(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107673
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】半導体装置および振動デバイス
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20240802BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20240802BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H03B5/32 H
H01L23/14 S
H01L23/12 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011719
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】松澤 勇介
【テーマコード(参考)】
5J079
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA43
5J079BA47
5J079HA02
5J079HA07
5J079HA16
5J079HA28
5J079HA29
(57)【要約】
【課題】有機絶縁層の膜厚が薄くなることを低減できる半導体装置を提供する。
【解決手段】第1面および第2面を含み、第1貫通孔が形成された半導体基板と、前記第1面に配置され、第3面および第4面を含み、前記第1貫通孔と重なる位置に第2貫通孔が形成された第1絶縁層と、前記第2面に配置され、前記第1貫通孔と重なる位置に第1開口部が形成された第2絶縁層と、前記第1開口部によって前記第2絶縁層から露出した第1導電層と、前記第4面、前記第2貫通孔の側面、前記第1貫通孔の側面、前記第1開口部の側面、および前記第1導電層の表面に配置され、前記第1開口部と重なる第2開口部が形成された有機絶縁層と、前記有機絶縁層の表面、および前記第2開口部によって前記有機絶縁層から露出した前記第1導電層の表面に配置された第2導電層と、を備え、前記第2貫通孔の側面は、第1テーパー面である、半導体装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および前記第1面と表裏の関係にある第2面を含み、前記第1面から前記第2面まで貫通する第1貫通孔が形成された半導体基板と、
前記第1面に配置され、前記半導体基板側の第3面および前記第3面と表裏の関係にある第4面を含み、前記第1貫通孔と重なる位置に第2貫通孔が形成された第1絶縁層と、
前記第2面に配置され、前記第1貫通孔と重なる位置に第1開口部が形成された第2絶縁層と、
前記第1開口部によって前記第2絶縁層から露出した第1導電層と、
前記第4面、前記第2貫通孔の側面、前記第1貫通孔の側面、前記第1開口部の側面、および前記第1導電層の表面に配置され、前記第1開口部と重なる第2開口部が形成された有機絶縁層と、
前記第4面、前記第2貫通孔の側面、前記第1貫通孔の側面、前記第1開口部の側面、および前記第1導電層の表面に配置された前記有機絶縁層の表面、および前記第2開口部によって前記有機絶縁層から露出した前記第1導電層の表面に配置された第2導電層と、を備え、
前記第2貫通孔の側面は、第1テーパー面である、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1貫通孔の側面は、前記第1面側の端部に第2テーパー面を有し、
前記第3面と前記第2テーパー面が凹部を形成し、
前記凹部には、前記有機絶縁層が配置されている、半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記有機絶縁層は、前記第1貫通孔の前記第1面側の開口から前記第1貫通孔の前記第2面側の開口に向かうにしたがって厚さが大きくなる部分を有している、半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1貫通孔内に配置されている前記第2導電層によって囲まれた凹部には、金属材料が埋設されている、半導体装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載された半導体装置と、
前記第1面に配置された振動素子と、
前記半導体基板の前記第1面に接合され、前記振動素子を収容する空間を形成する蓋体と、
を備え、
前記半導体基板の前記第2面には、前記振動素子を発振させる発振回路が形成され、
前記振動素子は、前記第2導電層および前記第1導電層を介して、前記発振回路に電気的に接続されている、振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体基板を貫通する貫通電極において、半導体基板と導電層との間でリークが発生することを防止するために、貫通孔の内壁に形成された絶縁層を覆う有機絶縁層を形成し、有機絶縁層上に導電層を形成した半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された半導体装置では、有機絶縁層は有機絶縁材料を含む溶液を塗布して形成されるため、貫通孔の角部において有機絶縁層の膜厚が薄くなってしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る半導体装置の一態様は、
第1面および前記第1面と表裏の関係にある第2面を含み、前記第1面から前記第2面まで貫通する第1貫通孔が形成された半導体基板と、
前記第1面に配置され、前記半導体基板側の第3面および前記第3面と表裏の関係にある第4面を含み、前記第1貫通孔と重なる位置に第2貫通孔が形成された第1絶縁層と、
前記第2面に配置され、前記第1貫通孔と重なる位置に第1開口部が形成された第2絶縁層と、
前記第1開口部によって前記第2絶縁層から露出した第1導電層と、
前記第4面、前記第2貫通孔の側面、前記第1貫通孔の側面、前記第1開口部の側面、および前記第1導電層の表面に配置され、前記第1開口部と重なる第2開口部が形成された有機絶縁層と、
前記第4面、前記第2貫通孔の側面、前記第1貫通孔の側面、前記第1開口部の側面、および前記第1導電層の表面に配置された前記有機絶縁層の表面、および前記第2開口部によって前記有機絶縁層から露出した前記第1導電層の表面に配置された第2導電層と、を備え、
前記第2貫通孔の側面は、第1テーパー面である。
【0006】
本発明に係る振動デバイスの一態様は、上記半導体装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る振動デバイスを模式的に示す斜視図。
【
図2】第1実施形態に係る振動デバイスを模式的に示す平面図。
【
図3】第1実施形態に係る振動デバイスを模式的に示す断面図。
【
図5】半導体装置の製造方法の一例を示すフローチャート。
【
図6】半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図7】半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図8】半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図9】半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図10】半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図11】半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図12】半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図13】半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図14】第1変形例に係る半導体装置を模式的に示す断面図。
【
図15】第2変形例に係る半導体装置を模式的に示す断面図。
【
図16】第2実施形態に係る振動デバイスの半導体装置を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1. 第1実施形態
1.1. 振動デバイス
まず、第1実施形態に係る振動デバイスについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る振動デバイス100を模式的に示す斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る振動デバイス100を模式的に示す平面図である。
図3は、第1実施形態に係る振動デバイス100を模式的に示す断面図である。なお、
図3は、
図1および
図2のIII-III線断面図である。
【0010】
振動デバイス100は、
図1~
図3に示すように、半導体装置10と、振動素子20と、蓋体30と、を備えている。なお、
図2では、便宜上、蓋体30の図示を省略している。また、
図3では、半導体装置10を簡略化して図示している。
【0011】
半導体装置10は、半導体基板110と、第1絶縁層120と、第2絶縁層130と、を備えている。半導体基板110は、第1面110aと、第1面110aと表裏の関係にある第2面110bと、を有している。半導体基板110は、例えば、シリコン基板である。半導体基板110は、シリコン基板に限定されず、ゲルマニウム基板、窒化ガリウム基板などであってもよい。
【0012】
半導体基板110は、振動素子20を発振させる発振回路を備えている。発振回路は、半導体基板110の第2面110bに配置されている。図示はしないが、半導体基板110の第2面110bには、発振回路を構成するトランジスター、ダイオード等の回路要素が形成されている。
【0013】
発振回路は、例えば、振動素子20を発振させてクロック信号等の基準信号の周波数を生成する。振動デバイス100が発振回路を備えることにより、振動デバイス100を水晶発振器として用いることができる。なお、半導体装置10は、発振回路を含んでいなくてもよく、この場合、振動デバイス100を水晶振動子として用いることができる。なお、半導体基板110は、振動素子20の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路などを備えていてもよい。
【0014】
第1絶縁層120は、半導体基板110の第1面110aに配置されている。第1絶縁層120の材質は、例えば、酸化シリコンである。第2絶縁層130は、半導体基板110の第2面110bに配置されている。第2絶縁層130は、半導体基板110の第2面110bに形成された回路要素を覆っている。図示はしないが、第2絶縁層130には、複数の配線や複数のパッドが設けられている。第2絶縁層130は、層間絶縁膜である。
第2絶縁層130の材質は、例えば、酸化シリコンである。なお、第1絶縁層120および第2絶縁層130の材質は、酸化シリコンに限定されず、窒化シリコンなどの絶縁材料であってもよい。
【0015】
半導体装置10には、第1絶縁層120および半導体基板110を貫通する第1貫通電極2および第2貫通電極4が形成されている。
【0016】
振動素子20は、半導体基板110の第1面110aに配置されている。振動素子20は、例えば、圧電駆動型の振動素子である。振動素子20は、例えば、素子基板22と、第1励振電極24と、第2励振電極26と、を備えている。素子基板22は、例えば、水晶基板である。素子基板22は、例えば、厚みすべり振動モードで振動するATカット水晶基板である。なお、素子基板22は、ATカット水晶基板に限定されず、ATカット水晶基板以外の水晶基板、例えば、Xカット水晶基板、Yカット水晶基板、Zカット水晶基板、BTカット水晶基板、SCカット水晶基板、STカット水晶基板等から形成されていてもよい。
【0017】
なお、素子基板22の構成材料は、水晶に限定されず、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム、ランガライト、ニオブ酸カリウム、リン酸ガリウム等の圧電単結晶体により構成されていてもよいし、これら以外の圧電単結晶体により構成されていてもよい。また、振動素子20は、例えば、シリコン基板等の基板に圧電膜および電極を配置した、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動素子であってもよい。
【0018】
第1励振電極24および第2励振電極26は、素子基板22の表裏の関係にある2つの面にそれぞれ配置されている。第1励振電極24および第2励振電極26の材質は、例えば、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、タングステン等の金属材料、またはこれら金属材料を含む合金である。
【0019】
なお、振動素子20は、圧電駆動型の振動素子に限定されず、静電気力を用いた静電駆動型の振動素子、複数の振動腕が面内方向に屈曲振動する音叉型振動素子、複数の振動腕が面外方向に屈曲振動する音叉型振動素子、駆動振動する駆動腕および検出振動する検出腕を備え角速度を検出するジャイロセンサー素子、または加速度を検出する検出部を備えた加速度センサー素子であってもよい。
【0020】
蓋体30は、半導体基板110の第1面110aに配置されている。蓋体30は、例えば、シリコン基板で構成されている。蓋体30は、半導体基板110とともに振動素子20を収容する空間であるキャビティーSを形成している。蓋体30は、キャビティーSを形成するための凹部を有している。キャビティーSは、半導体基板110および蓋体30によって気密に封止された空間である。発振回路が形成された半導体基板110がキャビティーSを形成するパッケージの一部を構成しているため、振動デバイス100では、薄型化および小型化を図ることができる。
【0021】
蓋体30は、接合層32を介して半導体基板110の第1面110aに接合されている。蓋体30と半導体基板110とは、接合層32を介して、活性化接合により接合されている。接合層32は、例えば、厚さが100nm程度の金層である。なお、接合層32の材質は金に限定されず、銅やアルミニウムなどを用いてもよい。また、シリコンからなる半導体基板110とシリコンからなる蓋体30を活性化させて直接接合してもよい。
【0022】
活性化接合は、アルゴンガスなどのエネルギービームを接合層32に照射することにより、接合層32の表面を活性化させた後に、接合層32を介して蓋体30と半導体基板1
10を接合させる方法である。このような活性化接合によれば、金原子が接触面において拡散、再組織化を生じて接合が行われるため、接合界面のない強固な接合となる。また、接合層32の表面を平滑にすることにより、接合層32の表面の自由表面エネルギーのみで接合できるので、常温でかつ積極的な加圧をせずに接合できる。
【0023】
半導体基板110の第1面110aには、第1絶縁層120を介して第1マウント電極40および第2マウント電極42が設けられている。第1マウント電極40は、第1導電性接合部材41を介して、振動素子20の第1励振電極24に電気的に接続されている。第2マウント電極42は、第2導電性接合部材43を介して、振動素子20の第2励振電極26に電気的に接続されている。
【0024】
第1導電性接合部材41および第2導電性接合部材43は、振動素子20を支持している。第1導電性接合部材41および第2導電性接合部材43としては、例えば、金バンプやはんだバンプなどの金属バンプや、導電性フィラーを分散させた樹脂接着剤などが挙げられる。
【0025】
第1マウント電極40は、第1貫通電極2を介して半導体基板110の第2面110bに配置された発振回路に電気的に接続されている。第2マウント電極42は、第2貫通電極4を介して半導体基板110の第2面110bに配置された発振回路に電気的に接続されている。したがって、振動素子20の第1励振電極24は、第1導電性接合部材41、第1マウント電極40、および第1貫通電極2を介して発振回路に電気的に接続されている。振動素子20の第2励振電極26は、第2導電性接合部材43、第2マウント電極42、および第2貫通電極4を介して発振回路に電気的に接続されている。
【0026】
発振回路は、第2絶縁層130の表面に配置された第1外部接続端子50、第2外部接続端子52、および第3外部接続端子54と電気的に接続されている。第1外部接続端子50は、例えば、発振回路と電気的に接続された電源外部端子である。第2外部接続端子52は、例えば、グランド外部端子である。第3外部接続端子54は、例えば、発振出力外部端子である。発振回路は、電源外部端子である第1外部接続端子50を介して外部から供給された電源により駆動し、振動素子20を発振させて発振信号を生成し、発振出力外部端子である第3外部接続端子54を介して外部へ発振信号を出力する。
【0027】
1.2. 半導体装置
次に、半導体装置10について説明する。
図4は、半導体装置10を模式的に示す断面図である。
図4は、
図3に対応している。半導体装置10は、上述したように、半導体基板110と、第1絶縁層120と、第2絶縁層130と、を備えている。半導体装置10は、さらに、第1導電層140と、有機絶縁層150と、第2導電層160と、を備えている。
【0028】
半導体基板110には、第1面110aから第2面110bまで貫通する第1貫通孔112が形成されている。第1貫通孔112の側面112a、すなわち、第1貫通孔112を規定する半導体基板110の側面は、有機絶縁層150で覆われている。
【0029】
第1絶縁層120は、半導体基板110側の第3面120aと、第3面120aとは表裏の関係にある第4面120bと、を有している。第1絶縁層120には、第4面120bから第3面120aまで貫通する第2貫通孔122が形成されている。第2貫通孔122は、半導体基板110の第1面110aの垂線に沿った方向から見て、第1貫通孔112に重なる位置に形成されている。第1貫通孔112と第2貫通孔122は、連通している。第2貫通孔122の側面122a、すなわち、第2貫通孔122を規定する第1絶縁層120の測面は、有機絶縁層150で覆われている。
【0030】
第2貫通孔122の側面122aは、テーパー面(第1テーパー面)である。第2貫通孔122の側面122aは、第1絶縁層120の第3面120aおよび第4面120bに対して傾斜している。第2貫通孔122の側面122aがテーパー面であることによって、第2貫通孔122は、第2貫通孔122の第4面120b側の開口から第2貫通孔122の第3面120a側の開口に向かうにしたがって直径が小さくなる。
【0031】
第1貫通孔112の側面112aは、第2テーパー面112bと、垂直面112cと、を有している。第2テーパー面112bは、半導体基板110の第1面110a側の端部に形成されている。第2テーパー面112bは、第1面110aに対して傾斜している。第1貫通孔112の第2テーパー面112bによって規定される部分は、第1貫通孔112の第1面110a側の開口から第1貫通孔112の第2面110b側の開口に向かうにしたがって直径が小さくなる。
【0032】
垂直面112cは、
図4に示すように、半導体基板110の第2面110bに対して垂直な面である。垂直面112cは、第2テーパー面112bと半導体基板110の第2面110bとを接続している。垂直面112cと第2テーパー面112bは、連続している。第1貫通孔112の垂直面112cによって規定される部分は、直径が一定である。
【0033】
第1絶縁層120の第3面120aと第2テーパー面112bは、凹部6を形成している。凹部6は、第3面120aと第2テーパー面112bで規定された空間である。凹部6は、第1絶縁層120と半導体基板110との境界部分に形成されている。凹部6は、第1貫通孔112の側面112aに形成された窪みである。凹部6の深さは、例えば、1μm以上、且つ4μm以下である。凹部6には、有機絶縁層150が配置されている。凹部6には、有機絶縁層150が埋設されている。
【0034】
第2絶縁層130は、半導体基板110の第2面110bに配置されている。第2絶縁層130中には、第1導電層140が設けられている。第2絶縁層130には、第1開口部132が形成されている。第2絶縁層130に第1開口部132が形成されることによって、第1導電層140の表面140aは第2絶縁層130から露出する。すなわち、第2絶縁層130に第1開口部132が形成されることによって、第1導電層140の表面140aには第2絶縁層130で覆われていない部分が形成される。第1開口部132は、半導体基板110の第1面110aの垂線に沿った方向から見て、第1貫通孔112に重なる位置に配置されている。第1開口部132は、第1貫通孔112に連通している。第1開口部132の側面132a、すなわち、第1開口部132を規定する第2絶縁層130の側面は、有機絶縁層150で覆われている。
【0035】
第1導電層140は、第2絶縁層130中に配置されている。第1導電層140の表面140aは、第2絶縁層130に形成された第1開口部132によって第2絶縁層130から露出している。また、第1導電層140は、有機絶縁層150に形成された第2開口部152によって有機絶縁層150から露出している。第1導電層140は、第2絶縁層130中に設けられた、図示しない配線を介して、半導体基板110に形成された発振回路に電気的に接続されている。第1導電層140は、例えば、発振回路と振動素子20とを電気的に接続するための電極パッドである。第1導電層140の材質は、例えば、アルミニウム、銅などである。
【0036】
有機絶縁層150は、第1絶縁層120の第4面120b、第2貫通孔122の側面122a、第1貫通孔112の側面112a、第1開口部132の側面132a、および第1導電層140の表面140aに配置されている。有機絶縁層150は、例えば、感光性樹脂である。感光性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリ
ル系樹脂などを用いることができる。
【0037】
有機絶縁層150には、第2開口部152が形成されている。有機絶縁層150に第2開口部152が形成されることによって、第1導電層140の表面140aは有機絶縁層150から露出する。すなわち、有機絶縁層150に第2開口部152が形成されることによって、第1導電層140の表面140aには有機絶縁層150で覆われていない部分が形成される。第2開口部152は、半導体基板110の第1面110aの垂線に沿った方向から見て、第1開口部132に重なっている。第2開口部152は、第1開口部132内に形成されている。
【0038】
有機絶縁層150は、第1貫通孔112の第1面110a側の開口から第1貫通孔112の第2面110b側の開口に向かうにしたがって厚さが大きくなる部分を有している。
図4に示す例では、第1貫通孔112の垂直面112cに配置された有機絶縁層150が、第1貫通孔112の第1面110a側の開口から第1貫通孔112の第2面110b側の開口に向かうにしたがって厚さが大きくなっている。第1貫通孔112内における有機絶縁層150の厚さは、第1貫通孔112の側面112aの垂線方向の有機絶縁層150の大きさである。
【0039】
第2導電層160は、有機絶縁層150の表面150aおよび第1導電層140の表面140aに配置されている。有機絶縁層150の表面150aは、第1絶縁層120の第4面120b、第2貫通孔122の側面122a、第1貫通孔112の側面112a、第1開口部132の側面132a、および第1導電層140の表面140aに配置された有機絶縁層150の表面で構成されている。第2導電層160は、図示しないが、バリア層と、バリア層上に積層される金属層と、を有している。バリア層の材質は、例えば、チタンとタングステンの合金である。金属層の材質は、例えば、銅または金である。なお、第2導電層160の材質は、上記の例に限定されない。例えば、第2導電層160は、バリア層を有していなくてもよい。
【0040】
第2導電層160は、第1マウント電極40および第1貫通電極2として機能する。第1マウント電極40は、半導体基板110の第1面110aに第1絶縁層120を介して配置された第2導電層160で構成されている。第1貫通電極2は、第2貫通孔122の側面122a、第1貫通孔112の側面112a、第1開口部132の側面132a、および第1導電層140の表面140aに、有機絶縁層150を介して配置された第2導電層160で構成されている。
【0041】
なお、第2貫通電極4の構成は、上述した
図4に示す第1貫通電極2の構成と同様であり、その説明を省略する。
【0042】
1.3. 半導体装置の製造方法
図5は、半導体装置10の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図6~
図13は、半導体装置10の製造工程を模式的に示す断面図である。
図6~
図13は、
図4に対応している。
【0043】
まず、
図6に示すように、第2絶縁層130が配置された半導体基板110を準備する(S10)。半導体基板110の第2面110bには発振回路を構成する回路要素が形成されており、第2絶縁層130は回路要素を覆っている。第2絶縁層130中には、発振回路に電気的に接続された第1導電層140が形成されている。
【0044】
次に、半導体基板110を所望の厚さに研磨する(S20)。例えば、半導体基板110は、70μm程度に研磨される。
【0045】
次に、
図7に示すように、半導体基板110の第1面110aに第1絶縁層120を形成する(S30)。例えば、酸化シリコン層である第1絶縁層120は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜できる。第1絶縁層120の膜厚は、例えば、1μm程度である。
【0046】
次に、
図8に示すように、第1絶縁層120をエッチングして、第1絶縁層120の第4面120bから第3面120aまで貫通する第2貫通孔122を形成する(S40)。具体的には、まず、第1絶縁層120の第4面120bに第2貫通孔122に対応する開口部を有するレジスト層Rを形成する。次に、レジスト層Rをマスクとして、第1絶縁層120をエッチングする。第1絶縁層120のエッチングは、例えば、フッ化水素酸系のエッチング液を用いたウェットエッチングで行われる。これにより、第1絶縁層120を等方的にエッチングできる。第1絶縁層120を等方的にエッチングすることによって、第2貫通孔122の側面122aは、第1絶縁層120の第3面120aおよび第4面120bに対して傾斜したテーパー面となる。
【0047】
次に、
図9に示すように、半導体基板110をエッチングして、半導体基板110に第1面110aから第2面110bまで貫通する第1貫通孔112を形成する(S50)。
【0048】
具体的には、まず、
図9に示すように、レジスト層Rおよび第1絶縁層120をマスクとして、半導体基板110を等方的にエッチングする。例えば、シリコン基板からなる半導体基板110をドライエッチングにより等方性エッチングする。これにより、半導体基板110が深さ方向にエッチングされるとともに横方向にもエッチングされ、半導体基板110に凹部111が形成される。半導体基板110を等方的にエッチングすることによって、凹部111の側面には、半導体基板110の第1面110aに対して傾斜した第2テーパー面112bが形成される。また、第2テーパー面112bおよび第1絶縁層120の第3面120aによって、半導体基板110と第1絶縁層120の境界部分に凹部6が形成される。
【0049】
次に、
図10に示すように、レジスト層Rおよび第1絶縁層120をマスクとして、半導体基板110を深さ方向に異方性エッチングする。例えば、ボッシュ法を用いて、半導体基板110を深さ方向に異方性エッチングする。ボッシュ法では、エッチングガスにより半導体基板110をエッチングするエッチング工程と、第1貫通孔112の側面112aに保護膜を形成するデポジション工程と、が交互に行われる。そのため、ボッシュ法を用いることにより、高いアスペクト比のエッチングができる。半導体基板110のエッチングは、ストッパー層として機能する第2絶縁層130に到達するまで行われる。このように、半導体基板110を、等方性エッチングと異方性エッチングの2段階でエッチングすることによって、第2テーパー面112bと垂直面112cで構成された側面112aを有する第1貫通孔112を形成できる。
【0050】
次に、
図11に示すように、レジスト層Rをマスクとして第2絶縁層130をエッチングすることによって、第2絶縁層130に第1開口部132を形成する(S60)。酸化シリコン層からなる第2絶縁層130は、例えば、CHF3やCF4などを用いたドライエッチング、またはフッ化水素酸系のエッチング液を用いたウェットエッチングによりエッチングできる。第1開口部132は、第1貫通孔112に連通するように形成される。第2絶縁層130に第1開口部132が形成されることによって、第1導電層140の表面140aが露出する。第2貫通孔122、第1貫通孔112、および第1開口部132は、連通しており、1つの開口部7を形成する。第2絶縁層130に第1開口部132が形成された後、レジスト層Rを除去する。
【0051】
次に、
図12に示すように、第1絶縁層120の第4面120bおよび開口部7内に有機絶縁層150を形成する(S70)。
【0052】
具体的には、まず、
図12に示すように、第1絶縁層120の第4面120bおよび開口部7内に、スピンコート法により、感光性樹脂材料を含む溶液を塗布する。ここで、第2貫通孔122の側面122aは、テーパー面である。そのため、開口部7の角部7a、すなわち、第2貫通孔122の側面122aと第1絶縁層120の第4面120bとがなす角部において、有機絶縁層150の膜厚が薄くなることを低減できる。第2貫通孔122の側面122aをテーパー面とすることによって、開口部7の角部7aは面取りされる。そのため、半導体装置10では、例えば、開口部7の角部7aが直角である場合と比べて、溶液が付きやすい。したがって、半導体装置10では、開口部7の角部7aにおいて、有機絶縁層150の膜厚が薄くなることを低減できる。
【0053】
また、第1貫通孔112の側面112aは、半導体基板110の第1面110a側の端部に第2テーパー面112bを有し、第1絶縁層120の第3面120aと第2テーパー面112bが凹部6を形成している。第1絶縁層120と半導体基板110との境界部分に凹部6が形成されることによって、感光性樹脂材料を含む溶液は第2貫通孔122の側面122aを伝って凹部6にまわりこみ、凹部6に溶液が溜まる。そのため、半導体装置10では、例えば、第1絶縁層120と半導体基板110との境界部分に凹部6が形成されない場合と比べて、有機絶縁層150の膜厚が薄くなることを低減できる。
【0054】
感光性樹脂材料を含む溶液は、開口部7内に入り込むため、開口部7内において、有機絶縁層150には凹部8が形成される。
【0055】
次に、
図13に示すように、有機絶縁層150に第1導電層140を露出させる第2開口部152を形成する(S80)。具体的には、まず、有機絶縁層150の第2開口部152に対応する部分を露光する。次に、有機絶縁層150を現像する。これにより、有機絶縁層150の第2開口部152に対応する部分が除去されて、有機絶縁層150に第2開口部152が形成される。なお、有機絶縁層150に第2開口部152を形成する際に、第1絶縁層120の第4面120bに配置された有機絶縁層150を露光および現像してパターニングしてもよい。
【0056】
有機絶縁層150を露光および現像することによって、有機絶縁層150には、
図12に示す有機絶縁層150の凹部8の形状が反映される。これにより、有機絶縁層150には、第1貫通孔112の第1面110a側の開口から第1貫通孔112の第2面110b側の開口に向かうにしたがって厚さが大きくなる部分が形成される。また、半導体基板110の第1面110a側から有機絶縁層150に照射される光は、半導体基板110の第1面110a側から第2面110b側に向かうにしたがって減衰する。さらに、半導体基板110の第1面110a側から有機絶縁層150に照射される光は、
図12に示す凹部8の底面のメニスカス形状により回折する。このような光の減衰および光の回折によって、現像された有機絶縁層150には、第1貫通孔112の第1面110a側の開口から第1貫通孔112の第2面110b側の開口に向かうにしたがって厚さが大きくなる部分が形成される。
【0057】
ここで、有機絶縁層150の膜厚が薄い場合、有機絶縁層150に第2開口部152を形成する工程において、有機絶縁層150の膜厚が減少してしまう膜べりが生じることによって、第1絶縁層120や半導体基板110が露出してしまうおそれがある。第1絶縁層120や半導体基板110が露出してしまうと、第2導電層160のカバレージが低下し、第2導電層160の断線の原因となる。半導体装置10では、上述したように、開口部7の角部7aにおいて、有機絶縁層150の膜厚が薄くなることを低減できる。そのた
め、有機絶縁層150に第2開口部152を形成する工程において、第1絶縁層120や半導体基板110が露出してしまう可能性を低減できる。
【0058】
なお、上記では、有機絶縁層150がポジ型の感光性樹脂材料である場合について説明したが、有機絶縁層150は、ネガ型の感光性樹脂材料であってもよい。有機絶縁層150は、ネガ型の感光性樹脂材料である場合、有機絶縁層150の第2開口部152に対応する部分以外の部分を露光すればよい。
【0059】
次に、有機絶縁層150をポストベークして、有機絶縁層150を硬化させる。
【0060】
次に、
図4に示すように、有機絶縁層150の表面150a、第2開口部152によって有機絶縁層150から露出した第1導電層140の表面140a、および第1絶縁層120の第4面120bに、第2導電層160を形成する(S90)。例えば、チタンとタングステンの合金からなるバリア層をスパッタ法で成膜した後、銅からなる金属層をスパッタ法で成膜し、成膜されたバリア層および金属層をパターニングすることによって第2導電層160を形成できる。なお、バリア層および金属層の成膜方法は、スパッタ法に限定されず、例えば、めっき法などを用いてもよい。
【0061】
ここで、有機絶縁層150は、第1貫通孔112の第1面110a側の開口から第1貫通孔112の第2面110b側の開口に向かうにしたがって厚さが大きくなる部分を有している。そのため、第1貫通孔112内において、有機絶縁層150の表面150aは、半導体基板110の第1面110aに対して傾斜するテーパー面となる。したがって、半導体装置10では、例えば、有機絶縁層150の表面150aが第1面110aに対して垂直な場合と比べて、第2導電層160のカバレージを向上できる。
【0062】
このようにして、第1貫通電極2および第1マウント電極40として機能する第2導電層160を形成できる。なお、第2貫通電極4および第2マウント電極42も、第1貫通電極2および第1マウント電極40と同様に製造できるため、その製造方法の説明を省略する。
【0063】
以上の工程により、半導体装置10を製造できる。
【0064】
1.4. 振動デバイスの製造方法
次に、振動デバイス100の製造方法について説明する。まず、上述した製造方法で半導体装置10を製造する。次に、
図2および
図3に示すように、半導体基板110の第1面110aに配置された第1マウント電極40に、第1導電性接合部材41を形成する。同様に、半導体基板110の第1面110aに配置された第2マウント電極42に第2導電性接合部材43を形成する。
【0065】
次に、第1導電性接合部材41および第2導電性接合部材43に振動素子20を接合させる。このとき、振動素子20の第1励振電極24は、第1導電性接合部材41を介して第1マウント電極40に電気的に接続される。振動素子20の第2励振電極26は、第2導電性接合部材43を介して第2マウント電極42に電気的に接続される。
【0066】
次に、半導体基板110に第1面110aに接合層32を形成し、接合層32を介して半導体基板110と蓋体30を活性化接合により接合する。これにより、振動素子20をキャビティーSに収容できる。
【0067】
以上の工程により、振動デバイス100を製造できる。
【0068】
1.5. 作用効果
半導体装置10では、第2貫通孔122の側面122aは、第1テーパー面である。そのため、半導体装置10では、第2貫通孔122の側面122aと第1絶縁層120の第4面120bとがなす角部、すなわち、開口部7の角部7aにおいて、有機絶縁層150の膜厚が薄くなることを低減できる。したがって、半導体装置10では、半導体基板110と第2導電層160との間の絶縁性を向上でき、第1貫通電極2の信頼性を向上できる。
【0069】
半導体装置10では、第1貫通孔112の側面112aは、半導体基板110の第1面110a側の端部に第2テーパー面112bを有している。また、第1絶縁層120の第3面120aと第2テーパー面112bが凹部6を形成し、凹部6には有機絶縁層150が配置されている。このように、半導体装置10では、第1絶縁層120と半導体基板110との境界部分に凹部6が形成されることによって、開口部7の角部7aにおいて、有機絶縁層150の膜厚が薄くなることを低減できる。したがって、半導体装置10では、半導体基板110と第2導電層160との間の絶縁性を向上でき、第1貫通電極2の信頼性を向上できる。
【0070】
半導体装置10では、有機絶縁層150は、第1貫通孔112の第1面110a側の開口から第1貫通孔112の第2面110b側の開口に向かうにしたがって厚さが大きくなる部分を有している。そのため、半導体装置10では、第1貫通孔112内において、有機絶縁層150の表面150aは、半導体基板110の第1面110aに対して傾斜するテーパー面となる。したがって、半導体装置10では、有機絶縁層150の表面150aが第1面110aに対して垂直な場合と比べて、有機絶縁層150の表面150aに配置される第2導電層160のカバレージを向上できる。これにより、第2導電層160の電気抵抗を下げることができる。
【0071】
振動デバイス100は、半導体装置10と、振動素子20と、蓋体30と、を備えている。また、振動デバイス100では、半導体基板110の第2面110bには振動素子20を発振させる発振回路が形成されている。また、振動デバイス100では、半導体基板110の第1面110aに配置された振動素子20は、第1貫通電極2を構成する第2導電層160、および第1導電層140を介して、発振回路に接続されている。振動デバイス100では、上述したように、第2導電層160で構成された第1貫通電極2の信頼性を向上できるため、確実に振動素子20と発振回路を電気的に接続できる。したがって、振動デバイス100では、信頼性を向上できる。
【0072】
1.6. 変形例
1.6.1. 第1変形例
図14は、第1変形例に係る半導体装置10Aを模式的に示す断面図である。以下、半導体装置10Aにおいて、上述した
図4に示す半導体装置10の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0073】
半導体装置10Aでは、
図14に示すように、第1貫通孔112内に配置されている第2導電層160によって囲まれた凹部162には、金属材料170が埋設されている。金属材料170は、例えば、銅である。なお、金属材料170は、導電性を有する金属であれば特に限定されない。
【0074】
金属材料170は、例えば、導電性ペーストを印刷する印刷法や、めっき法を用いて、凹部162に埋設できる。
【0075】
半導体装置10Aでは、半導体装置10と同様の作用効果を奏することができる。さら
に、半導体装置10Aでは、第1貫通孔112内に配置されている第2導電層160によって囲まれた凹部162には、金属材料170が埋設されている。半導体装置10Aでは、第2導電層160と金属材料170が第1貫通電極2として機能する。したがって、半導体装置10Aでは、例えば、第1貫通電極2が第2導電層160のみからなる場合と比べて、第1貫通電極2の信頼性を向上できる。
【0076】
1.6.2. 第2変形例
図15は、第2変形例に係る半導体装置10Bを模式的に示す断面図である。以下、半導体装置10Bにおいて、上述した
図4に示す半導体装置10の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0077】
半導体装置10Bでは、
図15に示すように、有機絶縁層150は、第1貫通孔112の第1面110a側の開口から第1貫通孔112の第2面110b側の開口に向かう方向において、厚さが一定の部分を有していてもよい。
【0078】
有機絶縁層150は、第1部分154と、第2部分156と、を有している。第1部分154では、第1貫通孔112の第1面110a側の開口から第1貫通孔112の第2面110b側の開口に向かうにしたがって厚さが大きくなる。第2部分156では、第1貫通孔112の第1面110a側の開口から第1貫通孔112の第2面110b側の開口に向かう方向において、厚さが一定である。
【0079】
半導体装置10Bでは、半導体装置10と同様の作用効果を奏することができる。
【0080】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る振動デバイスについて説明する。
図16は、第2実施形態に係る振動デバイスの半導体装置11を模式的に示す断面図である。以下、半導体装置11において、上述した
図4に示す半導体装置10の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0081】
半導体装置11では、
図16に示すように、第1貫通孔112の側面112aに第2テーパー面112bが形成されていない点で、上述した
図4に示す半導体装置10と異なる。すなわち、半導体装置11では、第1貫通孔112の第1面110a側の端部に凹部6が形成されていない。第1貫通孔112の側面112aは、半導体基板110の第1面110aおよび第2面110bに対して垂直な面で構成されている。
【0082】
半導体装置11では、
図16に示すように、第2貫通孔122の側面122aはテーパー面である。そのため、半導体装置11では、例えば、第2貫通孔122の側面122aが第1絶縁層120の第3面120aおよび第4面120bに対して垂直な場合と比べて、有機絶縁層150の膜厚が薄くなることを低減できる。したがって、半導体装置11では、有機絶縁層150の膜厚が薄くなることを低減できる。
【0083】
半導体装置11の製造方法は、第1貫通孔112を形成する工程S50において、2段階のエッチングを行わずに、異方性エッチングのみを行うことによって第1貫通孔112を形成する点を除いて、上述した半導体装置10の製造方法と同様でありその説明を省略する。
【0084】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0085】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能であ
る。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0086】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0087】
半導体装置の一態様は、
第1面および前記第1面と表裏の関係にある第2面を含み、前記第1面から前記第2面まで貫通する第1貫通孔が形成された半導体基板と、
前記第1面に配置され、前記半導体基板側の第3面および前記第3面と表裏の関係にある第4面を含み、前記第1貫通孔と重なる位置に第2貫通孔が形成された第1絶縁層と、
前記第2面に配置され、前記第1貫通孔と重なる位置に第1開口部が形成された第2絶縁層と、
前記第1開口部によって前記第2絶縁層から露出した第1導電層と、
前記第4面、前記第2貫通孔の側面、前記第1貫通孔の側面、前記第1開口部の側面、および前記第1導電層の表面に配置され、前記第1開口部と重なる第2開口部が形成された有機絶縁層と、
前記第4面、前記第2貫通孔の側面、前記第1貫通孔の側面、前記第1開口部の側面、および前記第1導電層の表面に配置された前記有機絶縁層の表面、および前記第2開口部によって前記有機絶縁層から露出した前記第1導電層の表面に配置された第2導電層と、を備え、
前記第2貫通孔の側面は、第1テーパー面である。
【0088】
この半導体装置によれば、第2貫通孔の側面は第1テーパー面であるため、第2貫通孔の側面が第1絶縁層の第4面に対して垂直な場合と比べて、有機絶縁層の膜厚が薄くなることを低減できる。
【0089】
上記半導体装置の一態様において、
前記第1貫通孔の側面は、前記第1面側の端部に第2テーパー面を有し、
前記第3面と前記第2テーパー面が凹部を形成し、
前記凹部には、前記有機絶縁層が配置されていてもよい。
【0090】
この半導体装置によれば、有機絶縁材料を含む溶液を塗布して有機絶縁層を形成する際に、溶液が第1貫通孔の側面を伝って凹部にまわりこみ、凹部に溶液が溜まるため、有機絶縁層の膜厚が薄くなることを低減できる。
【0091】
上記半導体装置の一態様において、
前記有機絶縁層は、前記第1貫通孔の前記第1面側の開口から前記第1貫通孔の前記第2面側の開口に向かうにしたがって厚さが大きくなる部分を有していてもよい。
【0092】
この半導体装置によれば、例えば、有機絶縁層の表面が第1面に対して垂直な場合と比べて、有機絶縁層の表面に配置される第2導電層のカバレージを向上できる。
【0093】
上記半導体装置の一態様において、
前記第1貫通孔内に配置されている前記第2導電層によって囲まれた凹部には、金属材料が埋設されていてもよい。
【0094】
この半導体装置によれば、第2導電層と金属材料を貫通電極として機能させることができるため、例えば、貫通電極が第2導電層のみからなる場合と比べて、貫通電極の信頼性を向上できる。
【0095】
振動デバイスの一態様は、
上記半導体装置と、
前記第1面に配置された振動素子と、
前記半導体基板の前記第1面に接合され、前記振動素子を収容する空間を形成する蓋体と、
を備え、
前記半導体基板の前記第2面には、前記振動素子を発振させる発振回路が形成され、
前記振動素子は、前記第2導電層および前記第1導電層を介して、前記発振回路に電気的に接続されている。
【0096】
この振動デバイスでは、第2導電層からなる貫通電極の信頼性を向上できるため、確実に振動素子と発振回路を電気的に接続できる。
【符号の説明】
【0097】
2…第1貫通電極、4…第2貫通電極、6…凹部、7…開口部、7a…角部、8…凹部、10…半導体装置、10A…半導体装置、10B…半導体装置、11…半導体装置、20…振動素子、22…素子基板、24…第1励振電極、26…第2励振電極、30…蓋体、32…接合層、40…第1マウント電極、41…第1導電性接合部材、42…第2マウント電極、43…第2導電性接合部材、50…第1外部接続端子、52…第2外部接続端子、54…第3外部接続端子、100…振動デバイス、110…半導体基板、110a…第1面、110b…第2面、111…凹部、112…第1貫通孔、112a…側面、112b…第2テーパー面、112c…垂直面、120…第1絶縁層、120a…第3面、120b…第4面、122…第2貫通孔、122a…側面、130…第2絶縁層、132…第1開口部、132a…側面、140…第1導電層、140a…表面、150…有機絶縁層、150a…表面、152…第2開口部、154…第1部分、156…第2部分、160…第2導電層、162…凹部、170…金属材料