(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107710
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】可塑化装置、射出成形装置、および三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/46 20060101AFI20240802BHJP
B29C 45/20 20060101ALI20240802BHJP
B29C 48/47 20190101ALI20240802BHJP
【FI】
B29C45/46
B29C45/20
B29C48/47
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011788
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】梶原 あさみ
(72)【発明者】
【氏名】丸山 英伸
(72)【発明者】
【氏名】姉川 賢太
【テーマコード(参考)】
4F206
4F207
【Fターム(参考)】
4F206AA45
4F206AC01
4F206AJ08
4F206AR07
4F206AR12
4F206JA07
4F206JD01
4F206JD05
4F206JL02
4F206JM01
4F206JN03
4F206JQ14
4F206JQ42
4F206JQ51
4F206JQ72
4F207AA45
4F207AC01
4F207AJ08
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK34
(57)【要約】
【課題】安定して材料を可塑化できる可塑化装置を提供する。
【解決手段】螺旋状の溝が形成された溝形成面を有し、モーターによって回転軸を中心に回転するフラットスクリューと、回転軸方向において前記溝形成面に対向する対向面を有するバレルと、前記溝形成面と前記対向面との間に供給された前記材料を加熱するヒーターと、前記フラットスクリューを収容し、前記溝に前記材料を供給する供給口が形成されたスクリューケースと、を含み、前記フラットスクリューは、前記供給口からの前記材料を前記溝に導入する導入口が一部に形成された第1側面と、前記第1側面よりも前記バレルから離れる側に設けられた第2側面と、を有し、前記第1側面と前記スクリューケースとの間の最短距離である第1距離は、前記第2側面と前記スクリューケースとの間の最短距離である第2距離よりも大きく、前記第2側面には、凹部が形成されている、可塑化装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターと、
螺旋状の溝が形成された溝形成面を有し、前記モーターによって回転軸を中心に回転するフラットスクリューと、
前記回転軸方向において前記溝形成面に対向する対向面を有し、材料が可塑化した可塑化材料が流入する連通孔が形成されたバレルと、
前記溝形成面と前記対向面との間に供給された前記材料を加熱するヒーターと、
前記フラットスクリューを収容し、前記溝に前記材料を供給する供給口が形成されたスクリューケースと、
を含み、
前記フラットスクリューは、
前記供給口からの前記材料を前記溝に導入する導入口が一部に形成された第1側面と、
前記第1側面よりも前記バレルから離れる側に設けられた第2側面と、
を有し、
前記第1側面と前記スクリューケースとの間の最短距離である第1距離は、前記第2側面と前記スクリューケースとの間の最短距離である第2距離よりも大きく、
前記第2側面には、凹部が形成されている、可塑化装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記材料は、エラストマーを含み、
前記材料の形状は、ペレット状であり、
前記第1距離は、前記材料の最大の長さよりも大きく、
前記第2距離は、前記材料の最大の長さよりも小さい、可塑化装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記回転軸方向と直交する方向からみて、前記第2側面の前記バレル側の端は、前記供給口の輪郭の外側に位置し、
前記回転軸方向における、前記端と前記供給口の輪郭との間の最短距離である第3距離は、前記第2距離よりも小さい、可塑化装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記凹部は、前記フラットスクリューの外周に沿って、間隔を空けて複数形成されている、可塑化装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記凹部の前記バレルとは反対側の第1端は、前記凹部の前記第2側面における前記バレル側の第2端よりも、前記フラットスクリューの回転方向の前方に位置している、可塑化装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記フラットスクリューは、前記第1側面と前記第2側面とを接続する接続面を有し、
前記接続面は、前記第2側面に対して、直交または鋭角で傾斜している、可塑化装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記接続面には、窪み部が形成されている、可塑化装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記第1側面は、前記バレルに向かうにつれて、前記第1側面と前記スクリューケースとの間の距離が大きくなるように傾斜している、可塑化装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の可塑化装置と、
成形型に前記可塑化材料を射出するノズルと、
を含む、射出成形装置。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の可塑化装置と、
ステージに向けて前記可塑化材料を吐出するノズルと、
を含む、三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可塑化装置、射出成形装置、および三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可塑化装置によって可塑化された材料を、キャビティーに向けて射出し、硬化させることによって成形品を成形する射出成形装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、材料流入通路が一端面に開口するバレルと、バレルの一端面に対して摺接する端面を有するローターと、ローターの端面に形成され、バレルの材料流入通路の開口端に連通する螺旋溝と、を具えた可塑化送出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなローターを具えた可塑化送出装置で材料を可塑化する場合、材料が、ローターの側面と、ローターを収容するケースと、の隙間に入り込み摺り潰れることによって、ローターの回転が阻害され、安定した可塑化ができない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る可塑化装置の一態様は、
モーターと、
螺旋状の溝が形成された溝形成面を有し、前記モーターによって回転軸を中心に回転するフラットスクリューと、
前記回転軸方向において前記溝形成面に対向する対向面を有し、材料が可塑化した可塑化材料が流入する連通孔が形成されたバレルと、
前記溝形成面と前記対向面との間に供給された前記材料を加熱するヒーターと、
前記フラットスクリューを収容し、前記溝に前記材料を供給する供給口が形成されたスクリューケースと、
を含み、
前記フラットスクリューは、
前記供給口からの前記材料を前記溝に導入する導入口が一部に形成された第1側面と、
前記第1側面よりも前記バレルから離れる側に設けられた第2側面と、
を有し、
前記第1側面と前記スクリューケースとの間の最短距離である第1距離は、前記第2側面と前記スクリューケースとの間の最短距離である第2距離よりも大きく、
前記第2側面には、凹部が形成されている。
【0007】
本発明に係る射出成形装置の一態様は、
前記可塑化装置の一態様と、
成形型に前記可塑化材料を射出するノズルと、
を含む、射出成形装置。
【0008】
本発明に係る三次元造形装置の一態様は、
前記可塑化装置の一態様と、
ステージに向けて前記可塑化材料を吐出するノズルと、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る射出成形装置を模式的に示す側面図。
【
図2】本実施形態に係る射出成形装置を模式的に示す断面図。
【
図3】本実施形態に係る射出成形装置のフラットスクリューを模式的に示す斜視図。
【
図4】本実施形態に係る射出成形装置のバレルを模式的に示す図。
【
図5】本実施形態に係る射出成形装置を模式的に示す断面図。
【
図6】本実施形態に係る射出成形装置を模式的に示す断面図。
【
図7】本実施形態に係る射出成形装置のフラットスクリューを模式的に示す図。
【
図8】本実施形態に係る射出成形装置のフラットスクリューを模式的に示す斜視図。
【
図9】本実施形態の第1変形例に係る射出成形装置のフラットスクリューを模式的に示す斜視図。
【
図10】本実施形態の第1変形例に係る射出成形装置のフラットスクリューを模式的に示す斜視図。
【
図11】本実施形態の第2変形例に係る射出成形装置を模式的に示す断面図。
【
図12】本実施形態の第2変形例に係る射出成形装置を模式的に示す断面図。
【
図13】本実施形態の第2変形例に係る射出成形装置を模式的に示す断面図。
【
図14】本実施形態に係る三次元造形装置を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1. 射出成形装置
1.1. 全体の構成
まず、本実施形態に係る射出成形装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る射出成形装置100を模式的に示す側面図である。なお、
図1では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を示している。X軸方向およびY軸方向は、例えば、水平方向である。Z軸方向は、例えば、鉛直方向である。
【0012】
射出成形装置100は、
図1に示すように、例えば、材料供給部10と、射出部20と、型部30と、型締部40と、制御部50と、を含む。
【0013】
材料供給部10は、射出部20に原料となる材料を供給する。材料供給部10は、ホッパーによって構成されていてもよい。材料供給部10から供給される材料の形状は、例えば、ペレット状、粉末状である。
【0014】
材料供給部10から供給される材料は、エラストマーを含む。材料供給部10から供給される材料は、例えば、エラストマーである。エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン系(TPS)、オレフィン/アルケン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリウレタン系(TPU)、ポリエステル系(TPEE)、ポリアミド系(TPAE)が挙げられる。
【0015】
射出部20は、材料供給部10から供給された材料を可塑化して、可塑化材料にする。
射出部20は、可塑化材料を型部30に向けて射出する。
【0016】
なお、可塑化とは、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。
【0017】
型部30には、成形品の形状に相当するキャビティーが形成される。射出部20から射出された可塑化材料は、キャビティーに流れ込む。そして、可塑化材料が冷却されて固化され、成形品が生成される。
【0018】
型締部40は、型部30の開閉を行う。型締部40は、可塑化材料が冷却されて固化された後に、型部30を開く。これにより、成形品が外部に排出される。
【0019】
制御部50は、例えば、プロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースと、を有するコンピューターによって構成されている。制御部50は、例えば、主記憶装置に読み込んだプログラムをプロセッサーが実行することによって、種々の機能を発揮する。具体的には、制御部50は、射出部20および型締部40を制御する。なお、制御部50は、コンピューターではなく、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。
【0020】
1.2. 具体的な構成
図2は、射出成形装置100を模式的に示す
図1のII-II線断面図である。射出部20は、
図2に示すように、例えば、可塑化装置60と、射出機構70と、ノズル80と、を含む。
【0021】
可塑化装置60は、材料供給部10から供給された材料を可塑化し、流動性を有するペースト状の可塑化材料を生成して射出機構70へと導くように構成されている。可塑化装置60は、例えば、スクリューケース62と、駆動モーター64と、フラットスクリュー110と、バレル120と、ヒーター130と、を含む。
【0022】
スクリューケース62は、フラットスクリュー110を収容する筐体である。スクリューケース62とバレル120とによって囲まれた空間に、フラットスクリュー110が収容されている。なお、便宜上、
図2では、フラットスクリュー110を簡略化して図示している。
【0023】
駆動モーター64は、スクリューケース62に接続されている。駆動モーター64は、フラットスクリュー110を回転させる。駆動モーター64は、例えば、サーボモーターである。駆動モーター64のシャフト66は、フラットスクリュー110に接続されている。駆動モーター64は、制御部50によって制御される。
【0024】
フラットスクリュー110は、回転軸R方向の大きさが、回転軸R方向と直交する方向の大きさよりも小さい略円柱形状を有している。図示の例では、回転軸Rは、Y軸と平行である。駆動モーター64が発生させるトルクによって、フラットスクリュー110は、回転軸Rを中心に回転する。フラットスクリュー110は、駆動モーター64側のモーター面111と、モーター面111とは反対側の溝形成面112と、溝形成面112に接続された側面113と、を有している。ここで、
図3は、フラットスクリュー110を模式的に示す斜視図である。
【0025】
フラットスクリュー110の溝形成面112には、
図3に示すように、第1溝114が
形成されている。第1溝114の形状は、螺旋状である。第1溝114は、例えば、中央部115と、接続部116と、導入口117と、を有している。中央部115は、バレル120に形成された連通孔126と対向している。中央部115は、連通孔126と連通している。中央部115には、可塑化材料を連通孔126に効率よく送るための凸部115aが設けられている。接続部116は、中央部115と導入口117とを接続している。図示の例では、接続部116は、中央部115から溝形成面112の外周に向かって渦状に形成されている。導入口117は、溝形成面112の外周に形成されている。すなわち、導入口117は、フラットスクリュー110の側面113に形成されている。材料供給部10から供給された材料は、導入口117から第1溝114に導入され、接続部116および中央部115を通って、バレル120に形成された連通孔126に搬送される。図示の例では、第1溝114は、2つ形成されている。
【0026】
なお、第1溝114の数は、特に限定されない。図示はしないが、第1溝114は、3つ以上形成されていてもよいし、1つだけ形成されていてもよい。フラットスクリュー110の詳細については、後述する。
【0027】
バレル120は、
図2に示すように、フラットスクリュー110に対向して設けられている。バレル120は、フラットスクリュー110の溝形成面112に対向する対向面122を有している。対向面122は、Y軸方向において、溝形成面112と対向している。対向面122の中心には、連通孔126が形成されている。ここで、
図4は、バレル120を模式的に示す図である。
【0028】
バレル120の対向面122には、
図4に示すように、第2溝124と、連通孔126と、が形成されている。第2溝124は、複数形成されている。図示の例では、6つの第2溝124が形成されているが、その数は、特に限定されない。複数の第2溝124は、Y軸方向からみて、連通孔126の周りに形成されている。第2溝124は、一端が連通孔126に接続され、連通孔126から対向面122の外周に向かって渦状に延びている。第2溝124は、可塑化材料を連通孔126に導く機能を有している。連通孔126には、可塑化材料が流入する。連通孔126は、流入した可塑化材料を、バレル120の外部に流出させる。
【0029】
なお、第2溝124の形状は、特に限定されず、例えば、直線状であってもよい。また、第2溝124の一端は、連通孔126に接続されていなくてもよい。さらに、第2溝124は、対向面122に形成されていなくてもよい。ただし、連通孔126に可塑化材料を効率よく導くことを考慮すると、第2溝124は、対向面122に形成されていることが好ましい。
【0030】
ヒーター130は、
図2に示すように、バレル120に設けられている。なお、ヒーター130は、バレル120の下方に設けられていてもよい。ヒーター130は、フラットスクリュー110とバレル120との間に供給された材料を加熱する。ヒーター130は、第1溝114に供給された材料を加熱する。ヒーター130は、制御部50によって制御される。可塑化装置60は、フラットスクリュー110、バレル120、およびヒーター130によって、材料を連通孔126に向かって搬送しながら加熱して可塑化材料を生成し、生成された可塑化材料を、連通孔126から射出機構70へと流出させる。
【0031】
射出機構70は、例えば、シリンダー72と、プランジャー74と、プランジャー駆動部76と、を有している。シリンダー72は、連通孔126に接続された略円筒状の部材である。プランジャー74は、シリンダー72の内部を移動する。プランジャー74は、モーターやギア等によって構成されたプランジャー駆動部76によって駆動される。プランジャー駆動部76は、制御部50によって制御される。なお、シリンダー72は、連通
孔126よりも下流の流路に接続されていてもよい。
【0032】
射出機構70は、プランジャー74をシリンダー72内で摺動させることによって、計量操作および射出操作を実行する。計量操作とは、連通孔126から離れる-X軸方向にプランジャー74を移動させることによって、連通孔126に位置する可塑化材料をシリンダー72内へと導いて、シリンダー72内において計量する操作を指す。射出操作とは、連通孔126へ近付く+X軸方向にプランジャー74を移動させることによって、シリンダー72内の可塑化材料を、ノズル80を介して型部30に射出する操作を指す。
【0033】
ノズル80には、連通孔126と連通しているノズル孔82が形成されている。ノズル80は、型部30の成形型32に、可塑化装置60から供給された可塑化材料を、射出する。具体的には、上述した計量操作および射出操作が実行されることによって、シリンダー72内で計量された可塑化材料が、射出機構70から連通孔126を介してノズル孔82へと送られる。そして、可塑化材料は、ノズル孔82から型部30へと射出される。
【0034】
型部30は、成形型32を有している。ノズル孔82に送られた可塑化材料は、ノズル孔82から成形型32のキャビティー34に射出される。具体的には、成形型32は、互いに対向する可動型36および固定型38を有し、可動型36と固定型38との間にキャビティー34を有している。キャビティー34は、成形品の形状に相当する空間である。可動型36および固定型38の材質は、金属である。なお、可動型36および固定型38の材質は、セラミック、樹脂であってもよい。
【0035】
型締部40は、例えば、型駆動部42と、ボールねじ部44と、を有している。型駆動部42は、例えば、モーター、ギアなどによって構成されている。型駆動部42は、ボールねじ部44を介して可動型36に接続されている。型駆動部42は、制御部50によって制御される。ボールねじ部44は、型駆動部42の駆動による動力を可動型36に伝達する。型締部40は、型駆動部42およびボールねじ部44によって可動型36を移動させることによって、型部30の開閉を行う。
【0036】
1.3. フラットスクリュー
図5は、射出成形装置100のフラットスクリュー110近傍を模式的に示す断面図である。
【0037】
フラットスクリュー110の側面113は、
図5に示すように、第1側面140と、第2側面142と、接続面144と、を有している。
【0038】
第1側面140は、第2側面142よりも、バレル120側に設けられている。図示の例では、第1側面140は、第2側面142よりも、+Y軸方向に設けられている。第1側面140は、例えば、Y軸と平行である。第1側面140は、溝形成面112に接続されている。第1側面140には、
図3に示すように、材料を第1溝114に導入する導入口117が一部に形成されている。
【0039】
第2側面142は、
図5に示すように、第1側面140よりも、バレル120から離れる側に設けられている。図示の例では、第2側面142は、第1側面140よりも、-Y軸方向に設けられている。第2側面142は、例えば、Y軸と平行である。
【0040】
第2側面142のY軸方向の大きさは、第1側面140のY軸方向の大きさよりも小さい。第1側面140とスクリューケース62との間の最短距離である第1距離D1は、第2側面142とスクリューケース62との間の最短距離である第2距離D2よりも大きい。第2側面142は、第1側面140よりも外側に突出している。第2側面142とスク
リューケース62との間には、空隙が形成されている。材料の形状がペレット状である場合、第1距離D1は、材料の最大の長さよりも大きく、第2距離D2は、材料の最大の長さよりも小さい。図示の例では、第1距離D1および第2距離D2は、X軸方向における距離である。
【0041】
接続面144は、第1側面140と第2側面142とを接続している。図示の例では、接続面144は、第1側面140および第2側面142と直交している。接続面144は、例えば、X軸と平行である。
【0042】
接続面144および側面140,142によって、フラットスクリュー110の側面113には、段差部146が形成されている。第2側面142のY軸方向の大きさは、例えば、2mm以上10mm以下である。第2側面142のY軸方向の大きさが2mm以上であれば、段差部146の強度を確保できる。第2側面142のY軸方向の大きさが10mm以下であれば、フラットスクリュー110の小型化を図ることができる。
【0043】
なお、図示はしないが、フラットスクリュー110の側面113には、段差部146が形成されておらず、スクリューケース62の内側面に段差部を形成することによって、第1距離D1を第2距離D2よりも大きくしてもよい。または、フラットスクリュー110の側面113と、スクリューケース62の内側面と、の両方に段差部を形成して、第1距離D1を第2距離D2よりも大きくしてもよい。
【0044】
フラットスクリュー110を収容するスクリューケース62には、第1溝114の導入口117に材料を供給する供給口63が形成されている。供給口63は、スクリューケース62の第1側面140と対向する位置に、形成されている。導入口117は、供給口63からの材料を第1溝114に導入する。供給口63と第1側面140との間の最短距離は、第2距離D2よりも大きい。
【0045】
ここで、
図6は、スクリューケース62を模式的に示す
図5のVI-VI線断面図である。供給口63は、Z軸方向からみて、
図6に示すように、Y軸方向の大きさがX軸方向の大きさよりも大きい長穴形状を有している。そのため、供給口63から、材料を第1溝114に流入させ易い。図示の例では、供給口63と、スクリューケース62の+Y軸方向側の端と、の間の最短距離L1は、供給口63と、スクリューケース62の-Y軸方向側の端と、の間の最短距離L2よりも小さい。
【0046】
フラットスクリュー110の回転軸R方向と直交する方向からみて、
図5に示すように、第2側面142のバレル120側の端143は、供給口63の輪郭の外側に位置している。第2側面142の端143は、X軸方向からみて、供給口63と重ならない。X軸方向からみて、Y軸方向における、第2側面142の端143と、供給口63の輪郭と、の間の最短距離である第3距離D3は、例えば、第2距離D2よりも小さい。
【0047】
フラットスクリュー110の第2側面142には、
図3に示すように、凹部150が形成されている。ここで、
図7は、フラットスクリュー110を模式的に示す図であって、Y軸方向からみた図である。
図8は、フラットスクリュー110を模式的に示す斜視図である。
【0048】
凹部150は、
図3および
図8に示すように、第2側面142および接続面144に形成されている。凹部150は、例えば、第2側面142および接続面144に形成された切り欠きである。凹部150は、例えば、第2側面142および接続面144が互いに接続されることによって構成される角を、切り欠くことによって形成される。
【0049】
凹部150は、例えば、第1端151と、第2端152と、第3端153と、第4端154と、を有している。第1端151は、凹部150のバレル120とは反対側の端である。第1端151は、第2側面142に位置している。第2端152および第3端153は、凹部150の第2側面142におけるバレル120側の端である。第2端152および第3端153は、第2側面142の接続面144との境界に位置している。第2端152は、フラットスクリュー110の回転方向Aとは反対側の端である。第1端151は、第2端152よりも回転方向Aの前方に位置している。第3端153は、フラットスクリュー110の回転方向Aの端である。第1端151は、第3端153よりも回転方向Aの後方に位置している。第4端154は、凹部150のバレル120側の端である。第4端154は、接続面144に位置している。
【0050】
凹部150の外縁155は、例えば、第1曲線156と、第2曲線157と、で構成されている。第1曲線156は、第2側面142と凹部150の底面とで形成される角で構成されている。第2曲線157は、接続面144と凹部150の底面とで形成される角で構成されている。
【0051】
凹部150の外縁155を構成する第1曲線156および第2曲線157は、第2端152で互いに接続されている。さらに、第1曲線156および第2曲線157は、第3端153で互いに接続されている。
図8に示すように、第1曲線156と第2曲線157との間の距離Tは、第1端151および第4端154において最大となる。距離Tは、第1端151から第2端152に向かうにつれて漸減する。さらに、距離Tは、第1端151から第3端153に向かうにつれて漸減する。なお、図示はしないが、外縁155は、複数の直線で構成されていてもよい。
【0052】
凹部150は、
図3および
図7に示すように、複数形成されている。
図7に示す例では、凹部150は、8つ形成されている。複数の凹部150は、間隔を空けて、フラットスクリュー110の外周に沿って形成されている。フラットスクリュー110の外周は、第2側面142によって規定されている。複数の凹部150は、例えば、等間隔で形成されている。図示の例では、フラットスクリュー110の回転方向Aは、反時計回りである。
【0053】
1.4. 作用効果
可塑化装置60では、回転軸R方向と直交する方向からみて、フラットスクリュー110は、供給口63からの材料を第1溝114に導入する導入口117が一部に形成された第1側面140と、第1側面140よりもバレル120から離れる側に設けられた第2側面142と、を有する。第1側面140とスクリューケース62との間の最短距離である第1距離D1は、第2側面142とスクリューケース62との間の最短距離である第2距離D2よりも大きい。第2側面142には、凹部150が形成されている。
【0054】
そのため、可塑化装置60では、第2側面142とスクリューケース62との隙間に材料が入り込んだとしても、凹部150の外縁155をなす角によって、隙間に入り込んだ材料を掻き出すことができる。これにより、隙間に入り込んだ材料によってフラットスクリュー110の回転が阻害されることを抑制できる。したがって、安定して材料を可塑化できる。隙間に入り込んだ材料が駆動モーター側に侵入すると、フラットスクリューの回転が阻害される場合がある。
【0055】
可塑化装置60では、材料は、エラストマーを含み、材料の形状は、ペレット状であり、第1距離D1は、材料の最大の長さよりも大きく、第2距離D2は、材料の最大の長さよりも小さい。そのため、可塑化装置60では、第2距離D2が材料の最大の長さよりも大きい場合に比べて、第2側面142とスクリューケース62との隙間に材料が入り込み難い。エラストマーは、小さいヤング率および大きい破壊ひずみを有し、隙間に入り易い
。
【0056】
可塑化装置60では、回転軸R方向と直交する方向からみて、第2側面142のバレル120側の端143は、供給口63の輪郭の外側に位置し、回転軸R方向における、端143と供給口63の輪郭との間の最短距離である第3距離D3は、第2距離D2よりも小さい。そのため、可塑化装置60では、第2側面のバレル側の端が供給口の輪郭の内側に位置する場合に比べて、第2側面142と供給口63との間の距離を大きくすることができる。これにより、第2側面142とスクリューケース62との隙間に材料が入り込み難い。さらに、第3距離D3が第2距離D2よりも大きい場合に比べて、供給口63の径を大きくすることができる。これにより、供給口63における材料の詰まりを抑制できる。
【0057】
可塑化装置60では、凹部150は、フラットスクリュー110の外周に沿って、間隔を空けて複数形成されている。そのため、可塑化装置60では、第2側面142とスクリューケース62との隙間に材料が入り込んだとしても、隙間に入り込んだ材料を、より掻き出すことができる。
【0058】
可塑化装置60では、凹部150のバレル120とは反対側の第1端151は、凹部150の第2側面142におけるバレル120側の第2端152よりも、フラットスクリュー110の回転方向Aの前方に位置している。そのため、可塑化装置60では、第2側面142とスクリューケース62との隙間に材料が入り込んだとしても、凹部150の外縁155のうちの第1端151と第2端152とを結ぶ部分によって、隙間に入り込んだ材料を、フラットスクリュー110にともなって徐々に削ぎ落とすことができる。これにより、フラットスクリュー110の回転を阻害することなく、隙間に入り込んだ材料を、掻き出すことができる。
【0059】
可塑化装置60では、フラットスクリュー110は、第1側面140と第2側面142とを接続する接続面144を有し、接続面144は、第2側面142に対して、直交している。そのため、可塑化装置60では、接続面が第2側面に対して鈍角で傾斜している場合に比べて、第2側面142とスクリューケース62との隙間に材料が入り込み難い。
【0060】
2. 射出成形装置の変形例
2.1. 第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係る射出成形装置について、図面を参照しながら説明する。
図9は、本実施形態の第1変形例に係る射出成形装置200のフラットスクリュー110を模式的に示す斜視図である。
【0061】
以下、本実施形態の第1変形例に係る射出成形装置200において、上述した本実施形態に係る射出成形装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、後述する第2変形例に係る射出成形装置おいて、同様である。
【0062】
上述した射出成形装置100では、フラットスクリュー110に形成された凹部150は、
図3に示すように、第2側面142および接続面144に形成された切り欠きであった。
【0063】
これに対し、射出成形装置200では、フラットスクリュー110に形成された凹部150は、
図9に示すように、第1側面140および第2側面142に形成された溝である。凹部150は、フラットスクリュー110のモーター面111から溝形成面112まで形成されていてもよい。凹部150は、モーター面111から溝形成面112まで渦状に形成されていてもよい。凹部150のバレル120側とは反対側の第1端151は、凹部
150のバレル120側の第4端154よりも、フラットスクリュー110の回転方向Aの前方に位置している。
【0064】
なお、
図10に示すように、フラットスクリュー110には、凹部150として、第2側面142および接続面144に形成された切り欠きと、第1側面140および第2側面142に形成された溝と、の両方が形成されていてもよい。これにより、凹部150としての切り欠きと溝との両方で、隙間に入り込んだ材料を、掻き出すことができる。
【0065】
2.2. 第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る射出成形装置について、図面を参照しながら説明する。
図11は、本実施形態の第2変形例に係る射出成形装置300のフラットスクリュー110を模式的に示す断面図である。
【0066】
上述した射出成形装置100では、
図5に示すように、接続面144は、平坦な面であった。
【0067】
これに対し、射出成形装置300では、
図11に示すように、接続面144に窪み部145が形成されている。
【0068】
窪み部145は、例えば、フラットスクリュー110の外周に沿って形成されている。Y軸方向からみて、窪み部145は、例えば、溝形成面112を囲んでいる。図示の例では、第1側面140は、窪み部145の内面と連続している。
【0069】
第1側面140は、
図12に示すように、バレル120に向かうにつれて、第1側面140とスクリューケース62との間の距離Sが大きくなるように傾斜していてもよい。距離Sは、バレル120に向かうにつれて、漸増していてもよい。なお、図示はしないが、窪み部145が接続面144に形成されておらず、距離Sがバレル120に向かうにつれて漸増していてもよい。
【0070】
接続面144は、
図13に示すように、第2側面142に対して、鋭角で傾斜していてもよい。すなわち、接続面144は、第2側面142に対して、傾斜角θで傾斜し、傾斜角θは、鋭角であってもよい。なお、図示はしないが、窪み部145が接続面144に形成されておらず、接続面144が、第2側面142に対して、鋭角で傾斜していてもよい。
【0071】
射出成形装置300の可塑化装置60では、接続面144には、窪み部145が形成されている。そのため、可塑化装置60では、材料の粉やカスを、窪み部145によって受けることができる。これにより、第2側面142とスクリューケース62との隙間に、材料の粉やカスが入り込むことを抑制できる。窪み部145は、材料の粉やカスを、一時的に貯留してもよい。
【0072】
射出成形装置300の可塑化装置60では、例えば、第1側面140は、バレル120に向かうにつれて、第1側面140とスクリューケース62との間の距離Sが大きくなるように傾斜している。そのため、可塑化装置60では、材料の粉やカスを、バレル120側に送り易い。
【0073】
射出成形装置300の可塑化装置60では、例えば、接続面144は、第2側面142に対して、鋭角で傾斜している。そのため、可塑化装置60では、第2側面142とスクリューケース62との隙間に材料が入り込み難い。
【0074】
2.3. 第3変形例
次に、本実施形態の第3変形例に係る射出成形装置について説明する。以下、本実施形態の第3変形例に係る射出成形装置において、上述した本実施形態に係る射出成形装置100の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0075】
上述した射出成形装置100では、材料供給部10から供給される材料は、エラストマーであった。
【0076】
これに対し、本実施形態の第3変形例に係る射出成形装置では、材料供給部10から供給される材料は、エラストマー以外の材料、または、エラストマーに他の成分が加えられた材料である。
【0077】
材料供給部10から供給される材料は、例えば、熱可塑性を有する材料、金属材料、セラミック材料等の種々の材料を主材料である。ここで、「主材料」とは、射出成形装置100で成形される成形品の形状を形作っている中心となる材料を意味し、成形品において50質量%以上の含有率を占める材料を意味する。上述した材料には、それらの主材料を単体で溶融したものや、主材料とともに含有される一部の成分が溶融してペースト状にされたものが含まれる。
【0078】
熱可塑性を有する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。
【0079】
熱可塑性樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックであってもよい。汎用エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセタール(POM )、ポリアミド(PA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)が挙げられる。
【0080】
熱可塑性樹脂は、スーパーエンジニアリングプラスチックであってもよい。スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。
【0081】
熱可塑性を有する材料には、顔料、金属、セラミック、その他に、ワックス、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤などの添加剤等が混入されていてもよい。熱可塑性を有する材料は、可塑化装置60において、フラットスクリュー110の回転と、ヒーター130の加熱と、によって可塑化されて溶融した状態に転化される。このように生成された可塑化材料は、ノズル80から堆積された後、温度の低下によって硬化する。熱可塑性を有する材料は、ガラス転移点以上に加熱されて完全に溶融した状態で、ノズル80から吐出されることが望ましい。
【0082】
可塑化装置60では、上述した熱可塑性を有する材料の代わりに、例えば、金属材料が主材料として用いられてもよい。この場合には、金属材料を粉末状にした粉末材料に、可塑化材料の生成の際に溶融する成分が混合されて、可塑化装置60に投入されることが望ましい。
【0083】
金属材料としては、例えば、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)やクロム(Cr)、アルミニウム (Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(N
i)の単一の金属、もしくはこれらの金属を1つ以上含む合金、また、マルエージング鋼、ステンレス鋼、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金が挙げられる。
【0084】
可塑化装置60においては、上記の金属材料の代わりに、セラミック材料が主材料として用いられてもよい。セラミック材料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物セラミックや、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックなどが挙げられる。
【0085】
材料供給部10から供給される金属材料やセラミック材料の粉末材料は、単一の金属の粉末や合金の粉末、セラミック材料の粉末を、複数種類、混合した混合材料であってもよい。金属材料やセラミック材料の粉末材料は、例えば、上述の熱可塑性樹脂、または、それ以外の熱可塑性樹脂によってコーティングされていてもよい。この場合には、可塑化装置60において、粉末材料をコーティングしている熱可塑性樹脂が溶融して、流動性が発現されてもよい。
【0086】
材料供給部10から供給される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、溶剤を添加することもできる。溶剤としては、例えば、水;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸iso-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸iso-ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;テトラアルキルアンモニウムアセテート類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;ピリジン、γ-ピコリン、2,6-ルチジン等のピリジン系溶剤;テトラアルキルアンモニウムアセテート(例えば、テトラブチルアンモニウムアセテート等);ブチルカルビトールアセテート等のイオン液体等が挙げられる。
【0087】
その他に、材料供給部10から供給される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、バインダーが添加されていてもよい。バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂またはその他の合成樹脂、PLA、PA、PPS、PEEKまたはその他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0088】
3. 三次元造形装置
次に、本実施形態に係る三次元造形装置について、図面を参照しながら説明する。
図14は、本実施形態に係る三次元造形装置400を模式的に示す断面図である。
【0089】
三次元造形装置400は、
図14に示すように、例えば、材料供給部10と、制御部50と、可塑化装置60と、ノズル80と、ステージ410と、位置変更部420と、を含む。三次元造形装置400は、FDM(Fused Deposition Modeling)(登録商標)方式の三次元造形装置である。なお、便宜上、
図14では、可塑化装置60のフラットスクリュー110を簡略化して図示している。
【0090】
ノズル80は、可塑化装置60から供給された可塑化材料を、ステージ410に向けて吐出する。具体的には、三次元造形装置400は、ノズル80からステージ410に可塑化材料を吐出させつつ、位置変更部420を駆動して、ノズル80とステージ410との相対的な位置を変化させる。これにより、三次元造形装置400は、ステージ410上に所望の形状の三次元造形物を造形する。
【0091】
ステージ410は、ノズル80の下方に設けられている。図示の例では、ステージ410の形状は、直方体である。ステージ410は、ノズル80から吐出された可塑化材料を支持する。ステージ410は、可塑化材料が堆積される堆積面412を有している。
【0092】
ステージ410の材質は、例えば、アルミニウムなどの金属である。ステージ410は、金属板と、金属板に設けられた密着シートと、で構成されていてもよい。この場合、堆積面412は、密着シートによって構成される。密着シートは、ステージ410と、ノズル80から吐出される可塑化材料と、の密着性を向上できる。
【0093】
ステージ410は、図示はしないが、溝が形成された金属板と、溝を埋めるように設けられた下地層と、で構成されていてもよい。この場合、堆積面412は、下地層によって構成される。下地層の材質は、例えば、可塑化材料と同じである。下地層は、ステージ410と、ノズル80から吐出される可塑化材料と、の密着性を向上できる。
【0094】
位置変更部420は、ステージ410を支持している。位置変更部420は、ノズル80とステージ410との相対的な位置を変更する。図示の例では、位置変更部420は、ステージ410をX軸方向およびY軸方向に移動させることによって、X軸方向およびY軸方向において、ノズル80とステージ410との相対的な位置を変更する。さらに、位置変更部420は、ノズル80をZ軸方向に移動させることによって、Z軸方向において、ノズル80とステージ410との相対的な位置を変更する。
【0095】
位置変更部420は、例えば、第1電動アクチュエーター422と、第2電動アクチュエーター424と、第3電動アクチュエーター426と、を有している。第1電動アクチュエーター422は、ステージ410をX軸方向に移動させる。第2電動アクチュエーター424は、ステージ410をY軸方向に移動させる。第3電動アクチュエーター426は、ノズル80をZ軸方向に移動させる。第3電動アクチュエーター426は、例えば、可塑化装置60のスクリューケース62を支持している。
【0096】
なお、位置変更部420は、ノズル80とステージ410との相対的な位置を変更できれば、その構成は、特に限定されない。位置変更部420は、例えば、ステージ410をZ軸方向に移動させ、ノズル80をX軸方向およびY軸方向に移動させる構成であってもよいし、ステージ410またはノズル80をX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に移動させる構成であってもよい。
【0097】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0098】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成できる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0099】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0100】
可塑化装置の一態様は、
モーターと、
螺旋状の溝が形成された溝形成面を有し、前記モーターによって回転軸を中心に回転す
るフラットスクリューと、
前記回転軸方向において前記溝形成面に対向する対向面を有し、材料が可塑化した可塑化材料が流入する連通孔が形成されたバレルと、
前記溝形成面と前記対向面との間に供給された前記材料を加熱するヒーターと、
前記フラットスクリューを収容し、前記溝に前記材料を供給する供給口が形成されたスクリューケースと、
を含み、
前記フラットスクリューは、
前記供給口からの前記材料を前記溝に導入する導入口が一部に形成された第1側面と、
前記第1側面よりも前記バレルから離れる側に設けられた第2側面と、
を有し、
前記第1側面と前記スクリューケースとの間の最短距離である第1距離は、前記第2側面と前記スクリューケースとの間の最短距離である第2距離よりも大きく、
前記第2側面には、凹部が形成されている。
【0101】
この可塑化装置によれば、第2側面とスクリューケースとの隙間に材料が入り込んだとしても、フラットスクリューの回転が阻害されることを抑制できる。したがって、安定して材料を可塑化できる。
【0102】
可塑化装置の一態様において、
前記材料は、エラストマーを含み、
前記材料の形状は、ペレット状であり、
前記第1距離は、前記材料の最大の長さよりも大きく、
前記第2距離は、前記材料の最大の長さよりも小さくてもよい。
【0103】
この可塑化装置によれば、第2側面とスクリューケースとの隙間に材料が入り込み難い。
【0104】
可塑化装置の一態様において、
前記回転軸方向と直交する方向からみて、前記第2側面の前記バレル側の端は、前記供給口の輪郭の外側に位置し、
前記回転軸方向における、前記端と前記供給口の輪郭との間の最短距離である第3距離は、前記第2距離よりも小さくてもよい。
【0105】
この可塑化装置によれば、第2側面とスクリューケースとの隙間に材料が入り込み難く、さらに、供給口における材料の詰まりを抑制できる。
【0106】
可塑化装置の一態様において、
前記凹部は、前記フラットスクリューの外周に沿って、間隔を空けて複数形成されていてもよい。
【0107】
この可塑化装置によれば、第2側面とスクリューケースとの隙間に材料が入り込んだとしても、隙間に入り込んだ材料を、より掻き出すことができる。
【0108】
可塑化装置の一態様において、
前記凹部の前記バレルとは反対側の第1端は、前記凹部の前記第2側面における前記バレル側の第2端よりも、前記フラットスクリューの回転方向の前方に位置していてもよい。
【0109】
この可塑化装置によれば、第2側面とスクリューケースとの隙間に材料が入り込んだと
しても、凹部の外縁のうちの第1端と第2端とを結ぶ部分によって、隙間に入り込んだ材料を、フラットスクリューにともなって徐々に削ぎ落とすことができる。
【0110】
可塑化装置の一態様において、
前記フラットスクリューは、前記第1側面と前記第2側面とを接続する接続面を有し、
前記接続面は、前記第2側面に対して、直交または鋭角で傾斜していてもよい。
【0111】
この可塑化装置によれば、第2側面とスクリューケースとの隙間に材料が入り込み難い。
【0112】
可塑化装置の一態様において、
前記接続面には、窪み部が形成されていてもよい。
【0113】
この可塑化装置によれば、材料の粉やカスを、窪み部によって受けることができる。これにより、第2側面とスクリューケースとの隙間に、材料の粉やカスが入り込むことを抑制できる。
【0114】
可塑化装置の一態様において、
前記第1側面は、前記バレルに向かうにつれて、前記第1側面と前記スクリューケースとの間の距離が大きくなるように傾斜していてもよい。
【0115】
この可塑化装置によれば、材料の粉やカスを、バレル側に送り易い。
【0116】
射出成形装置の一態様は、
前記可塑化装置の一態様と、
成形型に前記可塑化材料を射出するノズルと、
を含む。
【0117】
三次元造形装置の一態様は、
前記可塑化装置の一態様と、
ステージに向けて前記可塑化材料を吐出するノズルと、
を含む。
【符号の説明】
【0118】
10…材料供給部、20…射出部、30…型部、32…成形型、34…キャビティー、36…可動型、38…固定型、40…型締部、42…型駆動部、44…ボールねじ部、50…制御部、60…可塑化装置、62…スクリューケース、64…駆動モーター、66…シャフト、70…射出機構、72…シリンダー、74…プランジャー、76…プランジャー駆動部、80…ノズル、82…ノズル孔、100…射出成形装置、110…フラットスクリュー、111…モーター面、112…溝形成面、113…側面、114…第1溝、115…中央部、115a…凸部、116…接続部、117…導入口、120…バレル、122…対向面、124…第2溝、126…連通孔、130…ヒーター、140…第1側面、142…第2側面、143…端、144…接続面、145…窪み部、146…段差部、150…凹部、151…第1端、152…第2端、153…第3端、154…第4端、155…外縁、156…第1曲線、157…第2曲線、200,300…射出成形装置、400…三次元造形装置、410…ステージ、412…堆積面、420…位置変更部、422…第1電動アクチュエーター、424…第2電動アクチュエーター、426…第3電動アクチュエーター