(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107695
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240802BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20240802BHJP
G01R 31/385 20190101ALI20240802BHJP
G01R 31/3835 20190101ALI20240802BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H02J7/00 B
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/3835
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011757
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】勝部 恭行
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
【Fターム(参考)】
2G216BA01
2G216CD01
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503EA05
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】外部給電がない状態において、蓄電池の残量を一時的に表示して、蓄電池からの電流の消費を抑制可能な充電器を提供すること。
【解決手段】充電器は、外部給電により蓄電池に充電を行う充電器であって、蓄電池と電気的に接続可能であり、押下中に導通状態となるモーメンタリ動作のスイッチを有する配線部と、外部給電がない状態において、スイッチの押下中に配線部を介して蓄電池から給電されることにより、蓄電池の電圧を測定し、当該電圧を残量として表示部に表示させる制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部給電により蓄電池に充電を行う充電器であって、
前記蓄電池と電気的に接続可能であり、押下中に導通状態となるモーメンタリ動作のスイッチを有する配線部と、
前記外部給電がない状態において、前記スイッチの押下中に前記配線部を介して前記蓄電池から給電されることにより、前記蓄電池の電圧を測定し、当該電圧を残量として表示部に表示させる制御部と、
を備える充電器。
【請求項2】
前記制御部に給電する電源部を備え、
前記配線部は、前記スイッチの押下中に前記蓄電池から前記電源部へ給電する、
請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
前記制御部は、前記スイッチが導通状態か否かを検出し、前記スイッチが導通状態であるとき、前記電圧を測定し、前記残量を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の充電器。
【請求項4】
前記配線部は、複数の前記蓄電池を並列に接続可能な並列接続配線部を有し、
前記制御部は、前記並列接続配線部を有する前記配線部に少なくとも1つの前記蓄電池が接続されて、前記スイッチが押下中であるとき、当該蓄電池の前記電圧を測定し、当該蓄電池の前記残量を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の充電器。
【請求項5】
前記蓄電池の電圧を昇圧して前記電源部へ給電する昇圧部を備える、
請求項2に記載の充電器。
【請求項6】
外部給電により蓄電池に充電を行う充電器であって、
前記蓄電池と電気的に接続可能であり、押下中に導通状態となるモーメンタリ動作のスイッチを有する配線部と、
前記スイッチの押下中に前記配線部を介して前記蓄電池から給電されることにより、前記外部給電の有無を検出し、前記外部給電がない場合、前記蓄電池の電圧を測定し、当該電圧を残量として表示部に表示させる制御部と、
を備える充電器。
【請求項7】
前記表示部は、前記残量を点灯、点滅及び消灯のいずれかで表示する発光素子である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池の残量を表示可能な残量計付きの充電器が知られている。例えば、特許文献1には、切換スイッチにより、蓄電池への充電を行う充電モードと蓄電池の残量を測定する残量測定モードとのいずれかを選択する残量計付きの充電器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された残量計付きの充電器では、上述したように、切換スイッチにより、充電モードと残量測定モードとのいずれかを選択しており、残量測定モードでは、蓄電池を電源として、蓄電池の残量を測定している。そのため、切換スイッチを戻し忘れて、残量測定モードを選択した状態のままで放置してしまうと、蓄電池から電流を消費し続けるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、外部給電がない状態において、蓄電池の残量を一時的に表示して、蓄電池からの電流の消費を抑制可能な充電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る充電器は、
外部給電により蓄電池に充電を行う充電器であって、
前記蓄電池と電気的に接続可能であり、押下中に導通状態となるモーメンタリ動作のスイッチを有する配線部と、
前記外部給電がない状態において、前記スイッチの押下中に前記配線部を介して前記蓄電池から給電されることにより、前記蓄電池の電圧を測定し、当該電圧を残量として表示部に表示させる制御部と、
を備える。
【0007】
本発明に係る充電器は、
外部給電により蓄電池に充電を行う充電器であって、
前記蓄電池と電気的に接続可能であり、押下中に導通状態となるモーメンタリ動作のスイッチを有する配線部と、
前記スイッチの押下中に前記配線部を介して前記蓄電池から給電されることにより、前記外部給電の有無を検出し、前記外部給電がない場合、前記蓄電池の電圧を測定し、当該電圧を残量として表示部に表示させる制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部給電がない状態において、蓄電池の残量を一時的に表示して、蓄電池からの電流の消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る充電器の一例を示すブロック図である。
【
図2A】
図1に示した充電器の外観の一例を示す正面図である。
【
図2B】
図1に示した充電器の外観の一例を示す側面図である。
【
図3】
図1に示した充電器における制御部の状態遷移を説明する図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る充電器の他の一例(変形例1)を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る充電器の他の一例(変形例2)を示すブロック図である。
【
図6】
図5に示した充電器の外観の一例を示す正面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る充電器の他の一例(変形例3)を示すブロック図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る充電器の他の一例(変形例4)を示すブロック図である。
【
図9】
図8に示した充電器における制御部の状態遷移を説明する図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る充電器の他の一例(変形例5)を示すブロック図である。
【
図11】
図10に示した充電器における制御部の状態遷移を説明する図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る充電器の他の一例(変形例6)を示すブロック図である。
【
図13】
図12に示した充電器における制御部の状態遷移を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る充電器の一例である充電器10Aを示すブロック図である。
図2Aは、充電器10Aの外観の一例を示す正面図である。
図2Bは、充電器10Aの外観の一例を示す側面図である。
【0012】
充電器10Aは、外部給電により蓄電池BT1に充電を行う装置である。蓄電池BT1は、二次電池とも呼ばれ、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の一般に知られている電池であり、単三や単四等の様々な大きさの電池が含まれる。
【0013】
充電器10Aは、端子として、外部電源100と接続する電源プラグPと、蓄電池BT1と接続する正極端子t1及び負極端子t2とを有している。
【0014】
電源プラグPは、外部電源100(例えば、家庭用の商用交流電源)に接続される。電源プラグPを外部電源100に接続することにより、外部電源100から充電器10Aへの給電が行われる。
【0015】
充電器10Aは、
図2A、
図2Bに示すように、筐体21Aと、蓄電池BT1を収容する収容部22Aとを有する。収容部22Aを構成し、互いに対向する内壁221A、222Aには、正極端子t1及び負極端子t2がそれぞれ配置されている。蓄電池BT1を収容部22Aに収容すると、蓄電池BT1の正極が正極端子t1に接触して電気的に接続し、蓄電池BT1の負極が負極端子t2に接触して電気的に接続する。
【0016】
また、筐体21Aには、後述する発光ダイオードLED1及びスイッチSWが配置されている。詳細は後述するが、使用者がスイッチSWを押下すると、充電器10Aは、スイッチSWの押下中、発光ダイオードLED1を用いて、蓄電池BT1の残量を表示するようにしている。
【0017】
[回路構成]
蓄電池BT1は、以下に説明する回路構成により、充電が行われ、また、残量が測定されて、表示される。
【0018】
充電器10Aは、
図1に示すように、トランスT、ブリッジダイオードBD、平滑コンデンサC、充電電源11、電界効果トランジスタFET1、FET2等を有する。充電器10Aは、これらの構成により、蓄電池BT1に対して、充電を行ったり、充電を停止したりする。
【0019】
トランスTは、入力された交流電圧を、負荷側に適した交流電圧に変圧する。トランスTにおいて、一次側巻線(符号省略)は外部電源100側に接続され、二次側巻線(符号省略)は負荷側である充電電源11や後述する制御系電源12に接続される。トランスTは、外部電源100から給電された交流電圧を、充電電源11や制御系電源12に適した交流電圧に変換する。
【0020】
ブリッジダイオードBDは、トランスTの二次側巻線に接続され、トランスTで変圧された交流電圧を整流する回路であり、例えば、ダイオード単相ブリッジ整流回路である。ブリッジダイオードBDにおいて、その正極出力側は、正極配線31pを介して、制御系電源12の正極入力側に接続されており、その負極出力側は、負極配線31nを介して、制御系電源12の負極入力側に接続されている。
【0021】
このように、正極配線31pは、ブリッジダイオードBDの正極出力側と制御系電源12の正極入力側とを接続し、負極配線31nは、ブリッジダイオードBDの負極出力側と制御系電源12の負極入力側とを接続する。
【0022】
平滑コンデンサCは、正極配線31pと負極配線31nとの間において、ブリッジダイオードBDと並列に接続される。平滑コンデンサCは、ブリッジダイオードBDで整流された電源の電圧を平滑化する。
【0023】
外部電源100から給電された交流電圧は、トランスT、ブリッジダイオードBD、平滑コンデンサCを経て、直流電圧へ変換されて、充電電源11や制御系電源12へ給電される。
【0024】
上述した正極配線31pは、平滑コンデンサCと後述するダイオードD2との間において分岐されており、分岐された正極配線32pが充電電源11の正極入力側に接続される。また、上述した負極配線31nは、平滑コンデンサCと制御系電源12との間において分岐されており、分岐された負極配線32nが充電電源11の負極入力側に接続される。つまり、充電電源11の正極入力側及び負極入力側は、正極配線32p及び負極配線32nを介して、正極配線31p及び負極配線31nに接続される。
【0025】
このように、正極配線32pは、ブリッジダイオードBDの正極出力側と充電電源11の正極入力側とを接続し、負極配線32nは、ブリッジダイオードBDの負極出力側と充電電源11の負極入力側とを接続する。そして、負極配線31n及び負極配線32nはグランドに接続されている。
【0026】
充電電源11は、ブリッジダイオードBD及び平滑コンデンサCにより変換された直流電圧を、蓄電池BT1に適した直流電圧に変換するものであり、所謂、DC-DCコンバータである。
【0027】
充電電源11の正極出力側の正極配線33pは、電界効果トランジスタFET1及びFET2を介して、正極端子t1に接続される。充電電源11の負極出力側はグランドに接続されており、また、負極端子t2も負極配線34nを介してグランドに接続されている。そのため、充電電源11の出力電圧は、蓄電池BT1の正極に接続される正極端子t1と蓄電池BT1の負極に接続される負極端子t2との間に印加される。
【0028】
電界効果トランジスタFET1及びFET2は、後述する制御部13からの制御信号に応じて、充電電源11から蓄電池BT1側への出力をオン又はオフするものであり、スイッチ回路として機能する。
【0029】
電界効果トランジスタFET1及びFET2は、例えば、n型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。
【0030】
電界効果トランジスタFET1において、ソースは充電電源11の正極出力側に接続され、電界効果トランジスタFET2において、ソースは正極端子t1に接続される。電界効果トランジスタFET1及びFET2において、ドレイン同士が接続され、また、ゲート同士が接続され、互いに接続されたゲートは、制御部13の出力配線411に接続されている。
【0031】
従って、制御部13が、出力配線411を介して、電界効果トランジスタFET1及びFET2のゲートに制御信号を印加するとき、電界効果トランジスタFET1及びFET2は共にオン状態となる。電界効果トランジスタFET1及びFET2が共にオン状態となると、充電電源11から蓄電池BT1側へ出力電圧が印加されて、蓄電池BT1は充電されることになる。
【0032】
一方、制御部13が、電界効果トランジスタFET1及びFET2のゲートに制御信号を印加しないとき、電界効果トランジスタFET1及びFET2は共にオフ状態となる。電界効果トランジスタFET1及びFET2が共にオフ状態となると、充電電源11から蓄電池BT1側へ出力電圧は印加されず、蓄電池BT1の充電は停止することになる。
【0033】
また、充電器10Aは、
図1に示すように、ダイオードD1、D2、制御系電源12、制御部13、発光ダイオードLED1(本発明における表示部、発光素子)、抵抗R1、R2、トランジスタTr、スイッチSW等を有する。充電器10Aは、これらの構成により、蓄電池BT1に対して、充電の制御を行ったり、残量を測定し、表示したりする。
【0034】
正極配線31pにおいて、正極配線32pの分岐部J1と制御系電源12との間には、ダイオードD2が配置されている。ダイオードD2は、その整流方向がブリッジダイオードBDから制御系電源12へ電流が流れる方向となるように配置されている。このような配置により、後述するように、蓄電池BT1からの電流を制御系電源12へ供給する場合において、ブリッジダイオードBDや充電電源11側へ電流が流れ込まないようにしている。
【0035】
制御系電源12(本発明における電源部)は、ブリッジダイオードBD及び平滑コンデンサCにより変換された直流電圧を、制御部13や発光ダイオードLED1に適した直流電圧に変換するものであり、所謂、DC-DCコンバータである。
【0036】
制御系電源12の正極出力側の正極配線35pは、制御部13の正極入力側に接続される。制御系電源12の負極出力側はグランドに接続されている。そのため、制御系電源12の出力電圧は、制御部13に印加される。つまり、制御系電源12は、制御部13に給電する。
【0037】
制御部13は、例えば、公知のマイコン制御回路や制御IC(Integrated Circuit)等である。制御部13は、デジタル出力ポートに接続される上記の出力配線411と、デジタル出力ポートに接続される出力配線421とを有する。出力配線411は、上述したように、電界効果トランジスタFET1及びFET2のゲートに接続され、制御部13は、出力配線411を介して、電界効果トランジスタFET1及びFET2のオン又はオフを制御する。出力配線421は、発光ダイオードLED1のカソードに接続され、制御部13は、出力配線421を介して、発光ダイオードLED1の点灯状態を制御する。
【0038】
また、制御部13は、アナログ入力ポートに接続される入力配線431と、デジタル入力ポートに接続される入力配線441とを有する。入力配線431は、正極端子t1に接続され、制御部13は、入力配線431を介して、正極端子t1の電圧、即ち、蓄電池BT1の残量を示す電池電圧を測定する。入力配線441は、トランジスタTrのコレクタに接続され、制御部13は、入力配線441を介して、トランジスタTrのコレクタの電圧(High又はLow)を測定する。
【0039】
このように、制御部13は、アナログ入力ポート、デジタル入力ポート、デジタル出力ポート等を有する。制御部13は、これらのポートに接続された入力配線431、441や出力配線411、421を介して、充電器10Aの状況(スイッチSWや蓄電池BT1の状況等)を取得し、所定の制御(残量の表示等)を一括して行うことができる。
【0040】
また、上述した正極配線35pは、発光ダイオードLED1のアノードに接続され、また、上述したように、出力配線421は、発光ダイオードLED1のカソードに接続されている。発光ダイオードLED1は、一例として、単色の発光ダイオードである。
【0041】
蓄電池BT1が充電器10Aに取り付けられているとき、制御部13は、入力配線431を介して、正極端子t1の電圧、即ち、蓄電池BT1の電池電圧を測定する。
【0042】
そして、制御部13は、出力配線421を介して、蓄電池BT1の電池電圧に応じた制御信号を発光ダイオードLED1に印加し、発光ダイオードLED1を点灯させたり、点滅させたり、消灯させたりする。
【0043】
制御部13は、発光ダイオードLED1を点滅させる場合には、蓄電池BT1の電池電圧(残量)に応じて、点滅間隔を変更してもよい。例えば、制御部13は、蓄電池BT1の残量が多いほど、点滅間隔が短くなるように、発光ダイオードLED1を制御する。
【0044】
ここで、充電電源11、制御系電源12、制御部13等は、電源プラグPを外部電源100に接続すれば、外部電源100からの給電により動作する。
【0045】
一方、充電電源11、制御系電源12、制御部13等は、電源プラグPを外部電源100に接続していなければ、外部電源100からの給電がないので、動作しない。そこで、本実施の形態では、外部電源100からの給電がなくても、蓄電池BT1を電源として利用して、充電電源11以外の制御系電源12、制御部13等を動作させて、蓄電池BT1の残量を測定し、表示するようにしている。
【0046】
そのため、充電器10Aは、以下に説明する正極配線34p及び負極配線34n(本発明における配線部)、スイッチSW、トランジスタTr等を備える。
【0047】
正極配線34pは、スイッチSWを有し、一端が正極端子t1に接続されており、他端が制御系電源12の正極入力側に接続される。負極配線34nは、一端が負極端子t2に接続されており、他端がグランドに接続される。正極配線34pは、充電器10Aに蓄電池BT1が取り付けられているときは、正極端子t1を介して、蓄電池BT1の正極に接続される。正極配線34p、負極配線34nは、蓄電池BT1の電池電圧を制御系電源12に印加するための配線として機能する。
【0048】
正極配線34pにおいて、正極配線34pから分岐する正極配線36pの分岐部J2と正極端子t1との間には、スイッチSWが設けられている。スイッチSWは、押下中だけ導通状態となるモーメンタリ動作を行うスイッチであり、例えば、タクトスイッチ(タクタイルスイッチとも呼ばれる)等である。
【0049】
このように、スイッチSWはモーメンタリ動作を行うスイッチであるので、正極配線34pは、スイッチSWの押下中のみ一時的に接続状態となり、当該押下中以外は非接続状態となる。そして、正極配線34pは、スイッチSWの押下中に接続状態となって、蓄電池BT1の正極と制御系電源12の正極入力側とを電気的に接続し、蓄電池BT1の電池電圧を制御系電源12に印加することになる。
【0050】
また、正極配線34pにおいて、正極配線36pの分岐部J2と制御系電源12との間には、ダイオードD1が配置されている。ダイオードD1は、その整流方向が蓄電池BT1から制御系電源12へ電流が流れる方向となるように配置されている。このような配置により、ブリッジダイオードBDからの電流を制御系電源12へ供給する場合において、トランジスタTrや蓄電池BT1側へ電流が流れ込まないようにしている。
【0051】
また、上述した正極配線35pは、抵抗R1を介して、トランジスタTrのコレクタに接続されている。トランジスタTrのエミッタはグランドに接続されており、また、ベースは、抵抗R2、正極配線36pを介して、正極配線34pに接続されている。
【0052】
蓄電池BT1が充電器10Aに取り付けられているとき、スイッチSWを押下すると、正極配線34pに蓄電池BT1の電池電圧が印加される。正極配線34pに蓄電池BT1の電池電圧が印加されると、抵抗R2を介して、トランジスタTrのベースに電圧が印加され、ベース-エミッタ間に電流が流れて、コレクタ-エミッタ間に電流が流れて、コレクタの電圧がHighからLowへ降下する。
【0053】
トランジスタTrのコレクタは、上述したように、制御部13の入力配線441に接続されている。正極配線34pに蓄電池BT1の電池電圧が印加されると、コレクタの電圧が降下するので、制御部13は、入力配線441を介して、コレクタの電圧がLow状態であることを検出する。これにより、制御部13は、スイッチSWが押下されたこと、つまり、スイッチSWが導通状態(オン状態)であることを検出する。
【0054】
そして、制御部13は、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、蓄電池BT1の電池電圧(残量)に応じて、発光ダイオードLED1を点灯させたり、点滅させたり、消灯させたりする。
【0055】
以上の構成を有する充電器10Aにおいて、外部給電がある場合の動作と、外部給電がない場合の動作と、を以下に説明する。
【0056】
なお、以下の説明において、蓄電池BT1は、充電器10Aに取り付けられている状態である。具体的には、蓄電池BT1は、収容部22Aに収容され、蓄電池BT1の正極及び負極をそれぞれ正極端子t1及び負極端子t2に接触させることで、正極端子t1及び負極端子t2と電気的に接続された状態である。
【0057】
[外部給電がある場合の充電器の動作]
電源プラグPを外部電源100に接続する場合、つまり、外部給電がある場合、外部電源100から電源プラグPに交流電圧が入力される。電源プラグPに入力された交流電圧は、トランスT、ダイオードブリッジBD、平滑コンデンサCを経て、直流電圧に変換されて、充電電源11、制御系電源12へ入力される。
【0058】
充電電源11は、入力された直流電圧を蓄電池BT1に適した電圧に変換し、変換した直流電圧を出力する。このとき、充電電源11の正極出力側に接続された電界効果トランジスタFET1及びFET2がオン状態であれば、充電電源11で変換された直流電圧は、正極端子t1及び負極端子t2を介して、蓄電池BT1に供給されて、蓄電池BT1は充電される。
【0059】
一方、電界効果トランジスタFET1及びFET2が共にオフ状態であれば、充電電源11で変換された直流電圧は、正極端子t1及び負極端子t2側、つまり、蓄電池BT1側へ供給されず、蓄電池BT1への充電は行われない。
【0060】
また、制御系電源12は、入力された直流電圧を制御部13、発光ダイオードLED1、トランジスタTrに適した電圧に変換し、変換した直流電圧を制御部13、発光ダイオードLED1、トランジスタTrへ出力する。
【0061】
制御系電源12で変換された直流電圧が入力された制御部13は、予め組み込まれた処理(プログラム)を実行し、当該処理に応じて、電界効果トランジスタFET1及びFET2等を制御する。
【0062】
例えば、制御部13は、入力配線431を用いて、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、測定された電池電圧に応じて、電界効果トランジスタFET1及びFET2を制御する。一例として、制御部13は、蓄電池BT1が満充電のときは、電界効果トランジスタFET1及びFET2をオフとし、満充電以外のときは、電界効果トランジスタFET1及びFET2をオンとして、蓄電池BT1への充電を行うようにする。
【0063】
また、制御部13は、蓄電池BT1の充電中や充電後において、入力配線431を用いて、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、測定された電池電圧に基づいて残量を求め、求められた残量を発光ダイオードLED1で表示するようにしてもよい。
【0064】
また、制御部13は、蓄電池BT1の充電中や充電後において、入力配線441を用いて、スイッチSWが押下されたことを検出してもよい。そして、制御部13は、スイッチSWが押下されたことを検出したときに、入力配線431を用いて、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、測定された電池電圧に基づいて残量を求め、求められた残量を発光ダイオードLED1で表示するようにしてもよい。
【0065】
また、制御部13は、例えば、充電中、充電後やスイッチSWの押下中に測定した電池電圧を、制御部13のメモリ、例えば、RAM(Random Access Memory)等に記憶しておき、電池電圧の推移や満充電後の経過時間等を用いて、残量を求めてもよい。
【0066】
外部給電がある場合は、後述する外部給電がない場合と異なり、外部給電により制御部13が動作し、制御部13は、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、測定された電池電圧に基づいて残量を求め、求められた残量を発光ダイオードLED1で表示することになる。
【0067】
[外部給電がない場合の充電器の動作]
電源プラグPを外部電源100に接続しない場合、つまり、外部給電がない場合、電源プラグPには交流電圧は入力されない。そのため、充電電源11、制御系電源12にも、トランスT、ダイオードブリッジBD、平滑コンデンサC側からは、直流電圧は入力されない。
【0068】
従って、充電電源11及び制御系電源12は直流電圧を出力せず、また、制御部13も動作しないので、電界効果トランジスタFET1及びFET2がオン状態になることもなく、蓄電池BT1への充電は行われない。
【0069】
しかしながら、外部給電がない場合において、本実施の形態では、上述したように、スイッチSWを押下すると、押下中は、正極配線34p、負極配線34nを介して、蓄電池BT1から制御系電源12へ電池電圧を供給する構成となっている。
【0070】
そのため、制御系電源12は、供給された電池電圧を制御部13、発光ダイオードLED1、トランジスタTrに適した電圧に変換し、変換した直流電圧を制御部13、発光ダイオードLED1、トランジスタTrへ出力する。つまり、制御系電源12は、蓄電池BT1の電池電圧を用いて、制御部13、発光ダイオードLED1、トランジスタTrへ直流電圧を出力する。
【0071】
これにより、直流電圧が入力された制御部13は、予め組み込まれた処理(プログラム)を実行し、当該処理に応じて、蓄電池BT1の電池電圧の測定、発光ダイオードLED1での残量の表示を行う。
【0072】
例えば、制御部13は、入力配線441を用いて、スイッチSWが押下されていることを検出する。そして、制御部13は、スイッチSWが押下されているときに、入力配線431を用いて、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、測定された電池電圧に基づいて残量を求め、求められた残量を発光ダイオードLED1で表示する。
【0073】
言い換えると、制御部13は、スイッチSWの押下をやめると、入力配線441を用いて、スイッチSWが押下されていないことを検出し、蓄電池BT1の電池電圧の測定、発光ダイオードLED1での残量の表示を停止する。このように、スイッチSWを押下することにより、その押下中に、蓄電池BT1の電池電圧の測定、発光ダイオードLED1での残量の表示を行うこと、つまり、当該測定、表示を一時的に行うことになり、蓄電池BT1からの電流の消費を抑制することができる。
【0074】
以上説明したように、充電器10Aは、スイッチSWを有する正極配線34p、負極配線34nと制御部13とを備える。正極配線34p、負極配線34nは、蓄電池BT1と電気的に接続可能であり、スイッチSWは、押下中に導通状態となる。制御部13は、外部給電がない状態において、スイッチSWの押下中に正極配線34p、負極配線34nを介して蓄電池BT1から給電されることにより、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1に表示させる。
【0075】
上述した構成により、充電器10Aは、外部給電がない状態において、スイッチSWが押下中になると、正極配線34pを介して、蓄電池BT1から制御部13へ給電することになる。これにより、制御部13は、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1に表示させるので、当該測定、表示を一時的に行うことになる。その結果、蓄電池BT1からの電流の消費(放電)を抑制することができる。
【0076】
また、充電器10Aでは、制御部13がスイッチSWの押下(導通状態)を検出できるように、トランジスタTr、抵抗R1、R2、正極配線36p及び入力配線441からなるスイッチSW用の検出回路を設けている。このようなスイッチSW用の検出回路を設けることにより、外部給電がなくても、スイッチSWの押下を確実に検出して、スイッチSWの押下中に蓄電池BT1の残量の表示を行うことができる。
【0077】
[状態遷移]
図3は、充電器10Aにおける制御部13の状態遷移を説明する図である。
【0078】
充電器10Aにおいて、制御系電源12から制御部13への給電があると、制御部13は、停止状態ST4から起動状態ST1へ遷移する。制御系電源12から制御部13への給電は、外部給電(外部電源100)による制御系電源12からの給電及び蓄電池BT1による制御系電源12からの給電のいずれでもよい。
【0079】
起動状態ST1において、制御部13は、入力配線441を用いて、スイッチSWが押下されているかどうかを検出する。そして、制御部13は、スイッチSWが押下されていない場合(SWオフ)、充電動作状態ST2へ遷移し、スイッチSWが押下されている場合(SWオン)、残量表示状態ST3へ遷移する。つまり、制御部13は、起動すると、起動直後にスイッチSWの状態(オフ又はオン)を検出し、スイッチSWのオフ又はオンに応じて、充電動作状態ST2又は残量表示状態ST3へ遷移する。
【0080】
ここで、制御部13が起動できるのは、スイッチSWが押下されていない場合は、外部給電があるからであり、スイッチSWが押下されている場合は、外部給電はないが、蓄電池BT1から制御系電源12への給電があるからである。従って、制御部13は、起動直後のスイッチSWの状態を確認することで、外部給電による起動か、又は、蓄電池BT1による起動かを判定することができる。
【0081】
充電動作状態ST2において、制御部13は、外部給電を用いて、蓄電池BT1への充電を行うことになる。そして、給電が停止されると、即ち、外部給電がなくなると、停止状態ST4へ遷移する。
【0082】
なお、充電動作状態ST2における充電動作は、充電、満充電検出、満充電検出後の充電停止、自己放電を補うための補充電動作及び再充電動作等を含む。また、充電は、定期的に充電のオフ時間が発生するパルス充電を含む。
【0083】
また、充電動作状態ST2において、制御部13は、スイッチSWの状態を検出し、スイッチSWがオンにされると、残量表示状態ST3へ遷移し、その後、外部給電が有り、かつ、スイッチSWがオフにされると、充電動作状態ST2へ戻る。具体的には、制御部13は、充電動作状態ST2において、その初期状態でオフであるスイッチSWがオンにされると、外部給電があるので、入力配線441により、スイッチSWの状態がオンであることを確認でき、これにより、残量表示状態ST3へ遷移する。そして、制御部13は、その後、スイッチSWがオフにされると、外部給電があるので、入力配線441により、スイッチSWの状態がオフであることを確認でき、これにより、停止状態ST4へ遷移するのではなく、充電動作状態ST2へ戻る。
【0084】
また、充電動作状態ST2から残量表示状態ST3へ遷移する場合、制御部13は、蓄電池BT1への充電を停止して、残量表示状態ST3へ遷移し、蓄電池BT1の残量の表示を行う。このとき、制御部13は、外部給電により起動して動作しているので、蓄電池BT1を用いずに(蓄電池BT1の電流を消費せずに)、蓄電池BT1の残量の表示を行うことになる。残量表示状態ST3から充電動作状態ST2へ戻る場合は、蓄電池BT1の残量表示を停止して、充電動作状態ST2へ遷移し、蓄電池BT1への充電を再開する。
【0085】
起動状態ST1から残量表示状態ST3へ遷移する場合、制御部13は、蓄電池BT1により起動して動作しているので、蓄電池BT1を用いて、蓄電池BT1の残量の表示を行う。そして、給電が停止されると、即ち、スイッチSWがオフにされて、蓄電池BT1からの給電がなくなると、停止状態ST4へ遷移する。
【0086】
残量表示状態ST3において、言い換えると、スイッチSWをオンしている状態において、外部電源に接続し、その後、スイッチSWがオフにされる場合は、残量表示状態ST3から充電動作状態ST2への遷移を行う。
【0087】
以上の状態遷移で説明したように、制御部13は、外部給電がない状態において、スイッチSWの押下による蓄電池BT1からの給電で起動して、スイッチSWの押下を検出する。そして、制御部13は、スイッチSWが押下されている場合、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1に表示させて、当該測定、表示を一時的に行うことになる。その結果、蓄電池BT1からの電流の消費(放電)を抑制することができる。
【0088】
以上説明した状態遷移は、制御部13に実装するプログラムで実現することができる。また、以上説明した状態遷移は、以下の変形例1~3で説明する充電器10B~10Dでも同様の遷移が行われる。
【0089】
<変形例1>
図4は、本変形例の充電器10Bを示すブロック図である。
【0090】
図1に示す充電器10Aにおいては、蓄電池BT1の電池電圧が低い場合を考慮し、蓄電池BT1の電池電圧が低い場合でも、制御部13がスイッチSWの押下を検出できるように、トランジスタTr、抵抗R1、R2を設けている。
【0091】
充電器10Aにおいて、入力配線441は、制御部13のデジタル入力ポートに接続されて、トランジスタTrのコレクタ電圧のHigh又はLowを検出することで、スイッチSWの押下を検出していた。
【0092】
これに対し、本変形例の充電器10Bでは、トランジスタTr、抵抗R1、R2を設けず、スイッチSWの押下を検出する入力配線441を、制御部13のアナログ入力ポートに接続するようにしている。
【0093】
充電器10Bにおいて、入力配線441は、制御部13のアナログ入力ポートに接続されて、入力配線441、つまり、正極配線36pを介して接続される正極配線34pの電圧を検出することで、スイッチSWの押下を検出するようにする。これにより、トランジスタTr、抵抗R1、R2を設けることなく、制御部13がスイッチSWの押下を検出することができる。
【0094】
充電器10Bは、以上説明した構成以外は、充電器10Aと同じ構成である。そのため、充電器10Bにおいて、充電器10Aと同じ構成には同じ符号を付し、ここでは、重複する説明は省略する。
【0095】
充電器10Bは、充電器10Aと同様に、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1に表示させるので、当該測定、表示を一時的に行うことになる。その結果、蓄電池BT1からの電流の消費(放電)を抑制することができる。
【0096】
また、充電器10Bは、
図1に示す充電器10Aと比較して、トランジスタTr、抵抗R1、R2が不要であるので、回路構成を簡単にして、装置コストを下げることができる。
【0097】
<変形例2>
図5は、本変形例の充電器10Cを示すブロック図である。
図6は、充電器10Cの外観の一例を示す正面図である。
【0098】
図1に示す充電器10Aは、1つの蓄電池BT1を取り付け可能な構成であるが、本実施の形態に係る充電器は、複数の蓄電池を取り付け可能な構成としてもよい。本変形例の充電器10Cは、一例として、2つの蓄電池BT1、BT2を取り付け可能な構成としている。
【0099】
充電器10Cは、充電器10Aの構成に加えて、端子として、蓄電池BT2と接続する正極端子t3及び負極端子t4を有している。
【0100】
充電器10Cは、
図6に示すように、筐体21Cと、蓄電池BT1、BT2を収容する収容部22Cとを有する。筐体21C、収容部22Cは、基本的には、充電器10Aにおける筐体21A、収容部22Aと同等の構成である。
【0101】
また、収容部22Cを構成し、互いに対向する内壁221C、222Cには、正極端子t1、t3及び負極端子t2、t4がそれぞれ配置されている。蓄電池BT1を収容部22Cに収容すると、蓄電池BT1の正極が正極端子t1に接触して電気的に接続し、蓄電池BT1の負極が負極端子t2に接触して電気的に接続する。また、蓄電池BT2を収容部22Cに収容すると、蓄電池BT2の正極が正極端子t3に接触して電気的に接続し、蓄電池BT2の負極が負極端子t4に接触して電気的に接続する。
【0102】
また、筐体21Cには、発光ダイオードLED1、LED2及びスイッチSWが配置されている。使用者がスイッチSWを押下すると、充電器10Cは、スイッチSWの押下中、発光ダイオードLED1を用いて、蓄電池BT1の残量を表示し、発光ダイオードLED2を用いて、蓄電池BT2の残量を表示するようにしている。
【0103】
[回路構成]
蓄電池BT1については、上述したように、充電が行われ、また、残量が測定されて、表示される。蓄電池BT2は、以下に説明する回路構成により、充電が行われ、また、残量が測定されて、表示される。
【0104】
充電器10Cは、充電器10Aの構成に加えて、正極配線37p、38p、負極配線38n、電界効果トランジスタFET3及びFET4、ダイオードD3、D4、発光ダイオードLED2を有する。また、制御部13は、更に、デジタル出力ポートに接続される出力配線412、アナログ入力ポートに接続される入力配線432を有する。
【0105】
本変形例において、正極配線33pは、充電電源11の正極出力側と電界効果トランジスタFET1のソースとの間において分岐されており、分岐された正極配線37pが電界効果トランジスタFET2のソースに接続される。
【0106】
電界効果トランジスタFET3及びFET4は、例えば、n型MOSFETである。電界効果トランジスタFET3において、ソースは、正極配線33p、37pを介して、充電電源11の正極出力側に接続され、電界効果トランジスタFET4において、ソースは正極端子t3に接続される。電界効果トランジスタFET3及びFET4において、ドレイン同士が接続され、また、ゲート同士が接続され、互いに接続されたゲートは、制御部13の出力配線412に接続されている。このように、電界効果トランジスタFET3及びFET4は、上述した電界効果トランジスタFET1及びFET2と同様の構成である。
【0107】
従って、電界効果トランジスタFET3及びFET4は、上述した電界効果トランジスタFET1及びFET2と同様に動作する。
【0108】
具体的には、制御部13が、出力配線412を介して、電界効果トランジスタFET3及びFET4のゲートに制御信号を印加するとき、電界効果トランジスタFET3及びFET4は共にオン状態となる。外部給電があるとき、電界効果トランジスタFET3及びFET4が共にオン状態となると、充電電源11から蓄電池BT2側へ出力電圧が印加されて、蓄電池BT2は充電されることになる。
【0109】
一方、制御部13が、電界効果トランジスタFET3及びFET4のゲートに制御信号を印加しないとき、電界効果トランジスタFET3及びFET4は共にオフ状態となる。電界効果トランジスタFET3及びFET4が共にオフ状態となると、充電電源11から蓄電池BT2側へ出力電圧は印加されず、蓄電池BT1の充電は停止することになる。
【0110】
制御部13は、蓄電池BT1、BT2への充電を行う場合、電界効果トランジスタFET1~FET4を同時にオン状態にしてもよいし、電界効果トランジスタFET1及びFET2と電界効果トランジスタFET3及びFET4とを交互にオン状態にしてもよい。制御部13は、蓄電池BT1、BT2の残量等に応じて、電界効果トランジスタFET1及びFET2や電界効果トランジスタFET3及びFET4のオン又はオフを制御してもよい。
【0111】
また、正極配線34pにおいて、正極端子t1とスイッチSWとの間には、ダイオードD3が配置されている。ダイオードD3は、その整流方向が正極端子t1から制御系電源12へ電流が流れる方向となるように配置されている。このような配置により、蓄電池BT2から正極端子t1側へ電流が流れ込まないようにしている。
【0112】
また、本変形例において、正極配線34pは、ダイオードD3とスイッチSWとの間において分岐されており、分岐された正極配線38pが正極端子t3に接続される。負極配線38nは、一端が負極端子t4に接続されており、他端がグランドに接続される。
【0113】
そして、正極配線38pにおいて、正極端子t3とスイッチSWとの間には、ダイオードD4が配置されている。ダイオードD4は、その整流方向が正極端子t3から制御系電源12へ電流が流れる方向となるように配置されている。このような配置により、蓄電池BT1から正極端子t3側へ電流が流れ込まないようにしている。
【0114】
また、正極配線35pは、発光ダイオードLED1に加えて、発光ダイオードLED2のアノードに接続され、制御部13のデジタル出力ポートに接続される出力配線422は、発光ダイオードLED2のカソードに接続されている。
【0115】
また、制御部13において、出力配線412は、上述したように、電界効果トランジスタFET3及びFET4のゲートに接続され、制御部13は、出力配線412を介して、電界効果トランジスタFET3及びFET4のオン又はオフを制御する。また、出力配線422は、上述したように、発光ダイオードLED2のカソードに接続され、制御部13は、出力配線422を介して、発光ダイオードLED2の点灯状態を制御する。
【0116】
また、制御部13において、入力配線432は、正極端子t3に接続され、制御部13は、入力配線432を介して、正極端子t3の電圧、即ち、蓄電池BT2の残量を示す電池電圧を測定する。
【0117】
以上説明した構成において、正極配線37p、38p、負極配線38nは、蓄電池BT1に対し、蓄電池BT2を並列に接続する並列接続配線部である。
【0118】
以上の構成を有する充電器10Cにおいても、充電器10Aと同様に、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1、BT2の電池電圧をそれぞれ測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1、LED2にそれぞれ表示する。そのため、充電器10Cは、充電器10Aと同様に、蓄電池BT1、BT2からの電流の消費(放電)を抑制することができる。
【0119】
また、本変形例では、蓄電池BT1、BT2のいずれか一方が充電器10Cに取り付けられれば、スイッチSWの押下中に、当該蓄電池の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1又はLED2に表示することができる。
【0120】
なお、正極配線37p、38p、負極配線38n等を含む、蓄電池BT2のための構成は、
図4に示した充電器10B、後述の
図8に示す充電器10E、後述の
図10に示す充電器10F、後述の
図12に示す充電器10Gにも適用可能である。
【0121】
<変形例3>
図7は、本変形例の充電器10Dを示すブロック図である。
【0122】
制御系電源12を安定して動作させるためには、制御系電源12へ入力する電圧が、制御系電源12の入力電圧定格以上であることが望ましい。蓄電池BT1、BT2を制御系電源12の電源として用いる場合、蓄電池BT1、BT2の電池電圧が低く、かつ、ダイオードD1、D3、D4のVF(順方向電圧)が大きい場合、制御系電源12へ入力する電圧が入力電圧定格未満となることも考えられる。
【0123】
そこで、本変形例では、正極配線34pにおいて、スイッチSWとダイオードD1との間に、蓄電池BT1、BT2の電池電圧を昇圧する昇圧部14を設けている。昇圧部14は、例えば、入力される直流電圧をより電圧が高い直流電圧に昇圧して出力するものであり、所謂、昇圧型DC-DCコンバータである。
【0124】
このように、正極配線34pにおいて、スイッチSWとダイオードD1との間に昇圧部14を設けるので、蓄電池BT1、BT2の電池電圧が低く、かつ、ダイオードD1、D3、D4のVFが大きい場合でも、制御系電源12を動作させることができる。
【0125】
昇圧部14は、正極配線34pにおいて、スイッチSWと分岐部J2との間に設けることが望ましい。これにより、制御部13は、蓄電池BT1、BT2の電池電圧が低く、かつ、ダイオードD1、D3、D4のVFが大きい場合でも、入力配線441を介して、スイッチSWが押下されたかどうかを検出することができる。
【0126】
正極配線34pにおいて、スイッチSWと分岐部J2との間に昇圧部14を設けた場合、昇圧部14から高い電圧が出力される。そのため、トランジスタTrの代わりに、FETを用いて、スイッチSWが押下されたかどうかの検出信号を入力配線441に入力してもよいし、また、抵抗を用い、その抵抗分圧を当該検出信号として入力配線441に入力してもよい。また、昇圧部14から出力される電圧が、制御部13の入力配線441への入力電圧定格よりも低ければ、昇圧部14からの出力を入力配線441に直接入力するようにしてもよい。
【0127】
充電器10Dは、以上説明した構成以外は、充電器10Cと同じ構成である。そのため、充電器10Dにおいて、充電器10Cと同じ構成には同じ符号を付し、ここでは、重複する説明は省略する。
【0128】
以上の構成を有する充電器10Dにおいても、充電器10Cと同様に、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1、BT2の電池電圧をそれぞれ測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1、LED2にそれぞれ表示する。そのため、充電器10Dは、充電器10Cと同様に、蓄電池BT1、BT2からの電流の消費(放電)を抑制することができる。
【0129】
また、本変形例では、蓄電池BT1、BT2のいずれか一方が充電器10Dに取り付けられれば、スイッチSWの押下中に、当該蓄電池の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1又はLED2に表示することができる。
【0130】
また、本変形例では、蓄電池BT1、BT2の電池電圧が低く、かつ、ダイオードD1、D3、D4のVFが大きい場合でも、制御系電源12を動作させることができる。そのため、このような場合でも、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1、BT2の電池電圧をそれぞれ測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1、LED2にそれぞれ表示することができる。
【0131】
なお、上述した昇圧部14の配置や接続の構成は、
図1に示した充電器10A、
図4に示した充電器10B、後述の
図8に示す充電器10E、後述の
図10に示す充電器10F、後述の
図12に示す充電器10Gにも適用可能である。
【0132】
<変形例4>
図8は、本変形例の充電器10Eを示すブロック図である。
【0133】
図1に示す充電器10Aにおいては、制御部13がスイッチSWの押下を検出できるように、トランジスタTr、抵抗R1、R2、正極配線36p及び入力配線441を設け、入力配線441を制御部13のデジタル入力ポートに接続している。つまり、スイッチSW用の検出回路を設けている。
【0134】
これに対し、本変形例の充電器10Eでは、トランジスタTr、抵抗R1、R2、正極配線36p及び入力配線441からなるスイッチSWの検出回路を設けず、外部給電の有無を検出する入力配線442を設けている。
【0135】
入力配線442は、例えば、一端が正極配線32pに接続され、他端が制御部13のアナログ入力ポートに接続される。正極配線32pは、正極配線31pを介して、ブリッジダイオードBDの正極出力側に接続されており、外部給電がある場合、トランスT、ブリッジダイオードBD、平滑コンデンサCを経て、直流電圧が正極配線32p及び負極配線32nへ出力される。そのため、制御部13は、正極配線32pに接続された入力配線442を用いて、正極配線32pの直流電圧を検出することで、外部給電の有無を検出することができる。
【0136】
なお、ここでは、入力配線442の他端は、制御部13のアナログ入力ポートに接続されているが、例えば、抵抗から構成される抵抗分圧回路を用いて、入力される電圧を調整することにより、制御部13のデジタル入力ポートに接続されてもよい。
【0137】
充電器10Eは、以上説明した構成以外は、充電器10Aと同じ構成である。そのため、充電器10Eにおいて、充電器10Aと同じ構成には同じ符号を付し、ここでは、重複する説明は省略する。
【0138】
上述したように、充電器10Eでは、スイッチSWの押下を検出する検出回路に代えて、外部給電の有無を検出する構成としている。これにより、後述の
図9で説明するように、外部給電がある場合には、スイッチSWの押下の有無によらず、蓄電池BT1の残量表示は行わず、外部給電がない場合において、スイッチSWが押下されたときに、蓄電池BT1の残量表示を行うことができる。
【0139】
つまり、充電器10Eは、充電器10Aと同様に、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1に表示させるので、当該測定、表示を一時的に行うことになる。その結果、蓄電池BT1からの電流の消費(放電)を抑制することができる。
【0140】
また、充電器10Eは、
図1に示す充電器10Aと比較して、トランジスタTr、抵抗R1、R2、正極配線36p及び入力配線441からなるスイッチSWの検出回路が不要であるので、回路構成を簡単にして、装置コストを下げることができる。
【0141】
[状態遷移]
図9は、充電器10Eにおける制御部13の状態遷移を説明する図である。
【0142】
充電器10Eにおいて、制御系電源12から制御部13への給電があると、制御部13は、停止状態ST4から起動状態ST1へ遷移する。制御系電源12から制御部13への給電は、外部給電による制御系電源12からの給電及び蓄電池BT1による制御系電源12からの給電のいずれでもよい。
【0143】
起動状態ST1において、制御部13は、入力配線442を用いて、外部給電があるかどうかを検出する。そして、制御部13は、外部給電がある場合、充電動作状態ST2へ遷移し、外部給電がない場合、残量表示状態ST3へ遷移する。つまり、制御部13は、起動すると、起動直後に外部給電の有無を検出し、外部給電の有り又は無しに応じて、充電動作状態ST2又は残量表示状態ST3へ遷移する。
【0144】
このように、充電器10Eでは、充電器10Aとは異なり、入力配線442を用いて、外部給電があるかどうかを検出している。これにより、制御部13は、外部給電による起動か、又は、蓄電池BT1による起動かを判定することができる。
【0145】
充電動作状態ST2において、制御部13は、外部給電を用いて、蓄電池BT1への充電を行うことになる。そして、給電が停止されると、即ち、外部給電がなくなると、停止状態ST4へ遷移する。
【0146】
また、充電動作状態ST2において、制御部13は、入力配線442を用いて、外部給電がなくなったことを検出すると、残量表示状態ST3へ遷移し、その後、入力配線442を用いて、外部給電を検出すると、充電動作状態ST2へ戻る。例えば、充電動作状態ST2において、スイッチSWを押下し続けている状態で、外部電源100から電源プラグPを取り外した場合、制御を13は、入力配線442を用いて、外部給電がなくなったことを検出するので、残量表示状態ST3へ遷移する。そして、その後、例えば、スイッチSWを押下し続けている状態で、外部電源100に電源プラグPを取り付けた場合、制御を13は、入力配線442を用いて、外部給電を検出するので、充電動作状態ST2へ戻る。
【0147】
また、充電動作状態ST2から残量表示状態ST3へ遷移する場合、制御部13は、蓄電池BT1への充電を停止して、残量表示状態ST3へ遷移し、蓄電池BT1の残量の表示を行う。残量表示状態ST3から充電動作状態ST2へ戻る場合は、蓄電池BT1の残量表示を停止して、充電動作状態ST2へ遷移し、蓄電池BT1への充電を再開する。
【0148】
残量表示状態ST3において、制御部13は、蓄電池BT1により起動して動作しているので、蓄電池BT1の電力を用いて、蓄電池BT1の残量の表示を行う。そして、給電が停止されると、即ち、スイッチSWがオフにされて、蓄電池BT1からの給電がなくなると、停止状態ST4へ遷移する。
【0149】
以上の状態遷移で説明したように、制御部13は、スイッチSWの押下による蓄電池BT1からの給電で起動して、外部給電の有無を検出する。そして、制御部13は、外部給電がない場合、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1に表示させて、当該測定、表示を一時的に行うことになる。その結果、蓄電池BT1からの電流の消費(放電)を抑制することができる。
【0150】
以上説明したように、制御部13は、スイッチSWの押下を検出しなくても、制御部13の起動が、外部給電ではなく、蓄電池BT1からの給電によることが判定できれば、外部給電がない状態において、蓄電池BT1の残量の表示を行うことができる。
【0151】
以上説明した状態遷移は、制御部13に実装するプログラムで実現することができる。
【0152】
<変形例5>
図10は、本変形例の充電器10Fを示すブロック図である。
【0153】
図1に示す充電器10Aにおいては、変形例4で述べたように、制御部13がスイッチSWの押下を検出できるように、スイッチSW用の検出回路(トランジスタTr、抵抗R1、R2、正極配線36p及び入力配線441)を設けている。
【0154】
これに対し、本変形例の充電器10Fでは、スイッチSW用の検出回路を設けず、正極配線33pにおいてダイオードD5を設けている。具体的には、正極配線33pにおいて、充電電源11の正極出力側と電界効果トランジスタFET1及びFET2との間に、ダイオードD5が配置されている。
【0155】
充電器10Fは、以上説明した構成以外は、充電器10Aと同じ構成である。そのため、充電器10Fにおいて、充電器10Aと同じ構成には同じ符号を付し、ここでは、重複する説明は省略する。
【0156】
また、変形例4の充電器10Eと比較すると、本変形例の充電器10Fは、入力配線442を有しておらず、上述したダイオードD5を有する点が異なり、これら以外は、充電器10Eと同じ構成である。
【0157】
充電器10Fでは、スイッチSWの押下を検出する検出回路に代えて、出力配線411、電界効果トランジスタFET1、FET2及び入力配線431を用いて、蓄電池BT1の電池電圧の変化を検出することで、外部給電の有無を検出する構成としている。
【0158】
つまり、外部給電があるときは、充電電源11から電圧が出力され、出力配線411により電界効果トランジスタFET1及びFET2がオン状態であれば、蓄電池BT1側へ電圧が印加されて、蓄電池BT1は充電されることになる。このときの蓄電池BT1の電池電圧の変化(上昇)を、入力配線431で検出することで、制御部13は、外部給電があると判定することができる。
【0159】
一方、外部給電がないとき、制御部13は、スイッチSWをオンすることにより、蓄電池BT1からの給電により起動するが、出力配線411により電界効果トランジスタFET1及びFET2がオン状態であっても、充電電源11からの電圧の出力はない。つまり、電界効果トランジスタFET1及びFET2がオン状態であっても、充電電源11からの電圧の出力はないので、蓄電池BT1側への電圧の印加はなく、蓄電池BT1は充電されない。このとき、蓄電池BT1の電池電圧の変化(上昇)を、入力配線431で検出できないので、制御部13は、外部給電がないと判定することができる。
【0160】
そして、この場合、充電電源11からの電圧の出力はないので、オン状態の電界効果トランジスタFET1及びFET2を介して、蓄電池BT1から充電電源11へ逆流(放電)する可能性がある。そのため、上述したように、正極配線33pにおいてダイオードD5を設け、蓄電池BT1から充電電源11へ逆流(放電)しないようにしている。
【0161】
なお、充電器10Fでは、上述したように、蓄電池BT1から充電電源11へ逆流を防止するダイオードD5を設けているので、充電器10Fは、電界効果トランジスタFET1を省略した構成とすることもできる。
【0162】
このように、出力配線411、電界効果トランジスタFET1、FET2及び入力配線431を用いて、外部給電の有無を検出する構成としている。これにより、後述の
図11で説明するように、外部給電がある場合には、スイッチSWの押下の有無によらず、蓄電池BT1の残量表示は行わず、外部給電がない場合において、スイッチSWが押下されたときに、蓄電池BT1の残量表示を行うことができる。
【0163】
つまり、充電器10Fは、充電器10Aと同様に、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1に表示させるので、当該測定、表示を一時的に行うことになる。その結果、蓄電池BT1からの電流の消費(放電)を抑制することができる。
【0164】
また、充電器10Fは、
図1に示す充電器10Aと比較して、トランジスタTr、抵抗R1、R2、正極配線36p及び入力配線441からなるスイッチSWの検出回路が不要であるので、回路構成を簡単にして、装置コストを下げることができる。
【0165】
また、充電器10Fは、
図8に示す充電器10Eと比較して、入力配線442が不要であるので、制御部13への入力を減らすことができ、回路構成を簡単にして、装置コストを下げることができる。
【0166】
[状態遷移]
図11は、充電器10Fにおける制御部13の状態遷移を説明する図である。
【0167】
充電器10Fにおいて、制御系電源12から制御部13への給電があると、制御部13は、停止状態ST4から起動状態ST1へ遷移する。制御系電源12から制御部13への給電は、外部給電による制御系電源12からの給電及び蓄電池BT1による制御系電源12からの給電のいずれでもよい。
【0168】
制御部13は、起動すると、外部給電確認状態ST1-1へ遷移する。外部給電確認状態ST1-1において、制御部13は、出力配線411により電界効果トランジスタFET1及びFET2をオン状態とし、蓄電池BT1の電池電圧の変化を入力配線431で検出する。
【0169】
そして、制御部13は、蓄電池BT1の電池電圧の上昇がある場合、即ち、外部給電がある場合、充電動作状態ST2へ遷移し、蓄電池BT1の電池電圧の上昇がない場合、即ち、外部給電がない場合、残量表示状態ST3-1へ遷移する。つまり、制御部13は、起動すると、起動直後に蓄電池BT1の電池電圧の変化(上昇の有無)を検出することにより、外部給電の有無を検出し、外部給電の有り又は無しに応じて、充電動作状態ST2又は残量表示状態ST3-1へ遷移する。
【0170】
このように、充電器10Fでは、充電器10A、10Eとは異なり、出力配線411、電界効果トランジスタFET1、FET2及び入力配線431を用いて、蓄電池BT1の電池電圧の変化を検出することにより、外部給電があるかどうかを検出している。これにより、制御部13は、外部給電による起動か、又は、蓄電池BT1による起動かを判定することができる。
【0171】
充電動作状態ST2において、制御部13は、外部給電を用いて、蓄電池BT1への充電を行うことになる。そして、給電が停止されると、即ち、外部給電がなくなると、停止状態ST4へ遷移する。
【0172】
残量表示状態ST3-1において、制御部13は、蓄電池BT1により起動して動作しているので、出力配線411により電界効果トランジスタFET1及びFET2をオフ状態とし、その後、蓄電池BT1の電力を用いて、蓄電池BT1の残量の表示を行う。そして、給電が停止されると、即ち、スイッチSWがオフにされて、蓄電池BT1からの給電がなくなると、停止状態ST4へ遷移する。
【0173】
なお、充電器10Fでは、
図3に示す充電器10Aの状態遷移とは異なり、充電動作状態ST2及び残量表示状態ST3-1間の遷移は行わない。充電器10Fにおいて、残量表示状態ST3-1では、上述したように、電界効果トランジスタFET1及びFET2をオフ状態とするが、その後、これらをオンにすることはないため、外部給電があっても、それを検出することはできない。そのため、残量表示状態ST3-1から充電動作状態ST2への遷移は行わない。そして、残量表示状態ST3-1から充電動作状態ST2への遷移は行わないので、充電動作状態ST2から残量表示状態ST3-1への遷移も行わない。
【0174】
以上の状態遷移で説明したように、制御部13は、スイッチSWの押下による蓄電池BT1からの給電で起動して、外部給電の有無を検出する。そして、制御部13は、外部給電がない場合、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1に表示させて、当該測定、表示を一時的に行うことになる。その結果、蓄電池BT1からの電流の消費(放電)を抑制することができる。
【0175】
以上説明したように、制御部13は、スイッチSWの押下を検出しなくても、制御部13の起動が、外部給電ではなく、蓄電池BT1からの給電によることが判定できれば、外部給電がない状態において、蓄電池BT1の残量の表示を行うことができる。
【0176】
以上説明した状態遷移は、制御部13に実装するプログラムで実現することができる。
【0177】
<変形例6>
図12は、本変形例の充電器10Gを示すブロック図である。
【0178】
本変形例の充電器10Gは、基本的には、充電器10Aと同じ構成であるが、正極配線33pにおいてダイオードD5を設けている点が異なる。具体的には、正極配線33pにおいて、充電電源11の正極出力側と電界効果トランジスタFET1及びFET2との間に、ダイオードD5が配置されている。
【0179】
このように、充電器10Gは、上記ダイオードD5以外は、充電器10Aと同じ構成であるので、充電器10Gにおいて、充電器10Aと同じ構成には同じ符号を付し、ここでは、重複する説明は省略する。
【0180】
ダイオードD5は、上記変形例5で説明したように、蓄電池BT1から充電電源11への逆流(放電)を防止するために設けられている。本変形例では、蓄電池BT1が充電されているときに、スイッチSWが押下され、押下された状態のままで外部給電が無くなった場合に、ダイオードD5により、蓄電池BT1から充電電源11へ逆流(放電)しないようにしている。具体的には、外部給電があり、充電電源11からの電圧の出力があり、電界効果トランジスタFET1及びFET2がオン状態であって、蓄電池BT1が充電されているときに、スイッチSWが押下され、押下された状態のままで外部給電が無くなった場合である。
【0181】
充電器10Aでは、外部給電があり、かつ、スイッチSWオンのときに、外部給電がなくなる場合、制御部13は、外部給電が無くなった(充電電源11の出力が無くなった)ことを検出できない。そのため、制御部13は、電界効果トランジスタFET1及びFET2をオンし続けるため、蓄電池BT1から充電電源11へ逆流する可能性があり、蓄電池BT1への充電中に、スイッチSWをオンした場合には、充電動作を停止していた。
【0182】
これに対して、充電器10Gでは、充電電源11の出力が無くなった状態で、電界効果トランジスタFET1及びFET2をオン続けても、ダイオードD5を設けているので、蓄電池BT1から充電電源11へ逆流しない。そのため、蓄電池BT1への充電中に、スイッチSWをオンした場合でも、充電動作を停止しなくても問題は発生せず、後述する充電動作及び残量表示状態ST2-1を実施可能である。
【0183】
このように、蓄電池BT1が充電されているときに、スイッチSWが押下されても、ダイオードD5により、蓄電池BT1から充電電源11へ逆流(放電)しないようにしているので、蓄電池BT1に充電しながら、蓄電池BT1の残量表示を行うことができる。
【0184】
なお、充電器10Gでは、上述したように、蓄電池BT1から充電電源11へ逆流を防止するダイオードD5を設けているので、充電器10Gは、電界効果トランジスタFET1を省略した構成とすることもできる。
【0185】
充電器10Gは、充電器10Aと同様に、外部給電がない状態において、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1に表示させるので、当該測定、表示を一時的に行うことになる。その結果、蓄電池BT1からの電流の消費(放電)を抑制することができる。
【0186】
加えて、充電器10Gは、外部給電がある状態において、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1に表示させることができる。つまり、蓄電池BT1に充電しながら、蓄電池BT1の残量表示を行うことができる。
【0187】
[状態遷移]
図13は、充電器10Gにおける制御部13の状態遷移を説明する図である。
【0188】
充電器10Gにおいて、制御系電源12から制御部13への給電があると、制御部13は、停止状態ST4から起動状態ST1へ遷移する。制御系電源12から制御部13への給電は、外部給電による制御系電源12からの給電及び蓄電池BT1による制御系電源12からの給電のいずれでもよい。
【0189】
起動状態ST1において、制御部13は、入力配線441を用いて、スイッチSWが押下されているかどうかを検出する。そして、制御部13は、スイッチSWが押下されていない場合(SWオフ)、充電動作状態ST2へ遷移し、スイッチSWが押下されている場合(SWオン)、残量表示状態ST3へ遷移する。つまり、制御部13は、起動すると、起動直後にスイッチSWの状態(オフ又はオン)を検出し、スイッチSWのオフ又はオンに応じて、充電動作状態ST2又は残量表示状態ST3へ遷移する。
【0190】
ここで、制御部13が起動できるのは、スイッチSWが押下されていない場合は、外部給電があるからであり、スイッチSWが押下されている場合は、外部給電はないが、蓄電池BT1から制御系電源12への給電があるからである。従って、制御部13は、起動直後のスイッチSWの状態を確認することで、外部給電による起動か、又は、蓄電池BT1による起動かを判定することができる。
【0191】
充電動作状態ST2において、制御部13は、外部給電を用いて、蓄電池BT1への充電を行うことになる。そして、給電が停止されると、即ち、外部給電がなくなると、停止状態ST4へ遷移する。
【0192】
また、充電動作状態ST2において、制御部13は、スイッチSWの状態を検出し、スイッチSWがオンにされると、充電動作及び残量表示状態ST2-1へ遷移し、その後、スイッチSWがオフにされると、充電動作状態ST2へ戻る。また、給電が停止されると、即ち、外部給電がなくなると、停止状態ST4へ遷移する。
【0193】
充電動作状態ST2から充電動作及び残量表示状態ST2-1へ遷移する場合、制御部13は、蓄電池BT1への充電を停止せずに、充電動作及び残量表示状態ST2-1へ遷移する。そして、充電動作及び残量表示状態ST2-1において、制御部13は、外部給電を用いて、蓄電池BT1への充電を行うと共に、蓄電池BT1の残量の表示を行う。このとき、制御部13は、外部給電により起動して動作している場合は、蓄電池BT1を用いずに(蓄電池BT1の電流を消費せずに)、蓄電池BT1の残量の表示を行うことになる。また、充電を止めずに残量表示を行うので、充電時間を短くすることができる。
【0194】
起動状態ST1から残量表示状態ST3へ遷移する場合、制御部13は、蓄電池BT1により起動して動作しているので、蓄電池BT1の電力を用いて、蓄電池BT1の残量の表示を行う。そして、給電が停止されると、即ち、スイッチSWがオフにされて、蓄電池BT1からの給電がなくなると、停止状態ST4へ遷移する。
【0195】
残量表示状態ST3において、言い換えると、スイッチSWをオンしている状態において、外部電源に接続し、その後、スイッチSWがオフにされる場合は、残量表示状態ST3から充電動作状態ST2への遷移を行う。
【0196】
以上の状態遷移で説明したように、制御部13は、外部給電がない状態において、スイッチSWの押下による蓄電池BT1からの給電で起動して、スイッチSWの押下を検出する。そして、制御部13は、スイッチSWが押下されている場合、スイッチSWの押下中に、蓄電池BT1の電池電圧を測定し、当該電池電圧を残量として発光ダイオードLED1に表示させて、当該測定、表示を一時的に行うことになる。その結果、蓄電池BT1からの電流の消費(放電)を抑制することができる。
【0197】
以上説明した状態遷移は、制御部13に実装するプログラムで実現することができる。
【0198】
以上、本発明の実施の形態や変形例について説明した。なお、以上の説明は、本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【0199】
例えば、上記の実施の形態や変形例では、制御部13等に給電を行う制御系電源12を設けているが、制御部13等が蓄電池の電池電圧の変動範囲内の少なくとも一部で動作可能であれば、蓄電池から直接給電する構成でもよい。例えば、制御部13等が低電圧で動作可能なものであれば、制御部13等は蓄電池の電池電圧の変動範囲内の一部で動作可能である。
【0200】
また、上記の実施の形態や変形例では、単色の発光ダイオードを用いているが、複数の発光色を有する発光ダイオードを用い、その発光色(例えば、青、黄色、赤等)で蓄電池の残量を表示するようにしてもよい。
【0201】
また、上記の実施の形態や変形例では、1つの蓄電池に対して、1つの発光ダイオードを用いているが、1つの蓄電池に対して、複数個の発光ダイオードを用い、発光させる発光ダイオードの数で蓄電池の残量を表示するようにしてもよい。
【0202】
また、上記の実施の形態や変形例では、蓄電池の残量を表示する表示部として、発光ダイオードを用いているが、これに代えて、例えば、液晶表示器等を用いてもよい。この場合、液晶表示器において、例えば、バーグラフ等により、蓄電池の残量を表示するようにする。
【0203】
また、上記の実施の形態や変形例では、充電器10A、10Bは1つの蓄電池BTを取り付け可能な構成であり、充電器10C、10Dは2つの蓄電池BT1、BT2を取り付け可能な構成であるが、更に多くの蓄電池を取り付け可能な構成に変更してもよい。充電器10E、10F、10Gでも、更に多くの蓄電池を取り付け可能な構成に変更してもよい。
【0204】
また、上記の実施の形態や変形例では、充電器10A、10Bの外観図として、
図2A、
図2Bを例示したが、充電器10A、10Bの外観は、
図2A、
図2Bに示す例に限らず、適宜に変更可能である。同様に、充電器10C、10Dの外観図として、
図6を例示したが、充電器10C、10Dの外観も、
図6に示す例に限らず、適宜に変更可能である。充電器10E、10F、10Gの外観も、適宜に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明に係る充電器は、外部給電が無い状態においても、蓄電池の残量表示が可能な充電器として有用なものである。
【符号の説明】
【0206】
10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G 充電器
11 充電電源
12 制御系電源
13 制御部
14 昇圧部
21A、21C 筐体
22A、22C 収容部
34p、38p 正極配線
34n、38n 負極配線
100 外部電源
BT1、BT2 蓄電池
LED1、LED2 発光ダイオード
SW スイッチ