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特開2024-107727搬送システム、搬送車両用ステーション、及びステーション進入方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107727
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】搬送システム、搬送車両用ステーション、及びステーション進入方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240802BHJP
【FI】
G05D1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011811
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】北澤 匡哉
(72)【発明者】
【氏名】冨松 熱志
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD05
5H301DD15
5H301EE07
5H301EE13
5H301FF06
5H301FF13
5H301GG08
5H301HH10
(57)【要約】
【課題】自律的に走行する搬送車両であっても、ステーションの停車スペースに対して正確に進入して停止する。
【解決手段】ステーション1は、停車スペースPsへの進入口120を定める左右の脚部100、102と、停車スペースPsの左右の境界を規定する左右の横壁130、132と、左右の脚部100、102における一方の脚部100に配置され、検出光を反射する第1進入用反射板140と、左右の脚部100、102における他方の脚部102に配置され、検出光を反射する第2進入用反射板141と、左右の横壁130、132のうち一方の横壁130に配置され、検出光を反射する停止用反射板145と、を含む。第1進入用反射板140及び第2進入用反射板141は、停車スペースPsに進入するAMR2と向かい合うように配置され、停止用反射板145は、他方の横壁132と向かい合うように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に照射した検出光の反射光を受光して周囲の物体を検出するセンサの検出結果に基づいて自律的に走行して、搬送物を搬送する搬送車両と、
前記搬送車両が進入して停車するための停車スペースを形成するとともに、前記停車スペースの上方に前記搬送物を載置可能な支持部が設けられたステーションと、を備え、
前記ステーションは、
前記停車スペースに進入する前記搬送車両からみて左右に離隔して配置され、前記停車スペースへの進入口を定める左右の構造体と、
前記搬送車両が前記停車スペースに進入する進入方向に沿って設けられ、前記停車スペースの左右の境界を規定する左右の横ガイドと、
前記左右の構造体における一方の構造体に配置され、前記検出光を反射する第1反射板と、
前記左右の構造体における他方の構造体に配置され、前記検出光を反射する第2反射板と、
前記左右の横ガイドのうち一方の横ガイドに配置され、前記検出光を反射する第3反射板と、を含み、
前記第1反射板及び前記第2反射板は、前記停車スペースに進入する前記搬送車両と向かい合うように配置され、
前記第3反射板は、他方の横ガイドと向かい合うように配置される
搬送システム。
【請求項2】
前記第3反射板は、前記停車スペースに進入する前記搬送車両からみて、前記第1及び第2反射板よりも前記停車スペースの奥側に配置される
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記センサは、前記進入方向における前記搬送車両前方の左右端部のうち一方の端部に搭載されており、
前記第3反射板が設けられる前記一方の横ガイドは、前記左右の横ガイドのうち、前記停車スペースに進入する前記搬送車両からみて、前記搬送車両に搭載された前記センサと同じ側にある横ガイドである
請求項1に記載される搬送システム。
【請求項4】
前記第1及び第2反射板の反射範囲は、前記第3反射板の反射範囲よりも大きい
請求項1に記載される搬送システム。
【請求項5】
前記一方の横ガイドは、前記進入方向と平行に延在する横壁から構成される
請求項1に記載される搬送システム。
【請求項6】
前記搬送車両は、
前記センサの検出結果に基づいて、前記搬送車両の走行を制御する制御部を含む
請求項1に記載される搬送システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記ステーションの前記進入口に向かって走行する場合には、前記センサによって検出される、前記搬送車両に対する前記第1及び第2反射板の相対位置に基づいて前記搬送車両の走行を制御する
請求項6に記載される搬送システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記搬送車両が前記進入口に接近すると、前記センサによって前記一方の横ガイドを検索し、
前記一方の横ガイドまでの距離に基づいて前記搬送車両の走行を制御する
請求項7に記載される搬送システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記センサによって前記第3反射板が検索されると、前記搬送車両に対する前記第3反射板の相対位置に基づいて前記搬送車両の走行を停止させる
請求項8に記載される搬送システム。
【請求項10】
前記搬送車両は、
前記搬送車両が走行する環境の地図データを記憶する地図記憶部をさらに含み、
前記制御部は、
前記進入口に対して所定距離だけ手前に設定されるスキャン位置に到達するまでは、前記地図データと前記センサの検出結果とのマッチングから前記搬送車両の位置を推定し、推定結果に基づいて前記搬送車両の走行を制御し、
前記スキャン位置に到達してから前記進入口に向かって走行する
請求項7に記載される搬送システム。
【請求項11】
搬送物を搬送する搬送車両が進入して停車するための停車スペースの上方に設けられ、前記搬送物を載置可能な支持部と、
前記停車スペースに進入する前記搬送車両からみて左右に離隔して配置され、前記停車スペースへの進入口を定める左右の構造体と、
前記搬送車両が前記停車スペースに進入する進入方向に沿って設けられ、前記停車スペースの左右の境界を規定する左右の横ガイドと、
前記搬送車両が自律走行するためのセンサから照射される検出光を反射する少なくとも3つの反射板と、を備え、
前記3つの反射板は、
前記左右の構造体における一方の構造体に配置される第1反射板と、
前記左右の構造体における他方の構造体に配置される第2反射板と、
前記左右の横ガイドのうち一方の横ガイドに配置される第3反射板と、を含み、
前記第1反射板及び前記第2反射板は、前記停車スペースに進入する前記搬送車両と向かい合うように配置され、
前記第3反射板は、他方の横ガイドと向かい合うように配置される
搬送車両用ステーション。
【請求項12】
コンピュータが自律的に走行を制御する搬送車両をステーションに進入させるステーション進入方法において、
前記ステーションには、搬送物を搬送する搬送車両が進入して停車するための停車スペースの上方に前記搬送物を載置可能な支持部が設けられており、周囲に照射した検出光の反射光を受光して周囲の物体を検出するセンサによって、前記停車スペースへの進入口の左右に位置する第1反射板及び第2反射板を検出し、
前記センサによって検出される、前記搬送車両に対する前記第1及び第2反射板の相対位置に基づいて、前記搬送車両を前記進入口に向かって走行させ、
前記搬送車両が前記進入口に接近すると、前記センサによって、前記停車スペースの左右の境界を規定する左右の横ガイドのうちの一方の横ガイドを検出し、
前記センサによって検出される前記一方の横ガイドまでの距離に基づいて、前記搬送車両を走行させ、
前記センサによって、前記一方の横ガイドに配置される第3反射板を検出し、
前記センサによって検出される、前記搬送車両に対する前記第3反射板の相対位置に基づいて、前記搬送車両の走行を停止させる、
ステーション進入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム、搬送車両用ステーション、及びステーション進入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板金などの材料を加工する工場では、異なる種類の加工機を用いて継続性のある加工を行うことがある。例えば、レーザ切断加工機によって切り出された材料を、プレスブレーキによって所望の形状へと折り曲げるといった如くである。工場には、材料が搭載されたパレットを載置するためのステーションが加工機毎に設けられており、搬送車両がステーション間を行き来することで、材料の搬送が自動的に行われる。搬送車両は、AMR(Autonomous Mobile Robot)と称される自律移動ロボットであり、センサにより自己位置を推定して自律的に走行する機能を備えている。
【0003】
例えば特許文献1には、移動体の周囲環境に関わらず、移動体の自己位置を高精度に推定することができる位置推定システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-163455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステーションにおける搬送車両の停車スペースは限られている。そのため、自律的に走行するような搬送車両であっても、ステーションの停車スペースに対して正確に進入して停止することができる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の搬送システムは、周囲に照射した検出光の反射光を受光して周囲の物体を検出するセンサの検出結果に基づいて自律的に走行して、搬送物を搬送する搬送車両と、搬送車両が進入して停車するための停車スペースを形成するとともに、停車スペースの上方に搬送物を載置可能な支持部が設けられたステーションと、を備え、ステーションは、停車スペースに進入する搬送車両からみて左右に離隔して配置され、停車スペースへの進入口を定める左右の構造体と、搬送車両が停車スペースに進入する進入方向に沿って設けられ、停車スペースの左右を規定する左右の横ガイドと、左右の構造体における一方の構造体に配置され、検出光を反射する第1反射板と、左右の構造体における他方の構造体に配置され、検出光を反射する第2反射板と、左右の横ガイドのうち一方の横ガイドに配置され、検出光を反射する第3反射板と、を含み、第1反射板及び第2反射板は、停車スペースに進入する搬送車両と向かい合うように配置され、第3反射板は、他方の横ガイドと向かい合うように配置される。
【0007】
本発明の一態様の搬送システムによれば、停車スペースの進入口へと向かう搬送車両と相対するように配置された第1及び第2反射板により、搬送車両が進入口を適切に認識することができる。また、第3反射板は、他方の横ガイドと向かい合う状態で一方の横ガイドに配置されているので、進入口に向かって走行している搬送車両からは検出されにくい。進入口へ進入する際に、搬送車両が第3反射板を第1及び第2反射板と誤認識することを抑制することができる。これにより、進入口に対して搬送車両を正確に走行させることができる。
【0008】
加えて、ステーション内に第3反射板が存在することで、停車スペース内の所定の位置で搬送車両を正確に停車させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、搬送車両が自律的に走行しながら、ステーションに対して正確に進入して停車することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る搬送システムのシステム構成を示す説明図である。
図2図2は、搬送システムが適用される環境を説明する図である。
図3図3は、AMRの構成を示す斜視図である。
図4図4は、AMRの構成を示すブロック図である。
図5図5は、ステーションの構造を示す斜視図である。
図6図6は、ステーション進入に関するAMRの処理を示すフローチャートである。
図7図7は、ステーション進入に関するAMRの処理を示すフローチャートである。
図8図8は、スキャン位置に到達するまでのAMRの走行の様子を示す図である。
図9図9は、停車スペースに進入するまでのAMRの走行の様子を示す図である。
図10図10は、停車位置に停車するまでのAMRの走行の様子を示す図である。
図11図11は、ステーションの横ガイドの別の例を説明する図である。
図12図12は、ステーションの横ガイドの別の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本実施形態に係る搬送システム、搬送車両用ステーション、及びステーション進入方法について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る搬送システムのシステム構成を示す説明図である。本実施形態に係る搬送システムは、周囲に照射した検出光の反射光を受光して周囲の物体を検出するセンサ23a、23bの検出結果に基づいて自律的に走行して、パレット5(図示せず)を搬送するAMR(自律移動ロボット:Autonomous Mobile Robot)2と、AMR2が進入して停車するための停車スペースPsを形成するとともに、停車スペースPsの上方にパレット5を載置可能な支持部110が設けられたステーション1と、を備える。ステーション1は、停車スペースPsに進入するAMR2からみて左右に離隔して配置され、停車スペースPsへの進入口120を定める左右の脚部100、102と、AMR2が停車スペースPsに進入する進入方向に沿って設けられ、停車スペースPsの左右の境界を規定する左右の横壁130、132と、左右の脚部100、102における一方の脚部100に配置され、検出光を反射する第1進入用反射板140と、左右の脚部100、102における他方の脚部102に配置され、検出光を反射する第2進入用反射板141と、左右の横壁130、132のうち一方の横壁130に配置され、検出光を反射する停止用反射板145と、を含む。第1進入用反射板140及び第2進入用反射板141は、停車スペースPsに進入するAMR2と向かい合うように配置され、停止用反射板145は、他方の横壁132と向かい合うように配置される。
【0013】
本明細書では、AMR2の方向を、AMR2の進行方向FWを基準に定める。具体的には、AMR2の進行方向FW、進行方向FWに対して逆向き方向、進行方向FWに対して左側、進行方向FWに対して右側を、それぞれAMR2の前方向、後方向、左方向、右方向という。また、ステーション1の方向を、ステーション1の進入口120に対して正体した状態のAMR2からみた方向によって定める。具体的には、AMR2からみて近い側(手前側)、AMR2からみて遠い側(奥側)、AMR2からみて左側、AMR2からみて右側を、それぞれステーション1の前方向、後方向、左方向、右方向という。
【0014】
以下、本実施形態に係る搬送システムの詳細を説明する。図2は、搬送システムが適用される環境を説明する図である。本実施形態に係る搬送システムが適用される環境は、例えば工場である。工場には、材料に対して切断加工を行うレーザ切断加工機などの第1加工機7と、材料に対して曲げ加工を行うプレスブレーキなどの第2加工機8とが設けられている。この工場では、第1加工機7で材料を切断して所定の製品用の部品を作製する工程、第2加工機8で製品用の部品を折り曲げて所定の製品を作製する工程が行われる。
【0015】
搬送システムは、材料の搬送を自動で行うシステムである。搬送システムによる材料の搬送には、第1加工機7への材料(加工前の材料)の搬入、第1加工機7で加工された材料(製品用の部品)の搬出及び第2加工機8への搬入、第2加工機8で加工された材料(製品)の搬出などが含まれる。
【0016】
搬送システムは、2つのステーション1と、AMR2とで構成されている。2つのステーション1は、第1及び第2加工機7、8に対応して設けられている。個々のステーション1の構成は同一である。AMR2は、材料を載せたパレット(搬送物の一例)5を各ステーション1へと搬送することにより、各加工機7、8に対して材料の搬入及び搬出を行う。
【0017】
なお、図2に示す例において、工場には、2つの加工機7、8及び2つのステーション1が設けられているが、本実施形態はこれに限定されない。また、パレット5を搬送する、1台のAMR2が例示されているが、本実施形態はこれに限定されない。
【0018】
まず、図1図3及び図4を参照し、AMR2について説明する。図3は、AMRの構成を示す斜視図である。図4は、AMRの構成を示すブロック図である。
【0019】
AMR2は、周囲の物体に関する検出結果に基づいて自律的に走行して、パレット5を搬送する搬送車両である。AMR2は、図示していないバッテリを搭載しており、バッテリから供給される電力で走行する。
【0020】
図4に示すように、AMR2は、制御部21と、無線通信部22と、一対のセンサ23a、23bと、一対の駆動モータ24a、24bと、一対の車輪25a、25bと、リフタ駆動部26と、リフタ27と、地図記憶部29とを備えている。
【0021】
AMR2を構成するこれらの要素は、図3に示す車体200内に格納されている。車体200の天井部分を形成する天板210には、パレット5(図示せず)を搭載することができる。すなわち、AMR2は、天板210にパレット5を搭載した状態で走行することで、パレット5の搬送を行う。
【0022】
図4に示すように、制御部21は、例えばマイクロコンピュータなどのコンピュータで構成され、AMR2の動作を制御する。無線通信部22は、第1及び第2加工機7、8、或いは工場の生産を管理する管理装置などの外部装置と通信する。無線通信部22は、通信回路及び無線の送受信機によって構成することができる。
【0023】
一対のセンサ23a、23bは、互いに同じ構成を有するので、一方のセンサ23aの構成について説明する。センサ23aは、周囲に照射した検出光の反射光を受光して周囲の物体を検出する。例えば、センサ23aはLiDAR(Light Detection and Ranging)であり、AMR2の周囲に存在する物体までの距離を示す点群データを取得する。なお、センサ23a、23bは、ステレオカメラ、又はTOF(Time Of Flight)センサなどを用いてもよい。
【0024】
図1に示すように、一対のセンサ23a、23bのうち、一方のセンサ23aは、AMR2の車体200前方における左端部に配置され、他方のセンサ23bは、AMR2の車体200後方における右端部に配置される。一方のセンサ23aは、AMR2の前側正面よりも若干左向きに取り付けられている。一方のセンサ23aは、AMR2の前方及び左側方に存在する物体を検出することができる程度の検出範囲θb1を備えている。他方のセンサ23bは、AMR2の後側正面よりも若干右向きに取り付けられている。他方のセンサ23bは、AMR2の後方及び右側方に存在する物体を検出することができる程度の検出範囲θb2を備えている。このような一対のセンサ23a、23bの配置形態により、少ないセンサ数でも、AMR2の周囲全域を検出することができるようになっている。
【0025】
図4に示すように、一方の駆動モータ24aは、一方の車輪25aを回転駆動するモータであり、他方の駆動モータ24bは、他方の車輪25bを回転駆動するモータである。各駆動モータ24a、24bは、制御部21によって独立して制御可能である。
【0026】
図1に示すように、一対の車輪25a、25bは、左右に離隔した状態で車体200に配置されている。個々の車輪25a、25bは、車体200に対して向きが固定されている。図3に示すように、AMR2の進行方向FWは、一対の車輪25a、25bの回転方向R1に応じて定まる。図3に示す回転方向R1に対して逆向きに一対の車輪25a、25bが回転すれば、AMR2の進行方向FWも逆向きとなる。
【0027】
図4に示すように、リフタ駆動部26は、リフタ27を駆動する駆動部であり、例えばモータなどのアクチュエータによって構成されている。リフタ27は、天板210を上下に昇降させる機構である。AMR200の天板210にパレット5が載置されている状態でリフタ27が天板210を上昇させれば、パレット5が上方へと持ち上げられる。
【0028】
地図記憶部29は、AMR200が走行する環境、すなわち工場の地図データを記憶している。この地図データは、工場内をAMR200が事前に走行した際に得られる点群データから構成されている。地図記憶部29は、例えば不揮発性メモリなどで構成されている。
【0029】
このような構成のAMR2において、センサ23a、23bは、AMR2の周囲に検出光を照射し、その反射光を受光して周囲の物体を検出する。周囲物体の検出は、AMR2の周囲にある物体までの距離を示す点群データの検出に相当する。AMR2は、センサ23a、23bの検出結果に基づいて自律的に走行して、パレット5を搬送する。
【0030】
この自律走行において、制御部21は、地図記憶部29から読み出した地図データと、センサ23a、23bの検出結果とのマッチングからAMR2の位置(自己位置)を推定する。そして、制御部21は、自己位置の推定結果に基づいて駆動モータ24a、24bを制御することでAMR2の進路を変更し、これにより、工場内の目的位置までAMR2を走行させることができる。また、制御部21は、センサ23a、23bの検出結果から地図データには存在しない物体(障害物)を認識した場合には、駆動モータ24a、24bを制御することで、その物体を回避することができる。
【0031】
つぎに、図1及び図5を参照し、ステーション1について説明する。図5は、ステーションの構造を示す斜視図である。ステーション1は、4つの脚部100、101、102、103と、支持部110とで構成されている。
【0032】
図5に示すように、4つの脚部100、101、102、103は、略矩形状を有する支持部110の角部に配置されている。4つの脚部100、101、102、103によって囲まれる範囲は、AMR2が進入して停車するための停車スペースPsに相当する。
【0033】
支持部110は、4つの脚部100、101、102、103によって支持され、停車スペースPsの上方に配置されている。支持部110は、略矩形状を有する枠体であり、パレット5を載置可能に構成されている。支持部110の前側は、AMR2が進入可能なように開放されている。
【0034】
図1に示すように、前側にある一対の脚部100、102は、停車スペースPsに進入するAMR2からみて左右に離隔して配置されている。左右の脚部100、102は、停車スペースPsへの進入口120を定める左右の構造体に相当する。
【0035】
図5に示すように、左側にある一対の脚部100、101の間には、停車スペースPsの左境界を規定する左の横壁(左の横ガイドの一例)130が設けられている。左の横壁(以下「横壁」という)130は、上下方向に起立する板状の部材であり、AMR2が停車スペースPsに進入する進入方向である前後方向に沿って設けられている。また、左壁130は、前後方向に沿って面一に形成されている。
【0036】
右側にある一対の脚部102、103の間には、停車スペースPsの右境界を規定する右の横壁(右の横ガイドの一例)132が設けられている。右の横壁(以下「右壁」という)132の機能及び構造は、左壁130と同様である。
【0037】
図1に示すように、ステーション1は、第1進入用反射板140、第2進入用反射板141、及び停止用反射板145を備えている。各反射板140、141、145は、AMR2がステーション1に進入及び停車する際に利用される。各反射板140、141、145は、光(入射光)を反射する反射部材であり、AMR2に搭載された、前側のセンサ23aから照射される検出光を反射することができる。個々の反射板140、141、145は、例えばプリズム反射板で構成されている。各反射板140、141、145は、AMR2の周囲にある物体よりも高い輝度で検出光を反射させることができる。これにより、AMR2は、反射光の輝度レベルに応じて、反射板140、141、145を他の物体から区別して認識することができる。
【0038】
第1進入用反射板140は、左前にある脚部100に配置され、第2進入用反射板141は、右前にある脚部102に配置されている。第1及び第2進入用反射板140、141は、進入口120に向かうAMR2の走行をガイドするための反射板である。第1及び第2進入用反射板140、141は、停車スペースPsに進入するAMR2と向かい合うように、脚部100、102の前面に配置されている。具体的には、第1及び第2進入用反射板140、141は、その反射範囲θa1、θa2の中心が前後方向に沿うように配置されている。
【0039】
一方、停止用反射板145は、左壁130に配置されており、停車スペースPs内の規定の停車位置でAMR2を停車させるための反射板である。停止用反射板145は、停車スペースPsに進入するAMR2からみて、進入用反射板140、141よりも停車スペースPsの奥側(後方)に配置されている。図1に示す例では、停止用反射板145は、停車スペースPsの最も奥側、例えば左後の脚部101と同じ位置に配置されている。この停止用反射板145は、右壁132と向かい合うように配置されている。具体的には、停止用反射板145は、その反射範囲θa3の中心が、AMR2の進入方向と直交する方向である左右方向に沿うように配置されている。
【0040】
第1及び第2進入用反射板140、141は、停車スペースPsに進入前のAMR2から広く検出されることができるように、前方に向かって膨らんだ凸面形状を有している。これに対して、停止用反射板145は、平面形状を有している。したがって、第1及び第2進入用反射板140、141の反射範囲θa1、θa2は、停止用反射板145の反射範囲θa3よりも大きくなっている。ここで、「反射範囲」とは、検出光を反射板に入射させたときに一定の強度以上の反射光を維持することができる入射角の範囲をいう。
【0041】
ステーション1は、第1及び第2進入用反射板140、141、並びに停止用反射板145を含む、少なくとも3つの反射板を備えていればよい。例えばステーション1は、3つの反射板140、141、145それぞれに対して、この反射板140、141、145を補完する反射板を備えていてもよい。例えば、AMR2は、停止用反射板145及びこれを補完する反射板を使用して停止用反射板145の検出を行うことができる。ただし、反射板140、141、145を補完する部材は、色、又は形などで識別できるようにするための補助的なものであってもよい。
【0042】
このような構成のステーション1は、AMR2によって搬送されるパレット5を支持部110によって支持することができる。停車スペースPsへの進入時、AMR2は、リフタ駆動部26を制御してパレット5を上方に持ち上げる。そして、停車スペースPsに進入して停止すると、AMR2は、リフタ駆動部26を制御してパレット5を下降させる。これにより、AMR2は、ステーション1に対してパレット5を載置することができる。なお、AMR2の天板210にパレット5を搭載する際には、リフタ駆動部26によってリフタ27を上昇させた状態で行われる。そのため、天板210にパレット5が搭載された後、AMR2は、パレット5を下降させることなくパレット5を上方に持ち上げたまま、停車スペースPsへ進入してもよい。
【0043】
以下、図6から図10を参照し、AMR2をステーション1の停車スペースPsに進入させて停止させるまでの一連の方法である、ステーション進入方法について説明する。ここで、図6及び図7は、ステーション進入に関するAMRの処理を示すフローチャートである。図8は、スキャン位置に到達するまでのAMRの走行の様子を示す図である。図9は、停車スペースに進入するまでのAMRの走行の様子を示す図である。図10は、停車位置に停車するまでのAMRの走行の様子を示す図である。
【0044】
図6に示すステップS10において、制御部21は、無線通信部22を介して、ステーション1への移動指令を受信する。移動指令は、工場内の第1加工機7又は第2加工機8(図2参照)、若しくは工場の生産を管理する管理装置などの外部装置から送信される。
【0045】
ステップS11において、制御部21は、図8に示すように、現在位置からスキャン位置Pscまで、自己位置推定によりAMR2を走行させる。具体的には、制御部21は、地図データとセンサ23a、23bの検出結果とのマッチングからAMR2の現在位置を推定する。そして、制御部21は、自己位置推定の結果に基づいて駆動モータ24a、24bを制御することで、スキャン位置Pscに向かって走行することができる。
【0046】
スキャン位置Pscは、停車スペースPsの進入口120に対してAMR2が正体するような位置及び向きとして予め定義されており、制御部21は、スキャン位置Pscの情報を予め保有している。制御部21の制御のもとAMR2が自己位置推定により走行を継続することで、AMR2はスキャン位置Pscへと到達することができる。
【0047】
図6のステップS12において、制御部21は、スキャン位置Pscに対する位置決め及び角度決めを完了させる。自己位置推定によるAMR2の走行には多少の誤差が含まれる。そのため、図8に示すように、制御部21がスキャン位置Pscに対してAMR2の位置決め及び角度決めを行った場合でも、スキャン位置Pscに対するAMR2のずれが発生することがある。
【0048】
図6に示すステップS13において、制御部21は、前側のセンサ23aを利用して、第1及び第2進入用反射板140、141を検索する。
【0049】
ステップS14において、制御部21は、センサ23aによって検出された第1及び第2進入用反射板140、141の情報から、AMR2に対する第1及び第2進入用反射板140、141の相対位置を把握する。センサ23aによって検出される点群データより、AMR2(センサ23a)から第1及び第2進入用反射板140、141までの距離、及びAMR2(センサ23a)からみた第1及び第2進入用反射板140、141の角度がそれぞれ把握される。制御部21は、距離及び角度から第1及び第2進入用反射板140、141の相対位置関係を把握する。
【0050】
ステップS15において、制御部21は、第1及び第2進入用反射板140、141の相対位置関係から、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を算出する。図9に示すように、制御部21は、AMR2の中心Ctが、第1及び第2進入用反射板140、141の間に規定される基準位置Rp、例えば中央位置と一致するように、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を算出する。そして、制御部21は、算出した駆動量に応じて駆動モータ24a、24bを制御して、AMR2を前進させる。図9に示す例では、一対の車輪25a、25bのうち、一方の車輪25aが進行方向に対して左側の車輪に対応し、他方の車輪25bが進行方向に対して右側の車輪に対応する。
【0051】
図6に示すステップS16において、制御部21は、AMR2がアプローチ位置Papに到達したか否かを判断する。図9に示すように、アプローチ位置Papは、停車スペースの進入口120から一定距離Laだけ手前に設定されている。図6に示すように、AMR2がアプローチ位置Papに到達していないと判断した場合(S16:NO)、制御部21は、ステップS17、S18の処理を行った上で、ステップS16の処理を改めて行う。一方、AMR2がアプローチ位置Papに到達したと判断した場合(S16:YES)、制御部21は、後述するステップS19の処理を行う。
【0052】
ステップS17において、制御部21は、AMR2を走行させながら、センサ23aを利用して第1及び第2進入用反射板140、141の位置を確認する。そして、ステップS18において、制御部21は、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を修正する。
【0053】
図9に示すように、基準位置RpよりもAMR2が右側にずれている場合、制御部21は、右側の駆動モータ24bの駆動量が左側の駆動モータ24aの駆動量よりも大きくなるように、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を修正する。一方、基準位置RpよりもAMR2が左側にずれている場合、制御部21は、左側の駆動モータ24aの駆動量が右側の駆動モータ24bの駆動量よりも大きくなるように、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を修正する。また、制御部21は、基準位置RpとAMR2とが概ね一致している場合には、左右の駆動モータ24a、24bの駆動量が一致するように、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を修正する。
【0054】
このように、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を修正しながら、AMR2がアプローチ位置Papへと近づくことで、AMR2の中心Ctを基準位置Rpへと近づけることができる。AMR2は、一対の車輪25a、25bを転舵させるのではなく、車輪25a、25bの回転速度の差に応じて進路を切り替えることができる。そのため、アプローチ位置Papへと近づく際、AMR2は、左右へと蛇行しながら前進することとなる。
【0055】
図7に示すステップS19において、制御部21は、センサ23aを利用して、ステーション1の左壁130を検索する。ステップS20において、制御部21は、ステーション1の左壁130が検索されたか否かを判断する。左壁130が検索されない場合(S20:NO)、制御部21は、ステップS21の処理を行った上で、ステップS20の処理を改めて行う。一方、左壁130が検索された場合(S20:YES)、制御部21は、ステップS22の処理を行う。
【0056】
ステップS21において、制御部21は、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を算出して、AMR2を前進させる。センサ23aによって第1及び第2進入用反射板140、141が検索できる範囲にAMR2がいる場合、制御部21は、第1及び第2進入用反射板140、141の相対位置関係に基づいて一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を算出する。一方、図9に示すように、AMR2が前進することで、センサ23aによって第1及び第2進入用反射板140、141が検索できなくなると、制御部21は、AMR2が直進するように、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を算出する。
【0057】
図7に示すステップS22において、制御部21は、左壁130の情報に基づいて、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を算出する。図10に示すように、制御部21は、AMR2と横壁130との距離dswが、予め定められた基準値となるように一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を算出する。そして、制御部21は、算出した駆動量に応じて駆動モータ24a、24bを制御して、AMR2を前進させる。
【0058】
図7に示すステップS23において、制御部21は、センサ23aを利用して停止用反射板145を検索し、センサ23aによって停止用反射板145が検索されたか否かを判断する。停止用反射板145が検索されない場合(S23:NO)、制御部21は、ステップS24、S25の処理を行った上で、ステップS23の処理を改めて行う。一方、停止用反射板145が検索された場合(S23:YES)、制御部21は、ステップS26の処理を行う。
【0059】
ステップS24において、制御部21は、AMR2を走行させながら、センサ23aを利用して左壁130までの距離dswを確認する。そして、ステップS25において、制御部21は、AMR2と横壁130との距離dswが基準値となるように、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を修正する。
【0060】
図10に示すように、AMR2と横壁130との距離dswが基準値よりも大きい場合、AMR2は、距離dswが基準値に近づくように、左壁130に向かうような進路を取りながら走行する。そして、距離dswが基準値に近づいていくに連れ、AMR2の向きは、前後方向と平行に近づいていく。
【0061】
図7に示すステップS26において、制御部21は、AMR2からみた停止用反射板145の位置が適正範囲にあるか否かを判断する。図10に示すように、AMR2から停止用反射板145までの距離dm、及びAMR2からみた停止用反射板145の角度θcが、センサ23aによって検出される。制御部21は、距離dmが予め定められた判定距離以下になっており、且つ、角度θcが予め定められた判定角度以上になった場合に、停止用反射板145の位置が適正範囲にあると判断する。
【0062】
停止用反射板145の位置が適正範囲にない場合(S26:NO)、制御部21は、ステップS27、S28の処理を行った上で、ステップS26の処理を改めて行う。一方、停止用反射板145の位置が適正範囲にある場合(S26:YES)、制御部21は、ステップS29の処理を行う。
【0063】
ステップS27において、制御部21は、AMR2を走行させながら、センサ23aを利用して停止用反射板145の位置を確認する。そして、ステップS28において、制御部21は、停止用反射板145の位置が適正範囲内になるように、一対の駆動モータ24a、24bの駆動量を修正する。
【0064】
ステップS29において、制御部21は、一対の駆動モータ24a、24bを停止させ、AMR2の走行を停止させる。これにより、AMR2は、停車スペースPsの規定の位置に規定の向きで正確に停止することとなる。
【0065】
このように本実施形態によれば、ステーション1には、第1及び第2進入用反射板140、141と、停止用反射板145とが設けられている。第1及び第2進入用反射板140、141は、停車スペースPsの進入口120に進入するAMR2と向かい合うように、前側の脚部100、102に配置されている。また、停止用反射板145は、右壁132と向かい合うように、左壁130に配置されている。
【0066】
この構成によれば、AMR2と向かい合うように配置された第1及び第2進入用反射板140、141により、AMR2が停車スペースPsの進入口120を適切に認識することができる。このとき、停止用反射板145は、右壁132と向かい合うように左壁130に配置されているので、進入口120へ進入する前のAMR2からは検出され難い配置となっている。このため、AMR2が進入口120に進入する際に、停止用反射板145が検出され、これを進入用反射板140、141と誤認識することを抑制することができる。これにより、AMR2を進入口120へ正確に進入させることができる。
【0067】
また、左壁130には、停止用反射板145が設けられている。停車スペースPsに進入したAMR2は、この停止用反射板145を利用することで、停車スペースPs内の適正な位置でAMR2を正確に停車させることができる。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る搬送システムによれば、上記のステーション1の構造を備えることで、AMR2が自律的に走行しながら、ステーション1に対して正確に進入して停車することができる。
【0069】
本実施形態において、停止用反射板145は、停車スペースPsに進入するAMR2からみて、第1及び第2進入用反射板140、141よりも停車スペースPsの奥側に配置される。
【0070】
この構成によれば、停止用反射板145が停車スペースPsの奥側に配置されているので、進入口120に向かって走行するAMR2のセンサ23aから見え難い位置に停止用反射板145が存在することとなる。これにより、AMR2が進入口120に向かって走行する際に、停止用反射板145が進入用反射板140、141と誤認識されることを抑制することができる。したがって、AMR2は、ステーション1の停車スペースPsに対して正確に進入することができる。
【0071】
本実施形態において、センサ23aは、進行方向FWにおけるAMR2の前方の左右端部のうち一方の端部である左端部に搭載されている。停止用反射板145が設けられる横壁は、左右の横壁130、132のうち、停車スペースPsに進入するAMR2からみて、AMR2に搭載されたセンサ23aと同じ側にある左壁130である。
【0072】
停止用反射板145が、AMR2に搭載されたセンサ23aに対して反対側にある右壁132に設置されている場合には、AMR2が進入口120に向かって走行する際に、センサ23aから見えやすい位置に停止用反射板145が存在することとなる。一方、本実施形態の構成によれば、停止用反射板145とセンサ23aとが同じ側に配置されるので、AMR2が進入口120に向かって走行する際に、センサ23aから見えにくい位置に停止用反射板145が存在することとなる。このため、AMR2が進入口120に向かって走行する際に、停止用反射板145が進入用反射板140、141と誤認識されることを抑制することができる。したがって、AMR2は、ステーション1の停車スペースPsに対して正確に進入することができる。
【0073】
本実施形態において、第1及び第2進入用反射板140、141の反射範囲は、停止用反射板145の反射範囲よりも大きい。
【0074】
この構成によれば、進入口120に向かって走行するAMR2は、広い範囲から第1及び第2進入用反射板140、141を検出することができる。これにより、AMR2は、停車スペースPsの進入口120を適切に認識することができる。また、停止用反射板145の反射範囲は限定されているので、進入口120に向かって走行するAMR2のセンサ23aからは、停止用反射板145が検出され難くい。このため、AMR2が進入口120に向かって走行する際に、停止用反射板145が進入用反射板140、141と誤認識されることを抑制することができる。したがって、AMR2は、ステーション1の停車スペースPsに対して正確に進入することができる。
【0075】
本実施形態において、左右の横ガイドは、AMR2の進入方向と平行に延在する横壁130、132から構成されている。
【0076】
上述したように、停止用反射板145は、停車スペースPsに進入するAMR2から検出されにくい様に、停車スペースPsの奥側に配置されている。このため、停車スペースPsに進入して暫く走行しないと、AMR2のセンサ23aが停止用反射板145を検出することができない。一方で、停車スペースPsの左側には左壁130が延在している。このため、AMR2が左壁130との距離を確認しながら走行することで、停止用反射板145を検出するまでの間、停車スペースPs内を正確に走行することができる。
【0077】
なお、本実施形態では、ステーション1は、停車スペースPsの左側を規定する横ガイドとして、進入口120から停止用反射板145まで連続的に、AMR2の進入方向と平行に延在する横壁132を備えている。しかしながら、ステーション1の横ガイドの構造は、これに限らない。
【0078】
図11は、ステーションの横ガイドの別の例を説明する図である。停車スペースPsの左右の境界を規定する横ガイドは、前後の脚部100、101の間に中間構造体104が断続的に設けられるように構成されてもよい。すなわち、AMR2は、センサ23aの検出範囲Rdにある構造体に対して一定の離隔距離dvを保つように走行すればよく、横ガイドは、走行するAMR2からみたセンサ23aの検出範囲Rdに少なくとも一つの中間構造体104が設けられていればよい。
【0079】
図12は、ステーションの横ガイドの別の例を説明する図である。図12に示す例では、ステーション1の左壁130は、AMR2の進入方向に延在する面一な形状ではなく、凹凸を伴う形状を有している。AMR2は、制御部21の演算を通じて、センサ23aによって検出させる直交座標系をXY軸の直交座標系に変換することで、AMR2の左前方に空間Rdtを定義することができる。このような座標変換を行うことで、AMR2は、空間RdtにおけるX方向の距離を追跡すれば、例え左壁130が凸凹であっても、上述した実施形態と同じ手順でステーション1の停車スペースPsへ進入することができる。
【0080】
本実施形態において、AMR2は、センサ23aの検出結果に基づいて、AMR2の走行を制御する制御部21を含んでいる。
【0081】
この構成によれば、制御部21の制御を通じて、AMR2の自律的な走行を実現することができる。
【0082】
本実施形態において、制御部21は、ステーション1の進入口120に向かって走行する場合には、センサ23aによって検出される、AMR2に対する第1及び第2進入用反射板140、141の相対位置に基づいてAMR2の走行を制御する。
【0083】
この構成によれば、制御部21は、第1及び第2進入用反射板140、141の検出によって、停車スペースPsへの進入口120を認識することができる。制御部21は、第1及び第2進入用反射板140、141との相対位置を認識することで、AMR2を進入口120に向かって正確に走行させることができる。
【0084】
本実施形態において、制御部21は、AMR2が進入口120に接近すると、センサ23aによって左壁130を検索し、左壁130までの距離dswに基づいてAMR2の走行を制御する。
【0085】
上述したように、停止用反射板145は、停車スペースPsに進入するAMR2から検出されにくい様に、停車スペースPsの奥側に配置されている。このため、停車スペースPsに進入して暫く走行しないと、AMR2のセンサ23aが停止用反射板145を検出することができない。一方で、停車スペースPsの左側には左壁130が延在している。このため、制御部21が左壁130との距離を確認しながら走行することで、停止用反射板145を検出するまでの間、停車スペースPs内においてAMR2を正確に走行させることができる。
【0086】
本実施形態において、制御部21は、センサ23aによって停止用反射板145が検索されると、AMR2に対する停止用反射板145の相対位置に基づいてAMR2の走行を停止させている。
【0087】
この構成によれば、制御部21が停止用反射板145の相対位置を確認しながら走行することで、停車スペースPs内の適切な位置でAMR2を正確に停止させることができる。
【0088】
本実施形態において、AMR2は、AMR2が走行する環境の地図データを記憶する地図記憶部29をさらに含む。制御部21は、停車スペースPsの進入口120に対して所定距離だけ手前に設定されるスキャン位置Pscに到達するまでは、地図データとセンサ23a、23bの検出結果とのマッチングからAMR2の位置を推定し、推定結果に基づいてAMR2の走行を制御し、スキャン位置Pscに到達してから進入口120に向かって走行する。
【0089】
この構成によれば、制御部21は、AMR2の自己位置を推定することで、スキャン位置Pscまで自律的に到達することができる。そして、スキャン位置Pscに到達してからは、上記構造のステーション1を利用することで、制御部21は、停車スペースPsに向かって正確にAMR2を走行させることができる。
【0090】
以上、本実施形態に係る搬送システムを説明したが、上述した搬送システムに利用されるステーション1、及びステーション進入方法も、本実施形態の一態様に含まれる。
【0091】
本実施形態に係るステーション1は、パレット5を搬送するAMR2が進入して停車するための停車スペースPsの上方に設けられ、パレット5を載置可能な支持部110と、停車スペースPsに進入するAMR2からみて左右に離隔して配置され、停車スペースPsへの進入口120を定める左右の脚部100、102と、AMR2が停車スペースPsに進入する進入方向に沿って設けられ、停車スペースPsの左右の境界を規定する左右の横ガイドと、AMR2が自律走行するためのセンサ23aから照射される検出光を反射する少なくとも3つの反射板140、141、145と、を備える。3つの反射板140、141、145は、左右の脚部100、102における一方の脚部100に配置される第1進入用反射板140と、左右の脚部100、102における他方の脚部102に配置される第2進入用反射板141と、左右の横ガイドのうち一方の横ガイドに配置される停止用反射板145と、を含む。第1及び第2進入用反射板140、141は、停車スペースPsに進入するAMRと向かい合うように配置され、停止用反射板145は、他方の横ガイドと向かい合うように配置される。
【0092】
本実施形態に係るステーション進入方法は、コンピュータが自律的に走行を制御するAMR2をステーション1に進入させるステーション進入方法である。ステーション1には、パレット5を搬送するAMR2が進入して停車するための停車スペースPsの上方にパレット5を載置可能な支持部110が設けられている。ステーション進入方法は、周囲に照射した検出光の反射光を受光して周囲の物体を検出するセンサ23aによって、停車スペースPsへの進入口120の左右に位置する第1進入用反射板140及び第2進入用反射板141を検出し、センサ23aによって検出される、AMR2に対する第1及び第2進入用反射板140、141の相対位置に基づいて、AMR2を進入口120に向かって走行させ、AMR2が進入口120に接近すると、センサ23aによって、停車スペースPsの左右の境界を規定する左右の横ガイドのうちの一方の横ガイドを検出し、センサ23aによって検出される一方の横ガイドまでの距離dswに基づいて、AMR2を走行させ、センサ23aによって一方の横ガイドに配置される停止用反射板145を検出し、センサ23aによって検出される、AMR2に対する停止用反射板145の相対位置に基づいて、AMR2の走行を停止させる、ことを含む。
【0093】
本実施形態に係るステーション1及びステーション進入方法によれば、AMR2が自律的に走行しながら、ステーション1の停車スペースPsに対して正確に進入することができる。
【0094】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0095】
1 ステーション(搬送車両用ステーション)
2 AMR(搬送車両)
5 パレット(搬送物)
7 第1加工機
8 第2加工機
21 制御部
22 無線通信部
23a、23b センサ
24a、24b 駆動モータ
25a、25b 車輪
26 リフタ駆動部
27 リフタ
29 地図記憶部
100、101、102、103 脚部
104 中間構造体
110 支持部
120 進入口
130 左壁(横壁(横ガイド))
132 右壁(横壁(横ガイド))
140 第1進入用反射板(第1反射板)
141 第2進入用反射板(第2反射板)
145 停止用反射板(第3反射板)
200 車体
210 天板
Ct 中心
dm 停止用反射板までの距離
dsw 左壁までの距離
dv 一定の離隔距離
FW 進行方向
La 一定距離
Pap アプローチ位置
Ps 停車スペース
Psc スキャン位置
R1 回転方向
Rd 検出範囲
Rp 基準位置
θa1 反射範囲
θa2 反射範囲
θa3 反射範囲
θb1 検出範囲
θb2 検出範囲
θc 停止用反射板の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12