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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107652
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】浴槽排水継手及び浴室ユニット
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
E03C1/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011682
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】片桐 豪
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 和典
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA02
2D061AB07
2D061AD10
2D061DE01
(57)【要約】
【課題】排水流路の簡素化及び浴槽設置の作業性向上に寄与する浴槽排水継手を提供する。
【解決手段】浴槽パンに載置された浴槽の底部に位置する第1排水口に接続され、第1排水口から浴槽パンに設けられた第2排水口に向かう第1排水経路を形成する第1接続部と、排水管が接続され、排水管から第2排水口に向かい、第1接続部よりも下側の位置において第1排水経路と交わる第2排水経路を形成する第2接続部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽パンに載置された浴槽の底部に位置する第1排水口に接続され、前記第1排水口から前記浴槽パンに設けられた第2排水口に向かう第1排水経路を形成する第1接続部と、
排水管が接続され、前記排水管から前記第2排水口に向かい、前記第1接続部よりも下側の位置において前記第1排水経路と交わる第2排水経路を形成する第2接続部と、
を備える、浴槽排水継手。
【請求項2】
前記排水管は、
前記浴槽に設けられたオーバーフロー口と、
前記オーバーフロー口に接続されたアダプタと、
の下流側に配置され、
前記第2接続部における最小断面積は、前記アダプタにおける最小断面積以上である、 請求項1に記載の浴槽排水継手。
【請求項3】
前記排水管は、ドレン管を含み、
前記第2接続部における最小断面積は、前記ドレン管における最小断面積以上である、 請求項1に記載の浴槽排水継手。
【請求項4】
前記第2接続部は、断面が水平方向に長い扁平形状の扁平領域を有する、
請求項2または3に記載の浴槽排水継手。
【請求項5】
前記扁平領域の少なくとも一部は、前記浴槽の下方に配置されている、
請求項4に記載の浴槽排水継手。
【請求項6】
前記第2接続部は、前記浴槽の長手方向と短手方向とに交差する斜め方向に延びる、
請求項5に記載の浴槽排水継手。
【請求項7】
上下方向に伸縮可能な蛇腹部を有し、
前記第2接続部は、前記蛇腹部に設けられている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の浴槽排水継手。
【請求項8】
浴槽と、
前記浴槽が載置される浴槽パンと、
前記浴槽の底部に位置する第1排水口と、前記浴槽パンに設けられた第2排水口と、を連通させる請求項1から3のいずれか一項に記載の浴槽排水継手と、
を備える浴室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浴槽排水継手及び浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室ユニットにおける浴槽の底部に設けられた排水口と、浴槽が載置された浴槽パンの排水口とを接続するための浴槽排水継手として、上下方向に伸縮する蛇腹部を有する構成が特許文献1に記載されている。蛇腹部を有する浴槽排水継手は、浴槽排水口と浴槽パンの排水口とに位置ずれがあっても両者を容易に連結することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-87478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴槽の底部からの排水以外の排水については、別の排水経路を設ける必要がある。別の排水経路を設けることによって排水流路が複雑化するという問題が生じる。浴槽と浴槽パンの間の狭い空間に別の排水経路を設けることによって、浴槽設置のための作業性が低下するという問題が生じる。
【0005】
本開示は、以上のような点を考慮してなされたもので、排水流路の簡素化及び浴槽設置の作業性向上に寄与する浴槽排水継手及び浴室ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、浴槽パンに載置された浴槽の底部に位置する第1排水口に接続され、前記第1排水口から前記浴槽パンに設けられた第2排水口に向かう第1排水経路を形成する第1接続部と、排水管が接続され、前記排水管から前記第2排水口に向かい、前記第1接続部よりも下側の位置において前記第1排水経路と交わる第2排水経路を形成する第2接続部と、を備える、浴槽排水継手である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1実施形態を示す図であって、浴室ユニットの斜視図である。
図2】浴槽パン及び洗い場を除いた浴室ユニットの斜視図である。
図3図1におけるA-A断面図である。
図4】浴槽排水継手の斜視図である。
図5】浴槽排水継手の断面図である。
図6図5におけるB-B断面図である。
図7】浴室ユニットの第1実施形態の第1変形例を示す断面図である。
図8】第1変形例の浴室ユニットの正面図である。
図9】浴室ユニットの第1実施形態の第2変形例を示す断面図である。
図10】第2変形例の浴室ユニットの正面図である。
図11】本開示の第2実施形態を示す図であって、浴室ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の浴槽排水継手及び浴室ユニットの実施の形態を、図1から図11を参照して説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺等を異ならせている。
【0009】
[浴槽排水継手及び浴室ユニットの第1実施形態]
図1及び図2に示すように、第1実施形態の浴室ユニット1は、浴槽10と、浴槽パン20と、洗い場30と、浴槽排水継手40と、図5に示す環状体50と、接続用環体60を備えている。図1及び図2においては、エプロンの図示を省略している。
【0010】
浴槽10は、浴槽パン20に載置されている。図3に示すように、浴槽10は、第1排水口11と、オーバーフロー口12と、を有する。第1排水口11は、浴槽10の底部10aに設けられている。第1排水口11は、浴槽10における長手方向の中央に配置されている。第1排水口11は、浴槽10における短手方向の中央よりも洗い場30寄りに配置されている。
【0011】
各図に示す座標系において、Z軸方向は上下方向とし、Z軸方向の正の側を「上側」と呼び、Z軸方向の負の側を「下側」と呼ぶ。Y軸方向は、浴槽10における長手方向とし、Y軸方向の正の側を「左側」と呼び、Y軸方向の負の側を「右側」と呼ぶ。X軸方向は、浴槽パン20と洗い場30が隣接する奥行方向とし、X軸方向の正の側を「手前側」と呼び、X軸方向の負の側を「奥側」と呼ぶ。
【0012】
オーバーフロー口12は、浴槽10における手前側の側壁13に設けられている。オーバーフロー口12は、側壁13における上下方向の中央よりも上側に配置されている。オーバーフロー口12は、長手方向の中央に配置されている。オーバーフロー口12は、第1排水口11の上側に位置する。オーバーフロー口12の位置は、任意である。側壁13の手前側の面には、アダプタ14が設けられている。アダプタ14には、排水管15の一部を形成するホース15Aの一端が接続されている。排水管15は、オーバーフロー口12とアダプタ14との下流側に配置されている。浴槽10において水位がオーバーフロー口12に達した水は、オーバーフロー口12からアダプタ14を介して排水管15に排水される。
【0013】
側壁13の表面には、オーバーフロー口12を覆うカバー部材16が設けられている。カバー部材16には、チェーン17を介して排水栓18が取り付けられている。
【0014】
浴槽パン20は、第2排水口21を有する。第2排水口21は、第1排水口11の下側に対向して配置されている。第2排水口21の下側には、排水エルボ22が連結されている。排水エルボ22は、接続管23を介して排水トラップ24に接続されている。排水トラップ24には、上面開口部25が設けられている。上面開口部25は、洗い場30における奥側の縁部に配置されている。排水トラップ24及び上面開口部25は、長手方向の中央に配置されている。
【0015】
浴槽10の洗い場30との境界部分となる端部には、浴槽10の側面を覆うエプロン31が設けられている。エプロン31は、浴槽10における手前側の上端と、洗い場30における奥側の端部との間に配置されている。
【0016】
図4及び図5に示すように、浴槽排水継手40は、上下方向に延びる筒状である。浴槽排水継手40は、第1排水口11と第2排水口21を連通させる。浴槽排水継手40は、排水口係合フランジ41と、頚部42と、拡径部43と、蛇腹部44と、膨出部45と、第1接続部46と、第2接続部47を有する。浴槽排水継手40は、弾力性及び耐水性を有したゴムにより一体に成形されている。浴槽排水継手40の材質は、適宜変更可能である。
【0017】
排水口係合フランジ41は、浴槽排水継手40における最上部に位置する。排水口係合フランジ41の下面は、上側に向かうにつれて径方向の外側に向かう方向に傾斜している。径方向は、浴槽排水継手40が上下方向に延びる中心線と直交する方向である。排水口係合フランジ41は、第1排水口11の周囲の浴槽10に上側から係合する。頚部42は、排水口係合フランジ41の内周端から下方に延びる筒状である。拡径部43は、頚部42の下側に位置する。拡径部43は頚部42の下端から径方向の外側に延びて拡径するとともに、下側に向けて折り返した後に径方向の内側に延びる断面U字状である。拡径部43の内周側には、フランジ装着溝43aが形成されている。
【0018】
排水口係合フランジ41、頚部42および拡径部43は、第1接続部46を形成する。第1接続部46には、浴槽10における第1排水口11が接続される。
【0019】
浴槽排水継手40は、上側に開口する孔部40aを有する。孔部40aには、排水栓18が上側から嵌まり合う。孔部40aに排水栓18が上側から嵌まり合うことによって、第1排水経路71は閉栓される。
【0020】
蛇腹部44は、拡径部43の下側に位置する。蛇腹部44は、拡径部43の下端から径方向の外側に延びて拡径するとともに、下側に向けて折り返した後に径方向の内側に延びる箇所が上下に二箇所設けられている。蛇腹部44は、上下方向に伸縮可能である。膨出部45は、蛇腹部44の下側に位置する。膨出部45は、蛇腹部44から下側に延びるとともに、湾曲して径方向の内側に延びる。膨出部45の内周側には、周回溝45aが形成されている。
【0021】
浴槽排水継手40には、環状体50及び接続用環体60が装着されている。環状体50は、浴槽排水継手40内の上部に設置されている。環状体50は、トップフランジ51と、垂下筒部52と、雌螺子53と、を有する。トップフランジ51は、環状体50の上端に位置するリング状である。トップフランジ51は、フランジ装着溝43aに嵌まり合う。垂下筒部52は、トップフランジ51の内周縁から下側に延びる円筒状である。雌螺子53は、垂下筒部52の内周面に設けられている。雌螺子53には、第1排水口11の上側から孔部40a内に挿入される雄螺子を有する図示しない環状体が螺合される。環状体50は、トップフランジ51が浴槽排水継手40のフランジ装着溝43aに嵌合することによって浴槽排水継手40に装着されている。
【0022】
接続用環体60は、浴槽排水継手40内の下部に設置されている。接続用環体60は、浴槽パン20へ連絡口となる。接続用環体60は、フランジ61と、筒部62と、ロック爪63と、を有する。フランジ61は、接続用環体60の上端に位置するリング状である。フランジ61は、周回溝45aに嵌まり合う。筒部62は、フランジ61の内周縁から下側に延び、浴槽排水継手40から下方に突出する。筒部62は、係合凹部62aを有する。係合凹部62aは、筒部62の内周面から径方向の外側に窪み上側に開口する。係合凹部62aは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。係合凹部62aに係合する凸部を有する工具を用いることによって、接続用環体60は回転可能である。ロック爪63は、筒部62の外周面に、周方向に延設されている。ロック爪63を浴槽パン20の下縁に係合させることにより、浴槽排水継手40の下部を浴槽パン20の第2排水口21に連絡することができる。
【0023】
第2接続部47は、第1排水口11よりも下側の位置において蛇腹部44から径方向の外側に水平方向に延びる管状に形成されている。第2接続部47が延びる方向は、図2に示すように、奥行方向の手前側、且つ、長手方向の右側の斜め方向である。第2接続部47は、浴槽10の長手方向と短手方向とに交差する斜め方向に延びる。第2接続部47は、円環領域48と、扁平領域49と、を有する。円環領域48は、第2接続部47における先端側に位置する。扁平領域49は、第2接続部47における基端側に位置する。扁平領域49の少なくとも一部は、浴槽10の下方に配置されている。
【0024】
円環領域48の断面は、円環状である。円環領域48の内周面には、排水管15の一部を形成するエルボ管15Bの一端における外周面が嵌め合わされている。エルボ管15Bが嵌め合わされた位置における円環領域48の外周面には、結束バンド48Aが設けられている。エルボ管15Bの他端には、一端がアダプタ14に接続されたホース15Aの他端が接続されている。エルボ管15Bは、結束バンド48Aによって締め付けられることによって、第2接続部47における円環領域48に固定される。第2接続部47は、第1排水口11よりも下側の位置においてホース15Aおよびエルボ管15Bを有する排水管15に接続される。
【0025】
第2接続部47は、水平方向の寸法が一定である。第2接続部47は、扁平領域49において上下方向の寸法が先端側から基端側に向かうにつれて小さくなる。第2接続部47は、円環領域48及び扁平領域49における下端の上下方向の位置が同一である。第2接続部47は、扁平領域49における上端が先端側から基端側に向かうにつれて下側に向かう方向に傾斜している。
【0026】
図6に示すように、扁平領域49は、断面が水平方向に長い扁平形状である。第2接続部47の内部空間47aは、水平方向の最大寸法が一定であり、上下方向の最大寸法が先端側から基端側に向かうにつれて漸次小さくなる。扁平領域49は、先端側から基端側に向かうにつれて扁平度合いが大きくなる。第2接続部47における内部空間47aの断面積は、扁平領域49の基端側において最小となる。第2接続部47における最小断面積は、アダプタ14における最小断面積以上である。
【0027】
第2接続部47は、扁平領域49において断面が水平方向に長い扁平形状であることによって、上下方向の最大寸法が小さくなる。第2接続部47における上下方向の最大寸法が小さくなるとともに、扁平領域49の少なくとも一部が浴槽10の下方に配置されることによって、浴槽10と浴槽パン20の間の上下に狭い空間に配置される浴槽排水継手40においても断面積を確保しつつ排水流量を確保できる。
【0028】
浴槽排水継手40においては、上側に開口する孔部40aから流入した水は、環状体50、蛇腹部44及び接続用環体60の内部空間を介して、浴槽パン20の第2排水口21に向けて排水される。第1排水口11が接続された第1接続部46は、第1排水口11から流入した水が浴槽パン20に設けられた第2排水口21に向かって排水される第1排水経路71を形成する。
【0029】
浴槽排水継手40においては、オーバーフロー口12から流出した水は、アダプタ14及び排水管15を介して第2接続部47の内部空間47aに流入した後に、蛇腹部44及び接続用環体60の内部空間を介して、浴槽パン20の第2排水口21に向けて排水される。排水管15が接続された第2接続部47は、排水管15から浴槽パン20の第2排水口21に向かう第2排水経路72を形成する。第2排水経路72は、第1接続部46よりも下側の位置において第1排水経路71と交わる。
【0030】
浴槽排水継手40においては、第1接続部46が第1排水口11に接続されることによって形成された第1排水経路71で浴槽10における底部10aから排水を行うことに加えて、第2接続部47が排水管15に接続されることによって形成された第2排水経路72でオーバーフロー口12からの排水を行うため、オーバーフロー口12からの排水のために別の排水経路を設ける必要がなくなり、排水流路の簡素化を実現できる。
【0031】
浴槽排水継手40においては、別の排水経路を設ける必要がなくなることによって、浴槽10と浴槽パン20の間の狭い空間における作業が低減でき、浴槽10の設置に伴う作業性低下を抑制できる。
【0032】
第2接続部47における最小断面積がアダプタ14における最小断面積未満の場合には、第1排水口11からの排水を、第2接続部47を介して第2排水口21に排水しきれなくなる可能性があるとともに、第1排水口11に入り込んだ汚れや異物を第2接続部47を介して第2排水口21に排出しきれずに詰まりが生じる可能性がある。実施形態の浴槽排水継手40においては、第2接続部47における最小断面積が、アダプタ14における最小断面積以上であることによって、第1排水口11からの排水を支障なく第2接続部47を介して第2排水口21から排水できるとともに、第1排水口11に入り込んだ汚れや異物を詰まりが生じることなく第2接続部47を介して第2排水口21に排出することができる。
【0033】
浴槽排水継手40においては、断面が水平方向に長い扁平形状の扁平領域49を第2接続部47が有するため、浴槽10と浴槽パン20の間の上下に狭い空間においてもオーバーフロー口12からの排水のために必要な断面積及び排水流量を確保できる。
【0034】
浴槽排水継手40においては、第2接続部47が蛇腹部44から径方向の外側に水平方向に延びているため、蛇腹部44が伸縮したときの変形が第2接続部47の先端にまで殆ど伝わらないようになる。実施形態の浴槽排水継手40においては、第2接続部47の先端部における円環領域48とエルボ管15Bとの間の水密性が向上する。
【0035】
[浴槽排水継手及び浴室ユニットの第1実施形態の第1変形例]
図7及び図8に示すように、第1実施形態の浴室ユニット1の第1変形例においては、エプロン外蓋32、第2アダプタ14A、分岐管15C、ホース15D、15Eが設けられている。図7及び図8において、図1から図6で示した第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。図8においては、エプロン31及びエプロン外蓋32の図示を省略している。
【0036】
エプロン外蓋32は、エプロン31の手前側に空隙32aをあけて設けられている。エプロン外蓋32の下端は、上面開口部25よりも上側に位置する。エプロン31とエプロン外蓋32との間の空隙32aは、上面開口部25よりも上側の位置において開口している。エプロン31は、エプロン外蓋32の下端よりも上側の位置であり、アダプタ14よりも下側の位置に貫通孔31aを有する。側壁13の奥側には、貫通孔31aと連通する第2アダプタ14Aが設けられている。
【0037】
図8に示すように、第2アダプタ14Aには、分岐管15Cが接続されている。分岐管15Cにおける上流側には、一端がアダプタ14に接続されたホース15Aの他端が接続されている。分岐管15Cにおける分岐した下流側の一方には、ホース15Dの一端が接続されている。ホース15Dの他端は、第2アダプタ14Aに接続されている。ホース15Aの他端、分岐管15C、ホース15D及び第2アダプタ14Aは、水平方向に沿った直線上に並んでいる。
【0038】
分岐管15Cにおける分岐した下流側の他方は、浴槽排水継手40に向けて斜め下方に延びている。分岐した下流側の他方には、ホース15Eの一端が接続されている。ホース15Eの他端は、エルボ管15Bに接続されている。
【0039】
オーバーフロー口12から流出した水は、アダプタ14、ホース15A、分岐管15C、ホース15E及びエルボ管15Bを介して第2接続部47の内部空間47aに流入した後に、蛇腹部44及び接続用環体60の内部空間を介して、浴槽パン20の第2排水口21に向けて排水可能である。ホース15A、分岐管15C、ホース15E及びエルボ管15Bは、排水管15を形成する。排水管15が接続された第2接続部47は、オーバーフロー口12及び排水管15から浴槽パン20の第2排水口21に向かう第2排水経路72を形成する。
【0040】
オーバーフロー口12から流出した水は、アダプタ14、ホース15A、分岐管15C、ホース15D、第2アダプタ14A、貫通孔31a及び空隙32aを介して上面開口部25に向けて排水可能である。ホース15A、分岐管15C、ホース15D、第2アダプタ14A、貫通孔31a及び空隙32aは、オーバーフロー口12から上面開口部25に向かう第3排水経路73を形成する。
【0041】
第1変形例の浴槽排水継手40においては、例えば、オーバーフロー口12から汚れや異物が流れ込んで第2排水経路72が詰まった場合でも、オーバーフロー口12から流出した水を第3排水経路73に迂回して排水することができる。
【0042】
[浴槽排水継手及び浴室ユニットの第1実施形態の第2変形例]
図9及び図10に示すように、第1実施形態の浴室ユニット1の第2変形例においては、2つの第2接続部47、分岐アダプタ14B及び2つのホース15Aが設けられている。図9及び図10において、図1から図6で示した第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。図10においては、エプロン31の図示を省略している。
【0043】
浴槽排水継手40は、2つの第2接続部47を有している。第2接続部47の一方は、奥行方向の手前側、且つ、長手方向の左側の斜め方向に延びている。第2接続部47の他方は、奥行方向の手前側、且つ、長手方向の右側の斜め方向に延びている。
【0044】
側壁13の手前側には、分岐アダプタ14Bが設けられている。分岐アダプタ14Bは、オーバーフロー口12からの水を左側と右側に分岐させる。2つのホース15Aの一方は、左側に分岐した分岐アダプタ14Bに一端が接続され、他端が左側の第2接続部47にエルボ管15Bを介して接続される。2つのホース15Aの他方は、右側に分岐した分岐アダプタ14Bに一端が接続され、他端が右側の第2接続部47に接続される。
【0045】
分岐アダプタ14Bの左側に接続されたホース15A及びエルボ管15Bを有する排水管15が接続された左側の第2接続部47は、排水管15から浴槽パン20の第2排水口21に向かう第2排水経路72を形成する。分岐アダプタ14Bの右側に接続されたホース15A及びエルボ管15Bを有する排水管15が接続された右側の第2接続部47は、それぞれ排水管15から浴槽パン20の第2排水口21に向かう第2排水経路72を形成する。
【0046】
第2変形例の浴槽排水継手40においては、例えば、オーバーフロー口12から汚れや異物が流れ込んで左右の第2排水経路72のうち一方が詰まった場合でも、オーバーフロー口12から流出した水を左右の第2排水経路72のうち他方に迂回して排水することができる。
【0047】
[浴槽排水継手及び浴室ユニットの第2実施形態]
図11に示すように、第2実施形態の浴室ユニット1においては、浴槽排水継手40の第2接続部47にドレン管80が接続されている。図11において、図1から図6で示した第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。図10においては、浴槽パン20及び洗い場30の図示を省略している。
【0048】
排水管15は、ドレン管80を含む。排水管15の少なくとも一部は、ドレン管80である。ドレン管80は、ドレン管80から浴槽パン20の第2排水口21に向かう第2排水経路72を形成する。ドレン管80は、例えば、浴室ユニット1の外部に設けられた空気調和機等の外部機器から浴室ユニット1の内部に配管されている。ドレン管80には、外部機器で生じた結露水等が排水される。第2接続部47における最小断面積は、ドレン管80における最小断面積以上である。
【0049】
実施形態の浴槽排水継手40及び浴室ユニット1においては、別の排水経路を設けることなく外部機器で生じた結露水等を第2排水経路72を介して第2排水口21に排水できるため、排水流路の簡素化を実現できる。
【0050】
実施形態の浴槽排水継手40及び浴室ユニット1においては、第2接続部47における最小断面積が、ドレン管80における最小断面積以上であることによって、ドレン管80からの排水を支障なく第2接続部47を介して第2排水口21から排水できるとともに、ドレン管80に入り込んだ汚れや異物を詰まりが生じることなく第2接続部47を介して第2排水口21に排出することができる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0052】
第1実施形態では、オーバーフロー口12からの水を排水管15を含む第2排水経路72を介して第2排水口21に排水し、第2実施形態では、外部機器で生じた結露水等をドレン管80を含む第2排水経路72を介して第2排水口21に排水する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、図10に示したように、浴槽排水継手40に2つの第2接続部47を設け、オーバーフロー口12からの水を排水管15及び第2接続部47の一方を含む第2排水経路72を介して第2排水口21に排水するとともに、ドレン管80からの水を第2接続部47の他方を含む第2排水経路72を介して第2排水口21に排水する構成であってもよい。
【0053】
オーバーフロー口12からの水及びドレン管80からの水を第2排水口21に排水する構成としては、例えば、浴槽排水継手40に1つの第2接続部47を設けるとともに、第2接続部47に分岐管の下流側を接続し、上流側で分岐した分岐管の一方に排水管15を接続し、分岐管の他方にドレン管80を接続する構成としてもよい。第2接続部47に分岐管を接続する場合には、オーバーフロー口12からの水を排水管15、分岐管及び第2接続部47を含む第2排水経路72を介して第2排水口21に排水するとともに、ドレン管80からの水を分岐管及び第2接続部47を含む第2排水経路72を介して第2排水口21に排水することが可能になる。
【0054】
実施形態における浴室ユニット1においては、レリースを用いて排水栓18を遠隔操作する構成としてもよい。排水栓18を遠隔操作する構成の場合、浴槽排水継手40に第2接続部47とは別にレリースが挿通される挿通筒部を、例えば蛇腹部44から水平方向に突出して設けるとともに、水平方向から上下方向にL字状に湾曲し上側に開口するレリースガイド管を挿通筒部に接続すればよい。例えば、浴槽10の上縁部に設けられた操作部に一端側が接続されたレリースの他端側をレリースガイド管及び挿通筒部に挿通し排水栓18に接続すればよい。
【符号の説明】
【0055】
1…浴室ユニット、10…浴槽、10a…底部、11…第1排水口、12…オーバーフロー口、14…アダプタ、15…排水管、20…浴槽パン、21…第2排水口、40…浴槽排水継手、46…第1接続部、47…第2接続部、49…扁平領域、71…第1排水経路、72…第2排水経路、80…ドレン管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11