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特開2024-107683パパイヤ葉茶の製造方法及びパパイヤ葉茶
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  • 特開-パパイヤ葉茶の製造方法及びパパイヤ葉茶 図1
  • 特開-パパイヤ葉茶の製造方法及びパパイヤ葉茶 図2
  • 特開-パパイヤ葉茶の製造方法及びパパイヤ葉茶 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107683
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】パパイヤ葉茶の製造方法及びパパイヤ葉茶
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/38 20210101AFI20240802BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20240802BHJP
   A23L 3/44 20060101ALI20240802BHJP
   A23F 3/34 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
A23L2/38 C
A23L2/00 B
A23L3/44
A23F3/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011735
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】520407002
【氏名又は名称】株式会社公精プラント
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】坂本 公生
(72)【発明者】
【氏名】坂本 充宣
【テーマコード(参考)】
4B022
4B027
4B117
【Fターム(参考)】
4B022LA04
4B022LB06
4B022LJ08
4B022LR06
4B027FB15
4B027FC10
4B027FE02
4B027FK08
4B027FP05
4B027FP06
4B027FP55
4B027FR08
4B027FR14
4B117LC03
4B117LE01
4B117LG24
4B117LP03
4B117LP13
4B117LP20
(57)【要約】
【課題】パパイヤの葉の本来の味を引き出すことのできるパパイヤ葉茶の製造方法及びパパイヤ葉茶を提供することを目的とする。
【解決手段】パパイヤ葉茶の製造方法は、青パパイヤの葉を除菌する工程と(ST3)、除菌後の前記青パパイヤの葉を脱水する工程と(ST5)、脱水後の前記青パパイヤの葉を凍結乾燥する工程と(ST7)、凍結乾燥後の前記青パパイヤの葉を粉砕する工程と(ST8)、を含む。これにより、パパイヤの葉のありのままの味を引き出すことができる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青パパイヤの葉を除菌する工程と、
除菌後の前記青パパイヤの葉を脱水する工程と、
脱水後の前記青パパイヤの葉を凍結乾燥する工程と、
凍結乾燥後の前記青パパイヤの葉を粉砕する工程と、を含む、パパイヤ葉茶の製造方法。
【請求項2】
前記除菌する工程は、除菌水に浸漬させて行う、請求項1に記載のパパイヤ葉茶の製造方法。
【請求項3】
前記脱水する工程では、青パパイヤの葉の一部の水分を脱水する、請求項1または2に記載のパパイヤ葉茶の製造方法。
【請求項4】
前記凍結乾燥する工程では、前記青パパイヤの葉が収納された乾燥機内の気圧を低下させることで、前記青パパイヤの葉の水分を蒸発させて乾燥させる、
請求項1または2に記載のパパイヤ葉茶の製造方法。
【請求項5】
除菌され、
前記除菌後、脱水され、
前記脱水後、凍結乾燥され、
前記凍結乾燥後、粉砕された青パパイヤの葉を含む、パパイヤ葉茶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パパイヤ葉茶の製造方法及びパパイヤ葉茶に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはパパイヤ果実を原料としたお茶の製造方法が記載されている。その製造方法は細切したパパイヤ果実を乾燥し、焙煎することを特徴とする。乾燥に関しては50~70度の加熱乾燥を行い、焙煎に関しては120~200度で焙煎をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-150963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パパイヤを使用したお茶として、特許文献1のようなパパイヤの果実のお茶と、パパイヤの葉のお茶がある。パパイヤの葉は果実と比較して独特な苦味を有する。その結果、苦味のないパパイヤの果実のお茶や、苦味を抑えた加工を施したパパイヤの葉のお茶が一般的に製造される。しかしながら、実際には苦味のあるお茶を好む人も多く、パパイヤの葉の本来の味を引き出すことのできるパパイヤ葉茶及びその製造方法は確立されていない。
【0005】
そこで本発明は、パパイヤの葉の本来の味を引き出すことのできるパパイヤ葉茶の製造方法及びパパイヤ葉茶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパパイヤ葉茶の製造方法は、青パパイヤの葉を除菌する工程と、除菌後の前記青パパイヤの葉を脱水する工程と、脱水後の前記青パパイヤの葉を凍結乾燥する工程と、凍結乾燥後の前記青パパイヤの葉を粉砕する工程と、を含む。
【0007】
本発明のパパイヤ葉茶は、除菌され、前記除菌後、脱水され、前記脱水後、凍結乾燥され、前記凍結乾燥後、粉砕された、青パパイヤの葉を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パパイヤの葉の本来の味を引き出すことのできるパパイヤ葉茶の製造方法及びパパイヤ葉茶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態のパパイヤの果実と葉の一例を示す図
図2】本発明の一実施の形態1のパパイヤ茶の製造方法を示すフロー図
図3】本発明の一実施の形態1の凍結乾燥の乾燥機の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、方法、フロー等は説明のための例示であって、製造装置などの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
本実施の形態におけるパパイヤ茶の製造方法について説明する。図1は本発明の一実施の形態のパパイヤの果実と葉の一例を示す図である。図2は本発明の一実施の形態のパパイヤ茶の製造方法を示すフロー図である。
【0012】
図1には青パパイヤの果実Fと葉Lが示される。青パパイヤの果実Fとは、完熟前に収穫されたパパイヤの果実のことである。青パパイヤの葉Lは、パパイヤの果実が完熟する前の青パパイヤである時期の葉を言う。青パパイヤの葉Lには、酵素、抗酸化成分や多く含まれている。
【0013】
特に、青パパイヤの葉Lには青パパイヤの果実Fの3倍の酵素が含まれており、青パパイヤの果実Fは完熟パパイヤの果実よりも10倍の酵素が含まれていると言われている。その一方で、パパイヤ葉茶はパパイヤ果実茶と比較して苦味が多い。
【0014】
次に図2を参照して、パパイヤ茶の製造方法を説明する。まず、図示しない作業者は青パパイヤの葉Lを収穫する(ST(ステップ)1:収穫工程)。次いで作業者は、収穫した青パパイヤの葉Lを5cm角程度にカットする(ST2:カット工程)。次いで作業者は、カットした青パパイヤの葉Lを、容器に貯留した除菌水(殺菌水)に約10~15分間、浸漬させる(ST3:除菌工程)。除菌水としては、例えば次亜塩素酸水を用いることができる。
【0015】
なお、カット工程で青パパイヤの葉Lのカットサイズをより小さくすることで、除菌水に対する青パパイヤの葉Lの接触面積を増やすことができ、その結果、浸漬時間を短縮させることができる。
【0016】
次いで作業員は、除菌した青パパイヤの葉Lを水洗いすることで、青パパイヤの葉Lに付着した除菌水を洗い流す(ST4:水洗い工程)。
【0017】
次いで作業員は、青パパイヤの葉Lを脱水する(ST5:脱水工程)。より詳細には、作業員は青パパイヤの葉Lを網に入れ、網ごと脱水機などに投入して脱水する。この時、青パパイヤの葉Lに含まれる水分の約1/5程度を脱水する。
【0018】
次いで作業員は、網から取り出した青パパイヤの葉Lを、例えば温度管理が可能なビニールハウスのような乾燥しやすい環境で仮乾燥させる(ST6:仮乾燥工程)。この工程では、青パパイヤの葉Lに含まれる水分の約1/3程度を脱水させる。
【0019】
次いで作業員は、青パパイヤの葉Lを乾燥機1(図3参照)で凍結乾燥させる(ST7:凍結乾燥工程)。次いで作業員は、凍結乾燥させた青パパイヤの葉Lを粉砕する(ST8:粉砕工程)。その後、粉砕した青パパイヤの葉Lをティーパックに入れるなどして、青パパイヤの葉を使ったパパイヤ葉茶を製造する。
【0020】
次に、青パパイヤの葉を凍結乾燥(ST7)させる一例について、図3を用いて詳細に説明する。図3は、本発明の一実施の形態の凍結乾燥で用いる乾燥機1の一例を示したものである。
【0021】
乾燥機1は本体部2と真空吸引源3とを備えている。本体部2の内部は処理室2aとなっている。本体部2には図示しない扉がヒンジ部を介して回動自在に取り付けられており、扉によって本体部2の前面側を覆うことで処理室2aは密閉された状態となる。
【0022】
処理室2aには、仮乾燥工程を経た青パパイヤの葉Lを搬送するためのキャリア4が収容される。キャリア4は金属で成形された箱型のフレーム5を主体とし、フレーム5には水平方向(紙面左右方向)に対をなす略L字状のガイドレール6が上下方向に所定間隔をあけて複数設けられている。
【0023】
作業員は、仮乾燥工程を経た青パパイヤの葉Lをトレイ7に収容させた状態で、トレイ7の両端部をガイドレール6上に沿わせながらキャリア4に収容する。フレーム5の底面には複数のキャスタ8が設けられている。作業員はキャリア4を手押し操作することで、処理室2aにキャリア4を移動させる。
【0024】
処理室2aの両側にはヒータ9A,9Bが設けられており、ヒータ9A,9Bが対向する面側には伝熱部としての役割を果たす放熱板(板状の金属部材)10が配置されている。ヒータ9A,9Bは図示しない制御部によって制御されることで発熱する。放熱板10は例えば、熱伝導率の低いステンレス鋼などを用いる。
【0025】
キャリア4を処理室2aに収納した状態では、キャリア4のフレーム5の外側面は放熱板10と所定のクリアランス(10mm前後)をあけて対向するように位置合わせされる。そしてこの状態でヒータ9A,9Bを作動させることで、ヒータ9A,9Bから生じた熱が放熱板10を介してキャリア4(フレーム5)の内部を温める。これにより、キャリア4に収納された青パパイヤの葉Lが温められる。すなわち、ヒータ9A,9Bは処理室2aを部分的に温める。
【0026】
処理室2aを形成する本体部2の内壁には、縦方向及び横方向に伸びる管11が設けられている。管11には長手方向に沿って複数の孔部11aが形成されている。管11は図示しない制御部によって制御される真空吸引源3と接続されている。
【0027】
扉を閉めて処理室2aを密閉させた状態で真空吸引源3を作動させることで、処理室2a内の空気は孔部11aを通じて管11内に吸引され、処理室2aの外部へ排出される。これにより、処理室2a内は真空状態となる。この状態では、放熱板10付近の温度は15~20度となる。また、乾燥対象である青パパイヤの葉Lが収納されたトレイ7の中央部付近は0度以下の凍結状態で乾燥する。それ故に青パパイヤの葉Lも凍結状態で乾燥する。
【0028】
このように、処理室2a内を真空状態とすることにより、処理室2a内の気圧を急激に下げることができる。その結果、キャリア4に収納される青パパイヤの葉Lに含まれる水分の沸点が下がるので、葉に含まれる水分の蒸発を促進することができる。さらにこの時、キャリア4に収納された青パパイヤの葉Lがヒータ9A,9Bによって温められるので、葉に含まれる水分の蒸発をさらに促進することができる。ヒータ9A,9Bは、処理室2aに収納されたキャリア4の内部(青パパイヤの葉Lが収容された位置)を部分的に温める。
【0029】
このような方法を採用することで、過度な加熱や長時間による蒸発乾燥を防ぐことができる。その結果、パパイヤ葉茶の本来の味を損ないにくく、ありのままの味を引き出すことができる。また、凍結乾燥時間を短縮することもできる。
【0030】
本発明の一実施の形態における青パパイヤ葉茶およびその製造方法は、青パパイヤの葉Lのみを使用している。他方で、本発明は葉のみならず、青パパイヤの果実Fと茎を使用した青パパイヤの茶の製造方法にも適用することができる。
【0031】
青パパイヤの果実F、葉L、茎を使用したパパイヤ茶の製造方法を説明する。まず、図示しない作業者は青パパイヤの果実F、葉L、茎の夫々を収穫する(ST(ステップ)11:収穫工程)。次いで作業者は、青パパイヤの果実F、葉L、茎を所定のサイズに夫々カットする(ST12:カット工程)。
【0032】
例えば、青パパイヤの果実Fは幅方向のサイズが5mm程度になるようカット(スライス)する。青パパイヤの葉Lは上述のとおり、5cm角程度にカットする。青パパイヤの茎も長手方向が5cm程度になるようにカットする。
【0033】
次いで作業者は、カットした青パパイヤの果実F、葉L、茎の夫々を複数の容器を用いて個別に収容し、個々の容器に貯留した除菌水(殺菌水)に所定時間、浸漬させる(ST13:除菌工程)。浸漬時間は除菌という目的を達成するため、材料ごとに異ならせた方がよい。但し、全ての材料をひとつの容器に収容し、共通の時間で除菌水に浸漬させてもよい。
【0034】
次いで作業員は、除菌した青パパイヤの果実F、葉L、茎を水洗いすることで、各々に付着した除菌水を洗い流す(ST14:水洗い工程)。
【0035】
次いで作業員は、青パパイヤの果実F、葉L、茎を脱水する(ST15:脱水工程)。より詳細には、作業員は青パパイヤの果実F、葉L、茎を個別に網に入れ、網ごと脱水機などに順次投入して脱水する。この時、青パパイヤの果実F、葉L、茎に含まれる水分の約1/5程度を脱水する。
【0036】
次いで作業員は、網から取り出した青パパイヤの果実F、葉L、茎を、例えば温度管理が可能なビニールハウスのような乾燥しやすい環境で個別に仮乾燥させる(ST16:仮乾燥工程)。この工程では、青パパイヤの果実F、葉L、茎に含まれる水分の約1/3程度を脱水させる。
【0037】
次いで作業員は、青パパイヤの果実F、葉L、茎を図3に示す乾燥機1で凍結乾燥させる(ST17:凍結乾燥工程)。青パパイヤの果実F、葉L、茎は一緒に乾燥機1に収容して乾燥させるのではなく、材料ごとに最適な乾燥条件(例えば乾燥時間)を設定して、個別に乾燥機1に収容して乾燥させるのが望ましい。
【0038】
次いで作業員は、凍結乾燥させた青パパイヤの果実F、葉L、茎を粉砕する(ST18:粉砕工程)。その後、粉砕した青パパイヤの果実F、葉L、茎をティーパックに入れるなどして、青パパイヤの果実F、葉L、茎を使ったパパイヤ茶を製造する。これにより、青パパイヤの果実F、葉L、茎を含むパイヤそのものの風味を引き出したパパイヤ茶を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
パパイヤの葉のありのままの味を引き出すことのできるパパイヤ葉茶の製造方法及びパパイヤ葉茶を提供する。
【符号の説明】
【0040】
1 乾燥機
2 本体部
2a 処理室
3 真空吸引源
4 キャリア
5 フレーム
6 ガイドレール
7 トレイ
8 キャスタ
9A,9B ヒータ
10 放熱板
11 管
11a 孔部
F 青パパイヤの果実
L 青パパイヤの葉

図1
図2
図3