特開 2024-107659 エアバッグ装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024107659

(43)【公開日】2024-08-09

(54)【発明の名称】エアバッグ装置

(51)【国際特許分類】

   B60R 21/2334 20110101AFI20240802BHJP

   B60R 21/203 20060101ALI20240802BHJP

【ＦＩ】

B60R21/2334

B60R21/203

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023011697

(22)【出願日】2023-01-30

(71)【出願人】

【識別番号】000229955

【氏名又は名称】日本プラスト株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100083806

【弁理士】

【氏名又は名称】三好 秀和

(74)【代理人】

【識別番号】100101247

【弁理士】

【氏名又は名称】高橋 俊一

(74)【代理人】

【識別番号】100095500

【弁理士】

【氏名又は名称】伊藤 正和

(74)【代理人】

【識別番号】100098327

【弁理士】

【氏名又は名称】高松 俊雄

(72)【発明者】

【氏名】河面 宅実

(72)【発明者】

【氏名】望月 秀樹

【テーマコード（参考）】

3D054

【Ｆターム（参考）】

3D054AA02

3D054AA07

3D054AA13

3D054BB01

3D054CC08

3D054CC15

3D054CC34

3D054CC38

3D054CC42

3D054DD09

3D054FF16

(57)【要約】

【課題】エアバッグ本体の移動を規制することができ、低コスト化することができるエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載された搭載部材に折り畳まれた状態で配置され、ガスの流入により膨張して車両の乗員を保護するエアバッグ本体３を備えたエアバッグ装置において、エアバッグ本体３の搭載部材側に、エアバッグ本体３にガスが流入したときに、エアバッグ本体３の搭載部材側の他の部分より搭載部材側に向けて突出する膨出部１９を設け、膨出部１９を、エアバッグ本体３の外周縁部９より内側に配置した。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

車両に搭載された搭載部材に折り畳まれた状態で配置され、ガスの流入により膨張して車両の乗員を保護するエアバッグ本体を備え、
前記エアバッグ本体の前記搭載部材側には、前記エアバッグ本体にガスが流入したときに、前記エアバッグ本体の前記搭載部材側の他の部分より前記搭載部材側に向けて突出する膨出部が設けられ、
前記膨出部は、前記エアバッグ本体の外周縁部より内側に配置されているエアバッグ装置。

【請求項2】

前記エアバッグ本体の前記搭載部材側には、折り重ねられて形成されたタック部と、前記タック部の長さ方向の両側に配置され前記タック部の折り重ねられた状態を保持する一対の固着部とが設けられ、
一対の前記固着部は、前記エアバッグ本体の外周縁部より内側に配置され、
前記膨出部は、前記タック部の一対の前記固着部の間に設けられている請求項１に記載のエアバッグ装置。

【請求項3】

前記タック部は、長さ方向の両端が、前記エアバッグ本体の外周縁部に位置するように形成されている請求項２に記載のエアバッグ装置。

【請求項4】

前記搭載部材は、ステアリングホイールであり、
前記膨出部は、少なくとも前記ステアリングホイールの下方に配置されている請求項１又は２に記載のエアバッグ装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、エアバッグ装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、エアバッグ装置としては、車両に搭載された搭載部材としてのステアリングホイールに折り畳まれた状態で配置され、ガスの流入により膨張して車両の乗員を保護するエアバッグ本体を備えたものが知られている（特許文献１参照）。このエアバッグ装置では、エアバッグ本体が、膨張した状態において、ステアリングホイールを覆い、外周縁部がステアリングホイールの前方側に配置されるように、ステアリングホイールよりも大きく形成されている。

【0003】

このようなエアバッグ装置では、エアバッグ本体が膨張したとき、エアバッグ本体のステアリングホイール側が、ステアリングホイールの全体を覆うように当接される。また、エアバッグ本体のステアリングホイールの前方側に配置される部分は、車両のフロントガラスや内装パネルに当接される。このため、ステアリングホイールの把持部が環状でない場合であっても、膨張したエアバッグ本体の移動を規制することができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２００６－２９８１１９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかしながら、上記特許文献１のようなエアバッグ装置では、エアバッグ本体を、膨張したときに、搭載部材の前方側に配置させるために、既存のエアバッグ本体よりも大型化する必要がある。エアバッグ本体を大型化すると、エアバッグ本体の製造コスト、エアバッグ本体へのガスの供給量などが増大し、高コスト化していた。

【0006】

本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、エアバッグ本体の移動を規制することができ、低コスト化することができるエアバッグ装置を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本実施形態に係るエアバッグ装置は、車両に搭載された搭載部材に折り畳まれた状態で配置され、ガスの流入により膨張して車両の乗員を保護するエアバッグ本体を備え、前記エアバッグ本体の前記搭載部材側には、前記エアバッグ本体にガスが流入したときに、前記エアバッグ本体の前記搭載部材側の他の部分より前記搭載部材側に向けて突出する膨出部が設けられ、前記膨出部は、前記エアバッグ本体の外周縁部より内側に配置されている。

【発明の効果】

【0008】

本発明によれば、エアバッグ本体の移動を規制することができ、低コスト化することができるエアバッグ装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体が展開されたときの斜視図である。

【図2】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の乗員側基布の正面図である。

【図3】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の車体側基布にタック部が形成されたときの正面図である。

【図4】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の車体側基布にタック部を形成する前の正面図である。

【図5】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体が展開され、乗員を拘束したときの側面図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、図面を用いて本実施形態に係るエアバッグ装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。

【0011】

図５に示すように、本実施形態に係るエアバッグ装置１は、例えば、車両に搭載された搭載部材としてのステアリングホイールＳに配置される。エアバッグ装置１は、エアバッグ本体３が、ステアリングホイールＳに折り畳まれた状態で収納されている。エアバッグ本体３は、車両が衝突したときに、内部にガスが流入されて膨張して展開することにより、車両の衝突による衝撃から乗員Ｃを保護する。

【0012】

ここで、従来のエアバッグ本体は、乗員Ｃが把持する把持部が環状に形成されたステアリングホイールに適用されることが想定されている。従来のエアバッグ本体は、展開された状態において、外周縁部が、ステアリングホイールの環状の把持部より大きくなるように設定されている。展開された従来のエアバッグ本体は、ステアリングホイールと乗員Ｃとの間に配置され、乗員Ｃを拘束した状態で、乗員Ｃの車両の前方側への移動によって、ステアリングホイールに押し付けられる。このとき、ステアリングホイールの環状の把持部から外方に張り出す従来のエアバッグ本体の外周縁部側は、環状の把持部より車両の前方側に位置するように、環状の把持部に係合される。環状の把持部との係合により、ステアリングホイールに対して、従来のエアバッグ本体が移動することが規制される。従来のエアバッグ本体の移動を規制することにより、ステアリングホイールと乗員Ｃとの間に、安定して従来のエアバッグ本体を配置することができる。

【0013】

ここで、ステアリングホイールには、乗員Ｃが把持する把持部が、環状に形成されていないものがある。把持部が環状に形成されていないステアリングホイールＳでは、把持部の上方部分がないものが多く採用されている。上方部分がない把持部のステアリングホイールＳに対して、展開された従来のエアバッグ本体が押し付けられると、把持部がない上方部分から従来のエアバッグ本体が車両の前方側に向けて移動し易くなる。従来のエアバッグ本体が移動してしまうと、ステアリングホイールＳと乗員Ｃとの間に、従来のエアバッグ本体が介在せずに、乗員ＣがステアリングホイールＳに衝突する可能性がある。

【0014】

把持部が環状に形成されていないステアリングホイールＳに対する従来のエアバッグ本体の移動を規制するために、展開された状態で、ステアリングホイールＳより遥かに大きくなる大型化されたエアバッグ本体がある。大型化されたエアバッグ本体は、ステアリングホイールＳに押し付けられたとき、ステアリングホイールＳより車両の前方側に配置される部分が増大される。車両の前方側に配置された部分は、車両のフロントガラスや内装パネルなどに当接し、大型化されたエアバッグ本体の移動が規制される。しかしながら、大型化されたエアバッグ本体は、大型化による製造コストの増大や内部に流入されるガスの供給量の増大などを引き起こし、高コスト化してしまう。そこで、本実施形態に係るエアバッグ装置１では、エアバッグ本体３の大型化を抑制し、ステアリングホイールＳに対するエアバッグ本体３の移動を規制することができるようにしている。

【0015】

図１～図５に示すように、エアバッグ装置１は、インフレータ（不図示）と、エアバッグ本体３とを備えている。

【0016】

インフレータは、ステアリングホイールＳに配置され、エアバッグ本体３の内部にガス（膨張ガス）を導入する装置である。インフレータは、例えば、点火器やガス発生剤などを備えている。インフレータは、車両に搭載された電子制御ユニット（不図示）が車両の衝突などを検知、或いは予測したときに発信する電気信号に基づいて点火器がガス発生剤を燃焼させることにより、エアバッグ本体３の内部に、急速にガスを導入させる。

【0017】

図１～図５に示すように、エアバッグ本体３は、乗員側基布５と、車体側基布７とを備えている。エアバッグ本体３は、乗員側基布５と車体側基布７との外周縁部９を、縫製、接着、溶着などによって接合することにより、袋状に形成される。なお、以下では、乗員側基布５と車体側基布７とが独立したものとして説明するが、乗員側基布５と車体側基布７との外周縁部９の一部を連結し、乗員側基布５と車体側基布７とを重ね合わせてエアバッグ本体３を形成してもよい。

【0018】

図５に示すように、乗員側基布５は、エアバッグ本体３において、乗員Ｃ側に配置される。図２に示すように、乗員側基布５は、外周縁部９が、ステアリングホイールＳの外径より大きくなるように、円形状に形成されている。図５に示すように、乗員側基布５は、エアバッグ本体３が展開された状態で、乗員Ｃの胸部（腹部）から頭部を拘束する。

【0019】

図５に示すように、車体側基布７は、エアバッグ本体３において、ステアリングホイールＳ側に配置される。図３に示すように、車体側基布７は、タック部１５が形成された状態で、外周縁部９が、ステアリングホイールＳの外径より大きくなるように、乗員側基布５と同等の円形状に形成されている。図５に示すように、車体側基布７は、エアバッグ本体３が展開された状態で、ステアリングホイールＳを覆うように当接される。

【0020】

図３に示すように、車体側基布７には、中央部に１つの取付口１１と、外周縁部９側に複数（ここでは２つ）の排出口１３とが貫通穴として設けられている。取付口１１には、インフレータが取り付けられ、エアバッグ本体３の内部にインフレータからガスが導入される。排出口１３は、膨張したエアバッグ本体３の内部のガスを外部に排出させる。なお、排出口１３は、ベントホールと称されることもある。

【0021】

図４に示すように、車体側基布７は、タック部１５が形成される前の状態で、タック部１５が形成される部分が余剰部分となるように、乗員側基布５より大きく形成されている。車体側基布７の余剰部分は、厚さ方向に重なり合うように、折り重ねられることにより、図３に示すように、タック部１５が形成される。タック部１５は、長さ方向の両端が、それぞれ外周縁部９に位置するように、車体側基布７の幅方向（径方向）の全域に直線状に設けられる。タック部１５の長さ方向の両端を外周縁部９に位置させることにより、エアバッグ本体３に対して、タック部１５を形成し易くすることができる。

【0022】

なお、タック部１５は、長さ方向の両端を外周縁部９に位置させなくてもよい。例えば、車体側基布７を、乗員側基布５よりも大きく形成し、車体側基布７に余剰部分を設ける。余剰部分を有する車体側基布７において、タック部１５を設けたい部分を摘み、厚さ方向に重ね合わせてタック部１５を設けてもよい。タック部１５の折り重ねられた状態は、タック部１５の長さ方向の両側に配置された一対の固着部１７，１７によって保持される。

【0023】

図３に示すように、一対の固着部１７，１７は、タック部１５の長さ方向の両側に、所定の長さで離間してそれぞれ配置されている。一対の固着部１７，１７は、車体側基布７の厚さ方向に折り重ねられた部分を、縫製、接着、溶着などによって接合することにより、タック部１５に形成される。なお、本実施形態において、一対の固着部１７，１７は、タック部１５と交差するように、直線状に形成されているが、これに限らず、タック部１５と交わるように、円形状に形成してもよい。タック部１５に固着部１７を設けることにより、タック部１５の折り重ねられた状態を保持することができる。

【0024】

一対の固着部１７，１７は、タック部１５の長さ方向の両端、すなわち車体側基布７（エアバッグ本体３）の外周縁部９より内側に配置されている。このため、一対の固着部１７，１７の間に位置するタック部１５の折り重ねられた部分は、エアバッグ本体３において、外周縁部９より内側に配置される。タック部１５の一対の固着部１７，１７の間には、膨出部１９が設けられている。

【0025】

図１，図３，図５に示すように、膨出部１９は、車体側基布７が折り重ねられて形成されたタック部１５の一対の固着部１７，１７の間に配置されている。膨出部１９は、エアバッグ本体３の内部へのガスの流入により、タック部１５の折り重ねられた状態から膨張して展開されて、ステアリングホイールＳ側に向けて突出する。膨出部１９は、折り重ねられたタック部１５に設けられているので、エアバッグ本体３が展開された状態において、ステアリングホイールＳ側の他の部分よりステアリングホイールＳ側に向けて突出される。膨出部１９の大きさ（膨張サイズ）は、一対の固着部１７，１７の間の長さ（距離）を変更することによって調整することができる。加えて、膨出部１９のエアバッグ本体３に対する位置は、タック部１５の位置を変更することによって調整することができる。

【0026】

膨出部１９は、エアバッグ本体３が展開されたときに、ステアリングホイールＳに対して、エアバッグ本体３の他の部分よりも強く当接される。このため、膨出部１９は、エアバッグ本体３が展開された状態で、ステアリングホイールＳに当接された部分と強く干渉し、係合力が増大されて係合された状態となる。膨出部１９をステアリングホイールＳに強く係合させることにより、ステアリングホイールＳに対するエアバッグ本体３の移動を規制することができる。

【0027】

膨出部１９は、例えば、ステアリングホイールＳの把持部の内側や外側、ステアリングホイールＳの把持部を連結する連結部、ステアリングホイールＳに形成された凹みや貫通穴などに対向して配置させるとよい。このような箇所に膨出部１９を配置することにより、エアバッグ本体３が展開されたときに、膨出部１９がステアリングホイールＳよりも車両の前方側に位置するように配置される。膨出部１９がステアリングホイールＳよりも車両の前方側に位置すれば、ステアリングホイールＳの平面方向に対する膨出部１９の係合代が増大し、エアバッグ本体３の移動を安定して規制することができる。

【0028】

エアバッグ本体３の移動を規制する膨出部１９は、エアバッグ本体３の外周縁部９より内側に配置されている。このため、エアバッグ本体３を大型化することなく、既存のエアバッグ本体３のサイズであっても、ステアリングホイールＳに対するエアバッグ本体３の移動を規制することができる。

【0029】

ここで、ステアリングホイールＳは、図５に示すように、操作性を向上するために、上方部分が車両の前方側に向けて傾斜されている。このため、展開されたエアバッグ本体３は、ステアリングホイールＳの傾斜に沿って、ステアリングホイールＳの上方に向けて移動し易い。加えて、ステアリングホイールＳの把持部の上方部分がない場合には、把持部がない部分からエアバッグ本体３が移動し易くなる。

【0030】

そこで、膨出部１９は、エアバッグ本体３において、ステアリングホイールＳの下方に位置するように配置されている。膨出部１９をステアリングホイールＳの下方に配置することにより、エアバッグ本体３が展開された状態で、膨出部１９が、例えば、ステアリングホイールＳの把持部の下方部分や把持部を連結する連結部に係合される。膨出部１９のステアリングホイールＳの下方部分との係合により、ステアリングホイールＳの傾斜に沿ったエアバッグ本体３の車両の前方側（上方側）に向けた移動を規制し易くすることができる。加えて、ステアリングホイールＳの把持部の上方部分がない場合であっても、エアバッグ本体３の移動を安定して規制することができる。

【0031】

このようなエアバッグ装置１では、車両に搭載された搭載部材に折り畳まれた状態で配置され、ガスの流入により膨張して車両の乗員Ｃを保護するエアバッグ本体３を備えている。また、エアバッグ本体３の搭載部材側には、エアバッグ本体３にガスが流入したときに、エアバッグ本体３の搭載部材側の他の部分より搭載部材側に向けて突出する膨出部１９が設けられている。そして、膨出部１９は、エアバッグ本体３の外周縁部９より内側に配置されている。

【0032】

膨出部１９は、エアバッグ本体３が展開されたときに、エアバッグ本体３の搭載部材側の他の部分より搭載部材側に向けて突出するので、搭載部材に対して、エアバッグ本体３の他の部分よりも強く当接される。このため、膨出部１９は、エアバッグ本体３が展開された状態で、搭載部材に当接された部分と強く干渉し、係合力が増大されて係合された状態となる。膨出部１９を搭載部材に強く係合させることにより、搭載部材に対するエアバッグ本体３の移動を規制することができる。

【0033】

エアバッグ本体３の移動を規制する膨出部１９は、エアバッグ本体３の外周縁部９より内側に配置されている。このため、エアバッグ本体３を大型化することなく、既存のエアバッグ本体３のサイズであっても、搭載部材に対するエアバッグ本体３の移動を規制することができる。

【0034】

従って、このようなエアバッグ装置１では、エアバッグ本体３の大型化を抑制して、エアバッグ本体３の移動を規制することができ、低コスト化することができる。

【0035】

また、エアバッグ本体３の搭載部材側には、折り重ねられて形成されたタック部１５と、タック部１５の長さ方向の両側に配置されタック部１５の折り重ねられた状態を保持する一対の固着部１７，１７とが設けられている。さらに、一対の固着部１７，１７は、エアバッグ本体３の外周縁部９より内側に配置されている。そして、膨出部１９は、タック部１５の一対の固着部１７，１７の間に設けられている。

【0036】

膨出部１９は、折り重ねられて形成されたタック部１５に設けられているので、エアバッグ本体３に対して、容易に膨出部１９を設けることができる。加えて、エアバッグ本体３に対して、タック部１５を設ける位置を変更することにより、エアバッグ本体３に対する膨出部１９の位置を容易に調整することができる。また、タック部１５に対する一対の固着部１７，１７の位置を変更することにより、膨出部１９の大きさ（膨張サイズ）を容易に調整することができる。

【0037】

さらに、タック部１５は、長さ方向の両端が、エアバッグ本体３の外周縁部９に位置するように形成されている。

【0038】

このため、エアバッグ本体３に対して、タック部１５を形成し易くすることができ、エアバッグ本体３の製造性を向上することができる。

【0039】

また、搭載部材は、ステアリングホイールＳである。そして、膨出部１９は、少なくともステアリングホイールＳの下方に配置されている。

【0040】

膨出部１９は、少なくともステアリングホイールＳの下方に配置されているので、エアバッグ本体３が展開されたときに、膨出部１９が、ステアリングホイールＳの下方部分に係合される。このため、ステアリングホイールＳの傾斜に沿ったエアバッグ本体３の車両の前方側（上方側）に向けた移動を規制し易くすることができる。加えて、ステアリングホイールＳの把持部の上方部分がない場合であっても、エアバッグ本体３の移動を安定して規制することができる。

【0041】

以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。

【0042】

例えば、本実施形態に係るエアバッグ装置では、膨出部が、折り重ねられて形成されたタック部に設けられているが、これに限るものではない。例えば、車体側基布に対して、膨出部のサイズを規定する円形状の固着部を形成し、この部分を、エアバッグ本体が展開されたときに、他の部分より突出する膨出部としてもよい。

【0043】

また、膨出部は、エアバッグ本体に対して、１つ設けられているが、これに限らず、膨出部を、エアバッグ本体に対して、複数設けてもよい。

【0044】

さらに、エアバッグ本体は、ステアリングホイールに配置されているが、これに限らず、例えば、エアバッグ本体を、助手席側の内装パネルなどに配置してもよく、車両に搭載された搭載部材であれば、エアバッグ本体を、どの搭載部材に配置してもよい。

【符号の説明】

【0045】

１ エアバッグ装置
３ エアバッグ本体
９ 外周縁部
１５ タック部
１７ 固着部
１９ 膨出部
Ｃ 乗員
Ｓ ステアリングホイール

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】