(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107709
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】基板処理装置およびチャックピン
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240802BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 643A
H01L21/304 648A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011787
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 広
(72)【発明者】
【氏名】冠 拓冶
(72)【発明者】
【氏名】蒲 裕充
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 駿介
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA37
5F131CA06
5F131DA32
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB57
5F131DB76
5F131DB82
5F131EA24
5F131EB32
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5F131HA09
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5F131HA13
5F157AA15
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB47
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157BA07
5F157BB23
5F157BB44
5F157CF92
5F157DB37
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】把持部が設けられる箇所において基板処理が不十分になることを抑制する。
【解決手段】基板処理装置は、台座と、台座の上面の周縁部に配置され、かつ、基板を把持する複数のチャックピンとを備え、チャックピンが、基板の径方向外側かつ斜め下方に延びる上面傾斜面と、基板の径方向外側かつ斜め上方に延びる下面傾斜面と、上面傾斜面と下面傾斜面とを接続する溝部とを有し、上面傾斜面の少なくとも一部が基板の上面の周縁部に接触し、かつ、下面傾斜面の少なくとも一部が基板の下面の周縁部に接触することで、基板を水平姿勢に把持する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
台座と、
前記台座の上面の周縁部に配置され、かつ、基板を把持する複数のチャックピンとを備え、
前記チャックピンが、
前記基板の径方向外側かつ斜め下方に延びる上面傾斜面と、
前記基板の径方向外側かつ斜め上方に延びる下面傾斜面と、
前記上面傾斜面と前記下面傾斜面とを接続する溝部とを有し、
前記上面傾斜面の少なくとも一部が前記基板の上面の周縁部に接触し、かつ、前記下面傾斜面の少なくとも一部が前記基板の下面の周縁部に接触することで、前記基板を水平姿勢に把持する、
基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であり、
前記溝部が、前記上面傾斜面および前記下面傾斜面から前記基板の径方向外側へと陥没するように形成される、
基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置であり、
前記溝部の表面の少なくとも一部は、前記上面傾斜面と前記基板とが接触する部分において仮想的に設けられる前記基板の表面との接平面よりも前記基板の径方向において外側に形成され、かつ、
前記溝部の表面の少なくとも一部は、前記下面傾斜面と前記基板とが接触する部分において仮想的に設けられる前記基板の表面との接平面よりも前記基板の径方向において外側に形成される、
基板処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の基板処理装置であり、
前記基板の下面に不活性ガスを供給する供給部をさらに備える、
基板処理装置。
【請求項5】
台座の上面の周縁部に配置され、基板を把持する複数のチャックピンであり、
前記基板の径方向外側かつ斜め下方に延びる上面傾斜面と、
前記基板の径方向外側かつ斜め上方に延びる下面傾斜面と、
前記上面傾斜面と前記下面傾斜面とを接続する溝部とを有し、
前記上面傾斜面の少なくとも一部が前記基板の上面の周縁部に接触し、かつ、前記下面傾斜面の少なくとも一部が前記基板の下面の周縁部に接触することで、前記基板を水平姿勢に把持する、
チャックピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板処理技術に関するものである。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来の基板処理においては、保持ピンなどによってスピンチャックに保持された基板に対し、処理液が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように基板に対して処理液を供給することによって行われる基板処理では、保持ピン(チャックピン)が設けられる箇所では基板と保持ピンとが近接して配置されるため、当該箇所において処理液が基板に対して十分に供給されずに、基板処理が不十分になる場合がある。
【0005】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、チャックピンが設けられる箇所において基板処理が不十分になることを抑制するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である基板処理装置は、台座と、前記台座の上面の周縁部に配置され、かつ、基板を把持する複数のチャックピンとを備え、前記チャックピンが、前記基板の径方向外側かつ斜め下方に延びる上面傾斜面と、前記基板の径方向外側かつ斜め上方に延びる下面傾斜面と、前記上面傾斜面と前記下面傾斜面とを接続する溝部とを有し、前記上面傾斜面の少なくとも一部が前記基板の上面の周縁部に接触し、かつ、前記下面傾斜面の少なくとも一部が前記基板の下面の周縁部に接触することで、前記基板を水平姿勢に把持する。
本願明細書に開示される技術の第2の態様である基板処理装置は、第1の態様である基板処理装置に関連し、前記溝部が、前記上面傾斜面および前記下面傾斜面から前記基板の径方向外側へと陥没するように形成される。
本願明細書に開示される技術の第3の態様である基板処理装置は、第1または2の態様である基板処理装置に関連し、前記溝部の表面の少なくとも一部は、前記上面傾斜面と前記基板とが接触する部分において仮想的に設けられる前記基板の表面との接平面よりも前記基板の径方向において外側に形成され、かつ、前記溝部の表面の少なくとも一部は、前記下面傾斜面と前記基板とが接触する部分において仮想的に設けられる前記基板の表面との接平面よりも前記基板の径方向において外側に形成される。
本願明細書に開示される技術の第4の態様である基板処理装置は、第1から3のうちのいずれか1つの態様である基板処理装置に関連し、前記基板の下面に不活性ガスを供給する供給部をさらに備える。
本願明細書に開示される技術の第5の態様であるチャックピンは、台座の上面の周縁部に配置され、基板を把持する複数のチャックピンであり、前記基板の径方向外側かつ斜め下方に延びる上面傾斜面と、前記基板の径方向外側かつ斜め上方に延びる下面傾斜面と、前記上面傾斜面と前記下面傾斜面とを接続する溝部とを有し、前記上面傾斜面の少なくとも一部が前記基板の上面の周縁部に接触し、かつ、前記下面傾斜面の少なくとも一部が前記基板の下面の周縁部に接触することで、前記基板を水平姿勢に把持する。
【発明の効果】
【0007】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1、5の態様によれば、チャックピンが設けられる箇所において基板処理が不十分になることを抑制することができる。
【0008】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に関する基板処理装置の構成の例を示す平面図である。
【
図2】
図1に例が示された制御部の構成の例を概念的に示す図である。
【
図3】処理チャンバーの構成の例を示す断面図である。
【
図4】スピンチャックの構成の例を示す平面図である。
【
図5】可動ピンの近傍の構成の例を示す断面図である。
【
図7】
図6に示される基板の周縁部を把持する把持部の構成の例を示す断面図である。
【
図8】基板を把持する把持部の構成の変形例を示す断面図である。
【
図9】基板処理装置で実行される基板処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるために、それらのすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0011】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化などが図面においてなされる。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0012】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0013】
また、本願明細書に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0014】
また、本願明細書に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態の内容はこれらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0015】
また、本願明細書に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態が実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0016】
また、本願明細書に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「Aの上面に設けられるB」と記載される場合、AとBとの間に別の構成要素「C」が介在することを妨げるものではない。
【0017】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理装置について説明する。
【0018】
<基板処理装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理装置1の構成の例を示す平面図である。
【0019】
図1に例が示されるように、基板処理装置1は、半導体ウエハ(半導体基板)からなる円板状の基板Wを、処理液などで一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、複数のキャリアCを保持するロードポート400と、基板Wの姿勢を上下反転させる反転ユニット408と、基板Wを処理する複数の処理チャンバー4とを備える。
【0020】
反転ユニット408は、ロードポート400と処理チャンバー4との間で搬送される基板Wの搬送経路上に配置されている。
【0021】
また、基板処理装置1は、ロードポート400と反転ユニット408との間に配置されたインデクサロボット402と、反転ユニット408と処理チャンバー4との間に配置されたセンターロボット406と、基板処理装置1に備えられた装置の動作またはバルブの開閉を制御する制御部90とを備える。
【0022】
インデクサロボット402は、ロードポート400に保持されているキャリアCから反転ユニット408に基板Wを一枚ずつ搬送し、反転ユニット408からロードポート400に保持されているキャリアCに基板Wを一枚ずつ搬送する。
【0023】
同様に、センターロボット406は、反転ユニット408から処理チャンバー4に基板Wを一枚ずつ搬送し、処理チャンバー4から反転ユニット408に基板Wを一枚ずつ搬送する。また、センターロボット406は、複数の処理チャンバー4の間で基板Wを搬送する。
【0024】
キャリアCには、デバイス形成面である基板Wの表面Wa(後述の
図2など参照)が上に向けられた状態(上向き姿勢)で基板Wが収容されている。制御部90は、インデクサロボット402によって、表面Waが上向きの状態でキャリアCから反転ユニット408に基板Wを搬送させる。そして、制御部90は、反転ユニット408によって、基板Wを反転させる。これによって、基板Wの裏面Wb(後述の
図2など参照)が上に向けられる。
【0025】
その後、制御部90は、センターロボット406によって、裏面Wbが上向きの状態で反転ユニット408から処理チャンバー4に基板Wを搬送させる。そして、制御部90は、処理チャンバー4において基板Wの裏面Wbを処理させる。
【0026】
基板Wの裏面Wbが処理された後は、制御部90は、センターロボット406によって、裏面Wbが上向きの状態で処理チャンバー4から反転ユニット408に基板Wを搬送させる。そして、制御部90は、反転ユニット408によって基板Wを反転させる。これによって、基板Wの表面Waが上に向けられる。
【0027】
その後、制御部90は、インデクサロボット402によって、表面Waが上向きの状態で反転ユニット408からキャリアCに基板Wを搬送させる。これによって、処理済みの基板WがキャリアCに収容される。
【0028】
図2は、
図1に例が示された制御部90の構成の例を概念的に示す図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)91、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)92、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)93、記憶装置94、入力部96、表示部97および通信部98と、これらを相互に接続するバスライン95とを備える。
【0029】
ROM92は基本プログラムを格納している。RAM93は、CPU91が所定の処理を行う際の作業領域として用いられる。記憶装置94は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって構成されている。入力部96は、各種スイッチまたはタッチパネルなどによって構成されており、オペレータから処理レシピなどの入力設定指示を受ける。表示部97は、たとえば、液晶表示装置およびランプなどによって構成されており、CPU91の制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、local area network(LAN)などを介してのデータ通信機能を有する。
【0030】
記憶装置94には、
図1の基板処理装置1におけるそれぞれの構成の制御についての複数のモードがあらかじめ設定されている。CPU91が処理プログラム94Pを実行することによって、上記の複数のモードのうちの1つのモードが選択され、当該モードでそれぞれの構成が制御される。なお、処理プログラム94Pは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また、制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0031】
図3は、処理チャンバー4の構成の例を示す断面図である。
図3に例が示されるように、内部空間を有する箱形の処理チャンバー4は、内部で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック5と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面(裏面Wb)に向けて、薬液(処理液)の一例としてのフッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO
3)との混合液であるフッ硝酸を供給するための薬液供給ユニット7と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面にリンス液(処理液)としての水を供給するための水供給ユニット8と、基板Wの上面に接触して当該上面をスクラブ洗浄するための洗浄ブラシ10と、洗浄ブラシ10を駆動するための洗浄ブラシ駆動ユニット11と、スピンチャック5に保持されている基板Wの下面(表面Wa)に保護気体としての不活性ガスを供給するための保護気体供給ユニット12と、スピンチャック5を取り囲む筒状の処理カップ(図示しない)とを備える。
【0032】
図3に例が示されるように、スピンチャック5(台座)は、鉛直方向に沿う回転軸線A1のまわりに回転可能な回転台107を備えている。回転台107の回転中心の下面にボス109を介して回転軸108が結合されている。回転軸108は、たとえば、回転軸108を駆動軸とする電動モータからの駆動力を受けて、回転軸線A1まわりに回転する。
【0033】
図3に例が示されるように、スピンチャック5は、さらに、回転台107の上面の周縁部に周方向に沿ってほぼ等間隔を開けて設けられた複数本(本実施の形態では6本)の可動ピン110(チャックピン)を備えている。それぞれの可動ピン110は、ほぼ水平な上面を有する回転台107から一定の間隔を開けた上方の基板保持高さにおいて、基板Wを水平に把持するように構成されている。
【0034】
回転台107は、水平面に沿った円盤状に形成されていて、回転軸108に結合されたボス109に結合されている。
【0035】
図4は、スピンチャック5の構成の例を示す平面図である。
図4に例が示されるように、それぞれの可動ピン110は、回転台107の上面の周縁部に周方向に沿って等間隔に配置されている。6本の可動ピン110は、互いに隣り合わない3本の可動ピン110ごとに、対応する駆動用永久磁石156A、駆動用永久磁石156Bの磁極方向が共通する1つの群に設定されている。換言すると、6本の可動ピン110は、可動ピン群111に含まれる3本の可動ピン110と、可動ピン群112に含まれる3本の可動ピン110とを含む。
【0036】
図5は、可動ピン110の近傍の構成の例を示す断面図である。
図5に例が示されるように、それぞれの可動ピン110は、回転台107に結合された下軸部151と、下軸部151の上端に一体的に形成された把持部152とを備える。把持部152は、下軸部151の中心軸線から偏心して設けられている(軸線Bを参照)。
【0037】
図5に例が示されるように、それぞれの可動ピン110は、下軸部151がその中心軸線と同軸の回転軸線A3まわりに回転可能であるように回転台107に結合されている。より詳細には、下軸部151の下端部には、回転台107に対して軸受け154を介して支持された支持軸155が設けられている。支持軸155の下端には、駆動用永久磁石(駆動用永久磁石156Aまたは駆動用永久磁石156B)を保持する磁石保持部材157が結合されている。駆動用永久磁石156Aおよび駆動用永久磁石156Bは、たとえば、磁極方向を可動ピン110の回転軸線A3に対して直交する方向に向けて配置されている。
【0038】
回転台107には、可動ピン110の数と同数の閉塞永久磁石121および閉塞永久磁石122が設けられている。閉塞永久磁石121および閉塞永久磁石122は、可動ピン110に1対1対応で設けられており、対応する可動ピン110に隣接して配置されている。
【0039】
本実施の形態では、閉塞永久磁石121および閉塞永久磁石122は、対応する可動ピン110の周囲において、可動ピン110の平面視での中心位置よりも、回転軸線A1から離反する方向に寄って配置されている。それぞれの閉塞永久磁石121および閉塞永久磁石122は、対応する磁石保持部材157に隣接して設けられた磁石保持部材123に収容されている。
【0040】
閉塞永久磁石121は、駆動用永久磁石156Aに対応し、閉塞永久磁石122は、駆動用永久磁石156Bに対応している。閉塞永久磁石121および駆動用永久磁石156Aは、回転台107の周方向に関し交互に配置されている。
【0041】
前述のように、駆動用永久磁石156Aおよび駆動用永久磁石156Bは、回転軸線A3に直交する方向に関し互いに逆向きの等しい磁極方向を有するように設けられている。閉塞永久磁石121および閉塞永久磁石122は、対応する駆動用永久磁石156Aおよび駆動用永久磁石156Bに磁力を付与して、対応する可動ピン110の把持部152を保持位置に付勢するために設けられている。したがって、閉塞永久磁石121および閉塞永久磁石122も、回転軸線A3に直交する方向に関し互いに逆向きの等しい磁極方向を有するように設けられている。
【0042】
駆動用永久磁石156Aは、閉塞永久磁石121からの吸引磁力を受け、把持部152を回転軸線A1に近づいた保持位置へと移動させている。つまり、可動ピン群111に含まれる可動ピン110の把持部152は、閉塞永久磁石121の吸引磁力により保持位置へと付勢されている。
【0043】
駆動用永久磁石156Bは、閉塞永久磁石122からの吸引磁力を受け、把持部152を回転軸線A1に近づいた保持位置へと移動させている。つまり、可動ピン群112に含まれる可動ピン110の把持部152は、閉塞永久磁石122の吸引磁力により保持位置へと付勢されている。
【0044】
したがって、駆動用永久磁石156Aおよび駆動用永久磁石156Bが次に述べる開放永久磁石125および開放永久磁石127からの吸引磁力を受けないときには、回転軸線A1から離れた保持位置に可動ピン110が位置している。
【0045】
図3に例が示されるように、回転台107の下方には、開放永久磁石125および開放永久磁石127が設けられている。開放永久磁石125および開放永久磁石127の磁極方向は、ともに上下方向に沿う方向であるが互いに逆向きである。開放永久磁石125の上面がたとえば、N極である場合には、開放永久磁石127の上面は逆極性のS極を有している。
【0046】
本実施の形態では、開放永久磁石125および開放永久磁石127はそれぞれ3つずつ(可動ピン群111および可動ピン群112に含まれる可動ピン110の数と同数)設けられている。3つの駆動用永久磁石156Aおよび3つの駆動用永久磁石156Aは、平面視で、回転台107の周方向に関し交互に配置されている。
【0047】
3つの開放永久磁石125は、回転軸線A1を中心とする円弧状を成し、互いに共通の高さ位置で、回転台107の周方向に間隔を空けて配置されている。3つの開放永久磁石125は、互いに等しい諸元を有しており、回転軸線A1と同軸の円周上において周方向に等間隔を空けて配置されている。それぞれの開放永久磁石125は、回転軸線A1に直交する平面(水平面)に沿って配置されている。
【0048】
開放永久磁石125は、回転軸線A1と同軸の円環状に形成されていて、回転軸線A1に直交する平面(水平面)に沿って配置されている。
【0049】
開放永久磁石125には、当該複数の開放永久磁石125を一括して昇降させる昇降ユニット126が連結されている。昇降ユニット126は、たとえば、上下方向に伸縮可能に設けられたシリンダを含む構成であり、当該シリンダによって支持されている。また、昇降ユニット126が、電動モータを用いて構成されていてもよい。また、昇降ユニット126は開放永久磁石125を個別に昇降させるようにしてもよい。
【0050】
開放永久磁石125は、駆動用永久磁石156Aとの間に吸引磁力を発生させ、当該吸引磁力によって、可動ピン群111に含まれる可動ピン110の把持部152を、開放位置へと付勢するための磁石である。開放永久磁石125が、磁極が駆動用永久磁石156Aに対して上下方向に接近する上位置に配置され、かつ、開放永久磁石125が駆動用永久磁石156Aに横方向に対向する状態では、開放永久磁石125と駆動用永久磁石156Aとの間に磁力(吸引磁力)が作用する。
【0051】
3つの開放永久磁石127は、回転軸線A1を中心とする円弧状をなし、互いに共通の高さ位置で、回転台107の周方向に間隔を空けて配置されている。3つの開放永久磁石127は、互いに等しい諸元を有しており、回転軸線A1と同軸の円周上において周方向に等間隔を空けて配置されている。それぞれの開放永久磁石127は、回転軸線A1に直交する平面(水平面)に沿って配置されている。
【0052】
開放永久磁石127には、当該複数の開放永久磁石127を一括して昇降させる昇降ユニット128が連結されている。昇降ユニット128は、たとえば、上下方向に伸縮可能に設けられたシリンダを含む構成であり、当該シリンダによって支持されている。また、昇降ユニット128が、電動モータを用いて構成されていてもよい。また、昇降ユニット128は開放永久磁石127を個別に昇降させるようにしてもよい。
【0053】
開放永久磁石127は、駆動用永久磁石156Bとの間に吸引磁力を発生させ、当該吸引磁力によって、可動ピン群112に含まれる可動ピン110の把持部152を、開放位置へと付勢するための磁石である。開放永久磁石127が、磁極が駆動用永久磁石156Bに対して上下方向に接近する上位置に配置され、かつ、開放永久磁石127が駆動用永久磁石156Bに横方向に対向する状態では、開放永久磁石127と駆動用永久磁石156Bとの間に磁力(吸引磁力)が作用する。
【0054】
開放永久磁石125および開放永久磁石127をそれぞれ昇降ユニット126および昇降ユニット128を用いて昇降させる。そのため、開放永久磁石125および開放永久磁石127を互いに独立して行うことができる。
【0055】
図3に例が示されるように、スピンチャック5は、さらに、回転台107の上面と可動ピン110による基板保持高さとの間に配置された保護ディスク115を備えている。保護ディスク115は、回転台107に対して上下動可能に結合されており、回転台107の上面に近い下位置と、当該下位置よりも上方において可動ピン110に保持された基板Wの下面に微小間隔を開けて接近した接近位置との間で移動可能である。
【0056】
保護ディスク115は、基板Wよりも僅かに大径の大きさを有する円盤状の部材であって、可動ピン110に対応する位置には当該可動ピン110を回避するための切り欠き116が形成されている。
【0057】
回転軸108は、中空軸であって、その内部に、不活性ガス供給管170が挿通されている。不活性ガス供給管170の下端には不活性ガス供給源からの、保護気体の一例としての不活性ガスを導く不活性ガス供給路172が結合されている。不活性ガス供給路172に導かれる不活性ガスとして、CDA(低湿度の清浄空気)または窒素ガスなどの不活性ガスを例示することができる。不活性ガス供給路172の途中には、不活性ガスバルブ173および不活性ガス流量調整バルブ174が介装されている。不活性ガスバルブ173は、不活性ガス供給路172を開閉する。不活性ガスバルブ173を開くことによって、不活性ガス供給管170へと不活性ガスが送り込まれる。この不活性ガスは、後述する構成によって、保護ディスク115と基板Wの下面との間の空間に供給される。このように、不活性ガス供給管170、不活性ガス供給路172および不活性ガスバルブ173などによって、前述の保護気体供給ユニット12が構成されている。
【0058】
保護ディスク115の上面の周縁部は、円環状の円環カバー191によって保護されている。
【0059】
図3に例が示されるように、薬液供給ユニット13は、薬液を把持された状態の基板Wの上面に向けて吐出する薬液ノズル6と、薬液ノズル6が先端部に取り付けられたノズルアーム21と、ノズルアーム21を移動させることによって、薬液ノズル6を移動させるノズル移動ユニット22とを備える。
【0060】
薬液ノズル6は、たとえば、連続流の状態で薬液を吐出するストレートノズルであり、たとえば、基板Wの上面に垂直な方向に薬液を吐出する垂直姿勢でノズルアーム21に取り付けられている。ノズルアーム21は水平方向に延びており、スピンチャック5の周囲で鉛直方向に延びる所定の揺動軸線(図示しない)まわりに旋回可能に設けられている。
【0061】
薬液供給ユニット13は、薬液ノズル6に薬液を案内する薬液配管14と、薬液配管14を開閉する薬液バルブ15とを備える。薬液バルブ15が開かれると、薬液供給源からの薬液が、薬液配管14から薬液ノズル6に供給される。これによって、薬液が、薬液ノズル6から吐出される。
【0062】
ノズル移動ユニット22は、揺動軸線まわりにノズルアーム21を旋回させることによって、平面視で基板Wの上面中央部を通る軌跡に沿って薬液ノズル6を水平に移動させる。ノズル移動ユニット22は、薬液ノズル6から吐出された薬液が基板Wの上面に着液する処理位置と、薬液ノズル6が平面視でスピンチャック5の周囲に設定されたホーム位置との間で、薬液ノズル6を水平に移動させる。さらに、ノズル移動ユニット22は、薬液ノズル6から吐出された薬液が基板Wの上面中央部に着液する中央位置と、薬液ノズル6から吐出された薬液が基板Wの上面周縁部に着液する周縁位置との間で、薬液ノズル6を水平に移動させる。中央位置および周縁位置は、いずれも処理位置である。
【0063】
なお、薬液ノズル6は、吐出口が基板Wの上面の所定位置(たとえば、中央部)に向けて固定的に配置された固定ノズルであってもよい。
【0064】
図3に例が示されるように、水供給ユニット8は水ノズル41を備える。水ノズル41は、たとえば、連続流の状態で液を吐出するストレートノズルであり、スピンチャック5の上方で、その吐出口を把持された状態の基板Wの上面の中央部に向けて固定的に配置されている。水ノズル41には、水供給源からの水が供給される水配管42が接続されている。水配管42の途中部には、水ノズル41からの水の供給/供給停止を切り替えるための水バルブ43が介装されている。水バルブ43が開かれると、水配管42から水ノズル41に供給された連続流の水が、水ノズル41の下端に設定された吐出口から吐出される。また、水バルブ43が閉じられると、水配管42から水ノズル41への水の供給が停止される。水は、たとえば、脱イオン水(DIW)である。DIWに限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水および希釈濃度(たとえば、10ppm以上、かつ、100ppm以下程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0065】
なお、水ノズル41は、それぞれ、スピンチャック5に対して固定的に配置されている必要はなく、たとえば、スピンチャック5の上方において水平面内で揺動可能なアームに取り付けられて、このアームの揺動により基板Wの上面における水の着液位置がスキャンされる、いわゆるスキャンノズルの形態が採用されてもよい。
【0066】
洗浄ブラシ10は、たとえば、PVA(ポリビニルアルコール)からなるスポンジ状のスクラブ部材であり、円柱状をなしている。洗浄ブラシ10は、その下面に、平坦状の洗浄面10aを有している。洗浄面10aが、基板Wの上面と接触する接触面として機能する。
【0067】
洗浄ブラシ駆動ユニット11は、洗浄ブラシ10を先端部に保持する揺動アーム47と、揺動アーム47を駆動するためのアーム駆動ユニット48とを含む。アーム駆動ユニット48は、揺動アーム47を、鉛直方向に延びる揺動軸線A2回りに揺動させたり、揺動アーム47を上下動させたりすることができるように構成されている。この構成によって、基板Wがスピンチャック5に保持されて回転しているときに、洗浄ブラシ10を、基板Wの上方の位置と、スピンチャック5の側方に設定されたホーム位置との間で水平に移動させることができる。
【0068】
さらに、洗浄ブラシ10の洗浄面10aを基板Wの上面(裏面Wb)に押し付け、洗浄ブラシ10の押付け位置を、基板Wの中央部と、基板Wの周縁部との間で基板Wの半径方向に移動(スキャン)させることもできる。
【0069】
このスクラブ洗浄の際に、水ノズル41から水(たとえば、純水(deionized water:脱イオン水))が供給されることによって、基板Wの裏面Wbの異物が取れやすくなり、また、洗浄ブラシ10によって擦り落とされた異物を基板W外へと排出することができる。
【0070】
<把持部の構成について>
図6は、基板Wの周縁部の構成の例を示す図である。
図6に例が示されるように、基板Wの周縁部は、水平で平坦な環状の上面である上面平坦部500と、上面平坦部500の外端から斜め下に外方に延びる環状の上面傾斜部502と、水平で平坦な環状の下面である下面平坦部504と、下面平坦部504の外端から斜め上に外方に延びる環状の下面傾斜部506と、上面傾斜部502の外端および下面傾斜部506の外端に連続する環状の先端508とを含む。
【0071】
図7は、
図6に示される基板Wの周縁部を把持する把持部152の構成の例を示す断面図である。
図7に例が示されるように、把持部152は、基板Wの周縁部における上面傾斜部502および下面傾斜部506に接触して、基板Wを把持する。なお、把持部152は、1つの下軸部151に対して1つが設けられる場合に限られず、1つの下軸部151に対して複数の把持部152が設けられる場合であってもよい。
【0072】
把持部152は、基板Wの上面傾斜部502に接触する上面接触部152Aと、基板Wの下面傾斜部506に接触する下面接触部152Bと、上面接触部152Aと下面接触部152Bとを接続する溝部152Cとを備える。
図7においては、上面接触部152Aと下面接触部152Bと溝部152Cとが一体的に形成されているが、これらが分離可能に組み立てられていてもよい。
【0073】
上面接触部152Aは、接触箇所X1において基板Wの上面傾斜部502に接触する。下面接触部152Bは、接触箇所X2において基板Wの下面傾斜部506に接触する。上面接触部152Aは、溝部152Cの中心線CLからの開き角がR2である上面傾斜面252Aを備える。上面傾斜面252Aは、基板Wの径方向外側に向かって斜め下方に延びて形成される。接触箇所X1は、上面傾斜面252Aの端部に相当する。同様に、下面接触部152Bは、溝部152Cの中心線CLからの開き角がR2である下面傾斜面252Bを備える。下面傾斜面252Bは、基板Wの径方向外側に向かって斜め上方に延びて形成される。接触箇所X2は、下面傾斜面252Bの端部に相当する。基板Wに対し、上面傾斜面252Aの一部および下面傾斜面252Bの一部がそれぞれ基板Wの周縁部に接触することによって、基板Wが水平姿勢で把持される。
【0074】
溝部152Cは、基板Wの先端508から離間する内側面252Cを備える。すなわち、内側面252Cは、上面傾斜面252Aおよび下面傾斜面252Bから基板Wの径方向外側へと陥没している。内側面252Cの、中心線CLからの開き角はR1である。
図7の断面において、内側面252Cは曲面形状であるが、内側面252Cが中心線CL上に角を有する平面形状などであってもよい。
【0075】
図7において、R2は、R1よりも大きい角度である。
図7の断面において、上面傾斜面252Aおよび下面傾斜面252Bは凹凸がない平面形状であるが、上面傾斜面252Aおよび下面傾斜面252Bが曲面形状であってもよい。
【0076】
ここで、接触箇所X1における上面傾斜部502の接平面Y1(
図7では、上面傾斜面252Aに沿う平面)と、接触箇所X2における下面傾斜部506の接平面Y2(
図7では、下面傾斜面252Bに沿う平面)とで規定される、基板Wを含む領域(基板Wの先端508の径方向外側の、接平面Y1と接平面Y2とに囲まれる空間を含む)を基板領域Yとする。そうすると、溝部152Cの内側面252Cは、基板領域Yの外側(基板Wの径方向外側)に位置していることが分かる。すなわち、溝部152Cの表面の少なくとも一部は、上面傾斜面252Aと基板Wとが接触する接触箇所X1において仮想的に設けられる基板Wの表面との接平面Y1よりも基板Wの径方向において外側に形成される。また、溝部152Cの表面の少なくとも一部は、下面傾斜面252Bと基板Wとが接触する接触箇所X2において仮想的に設けられる基板Wの表面との接平面Y2よりも基板Wの径方向において外側に形成される。
【0077】
内側面252Cが基板領域Yの外側に位置することによって、内側面252Cと基板Wの先端508との間に十分な空間が形成される。よって、当該空間に処理液が流れ込みやすくなる。
【0078】
発明者らは、従来の可動ピンと、本実施の形態で示された可動ピン110とで、基板Wに形成された膜(酸化膜)のウェットエッチング処理における当該膜の残存について比較を行った。なお、従来の可動ピンでは、可動ピン110における溝部152Cの内側面252Cに相当する内側面が、上面傾斜面252Aおよび下面傾斜面252Bが延長された面となっており、基板Wの先端508と対向する内側面との間の空間が、本実施の形態における可動ピン110よりも狭くなっている。
【0079】
上記の比較の結果、内側面252Cと対向する部分の基板Wの周縁部において、本実施の形態における可動ピン110では十分に膜が除去されていたのに対して、従来の可動ピンでは膜が残存していた。すなわち、本実施の形態に示された可動ピン110によれば、内側面252Cと対向する部分の基板Wの周縁部において、処理液が十分に流れ込まないことに起因する膜の残存を抑制することができる。
【0080】
本実施の形態に示されるような、基板Wの表面Waに形成されたデバイス構造を保護するために基板Wの下面から不活性ガスが吹き付けられつつ行われる基板Wの上面の液処理では、可動ピン110に供給される処理液は基板Wの上面からのものに限定されてしまう。そのため、このような液処理の場合には特に、本実施の形態で示される可動ピン110のように、内側面252Cと対向する部分の基板Wの周縁部に処理液を流れ込ませて、膜の残存を抑制することが有効である。
【0081】
ここで、上記の接平面Y1(または接平面Y2)は、曲面である上面傾斜部502(または下面傾斜部506)の接平面として定義されたが、たとえば、接触箇所X1(または接触箇所X2)における基板Wの形状が平面である場合には、当該平面に沿う面を接平面Y1(または接平面Y2)として定義してもよい。
【0082】
図8は、基板Wを把持する把持部の構成の変形例を示す断面図である。
【0083】
図8に示されるように、把持部352は、基板Wの周縁部における上面傾斜部502および下面傾斜部506に接触して、基板Wを把持する。
【0084】
把持部352は、基板Wの上面傾斜部502に接触する上面接触部352Aと、基板Wの下面傾斜部506に接触する下面接触部352Bと、上面接触部352Aと下面接触部352Bとを接続する溝部352Cとを備える。
図8においては、上面接触部352Aと下面接触部352Bと溝部352Cとが一体的に形成されているが、これらが分離可能に組み立てられていてもよい。
【0085】
上面接触部352Aは、接触箇所X3において基板Wの上面傾斜部502に接触する。下面接触部352Bは、接触箇所X4において基板Wの下面傾斜部506に接触する。上面接触部352Aは、溝部352Cの中心線CLからの開き角がR2である上面傾斜面452Aを備える。上面傾斜面452Aは、基板Wの径方向外側に向かって斜め下方に延びて形成される。接触箇所X3は、上面傾斜面452A内の箇所である。同様に、下面接触部352Bは、溝部352Cの中心線CLからの開き角がR2である下面傾斜面452Bを備える。下面傾斜面452Bは、基板Wの径方向外側に向かって斜め上方に延びて形成される。接触箇所X4は、下面傾斜面452B内の箇所である。
【0086】
溝部352Cは、基板Wの先端508から離間する内側面452Cを備える。すなわち、内側面452Cは、上面傾斜面452Aおよび下面傾斜面452Bから基板Wの径方向外側へと陥没している。内側面452Cの、中心線CLからの開き角はR3である。
図8の断面において、内側面452Cは曲面形状であるが、内側面452Cが中心線CL上に角を有する平面形状などであってもよい。
【0087】
図8において、R2は、R3よりも大きい角度である。
図8の断面において、上面傾斜面452Aおよび下面傾斜面452Bは凹凸がない平面形状であるが、上面傾斜面452Aおよび下面傾斜面452Bが曲面形状であってもよい。
【0088】
ここで、接触箇所X3における上面傾斜部502の接平面Y1(
図8では、上面傾斜面452Aに沿う平面)と、接触箇所X4における下面傾斜部506の接平面Y2(
図8では、下面傾斜面452Bに沿う平面)とで規定される、基板Wを含む領域(基板Wの先端508の径方向外側の、接平面Y1と接平面Y2とに囲まれる空間を含む)を基板領域Yとする。そうすると、溝部352Cの内側面452Cは、基板領域Yの外側(基板Wの径方向外側)に位置していることが分かる。すなわち、溝部352Cの表面の少なくとも一部は、上面傾斜面452Aと基板Wとが接触する接触箇所X3において仮想的に設けられる基板Wの表面との接平面Y1よりも基板Wの径方向において外側に形成される。また、溝部352Cの表面の少なくとも一部は、下面傾斜面452Bと基板Wとが接触する接触箇所X4において仮想的に設けられる基板Wの表面との接平面Y2よりも基板Wの径方向において外側に形成される。
【0089】
内側面452Cが基板領域Yの外側に位置することによって、内側面452Cと基板Wの先端508との間に十分な空間が形成される。よって、当該空間に処理液が流れ込みやすくなる。
【0090】
ここで、上記の接平面Y1(または接平面Y2)は、曲面である上面傾斜部502(または下面傾斜部506)の接平面として定義されたが、たとえば、接触箇所X3(または接触箇所X4)における基板Wの形状が平面である場合には、当該平面に沿う面を接平面Y1(または接平面Y2)として定義してもよい。
【0091】
<基板処理装置の動作について>
図9は、基板処理装置1で実行される基板処理の例を示すフローチャートである。
【0092】
まず、制御部90は、インデクサロボット402によって、キャリアCから反転ユニット408に表面Waが上向きの状態で基板Wを搬送させる。そして、制御部90は、搬送されてきた基板Wを、反転ユニット408によって反転させる(ステップS1)。これによって、基板Wの裏面Wbが上に向けられる。
【0093】
その後、制御部90は、センターロボット406のハンドによって、反転ユニット408から基板Wを取り出し、その裏面Wbを上方に向けた状態で処理チャンバー4内に搬入させる(ステップS2)。
【0094】
基板Wの搬入に先立って、薬液ノズル6は、スピンチャック5の側方に設定されたホーム位置に退避させられている。また、洗浄ブラシ10も、スピンチャック5の側方に設定されたホーム位置に退避させられている。それぞれの開放永久磁石125とそれぞれの駆動用永久磁石156Aとの角度位置が互いに対向し、かつ、それぞれの開放永久磁石127と、それぞれの駆動用永久磁石156Bとの角度位置が互いに対向する対向状態となるように、回転台107の回転方向姿勢が決められている。また、開放永久磁石125および開放永久磁石127はともに上位置に配置されている。
【0095】
この状態では、可動ピン群111に含まれる3本の可動ピン110、および、可動ピン群112に含まれる3本の可動ピン110のいずれも、すなわち、6本の可動ピン110のすべてが開放位置に配置されている。
【0096】
また、保護ディスク115は回転台107の上面に近接した下位置に位置している。よって、可動ピン110による基板保持高さと保護ディスク115の上面との間には、センターロボット406のハンドが入り込むことができる十分な空間が確保されている。
【0097】
センターロボット406のハンドは、可動ピン110の上端よりも高い位置で基板Wを保持した状態で当該基板Wをスピンチャック5の上方まで搬送する。その後、センターロボット406のハンドは、回転台107の上面に向かって下降する。
【0098】
次いで、制御部90は、昇降ユニット126および昇降ユニット128を制御して、開放永久磁石125および開放永久磁石127を下位置に向けて下降させ、下位置のまま保持する(ステップS3)。それによって、すべての可動ピン110が開放位置から保持位置へと駆動されて、その保持位置に保持される。よって、6本の可動ピン110によって基板Wが把持される。
【0099】
その後、センターロボット406のハンドは、可動ピン110の間を通ってスピンチャック5の側方へと退避していく。
【0100】
また、制御部90は、保護ディスク115を回転台107の上面から基板Wに向かって浮上させる。そして、開放永久磁石125が上位置に達すると、保護ディスク115が基板Wの表面Wa(下面)に微小間隔を開けて接近した接近位置に達する。これによって、保護ディスク115は、接近位置に保持されることになる。
【0101】
この状態で、制御部90は不活性ガスバルブ173を開き、不活性ガスの供給を開始する(ステップS4)。供給された不活性ガスは、不活性ガス供給管170の上端から吐出され、接近位置にある保護ディスク115と基板Wの表面Wa(下面)との間の狭空間に向かって、回転軸線A1を中心とした放射状に吹き出される。
【0102】
その後、制御部90の制御によって、回転台107の回転を開始し、これによって、基板Wを回転軸線A1まわりに回転させる(ステップS5)。基板Wの回転速度は、あらかじめ定められる液処理速度(たとえば、300rpm以上、かつ、1500rpm以下の範囲内で、たとえば、500rpm)まで上昇させられ、その液処理速度に維持される。
【0103】
基板Wの回転速度が液処理速度に達した後、制御部90は、薬液を基板Wの裏面Wbに供給する薬液供給工程(ステップS6)を行う。薬液供給工程(ステップS6)では、制御部90は、ノズル移動ユニット22を制御することによって、薬液ノズル6をホーム位置から中央位置に移動させる。これによって、薬液ノズル6が基板Wの中央部の上方に配置される。薬液ノズル6が基板Wの上方に配置された後、制御部90は、薬液バルブ15を開くことによって、薬液ノズル6の吐出口から薬液が吐出され、基板Wの裏面Wbの中央部に着液する。基板Wの裏面Wbの中央部に供給された薬液は、基板Wの回転による遠心力を受けて、基板Wの裏面Wbを周縁部に向けて放射状に広がる。そのため、基板Wの裏面Wbの全域に薬液が行き渡らせることができる。
【0104】
薬液供給工程(ステップS6)では、薬液に含まれるフッ酸の酸化膜エッチング作用によって、基板Wの裏面Wbに形成されている傷(欠け、凹みなど)が除去され、また、基板Wの裏面Wbから異物(パーティクル、不純物、当該基板Wの裏面Wbの剥れなど)も除去される。
【0105】
薬液供給工程(ステップS6)において、不活性ガス供給管170の上端から吐出された不活性ガスは、接近位置にある保護ディスク115と基板Wの表面Wa(下面)との間の狭空間に向かって、回転軸線A1を中心とした放射状に吹き出される。
【0106】
薬液供給工程(ステップS6)では、基板Wがそれぞれの可動ピン110によって把持されている。ここで、
図7(または
図8)に示されたように、可動ピン110の把持部152(または把持部352)の溝部152C(または溝部352C)の内側面252C(または内側面452C)が、基板領域Yの外側に位置しているため、薬液が基板Wの先端508と内側面252C(または内側面452C)との間の空間にも十分に流れ込む。よって、基板Wの、把持部152(または把持部352)によって把持されている箇所も適切に薬液処理が行われ、当該箇所に除去されなかった膜が残存するなどの不具合を抑制することができる。
【0107】
また、薬液供給工程(ステップS6)では、当該工程の実行中に、基板Wを3本の可動ピン110で支持する。さらに、可動ピン群111に含まれる3本の可動ピン110によって基板Wを接触支持している状態と、可動ピン群112に含まれる3本の可動ピン110によって基板Wを接触支持している状態とを切り替える。
【0108】
具体的には、薬液の吐出開始から所定の期間が経過すると、制御部90は、昇降ユニット126を制御して、それまで下位置にあった開放永久磁石125を上位置に向けて上昇させ、当該上位置に保持する。これによって、開放永久磁石125を上位置に配置し、かつ、開放永久磁石127を下位置に配置した状態となり、可動ピン群111に含まれる3本の可動ピン110がそれまでの保持位置から開放位置に配置される。これによって、可動ピン群112に含まれる3本の可動ピン110によって基板Wが接触支持されている状態になる。
【0109】
開放永久磁石125の上昇から所定の期間(たとえば、10秒間)が経過すると、制御部90は、昇降ユニット126を制御して、開放永久磁石125を下位置に向けて下降させ、当該下位置に保持する。これによって、開放永久磁石125および開放永久磁石127をともに下位置に配置した状態となり、可動ピン群111に含まれる3本の可動ピン110が開放位置へと復帰し、これによって、再び、合計6本の可動ピン110によって基板Wが接触支持されている状態になる。
【0110】
開放永久磁石125の下降から所定の期間(たとえば、3秒間)が経過すると、制御部90は、昇降ユニット128を制御して、それまで下位置にあった開放永久磁石127を上位置に向けて上昇させ、当該上位置に保持する。これによって、開放永久磁石127を上位置に配置し、かつ、開放永久磁石125を下位置に配置した状態となり、可動ピン群112に含まれる3本の可動ピン110がそれまでの保持位置から開放位置に配置される。これによって、可動ピン群111に含まれる3本の可動ピン110によって基板Wが接触支持されている状態になる。
【0111】
開放永久磁石127の上昇から所定の期間(たとえば、10秒間)が経過すると、制御部90は、昇降ユニット128を制御して、開放永久磁石127を下位置に向けて下降させ、当該下位置に保持する。これによって、開放永久磁石125および開放永久磁石127をともに下位置に配置した状態となり、可動ピン群112に含まれる3本の可動ピン110が開放位置へと復帰し、これによって、再び、合計6本の可動ピン110によって基板Wが接触支持されている状態になる。
【0112】
薬液の吐出開始から所定の期間が経過すると、薬液供給工程(ステップS6)が終了する。具体的には、制御部90は、薬液バルブ15を閉じて、薬液ノズル6からの薬液の吐出を停止させる。また、制御部90は、薬液ノズル6を中央位置からホーム位置に移動させる。これによって、薬液ノズル6が基板Wの上方から退避させられる。
【0113】
薬液供給工程(ステップS6)の終了に引き続いて、リンス液である水が基板Wの裏面Wbに供給開始される(ステップS7)。
【0114】
具体的には、制御部90は、水バルブ43を開いて、基板Wの裏面Wbの中央部に向けて水ノズル41から水を吐出させる。水ノズル41から吐出された水は、薬液によって覆われている基板Wの裏面Wbの中央部に着液する。基板Wの裏面Wbの中央部に着液した水は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの裏面Wb上を基板Wの周縁部に向けて流れ、基板Wの裏面Wbの全域へと広がる。そのため、基板W上の薬液が、水によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。これによって、基板Wの裏面Wbに付着した薬液が水に置換される。
【0115】
リンス工程(ステップS7)では、基板Wがそれぞれの可動ピン110によって把持されている。ここで、
図7(または
図8)に示されたように、可動ピン110の把持部152(または把持部352)の溝部152C(または溝部352C)の内側面252C(または内側面452C)が、基板領域Yの外側に位置しているため、リンス液が基板Wの先端508と内側面252C(または内側面452C)との間の空間にも十分に流れ込む。よって、基板Wの、把持部152(または把持部352)によって把持されている箇所も適切にリンス処理が行われ、当該箇所に薬液が残存するなどの不具合を抑制することができる。
【0116】
また、リンス工程(ステップS7)では、当該工程の実行中に、基板Wを3本の可動ピン110で支持する。さらに、可動ピン群111に含まれる3本の可動ピン110によって基板Wを接触支持している状態と、可動ピン群112に含まれる3本の可動ピン110によって基板Wを接触支持している状態とを切り替える。
【0117】
具体的には、水の吐出開始から所定の期間が経過すると、制御部90は、昇降ユニット126を制御して、それまで下位置にあった開放永久磁石125を上位置に向けて上昇させ、当該上位置に保持する。これによって、可動ピン群112に含まれる3本の可動ピン110によって基板Wが接触支持されている状態になる。
【0118】
開放永久磁石125の上昇から所定の期間(たとえば、10秒間)が経過すると、制御部90は、昇降ユニット126を制御して、開放永久磁石125を下位置に向けて下降させ、当該下位置に保持する。これによって、再び、合計6本の可動ピン110によって基板Wが接触支持されている状態になる。
【0119】
開放永久磁石125の下降から所定の期間(たとえば、3秒間)が経過すると、制御部90は、昇降ユニット128を制御して、それまで下位置にあった開放永久磁石127を上位置に向けて上昇させ、当該上位置に保持する。これによって、可動ピン群111に含まれる3本の可動ピン110によって基板Wが接触支持されている状態になる。
【0120】
開放永久磁石127の上昇から所定の期間(たとえば、10秒間)が経過すると、制御部90は、昇降ユニット128を制御して、開放永久磁石127を下位置に向けて下降させ、当該下位置に保持する。これによって、再び、合計6本の可動ピン110によって基板Wが接触支持されている状態になる。
【0121】
水の吐出開始から、所定の期間が経過すると、制御部90は、アーム駆動ユニット48を制御して、洗浄ブラシ10による基板Wの裏面Wbのスクラブ洗浄を実行する(ステップS8)。これによって、基板Wの裏面Wbに対して、水を供給しながら洗浄ブラシ10によるスクラブ洗浄が行われる。
【0122】
具体的には、制御部90は、アーム駆動ユニット48を制御して、揺動アーム47を揺動軸線A2周りに揺動させて、洗浄ブラシ10をホーム位置から基板Wの上方へ配置させるとともに、洗浄ブラシ10を降下させて、洗浄ブラシ10の洗浄面10aを基板Wの裏面Wbに押し付ける。そして、制御部90は、アーム駆動ユニット48を制御して、洗浄ブラシ10の押付け位置を、基板Wの中央部と、基板Wの周縁部との間で移動(スキャン)させる。これによって、洗浄ブラシ10の押付け位置が基板Wの裏面Wbの全域を走査し、基板Wの裏面Wbの全域が洗浄ブラシ10によりスクラブされる。
【0123】
ブラシ洗浄工程(ステップS8)では、薬液供給工程(ステップS6)で剥離された異物が、洗浄ブラシ10によるスクラブにより掻き取られる。そして、洗浄ブラシ10により掻き取られた異物は、水により洗い流される。これによって、剥離された異物を基板Wの裏面Wbから除去することができる。
【0124】
洗浄ブラシ10の往動があらかじめ定める回数(たとえば、4回)行われた後、制御部90は、アーム駆動ユニット48を制御して、洗浄ブラシ10をスピンチャック5の上方からホーム位置に戻す。これによって、ブラシ洗浄工程(ステップS8)は終了する。
【0125】
また、制御部90は、水バルブ43を開いたままの状態に維持する。これによって、リンス液である水が基板Wの裏面Wbに供給され、洗浄ブラシ10により掻き取られた異物が基板W外に排出される(ステップS9)。
【0126】
水の供給開始から所定の期間が経過すると、制御部90は、水バルブ43を閉じて、水ノズル41からの水の吐出を停止させる。また、制御部90は、不活性ガスバルブ173を閉じて、不活性ガス供給管170からの不活性ガスの吐出を停止させる。また、制御部90は、昇降ユニット126を制御して、開放永久磁石125を下位置まで下降させる。これ以降は、基板Wは6本の可動ピン110によって挟持され、これにより基板Wが強固に保持される。
【0127】
次に、基板Wを乾燥させるスピンドライ工程(ステップS10)が行われる。具体的には、制御部90は、スピンチャック5を制御することによって、薬液供給工程(ステップS6)からリンス工程(ステップS9)までの回転速度よりも大きい乾燥回転速度(たとえば、数千rpm)まで基板Wを加速させ、乾燥回転速度で基板Wを回転させる。これによって、大きな遠心力が基板W上の液体に加わり、基板Wに付着している液体が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから液体が除去され、基板Wが乾燥する。
【0128】
このとき、基板Wは6本の可動ピン110で把持されているので、基板Wを強固に保持しながら高速回転させることができる。
【0129】
そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定の期間が経過すると、制御部90は、スピンチャック5を制御することによって、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させる(ステップS11)。
【0130】
その後、制御部90の制御によって、保護ディスク115は、回転台107の上面に向かって降下する。これによって、保護ディスク115の上面と基板Wの表面Wa(下面)との間には、センターロボット406のハンドを進入させることができるだけの空間が確保される。
【0131】
また、制御部90は、昇降ユニット126および昇降ユニット128を制御して、開放永久磁石125および開放永久磁石127をそれぞれ上位置へと上昇させ、上位置で保持させる。これによって、6本の可動ピン110のすべてが開放位置に配置され、これによって、基板Wの把持が解除される。
【0132】
次に、処理チャンバー4内から基板Wが搬出される(ステップS13)。具体的には、制御部90は、すべてのノズルなどがスピンチャック5の上方から退避している状態で、センターロボット406を制御し、ハンドを保護ディスク115と基板Wの表面Wa(下面)との間に確保された空間に進入させる。そして、ハンドは、可動ピン110に保持されている基板Wをすくい取り、その後に、スピンチャック5の側方へと退避する。これによって、洗浄処理済みの基板Wが処理チャンバー4から搬出される。
【0133】
制御部90は、センターロボット406のハンドによって、洗浄処理済みの基板Wを反転ユニット408に搬送させる。そして、制御部90は、搬送されてきた基板Wを、反転ユニット408によって反転させる(ステップS14)。これによって、基板Wの表面Waが上に向けられる。
【0134】
その後、制御部90は、インデクサロボット402のハンドによって、反転ユニット408から基板Wを取り出し、洗浄処理済みの基板Wを、その表面Waを上に向けた状態でキャリアCに収容する。洗浄処理済みの基板Wが収容されたキャリアCは、基板処理装置1から、露光装置などの後処理装置に向けて搬送される。
【0135】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではない。
【0136】
したがって、例が示されていない無数の変形例と均等物とが、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0137】
また、以上に記載された少なくとも1つの実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【符号の説明】
【0138】
1 基板処理装置
152C 溝部
252A 上面傾斜面
252B 下面傾斜面
352C 溝部
452A 上面傾斜面
452B 下面傾斜面
W 基板
Y1 接平面
Y2 接平面