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特開2024-107691表面検査装置、表面検査装置における斜光照明の設置方法、及び鋼板の製造方法
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  • 特開-表面検査装置、表面検査装置における斜光照明の設置方法、及び鋼板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107691
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】表面検査装置、表面検査装置における斜光照明の設置方法、及び鋼板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
G01N21/892 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011749
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小松原 広章
(72)【発明者】
【氏名】腰原 敬弘
(72)【発明者】
【氏名】大野 紘明
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA37
2G051AB02
2G051BA01
2G051BB01
2G051BB03
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051CB05
2G051EA16
2G051EB01
(57)【要約】
【課題】斜光照明を鋼板の幅方向から突出させずに設置できることとした表面検査装置、表面検査装置における斜光照明の設置方法、及び鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】表面検査装置1において、斜光照明11を、鋼板Sの幅方向(x-x方向)において2分割して第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bとする。また、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bを当該第1斜光照明11aと第2斜光照明11bとが干渉しないように鋼板Sの長手方向(y-y方向)において離し、かつ、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bからのそれぞれの光L11a,L11bが鋼板Sの幅方向内側から鋼板Sの幅方向外側に向けて照射されるように、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bを設置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜光照明を有する照明装置と、該照明装置によって光が照射された鋼板の表面を撮像する撮像装置と、撮像装置での撮像画像を画像処理して前記鋼板の表面にある凹凸欠陥を検出する画像処理装置とを備えた表面検査装置であって、
前記斜光照明を、前記鋼板の幅方向において2分割して第1斜光照明及び第2斜光照明とするとともに、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明を当該第1斜光照明と第2斜光照明とが干渉しないように前記鋼板の長手方向において離し、かつ、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明からのそれぞれの光が前記鋼板の幅方向内側から前記鋼板の幅方向外側に向けて照射されるように、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明を設置することを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記第1斜光照明からの光の波長と前記第2斜光照明からの光の波長とを異なるものとするとともに、前記撮像装置が、前記第1斜光照明から照射されて前記鋼板の表面で反射された光の波長を透過させる第1フィルタを備えた、前記第1斜光照明によって光が照射された前記鋼板の表面を撮像する第1斜光照明用撮像装置と、前記第2斜光照明から照射されて前記鋼板の表面で反射された光の波長を透過させる第2フィルタを備えた、前記第2斜光照明によって光が照射された前記鋼板の表面を撮像する第2斜光照明用撮像装置とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記鋼板の表面にある凹凸欠陥は、凹凸の量及び表面から見た凹凸の大きさに基づいて欠陥として除去する優先度を付けたランクに分けられており、前記画像処理装置は、前記第1斜光照明用撮像装置で撮像された撮像画像に基づいて前記第1斜光照明用撮像装置の視野における前記鋼板の表面にある凹凸欠陥を検出するとともに、当該凹凸欠陥のランクを判定し、前記第2斜光照明用撮像装置で撮像された撮像画像に基づいて前記第2斜光照明用撮像装置の視野における前記鋼板の表面にある凹凸欠陥を検出するとともに、当該凹凸欠陥のランクを判定することを特徴とする請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記第1斜光照明からの光の照射範囲と前記第2斜光照明からの光の照射範囲とが前記鋼板の幅方向において境界部で重なるように、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明が設置されるとともに、前記第1斜光照明用撮像装置の視野と前記第2斜光照明用撮像装置の視野とが前記鋼板の幅方向において境界部で重なるように、前記第1斜光照明用撮像装置及び前記第2斜光照明用撮像装置が設置されることを特徴とする請求項3に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記第1斜光照明用撮像装置の視野と前記第2斜光照明用撮像装置の視野とが重なった重複部分に対応する前記鋼板の表面に凹凸欠陥がある場合において、前記画像処理装置は、前記第1斜光照明用撮像装置の視野で判定された凹凸欠陥のランクと、前記第2斜光照明用撮像装置の視野で判定された凹凸欠陥のランクとが異なる場合、前記第1斜光照明用撮像装置の視野で判定された凹凸欠陥のランク及び前記第2斜光照明用撮像装置の視野で判定された凹凸欠陥のランクのうち優先度の高い凹凸欠陥のランクを採用することを特徴とする請求項4に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記照明装置は、正反射照明を有し、前記撮像装置は、前記正反射照明によって光が照射された前記鋼板の表面を撮像する正反射照明用撮像装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項7】
斜光照明を有する照明装置と、該照明装置によって光が照射された鋼板の表面を撮像する撮像装置と、撮像装置での撮像画像を画像処理して前記鋼板の表面にある凹凸欠陥を検出する画像処理装置とを備えた表面検査装置における斜光照明の設置方法であって、
前記斜光照明を、前記鋼板の幅方向において2分割して第1斜光照明及び第2斜光照明とするとともに、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明を当該第1斜光照明と第2斜光照明とが干渉しないように前記鋼板の長手方向において離し、かつ、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明からのそれぞれの光が前記鋼板の幅方向内側から前記鋼板の幅方向外側に向けて照射されるように、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明を設置することを特徴とする表面検査装置における斜光照明の設置方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の表面検査装置を用いて鋼板の表面検査を行う表面検査工程を含むことを特徴とする鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面検査装置、表面検査装置における斜光照明の設置方法、及び鋼板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鋼板の表面検査工程、例えば、酸洗された熱延鋼板の表面検査工程において、出荷前に熱延鋼板の表面検査を行い、当該熱延鋼板の表面に欠陥がある場合には、当該欠陥のある鋼板部分を切断するなどしている。この表面検査に用いられる表面検査装置においては、一般的に、走行する鋼板の表面に対して光(例えば、LED光)を照射する照明装置と、この照明装置によって光が照射された鋼板の表面を撮像する撮像装置とが備えられている。
【0003】
この照明装置は、一般的には、通常照明の構成を採用し、鋼板の幅方向全体につき光を照射可能なように鋼板の幅方向に沿って延び鋼板の幅方向全体をカバーする長さの棒状光源を備えている。そして、この棒状光源から照射される光の方向と鋼板の長手方向(通板方向)とが平行となるように棒状光源を鋼板に対して設置している。
ここで、この通常照明の構成を有する照明装置を用いた表面検査では、鋼板の表面にある凹凸の欠陥を検出することが困難なことがある。この理由は、鋼板の表面に光を照射した際に、鋼板の表面の正常部と欠陥部とを撮像した撮像画像において正常部の画像と欠陥部の画像に大きな違いが出ず、正常部及び欠陥部の両者の判別が困難なことがあるからである。
【0004】
これに対して、鋼板の表面にある凹凸の欠陥を精度高く検出するために、斜光照明を構成する照明装置を備えた表面検査装置を用いて検出を行うものとして、従来、例えば、特許文献1に示す鋼材の表面装置が提案されている。
特許文献1に示す鋼材の表面装置は、鋼材表面検査ラインに配置されたカラーラインカメラ、第1棒状光源(グリーン)および第2棒状光源(ブルー)の幅方向斜光照明、画像処理装置、RGBカラー画像とG-B差分画像により通板方向に対し、長手方向と幅方向の凹凸を顕在化させる手段を有した処理装置、及び疵を検出し識別する手段を有した処理装置を備えたものである。
【0005】
この特許文献1に示す鋼材の表面装置に用いられる第1棒状光源(グリーン)および第2棒状光源(ブルー)の幅方向斜光照明は、第1棒状光源および第2棒状光源のそれぞれが鋼材の幅方向に沿って延びるとともに鋼材の幅方向全体につき光を照射可能なように鋼材の幅方向全体をカバーする長さを有している。そして、第1棒状光源および第2棒状光源は、第1棒状光源および第2棒状光源のそれぞれから照射される光の方向と鋼材の長手方向(通板方向)とがなす幅方向斜光角度が、15~45°となるように、鋼材に対して設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-36175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この従来の特許文献1に示す鋼材の表面装置にあっては、以下の課題があった。
即ち、特許文献1に示す鋼材の表面装置に用いられる第1棒状光源および第2棒状光源の幅方向斜光照明は、鋼材の幅方向全体をカバーする長さを有する第1棒状光源および第2棒状光源が、第1棒状光源および第2棒状光源のそれぞれから照射される光の方向と鋼材の長手方向(通板方向)とがなす幅方向斜光角度が、15~45°となるように、鋼材に対して設置されている。このため、第1棒状光源および第2棒状光源のそれぞれが鋼材の幅方向端部から突出する。このため、第1棒状光源および第2棒状光源のそれぞれが鋼材の幅方向端部から突出する分だけ幅方向斜光照明の設置スペースが余分に必要となる。これにより、幅方向斜光照明を設置したときに、幅方向斜光照明の設置スペースが余分になければ、幅方向斜光照明が周囲の機器に干渉してしまう、という課題があった。
【0008】
従って、本発明はこの従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、斜光照明を鋼板の幅方向から突出させずに設置できることとした表面検査装置、表面検査装置における斜光照明の設置方法、及び鋼板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る表面検査装置は、斜光照明を有する照明装置と、該照明装置によって光が照射された鋼板の表面を撮像する撮像装置と、撮像装置での撮像画像を画像処理して前記鋼板の表面にある凹凸欠陥を検出する画像処理装置とを備えた表面検査装置であって、前記斜光照明を、前記鋼板の幅方向において2分割して第1斜光照明及び第2斜光照明とするとともに、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明を当該第1斜光照明と第2斜光照明とが干渉しないように前記鋼板の長手方向において離し、かつ、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明からのそれぞれの光が前記鋼板の幅方向内側から前記鋼板の幅方向外側に向けて照射されるように、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明を設置することを要旨とする。
【0010】
また、本発明の別の態様に係る表面検査装置における斜光照明の設置方法は、斜光照明を有する照明装置と、該照明装置によって光が照射された鋼板の表面を撮像する撮像装置と、撮像装置での撮像画像を画像処理して前記鋼板の表面にある凹凸欠陥を検出する画像処理装置とを備えた表面検査装置における斜光照明の設置方法であって、前記斜光照明を、前記鋼板の幅方向において2分割して第1斜光照明及び第2斜光照明とするとともに、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明を当該第1斜光照明と第2斜光照明とが干渉しないように前記鋼板の長手方向において離し、かつ、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明からのそれぞれの光が前記鋼板の幅方向内側から前記鋼板の幅方向外側に向けて照射されるように、前記第1斜光照明及び前記第2斜光照明を設置することを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係る鋼板の製造方法は、前述の表面検査装置を用いて鋼板の表面検査を行う工程を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る表面検査装置、表面検査装置における斜光照明の設置方法、及び鋼板の製造方法によれば、斜光照明を鋼板の幅方向から突出させずに設置できる。これにより、斜光照明が周囲の機器に干渉してしまうことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る表面検査装置の概略構成を示す、ブライドルロールの軸心方向から見た正面図である。
図2図1に示す表面検査装置の右側面図である。
図3図1に示す表面検査装置における第1斜光照明に採用される赤色のLED照明、第2斜光照明に採用される緑色のLED照明、及び正反射照明に採用される青色のLED照明の分光分布を示すグラフである。
図4】一般的な通常照明を説明するもので、(a)は通常照明からの光を鋼板の表面に照射して当該鋼板に形成された縦長の凹凸欠陥を検出する様子を示す平面図、(b)は(a)における4b-4b線に沿う拡大断面図である。
図5】斜光照明を説明するもので、(a)は斜光照明からの光を鋼板の表面に照射して当該鋼板に形成された縦長の凹凸欠陥を検出する様子を示す平面図、(b)は(a)における5b-5b線に沿う拡大断面図である。
図6図5に示す斜光照明を、鋼板の幅方向において2分割して第1斜光照明及び第2斜光照明とした場合に、第1斜光照明と第2斜光照明とが互いに干渉してしまう例を説明するための図である。
図7図5に示す斜光照明を、鋼板の幅方向において2分割して第1斜光照明及び第2斜光照明とするとともに、第1斜光照明及び第2斜光照明を当該第1斜光照明と第2斜光照明とが干渉しないように鋼板の長手方向において離し、かつ、第1斜光照明及び第2斜光照明からのそれぞれの光が鋼板の幅方向内側から鋼板の幅方向外側に向けて照射されるように、第1斜光照明及び第2斜光照明を設置した本実施形態に係る表面検査装置を説明するための図である。
図8】本実施形態に係る表面検査装置の変形例を説明するための図である。する
図9図1及び図7に示す本実施形態に係る表面検査装置において、第1斜光照明用撮像装置の視野と第2斜光照明用撮像装置の視野とが鋼板の幅方向において重なるように、第1斜光照明用撮像装置及び第1斜光照明と第2斜光照明用撮像装置及び第2斜光照明とのそれぞれが設置されている様子を説明するための図である。
図10】鋼板の表面に形成された凹凸欠陥の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)における10b-10b線に沿う断面図である。
図11】鋼板の表面に形成された凹凸欠陥の一例の撮像画像を示す図である。
図12図11に示す撮像画像から検出される凹凸欠陥に対する明度の波形を示すグラフである。
図13】第1斜光照明用撮像装置の視野と第2斜光照明用撮像装置の視野とが重なった重複部分に対応する鋼板の表面に凹凸欠陥がある場合における当該凹凸欠陥の一例の撮像画像を示す図である。
図14図13に示す撮像画像から検出される凹凸欠陥に対する明度の波形を示すグラフである。
図15】第1斜光照明用撮像装置の視野での撮像画像から検出される凹凸欠陥に対する明度の波形を示すグラフである。
図16】第2斜光照明用撮像装置の視野での撮像画像から検出される凹凸欠陥に対する明度の波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0014】
図1には、本発明の一実施形態に係る表面検査装置の概略構成が示されている。
図1に示す表面検査装置1は、熱延鋼板の酸洗ラインに設置され、ブライドルロール2によって矢印A方向に搬送される熱延鋼板(以下、単に鋼板という)Sの表面Saにある凹凸欠陥50(図10参照)を検出するものである。凹凸欠陥50は、点状疵、縦長の開口疵などの鋼板Sの表面Saから凹むあるいは当該表面Saから突出する凹凸状の欠陥を意味する。
表面検査装置1は、照明装置10と、撮像装置20と、画像処理装置30とを備えている。
照明装置10は、斜光照明11と、正反射照明12とを備えている。
【0015】
斜光照明11は、図2に示すように、鋼板Sの幅方向(x-x方向)において2分割された第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bで構成されている。
第1斜光照明11aは、棒状の赤色のLED照明であり、鋼板Sの幅方向(x-x方向)に沿って延びるように設置されている。また、第2斜光照明11bは、棒状の緑色のLED照明であり、鋼板Sの幅方向に沿って延びるように設置されている。第1斜光照明11aの幅方向(x-x方向)の長さと第2斜光照明11bの幅方向(x-x方向)の長さとを合わせた長さは、鋼板Sの幅方向(x-x方向)における幅W(図2参照)よりも長い。
そして、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bは、当該第1斜光照明11aと第2斜光照明11bとが干渉しないように鋼板の長手方向(y-y方向)において離して設置されている。
【0016】
具体的に述べると、図1に示すように、第1斜光照明11aは、ブライドルロール2の中心軸が通る水平面HSに対し長手方向(y-y方向)の上側に設置されている。また、第2斜光照明11bは、ブライドルロール2の中心軸が通る水平面HSに対し長手方向(y-y方向)の下側に設置されている。そして、第1斜光照明11aは、図1及び図7(b)に示すように、第1斜光照明11aからの光L11aが水平面HSと鋼板Sの表面Saとの交線である表面Sa上の水平線HLに向けて照射角度(光L11aと水平面HSとがなす角度)θ11a=35°となるように設置されている。また、第2斜光照明11bは、図1及び図7(c)に示すように、第2斜光照明11bからの光L11bが水平面HSと鋼板Sの表面Saとの交線である表面Sa上の水平線HLに向けて照射角度(光L11bと水平面HSとがなす角度)θ11b=35°となるように設置されている。
【0017】
また、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bは、図2に示すように、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bからのそれぞれの光L11a、L11bが鋼板Sの幅方向内側から鋼板Sの幅方向外側に向けて照射されるように設置されている。
具体的に述べると、第1斜光照明11aは、図2に示すように、第1斜光照明11aからの光L11aが鋼板Sの幅方向内側から幅方向外側に向けて鋼板Sの表面Sa上の水平線HLに向けて斜光角度(光L11aの長手方向(y-y方向)の線VLに対して斜光する角度)Δ11a=30°で照射されるように、設置されている。
【0018】
また、第2斜光照明11bは、図2に示すように、第2斜光照明11bからの光L11bが鋼板Sの幅方向内側から幅方向外側に向けて鋼板Sの表面Sa上の水平線HLに向けて斜光角度(光L11bの長手方向(y-y方向)の線VLに対して斜光する角度)Δ11b=30°で照射されるように、設置されている。
第1斜光照明11aとしては、前述したように、赤色のLED照明を採用し、第2斜光照明11bとしては緑色のLED照明を採用し、第1斜光照明から11aの光L11aの波長と第2斜光照明11bからの光L11bの波長とを異なるものとしている。
【0019】
また、図2及び図7(a)に示すように、第1斜光照明11aからの光L11aの照射範囲と第2斜光照明11bからの光L11bの照射範囲とが鋼板Sの幅方向(x-x方向)において境界部で重なるように、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bが設置されている。
なお、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bは、図示しない筐体等の斜光照明設置部材に設置されている。
【0020】
ここで、本実施形態において、斜光照明11を採用する理由について図4及び図5を参照して説明する。
図4(a)に示すように、通常照明(正反射照明)101は、鋼板Sの幅方向(x-x方向)に沿って延びる棒状光源で構成で構成され、鋼板Sの幅方向(x-x方向)全体につき光L101を照射可能なように鋼板Sの幅方向(x―x方向)全体をカバーする長さを有する。また、通常照明101は、図4(a),(b)に示すように、通常照明101から照射される光L101の方向が鋼板Sの長手方向(y-y方向)に対して平行となるように、鋼板Sに対して設置してなる。
【0021】
通常照明101の場合、通常照明101から光L101が鋼板Sの表面Saに照射され、撮像装置102により鋼板Sの表面Saが撮像される。ここで、鋼板Sの表面Saに形成された凹凸欠陥103を検出する場合において、凹凸欠陥103と鋼板Sの表面Saにおける凹凸欠陥103以外の部分とに撮像画像で大きな違いがでず、凹凸欠陥103を検出し難い。
一方、図5(a)に示すように、斜光照明11は、鋼板Sの幅方向(x-x方向)に沿って延びる棒状光源で構成され、鋼板Sの幅方向(x-x方向)全体につき光L11を照射可能なように鋼板Sの幅方向(x―x方向)全体をカバーする長さを有する。また、斜光照明11は、図5(a),(b)に示すように、斜光照明11から照射される光L11の方向が鋼板Sの長手方向(y-y方向)に対して斜光する角度となるように、鋼板Sに対して設置してなる。
【0022】
斜光照明11の場合、斜光照明11から光L11が鋼板Sの表面Saに照射され、撮像装置102により鋼板Sの表面Saが撮像される。ここで、鋼板Sの表面Saに形成された凹凸欠陥103を検出する場合において、凹凸欠陥103に影103aができるので、凹凸欠陥103と鋼板Sの表面Saにおける凹凸欠陥103以外の部分とに撮像画像で大きな違いが出て、凹凸欠陥103を容易に検出することができる。
この理由により、本実施形態にあっては、斜光照明11を採用している。
【0023】
次に、斜光照明11を、鋼板Sの幅方向(x―x方向)において2分割して第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bで構成する理由について説明する。
斜光照明11を採用した場合、図5(a)に示すように、斜光照明11から照射される光L11の方向が鋼板Sの長手方向(y-y方向)に対して斜光する角度となるように鋼板Sに対して設置している。このため、通常照明101の場合に比べて、斜光照明11の幅方向端部が鋼板Sの幅方向(x-x方向)においてδだけ突出する。このため、斜光照明11が鋼板Sの幅方向(x-x方向)端部から突出する分だけ設置スペースが余分に必要となり、幅方向に延びる斜光照明11を設置したときに、設置スペースが余分になければ、斜光照明11が周囲の機器に干渉してしまうおそれがある。
【0024】
そこで、本実施形態においては、斜光照明11を、鋼板Sの幅方向(x―x方向)において2分割して第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bで構成している。
ただし、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bを、図6に示すように、鋼板Sの幅方向(x-x方向)において並べるように設置すると、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bが互いに干渉してしまう。
そこで、本実施形態においては、図1図2、及び図7(a),(b),(c)に示すように、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bを、当該第1斜光照明11aと第2斜光照明11bとが干渉しないように鋼板Sの長手方向(y-y方向)において離して設置している。
【0025】
また、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bを、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bからのそれぞれの光L11a、L11bが鋼板Sの幅方向内側から鋼板Sの幅方向外側に向けて照射されるように設置している。
これにより、図2及び図7(a)に示すように、第1斜光照明11aと第2斜光照明11bとの干渉を回避しつつ、斜光照明11を鋼板Sの幅方向から突出させずに設置できる。
【0026】
また、本実施形態においては、第1斜光照明11aとして赤色のLED照明を採用し、第2斜光照明11bとして緑色のLED照明を採用し、第1斜光照明11aからの光L11aの波長と第2斜光照明11bからの光L11bの波長は異なるものとしている。また、後述するように、各第1斜光照明用撮像装置21aは、第1斜光照明11aから照射されて鋼板Sの表面Saで反射された光L11aの波長(赤色)を透過させる第1フィルタ23aを備えている。そして、複数の第1斜光照明用撮像装置21aは、複数の第1斜光照明11aによって光L11aが照射された鋼板Sの表面Saを撮像する。また、各第2斜光照明用撮像装置21bは、第2斜光照明11bから照射されて鋼板Sの表面Saで反射された光L11bの波長(緑色)を透過させる第2フィルタ23bを備えている。そして、複数の第2斜光照明用撮像装置21bは、複数の第2斜光照明11bによって光L11bが照射された鋼板Sの表面Saを撮像する。
【0027】
これにより、鋼板Sの幅方向(x-x方向)において、第1斜光照明11aの光学系と第2斜光照明11bの光学系とを分離し、第1斜光照明11aからの光L11aと第2斜光照明11bからの光L11bとの干渉を防止するようにしている。鋼板Sの幅方向(x-x方向)における、第1斜光照明11aの光学系と第2斜光照明11bの光学系とを分離する点については後に詳細に説明する。
【0028】
また、照明装置10における正反射照明12は、図2に示すように、鋼板Sの幅方向(x-x方向)に沿って延び、鋼板Sの幅方向(x-x方向)全体につき光L12を照射可能なように鋼板Sの幅方向(x-x方向)全体をカバーする長さを有する。また、正反射照明12は、照射される光L12の方向が鋼板Sの長手方向(y-y方向)に対して平行となるように、鋼板Sに対して設置されている。正反射照明12の鋼板Sの幅方向(x-x方向)に沿う長さLは、鋼板Sの幅Wよりも長く、ブライドルロール2の幅方向(x-x方向)に沿う長さと同一となっている。
【0029】
また、正反射照明12は、正反射照明12からの光L12が水平面HSと鋼板Sの表面Saとの交線である表面Sa上の水平線HLに向けて照射角度(光L12と水平面HSとがなす角度)θ12=10°となるように設置されている。正反射照明12は、棒状の青色のLED照明を採用している。
また、撮像装置20は、鋼板Sの表面Saを撮像するものであり、複数(本実施形態では2つ)の第1斜光照明用撮像装置21aと、複数(本実施形態では2つ)の第2斜光照明用撮像装置21bと、複数(本実施形態では4つ)の正反射照明用撮像装置22とを備えている。
【0030】
ここで、複数の第1斜光照明用撮像装置21aは、複数の第1斜光照明11aによって光L11aが照射された鋼板Sの表面Saを撮像するものであり、鋼板Sの表面Saの幅方向(x-x方向)の第1斜光照明11aの設置側において当該幅方向に沿って所定間隔で配置されている。各第1斜光照明用撮像装置21aは、第1斜光照明11aから照射されて鋼板Sの表面Saで反射された光L11aの波長(赤色)を透過させる第1フィルタ23aを備えている。
【0031】
また、複数の第2斜光照明用撮像装置21bは、複数の第2斜光照明11bによって光L11bが照射された鋼板Sの表面Saを撮像するものであり、鋼板Sの表面Saの幅方向(x-x方向)の第2斜光照明11bの設置側において当該幅方向に沿って所定間隔で配置されている。そして、各第2斜光照明用撮像装置21bは、第2斜光照明11bから照射されて鋼板Sの表面Saで反射された光L11bの波長(緑色)を透過させる第2フィルタ23bを備えている。
【0032】
そして、各第1斜光照明用撮像装置21aは、図1及び図7(b)に示すように、第1斜光照明用撮像装置21aの中心軸CL21aと水平面HSとのなすカメラ角度が0°となるように設置されている。
また、各第2斜光照明用撮像装置21bは、図1及び図7(c)に示すように、第2斜光照明用撮像装置21bの中心軸CL21bと水平面HSとのなすカメラ角度が0°となるように設置されている。
【0033】
また、図9に示すように、鋼板Sの幅方向(x-x方向)において複数(図9には1つの第1斜光照明用撮像装置21aのみ図示)の第1斜光照明用撮像装置21aの視野41(実線で示す)と複数(図9には1つの第2斜光照明用撮像装置21bのみ図示)の第2斜光照明用撮像装置21bの視野42(破線で示す)とが鋼板Sの幅方向(x-x方向)において境界部で重なるように、複数の第1斜光照明用撮像装置21a及び複数の第2斜光照明用撮像装置21bが設置されている。
【0034】
また、複数の正反射照明用撮像装置22は、正反射照明12によって光L12が照射された鋼板Sの表面Saを撮像するものであり、図2に示すように、鋼板Sの表面Saの全幅にわたって鋼板Sの幅方向(x-x方向)に沿って所定間隔で配置されている。各正反射照明用撮像装置22は、正反射照明12から照射されて鋼板Sの表面Saで反射された光L12の波長(青色)を透過させる第3フィルタ24を備えている。
そして、各正反射照明用撮像装置22は、図1に示すように、各正反射照明用撮像装置22の中心軸CL22と水平面HSとのなすカメラ角度θ22が10°となるように設置されている。
【0035】
なお、照明装置10が正反射照明12を備え、撮像装置20が正反射照明用撮像装置22を備えている理由は、斜光照明11及び第1斜光照明用撮像装置21a、第2斜光照明用撮像装置21bを用いて検出することが困難な鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50を検出するためである。
ここで、第1斜光照明11aとして採用される赤色のLED照明、第2斜光照明11bとして緑色のLED照明、及び正反射照明12として採用される青色のLED照明の分光分布を図3に示す。
【0036】
図3において、赤色の波長は一点鎖線で、緑色の波長は破線で、青色の波長は実線で示されている。赤色の波長は590~660nm、緑色の波長は480~600nm、青色の波長は400~500nm程度となっている。
本実施形態においては、第1斜光照明11aからの光L11aの波長(赤色:590~660nm)と第2斜光照明11bからの光L11bの波長(緑色:480~600nm)とを異なるものとしている。また、撮像装置20の第1斜光照明用撮像装置21aを、第1斜光照明11aから照射されて鋼板Sの表面Saで反射された光L11aの波長(赤色:590~660nm)を透過させる第1フィルタ23aを備えたものとしている。また、撮像装置20の第2斜光照明用撮像装置21bを、第2斜光照明11bから照射されて鋼板Sの表面Saで反射された光L11bの波長(緑色:480~600nm)を透過させる第2フィルタ23bを備えたものとしている。
【0037】
これにより、鋼板Sの幅方向(x-x方向)において、第1斜光照明11aの光学系と第2斜光照明11bの光学系とを分離し、第1斜光照明11aからの光L11aと第2斜光照明11bからの光L11bとの干渉を防止することができる。
なお、図3においては、第1フィルタ23a(一点鎖線)が600nm以上の波長の光を透過させるロングパスフィルターで構成されて赤色の波長を透過させる様子が示されている。また、図3においては、第2フィルタ23b(破線)が500nm以上の波長の光を透過させるロングパスフィルターと575nm以下の波長の光を透過させるショートパスフィルターとで構成されて緑色の波長を透過させる様子が示されている。更に、図3においては、第3フィルタ24(実線)が475nm以下の波長の光を透過させるショートパスフィルターで構成されて青色の波長の光を透過させる様子が示されている。
【0038】
また、画像処理装置30は、撮像装置20での撮像画像を画像処理して鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50を検出するものであり、図1及び図2に示すように、撮像装置20を構成する第1斜光照明用撮像装置21a、第2斜光照明用撮像装置21b、及び正反射照明用撮像装置22に接続されている。画像処理装置30は、画像処理装置30の機能をコンピュータソフトウェア上でプログラムを実行することで実現するための演算処理機能を有するコンピュータシステムである。そして、このコンピュータシステムは、ROM,RAM,CPU等を備えて構成され、ROM等に予め記憶された各種専用のプログラムを実行することにより、前述した機能をソフトウェア上で実現する。
ここで、鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50は、表1に示すように、凹凸の量d(図10(b)参照、表1における明度の差B)及び表面Saから見た凹凸の大きさ(表1における寸法b(図10(a)参照)に基づいて欠陥として除去する優先度を付けたランクに分けられている。
【0039】
【表1】
【0040】
以下、この凹凸欠陥50のランクについて、図10図11図12及び表1を参照して説明する。図10には、鋼板Sの表面Saに形成された凹凸欠陥50の一例が示されている。図11には、鋼板Sの表面Saに形成された凹凸欠陥50の一例の撮像画像が示されている。図12には、図11に示す撮像画像から検出される凹凸欠陥50に対する明度の波形が示されている。表1には、凹凸欠陥50のランクが示されている。
【0041】
鋼板Sの表面Saに、図10(a),(b)に示す表面Saから見てほぼ円形状の凹凸欠陥50が形成されているものとする。この凹凸欠陥50は、鋼板Sの幅方向(x-x方向)における寸法bの幅を有し、鋼板Sの長さ方向(y-y方向)における寸法aの長さを有する。凹凸欠陥50のランク分けに際しては、本実施形態では、凹凸欠陥50の鋼板Sの幅方向(x-x方向)における寸法bを、表面Saから見た凹凸の大きさとしてランク分けの基準に用いる。
【0042】
この凹凸欠陥50の鋼板Sの幅方向(x-x方向)における寸法bは、撮像画像から次のようにして算出される。
即ち、図11及び図12に示すように、凹凸欠陥50の当該寸法bは、凹凸欠陥50の撮像画像における明度B1から鋼板Sの幅方向(x-x方向)における明度が急激に低下する幅方向の位置xと、明度B4から鋼板Sの幅方向(x-x方向)における明度が急激に低下する幅方向の位置xとの間の距離により算出される。つまり、b=x-xで表される。
【0043】
また、図10(a),(b)に示された凹凸欠陥50は、鋼板Sの表面Saから凹凸の量dだけ凹んでいる。凹凸欠陥50のランク分けに際しては、本実施形態では、凹凸欠陥50のこの凹凸の量dを、表面Saから見た凹凸の大きさとしてランク分けの基準に用いる。凹凸欠陥50が鋼板Sの表面Saから突出している場合には、表面Saから突出する量を凹凸の量dとする。
この凹凸欠陥50の凹凸の量dは、撮像画像からは直接に算出できないため、図12に示す撮像画像から検出される凹凸欠陥50の明度の波形に基づいて、凹凸欠陥50における明度の最大値と明度の最小値との差Bを算出し、この明度の差Bを凹凸の量dとする。
【0044】
ここで、図12において、凹凸欠陥50における明度の差Bは、凹凸欠陥50の撮像画像における明度の最大値B2(最も明るい部分51の明度)と、当該撮像画像における明度の最小値B3(最も暗い部分52)との差から算出される。つまり、B=B2-B3で表される。
そして、凹凸欠陥50のランクは、算出された寸法bの大中小と明度の差Bの大中小との組み合わせが、表1に示す凹凸欠陥50のランクのいずれに該当するかを判定して決定される。
【0045】
凹凸欠陥50のランクは、欠陥として除去する優先度を示すものであり、数値の高いランクが欠陥として除去する優先度が高く、数値の低いランクが欠陥として除去する優先度が低い。そして、表1に示す凹凸欠陥50のランクは、予め、画像処理装置30に記憶されている。
画像処理装置30は、第1斜光照明用撮像装置21aで撮像された撮像画像に基づいて第1斜光照明用撮像装置21aの視野41(図9参照)における鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50を検出するとともに、当該凹凸欠陥50のランクを表1を参照して判定する。
【0046】
また、画像処理装置30は、第2斜光照明用撮像装置21bで撮像された撮像画像に基づいて第2斜光照明用撮像装置21bの視野42(図9参照)における鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50を検出するとともに、当該凹凸欠陥50のランクを表1を参照して判定する。
そして、画像処理装置30は、凹凸欠陥50の検出結果である、「欠陥あり」、「欠陥なし」とともに、判定結果である、「欠陥あり」の場合の当該凹凸欠陥50のランクを、図示しない出力装置に出力する。
【0047】
ここで、図9に示すように、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41と第2斜光照明用撮像装置21bの視野42とが重なった重複部分43に対応する鋼板Sの表面Saに凹凸欠陥50がある場合がある。この場合の画像処理装置30における処理について説明する。
この場合において、画像処理装置30は、その重複部分43に対応する鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50につき、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41での検出及び判定と、第2斜光照明用撮像装置21bの視野42での検出及び判定とを行う。
そして、画像処理装置30は、それぞれの視野41、42で判定された凹凸欠陥50のランクが同じ場合、その同じランクを凹凸欠陥50のランクとして採用する。
【0048】
一方、画像処理装置30は、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41で判定された凹凸欠陥50のランクと、第2斜光照明用撮像装置21bの視野42で判定された凹凸欠陥50のランクとが異なる場合、次のように処理する。即ち、画像処理装置30は、この場合、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41で判定された凹凸欠陥50のランク及び第2斜光照明用撮像装置21bの視野42で判定された凹凸欠陥50のランクのうち優先度の高い凹凸欠陥50のランクを採用する。その重複部分43に対応する鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50を除去するに際して優先度の高い凹凸欠陥50のランクを採用して安全を期すためである。重複部分43に対応する鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50につき、視野41、42で判定が異なることがあるのは、凹凸欠陥50における明度の捉え方が両者において異なるからである。
【0049】
第1斜光照明用撮像装置21aの視野41と第2斜光照明用撮像装置21bの視野42とが重なった重複部分43に対応する鋼板Sの表面Saに凹凸欠陥50があり、視野41で判定された凹凸欠陥50のランクと、視野42で判定された凹凸欠陥50のランクとが異なる場合の画像処理装置30における具体的処理について図13乃至図16を参照して説明する。図13は、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41と第2斜光照明用撮像装置21bの視野42とが重なった重複部分43に対応する鋼板Sの表面Saに凹凸欠陥50がある場合における当該凹凸欠陥50の一例の撮像画像を示す図である。図14は、図13に示す撮像画像から検出される凹凸欠陥50に対する明度の波形を示すグラフである。図15は、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41での撮像画像から検出される凹凸欠陥50に対する明度の波形を示すグラフである。図16は、第2斜光照明用撮像装置21bの視野42での撮像画像から検出される凹凸欠陥50に対する明度の波形を示すグラフである。
【0050】
図13に示す撮像画像において、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41と第2斜光照明用撮像装置21bの視野42とが重なった重複部分43に対応する鋼板Sの表面Saに凹凸欠陥50がある。
そして、当該凹凸欠陥50の鋼板Sにおける幅方向(x-x方向)の位置に対する明度の分布は、図14に示すように、鋼板Sの幅方向(x-x方向)における左端位置(図14における左端の位置、視野41側の左端位置)から凹凸欠陥50の左縁の位置xに至るまで鋼板Sの表面Saの明度B1となっている。そして、凹凸欠陥50の左縁の位置xを境に右側に進むと明度がB1から小さく(暗く)なって凹凸欠陥50の底部分の明度となる。更に、右側に進むと、明度が高くなって凹凸欠陥50における明るい部分51の位置xに至り最も明るい明度の最大値B2となる。そして、凹凸欠陥50における明るい部分51の位置xから右側に進むと、明度が小さくなって凹凸欠陥50の底部分の明度となる。更に、右側に進むと、凹凸欠陥50における暗い部分52の位置xに至り最も暗い明度の最小値B3となる。そして、凹凸欠陥50における最も暗い部分52の位置xから右側に進むと、明度が高くなって凹凸欠陥50の底部分の明度となる。更に、右側に進むと、明度が高くなって凹凸欠陥50の右縁の位置xに至り鋼板Sの表面Saの明度B4となる。この明度B4は明度B1とほぼ同一である。
【0051】
ここで、凹凸欠陥50は、図13に示すように、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41において鋼板Sの幅方向(x―x方向)の全体が映し出されている。そして、この場合の、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41での撮像画像から検出される凹凸欠陥50に対する明度の分布は、図15に示すようになり、図14に示す明度の分布と同様となる。
そして、画像処理装置30は、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41における凹凸欠陥50のランクの決定に際し、凹凸欠陥50の鋼板Sの幅方向(x-x方向)における寸法bを、b=x(凹凸欠陥50の右縁の位置)-x(凹凸欠陥50の左縁の位置)から算出し、寸法bの大きさを「中」とする。
【0052】
また、画像処理装置30は、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41における凹凸欠陥50のランクの決定に際し、凹凸欠陥50における明度の差Bを、B=B2(最も明るい部分51の明度)-B3(最も暗い部分52の明度)から算出し、明度の差Bの大きさを「大」とする。
そして、画像処理装置30は、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41における凹凸欠陥50のランクを表1を参照して、ランク3と判定する。
【0053】
一方、凹凸欠陥50は、図13に示すように、第2斜光照明用撮像装置21bの視野42において鋼板Sの幅方向(x―x方向)の位置xから凹凸欠陥50の右縁の位置xに至るまで映し出されている。そして、この場合の、第2斜光照明用撮像装置21bの視野42での撮像画像から検出される凹凸欠陥50に対する明度の分布は、図16に示すようになる。つまり、鋼板Sの幅方向(x―x方向)の位置xは凹凸欠陥50の底部分の明度となっており、右側に進んで凹凸欠陥50における暗い部分52の位置xに至ると、明度が小さくなって最も暗い明度の最小値B3となる。そして、凹凸欠陥50における最も暗い部分52の位置xから右側に進むと、明度が高くなって凹凸欠陥50の底部分の明度となる。更に、右側に進むと、明度が高くなって凹凸欠陥50の右縁の位置xに至り鋼板Sの表面Saの明度B4となる。
【0054】
そして、画像処理装置30は、第2斜光照明用撮像装置21bの視野42における凹凸欠陥50のランクの決定に際し、凹凸欠陥50の鋼板Sの幅方向(x-x方向)における寸法bを、b=x(凹凸欠陥50の右縁の位置)-x図16において最も左側の位置)から算出し、寸法bの大きさを「中」とする。
また、画像処理装置30は、第2斜光照明用撮像装置21bの視野42における凹凸欠陥50のランクの決定に際し、凹凸欠陥50における明度の差Bを、B=B4(鋼板Sの表面Saの明度)-B3(最も暗い部分52の明度)から算出し、明度の差Bの大きさを「中」とする。
【0055】
そして、画像処理装置30は、第2斜光照明用撮像装置21bの視野42における凹凸欠陥50のランクを表1を参照して、ランク2と判定する。
このように、視野41で判定された凹凸欠陥50のランク(ランク3)と、視野42で判定された凹凸欠陥50のランク(ランク2)とが異なる。この場合、画像処理装置30は、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41で判定された凹凸欠陥50のランク(ランク3)及び第2斜光照明用撮像装置21bの視野42で判定された凹凸欠陥50のランク(ランク2)のうち優先度の高い凹凸欠陥50のランク(ランク3)を採用する。これにより、重複部分43に対応する鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50を除去するに際して優先度の高い凹凸欠陥50のランク(ランク3)を採用して安全を期している。
【0056】
そして、鋼板Sの製造に際しては、表面検査装置1を用いて鋼板Sの表面検査を行う表面検査工程において、鋼板Sの表面Saにおける凹凸欠陥50を検出する。そして、表面検査装置1の画像処理装置30が、凹凸欠陥50の検出結果である、「欠陥あり」、「欠陥なし」とともに、判定結果である、「欠陥あり」の場合の当該凹凸欠陥50のランクを、図示しない出力装置に出力する。その後、検出結果が「欠陥なし」の場合、その鋼板Sは、出荷される。一方、検出結果が「欠陥あり」の場合、表面検査工程の後工程であるスキンパス工程で凹凸欠陥50のランクに応じて当該凹凸欠陥50を除去する。
【0057】
なお、熱延鋼板の酸洗ラインにおいて、表面検査装置1を設置していない場合には、従来の方法においては熱延鋼板の酸洗ラインにおいて鋼板Sの表面検査を行えない。このため、後工程であるスキンパス工程において、作業員が目視で鋼板Sの表面検査を行う。そして、表面検査の結果がが「欠陥なし」の場合、その鋼板Sは、出荷される。一方、表面検査の結果が「欠陥あり」の場合、そのスキンパス工程で当該凹凸欠陥50を除去する。
本実施形態に係る鋼板の製造方法においては、前述のように、表面検査装置1を用いて鋼板Sの表面検査を行う表面検査工程を含むため、目視検査を削減でき、検査費用を従来に比べて削減できるとともに、鋼板Sの歩留まりを改善することができる。
【0058】
本実施形態に係る表面検査装置1及び表面検査装置1における斜光照明11の設置方法によれば、斜光照明11を、鋼板Sの幅方向(x-x方向)において2分割して第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bとする。また、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bを当該第1斜光照明11aと第2斜光照明11bとが干渉しないように鋼板Sの長手方向(y-y方向)において離し、かつ、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bからのそれぞれの光L11a,L11bが鋼板Sの幅方向内側から鋼板Sの幅方向外側に向けて照射されるように、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bを設置する。
これにより、第1斜光照明11aと第2斜光照明11bとの干渉を回避しつつ、斜光照明11を鋼板Sの幅方向(x-x方向)から突出させずに設置できる。このため、斜光照明11が周囲の機器に干渉してしまうことを回避できる。
【0059】
また、本実施形態に係る表面検査装置1によれば、第1斜光照明11aからの光L11aの波長と第2斜光照明11bからの光L11bの波長とを異なるものとする。また、撮像装置20が、第1斜光照明11aから照射されて鋼板Sの表面Saで反射された光L11aの波長を透過させる第1フィルタ23aを備えた、第1斜光照明11aによって光L11aが照射された鋼板Sの表面Saを撮像する第1斜光照明用撮像装置21aを備えている。また、撮像装置20は、第2斜光照明11bから照射されて鋼板Sの表面Saで反射された光L11bの波長を透過させる第2フィルタ23bを備えた、第2斜光照明11bによって光L11bが照射された鋼板Sの表面Saを撮像する第2斜光照明用撮像装置21bを備えている。
これにより、鋼板Sの幅方向(x-x方向)において、第1斜光照明11aの光学系と第2斜光照明11bの光学系とを分離し、第1斜光照明11aからの光L11aと第2斜光照明11bからの光L11bとの干渉を防止することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る表面検査装置1によれば、鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50は、凹凸の量d及び表面Saから見た凹凸の大きさ(凹凸欠陥50の鋼板Sの幅方向(x-x方向)における寸法b)に基づいて欠陥として除去する優先度を付けたランクに分けられている。そして、画像処理装置30は、第1斜光照明用撮像装置21aで撮像された撮像画像に基づいて第1斜光照明用撮像装置21aの視野41における鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50を検出するとともに、当該凹凸欠陥50のランクを判定する。また、画像処理装置30は、第2斜光照明用撮像装置21bで撮像された撮像画像に基づいて第2斜光照明用撮像装置21bの視野42における鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50を検出するとともに、当該凹凸欠陥50のランクを判定する。
これにより、画像処理装置30により、走行されてくる鋼板Sの表面Sa全体にある凹凸欠陥50を検出できるとともに、その凹凸欠陥50の優先度に応じたランクを判定することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る表面検査装置1によれば、第1斜光照明11aからの光L11aの照射範囲と第2斜光照明11bからの光L11bの照射範囲とが鋼板Sの幅方向(x-x方向)において境界部で重なるように、第1斜光照明11a及び第2斜光照明11bが設置される。また、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41と第2斜光照明用撮像装置21bの視野42とが鋼板Sの幅方向(x-x方向)において境界部で重なるように、第1斜光照明用撮像装置21a及び第2斜光照明用撮像装置21bが設置される。
これにより、画像処理装置30により、走行されてくる鋼板Sの表面Sa全体にある凹凸欠陥50を確実に検出できるとともに、その凹凸欠陥50の優先度に応じたランクを判定することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る表面検査装置1によれば、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41と第2斜光照明用撮像装置21bの視野42とが重なった重複部分43に対応する鋼板Sの表面Saに凹凸欠陥50がある場合において、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41で判定された凹凸欠陥50のランクと、第2斜光照明用撮像装置21bの視野42で判定された凹凸欠陥50のランクとが異なる場合において、画像処理装置30は、次のように処理する。この場合、画像処理装置30は、第1斜光照明用撮像装置21aの視野41で判定された凹凸欠陥50のランク及び第2斜光照明用撮像装置21bの視野42で判定された凹凸欠陥50のランクのうち優先度の高い凹凸欠陥50のランクを採用する。
これにより、重複部分43に対応する鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50を除去するに際して優先度の高い凹凸欠陥50のランクを採用して安全を期すことができる。
【0063】
また、本発明の表面検査装置1によれば、照明装置10は、正反射照明12を有し、撮像装置20は、正反射照明12によって光L12が照射された鋼板Sの表面Saを撮像する正反射照明用撮像装置22を備えている。
これにより、斜光照明11及び第1斜光照明用撮像装置21a、第2斜光照明用撮像装置21bを用いて検出することが困難な鋼板Sの表面Saにある凹凸欠陥50を検出することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、表面検査装置1は、熱延鋼板の酸洗ラインに設置されているが、これに限らず、冷延鋼板の製造ライン等に設置されてもよい。
また、各第1斜光照明用撮像装置21a及び各第2斜光照明用撮像装置21bは、図1及び図7(a),(b),(c)に示す方法で設置する場合のみならず、図8(a),(b),(c)に示す方法で設置するようにしてもよい。具体的には、各第1斜光照明用撮像装置21aを、図8(a),(b)に示すように、第1斜光照明用撮像装置21aの中心軸CL21aと水平面HSとのなすカメラ角度θ21aが所定の角度となるように設置する。また、各第2斜光照明用撮像装置21bを、図8(a),(c)に示すように、第2斜光照明用撮像装置21bの中心軸CL21bと水平面HSとのなすカメラ角度θ21bが所定の角度となるように設置する。
【0065】
また、第1斜光照明用撮像装置21q、第2斜光照明用撮像装置21b、及び正反射照明用撮像装置22は、それぞれ複数設置されているが、それぞれ1つとしてもよい。
また、凹凸欠陥50をランク分けする際の基準となる凹凸の大きさは、凹凸の大きさは、凹凸欠陥50の鋼板Sの幅方向(x-x方向)における寸法bのみならず、凹凸欠陥50の鋼板Sの長手方向(y-y方向)における寸法aであったり、凹凸欠陥50の表面Saから見た面積等であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 表面検査装置
2 ブライドルロール
10 照明装置
11 斜光照明
11a 第1斜光照明
11b 第2斜光照明
12 正反射照明
20 撮像装置
21a 第1斜光照明用撮像装置
21b 第2斜光照明用撮像装置
22 正反射照明用撮像装置
23a 第1フィルタ
23b 第2フィルタ
24 第3フィルタ
30 画像処理装置
41 第1斜光照明用撮像装置の視野
42 第2斜光照明用撮像装置の視野
43 重複部分
50 凹凸欠陥
11a 第1斜光照明からの光
11b 第2斜光照明からの光
12 正反射照明からの光
S 鋼板(熱延鋼板)
Sa 表面
図1
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