(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107723
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】表示切替装置、スイッチ、および電気機器
(51)【国際特許分類】
G09F 19/12 20060101AFI20240802BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240802BHJP
G09F 13/04 20060101ALI20240802BHJP
G09F 13/00 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G09F19/12 F
G02B3/00 A
G09F13/04 J
G09F13/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011807
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】森 裕都
(72)【発明者】
【氏名】倉田 剛大
(72)【発明者】
【氏名】岡安 裕
(72)【発明者】
【氏名】上辻 康人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇人
(72)【発明者】
【氏名】三品 匡央
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA24
5C096AA27
5C096BA01
5C096BB02
5C096BB10
5C096BB49
5C096BC05
5C096BC06
5C096BC15
5C096BC20
5C096CA02
5C096CA13
5C096CA14
5C096CB03
5C096CC06
5C096CH02
5C096FA11
5C096FA12
5C096FA17
5C096FA18
(57)【要約】
【課題】曲面を有する電気機器などへ組み込みやすい表示切替装置を実現する。
【解決手段】表示切替装置(11)は、レンズアレイ(44)と表示部(43)とを備え、レンズアレイの少なくとも一部分において、(1)光入射面の平均面の曲面が凹で、かつ、光出射面の平均面の曲面が凸である、または、(2)光入射面の平均面の曲面が凸で、かつ、光出射面の平均面の曲面が凹である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、
複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
表示部と、を備え、
前記表示部は、複数の前記光源から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を備え、
前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されており、
前記レンズアレイの少なくとも一部分において、光入射面の平均面および光出射面の平均面が曲面となっており、(1)前記光入射面の平均面の曲面が凹で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凸である、または、(2)前記光入射面の平均面の曲面が凸で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凹である、表示切替装置。
【請求項2】
前記光入射面の平均面の曲面、および、前記光出射面の平均面の曲面は、当該曲面に沿う第1の方向において曲率が0より大きく、かつ、前記第1の方向とは異なる、当該曲面に沿う第2の方向において曲率が0である、請求項1に記載の表示切替装置。
【請求項3】
前記光入射面の平均面の曲面が凹で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凸である、請求項2に記載の表示切替装置。
【請求項4】
前記光入射面側に前記レンズが形成されており、前記光入射面の平均面の曲面の曲率よりも、前記光出射面の平均面の曲面の曲率の方が大きい、請求項3に記載の表示切替装置。
【請求項5】
前記光入射面の平均面の曲面が凸で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凹である、請求項2に記載の表示切替装置。
【請求項6】
前記光入射面の平均面の曲面、および、前記光出射面の平均面の曲面は、当該曲面に沿う第1の方向において曲率が0より大きく、かつ、前記第1の方向とは異なる、当該曲面に沿う第2の方向においても曲率が0より大きい、請求項1に記載の表示切替装置。
【請求項7】
前記光出射面の平均面の曲面は、球面または楕円体面の一部を含んでいる、請求項1に記載の表示切替装置。
【請求項8】
前記光出射面の平均面の曲面において、該曲面の中心を含む中央領域の周辺に配置される外縁領域の曲率が、前記中央領域の曲率よりも大きい、請求項1に記載の表示切替装置。
【請求項9】
前記レンズアレイの光出射側に、透明な材料で形成された透明部材層がさらに設けられている、請求項1に記載の表示切替装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の表示切替装置を備え、前記表示切替装置に対するユーザの操作を検知するスイッチ。
【請求項11】
請求項10に記載のスイッチを備え、前記スイッチにより動作が行われる電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示画像を切り替える表示切替装置、当該表示切替装置を備えるスイッチ、および当該スイッチを備える電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、設計によってレンチキュラー媒体に形成された個々の画像を選択的に照明する照明源を含むレンチキュラー画像カードの自動目視用のバックライト表示デバイスが開示されている。当該バックライト表示デバイスにおいては、ディスプレイの照明源は、各画像を順番に連続して照明するために、カードの視距離および選択された視角に適合して、レンチキュラー画像カードの微小レンズ側を通じて光を向ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているデバイスの表面は平面である。このため、曲面を有する電気機器などへは組み込みにくいという問題があった。
【0005】
本開示の一態様は、曲面を有する電気機器などへ組み込みやすい表示切替装置などを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る表示切替装置は、複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、複数のレンズが配列されたレンズアレイと、表示部と、を備え、前記表示部は、複数の前記光源から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を備え、前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されており、前記レンズアレイの少なくとも一部分において、光入射面の平均面および光出射面の平均面が曲面となっており、(1)前記光入射面の平均面の曲面が凹で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凸である、または、(2)前記光入射面の平均面の曲面が凸で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凹である。
【0007】
上記の構成によれば、各種機器または部材に曲面が存在する場合に、その曲面部分で表示を行う表示切替装置を提供することができる。よって、表示切替装置を組み込むことが可能な機器および部材のバリエーションを大幅に拡大することができる。
【0008】
また、光入射面と光出射面とで、面が曲がっている方向が同じとなるので、レンズアレイの体積を少なくすることができる。よって、部品コストの低減および装置重量の低減を実現することができる。
【0009】
また、本開示の一態様に係る表示切替装置において、前記光入射面の平均面の曲面、および、前記光出射面の平均面の曲面は、第1の方向において曲率が0より大きく、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向において曲率が0であってよい。
【0010】
上記の構成によれば、1つの方向にのみ曲率を有するような面で表示を行う表示切替装置を提供することができる。
【0011】
また、本開示の一態様に係る表示切替装置において、前記光入射面の平均面の曲面が凹で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凸であってよい。
【0012】
上記の構成によれば、レンズアレイの光入射面の平均面の曲面が凹であるので、光源と該曲面上の各位置との距離のばらつきを低減することができる。よって、レンズアレイの各レンズにおける集光性能をより均質にすることができるとともに、各レンズから出射される光の光量もより均一にすることができる。
【0013】
また、本開示の一態様に係る表示切替装置は、前記光入射面側に前記レンズが形成されており、前記光入射面の平均面の曲面の曲率よりも、前記光出射面の平均面の曲面の曲率の方が大きくてよい。
【0014】
光入射面側にレンズが形成されている場合に、光入射面の平均面の曲面の曲率を大きくしすぎると、レンズアレイを射出成型する場合に、該光入射面の型抜きが困難になるという問題がある。これに対して、上記の構成によれば、光入射面の平均面の曲面の曲率を大きくしたい場合にも、当該光入射面の平均面の曲面の曲率を型抜きが可能な程度とすることが可能となる。
【0015】
また、本開示の一態様に係る表示切替装置は、前記光入射面の平均面の曲面が凸で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凹であってよい。
【0016】
上記の構成によれば、レンズアレイの光出射面の平均面の曲面が凹であるので、表示切替装置を視認する利用者と、該曲面上の各位置との距離のばらつきを低減することができる。よって、表示部のどの位置における表示内容も視認しやすい表示切替装置を提供することができる。
【0017】
また、例えば、押すときの感触を考慮し、押込み面が凹形状となっている押しボタンにおいて、該押込み面で表示を行う表示切替装置を提供することができる。
【0018】
また、本開示の一態様に係る表示切替装置において、前記光入射面の平均面の曲面、および、前記光出射面の平均面の曲面は、第1の方向において曲率が0より大きく、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向においても曲率が0より大きくてよい。
【0019】
上記の構成によれば、2つの方向で曲率を有するような面で表示を行う表示切替装置を提供することができる。
【0020】
また、本開示の一態様に係る表示切替装置は、前記光出射面の平均面の曲面は、球面または楕円体面の一部を含んでいてよい。
【0021】
上記の構成によれば、球面または楕円体面で表示を行う表示切替装置を提供することができる。
【0022】
また、本開示の一態様に係る表示切替装置の、前記光出射面の平均面の曲面において、該曲面の中心を含む中央領域の周辺に配置される外縁領域の曲率が、前記中央領域の曲率よりも大きくてよい。
【0023】
上記の構成によれば、例えばボタン形状のような、中央領域で曲率が小さく、外縁領域で曲率が大きくなっているような面で表示を行う表示切替装置を提供することができる。また、外縁領域で曲率が大きくなっていることにより、該曲面から出射される光の光軸の方向に対して、より大きな角度で出射される光の量を増やすことができる。よって、より広い視野角からの視認性を向上させることができる。
【0024】
また、本開示の一態様に係る表示切替装置は、前記レンズアレイの光出射側に、透明な材料で形成された透明部材層がさらに設けられていてよい。
【0025】
上記の構成によれば、レンズアレイの光出射面の曲面形状とは異なる光出射面の曲面形状の透明部材層を設けることができるので、表示切替装置としての光出射面の曲面形状の自由度を向上させることができる。よって、例えばレンズアレイの光出射面の曲面の曲率に、レンズ形成の構造上の理由で上限がある場合でも、より大きな曲率を有する光出射面の表示切替装置を提供することが可能となる。
【0026】
また、本開示の一態様に係るスイッチは、上記のいずれかの態様の表示切替装置を備え、前記表示切替装置に対するユーザの操作を検知する。
【0027】
上記の構成によれば、上記のいずれかの態様の表示切替装置と同様の効果を奏する。
【0028】
また、本開示の一態様に係る電気機器は、上記の態様のスイッチを備え、前記スイッチにより動作が行われる。
【0029】
上記の構成によれば、上記のスイッチと同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0030】
本開示の一態様によれば、曲面を有する電気機器などへ組み込みやすい表示切替装置などを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本開示の適用例に係る表示切替装置の基本構成を示す模式図である。
【
図2】(a)~(d)は、それぞれ
図1における表示部の切替表示例を示す図である。
【
図3】
図1における表示部、マイクロレンズアレイを構成するレンズおよび光源の対応関係を示す図である。
【
図4】本開示の構成例に係る表示切替装置の要部の構成を示す図である。
【
図5】光入射面の平均面の曲面、および、光出射面の平均面の曲面の、それぞれにおける曲率を示す図である。
【
図6】本開示の構成例に係る表示切替装置の動作を示す図である。
【
図7】本開示の構成例に係る表示切替装置を備えるスイッチの例を示す図である。
【
図8】本開示の第1の変形例に係る表示切替装置の要部の構成を示す図である。
【
図9】本開示の第2の変形例に係る表示切替装置の要部の構成を示す図である。
【
図10】本開示の第3の変形例に係る表示切替装置の要部の構成を示す図である。
【
図11】本開示の第3の変形例に係る表示切替装置を備えるスイッチの例を示す図である。
【
図12】本開示の第3の変形例に係る表示切替装置が備えるレンズアレイの、
図10に示した例とは別の形状の例を示す斜視図である。
【
図13】本開示の第4の変形例に係る表示切替装置の要部の構成を示す図である。
【
図14】本開示の第4の変形例に係る表示切替装置を備えるスイッチの例を示す図である。
【
図15】本開示の第5の変形例に係る表示切替装置の要部の構成を示す図である。
【
図16】本開示の第6の変形例に係る表示切替装置の要部の構成を示す図である。
【
図17】本開示の第7の変形例に係る表示切替装置の要部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0033】
§1 適用例
図1は、本適用例に係る表示切替装置11の基本構成を示す模式図である。
図1に示すように、表示切替装置11は、図面における上から下の順に、光吸収部材2と、光拡散部材3と、表示集光部4と、複数の光源5と、基板6とを備える。
【0034】
以下では一例として、表示切替装置11を文字入力用のキーボードのキートップとして適用する場合について説明する。以下で説明する各部材のサイズは、キートップに適用した場合に好適な例を示している。
【0035】
光吸収部材2は、上面視で正方形であり、辺長が14mmである。また、光源5は、4つがあり、RGBLEDであることが好ましく、隣接する光源5同士の距離が8mmである。しかしながら、必要に応じて光源5を含まなくてもよい。この場合、ユーザが光源を用意することになる。
【0036】
一例として、光吸収部材2は、スモークにより構成され、その厚さが1mmである。光吸収部材2の透過率が例えば20%であることが好ましい。
【0037】
光吸収部材2の下方に設けられた光拡散部材3は、その厚さが0.1mmであり、ヘイズ値が90%であることが好ましい。また、光吸収部材2と光拡散部材3との詳細は後述する。
【0038】
表示集光部4は、表示部43とマイクロレンズアレイ(以下、レンズアレイと略称する)44とを備えている。表示部43は、画像層41と、マトリクス層42とからなり、表示すべき画像(表示画像)Pを表示する。画像層41は、その厚さが0.1mmである。マトリクス層42は、例えば画素領域45a(開口、以下同様)と、画素領域45a以外の領域である画素周囲領域45b(マスク、以下同様)とを備える。画像層41と、マトリクス層42とは接合されている。なお、ここでいう「画素周囲領域45b」とは、画素領域45aのそれぞれの周囲にあって、透過率が一定である領域を指す。また、画素周囲領域45bは光源側からの光、すなわち、レンズアレイ44が配置されている側からの光を遮光する。
【0039】
表示部43の下方に設けられたレンズアレイ44は、基板6に取付けられた複数の光源5が射出する光を集光する。その厚さが0.4mmである。レンズアレイ44は、複数のレンズが配列されて構成される。
【0040】
表示部43は、画素領域45aを複数備える。画素領域45aは、複数の光源5の位置から出射され、レンズアレイ44のそれぞれのレンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される領域である。画素領域45aのそれぞれにおける透過率が、所定の静止図柄に対応して設定されている。
【0041】
光吸収部材2と、光拡散部材3と、表示部43と、レンズアレイ44とは、筐体7により支持される。さらに、複数の光源5が取付けられた基板6に筐体7を取付けることにより表示切替装置11の基本構成がなされる。また、表示切替装置11は、光吸収部材2の上方に損傷防止用の保護層を備えてもよい。基板6と筐体7との詳細は後述する。また、光源5の上端部からレンズアレイ44の下端部までの距離が20mmである。
【0042】
以上のような構成の表示切替装置11において、複数の光源5の位置からの光の照射が切り替えられることによって表示画像Pが切り替えられる。なお、光源5の点灯・消灯の切替は、図示しない光源制御部によって行われる。光源制御部は、例えばキーボード内の基板に設けられたICチップなどによって構成され、例えばPC本体からの指示に基づいて光源制御が行われる。
【0043】
図2の(a)~(d)は、それぞれ表示部43の切替表示例を示す図である。
図2の(a)は、表示部43(画像層41)に表示される表示例であり、(b)は表示される図柄の例示であり、(c)は(a)のA部の拡大図であり、(d)は(c)のB部の拡大図である。
【0044】
図2に示す表示例では、例えば同一の画像層に第3の画像P3(例示では平仮名「き」)と、第4の画像P4(例示では図柄「△」)と、第5の画像P5(例示では大文字のアルファベット「G」)と、第6の画像P6(例示では数字「6」)とを切替えて表示することができる。
【0045】
図2の(d)に示すように、一例として、表示部43全体を、1つの区域に最大4つの画素領域45aを含むように複数の区域(複数の画素)に区切って表示を切り替えることが可能である。
【0046】
ここで、一例として、隣接する区域のピッチが約200μmで、同一区域内の隣接する画素領域45a間の距離が約100μmで、複数の画素領域45aの直径が30~80μmであることが挙げられる。また、
図2の(d)に示すように、表示部43の画素領域45a以外の領域は画素周囲領域45bとなっている。
【0047】
図3は、表示部43、レンズアレイ44を構成するレンズおよび光源5の対応関係を示す図である。
図3に示す光源5a~5dは、例えばそれぞれ白光、緑光、赤光、青光を出射する光源とする。
【0048】
図3において、2つの画素が例示され、前記各光源からの光はレンズアレイ44に集光されてそれぞれ対応する画素領域45aから出射する。各画素がそれぞれ画素領域45aと、画素周囲領域45bに分割されている。
【0049】
§2 構成例
図4は、本開示の構成例に係る表示切替装置11の要部の構成を示す図である。
図4に示すように、表示切替装置11は、表示部43およびレンズアレイ44を備える。また、表示切替装置11は、
図1に示したとおり、光吸収部材2、光拡散部材3、表示集光部4、複数の光源5、および基板6をさらに備えていてよい。
【0050】
レンズアレイ44は、光入射面441および光出射面442を有する。本構成例においては、レンズアレイ44の、光入射面441の側に複数のレンズが形成されている。ただし、本開示に係る表示切替装置においては、光出射面442の側に複数のレンズが形成されていてもよい。
【0051】
光入射面441および光出射面442のそれぞれにおいて、表面を平面または曲面に近似した面を平均面と称する。レンズアレイ44の少なくとも一部分において、光入射面441の平均面および光出射面442の平均面は、曲面となっている。
図4においては、レンズアレイ44の全体において、光入射面441の平均面および光出射面442の平均面が曲面となっている。
【0052】
本開示に係る表示切替装置11においては、
図4に示す例では、光入射面441の平均面の曲面が凹で、かつ、光出射面442の平均面の曲面が凸である。また、後述するように、光入射面441の平均面の曲面が凸で、かつ、光出射面442の平均面の曲面が凹であってもよい。本明細書における凹であるとは、レンズアレイ44の表面からレンズアレイ44の外部へ向かう方向を前方とした場合における、後方にへこんでいることを意味する。また、本明細書における凸であるとは、レンズアレイ44の表面からレンズアレイ44の外部へ向かう方向を前方とした場合における、前方に突出していることを意味する。このような形状の場合、光入射面441と光出射面442とで、面が曲がっている方向が同じとなるので、レンズアレイ44の体積を少なくすることができる。よって、表示切替装置11の部品コストの低減および重量の低減を実現することができる。
【0053】
図4に示すように、レンズアレイ44において、光入射面441の平均面の曲面は凹である。また、光出射面442の平均面の曲面は凸である。これにより、光源5(
図1等参照)と光入射面441の平均面上の各位置との距離のばらつきを低減できる。よって、レンズアレイ44の各レンズにおける集光性能をより均質にすることができるとともに、各レンズから出射される光の光量もより均一にすることができる。
【0054】
レンズアレイ44において、光入射面441の平均面の曲面の曲率、および光出射面442の平均面の曲面の曲率は、位置によって異なっていてもよい。例えば、平面形状のレンズアレイ44が折れ曲がった形状であってもよい。この場合、折れ曲がった部分の曲率が局部的に大きくなっており、その他の平面部分の曲率が0となる。また、この場合、表示部43も折れ曲がったレンズアレイ44に沿う形状であってもよい。なお、折れ曲がった部分には、レンズアレイ44におけるレンズおよび表示部43における画素領域が形成されていない構造であってもよい。
【0055】
本構成例において、光入射面441の平均面の曲面、および、光出射面442の平均面の曲面は、当該曲面に沿う第1の方向において曲率が0より大きく、かつ、第1の方向とは異なる、当該曲面に沿う第2の方向において曲率が0である。
図4においては、紙面に垂直な方向が第2の方向である。これにより、表示切替装置11は、1つの方向にのみ曲率を有するような面で表示を行うことができる。
【0056】
レンズアレイ44は、成形品が上記の形状となるような金型を用いた射出成型によって形成されてよい。または、レンズアレイ44は、成形品の光入射面441および光出射面442が平面となるような金型を用いた射出成型によって形成されたレンズアレイを湾曲させることで形成されてもよい。
【0057】
図5は、光入射面441の平均面の曲面、および、光出射面442の平均面の曲面の、それぞれにおける曲率を示す図である。
図5に示す例では、光入射面441の平均面の曲面の曲率よりも、光出射面442の平均面の曲面の曲率の方が大きい。
【0058】
光入射面441の側に複数のレンズが形成されている場合に、光入射面441の平均面の曲面の曲率を大きくしすぎると、レンズアレイ44を射出成型により形成する場合に、光入射面441の型抜きが困難になる可能性がある。レンズアレイ44が
図5に示す形状を有することで、光入射面441の平均面の曲面の曲率を大きくしたい場合にも、当該曲率を、レンズアレイ44の型抜きが可能な程度に制限することが可能となる。
【0059】
図6は、表示切替装置11の動作を示す図である。
図6には、表示切替装置11が備える表示部43およびレンズアレイ44に加えて、光源5としての光源5e,5fが示されている。また、
図6には、画素領域45aとしての画素領域45aa,45abが示されている。画素領域45aa,45abはそれぞれ、互いに異なる画像を表示するための画素領域45aである。
【0060】
光源5eから出射された光は、レンズアレイ44により、画素領域45aaのそれぞれに集光される。光源5fから出射された光は、レンズアレイ44により、画素領域45aaとは別の画素領域45abのそれぞれに集光される。したがって、表示切替装置11によれば、発光させる光源を切り替えることで、表示する画像を切り替えることができる。
【0061】
図7は、表示切替装置11を備えるスイッチ110の例を示す図である。
図7に示す例では、スイッチ110として、円筒形状を有し、軸方向に押し下げる操作、または、軸回りに回転させる操作などによってスイッチ動作を行う機器が想定される。円筒形状の側面は、1つの方向にのみ曲率を有するような面の一例である。表示切替装置11は、スイッチ110が有する円筒形状の側面に備えられてもよいし、円筒形状の部材の側面での表示部として設けられてもよい。
【0062】
§3 変形例
<3.1>
図8は、本開示の第1の変形例に係る表示切替装置11Aの要部の構成を示す図である。
図8に示すように、表示切替装置11Aは、表示切替装置11と同じ表示部43およびレンズアレイ44を備える。
図8においては、レンズアレイ44は、マイクロレンズL0~L6を備える。
【0063】
表示切替装置11Aは、複数の光源5としての、第1光源群に属する光源51A~57Aと、第2光源群に属する光源51B~57Bとを備えている。また、表示切替装置11Aは、画素領域として、画素領域4A(第1画素領域)を含む第1画素領域群と、画素領域4B(第2画素領域)を含む第2画素領域群とを含む。
【0064】
図8に示す表示切替装置11Aの第1画素領域群に含まれる画素領域4Aには、第1光源群に属する光源51Aから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL0によって集光された後に照射される。また、画素領域4Aには、第1光源群に属する光源52Aから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL1によって集光された後に照射される。また、画素領域4Aには、第1光源群に属する光源53Aから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL2によって集光された後に照射される。また、画素領域4Aには、第1光源群に属する光源54Aから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL3によって集光された後に照射される。また、画素領域4Aには、第1光源群に属する光源55Aから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL4によって集光された後に照射される。また、画素領域4Aには、第1光源群に属する光源56Aから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL5によって集光された後に照射される。また、画素領域4Aには、第1光源群に属する光源57Aから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL6によって集光された後に照射される。本実施形態においては、画素領域4Aに7つの異なる光源51A~57Aからの光が異なるマイクロレンズL0~L6を介して照射される場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはない。
【0065】
同様に、
図8に示す表示切替装置11Aの第2画素領域群に含まれる画素領域4Bには、第2光源群に属する光源51Bから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL0によって集光された後に照射される。また、画素領域4Bには、第2光源群に属する光源52Bから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL1によって集光された後に照射される。また、画素領域4Bには、第2光源群に属する光源53Bから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL2によって集光された後に照射される。また、画素領域4Bには、第2光源群に属する光源54Bから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL3によって集光された後に照射される。また、画素領域4Bには、第2光源群に属する光源55Bから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL4によって集光された後に照射される。また、画素領域4Bには、第2光源群に属する光源56Bから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL5によって集光された後に照射される。また、画素領域4Bには、第2光源群に属する光源57Bから出射された光がレンズアレイ44のマイクロレンズL6によって集光された後に照射される。本実施形態においては、画素領域4Bに7つの異なる光源51B~57Bからの光が異なるマイクロレンズL0~L6を介して照射される場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはない。表示切替装置11Aによれば、画素領域4A(第1画素領域)および画素領域4B(第2画素領域)それぞれの表示の均一性を改善できる。さらに、画素領域4A(第1画素領域)と画素領域4B(第2画素領域)との間の輝度の均一性も改善することができる。したがって、表示切替装置11Aの大型化および薄型化も可能となる。
【0066】
図8に示すように、第1光源群に属する光源51Aと第2光源群に属する光源51Bとは、第1配置領域内に配置される。また、第2光源群に属する光源52Aと第2光源群に属する光源52Bとは、第2配置領域内に配置される。前記第1配置領域と前記第2配置領域とは互いに隣接している。第1光源群に属する光源53A~57Aおよび第2光源群に属する光源53B~57Bについても同様である。
【0067】
なお、表示切替装置11Aにおいては、特定の角度から明るく見えるように、例えば、第1光源群に属する光源56A~57Aおよび第2光源群に属する光源56B~57Bまたは、第1光源群に属する光源51A~52Aおよび第2光源群に属する光源51B~52Bのみを点灯してもよい。さらには、特定の角度から明るく見えるように、例えば、第1光源群に属する光源56A~57Aおよび第2光源群に属する光源56B~57Bまたは、第1光源群に属する光源51A~52Aおよび第2光源群に属する光源51B~52Bのみを基板6上に設けてもよい。
【0068】
<3.2>
図9は、本開示の第2の変形例に係る表示切替装置11Bの要部の構成を示す図である。
図9に示すように、表示切替装置11Bは、表示部43Bおよびレンズアレイ44Bを備える。また、表示切替装置11Bは、表示切替装置11などと同様に、光吸収部材2、光拡散部材3、表示集光部4、複数の光源5、および基板6をさらに備えていてよい。表示部43Bは、レンズアレイ44Bに沿う形状を有する点を除いて表示部43と同一の構成を有する。
【0069】
図9に示すように、レンズアレイ44Bにおいては、光入射面441の側に複数のレンズが形成されている。さらに、レンズアレイ44Bにおいては、光入射面441の平均面の曲面が凸で、かつ、光出射面442の平均面の曲面が凹である。表示部43Bは、レンズアレイ44Bに沿う形状を有する点においてのみ表示部43と相違する。
【0070】
表示切替装置11Bにおいては、レンズアレイ44Bが上記の形状を有することで、表示切替装置11Bを視認する利用者と、レンズアレイ44Bの光出射面442の平均面の曲面上の、各位置との距離のばらつきを低減することができる。よって、表示部43のどの位置における表示内容も視認しやすくなる。
【0071】
また、表示切替装置11Bを備える装置の利用者により押下される押しボタンには、押下するときの感触を考慮し、押込み面が凹形状となっているものがある。表示切替装置11Bは、このような押しボタンに適用可能である。
【0072】
<3.3>
図10は、本開示の第3の変形例に係る表示切替装置11Cの要部の構成を示す図である。
図10に示すように、表示切替装置11Cは、レンズアレイ44Cを備える。また、表示切替装置11Cは、レンズアレイ44Cの光出射面442に沿う形状の表示部(不図示)を備える。表示切替装置11Cは、表示切替装置11などと同様に、光吸収部材2、光拡散部材3、表示集光部4、複数の光源5、および基板6をさらに備えていてよい。
【0073】
図10において、曲線A1は、レンズアレイ44Cの、光入射面441の平均面および光出射面442の平均面における、第1の方向に沿う曲線である。また、曲線A2は、レンズアレイ44Cの、光入射面441の平均面および光出射面442の平均面における、第2の方向に沿う曲線である。
【0074】
図10に示すように、レンズアレイ44Cにおいては、光入射面441の平均面の曲面、および、光出射面442の平均面の曲面は、当該曲面に沿う第1の方向において曲率が0より大きく、かつ、前記第1の方向とは異なる、当該曲面に沿う第2の方向においても曲率が0より大きい。レンズアレイ44Cがこのような形状を有することで、表示切替装置11Cは、2つの方向で曲率を有する面で表示を行うことができる。
【0075】
図10に示す例においては、第1の方向における曲率中心C1および第2の方向における曲率中心C2が、いずれもレンズアレイ44Cに対して光入射面441の側に存在する。第1の方向におけるレンズアレイ44Cの曲率半径はR1であり、第2の方向におけるレンズアレイ44Cの曲率半径はR2である。すなわち、第1の方向におけるレンズアレイ44Cの曲率は1/R1であり、第2の方向におけるレンズアレイ44Cの曲率は1/R2である。R1およびR2の値は、互いに一致していてもよく、互いに異なっていてもよい。
【0076】
図10において、面S1は、曲線A1を含む平面である。また、面S2は、曲線A2を含む平面である。面S1と面S2とがなす角θは、90°であってもよく、90°とは異なる角度であってもよい。ただし、角θが90°である場合には、レンズアレイ44Cの加工および評価が容易になる。
【0077】
図11は、表示切替装置11Cを備えるスイッチ120の例を示す図である。
図11に示す例では、スイッチ120は、自動車のステアリングホイールの一部分に設けられている。このため、スイッチ120は、円筒を湾曲させた形状の部位を有する。円筒を湾曲させた形状の部位の側面は、2つの方向で曲率を有する面の一例である。表示切替装置11Cは、ステアリングホイールの一部分に設けられたボタン状のスイッチ120に設けられていてもよいし、ステアリングホイールの一部分に設けられた表示部として設けられていてもよい。
【0078】
図12は、レンズアレイ44Cの、
図10に示した例とは別の形状の例を示す斜視図である。
図12において、符号1201および符号1202は、レンズアレイ44Cの形状の、互いに異なる例を示す図である。
【0079】
符号1201に示す例では、第1の方向におけるレンズアレイ44Cの曲率中心C1は、レンズアレイ44Cに対して光出射面442側に位置する。一方、第2の方向におけるレンズアレイ44Cの曲率中心C2は、レンズアレイ44Cに対して光入射面441側に位置する。符号1202に示す例では、第1の方向におけるレンズアレイ44Cの曲率中心C1および第2の方向におけるレンズアレイ44Cの曲率中心C2は、いずれもレンズアレイ44Cに対して光出射面442側に位置する。符号1201,1202に示した形状を有するレンズアレイ44Cも、それぞれの形状に対応する、2つの方向で曲率を有するような面で表示を行うことができる。
【0080】
<3.4>
図13は、本開示の第4の変形例に係る表示切替装置11Dの要部の構成を示す図である。
図13に示すように、表示切替装置11Dは、レンズアレイ44Dを備える。また、表示切替装置11Dは、レンズアレイ44Dの光出射面442に沿う形状の表示部(不図示)を備える。表示切替装置11Dは、表示切替装置11などと同様に、光吸収部材2、光拡散部材3、表示集光部4、複数の光源5、および基板6をさらに備えていてよい。
図13において、符号1301および符号1302は、レンズアレイ44Dの形状の互いに異なる例を示す。
【0081】
図13の符号1301に示す例では、レンズアレイ44Dの光出射面442の平均面の曲面は、仮想的な球面B1の一部を含んでいる。
図13の符号1302に示す例では、レンズアレイ44Dの光出射面442の平均面の曲面は、仮想的な楕円体面B2の一部を含んでいる。このように、表示切替装置11Dにおいて、光出射面442の平均面の曲面は、球面B1または楕円体面B2の一部を含んでいる。表示切替装置11Dによれば、球面または楕円体面で表示を行うことができる。
【0082】
図14は、表示切替装置11Dを備えるスイッチ130の例を示す図である。スイッチ130は、先端に球状の部位を有するレバー状の形状を有する。表示切替装置11Dは、スイッチ130が有する球状の部位の表面に備えられている。
【0083】
<3.5>
図15は、本開示の第5の変形例に係る表示切替装置11Eの要部の構成を示す図である。
図15に示すように、表示切替装置11Eは、表示部43Eおよびレンズアレイ44Eを備える。また、表示切替装置11Eは、表示切替装置11などと同様に、光吸収部材2、光拡散部材3、表示集光部4、複数の光源5、および基板6をさらに備えていてよい。表示部43Eは、レンズアレイ44Eに沿う形状を有する点を除いて表示部43と同一の構成を有する。
【0084】
図15に示すように、レンズアレイ44Eは、中央領域Rcおよび外縁領域Reを有する。中央領域Rcは、レンズアレイ44Eの光出射面442の平均面の曲面の中心を含む領域である。外縁領域Reは、中央領域Rcの周辺に配置される領域である。
【0085】
レンズアレイ44Eの光出射面442の平均面の曲面においては、外縁領域Reの曲率が、中央領域Rcの曲率よりも大きい。表示切替装置11Eによれば、例えばボタンのような、中央領域Rcで曲率が小さく、外縁領域Reで曲率が大きくなっているような形状の面で表示を行うことができる。
【0086】
また、レンズアレイ44Eにおいては、外縁領域Reで曲率が大きくなっていることにより、外縁領域Reの曲面から出射される光の光軸の方向に対して、より大きな角度で出射される光の量を増やすことができる。よって、表示切替装置11Eによれば、より広い視野角からの視認性を向上させることができる。
【0087】
<3.6>
図16は、本開示の第6の変形例に係る表示切替装置11Fの要部の構成を示す図である。
図16に示すように、表示切替装置11Fは、表示部43F、レンズアレイ44F、および透明部材層46を備える。また、表示切替装置11Fは、表示切替装置11などと同様に、光吸収部材2、光拡散部材3、表示集光部4、複数の光源5、および基板6をさらに備えていてよい。
図16には、透明部材層46の構造が互いに異なる6種類の表示切替装置11Fの例が、符号1601~1606で示されている。
【0088】
表示切替装置11Fは、レンズアレイ44Fの光出射側に透明部材層46を備える点で、表示切替装置11と相違する。透明部材層46は、透明な材料で形成された層である。透明部材層46の材料としては、透光性を有する樹脂またはガラス等を特に制限なく用いることができる。
【0089】
透明部材層46は、レンズアレイ44Fに接触していてもよく、レンズアレイ44Fとの間に隙間が存在していてもよい。また、透明部材層46とレンズアレイ44Fとの間に隙間が存在する場合、当該隙間に接着剤などが充填されていてもよい。
【0090】
符号1601に示す例では、表示部43Fおよびレンズアレイ44Fの構成は、表示切替装置11における表示部43およびレンズアレイ44の構成と同じである。透明部材層46は、位置に応じて厚みの異なる形状を有する。符号1601に示す例では、透明部材層46の厚さは、レンズアレイ44Fの中央の近傍では厚く、レンズアレイ44Fの外縁に向かうにつれて薄くなっている。ただし、透明部材層46の、位置に応じた厚さは、これに限られない。
【0091】
符号1602に示す例では、レンズアレイ44Fの構成は、表示切替装置11Cにおけるレンズアレイ44Cの構成と同じである。表示部43Fの構成は、レンズアレイ44Fの光出射側の面に沿う形状を有する点を除いて、表示部43の構成と同じである。透明部材層46は、位置に応じて厚みの異なる形状を有する。符号1602に示す例では、透明部材層46の厚さは、レンズアレイ44Fの中央の近傍では厚く、レンズアレイ44Fの外縁に向かうにつれて薄くなっている。ただし、透明部材層46の、位置に応じた厚さは、これに限られない。
【0092】
符号1601,1602に示す例では、レンズアレイ44Fの光出射面442の曲面形状とは異なる曲面形状の透明部材層46を設けることができるので、表示切替装置11Fとしての光が出射される面の、曲面形状の自由度を向上させることができる。よって、例えば光出射面442の曲面の曲率に、レンズ形成の構造上の理由で上限がある場合でも、光が出射される面がより大きな曲率を有する表示切替装置を提供することが可能となる。
【0093】
符号1603に示す例では、表示部43Fおよびレンズアレイ44Fの構成は、表示切替装置11における表示部43およびレンズアレイ44の構成と同じである。透明部材層46は、着色されているか、または光の透過率を調整されている。具体的には、着色料、または光の透過率を変化させる添加剤が透明部材層46に添加されている。これにより、表示切替装置11F、および表示切替装置11Fを備えるスイッチ等のデザイン性が向上する。また、符号1603に示す例では、透明部材層46は、位置によらず一定の厚みを有する。
【0094】
符号1604に示す例では、表示部43Fおよびレンズアレイ44Fの構成は、表示切替装置11における表示部43およびレンズアレイ44の構成と同じである。透明部材層46は、光が入射する側の面に、光を拡散させる拡散層46aを有している。拡散層46aは、光を拡散させる拡散シート、光を拡散させるインキが印刷された層、または光を拡散させる構造であってよい。これにより、表示切替装置11Fの視野角特性が向上する。
【0095】
符号1605に示す例では、表示部43Fおよびレンズアレイ44Fの構成は、表示切替装置11における表示部43およびレンズアレイ44の構成と同じである。透明部材層46は、光の反射率を調整する反射率調整層を備えている。反射率調整層は、透明もしくは不透明なカラー層、またはハーフミラーの層であってよい。
【0096】
符号1606に示す例では、表示部43Fおよびレンズアレイ44Fの構成は、表示切替装置11における表示部43およびレンズアレイ44の構成と同じである。透明部材層46は、光が入射する側の面の一部に、光を遮る遮光層46bを有している。遮光層46bは、表示切替装置11Fの意図しない発光を遮光できる。符号1606においては、遮光層46bは、透明部材層46の端部近傍に位置している。したがって、遮光層46bは、表示切替装置11Fの端部の、意図しない発光を遮光できる。ただし、遮光層46bの位置は、透明部材層46の端部近傍に限られない。
【0097】
図16に示したいずれの例においても、透明部材層46は、表示部43Fの光出射側に配されている。ただし、透明部材層46は、レンズアレイ44Fの光出射側に配されていればよく、例えばレンズアレイ44Fと表示部43Fとの間に配されていてもよい。
【0098】
また、透明部材層46が表示部43Fの光出射側に配されている場合には、透明部材層46の光が出射する側の面は、表示切替装置11Fの外部に露出する。この場合には、透明部材層46の光が出射する側の面に、透明部材層46に傷がつくことを防止するコーティングが設けられていてもよい。
【0099】
<3.7>
上述した構成例および変形例のいずれにおいても、光入射面441の平均面の曲面、および光出射面442の平均面の曲面についてのみ説明してきた。しかし、本開示に係る表示切替装置は、平均面の全体が曲面でなくてもよい。
【0100】
図17は、本開示の第7の変形例に係る表示切替装置11Gの要部の構成を示す図である。
図17に示すように、表示切替装置11Gは、表示部43Gおよびレンズアレイ44Gを備える。
図17において、符号1701および符号1702は、レンズアレイ44Gの形状の互いに異なる例を示す。また、表示切替装置11Gは、表示切替装置11などと同様に、光吸収部材2、光拡散部材3、表示集光部4、複数の光源5、および基板6をさらに備えていてよい。表示部43Gは、レンズアレイ44Gに沿う形状を有する点を除いて表示部43と同一の構成を有する。
【0101】
レンズアレイ44Gは、平面領域Raと曲面領域Rbとを有する。平面領域Raは、光入射面441の平均面および光出射面442の平均面が平面である領域である。曲面領域Rbは、光入射面441の平均面および光出射面442の平均面が曲面である領域である。
図17の符号1701に示す例では、曲面領域Rbにおいて、光入射面441の平均面が凹であり、光出射面442の平均面が凸である。
図17の符号1702に示す例では、曲面領域Rbにおいて、光入射面441の平均面が凸であり、光出射面442の平均面が凹である。
図17に示す例では、レンズアレイ44Gの中央近傍に曲面領域Rbが位置し、曲面領域Rbの外側に平面領域Raが位置している。このような表示切替装置11Gによっても、対応する形状を有する面で表示を行うことができる。
【0102】
ただし、レンズアレイ44Gにおける平面領域Raと曲面領域Rbとの位置関係は、
図17に示した例に限定されない。例えば、レンズアレイ44Gにおける一方の側に平面領域Raが位置し、他方の側に曲面領域Rbが位置してもよい。また、レンズアレイ44Gの中央近傍に平面領域Raが位置し、平面領域Raの外側に曲面領域Rbが位置してもよい。
【0103】
<3.8>
本開示の技術的範囲には、以上の構成例および変形例に係る表示切替装置の他、該表示切替装置を備え、該表示切替装置に対するユーザの操作を検知するスイッチが含まれる。さらに、本開示の技術的範囲には、上記のスイッチを備え、該スイッチにより動作が行われる電気機器が含まれる。
【0104】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0105】
〔付記事項〕
本開示は以下のようにも表現できる。
【0106】
本開示の態様1に係る表示切替装置は、複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、複数のレンズが配列されたレンズアレイと、表示部と、を備え、前記表示部は、複数の前記光源から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を備え、前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されており、前記レンズアレイの少なくとも一部分において、光入射面の平均面および光出射面の平均面が曲面となっており、(1)前記光入射面の平均面の曲面が凹で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凸である、または、(2)前記光入射面の平均面の曲面が凸で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凹である。
【0107】
本開示の態様2に係る表示切替装置は、態様1において、前記光入射面の平均面の曲面、および、前記光出射面の平均面の曲面は、第1の方向において曲率が0より大きく、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向において曲率が0であってよい。
【0108】
本開示の態様3に係る表示切替装置は、態様1または2において、前記光入射面の平均面の曲面が凹で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凸であってよい。
【0109】
本開示の態様4に係る表示切替装置は、態様1から3のいずれかにおいて、前記光入射面側に前記レンズが形成されており、前記光入射面の平均面の曲面の曲率よりも、前記光出射面の平均面の曲面の曲率の方が大きくてよい。
【0110】
本開示の態様5に係る表示切替装置は、態様1または2において、前記光入射面の平均面の曲面が凸で、かつ、前記光出射面の平均面の曲面が凹であってよい。
【0111】
本開示の態様6に係る表示切替装置は、態様1において、前記光入射面の平均面の曲面、および、前記光出射面の平均面の曲面は、第1の方向において曲率が0より大きく、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向においても曲率が0より大きくてよい。
【0112】
本開示の態様7に係る表示切替装置は、態様1において、前記光出射面の平均面の曲面は、球面または楕円体面の一部を含んでいてよい。
【0113】
本開示の態様8に係る表示切替装置は、態様1から6のいずれかの、前記光出射面の平均面の曲面において、該曲面の中心を含む中央領域の周辺に配置される外縁領域の曲率が、前記中央領域の曲率よりも大きくてよい。
【0114】
本開示の態様9に係る表示切替装置は、態様1から8のいずれかにおいて、前記レンズアレイの光出射側に、透明な材料で形成された透明部材層がさらに設けられていてよい。
【0115】
本開示の態様10に係るスイッチは、態様1から9のいずれかの表示切替装置を備え、前記表示切替装置に対するユーザの操作を検知する。
【0116】
本開示の態様11に係る電気機器は、態様10のスイッチを備え、前記スイッチにより動作が行われる。
【符号の説明】
【0117】
5、5a、5e、5e,5f、5f、51A、51B、52A、52B、53A、53B、54A、54B、55A、55B、56A、56B、57A、57B 光源
11、11A、11B、11C、11D、11E、11F、11G 表示切替装置
41、43、43B、43E、43F、43G 表示部
42、44、44B、44C、44D、44E、44F、44G レンズアレイ
4A、4B、45a、45aa、45ab 画素領域
441 光入射面
442 光出射面