(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107705
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】車両用ルーフレール構造
(51)【国際特許分類】
B60R 9/048 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
B60R9/048
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011770
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】入江 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】中澤 健治
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 達也
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020AB01
3D020AC01
(57)【要約】
【課題】シールワッシャを用いることなく、ルーフレールのボルトと車体のルーフとの間の止水性を確保することができるようにする。
【解決手段】ルーフレールは、車体の前後方向に沿って延在するレール本体と、レール本体を車体のルーフパネルに固設するレッグ部とを有し、レッグ部が、ルーフパネルに当接するプロテクタと、プロテクタに載置されたレッグと、レッグの底部から突出したボルトをプロテクタとルーフパネルとを貫通させてルーフパネルに締結する締結部と、締結部の周囲を止水する止水部とを有し、止水部は、プロテクタの底面に突設されてボルトの周囲を覆うと共にルーフパネルに当接する底面シールリブと、プロテクタの上面に突設されてボルトの周囲を覆うと共にレッグの底面に当接する上面シールリブとを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前後方向に沿って延在するレール本体と、
前記レール本体を前記車体のルーフパネルに固設するレッグ部と
を有し、
前記レッグ部が、
前記ルーフパネルに当接するプロテクタと、
前記プロテクタに載置されたレッグと、
前記レッグの底部から突出したボルトを該プロテクタと前記ルーフパネルとを貫通させて該ルーフパネルに締結する締結部と、
前記締結部の周囲を止水する止水部と
を有する車両用ルーフレール構造において、
前記止水部は、
前記プロテクタの底面に突設されて前記ボルトの周囲を覆うと共に前記ルーフパネルに当接する底面シールリブと、
前記プロテクタの上面に突設されて前記ボルトの周囲を覆うと共に前記レッグの底面に当接する上面シールリブと
を備えることを特徴とする車両用ルーフレール構造。
【請求項2】
前記レッグの底面に、前記上面シールリブに装着されて位置決めされる環状の溝部が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の車両用ルーフレール構造。
【請求項3】
前記レッグの底面に、前記底面シールリブの外周側であって前記ボルトの周囲を覆う第2底面シールリブが突設されている
ことを特徴とする請求項1記載の車両用ルーフレール構造。
【請求項4】
前記底面シールリブの高さは前記第2底面シールリブよりも低い
ことを特徴とする請求項3記載の車両用ルーフレール構造。
【請求項5】
前記プロテクタの前記ボルトが貫通する位置にワッシャ装着孔部が穿設され、
前記ワッシャ装着孔部に、底面が前記ルーフパネルに対してメタルタッチされるワッシャが装着される
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の車両用ルーフレール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ルーフレール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルーフパネルの両側に車両前後方向に沿って延在する左右一対のルーフレールを取り付けた車両が知られている。このルーフレールは、主にSUV(Sport Utility Vehicle)やステーションワゴン車に装備されており、一対のルーフレールにキャリアを橋渡しして固定することで荷物を搭載するスペースを車外に確保することが可能となる。
【0003】
又、ルーフレールは予めアッセンブリ化されており、組立ラインにおいてルーフパネルに取付けられる。ルーフレールをルーフパネルに取付けるに際しては、ルーフレールから下方に突出されているボルトをルーフパネルに穿設されているボルト挿通孔に挿通する。そして、ルーフパネルから下方に突出されたボルトをナットで締結し固定する。
【0004】
ボルトとルーフパネルとの間はメタルタッチで接合し、その周囲をシール部材でシールすることでボルト挿通孔からの水漏れを防止する。
【0005】
このメタルタッチとシール部材とが一体化されたものとして、例えば、特許文献1(WO2014/080511号公報)に開示されているようなシールワッシャが知られている。
【0006】
この文献に開示されているシールワッシャは、中心に孔が穿設されたメタルタッチの上面側の内周部と下面側の外周部に弾性部材がそれぞれ装着されており、両弾性部材にリング状の突部がメタルタッチの表面よりも突出されて形成されている。そして、このシールワッシャをボルトとルーフパネルとの間に介装して共締めすることとで、メタルタッチがボルトとルーフパネルとの間に接合され、更に、弾性部材の突部がボルトとルーフパネルとに密着することで止水性が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示されているシールワッシャは高価である。そのため、ルーフレールの下方へ突出されて、ルーフパネルに取付けられる全てのボルトにシールワッシャを装着した場合、コスト高となってしまう不都合がある。
【0009】
従って、止水性を確保しつつシールワッシャを廃止することができれば、部品点数が削減され、製品コストの低減を図ることができる。
【0010】
本発明は、シールワッシャを用いることなく、ルーフレールのボルトと車体のルーフパネルとの間の止水性を確保することができて、製品コストの低減を図ることのできる車両用ルーフレール構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、車体の前後方向に沿って延在するレール本体と、前記レール本体を前記車体のルーフパネルに固設するレッグ部とを有し、前記レッグ部が、前記ルーフパネルに当接するプロテクタと、前記プロテクタに載置されたレッグと、前記レッグの底部から突出したボルトを該プロテクタと前記ルーフパネルとを貫通させて該ルーフパネルに締結する締結部と、前記締結部の周囲を止水する止水部とを有する車両用ルーフレール構造において、前記止水部は、前記プロテクタの底面に突設されて前記ボルトの周囲を覆うと共に前記ルーフパネルに当接する底面シールリブと、前記プロテクタの上面に突設されて前記ボルトの周囲を覆うと共に前記レッグの底面に当接する上面シールリブとを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レッグとプロテクタとをルーフパネルに締結する締結部に設けられたボルトの周囲を、プロテクタの底面に突設されてボルトの周囲を覆うと共にルーフパネルに当接する底面シールリブと、プロテクタの上面に突設されてボルトの周囲を覆うと共にレッグの底面に当接する上面シールリブとで止水するようにしたので、シールワッシャを用いることなく、ルーフレールのボルトと車体のルーフパネルとの間の止水性を確保することができる。又、シールワッシャが不要となるため製品コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図中の符号1は車体、2は車体1のルーフトップパネル、3はルーフトップパネル2の車幅方向の両側に前後方向へ延在し、車体1の側面部を形成するルーフサイドパネルである。尚、本実施形態では、ルーフトップパネル2とルーフサイドパネル3とを併せてルーフパネルと称している。
【0015】
ルーフトップパネル2とルーフサイドパネル3との側縁部にてモヒカン溝4(
図3参照)が形成されている。ルーフトップパネル2とルーフサイドパネル3との側縁部2a,3aはモヒカン溝4の底面で接合されている。
【0016】
より詳細には、ルーフトップパネル2の車幅方向の側縁部2aに、正面視でZ字状に折曲げられてモヒカン溝4の一方の側壁及び底面が形成されている。又、ルーフサイドパネル3の車幅方向の側縁部3aに、正面視で逆Z字状に折曲げられて、モヒカン溝4の他方の側壁及び底面が形成されている。そして、ルーフトップパネル2に形成された側縁部2aの底面2bとルーフサイドパネル3に形成された側縁部3aの底面3bとが重畳され、この重畳部分がスポット溶接等の溶接手段を用いて接合されて、モヒカン溝4が形成される。このモヒカン溝4はモール5が嵌め込まれて塞がれている。
【0017】
このモヒカン溝4にルーフレール11が固定される。ルーフレール11は予め一体化された状態で車体1に取付けられる。このルーフレール11は車体1の前後方向へ延在する中空断面のレール本体12を有する。このレール本体12はアルミ合金製の押出成形品である。
【0018】
ルーフレール11はラダータイプであり、レール本体12の前部及び後部と中間部とが、前レッグ部13F、後レッグ部13R、中間レッグ部13Cを介してルーフトップパネル2及びモヒカン溝4に支持されている。尚、図においては、左側のルーフレール11のみを示している。右側のルーフレールは左側のルーフレール11と対称な構造であるため、説明を省略する。又、本実施形態のレッグ部の構造は各レッグ部13F,13R,13Cに適用されるが、両レッグ部13F.13R,13Cの構成は、ほぼ同じである。そのため、以下においては、前レッグ部13Fの構成についてのみ説明し、後レッグ部13R、中間レッグ部13Cの構成についての説明は省略する。
【0019】
図2に示すように、この前レッグ部13Fは、プロテクタ14、レッグ15、及びレッグカバー16を有している。プロテクタ14は、熱可塑性エラストマや合成ゴム等の弾性材で形成されている。このプロテクタ14は車体1の前後方向へ延在する細長の舟形に形成されている。このプロテクタ14はルーフトップパネル2及びモール5上に設置される。又、このプロテクタ14の車幅方向外側の後部に、下方へ突出する取付部14aが形成されている。この取付部14aはモヒカン溝4に装着されるもので、対応する位置のモール5はカットされている。
【0020】
又、このプロテクタ14の周縁に、レッグカバー16の下端を嵌め込んで位置決めする、溝部14bが形成されている。更に、プロテクタ14の溝部14bの内周にフック部14cが所定間隔を開けて複数形成されている。このフック部14cは、後述するレッグ15の外周であってフック部14cに対応する位置に形成されたフック受け部15aに掛止される。レッグ15はフック受け部15aがフック部14cに掛止されて位置決めされる。
【0021】
又、このプロテクタ14の外周にスカート部14dが形成されている。このスカート部14dが、ルーフトップパネル2やモヒカン溝4のルーフサイドパネル3に設けた側壁に当接すると、ルーフトップパネル2や側壁の形状に沿って弾性変形し、密着される。尚、符号14eはボルト締結具を挿通する逃げ孔であり、所定間隔を開けて3箇所形成されている。
【0022】
更に、
図3に示すように、取付部14aの底部14fに、ワッシャ装着孔部14gが開口されている。このワッシャ装着孔部14gに、後述するワッシャ18が装着される。ワッシャ装着孔部14gは、取付部14aに対して車体1の前後方向に所定間隔を開けて2箇所開口されている。
【0023】
図3に示すように、底部14fの板厚はワッシャ18の板厚よりもやや厚く形成されている。又、底部14fの底面に各ワッシャ装着孔部14gを囲む底面シールリブとしての第1シールリブ14hが形成されている。更に、第1シールリブ14hの外周方向に、この第1シールリブ14hを囲む第2底面シールリブとしての第2シールリブ14iが形成されている。第1シールリブ14hの高さは第2シールリブ14iよりも低く形成されている。又、底部14fの上面に各ワッシャ装着孔部14gを囲む上面シールリブとしての第3シールリブ14jが形成されている。尚、第1~第3シールリブ14h~14Jが、本発明の止水部を構成している。
【0024】
レッグ15はナイロン樹脂等の合成樹脂材からなる成形品であり、ある程度の硬さを有している。このレッグ15の外周が、プロテクタ14に形成されている溝部14bの内周に沿って形成されている。このレッグ15の外縁がプロテクタ14に形成されたフック部14cに掛止されて位置決めされる(
図5参照)。
【0025】
このレッグ15に突部15bが形成されている。この突部15bはプロテクタ14に形成した取付部14aに装着される。この突部15bは下方に突出されている。この突部15bにインサートボルト17が一体形成されている。このインサートボルト17は、プロテクタ14に形成されているワッシャ装着孔部14gの中心と軸心が一致している。又、このインサートボルト17の首部にワッシャ18が予め取付けられている。このインサートボルト17はモヒカン溝4に穿設されているボルト挿通孔に挿通され、ナット19にてモヒカン溝4に締結される。その際、ワッシャ18の底面がモヒカン溝4の底部にメタルタッチされる。尚、インサートボルトボルト17とナット19とで、本発明の締結部が構成されている。
【0026】
又、突部15bの底面であって、インサートボルト17の周囲にリング状の溝部15cが形成されている。この溝部15cに第3シールリブ14jが装着される。溝部15cと第3シールリブ14jとは同一の半径であり、組み立てた際に同一の軸心となる。又、溝部15cの幅が第3シールリブ14jの幅よりも若干広く形成されている。更に、溝部15cの深さが第3シールリブ14jの高さよりも若干低く形成されている。
【0027】
又、
図4に示すように、このレッグ15の車幅方向のほぼ中央にボルト挿通凹部15dが形成されている。このボルト挿通凹部15dは、プロテクタ14に開口されている逃げ孔14eに対応する位置に、3箇所所定間隔を開けて設けられている。ボルト挿通凹部15dの上部にインサートスペーサ20が一体形成されている。インサートスペーサ20の端部がボルト挿通凹部15dの上端面に面一で開口されている。更に、このボルト挿通凹部15dの上端面に突部15eが形成されている。この突部15eはインサートスペーサ20の周囲に、インサートスペーサ20と同一軸心で形成されている。
【0028】
レッグカバー16はレッグ15を覆うように上方から装着され、外周がプロテクタ14に形成された溝部14bに装着される(
図3~
図5参照)。このレッグカバー16に、レッグ15の突部15eが装着される孔部16aが開口されている。
図4に示すように、この孔部16aの板厚は突部15eの高さと同一である。
【0029】
このレッグカバー16に装着凹部16bが形成されている。この装着凹部16bは略水平方向に開口されており、レール本体12の端部が装着され、ボルト22にて締結されている。又、レール本体12の底面であって、組み立てた際にインサートスペーサ20と同軸となる位置に、予めリベットナット(「ブラインドナット」とも云う)22が取付けられている。尚、図示しないがレール本体12の両端部の底面にもリベットナット21が取付けられており、装着凹部16b内でレッグ15側から挿通されたボルト22によりレッグカバー16と共締めされる。
【0030】
次に、このような構成によるルーフレール11の組立について説明する。
【0031】
ルーフレール11の組立に際しては、先ず、プロテクタ14の上面にレッグ15を装着する。そして、レッグ15の周囲に形成されているフック受け部15aがプロテクタ14の周囲に形成されているフック部14cに掛止されて位置決めされる。又、レッグ15の底面がプロテクタ14の上面に載置される。すると、インサートボルト17がプロテクタ14に穿設されているワッシャ装着孔部14gを貫通して下方へ突出される。又、レッグ15の底面であって、インサートボルト17の周囲に形成されているリング状の溝部15cが、プロテクタ14に形成されているリング状の第3シールリブ14jに装着されて、位置決めされる。このとき、溝部15cの深さが第3シールリブ14jの高さよりも低いため、第3シールリブ14jは、溝部15cの底面に接触される。尚、この状態では、インサートボルト17が、モヒカン溝4の底面2b,3bに未だボルト締めされていないため、第3シールリブ14jは弾性変形していない。
【0032】
次いで、プロテクタ14にレッグカバー16を装着して、レッグ15を覆う。そして、レッグカバー16の下端をプロテクタ14の外周に形成した溝部14bに嵌合させる(
図5参照)。又、レッグ15のボルト挿通凹部15dの上端に形成されている突部15eに、レッグカバー16に開口されている孔部16aを装着して位置決めし、前レッグ部13Fの組立が完了する。同様の手順で後レッグ部13R、中間レッグ部13Cの組立も行う。
【0033】
次に、組み立てられた各レッグ部13F,13R,13Cをレール本体12に取付ける。前レッグ部13Fは、レッグカバー16に開口されている装着凹部16bをレール本体12の先端部に装着する。次いで、プロテクタ14に穿設されている各逃げ孔14eからボルト22を各々挿通し、このボルト22をレッグ15のボルト挿通凹部15dの上面にインサートされているインサートスペーサ20に挿通する。そして、レール本体12の底面に取付けられているリベットナット21にボルト22を螺入し、前レッグ部13Fをレール本体12の前部に固定する。同様に、後レッグ部13R、中間レッグ部13Cをレール本体12に固定して、ルーフレール11の組立を完成する。
【0034】
次いで、このルーフレール11を車体1に取付ける。車体1に形成されているモヒカン溝4にはモール5が嵌め込まれている。プロテクタ14の下方へ突出された取付部14aはモヒカン溝4に装着されるが、この部位はモール5がカットされている。
図3に示すように、取付部14aをモヒカン溝4に装着し、取付部14aから下方へ突出するインサートボルト17を、モヒカン溝4に穿設されているボルト挿通孔(図示せず)に挿通する。
【0035】
次いで、モヒカン溝4から反対側へ突出しているインサートボルト17にナット19を螺入して締め付ける。これにより、インサートボルト17を介してレッグ15がナット19の方向へ引かれ、プロテクタ14に形成した取付部14aの底面がモヒカン溝4の底部に押し付けられる。
【0036】
すると、レッグ15がプロテクタ14を押圧し、プロテクタ14の外周に形成されているスカート部14dが、ルーフトップパネル2、モール5、ルーフサイドパネル3の表面形状に沿って弾性変形される。
【0037】
又、プロテクタ14の上面に形成されている第3シールリブ14jがレッグ15に形成されている溝部15cに押し当てられて弾性変形し、溝部15cを閉塞する。更に、取付部4aの底面に形成されている第2シールリブ14iがモヒカン溝4の底面に押し当てられて弾性変形して密着される。加えて、第2シールリブ14iの内周方向に形成されている第1シールリブ14hがモヒカン溝4の底面に押し当てられて弾性変形して密着される。
【0038】
その結果、レッグ15に形成した突部15bの底面とプロテクタ14に形成した取付部14aの底部14fとの間が、第3シールリブ14jの弾性変形により溝部15cを閉塞することで止水される。更に、モヒカン溝4の底面とプロテクタ14の底面との間が第1、第2シールリブ14h,14iの弾性変形により止水される。その結果、各シールリブ14h~14jの中心に開口するワッシャ装着孔部14g及びモヒカン溝4のボルト挿通孔への雨水の浸入が阻止される。
【0039】
その後、ナット19を更に締め付けて、インサートボルト17に対して更に軸力を加えると、プロテクタ14に形成されている取付部14aの底部14fがレッグ15とモヒカン溝4の底部とで挟圧されて弾性変形する。そして、インサートボルト17の首部に取付けられているワッシャ18の底面がモヒカン溝4にメタルタッチされ、ナット19の弛みが防止される。
【0040】
このように、本実施形態による車両用ルーフレール構造は、ルーフレール11をモヒカン溝4に取付けるボルト(インサートボルト)17をレッグ15にインサート成形した。このインサートボルト17の首部に、底面がモヒカン溝4にメタルタッチされるワッシャ18を取付けた。プロテクタ14に穿設されているワッシャ装着孔部14gの底面側の周囲に第1、第2シールリブ14h,14iを環状に形成した。プロテクタ14に穿設されているワッシャ装着孔部14gの上面の周囲に第3シールリブ14jを環状に形成した。レッグ15の底面には、第3シールリブ14jが装着される環状の溝部15cを形成した。
【0041】
モヒカン溝4に穿設されているボルト挿通孔にインサートボルト17を挿通し、このインサートボルト17をナット19で締め付けると、レッグ15がナット19の方向へ引き込まれる。そして、第1、第2シールリブ14h,14iがモヒカン溝4の底面に密着して、当該部位が止水される。又、第3シールリブ14jがレッグ15に形成した溝部15cに押圧されて、溝部15c内に密着して当該部位が止水される。
【0042】
本実施形態では、レッグ15とプロテクタ14とによる止水構造にて、ワッシャ装着孔部14g、及びモヒカン溝4のボルト挿通孔への雨水の浸入を阻止するようにしたので、従来のシールワッシャが不要となり、部品点数の削減を図ることができる。又、メタルタッチさせるワッシャは単品での使用が可能となり、その分、製品コストの低減を図ることができる。
【0043】
尚、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えば、モヒカン溝4のないルーフパネルでは、ルーフレール11をルーフトップパネル2に直接取付けるようにしても良い。又、ワッシャ18はプロテクタ14のワッシャ装着孔部14gに予め嵌合されていても良い。
【符号の説明】
【0044】
1…車体、
2…ルーフトップパネル、
2a…側縁部、
2b…底面、
3…ルーフサイドパネル、
3a…側縁部、
3b…底面、
4…モヒカン溝、
5…モール、
11…ルーフレール、
12…レール本体、
13C…中間レッグ部、
13F…前レッグ部、
13R…後レッグ部、
14…プロテクタ、
14a…取付部、
14b…溝部、
14c…フック部、
14d…スカート部、
14e…逃げ孔、
14f…底部、
14g…ワッシャ装着孔部、
14h…第1シールリブ、
14i…第2シールリブ、
14j…第3シールリブ、
15…レッグ、
15a…フック受け部、
15b…突部、
15c…溝部、
15d…ボルト挿通凹部、
15e…突部、
16…レッグカバー、
16a…孔部、
16b…装着凹部、
17…インサートボルト、
18…ワッシャ、
19…ナット、
20…インサートスペーサ、
21…リベットナット、
22…ボルト