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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107690
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】水蒸気発生装置
(51)【国際特許分類】
   F22B 3/00 20060101AFI20240802BHJP
   F22B 1/14 20060101ALI20240802BHJP
   F22G 5/12 20060101ALI20240802BHJP
   F22B 1/18 20060101ALI20240802BHJP
   F23N 5/20 20060101ALI20240802BHJP
   F23N 5/22 20060101ALI20240802BHJP
   F22B 35/00 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
F22B3/00
F22B1/14
F22G5/12 A
F22B1/18 B
F23N5/20 101Z
F23N5/22 A
F22B35/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011744
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】岡本 裕介
(72)【発明者】
【氏名】角 宗司
【テーマコード(参考)】
3K005
3L021
【Fターム(参考)】
3K005BA08
3K005GA02
3L021BA08
3L021CA06
3L021DA22
3L021DA23
3L021FA12
(57)【要約】
【課題】水蒸気の使用状況に合わせた運転をすることができる、水蒸気発生装置を提供すること。
【解決手段】水蒸気使用部に水蒸気を供給する水蒸気発生装置1であって、水素及び酸素を当量比1で噴出するバーナ11と、前記バーナ11から噴出した水素と酸素を燃焼し、燃焼生成物としての第1水蒸気を生成させる燃焼室12と、前記第1水蒸気に水を添加する水添加部15と、前記水添加部から供給される水を気化させて第2水蒸気を生成させる気化室13と、前記第1水蒸気と前記第2水蒸気とを前記気化室13から排出する蒸気ラインL400と、前記水蒸気使用部の蒸気負荷を検出する蒸気負荷検出部と、前記水蒸気発生装置の運転を制御する制御部700と、を備え、前記制御部700は、前記蒸気負荷検出部の検出結果に基づいて前記バーナ11の燃焼量を制御する燃焼量制御部701を備えた、水蒸気発生装置1に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気使用部に水蒸気を供給する水蒸気発生装置であって、
水素及び酸素を当量比1で噴出するバーナと、
前記バーナから噴出した水素と酸素を燃焼し、燃焼生成物としての第1水蒸気を生成させる燃焼室と、
前記第1水蒸気に水を添加する水添加部と、
前記水添加部から供給される水を気化させて第2水蒸気を生成させる気化室と、
前記第1水蒸気と前記第2水蒸気とを前記気化室から排出する蒸気ラインと、
前記水蒸気使用部の蒸気負荷を検出する蒸気負荷検出部と、
前記水蒸気発生装置の運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記蒸気負荷検出部の検出結果に基づいて前記バーナの燃焼量を制御する燃焼量制御部を備えた、水蒸気発生装置。
【請求項2】
前記燃焼室又は前記気化室の圧力の少なくともいずれか一方の圧力の検出をする室圧力検出部と、
前記気化室から排出する水蒸気量を制御する蒸気排出調整部と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記室圧力検出部の検出結果に基づいて前記蒸気排出調整部を制御する室圧力制御部をさらに備える、請求項1に記載の水蒸気発生装置。
【請求項3】
前記蒸気ラインから排出される水蒸気の過熱度を検出する過熱度検出部をさらに備え、
前記制御部は、過熱度検出部の検出結果に基づいて、所定の過熱度になるように前記水添加部からの給水量を制御する給水制御部をさらに備える、請求項1に記載の水蒸気発生装置。
【請求項4】
前記バーナに水素を供給するライン、及び/又は前記バーナに酸素を供給するラインに接続される、不活性ガスを供給する不活性ガス供給ラインと、
前記不活性ガス供給ラインの不活性ガス流量を調整する不活性ガス流量調整部と、
前記気化室に接続される、パージラインと、
前記パージラインを流通するパージガスの流量を調整するパージガス流量調整部と、を備え、
前記制御部は、
プレパージ制御部と、着火制御部と、をさらに備え、
前記プレパージ制御部は、
前記水素の供給が停止された状態、かつ、前記酸素の供給が停止された状態において、前記不活性ガス流量調整部を開放し、前記不活性ガスが前記燃焼室及び前記気化室を経由して前記パージラインに供給された際に、前記パージガス流量調整部を開放し、所定の時間経過した後に前記不活性ガス流量調整部を閉止する制御を実施し、
前記着火制御部は、
水素及び酸素の供給を開始し、前記水素及び前記酸素の供給が開始された後に前記バーナの着火動作を開始する制御を実施する、請求項1に記載の水蒸気発生装置。
【請求項5】
前記気化室に接続される、パージラインと、
前記パージラインを流通するパージガスの流量を調整するパージガス流量調整部と、を備え、
前記制御部は、
着火制御部と、蒸気供給制御部と、をさらに備え、
前記着火制御部は、
水素及び酸素の供給を開始し、前記水素及び前記酸素の供給が開始された後に前記バーナの着火動作を開始する制御を実施し、
前記蒸気供給制御部は、
前記燃焼室の温度及び前記室圧力検出部の値が所定の値まで上昇した後に、前記パージガス流量調整部を閉止し、前記蒸気排出調整部を開放するように制御をする、請求項2に記載の水蒸気発生装置。
【請求項6】
前記バーナに水素を供給するライン、及び/又は前記バーナに酸素を供給するラインに接続される、不活性ガスを供給する不活性ガス供給ラインと、
前記不活性ガス供給ラインの不活性ガス流量を調整する不活性ガス流量調整部と、
前記気化室に接続される、パージラインと、
前記パージラインを流通するパージガスの流量を調整するパージガス流量調整部と、を備え、
前記制御部は、
プレパージ制御部と、着火制御部と、蒸気供給制御部と、をさらに備え、
前記プレパージ制御部は、
前記水素の供給が停止された状態、かつ、前記酸素の供給が停止された状態において、前記蒸気排出調整部を閉止した後、前記不活性ガス流量調整部を開放し、前記不活性ガスが前記燃焼室及び前記気化室を経由して前記パージラインに供給された際に、前記パージガス流量調整部を開放し、所定の時間経過した後に前記不活性ガス流量調整部を閉止する制御を実施し、
前記着火制御部は、
水素及び酸素の供給を開始し、前記水素及び前記酸素の供給が開始された後に前記バーナの着火動作を開始する制御を実施し、
前記蒸気供給制御部は、
前記燃焼室の温度及び前記室圧力検出部の値が所定の値まで上昇した後に、前記パージガス流量調整部を閉止し、前記蒸気排出調整部を開放するように制御をする、請求項2に記載の水蒸気発生装置。
【請求項7】
請求項1に記載の水蒸気発生装置と、
前記水蒸気発生装置に水素及び酸素を供給する水電解装置と、
前記水電解装置から前記水蒸気発生装置に水素を供給する水素供給ラインと、
前記水電解装置から前記水蒸気発生装置に酸素を供給する酸素供給ラインと、
前記水蒸気発生装置に供給される水素流量を調整する水素流量調整部と、
前記水蒸気発生装置に供給される酸素流量を調整する酸素流量調整部と、を備え、
前記酸素流量調整部は、前記水素流量に対して、水素及び酸素の当量比1となるように、酸素流量を調整する、水蒸気発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水蒸気を生成させるための装置として、ボイラが広く知られている。一般的なボイラは、燃料の燃焼により発生した熱により水を加熱して水蒸気を発生させるものであり、燃焼時に二酸化炭素が発生する燃料ガス(例えば、LNGやLPG)を利用することが多い。
近年、環境負荷の観点から、燃焼時に二酸化炭素が発生しない燃料ガスとして、水素が注目されている。また、ボイラで水素を燃焼させて発生した熱により水を加熱して水蒸気を発生させるボイラ装置ではなく、水素を燃焼させることで、燃料である水素から直接に水蒸気を生成させる水蒸気発生装置が注目されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-24068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水蒸気を使用する機器等の運転状況は生産ラインによって様々である。そのため、水蒸気発生装置は、水蒸気の使用状況に合わせた運転をすることが求められる。
【0005】
本発明は、水蒸気の使用状況に合わせた運転をすることができる、水蒸気発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水蒸気使用部に水蒸気を供給する水蒸気発生装置であって、水素及び酸素を当量比1で噴出するバーナと、前記バーナから噴出した水素と酸素を燃焼し、燃焼生成物としての第1水蒸気を生成させる燃焼室と、前記第1水蒸気に水を添加する水添加部と、前記水添加部から供給される水を気化させて第2水蒸気を生成させる気化室と、前記第1水蒸気と前記第2水蒸気とを前記気化室から排出する蒸気ラインと、前記水蒸気使用部の蒸気負荷を検出する蒸気負荷検出部と、前記水蒸気発生装置の運転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記蒸気負荷検出部の検出結果に基づいて前記バーナの燃焼量を制御する燃焼量制御部を備えた、水蒸気発生装置に関する。
【0007】
また、前記燃焼室又は前記気化室の圧力の少なくともいずれか一方の圧力の検出をする室圧力検出部と、前記気化室から排出する水蒸気量を制御する蒸気排出調整部と、をさらに備え、前記制御部は、前記室圧力検出部の検出結果に基づいて前記蒸気排出調整部を制御する室圧力制御部をさらに備えることが好ましい。
【0008】
また、前記蒸気ラインから排出される水蒸気の過熱度を検出する過熱度検出部をさらに備え、前記制御部は、過熱度検出部の検出結果に基づいて、所定の過熱度になるように前記水添加部からの給水量を制御する給水制御部をさらに備えることが好ましい。
【0009】
また、前記バーナに水素を供給するライン、及び/又は前記バーナに酸素を供給するラインに接続される、不活性ガスを供給する不活性ガス供給ラインと、前記不活性ガス供給ラインの不活性ガス流量を調整する不活性ガス流量調整部と、前記気化室に接続される、パージラインと、前記パージラインを流通するパージガスの流量を調整するパージガス流量調整部と、を備え、前記制御部は、プレパージ制御部と、着火制御部と、をさらに備え、前記プレパージ制御部は、前記水素の供給が停止された状態、かつ、前記酸素の供給が停止された状態において、前記不活性ガス流量調整部を開放し、前記不活性ガスが前記燃焼室及び前記気化室を経由して前記パージラインに供給された際に、前記パージガス流量調整部を開放し、所定の時間経過した後に前記不活性ガス流量調整部を閉止する制御を実施し、前記着火制御部は、水素及び酸素の供給を開始し、前記水素及び前記酸素の供給が開始された後に前記バーナの着火動作を開始する制御を実施することが好ましい。
【0010】
また、前記気化室に接続される、パージラインと、前記パージラインを流通するパージガスの流量を調整するパージガス流量調整部と、を備え、前記制御部は、着火制御部と、蒸気供給制御部と、をさらに備え、前記着火制御部は、水素及び酸素の供給を開始し、前記水素及び前記酸素の供給が開始された後に前記バーナの着火動作を開始する制御を実施し、前記蒸気供給制御部は、前記燃焼室の温度及び前記室圧力検出部の値が所定の値まで上昇した後に、前記パージガス流量調整部を閉止し、前記蒸気排出調整部を開放するように制御をすることが好ましい。
【0011】
また、前記バーナに水素を供給するライン、及び/又は前記バーナに酸素を供給するラインに接続される、不活性ガスを供給する不活性ガス供給ラインと、前記不活性ガス供給ラインの不活性ガス流量を調整する不活性ガス流量調整部と、前記気化室に接続される、パージラインと、前記パージラインを流通するパージガスの流量を調整するパージガス流量調整部と、を備え、前記制御部は、プレパージ制御部と、着火制御部と、蒸気供給制御部と、をさらに備え、前記プレパージ制御部は、前記水素の供給が停止された状態、かつ、前記酸素の供給が停止された状態において、前記蒸気排出調整部を閉止した後、前記不活性ガス流量調整部を開放し、前記不活性ガスが前記燃焼室及び前記気化室を経由して前記パージラインに供給された際に、前記パージガス流量調整部を開放し、所定の時間経過した後に前記不活性ガス流量調整部を閉止する制御を実施し、前記着火制御部は、水素及び酸素の供給を開始し、前記水素及び前記酸素の供給が開始された後に前記バーナの着火動作を開始する制御を実施し、前記蒸気供給制御部は、前記燃焼室の温度及び前記室圧力検出部の値が所定の値まで上昇した後に、前記パージガス流量調整部を閉止し、前記蒸気排出調整部を開放するように制御をすることが好ましい。
【0012】
上記に記載の水蒸気発生装置と、前記水蒸気発生装置に水素及び酸素を供給する水電解装置と、前記水電解装置から前記水蒸気発生装置に水素を供給する水素供給ラインと、前記水電解装置から前記水蒸気発生装置に酸素を供給する酸素供給ラインと、前記水蒸気発生装置に供給される水素流量を調整する水素流量調整部と、前記水蒸気発生装置に供給される酸素流量を調整する酸素流量調整部と、を備え、前記酸素流量調整部は、前記水素流量に対して、水素及び酸素の当量比1となるように、酸素流量を調整する、水蒸気発生システムに関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水蒸気の使用状況に合わせた運転をすることができる、水蒸気発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の水蒸気発生装置を示す概略図である。
図2】本実施形態の制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の水蒸気発生システムを示す概略図である。
図4】本発明の水蒸気発生装置の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の水蒸気発生装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の水蒸気発生装置1を示す概略図である。
本実施形態の水蒸気発生装置1は、水素及び酸素を燃焼させることで高温の水蒸気を生成し、生成された高温の水蒸気に、水が添加される。生成された高温の水蒸気は、添加された水を加熱し気化させることで水蒸気を発生させる。水蒸気発生装置1は、生成物の水蒸気及び気化後の水蒸気を直接的に負荷機器(図示なし)に供給する。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
本実施形態の水蒸気発生装置1は、ケーシング10と、バーナ11と、ケーシング10に設けられる燃焼室12及び気化室13と、気化室13に配置される水添加部15及び室圧力検出部16と、水冷部14と、水素供給ラインL100と、酸素供給ラインL200と、不活性ガス供給ラインL300と、蒸気ラインL400と、パージラインL500と、給水ラインL600と、制御部700と、を備える。
【0016】
ケーシング10は、水蒸気発生装置1の外形を構成する。本実施形態では、ケーシング10は、水平方向に延びる筒状又は角筒状に形成される。
バーナ11は、ケーシング10に取り付けられる。本実施形態では、バーナ11は、ケーシング10の長手方向の一端部に取り付けられる。バーナ11には、水素供給ラインL100及び酸素供給ラインL200が接続される。バーナ11は、水素供給ラインL100及び酸素供給ラインL200から供給された水素及び酸素を当量比1で噴出し、水素及び酸素を燃焼する。本実施形態では、バーナ11は、水素及び酸素を水平方向に噴出し燃焼させる。
【0017】
燃焼室12及び気化室13は、ケーシング10の内部に配置される。
燃焼室12は、ケーシング10の内部におけるバーナ11が配置される側に配置される。燃焼室12では、バーナ11から当量比1で噴出される水素及び酸素が燃焼され、燃焼生成物としての第1水蒸気が生成される。
【0018】
気化室13は、燃焼室12の下流側に配置される。気化室13は、後述の水添加部15から添加される水を、燃焼室12でバーナ11が水素及び酸素を燃焼することによって生成された第1水蒸気により加熱し、気化することで、第2水蒸気を生成する。本実施形態においては、気化室13は、後述する蒸気ラインL400及びパージラインL500が接続される。
【0019】
水冷部14は、給水ラインL600に接続され、ケーシング10を冷却する。水冷部14は、給水ラインL600から供給される水により、燃焼室12及び気化室13の一部を冷却する。言い換えると、給水ラインL600から供給された水は、燃焼室12及び気化室13の一部から加熱される。燃焼室12及び気化室13の一部から加熱された水は、その後に水添加部15から気化室13へ添加される。
水添加部15は、気化室13に水を添加する。本実施形態では、水冷部14において燃焼室12及び気化室13の一部を冷却することで加熱された水が、水添加部15から気化室13に添加される。
【0020】
室圧力検出部16は、気化室13に配置されている。室圧力検出部16は、気化室13の圧力を検出する。室圧力検出部16は、制御部700と電気的に接続されている。このため、室圧力検出部16の検出結果は、制御部700によって取得可能である。
【0021】
水素供給ラインL100は、水素供給源である水素貯蔵タンク802から供給された水素を流通させ、バーナ11へ供給する。水素供給ラインL100は、上流側から順に、開閉弁V131と、水素流量センサ121と、水素遮断弁V112と、水素遮断弁V111と、水素流量調整弁V101と、フレームアレスタ103と、開閉弁V102と、を備える。
【0022】
水素流量調整弁V101は、弁の開度を調整することによってバーナ11へ供給する水素流量を調整する調整弁である。水素流量調整弁V101は、制御部700と電気的に接続されている。このため、水素流量調整弁V101は、制御部700から送信される信号により制御される。
開閉弁V102及び開閉弁V131は、水素供給ラインL100の開閉を操作可能な手動弁である。
フレームアレスタ103は、バーナ11から水素供給ラインL100に発生した逆火の上流側への進行を防止する。
水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112は、水素供給ラインL100の開閉を操作可能な自動弁である。水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112は、制御部700とそれぞれ電気的に接続されている。このため、水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112は、制御部700から送信される信号により制御される。
水素流量センサ121は、水素供給ラインL100を流通する水素の流量を検出する。水素流量センサ121は、制御部700と電気的に接続されている。このため、水素流量センサ121の検出結果は、制御部700によって取得可能である。
【0023】
酸素供給ラインL200は、酸素供給源である酸素貯蔵タンク803から供給された酸素を流通させ、バーナ11へ供給する。酸素供給ラインL200は、上流側から順に、開閉弁V231と、酸素流量センサ221と、酸素遮断弁V212と、酸素遮断弁V211と、酸素流量調整弁V201と、開閉弁V202と、を備える。
【0024】
酸素流量調整弁V201は、弁の開度を調整することによってバーナ11へ供給する酸素流量を調整する調整弁である。酸素流量調整弁V201は、制御部700と電気的に接続されている。このため、酸素流量調整弁V201は、制御部700から送信される信号により制御される。
開閉弁V202及び開閉弁V231は、酸素供給ラインL200の開閉を操作可能な手動弁である。
酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212は、酸素供給ラインL200の開閉を操作可能な自動弁である。酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212は、制御部700とそれぞれ電気的に接続されている。このため、酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212は、制御部700から送信される信号により制御される。
酸素流量センサ221は、酸素供給ラインL200を流通する酸素の流量を検出する。酸素流量センサ221は、制御部700と電気的に接続されている。このため、酸素流量センサ221の検出結果は、制御部700によって取得可能である。
【0025】
不活性ガス供給ラインL300は、不活性ガスを流通させ、水素供給ラインL100を介してバーナ11、燃焼室12及び気化室13に不活性ガスを供給する。不活性ガス供給ラインL300は、上流側から順に、開閉弁V331と、不活性ガス遮断弁V312と、不活性ガス遮断弁V311と、を備える。不活性ガス供給ラインL300は、水素供給ラインL100に接続される。具体的には、不活性ガス供給ラインL300は、水素供給ラインL100のフレームアレスタ103と水素流量調整弁V101との間に接続される。
【0026】
不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312は、不活性ガス供給ラインL300の開閉を操作可能な自動弁である。不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312は、制御部700とそれぞれ電気的に接続されている。このため、不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312は、制御部700から送信される信号により制御される。
開閉弁V331は、不活性ガス供給ラインL300の開閉を操作可能な手動弁である。
【0027】
蒸気ラインL400は、燃焼室12でバーナ11が水素及び酸素を燃焼させることで生成した第1水蒸気と、気化室13に水添加部15から添加された水を気化させることで生成した第2水蒸気を流通させ、負荷機器(図示なし)へ第1水蒸気及び第2水蒸気の混合水蒸気を供給する。蒸気ラインL400は、気化室13側から順に、過熱度検出部としての蒸気温度センサ461と、過熱度検出部としての蒸気圧力センサ462と、蒸気流量調整弁V401と、逆止弁V451と、開閉弁V431と、蒸気負荷圧力センサ441と、を備える。
【0028】
蒸気流量調整弁V401は、弁の開度を調整することによって負荷機器(図示なし)へ供給する蒸気流量を調整する調整弁である。蒸気流量調整弁V401は、制御部700と電気的に接続されている。このため、蒸気流量調整弁V401は、制御部700から送信される信号により制御される。
開閉弁V431は、蒸気ラインL400の開閉を操作可能な手動弁である。
蒸気負荷圧力センサ441は、負荷機器(図示なし)の圧力を検出する。蒸気負荷圧力センサ441は、制御部700と電気的に接続されている。このため、蒸気負荷圧力センサ441の検出結果は、制御部700によって取得可能である。
過熱度検出部としての蒸気温度センサ461及び蒸気圧力センサ462は、蒸気ラインL400を流通する蒸気の温度及び圧力をそれぞれ検出する。蒸気温度センサ461及び蒸気圧力センサ462は、制御部700と電気的に接続されている。このため、蒸気温度センサ461及び蒸気圧力センサ462の検出結果は、制御部700によってそれぞれ取得可能である。
逆止弁V451は、負荷機器(図示なし)から蒸気ラインL400を通じて気化室13へ水蒸気が逆流することを防止する。
【0029】
パージラインL500は、不活性ガス供給ラインL300から供給された不活性ガスは、水素供給ラインL100を介してバーナ11、燃焼室12及び気化室13をそれぞれ流通した後に、パージラインL500を流通して、パージラインL500の出口から排気される。また、負荷機器(図示なし)へ供給するための水蒸気の条件に達していない気体、例えば、バーナ11が燃焼開始直後の水蒸気を、パージラインL500に流通させて、パージラインL500の出口から排出する。パージラインL500は、気化室13側から順に、開閉弁V531と、パージガス流量調整部としてのパージ遮断弁V511と、を備える。
【0030】
パージガス流量調整部としてのパージ遮断弁V511は、パージラインL500の開閉を操作可能な自動弁である。パージ遮断弁V511は、制御部700と電気的に接続されている。このため、パージ遮断弁V511は、制御部700から送信される信号により制御される。
開閉弁V531は、パージラインL500の開閉を操作可能な手動弁である。
【0031】
給水ラインL600は、燃焼室12及び気化室13の一部を冷却する水冷部14に水を供給する。燃焼室12及び気化室13の一部の冷却を終えた水は、水添加部15から気化室13へ添加される。
給水ラインL600は、上流側から順に、給水流量調整弁V601と、逆止弁V651と、逆止弁V652と、水流量センサ621と、開閉弁V631と、を備える。
【0032】
給水流量調整弁V601は、弁の開度を調整することによって水冷部14へ供給する水の流量を調整する調整弁である。水冷部14へ供給する水の流量を調整することは、つまり、水添加部15から水を添加する流量を調整することである。水添加部15から水が添加されることにより、気化室13から排出される第1水蒸気及び第2水蒸気の混合水蒸気の温度を低下させる。給水流量調整弁V601は、制御部700と電気的に接続されている。このため、給水流量調整弁V601は、制御部700から送信される信号により制御される。
開閉弁V631は、給水ラインL600の開閉を操作可能な手動弁である。
水流量センサ621は、給水ラインL600を流通する水の流量を検出する。水流量センサ621は、制御部700と電気的に接続されている。このため、水流量センサ621の検出結果は、制御部700によって取得可能である。
逆止弁V651及び逆止弁V652は、給水ラインL600の水添加部15から水又は水蒸気が逆流することを防止する。
【0033】
図2は、制御部700の構成を示すブロック図である。制御部700は、各種センサの検出結果に基づいて、水蒸気発生装置1の各種制御弁等を制御する。図2に示されるように、制御部700は、燃焼量制御部701と、着火制御部702と、プレパージ制御部703と、蒸気供給制御部704と、室圧力制御部705と、給水制御部706と、燃焼停止制御部707と、ポストパージ制御部708と、緊急停止制御部709と、を備える。
【0034】
燃焼量制御部701は、水素流量センサ121の検出結果と、酸素流量センサ221の検出結果と、蒸気負荷圧力センサ441の検出結果に基づいて、水素流量調整弁V101と、酸素流量調整弁V201を調整して水素及び酸素の供給量を調整し、バーナ11の燃焼量を制御する。
【0035】
着火制御部702は、バーナ11の燃焼を開始するために、水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112と、酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212を開放し、バーナ11の着火動作の制御を実施する。
【0036】
プレパージ制御部703は、着火制御部702の着火制御が開始される前に、不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312と、パージ遮断弁V511を開放し、パージ制御を実施する。
【0037】
蒸気供給制御部704は、パージ遮断弁V511を閉止すると共に、蒸気流量調整弁V401を開放する制御を実施し、水蒸気を負荷機器(図示なし)へ供給する。
【0038】
室圧力制御部705は、室圧力検出部16の検出結果に基づいて、蒸気流量調整弁V401を制御する。
【0039】
給水制御部706は、過熱度検出部としての蒸気温度センサ461及び蒸気圧力センサ462のそれぞれの検出結果に基づいて、所定の過熱度の水蒸気となるように給水流量調整弁V601を制御する。
【0040】
燃焼停止制御部707は、バーナ11の燃焼を停止させるために、水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112と、酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212を閉止する制御を実施する。
【0041】
ポストパージ制御部708は、バーナ11の燃焼が停止したあとに、パージ遮断弁V511を開放すると共に、蒸気流量調整弁V401を閉止し、その後不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を開放し、パージ制御を実施する。
【0042】
緊急停止制御部709は、水蒸気発生装置1の運転中に異常が発生した場合に、水蒸気発生装置1の緊急停止を実施する。緊急停止制御部709は、室圧力検出部16、蒸気負荷圧力センサ441、過熱度検出部としての蒸気温度センサ461及び蒸気圧力センサ462のそれぞれの検出結果に基づいて、水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112と、酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212を閉止し、パージ遮断弁V511を開放すると共に、蒸気流量調整弁V401を閉止し、その後不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を開放する制御を実施する。
【0043】
次に、本実施形態の水蒸気発生装置1の動作について説明する。
水蒸気発生装置1が燃焼指示を受けると、プレパージ制御部703は、燃焼室12及び気化室13をパージする。プレパージ制御部703は、水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112と、酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212が閉止していることを確認した後に、不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312と、パージ遮断弁V511を開放する。これにより、不活性ガス供給ラインL300から不活性ガスが燃焼室12及び気化室13に供給される。本実施形態においては、不活性ガスは、水素供給ラインL100を介して燃焼室12及び気化室13へ流入し、さらに、気化室13に接続されているパージラインL500を流通した後、パージラインL500の出口から排出される。プレパージ制御部703は、不活性ガスの供給を開始してから、所定の時間が経過した後に、不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を閉止する。その後、プレパージ制御部703は、プレパージ工程を終了する。
【0044】
プレパージ工程終了後に、着火制御部702は、バーナ11の着火工程を開始する。
着火制御部702は、水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112と、酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212を開放した後に、バーナ11の着火動作を開始する。これにより、水素供給ラインL100及び酸素供給ラインL200から水素及び酸素がバーナ11に供給され、水素及び酸素が着火動作中のバーナ11に供給されることにより、バーナ11の燃焼が開始される。その後、着火制御部702は、バーナ11の着火工程を終了する。
【0045】
バーナ11の燃焼が開始されると、燃焼室12において第1水蒸気が生成される。燃焼室12において生成された第1水蒸気は、気化室13を通過した後パージラインL500の出口から排出される。そして、制御部700(蒸気供給制御部704)は、室圧力検出部16により検出される圧力(燃焼室12又は気化室13の圧力)が所定の圧力を超え、蒸気温度センサ461により検出される温度(燃焼室12又は気化室13の温度)が所定の温度を超えた場合に、パージ遮断弁V511を閉止すると共に、蒸気流量調整弁V401を開放する。これにより、負荷機器(図示なし)への安定した蒸気供給が開始される。
【0046】
負荷機器(図示なし)への蒸気供給が開始された後、燃焼量制御部701は、バーナ11の燃焼量を制御する。燃焼量制御部701は、水素流量センサ121の検出結果と、酸素流量センサ221の検出結果と、蒸気負荷圧力センサ441の検出結果に基づいて、水素流量調整弁V101と、酸素流量調整弁V201を調整して、バーナ11への水素及び酸素の供給量を調整する制御を実施する。
また、燃焼量制御部701によってバーナ11の燃焼量を制御するとともに、室圧力制御部705は、室圧力検出部16の検出結果に基づいて、蒸気流量調整弁V401の開度を調整する制御を実施する。これにより、室圧力制御部705は、蒸気ラインL400を流通する水蒸気量を調整することで、燃焼室12及び気化室13の圧力を安定させるとともに、負荷機器(図示なし)へ供給する水蒸気の圧力を安定させることができる。
さらに、給水制御部706は、過熱度検出部としての蒸気温度センサ461及び蒸気圧力センサ462のそれぞれの検出結果に基づいて、給水流量調整弁V601を調整する制御を実施する。これにより、給水制御部706は、第1水蒸気及び第2水蒸気の混合水蒸気の温度を低下させることで、所定の過熱度の水蒸気となるように制御することができる。
【0047】
負荷機器(図示なし)における蒸気使用量が低下する等により燃焼停止指示を受けると、水蒸気発生装置1は運転を停止し負荷機器(図示なし)への水蒸気の供給を停止する。この場合、燃焼停止制御部707は、バーナ11の燃焼を停止する制御を実施する。
燃焼停止制御部707は、水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112と、酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212を閉止する制御を実施する。これにより、バーナ11への水素及び酸素の供給が停止されることでバーナ11の燃焼が停止する。
【0048】
バーナ11の燃焼が停止した後、ポストパージ制御部708は、燃焼室12及び気化室13をパージする。ポストパージ制御部708は、水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112と、酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212が閉止していることを確認した後に、パージ遮断弁V511を開放すると共に、蒸気流量調整弁V401を閉止し、その後不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を開放する。これにより、不活性ガス供給ラインL300から不活性ガスが燃焼室12及び気化室13に供給される。本実施形態においては、不活性ガスは、水素供給ラインL100を介して燃焼室12及び気化室13へ流入し、さらに、気化室13に接続されているパージラインL500を流通した後、パージラインL500の出口から排出される。ポストパージ制御部708は、不活性ガスの供給を開始してから所定の時間が経過した後に、不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を閉止する。その後、ポストパージ制御部708は、ポストパージ工程を終了する。
これにより、水蒸気発生装置1の運転が停止される。
【0049】
緊急停止制御部709は、水蒸気発生装置1の運転中に異常が発生した場合に、水蒸気発生装置1の緊急停止を実施する。緊急停止制御部709は、室圧力検出部16、蒸気負荷圧力センサ441、過熱度検出部としての蒸気温度センサ461及び蒸気圧力センサ462に予め設定された緊急停止閾値の設定範囲外の検出結果を取得した場合、水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112と、酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212を閉止する制御を実施する。緊急停止制御部709は、水素遮断弁V111及び水素遮断弁V112と、酸素遮断弁V211及び酸素遮断弁V212が閉止していることを確認した後に、パージ遮断弁V511を開放すると共に、蒸気流量調整弁V401を閉止し、その後不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を開放する。緊急停止制御部709は、燃焼室12及び気化室13に不活性ガスが供給され、所定の時間が経過した後に、不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を閉止する。その後、緊急停止制御部709は、緊急停止工程を終了する。
【0050】
以上説明した本実施形態の水蒸気発生装置1によれば、以下のような効果が奏される。
【0051】
(1)本実施形態の水蒸気発生装置1は、水蒸気使用部に水蒸気を供給する水蒸気発生装置1であって、水素及び酸素を当量比1で噴出するバーナ11と、バーナ11から噴出した水素と酸素を燃焼し、燃焼生成物としての第1水蒸気を生成させる燃焼室12と、第1水蒸気に水を添加する水添加部15と、水添加部15から供給される水を気化させて第2水蒸気を生成させる気化室13と、第1水蒸気と前記第2水蒸気とを気化室13から排出する蒸気ラインL400と、水蒸気使用部の蒸気負荷を検出する蒸気負荷検出部としての蒸気負荷圧力センサ441と、水蒸気発生装置1の運転を制御する制御部700と、を備え、制御部700は、蒸気負荷検出部としての蒸気負荷圧力センサ441の検出結果に基づいてバーナ11の燃焼量を制御する燃焼量制御部701を備えている。
これにより、蒸気負荷情報としての蒸気負荷圧力センサ441の検出結果に基づいて、バーナ11の燃焼量を制御することができるので、水蒸気使用部の状況に合わせた運転をすることができる、水蒸気発生装置1を提供することができる。
【0052】
(2)上記(1)の水蒸気発生装置1において、燃焼室12又は気化室13の圧力の少なくともいずれか一方の圧力の検出をする室圧力検出部16と、気化室13から排出する水蒸気量を制御する蒸気排出調整部としての蒸気流量調整弁V401と、をさらに備え、制御部700は、室圧力検出部16の検出結果に基づいて蒸気排出調整部としての蒸気流量調整弁V401を制御する室圧力制御部705をさらに備える。
これにより、燃焼室12又は気化室13の圧力を検出した結果に基づいて、蒸気排出調整弁としての蒸気流量調整弁V401を制御することにより、水蒸気発生装置1の燃焼室12又は気化室13の圧力を安定させることができ、さらに、安定した圧力の水蒸気を負荷機器(図示なし)へ供給することができる。
【0053】
(3)上記(1)又は(2)の水蒸気発生装置1において、蒸気ラインL400から排出される水蒸気の過熱度を検出する過熱度検出部としての蒸気温度センサ461及び蒸気圧力センサ462をさらに備え、制御部700は、過熱度検出部としての蒸気温度センサ461及び蒸気圧力センサ462のそれぞれの検出結果に基づいて、所定の過熱度になるように水添加部15からの給水量を制御する給水制御部706をさらに備える。
これにより、排出蒸気の圧力と温度を検出した結果に基づいて、給水量を調整することで、より安定した温度の過熱蒸気を負荷機器(図示なし)へ供給することができる。
【0054】
(4)上記(1)から(3)のいずれかの水蒸気発生装置1において、バーナ11に水素を供給する水素供給ラインL100に接続される、不活性ガスを供給する不活性ガス供給ラインL300と、不活性ガス供給ラインL300の不活性ガス流量を調整する不活性ガス流量調整部としての不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312と、気化室13に接続される、パージラインL500と、パージラインL500を流通するパージガスの流量を調整するパージガス流量調整部としてのパージ遮断弁V511と、を備え、制御部700は、プレパージ制御部703と、着火制御部702と、をさらに備え、プレパージ制御部703は、水素の供給が停止された状態、かつ、酸素の供給が停止された状態において、不活性ガス流量調整部としての不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を開放し、不活性ガスが燃焼室12及び気化室13を経由してパージラインL500に供給された際に、パージガス流量調整部としてのパージ遮断弁V511を開放し、所定の時間経過した後に不活性ガス流量調整部としての不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を閉止する制御を実施し、着火制御部702は、水素及び酸素の供給を開始し、水素及び酸素の供給が開始された後にバーナ11の着火動作を開始する制御を実施する。
これにより、プレパージ工程の後にバーナ11を燃焼開始させることで、バーナ11へ供給される水素と酸素は不活性ガスと混合しながら燃焼するので、激しい燃焼を抑制することができる。
【0055】
(5)上記(1)から(4)のいずれかの水蒸気発生装置1において、気化室13に接続される、パージラインL500と、パージラインL500を流通するパージガスの流量を調整するパージガス流量調整部としてのパージ遮断弁V511と、を備え、制御部700は、着火制御部702と、蒸気供給制御部704と、をさらに備え、着火制御部702は、水素及び酸素の供給を開始し、水素及び酸素の供給が開始された後にバーナ11の着火動作を開始する制御を実施し、蒸気供給制御部704は、燃焼室12の温度及び室圧力検出部16の値が所定の値まで上昇した後に、パージガス流量調整部としてのパージ遮断弁V511を閉止し、蒸気排出調整部としての蒸気流量調整弁V401を開放するように制御をする。
これにより、気化室13に残存していた未燃水素及び未燃酸素等を含む水蒸気以外の気体を、水蒸気利用設備である負荷機器(図示なし)へ流出させないようにすることで、負荷機器(図示なし)での伝熱阻害を防ぐことができる。
【0056】
(6)上記(1)から(5)のいずれかの水蒸気発生装置1において、バーナ11に水素を供給する水素供給ラインL100に接続される、不活性ガスを供給する不活性ガス供給ラインL300と、不活性ガス供給ラインL300の不活性ガス流量を調整する不活性ガス流量調整部としての不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312と、気化室13に接続される、パージラインL500と、パージラインL500を流通するパージガスの流量を調整するパージガス流量調整部としてのパージ遮断弁V511と、を備え、制御部700は、プレパージ制御部703と、着火制御部702と、蒸気供給制御部704と、をさらに備え、プレパージ制御部703は、水素の供給が停止された状態、かつ、酸素の供給が停止された状態において、蒸気排出調整部としての蒸気流量調整弁V401を閉止した後、不活性ガス流量調整部としての不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を開放し、不活性ガスが燃焼室12及び気化室13を経由してパージラインL500に供給された際に、パージガス流量調整部としてのパージ遮断弁V511を開放し、所定の時間経過した後に不活性ガス流量調整部としての不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を閉止する制御を実施し、着火制御部702は、水素及び酸素の供給を開始し、水素及び酸素の供給が開始された後にバーナ11の着火動作を開始する制御を実施し、蒸気供給制御部704は、燃焼室12の温度及び室圧力検出部16の値が所定の値まで上昇した後に、パージガス流量調整部としてのパージ遮断弁V511を閉止し、蒸気排出調整部としての蒸気流量調整弁V401を開放するように制御をする。
プレパージ工程の後にバーナ11を燃焼開始させることで、バーナ11へ供給される水素と酸素は不活性ガスと混合しながら燃焼するので、激しい燃焼を抑制することができる。さらに、水蒸気利用設備である負荷機器(図示なし)へ、気化室13に残存していた不活性ガスや未燃水素及び未燃酸素を流出させないようにすることで、負荷機器(図示なし)での伝熱阻害を防ぐことができる。
【0057】
次に、本発明の水蒸気発生システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、水蒸気発生装置1に含まれる構成は、図1及び図2で説明した構成と同様の構成である。図1及び図2で説明した構成と同様の構成については、その説明を一部省略する。
図3は、本発明の水蒸気発生システム800を示す概略図である。図3に示されるように、水蒸気発生システム800は、水電解装置801と、水素貯蔵タンク802と、酸素貯蔵タンク803と、水素貯蔵ラインL110と、酸素貯蔵ラインL210と、水蒸気発生装置1と、を備える。水蒸気発生装置1は、水素供給ラインL100と、酸素供給ラインL200と、不活性ガス供給ラインL300と、制御部700と、を備える。
【0058】
水電解装置801は、水を電気分解することで、水素及び酸素を発生させる装置である。水電解装置801が発生させた水素及び酸素は、水電解装置801から水素貯蔵ラインL110及び酸素貯蔵ラインL210によって接続される、水素貯蔵タンク802及び酸素貯蔵タンク803へ、それぞれ貯蔵される。
【0059】
水素貯蔵タンク802は、水電解装置から発生した水素を貯蔵する。貯蔵されている水素は、水素貯蔵タンク802に接続される水素供給ラインL100を流通して、水蒸気発生装置1へ供給される。
【0060】
酸素貯蔵タンク803は、水電解装置から発生した酸素を貯蔵する。貯蔵されている酸素は、酸素貯蔵タンク803に接続される酸素供給ラインL200を流通して、水蒸気発生装置1へ供給される。
【0061】
水蒸気発生装置1における水素供給ラインL100は、水素流量調整弁V101と、水素流量センサ121と、を備える。
【0062】
水蒸気発生装置1における酸素供給ラインL200は、酸素流量調整弁V201と、酸素流量センサ221と、を備える。
【0063】
水蒸気発生装置1における制御部700は燃焼量制御部701を備えており、燃焼量制御部701は、さらに、所定の流量の水素が流通するように水素流量調整弁V101を制御し、バーナ11が当量比1で燃焼するように酸素流量調整弁V201を制御する。
【0064】
以上説明した本実施形態の水蒸気発生システム800によれば、以下のような効果が奏される。
【0065】
(7)本実施形態の水蒸気発生システム800は、上記(1)から(6)のいずれかの水蒸気発生装置1と、上記(1)から(6)のいずれかの水蒸気発生装置1に水素及び酸素を供給する水電解装置801と、水電解装置801から上記(1)から(6)のいずれかの水蒸気発生装置1に水素を供給する水素供給ラインL100と、水電解装置801から上記(1)から(6)のいずれかの水蒸気発生装置1に酸素を供給する酸素供給ラインL200と、上記(1)から(6)のいずれかの水蒸気発生装置1に供給される水素流量を調整する水素流量調整部としての水素流量調整弁V101と、上記(1)から(6)のいずれかの水蒸気発生装置1に供給される酸素流量を調整する酸素流量調整部としての酸素流量調整弁V201と、を備え、酸素流量調整部としての酸素流量調整弁V201は、水素流量に対して、水素及び酸素の当量比1となるように、酸素流量を調整する。
これにより、水電解装置801から発生した水素及び酸素を燃焼させるときに、当量比1となるように、酸素流量を調整することで、効率的な燃焼をすることができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく、種々の変更、変形及び組み合わせが可能である。
【0067】
図4は、水蒸気発生装置1の変形例の、水蒸気発生装置1Aを示す概略図である。例えば、図4に示されるように、気化室13は燃焼室12を囲むように配置され、燃焼室12の周辺部を含む。
【0068】
例えば、室圧力検出部16は、本実施形態では、気化室13に配置されているが、燃焼室12に配置されてもよい。この場合は、室圧力制御部705は、燃焼室12に配置された室圧力検出部16の検出結果に基づいて、蒸気流量調整弁V401を制御する。
【0069】
また、不活性ガス供給ラインL300は、水素供給ラインL100へ接続していたが、これに限らない。不活性ガス供給ラインL300は、酸素供給ラインL200へ接続してもよいし、水素供給ラインL100及び酸素供給ラインL200へ接続してもよい。これにより、水素供給ラインL100だけでなく、酸素供給ラインL200についても不活性ガスパージをすることができ、より安全な装置構成とすることができる。
また、不活性ガス供給ラインL300は、バーナ11へ接続してもよい。これにより、装置構成を単純化することができる。
【0070】
また、蒸気供給制御部704は、パージ遮断弁V511を閉止すると共に、蒸気流量調整弁V401を開放する制御を実施しているが、これに限らない。
例えば、蒸気供給制御部704は、パージ遮断弁V511を閉止し、その後蒸気流量調整弁V401を開放する制御を実施してもよい。これにより、パージ時間をなるべく少なくして蒸気損失をおさえることができる。
例えば、蒸気供給制御部704は、蒸気流量調整弁V401を開放し、その後パージ遮断弁V511を閉止する制御を実施してもよい。これにより、供給時の圧力変動を抑えることで、燃焼が安定して未燃ガスが負荷機器(図示なし)へ供給されることを抑制することができる。
【0071】
また、給水制御部706は、過熱度検出部としての蒸気温度センサ461及び蒸気圧力センサ462のそれぞれの検出結果に基づいて、所定の過熱度の水蒸気となるように給水流量調整弁V601を制御しているが、これに限らない。
例えば、給水制御部706は、蒸気圧力センサ462の検出結果によって、所定の過熱度の水蒸気となるための温度が判定される。給水制御部706は、水素流量センサ121と酸素流量センサ221の検出結果から得られる第1水蒸気の温度と、添加する水から得られる第2水蒸気の温度を、総合的に判断して、必要な添加水量を計算することで、所定の流量の水を給水流量調整弁V601で調整する制御をしてもよい。
これにより、蒸気温度センサ461を設置しなくても、高い精度の添加水量を気化室13に添加することができる。
【0072】
また、例えば、給水制御部706は、蒸気温度センサ461の検出結果によって、所定の過熱度の水蒸気となるための圧力が判定される。給水制御部706は、水素流量センサ121と酸素流量センサ221の検出結果から得られる第1水蒸気の体積と、添加する水から得られる第2水蒸気の体積を、総合的に判断して、必要な添加水量を計算することで、所定の流量の水を給水流量調整弁V601で調整する制御をしてもよい。
これにより、蒸気圧力センサ462を設置しなくても、高い精度の添加水量を気化室13に添加することができる。
【0073】
また、ポストパージ制御部708は、バーナ11の燃焼が停止したあとに、パージ遮断弁V511を開放すると共に、蒸気流量調整弁V401を閉止し、その後不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を開放し、パージ制御を実施しているが、これに限らない。
例えば、ポストパージ制御部708は、バーナ11の燃焼が停止したあとに、パージ遮断弁V511を開放し、その後蒸気流量調整弁V401を閉止し、その後不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を開放し、パージ制御を実施してもよい。
【0074】
また、緊急停止制御部709は、パージ遮断弁V511を開放すると共に、蒸気流量調整弁V401を閉止し、その後不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を開放する制御を実施しているが、これに限らない。
例えば、緊急停止制御部709は、パージ遮断弁V511を開放した後に、蒸気流量調整弁V401を閉止し、その後不活性ガス遮断弁V311及び不活性ガス遮断弁V312を開放する制御を実施してもよい。
【0075】
また、水添加部15から添加する水の一部を、水蒸気に換えて添加してもよい。
【0076】
また、水素供給ラインL100及び/又は酸素供給ラインL200に、蒸気ラインL400から分岐した分岐ラインを接続し、水素及び/又は酸素に水蒸気を混合させてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1、1A 水蒸気発生装置
11 バーナ
12 燃焼室
13 気化室
14 水添加部
16 室圧力検出部
L100 水素供給ライン
L200 酸素供給ライン
L300 不活性ガス供給ライン
L400 蒸気ライン
V301 不活性ガス流量調整弁(不活性ガス流量調整部)
V401 蒸気流量調整弁(蒸気排出調整弁)
V511 パージ遮断弁(パージガス流量調整部)
441 蒸気負荷圧力センサ
461 蒸気温度センサ(過熱度検出部)
462 蒸気圧力センサ(過熱度検出部)
700 制御部
701 燃焼量制御部
702 着火制御部
703 プレパージ制御部
704 蒸気供給制御部
705 室圧力制御部
706 給水制御部
800 水蒸気発生システム
図1
図2
図3
図4