(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107685
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】天井構造用紙管取付け金具
(51)【国際特許分類】
E04B 9/18 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
E04B9/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011738
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000157197
【氏名又は名称】丸井産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島本 英知
(57)【要約】
【課題】天井下地材に複数本の紙管を精度よく取付けできると共に、紙管の取付け後に取付け金具が天井の下側から見えない美観性に優れた取付け金具を提供することを目的とする。
【解決手段】複数本の紙管Aを適宜間隔で並設する天井構造において、前記紙管Aを天井下地材Cに固定する取付け金具であって、前記紙管に設ける取付け孔A1に挿通可能なボルト部10と、該ボルト部のネジ部11が挿通する紙管側挿通孔21を設けた固定片22を有し天井下地材Cに固定する固定部20と、前記ボルト部のネジ部に螺着するナット30とを備え、前記ボルト部は取付け孔A1に挿通可能な回動自在の掛止片12を有することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の紙管を適宜間隔で並設する天井構造において、前記紙管を天井下地材に固定する取付け金具であって、前記紙管に設ける取付け孔に挿通可能なボルト部と、該ボルト部のネジ部が挿通する紙管側挿通孔を設けた固定片を有し天井下地材に固定する固定部と、前記ボルト部のネジ部に螺着するナットとを備え、前記ボルト部は前記取付け孔に挿通可能な回動自在の掛止片を有することを特徴とする天井構造用紙管取付け金具。
【請求項2】
前記固定部に前記天井下地材に係合するフック部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の天井構造用紙管取付け金具。
【請求項3】
前記紙管に対して前記ボルト部が起立姿勢を保つように前記ネジ部に固定座を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の天井構造用紙管取付け金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構築物の天井構造において天井材料に長尺状の紙管を用いた際にコンクリートスラブ下面から吊りボルトで懸垂する天井下地材に紙管を取付けるための取付け金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の紙管を金具等により連結させて内外壁装材とする方法(特許文献1)が開示されているが、本発明は複数の紙管を天井下地材に所定間隔で連結させて天井を構成する構造における取付け金具である。複数の紙管を天井下地材によって連結するこの種の取付け金具として、従来、
図5に示すように、紙管Aの外形に嵌着する円弧状薄鋼板からなる取付け片を天井下地材Cの所定の位置、間隔でビス止め等により固定し、それら取付け片に沿って複数本の紙管を取り付けるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5に示すような従来の取付け金具は、天井下地材に直接取り付けるため、天井下地材の取付け精度、例えば、高さや取付け方向の通りなど、施工上に生じる取付けの寸法誤差により紙管が取付け金具に取付けできなくなり、取付け金具の取付け直し等が必要になり作業手間が発生する。
【0005】
また、取付け金具の形態が円弧状に形成され、紙管の外形に嵌着するために、両端が紙管の中心より下側に配置されるため、天井を見上げると取付け金具が視認され、外観上の美観に欠けるなどの問題点がある。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みなされたもので、天井下地材に複数本の紙管を精度よく取付けできると共に、紙管の取付け後に取付け金具が天井の下側から見えない美観性に優れた取付け金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための天井構造用紙管取付け金具は、複数本の紙管を適宜間隔で並設する天井構造において、前記紙管を天井下地材に固定する取付け金具であって、前記紙管に設ける取付け孔に挿通可能なボルト部と、該ボルト部のネジ部が挿通する紙管側挿通孔を設けた固定片を有し天井下地材に固定する固定部と、前記ボルト部のネジ部に螺着するナットとを備え、前記ボルト部は前記取付け孔に挿通可能な回動自在の掛止片を有することを要旨とする。
【0008】
紙管取付け金具について、前記固定部に前記天井下地材に係合するフック部を設けてもよい。
【0009】
紙管取付け金具について、前記紙管に前記ボルト部が起立姿勢を保つように前記ネジ部に固定座を設けてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取付け金具を天井下地材に取付ける固定部と紙管に取付けるボルト部の2部材に分けることで、個々に位置調整ができるので取付け精度が向上すると共に、細径のボルト部を紙管の上側に取付けできるので、取付け金具が紙管の外形に隠れ、天井の下側から見えにくくなり美観性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の実施形態の各部を示す分解図である。
【
図3】本発明の実施形態の取付ける手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
本発明の天井構造用紙管取付け金具の実施形態について、
図1から
図3を用いて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0013】
本発明の天井構造用紙管取付け金具は、複数本の紙管を適宜間隔で並設し、その複数の紙管を天井下地材によって連結する天井構造において、各紙管を天井下地材へ固定するための取付け金具である。天井構造用紙管取付け金具は、紙管へ固定するボルト部10と、天井下地材へ固定する固定部20の、少なくとも2つの部材から構成される。
【0014】
10はボルト部であり、ネジ部11の基端に掛止片12をリベット13で回動自在になるように鋲着する。掛止片12の長手方向をネジ部11の長手方向へ向けた状態で、掛止片12及びネジ部11は、紙管に設けられた取付け孔へ挿通可能である。20は固定部であり、前記ボルト部10のネジ部11が挿通する紙管側挿通孔21を設けた固定片22と、固定片22からほぼ垂直に延伸した連結片23と、連結片23の上端に天井下地材に係合する下向きコの字状のフック部24とを備える。連結片23には天井下地材にビス止め固定するための下地材側挿通孔25を設ける。固定部20は薄鋼鈑を屈曲して一体的に形成することができる。
【0015】
30はボルト部10のネジ部11に螺着するナットであり、締付けにより掛止片12に掛止する紙管を固定片22に引き寄せて固定することができる。ナット30は、ネジ部11を紙管側挿通孔21に挿通させた状態で固定片22の上面からネジ部11に螺着する。
【0016】
40は固定座であり、ゴム製や樹脂製が望ましいが、ワッシャ状の形状とし、ネジ部11を圧入させる。固定座40は、紙管Aの外周面に当接し、固定座40と掛止片12とで紙管Aを挟み込む。固定座40は、ネジ部11を圧入させて、紙管の外周面に当接することにより、ネジ部11の位置や角度を固定し、ボルト部10の紙管Aに対する起立姿勢を保持する。起立姿勢とは、例えば、取付け孔における紙管の接線に対してネジ部11が略直交する姿勢である。
【0017】
図3及び
図4に示すように、本実施形態において、紙管Aは円筒状の部材であり、長手方向を略水平方向とし、径方向に間隔をあけて複数配置される。各紙管Aは上端部に取付け孔A1が形成される。天井下地材Cは、紙管Aの上方において、複数の紙管Aを径方向に連結する。
【0018】
掛止片12は、長手方向をネジ部11の長手方向へ向けた状態で、ネジ部11とともに紙管Aの取付け孔A1に挿入する(
図3-1)。紙管A内において、掛止片12を回動させ、その長手方向を紙管Aの長手方向へ向けた後、ボルト部10を上方に引き上げて掛止片12を紙管Aの内側に当接させた状態で、紙管Aの外側から固定座40をネジ部11に嵌める。固定座40を下方に移動させ紙管Aの外側に当接させ、固定座40と掛止片12とで紙管Aを挟持した状態とすることで、掛止片12が取付け孔の内側に固定されると共に、ネジ部11が取付け孔A1上に起立した状態となるので、固定部20に連結する際の固定片22の紙管側挿通孔21を挿通させ、ナット30を螺着する作業を容易にすることができる(
図3-2)。
【0019】
本発明の取付け金具の使用方法について、
図3、
図4により説明する。
【0020】
ボルト部10を紙管Aの取付け孔A1に取付けるまでの手順は前記の通り(
図3-1、
図3-2)であるので省略する。
【0021】
天井から吊りボルトBにより懸垂された天井下地材Cに固定部20を所定の間隔で配置するが、固定部20のフック部24を天井下地材Cの上面に引っ掛けて仮止めしておく。紙管Aに取り付けたボルト部10を取付けの際にはその間隔に応じて天井下地材Cに沿って摺動させ、位置調整を行うことができる。
【0022】
次に紙管Aに取り付けたボルト部10を天井下地材Cに仮止めした固定部に取付ける。ネジ部11を固定片22の紙管側挿通孔21に挿通させ、ナット30を螺着し、締付けにより、紙管Aを固定片22に引き寄せて固定する(
図3-3)。
【0023】
固定座40をやや厚みのあるゴム製とすれば、紙管Aと固定部20の間の緩衝材として簡易的な防振効果も得ることができる。
【0024】
また、紙管側挿通孔21をネジ部11の線径より大径や長孔にすることで、紙管Aの取付け位置の微調整が可能となる。
【0025】
最後に固定部20の連結片23に設けた下地材側挿通孔25を介してビスDを打ち込んで固定する(
図3-4)。
【0026】
同様にして複数本の紙管Aを天井下地材Cに所定位置、間隔で取付けて、天井を形成する
【符号の説明】
【0027】
10 ボルト部
11 ネジ部
12 掛止片
13 リベット
20 固定部
21 紙管側挿通孔
22 固定片
23 連結片
24 フック部
25 下地材側挿通孔
30 ナット
40 固定座
A 紙管
A1 取付け孔
B 吊りボルト
C 天井下地材
D ビス