の搬送チェーン22b及び搬送レール23b、並びに反り防止チェーン12が搬送方向と直交する方向に可動とされている。
【0031】
搬送レール23a及び23bの底面に対してレールガイド受け26a及び26bがそれぞれ取り付けられている。例えば搬送レール23a及び23bの底面に形成された搬送方向に延びる溝に対してレールガイド受け26a及び26bの凸部が嵌合し、ねじ止めされる。レールガイド受け26a及び26bの底面がレールガイド21の支持面と接する。
【0032】
レールガイド21がフレーム等の固定部27に対してボルト28a及び28bによって固定される。さらに、ボルト28aの近傍に六角穴付き止めねじ29a及び30aが設けられ、ボルト28bの近傍に六角穴付き止めねじ29b及び30bが設けられている。これらの六角穴付き止めねじ29a,29b,30a,30bによってレールガイド21の高さが調整される。レールガイド21の高さ調整によって、反り防止チェーン12及び搬送チェーン22a,22bの高さを一度に調整することができる。したがって、これらの高さを別々に調整することに比較して緒性作業を簡単とすることができる。
【0033】
図7A、
図7B、
図7C、
図7Dは、可動側の搬送チェーン22bのレールガイド受け26bの一例の正面図、底面図、側面図及びA-A線断面図を示す。レールガイド受け26bのレールガイド21と接する底面に複数のジグザグ溝31が並んで形成されている。ジグザグ溝31の延長方向は、矢印で示すレールガイド受け26b及び搬送レール23bの移動方向と一致し、ジグザグ溝31の両端がレールガイド受け26bの両側面まで達している。
【0034】
図8は、レールガイド受け26bの底面側から見た拡大図である。搬送チェーン22bが矢印方向に移動される時に、レールガイド21とレールガイド受け26bの接触箇所の付近に堆積しているフラックスがレールガイド受け26bによって掻き落とされる。この場合、ジグザグ溝31が形成されているので、ジグザグ溝31内のフラックスがジグザグ溝31内を通って外に排出される。したがって、フラックスが除去され、フラックスによって搬送チェーン22bの移動が円滑に行われなかったり、搬送チェーン22bが固着したりすることを防止できる。
【0035】
さらに、反り防止レール13の底面に同様のジグザグ溝が形成される。したがって、反り防止チェーン12の移動が円滑になされ、反り防止レール13とレールガイド21が固着することを防止することができる。なお、固定側の搬送チェーン22aのレールガイド受け26aは、上述したレールガイド受け26bと同様の構成としてもよいし、固定側であることを考慮してジグザグ溝31等の溝を設けない平面であってもよい。さらに、反り防止レール13に対して別部品のレールガイド受けを設けてもよい。
【0036】
ジグザグ溝31に限らず、
図9に示すように、矢印で示す搬送チェーン22bの移動方向に対して傾斜した傾斜溝32をレールガイド受け26bの底面に形成してもよい。さらに、搬送チェーン22bの移動方向と一致する直線状の溝を形成してもよい。さらに、レールガイド受け26bの底面を溝が何ら形成されていない平面としてもよい。
【0037】
<3.他の実施形態>
図10を参照して本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態は、複数の搬送レーンを備えるリフロー装置に対して本発明を適用したものである。すなわち、一実施形態と同様に、平行する2本の搬送チェーン22a及び22bと反り防止チェーン12によって一つの搬送レーンが形成され、平行する2本の搬送チェーン122a及び122bと反り防止チェーン112によって他の搬送レーンが形成される。
【0038】
搬送チェーン22a,22bと同様に、搬送チェーン122a,122bと関連して搬送レール123a,123bと、レールガイド受け126a,126bがそれぞれ設けられている。また、反り防止チェーン112と関連して反り防止体111及び反り防止レール113が設けられている。他の搬送レーンでは、搬送チェーン122aが可動側とされ、ワークWの幅に応じて搬送チェーン122a、搬送レール123a、レールガイド受け126a、反り防止チェーン112及び反り防止レール113が移動される。したがって、上述した一実施形態と同様に、堆積したフラックスを掻き落とすことができる。
【0039】
さらに、他の実施形態では、搬送レーンごとにレールガイドを設ける。すなわち、反り防止レール13とレールガイド受け26a、26bがレールガイド21によって下支えされ、反り防止レール113とレールガイド受け126a、126bがレールガイド121によって下支えされる。レールガイド121は、ボルト128a及び128bによって固定部27に対して固定され、六角穴付き止めねじ129a,129b,130a,130bによってレールガイド121の高さが調整される。したがって、他の搬送レーンにおいても、反り防止チェーン112と搬送チェーン122a,122bの高さを一度に調整することができ,調整作業を簡単とすることができる。また、レールガイド21とレールガイド121の端面同士の対向箇所に多少の隙間が生じる。可動側の搬送チェーン22b又は122aがこの隙間を跨いで移動する場合もある。反り防止レール13又は113の底面、並びにレールガイド受け26b又は126aのそれぞれの幅方向の長さは、移動時に隙間を乗り越えることができる以上とされている。フラックスを掻き落とすためには、溝でなくて突起でも可能であるが、突起が上述した隙間に入り込み、搬送チェーンの移動ができなくなるおそれがある。
【0040】
<4.変形例>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば高さ調整手段としては、六角穴付き止めねじ以外の部材を使用してもよい。また、本発明は、プリント回路基板に限らず、フレキシブル基板、リジッド基板とフレキシブル基板とを貼り合わせた基板、これらを組み合わせたリジッドフレキ基板のリフローに対しても適用できる。さらに、リフロー装置に限らず、樹脂の硬化のための加熱装置等に対しても適用できる。また、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
Z1~Z10・・・ゾーン、101・・・搬入口、102・・・搬出口、103・・・強制冷却ユニット、11・・・反り防止体、12・・・反り防止チェーン、13・・・反り防止レール、21・・・レールガイド、22a,22b・・・搬送チェーン、23a,23b・・・搬送レール、26a,26b・・・レールガイド受け、31・・・ジグザグ溝