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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107668
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240802BHJP
   A01D 69/00 20060101ALI20240802BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240802BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01D69/00 302Z
G05D1/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011713
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松澤 宏樹
【テーマコード(参考)】
2B043
2B076
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA09
2B043BB14
2B043EA26
2B043EA37
2B043EA40
2B076AA03
2B076EA06
2B076EC12
2B076EC21
2B076ED27
5H301AA03
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301HH02
(57)【要約】
【課題】コンバインが予め設定された排出作業位置に毎回移動するのは、コンバインと穀粒運搬車の距離が遠い場合や未刈り穀稈を大きく迂回していかないといけない場合が多々あり、作業効率が悪くなる課題があった。そこで、作業効率の良い収穫作業が行なえる収穫機を提供する。
【解決手段】機体の位置情報を取得する測位装置27及び無線装置28を備える収穫機において、機体の位置情報を取得する搬送車用測位装置32、搬送車用無線装置33及び収穫機の排出装置8から排出される穀粒を貯留する回収装置31を装備する穀物搬送車30の位置情報と収穫機1の位置情報から収穫機1が穀物搬送車30に向かう移動経路Lを算出し、該移動経路Lに沿って機体を進行させて穀物搬送車30まで自動走行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(4)、作物を圃場から刈り取る刈取装置(15)、作物を引き継いで脱穀する脱穀装置(6)、穀粒を貯留する貯留装置(7)、貯留装置(7)から穀粒を機外に排出する排出装置(8)、機体の位置情報を取得する測位装置(27)及び無線装置(28)を備える収穫機において、機体の位置情報を取得する搬送車用測位装置(32)、搬送車用無線装置(33)及び収穫機の排出装置(8)から排出される穀粒を貯留する回収装置(31)を装備する穀物搬送車(30)の位置情報と収穫機(1)の位置情報から収穫機(1)が穀物搬送車(30)に向かう移動経路(L)を算出し、該移動経路(L)に沿って機体を進行させて穀物搬送車(30)まで自動走行することを特徴とする収穫機。
【請求項2】
貯留装置(7)内の穀粒が満杯または略満杯になったことの情報または排出走行モードになったことの情報により移動経路(L)を算出することを特徴とする請求項1記載の収穫機。
【請求項3】
移動経路(L)に沿って機体を進行させて穀物搬送車(30)まで自動走行する過程の初期段階に刈取装置(15)を非作業位置まで上昇させ、自動走行する過程中に機体の進行速度を変更することを特徴とする請求項1または請求項2記載の収穫機。
【請求項4】
収穫機(1)と穀物搬送車(30)間の通信が途絶えた時は、収穫機(1)を停止し、手動操作を優先することを特徴とする請求項1記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グレンタンク内に穀粒が一杯になると、コンバインが予め設定された穀粒運搬車がいる排出作業位置まで自動走行する。そして、穀粒運搬車は、穀粒が満杯になると所定の施設に移動して穀粒を降ろして再び予め設定された排出作業位置まで戻ってきて待機する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-069286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、コンバインが予め設定された排出作業位置に毎回移動するのは、コンバインと穀粒運搬車の距離が遠い場合や未刈り穀稈を大きく迂回していかないといけない場合が多々あり、作業効率が悪くなる課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、作業効率の良い収穫作業が行なえる収穫機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、走行装置4、作物を圃場から刈り取る刈取装置15、作物を引き継いで脱穀する脱穀装置6、穀粒を貯留する貯留装置7、貯留装置7から穀粒を機外に排出する排出装置8、機体の位置情報を取得する測位装置27及び無線装置28を備える収穫機において、機体の位置情報を取得する搬送車用測位装置32、搬送車用無線装置33及び収穫機の排出装置8から排出される穀粒を貯留する回収装置31を装備する穀物搬送車30の位置情報と収穫機1の位置情報から収穫機1が穀物搬送車30に向かう移動経路Lを算出し、該移動経路Lに沿って機体を進行させて穀物搬送車30まで自動走行する収穫機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、機体の位置情報を取得する搬送車用測位装置32、搬送車用無線装置33及び収穫機の排出装置8から排出される穀粒を貯留する回収装置31を装備する穀物搬送車30の位置情報と収穫機1の位置情報から収穫機1が穀物搬送車30に向かう移動経路Lを算出し、該移動経路Lに沿って機体を進行させて穀物搬送車30まで自動走行するので、収穫機1の穀物搬送車30への操作が不要となり、作業者の労力が軽減され、穀物搬送車30と収穫機1の位置情報を用いることにより、穀物搬送車30がどこに待機していても穀物搬送車30に向かう移動経路Lを簡潔に算出でき、作業効率の良い収穫作業が行なえる。
【0008】
請求項2記載の発明は、貯留装置7内の穀粒が満杯または略満杯になったことの情報または排出走行モードになったことの情報により移動経路Lを算出する請求項1記載の収穫機である。
【0009】
請求項3記載の発明は、移動経路Lに沿って機体を進行させて穀物搬送車30まで自動走行する過程の初期段階に刈取装置15を非作業位置まで上昇させ、自動走行する過程中に機体の進行速度を変更する請求項1または請求項2記載の収穫機である。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、移動経路Lに沿って機体を進行させて穀物搬送車30まで自動走行する過程の初期段階に刈取装置15を非作業位置まで上昇させ、自動走行する過程中に機体の進行速度を変更するので、穀物搬送車30までの走行を適切に行わせることができ、作業時間の短縮が図れる。
【0011】
請求項4記載の発明は、収穫機1と穀物搬送車30間の通信が途絶えた時は、収穫機1を停止し、手動操作を優先する請求項1記載の収穫機である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明における実施の形態のコンバインの側面図である。
図2】本発明における実施の形態のコンバインの自動誘導制御の作用を示す模式図である。
図3】本発明における実施の形態のコンバインの自動誘導制御の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態である収穫機としてのコンバイン1について添付図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、コンバイン1は、車台2の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3を張設した走行装置4を配設すると共に、該車台2上の左右に、フィードチェン5に挟持して搬送供給される穀稈を脱穀選別処理する脱穀装置6と、その穀粒を一時貯留する貯留装置としてのグレンタンク7と、このグレンタンク7に貯留された穀粒を機外へ排出する排出装置としての排穀オーガ8を載置配設し、この脱穀装置6の後端部に排藁処理装置9を装架する。排穀オーガ8は、穀粒の排出時にオーガ昇降シリンダ10を作動して起伏する。
【0015】
脱穀装置6の前方に、前端側から未刈穀稈を分草する分草体11と、分草した穀稈を引き起こす引起部12と、引き起こした穀稈を刈り取る刈刃部13と、刈り取った穀稈を掻き込むと共に搬送途中において扱深さを調節して前記フィードチェン5へ引き継ぎを行う供給調節搬送部14等を有する刈取装置15を、刈取昇降シリンダ16により土壌面に対して昇降自在になるよう車台2の前端部へ懸架配設して構成する。
【0016】
前記刈取装置15の後側上部にコンバイン1の操作制御を行う操作装置20と、操縦者が座る操作席21を設け、この操作席21の下方側にエンジン22を搭載し、後方側に前記グレンタンク7を配置すると共に、該操作装置20と操作席21を覆うキャビン23を設け、これら走行装置4,脱穀装置6,刈取装置15,操作装置20,エンジン22,キャビン23等をコンバインの車台2に装着する。
【0017】
なお、グレンタンク7には、グレンタンク7内に穀粒が満杯(所定量は収納可能な程度に満杯になった状態、標準的な圃場で1作業工程分の収穫作業は行える程度に満杯になった状態)になったことを検出する満杯センサが設けられている。また、エンジン22の燃料タンクには、燃料が残り少なくなったことを検出する燃料切れセンサが設けられている。
【0018】
また、キャビン23内の操作パネルに設けたモニタには、満杯センサがグレンタンク7内に穀粒が満杯になったことを検出するとグレンタンク満杯の警報や燃料切れセンサが燃料タンク内の燃料が残り少なくなったことを検出すると燃料切れの警報等が表示される。
【0019】
操作装置20は、操作席21に着座した操縦者による前後操作により前後進及び停止の切換えと主変速切換えを行う変速アクチュエータを作動させる主変速レバー24と、左右側への傾倒操作により左右走行クローラ3,3の左右サイドクラッチ及び左右サイドブレーキを操作する左右走行アクチュエータを作動させて直進時の左右操向及び各種旋回モードによる旋回を行わせ、前後方向の操作で刈取昇降シリンダ16を作動させて刈取装置15を昇降させる操向レバー25と、刈脱クラッチアクチュエータを作動させて刈取装置15と脱穀装置6の駆動を入り切りする刈脱レバー19と、排穀オーガ8先端部の排出口8aの位置をオーガ昇降シリンダ10の作動にて上下方向に移動し、左右旋回用アクチュエータの作動にて左右方向に移動させるオーガ操作レバーと、排穀オーガ8の駆動を入り切りするオーガ駆動電磁クラッチを作動させてグレンタンク7内の穀粒を排出口8aから機外に排出させるオーガ駆動切換えレバー等の各種操作具を備える。
【0020】
ここで、コンバイン1は、自律走行して収穫作業を自動で行う自動収穫作業モードとタブレット等の遠隔操作具で遠隔操作して収穫作業を行う遠隔操作モードと搭乗した操縦者が手動操作で収穫作業を行う手動操作モードに切換え自在である。
【0021】
キャビン23内の操作パネルには、収穫モード切換えダイヤルが設けてあり、該収穫モード切換えダイヤルにて自動収穫作業モードと遠隔操作モードと手動操作モードと排出走行モードに切換える。
【0022】
そして、キャビン23内部に制御装置26を設け、キャビン23上面に測位装置としてのGNSSアンテナ27と無線装置28が設けられている。
【0023】
制御装置26は、変速アクチュエータを作動させて主変速切換えを行って前後進及び停止と車速の変速を自動制御し、左右走行アクチュエータを作動させて左右旋回を自動制御し、刈取昇降シリンダ16を作動させて刈取装置15を昇降制御し、刈脱クラッチアクチュエータを作動させて刈取装置15と脱穀装置6の駆動を自動制御する。
【0024】
また、制御装置26は、圃場Fの往復刈り作業経路または回り刈り作業経路を付加した地図データを記憶している。
【0025】
そして、収穫モード切換えダイヤルを自動収穫作業モードにすると、圃場で測位衛星からの信号をGNSSアンテナ27が受信してGNSS(衛星測位システム)にて位置情報を算出しながら作業経路に沿って自律走行して自動的に収穫作業をし、後述するように条件が満たされた時に圃場Fに面した道路Rにて待機しているトラック等の穀物搬送車30に向かって自動誘導制御されて自動走行する。
【0026】
なお、自動走行中に主変速レバー24や操向レバー25や刈脱レバー19等の操作装置20が操縦者により操作されると、自動収穫作業モードから手動操作モードに切換えられ、以後、手動操作にてコンバイン1を操縦者が操作する状態となる。
【0027】
収穫モード切換えダイヤルを遠隔操作モードにすると、タブレット等の遠隔操作具の各種操作を無線装置28にて受信し、コンバイン1を遠隔操作具にて遠隔操作して収穫作業が行える。
【0028】
遠隔操作具の各種操作とは、変速アクチュエータを作動させて前後進及び停止の切換えと主変速切換えを行う主変速操作と、左右走行アクチュエータを作動させて左右走行クローラ3,3の左右サイドクラッチ及び左右ブレーキを操作する直進時の左右操向及び各種旋回モードによる旋回操作と、刈取昇降シリンダ16を作動させて刈取装置15を昇降させる昇降操作と、刈脱クラッチアクチュエータを作動させて刈取装置15と脱穀装置6の駆動を入り切りする刈脱駆動の入り切り操作と、オーガ昇降シリンダ10を作動させて排穀オーガ8先端部の排出口8aの位置を上下方向に移動し、左右旋回用アクチュエータを作動させて左右方向に移動するオーガ操作と、オーガ駆動電磁クラッチを作動させて排穀オーガ8の駆動を入り切りするオーガ駆動入り切り操作等である。
【0029】
収穫モード切換えダイヤルを手動操作モードにすると、操縦者が操作装置20を操作して手動にて収穫作業が行える。
【0030】
そして、遠隔操作モード及び手動操作モードにおいても、後述するように条件が満たされた時に圃場Fに面した道路Rにて待機しているトラック等の穀物搬送車30に向かって自動誘導制御されて自動走行する。
【0031】
また、制御装置26は、左右走行クローラ3を張設した走行装置4の駆動軸の回転数を検出する走行距離センサからの情報にて、コンバイン1の走行距離を算出する。
【0032】
ここで、圃場Fに面した道路Rに待機するトラック等の穀物搬送車30について詳述する。
【0033】
穀物搬送車30は、コンバイン1の排穀オーガ8から機外に排出される穀粒を受けて貯留するタンクまたはホッパーよりなる回収装置31を装備すると共に、搬送車用測位装置としての搬送車用GNSSアンテナ32、搬送車用無線装置33及び搬送車用制御装置34を装備している。
【0034】
搬送車用無線装置33は、コンバイン1の無線装置28と相互通信を行なって、搬送車用制御装置34とコンバイン1の制御装置26間の指令や情報を送受する。
【0035】
搬送車用制御装置34は、コンバイン1の制御装置26と同じ圃場Fの往復刈り作業経路または回り刈り作業経路を付加した地図データを記憶していると共に、測位衛星からの信号を搬送車用GNSSアンテナ32が受信してGNSS(衛星測位システム)にて自車の位置情報を算出し、コンバイン1の制御装置26が測位衛星からの信号をGNSSアンテナ27が受信してGNSS(衛星測位システム)にて算出したコンバイン1の位置情報を搬送車用無線装置33にて受信し、後述するように条件が満たされた時にコンバイン1が穀物搬送車30に向かって自動走行する移動経路Lを算出する。
【0036】
<コンバインの自動誘導制御>
図2は、自律走行、遠隔操作具による遠隔操作またはコンバイン1に搭乗した作業者による手動操作にて収穫作業を行っているコンバイン1が収穫作業を中断して圃場Fに面した道路Rに待機するトラック等の穀物搬送車30に向かって自動誘導制御されて自動走行する模式図を示す。
【0037】
図3は、自動誘導制御の制御フロー図を示す。
【0038】
圃場F内で往復刈り作業経路または回り刈り作業経路に沿って収穫作業を行なっているコンバイン1の制御装置26は、グレンタンク7内の穀粒が満杯になったことの満杯センサから情報を受けると、または収穫モード切換えダイヤルが排出走行モードに切換えられると、コンバイン1の無線装置28と穀物搬送車30の搬送車用無線装置33の相互通信により、該満杯センサからの情報または排出走行モードに切換えられた情報を搬送車用制御装置34に送ると共に、コンバイン1の自車位置の情報を送る。
【0039】
なお、コンバイン1の自車位置の情報は、自動誘導制御が終了するまで継続的に搬送車用制御装置34に送る。
【0040】
穀物搬送車30の搬送車用制御装置34は、満杯センサからの情報または排出走行モードに切換えられた情報を受けて、搬送車用制御装置34の位置情報とコンバイン1の位置情報からコンバイン1が穀物搬送車30に向かう移動経路Lを算出する。
【0041】
移動経路Lは、穀物搬送車30とコンバイン1を直線で結ぶ最短距離を設定するが、圃場Fの往復刈り作業経路または回り刈り作業経路を付加した地図データから判断して該最短距離では障害物(未刈り穀稈や圃場F内の構造物等)に干渉する場合には、障害物を迂回した経路が算出される。
【0042】
そして、搬送車用制御装置34は、コンバイン1が穀物搬送車30に向かう移動経路Lに沿って自動走行するように自動誘導制御する。
【0043】
なお、自動誘導制御の開始は、手動操作(変速操作、停止操作または操舵操作)が所定時間または所定距離進行する間行われないことを前提条件にして開始するようにしても良い。
【0044】
自動誘導制御は、コンバイン1の無線装置28と穀物搬送車30の搬送車用無線装置33の相互通信により、搬送車用制御装置34の指令をコンバイン1の制御装置26に送信して行なう。
【0045】
直線の移動経路Lが設定されている場合には、先ず、刈取昇降シリンダ16を作動させて刈取装置15を非作業位置まで上昇させ、変速アクチュエータを作動させて主変速切換えを行って車速を低速の作業速から高速の移動速にし、移動経路Lに沿ってコンバイン1を進行させる(コンバイン自動走行制御)。
【0046】
なお、進行開始後の所定時間経過後にコンバイン1の刈脱クラッチアクチュエータを作動させて刈取装置15と脱穀装置6の駆動を停止すると燃費効率が良い。
【0047】
移動経路Lに沿ってコンバイン1を進行させる際にコンバイン1が移動経路Lから所定距離以上にずれた場合には、左右走行アクチュエータを作動させて進行方向を変更して移動経路Lに戻して、コンバイン1を移動経路Lに沿って進行させる(コンバイン自動操舵制御)。
【0048】
そして、コンバイン1が穀物搬送車30に所定の距離まで近づくと、変速アクチュエータを作動させて主変速切換えを行って車速を高速の移動速から低速の作業速にし、穀物搬送車30に到達すると、変速アクチュエータを作動させて主変速を中立にして停止させる(コンバイン自動走行制御)。
【0049】
そして、排穀オーガ8先端部の排出口8aの位置をオーガ昇降シリンダ10の作動にて上下方向に移動し、左右旋回用アクチュエータの作動にて左右方向に移動させて、排出口8aを穀物搬送車30の回収装置31に臨ませてオーガ駆動電磁クラッチを作動させて排穀オーガ8の駆動を入りにしてグレンタンク7内の穀粒を排出口8aから回収装置31に排出する。
【0050】
また、障害物(未刈り穀稈等)を迂回した移動経路Lが設定されている場合には、先ず、刈取昇降シリンダ16を作動させて刈取装置15を非作業位置まで上昇させ、変速アクチュエータを作動させてコンバイン1を後進させた後に左右走行アクチュエータを作動させて左または右に迂回して、直線で穀物搬送車30に到達できる位置まで移動して、変速アクチュエータを作動させて主変速切換えを行って車速を低速の作業速から高速の移動速にし、移動経路Lに沿ってコンバイン1を進行させる(コンバイン自動走行制御、コンバイン自動操舵制御)。
【0051】
また、コンバイン1が穀物搬送車30に向かって自動誘導制御されて自動走行している際に、主変速レバー24や操向レバー25が手動操作されると(遠隔操作も含む)、自動誘導制御は中止される。
【0052】
従って、自動誘導制御中に異常事態が発生した場合には、作業者が手動操作することにより、即時に自動誘導制御は中止されて以後は手動操作による運転となるので、安全である。
【0053】
上記実施形態では、穀物搬送車30の搬送車用制御装置34がコンバイン1の制御装置26に指令を出して移動経路Lに沿ってコンバイン1を進行させる自動誘導制御の例を示したが、穀物搬送車30の搬送車用制御装置34がコンバイン1の制御装置26に算出した移動経路Lを送って、コンバイン1の制御装置26が移動経路Lに沿って自動走行制御及び自動操舵制御するようにしても良い。
【0054】
また、穀物搬送車30の搬送車用無線装置33とコンバイン1の無線装置28との相互通信が途絶えた時には、コンバイン1の制御装置26が変速アクチュエータを作動させて主変速を中立にして停止させ、手動操作を優先させる。
【0055】
そして、穀物搬送車30の搬送車用無線装置33とコンバイン1の無線装置28との相互通信が可能になれば、手動操作(変速操作、停止操作または操舵操作)が所定時間または所定距離進行する間行われない場合、自動走行制御及び自動操舵制御を開始する。
【0056】
以上要するに、コンバイン1のグレンタンク7内の穀粒が満杯になったことを満杯センサが検出すると、または収穫モード切換えダイヤルが排出走行モードに切換えられると、コンバイン1が穀物搬送車30から送信される情報(指令)を受信して、穀物搬送車30に向かう移動経路Lに沿って機体の走行速度の変速や左右操舵等を自動的に行なって自動走行するので、穀粒の排出作業位置への操作が不要となり、作業者の労力が軽減される。
【0057】
また、穀物搬送車30とコンバイン1の位置情報を用いることにより、穀物搬送車30とコンバイン1間の移動経路Lを簡潔に算出できる。
【0058】
また、穀物搬送車30から送信される情報(指令)により、コンバイン1の前後進の切換え、走行速度の増減速、刈取装置15や脱穀装置6の駆動停止を行うことにより、穀物搬送車30までの自動走行を適切に行わせることができ、作業時間の短縮が図れる。
【0059】
なお、上記実施形態では、穀物搬送車30の搬送車用制御装置34が搬送車用制御装置34の位置情報とコンバイン1の位置情報からコンバイン1が穀物搬送車30に向かう移動経路Lを算出する例を示したが、コンバイン1の制御装置26が搬送車用制御装置34の位置情報とコンバイン1の位置情報からコンバイン1が穀物搬送車30に向かう移動経路Lを算出して、該移動経路Lに沿って穀物搬送車30までの自動走行する制御でも良い。
【符号の説明】
【0060】
4 走行装置
6 脱穀装置
7 貯留装置(グレンタンク)
8 排出装置(排穀オーガ)
15 刈取装置
27 測位装置(GNSSアンテナ)
28 無線装置
30 穀物搬送車
31 回収装置
32 搬送車用測位装置(搬送車用GNSSアンテナ)
33 搬送車用無線装置
L 移動経路
図1
図2
図3