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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107719
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】圧電駆動素子
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/20 20230101AFI20240802BHJP
   H10N 30/50 20230101ALI20240802BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20240802BHJP
   H10N 30/072 20230101ALI20240802BHJP
   H04R 17/10 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H10N30/20
H10N30/50
H10N30/853
H10N30/072
H04R17/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011801
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116275
【氏名又は名称】ワックデータサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129573
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博正
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和久
(72)【発明者】
【氏名】石黒 康平
(72)【発明者】
【氏名】伊原 健裕
【テーマコード(参考)】
5D004
【Fターム(参考)】
5D004AA01
5D004CC04
5D004DD01
(57)【要約】
【課題】より簡単な構成で、より大きな発生力およびより大きな変位が得られる。
【解決手段】圧電駆動素子は、バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の第1の圧電素子および第2の圧電素子を含み、第1の圧電素子と第2の圧電素子とが直方形状の薄板状となるように重ねられ、電圧が印可されたときに屈曲して変位する、重ねられている端部のうち、一方の端部が留められ、第1の圧電素子および第2の圧電素子が屈曲した場合、第1の圧電素子の面のうち、第2の圧電素子に隣接する側の面である第1面が、第2の圧電素子の面のうち、第1の圧電素子の第1面に隣接する側の面である第2の面に対して、電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部のうちの他方の端部と一方の端部とを結ぶ方向にずれる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の第1の圧電素子と、
バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の第2の圧電素子と
を含み、
前記第1の圧電素子に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部と前記第2の圧電素子に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部とが重なるように、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子とが直方形状の薄板状となるように重ねられ、
電圧が印可されたときに屈曲して変位する、重ねられている前記端部のうち、一方の端部が留められ、
前記第1の圧電素子および前記第2の圧電素子が屈曲した場合、前記第1の圧電素子の面のうち、前記第2の圧電素子に隣接する側の面である第1面が、前記第2の圧電素子の面のうち、前記第1の圧電素子の第1面に隣接する側の面である第2の面に対して、電圧が印可されたときに屈曲して変位する前記端部のうちの他方の端部と前記一方の端部とを結ぶ方向にずれる
圧電駆動素子。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電駆動素子において、
前記第1面と前記第2の面とは、すべるように密着している
圧電駆動素子。
【請求項3】
請求項1に記載の圧電駆動素子において、
前記第1面と前記第2の面との間には、所定の隙間が設けられている
圧電駆動素子。
【請求項4】
請求項1に記載の圧電駆動素子において、
前記第1面と前記第2の面とは、弾性を有する接着部材で接着されている
圧電駆動素子。
【請求項5】
請求項1に記載の圧電駆動素子において、
前記第1面と前記第2の面とは、弾性を有する粘着部材で粘着されている
圧電駆動素子。
【請求項6】
請求項1に記載の圧電駆動素子において、
前記他方の端部は、弾性を有する接着部材で接着されている
圧電駆動素子。
【請求項7】
請求項1に記載の圧電駆動素子において、
前記他方の端部は、弾性を有する粘着部材で粘着されている
圧電駆動素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電駆動素子に関し、特に、複数の圧電素子を用いた圧電駆動素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、編み機の選針装置やラウドスピーカ、ポンプ、モータなどにアクチュエータとして、応答速度が速く消費電力が小さい圧電素子を用いた圧電駆動素子が使われるようになってきた。
【0003】
従来、両面に電極を施した矩形の圧電板を2枚中間金属層を介して貼り合わせてなる圧電バイモルフ素子を基本とし、これを複数個摩擦係数が小さく柔軟性のある矩形の薄片を介して重ね合わせて一端を固定し、全てのバイモルフ素子が同一の方向に変位させるように構成したことを特徴とする圧電アクチユエータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、導電性の弾性板と該弾性板の両面にそれぞれ接合されている二枚の圧電板と、各該圧電板の表面をそれぞれ覆う二枚の表面電極とを持ち、複数枚が重ねられて同軸に配置されており、中央部と外周部との間に軸長方向の変位を生じる圧電バイモルフと、各該圧電バイモルフの該中央部を軸長方向に互いに連結しており、該弾性板と導通している導電性の中央連結部材と、各該圧電バイモルフの該外周部の一部を軸長方向に互いに連結している二本の導電性の外周連結部材とを有し、前記外周連結部材のうち一方と前記表面電極のうち一方とが互いに導通しており、該外周連結部材のうち他方と該表面電極のうち他方とが互いに導通していて、各前記圧電バイモルフの一方の前記圧電板と他方の前記圧電板とに個別に電界が印加されることを特徴とする、圧電バイモルフ積層型アクチュエータも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63-95264号公報
【特許文献1】特開平11-233843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、圧電素子を重ねて、より大きな発生力とより大きな変位とを両立させることは困難であった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より簡単な構成で、より大きな発生力およびより大きな変位が得られるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面の圧電駆動素子は、バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の第1の圧電素子と、バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の第2の圧電素子とを含み、前記第1の圧電素子に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部と前記第2の圧電素子に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部とが重なるように、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子とが直方形状の薄板状となるように重ねられ、電圧が印可されたときに屈曲して変位する、重ねられている前記端部のうち、一方の端部が留められ、前記第1の圧電素子および前記第2の圧電素子が屈曲した場合、前記第1の圧電素子の面のうち、前記第2の圧電素子に隣接する側の面である第1面が、前記第2の圧電素子の面のうち、前記第1の圧電素子の第1面に隣接する側の面である第2の面に対して、電圧が印可されたときに屈曲して変位する前記端部のうちの他方の端部と前記一方の端部とを結ぶ方向にずれる。
【0009】
前記第1面と前記第2の面とが、すべるように密着しているようにすることができる。
【0010】
前記第1面と前記第2の面との間に、所定の隙間を設けることができる。
【0011】
前記第1面と前記第2の面とを、弾性を有する接着部材で接着することができる。
【0012】
前記第1面と前記第2の面とを、弾性を有する粘着部材で粘着することができる。
【0013】
前記他方の端部を、弾性を有する接着部材で接着することができる。
【0014】
前記他方の端部を、弾性を有する粘着部材で粘着することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、より簡単な構成で、より大きな発生力およびより大きな変位が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態の圧電駆動素子11の構成の例を説明する斜視図である。
図2】圧電駆動素子11の構成の例を説明する側面図である。
図3】バイモルフ方式である圧電素子21の構成の例を説明する側面図である。
図4】直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる圧電素子21の構成の例を説明する側面図である。
図5】ユニモルフ方式である圧電素子21の構成の例を説明する側面図である。
図6】屈曲している圧電駆動素子11の状態を示す図である。
図7】本発明の実施の形態の圧電駆動素子101の構成の例を説明する斜視図である。
図8】圧電駆動素子101の構成の例を説明する側面図である。
図9】屈曲している圧電駆動素子101の状態を示す図である。
図10】本発明の実施の形態の圧電駆動素子201の構成の例を説明する斜視図である。
図11】圧電駆動素子201の構成の例を説明する側面図である。
図12】屈曲している圧電駆動素子201の状態を示す図である。
図13】圧電駆動素子101および圧電駆動素子201のそれぞれの発生力および変位量を示すグラフである。
図14】圧電駆動素子101および圧電駆動素子201のそれぞれの発生力および変位量を示すグラフである。
図15】圧電駆動素子101および圧電駆動素子201のそれぞれの発生力および変位量を示すグラフである。
図16】圧電素子の面または端部をエポキシ系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量を示すグラフである。
図17】圧電素子の面または端部をシアノアクリレート接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0018】
本発明の一側面の圧電駆動素子(例えば、図1の圧電駆動素子11)は、バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の第1の圧電素子(例えば、図1の圧電素子21-1)と、バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の第2の圧電素子(例えば、図1の圧電素子21-2)とを含み、前記第1の圧電素子に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部と前記第2の圧電素子に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部とが重なるように、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子とが直方形状の薄板状となるように重ねられ、電圧が印可されたときに屈曲して変位する、重ねられている前記端部のうち、一方の端部(例えば、図1の留め端41-1および留め端41-2)が留められ、前記第1の圧電素子および前記第2の圧電素子が屈曲した場合、前記第1の圧電素子の面のうち、前記第2の圧電素子に隣接する側の面である第1面(例えば、図1の面43-1-2)が、前記第2の圧電素子の面のうち、前記第1の圧電素子の第1面に隣接する側の面である第2の面(例えば、図1の面43-2-1)に対して、電圧が印可されたときに屈曲して変位する前記端部のうちの他方の端部(例えば、図1の変位端42-1および変位端42-2)と前記一方の端部とを結ぶ方向にずれる。
【0019】
以下、図1乃至図17を参照して、本発明の実施の形態の圧電駆動素子について説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態の圧電駆動素子11の構成の例を説明する斜視図である。図2は、圧電駆動素子11の構成の例を説明する側面図である。
【0021】
なお、圧電駆動素子11の長手方向を前後側として、左右方向をX軸で図示し、上下の方向をZ軸で図示し、前後の方向をY軸で図示する。また、以下、Y軸方向のうち、図1中の左下側を単に前側と称し、Y軸方向のうち、図1中の右上側を単に奥側と称する。さらに、以下、X軸方向のうち、図1中の左上側を単に左側と称し、X軸方向のうち、図1中の右下側を単に右側と称する。さらにまた、以下、Z軸方向のうち、図1中の上側を単に上側と称し、Z軸方向のうち、図1中の上側を単に下側と称する。なお、奥側がY軸の正の方向であり、左側がX軸の正の方向であり、上側がZ軸の正の方向である。また、Z軸方向を、単に上下方向とも称し、X軸およびY軸に平行な面に沿う方向を単に水平方向とも称する。さらに、水平方向に対して比較的小さい角度を挟む方向および水平方向を横方向とも称し、上下方向に対して比較的小さい角度を挟む方向および上下方向を縦方向とも称する。以下の図においても同様である。
【0022】
圧電駆動素子11は、全体として、略直方形状の板状に形成されている。圧電駆動素子11は、外部から印加される電圧により帯電し、屈曲する。このとき、圧電駆動素子11の一方の端部は、他方の端部に対して、板状の面に対して交差する向きに変位する。圧電駆動素子11は、所定の力を発生して、圧電駆動素子11の他方の端部は、所定の長さだけ変位する。すなわち、圧電駆動素子11は、電圧が印加されると、屈曲により外部に駆動力を供給することができる。
【0023】
圧電駆動素子11は、圧電素子21-1、圧電素子21-2および留め具22を含み構成されている。圧電素子21-1および圧電素子21-2は、それぞれ、略直方形状の薄板状に形成されている圧電素子である。圧電素子21-1および圧電素子21-2は、それぞれ、バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる。圧電素子21-1および圧電素子21-2は、圧電素子21-1に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部と圧電素子21-2に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部とが重なるように、直方形状の薄板状となるように重ねられている。
【0024】
留め具22は、樹脂、金属または複合材料などにより形成されている。留め具22は、電圧が印可されたときに屈曲して変位する、重ねられている圧電素子21-1および圧電素子21-2の端部のうち、一方の端部である留め端41-1および留め端41-2を留めている。言い換えれば、留め具22は、重ねられている圧電素子21-1および圧電素子21-2の一方の端部である留め端41-1および留め端41-2を固定している。
【0025】
また、圧電素子21-1および圧電素子21-2は、圧電素子21-1に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部である変位端42-1と圧電素子21-2に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部である変位端42-2とが重なるように、直方形状の薄板状となるように重ねられている。変位端42-1および変位端42-2は、電圧が印可されたときに屈曲して変位する、重ねられている圧電素子21-1および圧電素子21-2の端部のうち、他方の端部である。
【0026】
このように、留め端41-1と留め端41-2とが重なり、変位端42-1と変位端42-2とが重なるように、圧電素子21-1の留め端41-1および圧電素子21-2の留め端41-2が留め具22によって留められている。
【0027】
略矩形の薄板状に形成されている圧電素子21-1には、面43-1-1および面43-1-2が形成されている。例えば、面43-1-1は、上側の面である。例えば、面43-1-2は、下側の面である。同様に、略矩形の薄板状に形成されている圧電素子21-2には、面43-2-1および面43-2-2が形成されている。例えば、面43-2-1は、上側の面である。例えば、面43-2-2は、下側の面である。圧電素子21-1および圧電素子21-2が略直方形状の板状となるように、圧電素子21-1の面43-1-2の全体は、圧電素子21-2の面43-2-1の全体に重ねられている。また、圧電素子21-1の面43-1-2は、圧電素子21-2の面43-2-1に隣接している。例えば、圧電素子21-1の面43-1-2と圧電素子21-2の面43-2-1との間には、所定の隙間が設けられている。または、圧電素子21-1の面43-1-2と圧電素子21-2の面43-2-1とは、互いにすべるように密着している。
【0028】
なお、圧電素子21-1の面43-1-2と圧電素子21-2の面43-2-1とが平行するように、圧電素子21-1および圧電素子21-2は配置されている。また、圧電素子21-1の面43-1-2と圧電素子21-2の面43-2-1とが、所定の角度で交差する向きに圧電素子21-1および圧電素子21-2を配置するようにしてもよい。例えば、圧電素子21-1の面43-1-2に沿って前後方向に延びる仮想的な直線と圧電素子21-2の面43-2-1に沿って前後方向に延びる仮想的な直線とが、変位端42-1および変位端42-2より前で交差するように、圧電素子21-1および圧電素子21-2を配置することができる。
【0029】
圧電素子21-1および圧電素子21-2が屈曲した場合、圧電素子21-1の面43-1-2は、圧電素子21-2の面43-2-1に対して、留め端41-1と変位端42-1とを結ぶ方向にずれる。
【0030】
以下、圧電素子21-1および圧電素子21-2を区別する必要がない場合、単に、圧電素子21と称する。
【0031】
ここで、圧電素子21の構成の詳細を説明する。まず、バイモルフ方式である圧電素子21の構成の例について説明する。
【0032】
図3は、バイモルフ方式である圧電素子21の構成の例を説明する側面図である。例えば、バイモルフ方式である圧電素子21の奥側の端部は、留め端41-1または留め端41-2とされ、バイモルフ方式である圧電素子21の前側の端部は、変位端42-1または変位端42-2とされる。
【0033】
バイモルフ方式である圧電素子21は、圧電材51-1、圧電材51-2、プレート52、電極膜53-1-1、電極膜53-1-2、電極膜53-2-1、電極膜53-2-2、接着剤層54-1、接着剤層54-2、ソルダーレジスト55-1およびソルダーレジスト55-2を含み構成されている。圧電材51-1および圧電材51-2は、それぞれ、PZT(PbZrO3-PbTiO3)(ジルコン酸鉛とチタン酸鉛との固溶体)またはPZTにPb(MG,Nb)O3やPb(Ni,Nb)O3等の鉛系複合ペロブスカイト型化合物を固溶させた3成分系圧電セラミックスその他の圧電体材料で形成される。圧電材51-1および圧電材51-2は、それぞれ、略長方形状の薄膜として形成されている。圧電材51-1および圧電材51-2の厚さは、それぞれ、100μm乃至300μm、より好ましくは、150μm乃至250μmとされる。圧電材51-1および圧電材51-2は、同じ形状とされている。
【0034】
プレート52は、圧電材51-1および圧電材51-2を支持する強度と導電性とを備えた金属材料からなる。具体的には、プレート52は、ステンレス鋼(SUS:Steel Use Stainless)または42アロイ(42Alloy)などからなる。プレート52は、圧電材51-1および圧電材51-2の形状と略同形状の略長方形状の薄板として形成されている。プレート52の厚さは、75μm乃至150μm、より好ましくは、75μm乃至125μmとされる。
【0035】
圧電材51-1の一方の面である外側面(上側の面)には、電極膜53-1-1が形成され、圧電材51-1の他方の面である内側面(プレート52に接する側の面)(下側の面)には、電極膜53-1-2が形成されている。また、圧電材51-2の一方の面である内側面(プレート52に接する側の面)(上側の面)には、電極膜53-2-1が形成され、圧電材51-2の他方の面である外側面(下側の面)には、電極膜53-2-2が形成されている。電極膜53-1-1、電極膜53-1-2、電極膜53-2-1、および電極膜53-2-2は、それぞれ、金または銀などの薄膜として形成され、圧電材51-1または圧電材51-2のそれぞれの面の全体に導通することで、圧電材51-1または圧電材51-2のそれぞれの面に均一に帯電させるかまたはそれぞれの面の全体から電荷を除去する。
【0036】
なお、圧電材51-1および圧電材51-2は分極させて用いられる。
【0037】
プレート52の上側に圧電材51-1が重ねられ、プレート52の下側に圧電材51-2が重ねられる。プレート52の上側の面と圧電材51-1の下側の面とは、エポキシ樹脂またはポリフェノール樹脂などの接着剤層54-1により重ねて固定される。接着剤層54-1は、プレート52と圧電材51-1とに挟まれた膜状とされている。また、プレート52の下側の面と圧電材51-2の上側の面とは、エポキシ樹脂またはポリフェノール樹脂などの接着剤層54-2により重ねて固定される。接着剤層54-2は、プレート52と圧電材51-2とに挟まれた膜状とされている。
【0038】
さらに、圧電材51-1の外側の面、すなわち、電極膜53-1-1の上側には、ソルダーレジスト55-1が形成され、圧電材51-2の外側の面、すなわち、電極膜53-2-2の下側には、ソルダーレジスト55-2が形成されている。ソルダーレジスト55-1およびソルダーレジスト55-2は、それぞれ、耐熱性の高分子材料からなる。例えば、ソルダーレジスト55-1およびソルダーレジスト55-2は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、またはノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を主成分とする液状の感光性レジスト材料や、ウレタンアクリレートを主成分とした耐折性に優れた感光性レジスト材料で形成することができる。
【0039】
さらに、ソルダーレジスト55-1およびソルダーレジスト55-2の外側には、圧電素子21の全体を包むように、非導電性の高分子薄膜である電気絶縁膜が形成される。
【0040】
バイモルフ方式である圧電素子21の電極膜53-1-1と電極膜53-1-2との間または電極膜53-2-1と電極膜53-1-1との間のいずれか一方に所定の電圧を印加すると、バイモルフ方式である圧電素子21は屈曲して、前側の端部が、奥側の端部に対して、上側または下側に変位する。
【0041】
次に、直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる圧電素子21の構成の例を説明する。
【0042】
図4は、直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる圧電素子21の構成の例を説明する側面図である。例えば、直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる圧電素子21の奥側の端部は、留め端41-1または留め端41-2とされ、直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる圧電素子21の前側の端部は、変位端42-1または変位端42-2とされる。
【0043】
直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる圧電素子21は、圧電材71-1、圧電材71-2、電極膜72-1-1、電極膜72-1-2、電極膜72-2-1、電極膜72-2-2、接着剤層73、ソルダーレジスト74-1およびソルダーレジスト74-2を含み構成されている。圧電材71-1および圧電材71-2は、それぞれ、PZTまたはPZTにPb(MG,Nb)O3やPb(Ni,Nb)O3等の鉛系複合ペロブスカイト型化合物を固溶させた3成分系圧電セラミックスその他の圧電体材料で形成される。圧電材71-1および圧電材71-2は、それぞれ、略長方形状の薄膜として形成されている。圧電材71-1および圧電材71-2の厚さは、100μm乃至300μm、より好ましくは、150μm乃至250μmとされる。圧電材71-1および圧電材71-2は、同じ形状とされている。
【0044】
圧電材71-1の一方の面である外側面(上側の面)には、電極膜72-1-1が形成され、圧電材71-1の他方の面である内側面(圧電材71-2に接する側の面)(下側の面)には、電極膜72-1-2が形成されている。また、圧電材71-2の一方の面である内側面(圧電材71-1に接する側の面)(上側の面)には、電極膜72-2-1が形成され、圧電材71-2の他方の面である外側面(下側の面)には、電極膜72-2-2が形成されている。電極膜72-1-1、電極膜72-1-2、電極膜72-2-1、および電極膜72-2-2は、それぞれ、金または銀などの薄膜として形成され、圧電材71-1または圧電材71-2のそれぞれの面の全体に導通することで、圧電材71-1または圧電材71-2のそれぞれの面に均一に帯電させるかまたはそれぞれの面の全体から電荷を除去する。
【0045】
なお、圧電材71-1および圧電材71-2は分極させて用いられる。
【0046】
圧電材71-1と圧電材71-2とが重ねられる。圧電材71-1の下側の面と圧電材71-2の上側の面とは、エポキシ樹脂またはポリフェノール樹脂などの接着剤層73により重ねて固定される。接着剤層73は、圧電材71-1と圧電材71-2とに挟まれた膜状とされている。
【0047】
さらに、圧電材71-1の外側の面、すなわち、電極膜72-1-1の上側には、ソルダーレジスト74-1が形成され、圧電材71-2の外側の面、すなわち、電極膜72-2-2の下側には、ソルダーレジスト74-2が形成されている。ソルダーレジスト74-1およびソルダーレジスト74-2は、それぞれ、耐熱性の高分子材料からなる。例えば、ソルダーレジスト74-1およびソルダーレジスト74-2は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、またはノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を主成分とする液状の感光性レジスト材料や、ウレタンアクリレートを主成分とした耐折性に優れた感光性レジスト材料で形成することができる。
【0048】
さらに、ソルダーレジスト74-1およびソルダーレジスト74-2の外側には、圧電素子21の全体を包むように、非導電性の高分子薄膜である電気絶縁膜が形成される。
【0049】
直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる圧電素子21の電極膜72-1-1と電極膜72-1-2との間または電極膜72-2-1と電極膜72-1-1との間のいずれか一方に所定の電圧を印加すると、直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる圧電素子21は屈曲して、前側の端部が、奥側の端部に対して、上側または下側に変位する。
【0050】
次に、ユニモルフ方式である圧電素子21の構成の例について説明する。
【0051】
図5は、ユニモルフ方式である圧電素子21の構成の例を説明する側面図である。例えば、ユニモルフ方式である圧電素子21の奥側の端部は、留め端41-1または留め端41-2とされ、ユニモルフ方式である圧電素子21の前側の端部は、変位端42-1または変位端42-2とされる。
【0052】
ユニモルフ方式である圧電素子21は、圧電材91、プレート92、電極膜93-1、電極膜93-2、接着剤層94およびソルダーレジスト95を含み構成されている。圧電材91は、PZTまたはPZTにPb(MG,Nb)O3やPb(Ni,Nb)O3等の鉛系複合ペロブスカイト型化合物を固溶させた3成分系圧電セラミックスその他の圧電体材料で形成される。圧電材91は、略長方形状の薄膜として形成されている。圧電材91の厚さは、100μm乃至300μm、より好ましくは、150μm乃至250μmとされる。
【0053】
プレート92は、圧電材91を支持する強度と導電性とを備えた金属材料からなる。具体的には、プレート92は、ステンレス鋼または42アロイなどからなる。プレート92は、圧電材91の形状と略同形状の略長方形状の薄板として形成されている。プレート92の厚さは、75μm乃至150μm、より好ましくは、75μm乃至125μmとされる。
【0054】
圧電材91の一方の面である外側面(上側の面)には、電極膜93-1が形成され、圧電材91の他方の面である内側面(プレート92に接する側の面)(下側の面)には、電極膜93-2が形成されている。電極膜93-1および電極膜93-2は、それぞれ、金または銀などの薄膜として形成され、圧電材91の面の全体に導通することで、圧電材91の面に均一に帯電させるかまたはそれぞれの面の全体から電荷を除去する。
【0055】
なお、圧電材91は分極させて用いられる。
【0056】
プレート92の上側に圧電材91が重ねられる。プレート92の上側の面と圧電材91の下側の面とは、エポキシ樹脂またはポリフェノール樹脂などの接着剤層94により重ねて固定される。接着剤層94は、プレート92と圧電材91とに挟まれた膜状とされている。
【0057】
さらに、圧電材91の外側の面、すなわち、電極膜93-1の上側には、ソルダーレジスト95が形成されている。ソルダーレジスト95は、耐熱性の高分子材料からなる。例えば、ソルダーレジスト95は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、またはノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を主成分とする液状の感光性レジスト材料や、ウレタンアクリレートを主成分とした耐折性に優れた感光性レジスト材料で形成することができる。
【0058】
さらに、ソルダーレジスト95およびプレート92の外側に、圧電素子21の全体を包むように、非導電性の高分子薄膜である電気絶縁膜が形成される。
【0059】
ユニモルフ方式である圧電素子21の電極膜93-1と電極膜93-2との間に所定の電圧を印加すると、ユニモルフ方式である圧電素子21は屈曲して、前側の端部が、奥側の端部に対して、上側または下側に変位する。
【0060】
図6は、屈曲している圧電駆動素子11の状態を示す図である。図6中の下側の点線で囲まれている部分は、図6中の上側の点線で囲まれている部分を拡大して示す。
【0061】
拡大されている部分に示される、圧電素子21-1のAで示される線の位置と、圧電素子21-2のA‘で示される線の位置とは、圧電駆動素子11が屈曲していない場合、Y軸方向で一致している。
【0062】
圧電駆動素子11が屈曲すると、拡大されている部分に示されるように、圧電素子21-1のAで示される線の位置と、圧電素子21-2のA‘で示される線の位置とは、Y軸方向に微小の変位量Δだけずれる。
【0063】
すなわち、圧電素子21-1および圧電素子21-2が屈曲した場合、圧電素子21-1の面のうち、圧電素子21-2に隣接する側の面である面43-1-2が、圧電素子21-2の面のうち、圧電素子21-1の面43-1-2に隣接する側の面である面43-2-1に対して、電圧が印可されたときに屈曲して変位する変位端42-1と留め端41-1とを結ぶ方向にずれる。
【0064】
なお、圧電駆動素子11は、圧電素子21-1および圧電素子21-2を含み構成されていると説明したが、これに限らず、3枚の圧電素子21または4枚の圧電素子21など、所望の数の圧電素子21を含むように構成することができる。
【0065】
また、圧電駆動素子11に含まれる圧電素子21-1および圧電素子21-2または圧電素子21は、同じ方式であっても、異なる方式であってもよい。例えば、圧電素子21-1をバイモルフ方式とし、圧電素子21-2をユニモルフ方式とするようにしてもよい。また、例えば、圧電駆動素子11が3枚の圧電素子21を含む場合、2枚の圧電素子21をバイモルフ方式として、1枚の圧電素子21を直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の圧電素子とするようにしてもよい。
【0066】
それぞれ、変位量が1.33mmであって、発生力が0.33Nのバイモルフ方式の圧電素子21-1およびバイモルフ方式の圧電素子21-2を含み構成されている圧電駆動素子11の変位量および発生力は、それぞれ、1.25mmおよび0.65Nであった。また、変位量が1.33mmであって、発生力が0.33Nのバイモルフ方式の圧電素子21を3枚含む圧電駆動素子11の変位量および発生力は、それぞれ、1.20mmおよび1.1Nであった。
【0067】
このように、圧電駆動素子11によれば、より簡単な構成で、より大きな発生力およびより大きな変位が得られる。
【0068】
図7は、本発明の実施の形態の圧電駆動素子101の構成の例を説明する斜視図である。図8は、圧電駆動素子101の構成の例を説明する側面図である。
【0069】
圧電駆動素子101は、全体として、略直方形状の板状に形成されている。圧電駆動素子101は、外部から印加される電圧により帯電し、屈曲する。このとき、圧電駆動素子101の一方の端部は、他方の端部に対して、板状の面に対して交差する向きに変位する。圧電駆動素子101は、所定の力を発生して、圧電駆動素子101の他方の端部は、所定の長さだけ変位する。すなわち、圧電駆動素子101は、電圧が印加されると、屈曲により外部に駆動力を供給することができる。
【0070】
圧電駆動素子101は、圧電素子121-1、圧電素子121-2、留め具122および接着部材123を含み構成されている。圧電素子121-1および圧電素子121-2は、それぞれ、略直方形状の薄板状に形成されている圧電素子である。圧電素子121-1および圧電素子121-2は、それぞれ、バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる。圧電素子121-1および圧電素子121-2は、圧電素子121-1に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部と圧電素子121-2に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部とが重なるように、直方形状の薄板状となるように重ねられている。
【0071】
なお、圧電素子121-1および圧電素子121-2は、それぞれ、図3を参照して説明したバイモルフ方式である圧電素子21と同様の構成とすることができる。また、圧電素子121-1および圧電素子121-2は、それぞれ、図4を参照して説明した直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる圧電素子21と同様の構成とすることができる。さらにまた、圧電素子121-1および圧電素子121-2は、それぞれ、図5を参照して説明したユニモルフ方式である圧電素子21と同様の構成とすることができる。
【0072】
留め具122は、樹脂、金属または複合材料などにより形成されている。留め具122は、電圧が印可されたときに屈曲して変位する、重ねられている圧電素子121-1および圧電素子121-2の端部のうち、一方の端部である留め端141-1および留め端141-2を留めている。言い換えれば、留め具122は、重ねられている圧電素子121-1および圧電素子121-2の一方の端部である留め端141-1および留め端141-2を固定している。
【0073】
また、圧電素子121-1および圧電素子121-2は、圧電素子121-1に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部である変位端142-1と圧電素子121-2に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部である変位端142-2とが重なるように、直方形状の薄板状となるように重ねられている。変位端142-1および変位端142-2は、電圧が印可されたときに屈曲して変位する、重ねられている圧電素子121-1および圧電素子121-2の端部のうち、他方の端部である。
【0074】
このように、留め端141-1と留め端141-2とが重なり、変位端142-1と変位端142-2とが重なるように、圧電素子121-1の留め端141-1および圧電素子121-2の留め端141-2が留め具122によって留められている。
【0075】
略矩形の薄板状に形成されている圧電素子121-1には、面143-1-1および面143-1-2が形成されている。例えば、面143-1-1は、上側の面である。例えば、面143-1-2は、下側の面である。同様に、略矩形の薄板状に形成されている圧電素子121-2には、面143-2-1および面143-2-2が形成されている。例えば、面143-2-1は、上側の面である。例えば、面143-2-2は、下側の面である。圧電素子121-1および圧電素子121-2が略直方形状の板状となるように、圧電素子121-1の面143-1-2の全体は、圧電素子121-2の面143-2-1の全体に重ねられている。また、圧電素子121-1の面143-1-2は、圧電素子121-2の面143-2-1に隣接している。例えば、圧電素子121-1の面143-1-2と圧電素子121-2の面143-2-1との間には、所定の隙間が設けられている。または、圧電素子121-1の面143-1-2と圧電素子121-2の面143-2-1とは、互いにすべるように密着している。
【0076】
なお、圧電素子121-1の面143-1-2と圧電素子121-2の面143-2-1とが平行するように、圧電素子121-1および圧電素子121-2は配置されている。また、圧電素子121-1の面143-1-2と圧電素子121-2の面143-2-1とが、所定の角度で交差する向きに圧電素子121-1および圧電素子121-2を配置するようにしてもよい。例えば、圧電素子121-1の面143-1-2に沿って前後方向に延びる仮想的な直線と圧電素子121-2の面143-2-1に沿って前後方向に延びる仮想的な直線とが、変位端142-1および変位端142-2より前で交差するように、圧電素子121-1および圧電素子121-2を配置することができる。
【0077】
接着部材123は、弾性を有し、圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とを接着している。例えば、接着部材123は、弾性を有し、圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とをX軸方向に全体にまたは一部を接着している。接着部材123は、圧電素子121-1の変位端142-1側の端部および圧電素子121-2の変位端142-2側の端部のみを接着し、圧電素子121-1および圧電素子121-2の奥側は接着していない。接着部材123は、弾性を有し、圧電素子121-1および圧電素子121-2が屈曲した場合、圧電素子121-1および圧電素子121-2からの力で変形して、圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とのずれを妨げない。すなわち、接着部材123は、圧電素子121-1および圧電素子121-2からの力で変形する。言い換えれば、接着部材123は、圧電素子121-1および圧電素子121-2からの力で変形する程度の弾性を有する。
【0078】
圧電素子121-1および圧電素子121-2が屈曲した場合、圧電素子121-1の面143-1-2は、圧電素子121-2の面143-2-1に対して、留め端141-1と変位端142-1とを結ぶ方向にずれる。
【0079】
図9は、屈曲している圧電駆動素子101の状態を示す図である。図9中の下側の点線で囲まれている部分は、図9中の上側の点線で囲まれている部分を拡大して示す。
【0080】
拡大されている部分に示される、圧電素子121-1のBで示される線の位置と、圧電素子121-2のB‘で示される線の位置とは、圧電駆動素子101が屈曲していない場合、Y軸方向で一致している。
【0081】
圧電駆動素子101が屈曲すると、拡大されている部分に示されるように、圧電素子121-1のBで示される線の位置と、圧電素子121-2のB‘で示される線の位置とは、Y軸方向に微小の変位量Δだけずれる。
【0082】
すなわち、圧電素子121-1および圧電素子121-2が屈曲した場合、圧電素子121-1の面のうち、圧電素子121-2に隣接する側の面である面143-1-2が、圧電素子121-2の面のうち、圧電素子121-1の面143-1-2に隣接する側の面である面143-2-1に対して、電圧が印可されたときに屈曲して変位する変位端142-1と留め端141-1とを結ぶ方向にずれる。
【0083】
なお、圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とが弾性を有する接着部材123により接着されていると説明したが、これに限らず、圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とを弾性を有する粘着部材により粘着するようにしてもよい。
【0084】
以下、圧電素子121-1および圧電素子121-2を区別する必要がない場合、単に、圧電素子121と称する。
【0085】
なお、圧電駆動素子101は、圧電素子121-1および圧電素子121-2を含み構成されていると説明したが、これに限らず、3枚の圧電素子121または4枚の圧電素子121など、所望の数の圧電素子121を含むように構成することができる。
【0086】
また、圧電駆動素子101に含まれる圧電素子121-1および圧電素子121-2または圧電素子121は、同じ方式であっても、異なる方式であってもよい。例えば、圧電素子121-1をバイモルフ方式とし、圧電素子121-2をユニモルフ方式とするようにしてもよい。また、例えば、圧電駆動素子101が3枚の圧電素子121を含む場合、2枚の圧電素子121をバイモルフ方式として、1枚の圧電素子121を直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の圧電素子とするようにしてもよい。
【0087】
図10は、本発明の実施の形態の圧電駆動素子201の構成の例を説明する斜視図である。図11は、圧電駆動素子201の構成の例を説明する側面図である。
【0088】
圧電駆動素子201は、全体として、略直方形状の板状に形成されている。圧電駆動素子201は、外部から印加される電圧により帯電し、屈曲する。このとき、圧電駆動素子201の一方の端部は、他方の端部に対して、板状の面に対して交差する向きに変位する。圧電駆動素子201は、所定の力を発生して、圧電駆動素子201の他方の端部は、所定の長さだけ変位する。すなわち、圧電駆動素子201は、電圧が印加されると、屈曲により外部に駆動力を供給することができる。
【0089】
圧電駆動素子201は、圧電素子221-1、圧電素子221-2、留め具222および接着部材223を含み構成されている。圧電素子221-1および圧電素子221-2は、それぞれ、略直方形状の薄板状に形成されている圧電素子である。圧電素子221-1および圧電素子221-2は、それぞれ、バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる。圧電素子221-1および圧電素子221-2は、圧電素子221-1に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部と圧電素子221-2に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部とが重なるように、直方形状の薄板状となるように重ねられている。
【0090】
なお、圧電素子221-1および圧電素子221-2は、それぞれ、図3を参照して説明したバイモルフ方式である圧電素子21と同様の構成とすることができる。また、圧電素子221-1および圧電素子221-2は、それぞれ、図4を参照して説明した直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる圧電素子21と同様の構成とすることができる。さらにまた、圧電素子221-1および圧電素子221-2は、それぞれ、図5を参照して説明したユニモルフ方式である圧電素子21と同様の構成とすることができる。
【0091】
留め具222は、樹脂、金属または複合材料などにより形成されている。留め具222は、電圧が印可されたときに屈曲して変位する、重ねられている圧電素子221-1および圧電素子221-2の端部のうち、一方の端部である留め端241-1および留め端241-2を留めている。言い換えれば、留め具222は、重ねられている圧電素子221-1および圧電素子221-2の一方の端部である留め端241-1および留め端241-2を固定している。
【0092】
また、圧電素子221-1および圧電素子221-2は、圧電素子221-1に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部である変位端242-1と圧電素子221-2に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部である変位端242-2とが重なるように、直方形状の薄板状となるように重ねられている。変位端242-1および変位端242-2は、電圧が印可されたときに屈曲して変位する、重ねられている圧電素子221-1および圧電素子221-2の端部のうち、他方の端部である。
【0093】
このように、留め端241-1と留め端241-2とが重なり、変位端242-1と変位端242-2とが重なるように、圧電素子221-1の留め端241-1および圧電素子221-2の留め端241-2が留め具222によって留められている。
【0094】
略矩形の薄板状に形成されている圧電素子221-1には、面243-1-1および面243-1-2が形成されている。例えば、面243-1-1は、上側の面である。例えば、面243-1-2は、下側の面である。同様に、略矩形の薄板状に形成されている圧電素子221-2には、面243-2-1および面243-2-2が形成されている。例えば、面243-2-1は、上側の面である。例えば、面243-2-2は、下側の面である。圧電素子221-1および圧電素子221-2が略直方形状の板状となるように、圧電素子221-1の面243-1-2の全体は、圧電素子221-2の面243-2-1の全体に重ねられている。また、圧電素子221-1の面243-1-2は、圧電素子221-2の面243-2-1に隣接している。
【0095】
なお、圧電素子221-1の面243-1-2と圧電素子221-2の面243-2-1とが平行するように、圧電素子221-1および圧電素子221-2は配置されている。また、圧電素子221-1の面243-1-2と圧電素子221-2の面243-2-1とが、所定の角度で交差する向きに圧電素子221-1および圧電素子221-2を配置するようにしてもよい。例えば、圧電素子221-1の面243-1-2に沿って前後方向に延びる仮想的な直線と圧電素子221-2の面243-2-1に沿って前後方向に延びる仮想的な直線とが、変位端242-1および変位端242-2より前で交差するように、圧電素子221-1および圧電素子221-2を配置することができる。
【0096】
接着部材223は、弾性を有し、圧電素子221-1の面243-1-2と、圧電素子221-2の面243-2-1とを接着している。例えば、接着部材123は、弾性を有し、圧電素子221-1の面243-1-2の全体と、圧電素子221-2の面243-2-1の全体とを接着している。接着部材223は、弾性を有し、圧電素子221-1および圧電素子221-2が屈曲した場合、圧電素子221-1および圧電素子221-2からの力で変形して、圧電素子221-1の面243-1-2と圧電素子221-2の面243-2-1とのずれを妨げない。すなわち、接着部材223は、圧電素子221-1および圧電素子221-2からの力で変形する。言い換えれば、接着部材223は、圧電素子221-1および圧電素子221-2からの力で変形する程度の弾性を有する。
【0097】
圧電素子221-1および圧電素子221-2が屈曲した場合、圧電素子221-1の面243-1-2は、圧電素子221-2の面243-2-1に対して、留め端241-1と変位端242-1とを結ぶ方向にずれる。
【0098】
図12は、屈曲している圧電駆動素子201の状態を示す図である。図12中の下側の点線で囲まれている部分は、図12中の上側の点線で囲まれている部分を拡大して示す。
【0099】
拡大されている部分に示される、圧電素子221-1のCで示される線の位置と、圧電素子221-2のC‘で示される線の位置とは、圧電駆動素子201が屈曲していない場合、Y軸方向で一致している。
【0100】
圧電駆動素子201が屈曲すると、拡大されている部分に示されるように、圧電素子221-1のCで示される線の位置と、圧電素子221-2のC‘で示される線の位置とは、Y軸方向に微小の変位量Δだけずれる。
【0101】
すなわち、圧電素子221-1および圧電素子221-2が屈曲した場合、圧電素子221-1の面のうち、圧電素子221-2に隣接する側の面である面243-1-2が、圧電素子221-2の面のうち、圧電素子221-1の面243-1-2に隣接する側の面である面243-2-1に対して、電圧が印可されたときに屈曲して変位する変位端242-1と留め端241-1とを結ぶ方向にずれる。
【0102】
以下、圧電素子221-1および圧電素子221-2を区別する必要がない場合、単に、圧電素子221と称する。
【0103】
なお、圧電駆動素子201は、圧電素子221-1および圧電素子221-2を含み構成されていると説明したが、これに限らず、3枚の圧電素子221または4枚の圧電素子221など、所望の数の圧電素子221を含むように構成することができる。
【0104】
また、圧電駆動素子201に含まれる圧電素子221-1および圧電素子221-2または圧電素子221は、同じ方式であっても、異なる方式であってもよい。例えば、圧電素子221-1をバイモルフ方式とし、圧電素子221-2をユニモルフ方式とするようにしてもよい。また、例えば、圧電駆動素子201が3枚の圧電素子221を含む場合、2枚の圧電素子221をバイモルフ方式として、1枚の圧電素子221を直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の圧電素子とするようにしてもよい。
【0105】
次に、圧電駆動素子101および圧電駆動素子201の変位量および発生力の測定結果を説明する。なお、以下で測定された圧電駆動素子101および圧電駆動素子201に用いられたバイモルフ方式の圧電素子121またはバイモルフ方式の圧電素子221の変位量および発生力は、それぞれ、1.33mmおよび0.5Nである。また、以下の測定では、複数の圧電素子121または複数の圧電素子221が、それぞれ、同じ向きに変形するように、圧電駆動素子101または圧電駆動素子201に電圧を印加した。
【0106】
圧電駆動素子201の圧電素子221-1の面243-1-2の全体と、圧電素子221-2の面243-2-1の全体とを粘着部材であるゴム系両面テープで粘着した場合、圧電駆動素子101の圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とを粘着部材であるゴム系両面テープで粘着した場合、圧電駆動素子201の圧電素子221-1の面243-1-2の全体と、圧電素子221-2の面243-2-1の全体とを接着部材223であるゴム系接着剤で接着した場合、圧電駆動素子101の圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とを接着部材123であるゴム系接着剤で接着した場合のそれぞれについて説明する。
【0107】
【表1】
【0108】
表1は、圧電駆動素子201の圧電素子221-1の面243-1-2の全体と、圧電素子221-2の面243-2-1の全体とを粘着部材であるゴム系両面テープで粘着した場合の圧電駆動素子201の発生力および変位量、圧電駆動素子101の圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とを粘着部材であるゴム系両面テープで粘着した場合の圧電駆動素子101の発生力および変位量、圧電駆動素子201の圧電素子221-1の面243-1-2の全体と圧電素子221-2の面243-2-1の全体とを接着部材223であるゴム系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子201の発生力および変位量、圧電駆動素子101の圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とを接着部材123であるゴム系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子101の発生力および変位量を示す。
【0109】
圧電駆動素子201の圧電素子221-1の面243-1-2の全体と、圧電素子221-2の面243-2-1の全体とを粘着部材であるゴム系両面テープで粘着した場合の圧電駆動素子201の変位量および発生力は、それぞれ、1.073mmおよび0.9Nである。3枚の圧電素子221の面の全体を粘着部材であるゴム系両面テープで粘着した場合の圧電駆動素子201の変位量および発生力は、それぞれ、0.983mmおよび1.4Nである。
【0110】
圧電駆動素子101の圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とを粘着部材であるゴム系両面テープで粘着した場合の圧電駆動素子101の変位量および発生力は、それぞれ、1.089mmおよび1.0Nである。3枚の圧電素子121の端部を粘着部材であるゴム系両面テープで粘着した場合の圧電駆動素子101の変位量および発生力は、それぞれ、0.876mmおよび1.4Nである。
【0111】
図13は、ゴム系両面テープで粘着した場合の圧電駆動素子101および圧電駆動素子201のそれぞれの発生力および変位量を示すグラフである。図13において、黒丸は、圧電駆動素子101の発生力および変位量を示し、黒四角は、圧電駆動素子201の発生力および変位量を示す。
【0112】
図13に示されるように、1.33mmである圧電素子121または圧電素子221の変位量に比較すると、圧電駆動素子101および圧電駆動素子201のそれぞれの変位量は、1mm近辺となり、1枚の圧電素子121または圧電素子221の変位量に近い、より大きな変位量が得られている。また、0.5Nである圧電素子121または圧電素子221の発生力に比較すると、2枚の圧電素子121を含む圧電駆動素子101および2枚の圧電素子221を含む圧電駆動素子201のそれぞれの発生力は、1N近辺となり、3枚の圧電素子121を含む圧電駆動素子101および3枚の圧電素子221を含む圧電駆動素子201のそれぞれの発生力は、1.4Nとなった。
【0113】
表1に戻り、圧電駆動素子201の圧電素子221-1の面243-1-2の全体と圧電素子221-2の面243-2-1の全体とを接着部材223であるゴム系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子201の変位量および発生力は、それぞれ、1.211mmおよび0.9Nである。3枚の圧電素子221の面の全体を接着部材223であるゴム系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子201の変位量および発生力は、それぞれ、1.167mmおよび1.2Nである。
【0114】
さらに、圧電駆動素子101の圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とを接着部材123であるゴム系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子101の変位量および発生力は、それぞれ、1.164mmおよび0.9Nである。3枚の圧電素子121の端部を接着部材123であるゴム系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子101の変位量および発生力は、それぞれ、1.200mmおよび1.2Nである。
【0115】
図14は、ゴム系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子101および圧電駆動素子201のそれぞれの発生力および変位量を示すグラフである。図14において、黒丸は、圧電駆動素子101の発生力および変位量を示し、黒四角は、圧電駆動素子201の発生力および変位量を示す。
【0116】
図14に示されるように、1.33mmである圧電素子121または圧電素子221の変位量に比較すると、圧電駆動素子101および圧電駆動素子201のそれぞれの変位量は、1.2mm近辺となり、1枚の圧電素子121または圧電素子221の変位量に近い、より大きな変位量が得られている。また、0.5Nである圧電素子121または圧電素子221の発生力に比較すると、2枚の圧電素子121を含む圧電駆動素子101および2枚の圧電素子221を含む圧電駆動素子201のそれぞれの発生力は、0.9Nとなり、3枚の圧電素子121を含む圧電駆動素子101および3枚の圧電素子221を含む圧電駆動素子201のそれぞれの発生力は、1.2Nとなった。
【0117】
このように、圧電駆動素子101および圧電駆動素子201によれば、より簡単な構成で、より大きな発生力およびより大きな変位が得られる。
【0118】
次に、圧電駆動素子201の圧電素子221-1の面243-1-2の全体と圧電素子221-2の面243-2-1の全体とを接着部材223であるシリル化ウレタン樹脂系接着剤で接着した場合、圧電駆動素子101の圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とを接着部材123であるシリル化ウレタン樹脂系接着剤で接着した場合のそれぞれについて説明する。
【0119】
【表2】
【0120】
表2は、圧電駆動素子201の圧電素子221-1の面243-1-2の全体と圧電素子221-2の面243-2-1の全体とを接着部材223であるシリル化ウレタン樹脂系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子201の発生力および変位量、圧電駆動素子101の圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とを接着部材123であるシリル化ウレタン樹脂系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子101の発生力および変位量を示す。
【0121】
圧電駆動素子201の圧電素子221-1の面243-1-2の全体と圧電素子221-2の面243-2-1の全体とを接着部材223であるシリル化ウレタン樹脂系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子201の変位量および発生力は、それぞれ、0.884mmおよび0.9Nである。3枚の圧電素子221の面の全体を接着部材223であるシリル化ウレタン樹脂系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子201の変位量および発生力は、それぞれ、0.723mmおよび1.4Nである。
【0122】
また、圧電駆動素子101の圧電素子121-1の変位端142-1側の端部と、圧電素子121-2の変位端142-2側の端部とを接着部材123であるシリル化ウレタン樹脂系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子101の変位量および発生力は、それぞれ、1.072mmおよび0.9Nである。3枚の圧電素子121の端部を接着部材123であるシリル化ウレタン樹脂系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子101の変位量および発生力は、それぞれ、0.602mmおよび0.9Nである。
【0123】
図15は、シリル化ウレタン樹脂系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子101および圧電駆動素子201のそれぞれの発生力および変位量を示すグラフである。図15において、黒丸は、圧電駆動素子101の発生力および変位量を示し、黒四角は、圧電駆動素子201の発生力および変位量を示す。
【0124】
図15に示されるように、1.33mmである圧電素子121または圧電素子221の変位量に比較すると、2枚の圧電素子121を含む圧電駆動素子101および2枚の圧電素子121を含む圧電駆動素子201のそれぞれの変位量は、1.0mm近辺となり、1枚の圧電素子121または圧電素子221の変位量に近い、より大きな変位量が得られている。3枚の圧電素子121を含む圧電駆動素子101および3枚の圧電素子121を含む圧電駆動素子201のそれぞれの変位量は、0.7mm近辺となり、より大きな変位量が得られている。
【0125】
また、0.5Nである圧電素子121または圧電素子221の発生力に比較すると、2枚の圧電素子121を含む圧電駆動素子101および2枚の圧電素子221を含む圧電駆動素子201のそれぞれの発生力は、0.9Nとなり、3枚の圧電素子121を含む圧電駆動素子101および3枚の圧電素子221を含む圧電駆動素子201のそれぞれの発生力は、0.9Nまたは1.4Nとなった。
【0126】
ここで、対比のため、弾性を有せず、剛性の高い接着剤を用いた場合の圧電駆動素子の発生力および変位量を示す。圧電駆動素子の圧電素子の面または端部をエポキシ系接着剤で接着した場合および圧電駆動素子の圧電素子の面または端部をシアノアクリレート接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量について説明する。
【0127】
【表3】
【0128】
表3は、圧電駆動素子の圧電素子の面または端部をエポキシ系接着剤で接着した場合および圧電駆動素子の圧電素子の面または端部をシアノアクリレート接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量を示す。
【0129】
2枚の圧電素子の面をエポキシ系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量は、それぞれ、0.362mmおよび0.5Nである。3枚の圧電素子の面をエポキシ系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量は、それぞれ、0.213mmおよび0.7Nである。
【0130】
2枚の圧電素子の端部をエポキシ系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量は、それぞれ、0.181mmおよび0.4Nである。3枚の圧電素子の端部をエポキシ系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量は、それぞれ、0.234mmおよび0.6Nである。
【0131】
また、2枚の圧電素子の面をシアノアクリレート接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量は、それぞれ、0.389mmおよび0.7Nである。3枚の圧電素子の面をシアノアクリレート接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量は、それぞれ、0.263mmおよび1.1Nである。
【0132】
2枚の圧電素子の端部をシアノアクリレート接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量は、それぞれ、0.411mmおよび0.7Nである。3枚の圧電素子の端部をシアノアクリレート接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量は、それぞれ、0.392mmおよび0.9Nである。
【0133】
図16は、圧電素子の面または端部をエポキシ系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量を示すグラフである。図16において、黒四角は、圧電素子の面をエポキシ系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量を示し、黒丸は、圧電素子の端部をエポキシ系接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量を示す。
【0134】
図16に示されるように、1.33mmである圧電素子の変位量に比較すると、圧電素子の面をエポキシ系接着剤で接着しても、圧電素子の端部をエポキシ系接着剤で接着しても、圧電素子の変位量は、0.4mm以下となる。特に、3枚の圧電素子をエポキシ系接着剤で接着すると、圧電素子の変位量は、0.2mm近辺となる。
【0135】
また、0.5Nである圧電素子の発生力に比較すると、2枚の圧電素子の面をエポキシ系接着剤で接着するか、または2枚の圧電素子の端部をエポキシ系接着剤で接着すると、圧電素子の発生力は、0.5N以下となる。3枚の圧電素子をエポキシ系接着剤で接着すると、圧電素子の発生力は、0.7N以下となる。
【0136】
図17は、圧電素子の面または端部をシアノアクリレート接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量を示すグラフである。図17において、黒四角は、圧電素子の面をシアノアクリレート接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量を示し、黒丸は、圧電素子の端部をシアノアクリレート接着剤で接着した場合の圧電駆動素子の発生力および変位量を示す。
【0137】
図17に示されるように、1.33mmである圧電素子の変位量に比較すると、圧電素子の面をシアノアクリレート接着剤で接着しても、圧電素子の端部をシアノアクリレート接着剤で接着しても、圧電素子の変位量は、概ね0.4mm以下となる。
【0138】
また、0.5Nである圧電素子の発生力に比較すると、2枚の圧電素子の面をシアノアクリレート接着剤で接着するか、または2枚の圧電素子の端部をシアノアクリレート接着剤で接着すると、圧電素子の発生力は、0.7Nとなる。3枚の圧電素子をシアノアクリレート接着剤で接着すると、圧電素子の発生力は、1.1N以下となる。
【0139】
以上のように、圧電駆動素子11、圧電駆動素子101および圧電駆動素子201によれば、より簡単な構成で、より大きな発生力およびより大きな変位が得られる。
【0140】
このように、圧電駆動素子11は、圧電素子21-1と圧電素子21-2とを含む。圧電素子21-1は、バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の圧電素子である。圧電素子21-2は、バイモルフ方式であるか若しくはユニモルフ方式であるか、または直方形状の薄板状の複数の圧電材を固着させてなる、直方形状の薄板状の圧電素子である。
【0141】
圧電素子21-1に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部と圧電素子21-2に電圧が印可されたときに屈曲して変位する端部とが重なるように、圧電素子21-1と圧電素子21-2とが直方形状の薄板状となるように重ねられている。
【0142】
電圧が印可されたときに屈曲して変位する、重ねられている端部のうち、一方の端部である留め端41-1および留め端41-2が留められている。
【0143】
圧電素子21-1および圧電素子21-2が屈曲した場合、圧電素子21-1の面のうち、圧電素子21-2に隣接する側の面である面43-1-2が、圧電素子21-2の面のうち、圧電素子21-1の面43-1-2に隣接する側の面である面43-2-1に対して、電圧が印可されたときに屈曲して変位する変位端42-1および変位端42-2と留め端41-1および留め端41-2とを結ぶ方向にずれる。
【0144】
面43-1-2と面43-2-1とが、すべるように密着しているようにすることができる。
【0145】
面43-1-2と面43-2-1との間に、所定の隙間を設けることができる。
【0146】
面243-1-2と面243-2-1とを、弾性を有する接着部材223で接着することができる。
【0147】
面243-1-2と面243-2-1とを、弾性を有する粘着部材223で粘着することができる。
【0148】
変位端142-1および変位端142-2を、弾性を有する接着部材123で接着することができる。
【0149】
変位端142-1および変位端142-2を、弾性を有する粘着部材123で粘着することができる。
【0150】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0151】
11 圧電駆動素子, 21-1および21-2 圧電素子, 22 留め具, 41-1および41-2 留め端, 42-1および42-2 変位端, 43-1-1,43-1-2,43-2-1および43-2-2 面, 51-1および51-2 圧電材, 52 プレート, 53-1-1,53-1-2,53-2-1および53-2-2 電極膜, 54-1および54-2 接着剤層, 55-1および55-2 ソルダーレジスト, 71-1および71-2 圧電材, 72-1-1,72-1-2,72-2-1および72-2-2 電極膜, 73 接着剤層, 74-1および74-2 ソルダーレジスト, 91 圧電材, 92 プレート, 93-1および93-2 電極膜, 94 接着剤層, 95 ソルダーレジスト, 101 圧電駆動素子, 121-1および121-2 圧電素子, 122 留め具, 123 接着部材, 141-1および141-2 留め端, 142-1および142-2 変位端, 143-1-1,143-1-2,143-2-1および143-2-2 面, 201 圧電駆動素子, 221-1および221-2 圧電素子, 222 留め具, 223 接着部材, 241-1および241-2 留め端, 242-1および242-2 変位端, 243-1-1,243-1-2,243-2-1および243-2-2 面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17