(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107689
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】ロボット作業システム
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011743
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】518106124
【氏名又は名称】コネクテッドロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】味口 謙
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707BS10
3C707KT01
3C707KT05
3C707KT11
3C707NS26
(57)【要約】
【課題】 ロボット、冷却装置、および加熱装置を合理的に配置することができるロボット作業システムを提供する。
【解決手段】 ロボットを用いた作業を行うロボット作業システムであって、被搬送物を搬送するロボット機構と、被搬送物を冷却する冷却装置と、被搬送物を加熱する加熱装置と、を備え、被搬送物が通過する冷却装置の開口と、被搬送物が通過する加熱装置の開口と、が互いに対向せず、ロボット機構の設置位置が、水平面内における冷却装置の設置位置または水平面内における加熱装置の設置位置と重なる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを用いた作業を行うロボット作業システムであって、
被搬送物を搬送するロボット機構と、
前記被搬送物を冷却する冷却装置と、
前記被搬送物を加熱する加熱装置と、
を備え、
前記被搬送物が通過する前記冷却装置の開口と、前記被搬送物が通過する前記加熱装置の開口と、が互いに対向せず、
前記ロボット機構の設置位置が、水平面内における前記冷却装置の設置位置または水平面内における前記加熱装置の設置位置と重なる、ロボット作業システム。
【請求項2】
前記加熱装置の開口が、前記ロボットの設置位置に対向しない、請求項1に記載のロボット作業システム。
【請求項3】
前記ロボット機構は、前記冷却装置に収容された前記被搬送物を搬出して、前記加熱装置に搬入する、請求項1または2に記載のロボット作業システム。
【請求項4】
前記冷却装置の開口方向と、前記加熱装置の開口方向とが、互いに直交する、請求項1または2に記載の作業システム。
【請求項5】
前記ロボット機構は、前記冷却装置の開口を開く作業または閉じる作業を実行する、請求項1または2に記載のロボット作業システム。
【請求項6】
前記ロボット機構は、前記加熱装置の開口を開く作業または閉じる作業を実行する、請求項1または2に記載のロボット作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットにより調理に係る作業を行うことができるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1には、ロボットと、被搬送物を冷却する冷却装置と、被搬送物を加熱する加熱装置とが共存して設置される場合に関する言及はなく、これらの配置方法に関する開示もない。
【0005】
そこで、1つの側面では、本開示は、ロボット、冷却装置、および加熱装置を合理的に配置することができるロボット作業システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
ロボットを用いた作業を行うロボット作業システムであって、
被搬送物を搬送するロボット機構と、
前記被搬送物を冷却する冷却装置と、
前記被搬送物を加熱する加熱装置と、
を備え、
前記被搬送物が通過する前記冷却装置の開口と、前記被搬送物が通過する前記加熱装置の開口と、が互いに対向せず、
前記ロボット機構の設置位置が、水平面内における前記冷却装置の設置位置または水平面内における前記加熱装置の設置位置と重なる、ロボット作業システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本開示によれば、ロボット、冷却装置、および加熱装置を合理的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第1の形態を模式的に示す正面図である。
【
図1B】本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第2の形態を模式的に示す正面図である。
【
図1D】本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第3の形態を模式的に示す正面図である。
【
図1F】本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第4の形態を模式的に示す正面図である。
【
図2】本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第5の形態を模式的に示す正面図である。
【
図2B】本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第6の形態を模式的に示す正面図である。
【
図2D】本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第7の形態を模式的に示す正面図である。
【
図3】本実施例のロボット作業システムが適用される調理場の構成例を示す斜視図である。
【
図3A】本実施例のロボット作業システムが適用される調理場の構成例を示す斜視図である。
【
図3B】ロボット機構としてのロボットアームを制御する制御系を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第1の形態を模式的に示す正面図、
図1Aは、第1の形態を模式的に示す上面図である。
【0010】
図1および
図1Aに示すように、第1の形態では、加熱装置500の上方、すなわち水平面内における加熱装置500の設置位置と重なる位置にロボット機構200が配置されている。また、冷却装置400は、加熱装置500に対してX方向にあたる位置に配置されている。
【0011】
なお、
図1~
図2Eにおいて示されるロボット機構200を示す図形の位置はロボット機構200の設置位置を示しており、ロボット機構200の形状を示すものではない。
【0012】
図1および
図1Aに示すように、加熱装置500の開口方向501は、-Y方向であり、冷却装置400の開口方向401は、-X方向である。
【0013】
このような第1の形態によれば、加熱装置500の開口方向501がロボット機構200に対向せず、加熱装置500から排出される気体がロボット機構200の設置位置から離れる方向に向かう。このため、加熱装置500から排出される気体によりロボット機構200に損傷等を与えることが抑止される。
【0014】
また、冷却装置400の開口と加熱装置500の開口とが互いに対向しないため、排出される気体に起因する温度変動など、相互間の悪影響を抑止できる。
【0015】
さらに、第1の形態によれば、ロボット機構200を、冷却装置400の開口および加熱装置500の開口に近接して配置することができる。このため、冷却装置400または加熱装置500に対する被搬送物の搬出または搬入をロボット機構200により行う場合に好適な配置が得られる。
【0016】
なお、
図1および
図1Aにおける加熱装置500の開口方向501が-X方向に向かうように、加熱装置500の設置方向を変更してもよい。
【0017】
図1Bは、本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第2の形態を模式的に示す正面図、
図1Cは、第2の形態を模式的に示す上面図である。
【0018】
図1Bおよび
図1Cに示すように、第2の形態では、加熱装置500の下方、すなわち水平面内における加熱装置500の設置位置と重なる位置にロボット機構200が配置されている。また、冷却装置400は、加熱装置500に対してX方向にあたる位置に配置されている。
【0019】
図1Bおよび
図1Cに示すように、加熱装置500の開口方向501は、-Y方向であり、冷却装置400の開口方向401は、-X方向である。
【0020】
このような第2の形態によれば、加熱装置500の開口方向501がロボット機構200に対向せず、加熱装置500から排出される気体がロボット機構200の設置位置から離れる方向に向かう。このため、加熱装置500から排出される気体によりロボット機構200に損傷等を与えることが抑止される。
【0021】
また、冷却装置400の開口と加熱装置500の開口とが互いに対向しないため、排出される気体に起因する温度変動など、相互間の悪影響を抑止できる。
【0022】
さらに、第2の形態によれば、ロボット機構200を、冷却装置400の開口および加熱装置500の開口に近接して配置することができる。このため、冷却装置400または加熱装置500に対する被搬送物の搬出または搬入をロボット機構200により行う場合に好適な配置が得られる。
【0023】
なお、
図1Bおよび
図1Cにおける加熱装置500の開口方向501が-X方向に向かうように、加熱装置500の設置方向を変更してもよい。
【0024】
図1Dは、本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第3の形態を模式的に示す正面図、
図1Eは、第3の形態を模式的に示す上面図である。
【0025】
図1Dおよび
図1Eに示すように、第3の形態では、加熱装置500の上方にロボット機構200が配置されている。また、冷却装置400は、加熱装置500に対してX方向にあたる位置に配置されている。
【0026】
図1Dおよび
図1Eに示すように、加熱装置500の開口方向501は、-Y方向であり、冷却装置400の開口方向401も、-Y方向である。
【0027】
このような第3の形態によれば、加熱装置500の開口方向501がロボット機構200に対向せず、加熱装置500から排出される気体がロボット機構200の設置位置から離れる方向に向かう。このため、加熱装置500から排出される気体によりロボット機構200に損傷等を与えることが抑止される。
【0028】
また、冷却装置400の開口と加熱装置500の開口とが互いに対向しないため、排出される気体に起因する温度変動など、相互間の悪影響を抑止できる。
【0029】
さらに、第3の形態によれば、ロボット機構200を、冷却装置400の開口および加熱装置500の開口に近接して配置することができる。このため、冷却装置400または加熱装置500に対する被搬送物の搬出または搬入をロボット機構200により行う場合に好適な配置が得られる。
【0030】
なお、
図1Dおよび
図1Eにおける加熱装置500の開口方向501が-X方向に向かうように、加熱装置500の設置方向を変更してもよい。
【0031】
また、
図1Dおよび
図1Eにおいて、加熱装置500とロボット機構200の上下の位置関係を反転させ、ロボット機構200を加熱装置500の下方に設置してもよい。
【0032】
図1Fは、本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第4の形態を模式的に示す正面図、
図1Gは、第4の形態を模式的に示す上面図である。
【0033】
図1Fおよび
図1Gに示すように、第4の形態では、加熱装置500の上方にロボット機構200が配置されている。また、冷却装置400は、加熱装置500に対してX方向にあたる位置に配置されている。
【0034】
図1Fおよび
図1Gに示すように、加熱装置500の開口方向501は、-Y方向であり、冷却装置400の開口方向401は、Y方向である。
【0035】
このような第4の形態によれば、加熱装置500の開口方向501がロボット機構200に対向せず、加熱装置500から排出される気体がロボット機構200の設置位置から離れる方向に向かう。このため、加熱装置500から排出される気体によりロボット機構200に損傷等を与えることが抑止される。
【0036】
また、冷却装置400の開口と加熱装置500の開口とが互いに対向しないため、排出される気体に起因する温度変動など、相互間の悪影響を抑止できる。
【0037】
さらに、第4の形態によれば、ロボット機構200を、冷却装置400の開口および加熱装置500の開口に近接して配置することができる。このため、冷却装置400または加熱装置500に対する被搬送物の搬出または搬入をロボット機構200により行う場合に好適な配置が得られる。
【0038】
なお、
図1Fおよび
図1Gにおける加熱装置500の開口方向501が-X方向に向かうように、加熱装置500の設置方向を変更してもよい。
【0039】
また、
図1Fおよび
図1Gにおいて、加熱装置500とロボット機構200の上下の位置関係を反転させ、ロボット機構200を加熱装置500の下方に設置してもよい。
【0040】
図2は、本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第5の形態を模式的に示す正面図、
図2Aは、第5の形態を模式的に示す上面図である。
【0041】
図2および
図2Aに示すように、第5の形態では、冷却装置400Aの上方、すなわち水平面内における冷却装置400Aの設置位置と重なる位置にロボット機構200が配置されている。また、加熱装置500Aは、冷却装置400Aに対して-X方向にあたる位置に配置されている。
【0042】
図2および
図2Aに示すように、加熱装置500Aの開口方向501は、-Y方向であり、冷却装置400Aの開口方向401は、-X方向である。
【0043】
このような第5の形態によれば、加熱装置500Aの開口方向501がロボット機構200に対向せず、加熱装置500Aから排出される気体がロボット機構200の設置位置から離れる方向に向かう。このため、加熱装置500Aから排出される気体によりロボット機構200に損傷等を与えることが抑止される。
【0044】
また、冷却装置400Aの開口と加熱装置500Aの開口とが互いに対向しないため、排出される気体に起因する温度変動など、相互間の悪影響を抑止できる。
【0045】
さらに、第5の形態によれば、ロボット機構200を、冷却装置400Aの開口および加熱装置500Aの開口に近接して配置することができる。このため、冷却装置400Aまたは加熱装置500Aに対する被搬送物の搬出または搬入をロボット機構200により行う場合に好適な配置が得られる。
【0046】
なお、
図2および
図2Aにおいて、冷却装置400Aとロボット機構200の上下の位置関係を反転させ、ロボット機構200を冷却装置400Aの下方に設置してもよい。
【0047】
図2Bは、本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第6の形態を模式的に示す正面図、
図2Cは、第6の形態を模式的に示す上面図である。
【0048】
図2Bおよび
図2Cに示すように、第6の形態では、冷却装置400Aの上方にロボット機構200が配置されている。また、加熱装置500Aは、冷却装置400Aに対して-X方向にあたる位置に配置されている。
【0049】
図2Bおよび
図2Cに示すように、加熱装置500Aの開口方向501は、-Y方向であり、冷却装置400Aの開口方向401も、-Y方向である。
【0050】
このような第6の形態によれば、加熱装置500Aの開口方向501がロボット機構200に対向せず、加熱装置500Aから排出される気体がロボット機構200の設置位置から離れる方向に向かう。このため、加熱装置500Aから排出される気体によりロボット機構200に損傷等を与えることが抑止される。
【0051】
また、冷却装置400Aの開口と加熱装置500Aの開口とが互いに対向しないため、排出される気体に起因する温度変動など、相互間の悪影響を抑止できる。
【0052】
さらに、第6の形態によれば、ロボット機構200を、冷却装置400Aの開口および加熱装置500Aの開口に近接して配置することができる。このため、冷却装置400Aまたは加熱装置500Aに対する被搬送物の搬出または搬入をロボット機構200により行う場合に好適な配置が得られる。
【0053】
なお、
図2Bおよび
図2Cにおいて、冷却装置400Aとロボット機構200の上下の位置関係を反転させ、ロボット機構200を冷却装置400Aの下方に設置してもよい。
【0054】
図2Dは、本開示のロボット作業システムにおける加熱装置、冷却装置およびロボット機構の配置に係る第7の形態を模式的に示す正面図、
図2Eは、第7の形態を模式的に示す上面図である。
【0055】
図2Dおよび
図2Eに示すように、第7の形態では、冷却装置400Aの上方にロボット機構200が配置されている。また、加熱装置500Aは、冷却装置400Aに対して-X方向にあたる位置に配置されている。
【0056】
図2Dおよび
図2Eに示すように、加熱装置500Aの開口方向501は、Y方向であり、冷却装置400Aの開口方向401は、-Y方向である。
【0057】
このような第7の形態によれば、加熱装置500Aの開口方向501がロボット機構200に対向せず、加熱装置500Aから排出される気体がロボット機構200の設置位置から離れる方向に向かう。このため、加熱装置500Aから排出される気体によりロボット機構200に損傷等を与えることが抑止される。
【0058】
また、冷却装置400Aの開口と加熱装置500Aの開口とが互いに対向しないため、排出される気体に起因する温度変動など、相互間の悪影響を抑止できる。
【0059】
さらに、第7の形態によれば、ロボット機構200を、冷却装置400Aの開口および加熱装置500Aの開口に近接して配置することができる。このため、冷却装置400Aまたは加熱装置500Aに対する被搬送物の搬出または搬入をロボット機構200により行う場合に好適な配置が得られる。
【0060】
なお、
図2Dおよび
図2Eにおいて、冷却装置400Aとロボット機構200の上下の位置関係を反転させ、ロボット機構200を冷却装置400Aの下方に設置してもよい。
【0061】
次に、本開示のロボット作業システムを調理工程に適用した実施例について説明する。
【0062】
図3および
図3Aは、本実施例のロボット作業システムが適用される調理場の構成例を示す斜視図、
図3Bは、ロボット機構としてのロボットアームを制御する制御系を示す図、
図4~
図8は、調理工程を示す斜視図である。
【0063】
図3および
図3Aに示す例では、調理場には、冷却装置としての冷凍庫40と、加熱装置としてのスチーマ50と、被搬送物としての冷凍めん5(例えば、茹であがったうどん、蕎麦、中華めん、パスタ等を成形して冷凍したもの)を搬送するロボット機構としてのロボットアーム21とが設置されている。
図3および
図3Aに示すように、冷凍庫40は調理場に置かれた設置台60に収容され、ロボットアーム21は、冷凍庫40の上方において設置台60に取り付けられている。
【0064】
図3~
図8に示すように、ロボットアーム21は、複数の回転関節を有する多関節ロボットであり、基端側の基端部21aと、先端側の先端部21bとを有し、基端部21aが設置台60に取り付けられる。
【0065】
図3Bに示すように、ロボットアーム21には、各関節を駆動するためのアクチュエータ22が関節ごとに設けられ、これらのアクチュエータ22がロボット制御装置20に接続されて制御される。また、ロボット制御装置20にはカメラ23および画像処理装置23Aが接続され、ロボット制御装置20は、画像処理装置23Aを介してカメラ23から取得される画像に対する画像認識処理を実行し、画像認識の結果に基づいて各アクチュエータ22を制御することができる。カメラ23は、ロボットアーム21の所定の部位、例えばロボットアーム21の先端部21bの近傍に取り付けられる。あるいは、カメラ23は、調理場の所定の位置に設置される。
【0066】
さらに、ロボット制御装置20には、ロボットアーム21の制御に必要なセンサ24と、ロボットアーム21の制御に関連する情報を表示する表示装置25と、オペレータの操作を受け付ける操作部26とが接続されている。
【0067】
なお、ロボットアーム21として、回転関節だけでなく直動関節を有するロボットアームを用いることもできる。
【0068】
ロボットアーム21の先端部21bには、冷凍めん5を搬送するためのロボットハンド30が着脱可能とされている。
【0069】
次に、ロボットハンド30が装着されたロボットアーム21により行われる調理工程について説明する。
【0070】
まず、冷凍庫40に収容されている冷凍めん5をロボットアーム21により搬出する工程が実行される。なお、冷凍めん5は、冷凍庫40の扉43(
図3A)を介して、作業員によりあらかじめ冷凍庫40内に収容される。
【0071】
この工程では、
図4に示すように、最初にロボットハンド30により冷凍庫40のノブ42を操作して、扉41を開ける。これにより、冷凍庫40の開口45が開かれる。次に、
図5に示すように、ロボットハンド30により冷凍庫40内の冷凍めん5を挟み、冷凍庫40の開口45を介して(通過させて)冷凍庫40から搬出する。
【0072】
次に、冷凍めん5を搬送し、スチーマ50に搬入する工程を実行する。
【0073】
この工程では、ロボットハンド30により把持された冷凍めん5を、
図6に示す籠51の上方まで搬送する。なお、籠51は、ロボットアーム21または他のロボット機構によって、設置台60に設けられた置台55にあらかじめセットされる。次に、ロボットハンド30を開いて冷凍めん5を籠51の内部に落下させる。続いて、
図7に示すように、ロボットハンド30を籠51に押し当て、スチーマ50の開口52を介して(通過させて)スチーマ50の内部に押し込むようにして、籠51をスチーマ50に収容する。これにより、開いていた開口52は籠51により閉じられ、籠51に入れられた冷凍めん5は、スチーマ50により加熱調理できる状態となる。
【0074】
次に、ロボットハンド30によって、冷凍庫40のノブ42を操作して扉41を閉める。これにより、冷凍庫40の開口45が閉じられる。
【0075】
次に、ロボットハンド30により籠51を引き出すことにより、加熱調理が終了した麺(冷凍めん5)を開口52から(開口52を通過させて)取り出す。
【0076】
このように、本実施例では、以上の一連の工程、すなわち、冷凍庫40に対する操作、冷凍庫40からの冷凍めん5の取り出し、冷凍めん5の搬送、スチーマ50への冷凍めん5の収容およびスチーマ50に対する操作を含む全工程を、単一のロボットハンド30により行うことができる。
【0077】
図3および
図3Aと、
図1および
図1Aを対比することで理解されるように、
図3~
図8に示す実施例における冷凍庫40、スチーマ50およびロボットアーム21の配置は、第1の形態(
図1および
図1A)に対応している。
【0078】
すなわち、上記実施例では、加熱装置500としてのスチーマ50の上方にロボット機構200としてのロボットアーム21の基端部21aが配置されている。また、冷却装置400としての冷凍庫40は、スチーマ50に対してX方向にあたる位置に配置されている。
【0079】
また、
図3および
図3Aに示すように、スチーマ50の開口方向(開口52が向いた方向)は、-Y方向であり、冷凍庫40の開口方向(開口45が向いた方向)は、-X方向である。
【0080】
このような配置によれば、スチーマ50の開口方向がロボットアーム21の基端部21aに対向せず、スチーマ50から排出される気体(スチーム)がロボットアーム21の設置位置(基端部21aの設置位置)から離れる方向に向かう。このため、スチーマ50から排出される気体によりロボットアーム21に損傷等を与えることが抑止される。
【0081】
また、冷凍庫40の開口45とスチーマ50の開口52とが互いに対向しないため、冷凍庫40またはスチーマ50から排出される気体に起因する温度変動など、冷凍庫40とスチーマ50における相互間の悪影響を抑止できる。例えば、スチーマ50から排出される気体(スチーム)が冷凍庫40内の環境に与える影響を抑えられる。
【0082】
とくに、本実施例では、冷凍庫40の開口方向と、スチーマ50の開口方向が互いに直交している。これにより、ロボットアーム21を用いた作業に必要な空間の範囲を抑制しつつ、冷凍庫40とスチーマ50における相互間の悪影響を効果的に抑止できるという利点がある。すなわち、これらの開口方向のなす角度が鋭角であると、冷凍めん5の搬送のために、ロボットハンド30および冷凍めん5が移動するのに必要な空間の範囲がより拡大してしまう。他方、これらの開口方向のなす角度が鈍角であると、開口どうしが向き合う状態に近づくため、冷凍庫40とスチーマ50における相互間の悪影響を抑止しずらくなる。
【0083】
さらに、上記実施例によれば、ロボットアーム21を、冷凍庫40の開口45およびスチーマ50の開口52に近接して配置することができる。このため、冷凍庫40からの冷凍めん5の搬出と、スチーマ50に対する冷凍めん5の搬入および搬出とを共通のロボットアーム21により行うことができる。
【0084】
上記実施例において、冷凍庫40、スチーマ50およびロボットアーム21の配置方法として、第2の形態~第7の形態(
図1B~
図2E)に対応する配置方法を含む他の配置方法を採用してもよい。
【0085】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素の全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0086】
例えば、ロボットを用いた作業の種類は調理作業に限定されることなく、本開示のロボット作業システムは、任意の作業に適用される。冷却装置および加熱装置は、冷凍庫およびスチーマに限定されず、被搬送物を冷却、加熱する任意の装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
5 冷凍めん
21 ロボットアーム
40 冷凍庫
45 開口
50 スチーマ
52 開口