(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010773
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240118BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20240118BHJP
【FI】
H01G4/30 517
H01G4/30 311Z
H01G13/00 341
H01G13/00 351
H01G13/00 331C
H01G13/00 331F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112259
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】笠原 正寛
(72)【発明者】
【氏名】下村 友幸
(72)【発明者】
【氏名】福塚 博志
(72)【発明者】
【氏名】黒田 大介
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC10
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ02
5E001AJ03
5E082AB03
5E082BC38
5E082EE23
5E082EE26
5E082EE35
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG54
5E082GG10
5E082GG26
5E082GG28
5E082MM17
5E082MM24
5E082PP05
5E082PP10
(57)【要約】
【課題】マザーブロックを複数の個片化したチップに切断した際に生じた切断面に残るバリや異物等を効率的に除去し、洗浄工程時間の低減を可能とし、生産性を向上させることができる電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】電子部品の製造方法は、マザーブロック10を切断し、複数のチップ20に個片化する工程と、複数のチップ20を保持用粘着シート30Aに保持させる工程と、複数のチップ20が保持された保持用粘着シート30Aを収納容器140に備える工程と、収納容器140を、洗浄液113が充填された洗浄槽111に浸漬し、洗浄液113により複数のチップ20を洗浄する工程と、を備える。複数のチップ20を洗浄する工程では、洗浄液113に振動が付与され、洗浄槽111は移動機構及び回転機構を備える。移動機構は収納容器140を直線的に移動させ、回転機構は収納容器140を回転させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の材料であるマザーブロックを切断することにより、前記マザーブロックを複数のチップに個片化する工程と、
前記複数のチップを保持用粘着シートに保持させる工程と、
前記複数のチップが保持された前記保持用粘着シートを収納容器に備え付ける工程と、
前記収納容器を、洗浄液が充填された洗浄槽に浸漬し、前記洗浄液により前記複数のチップを洗浄する工程と、を備え、
前記複数のチップを洗浄する工程では、前記洗浄液に振動が付与され、
前記洗浄槽は移動機構及び回転機構を備え、前記移動機構は、前記収納容器を直線的に移動させ、前記回転機構は、前記収納容器を回転させる、
電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記移動機構は、鉛直方向に沿って前記収納容器を直線的に移動させる、請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記回転機構は、前記移動機構による前記収納容器の移動方向と、直交しない方向に前記収納容器を回転させる、請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記回転機構は、前記収納容器を鉛直方向とは垂直な方向に回転させる、請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記洗浄する工程の洗浄方法は、超音波を用いた洗浄方法である、請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記収納容器は、前記洗浄槽の前記洗浄液の流動方向と同一方向に回転する、請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記複数の保持用粘着シートが前記収納容器に備え付けられた状態である、請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記収納容器が前記複数の保持用粘着シートを最大枚数保持した場合の前記収納容器の回転時間は、最大960秒であり、その回転回数は、1回から30回の間である、請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記収納容器の回転速度は、34秒/回から120秒/回の範囲である、請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器のコンパクト化の要請に伴い、電子部品の小型化が進んでいる。例えば、積層セラミックコンデンサにおいては、その小型化が飛躍的に進んでおり、高さ方向、幅方向及び奥行き方向における外形寸法のいずれもが0.6[mm]を下回る積層セラミックコンデンサが実用化されるに至っている。
【0003】
このような電子部品を製造する手法として、製造過程の途中段階まで一括して加工処理を行うことで電子部品の中核となる部品材料(マザーブロック)を1つの塊として制作し、その後にこれを分断して個片化し、個片化後の部品材料(チップ)にさらに加工処理を施すことによって完成品を得る手法がある。
【0004】
例えば、上述した積層セラミックコンデンサは、まず誘電体層と導電体層とが交互に積層された積層体からなるマザーブロックを製作し、次にマザーブロックを切断することによってマザーブロックを複数のチップに個片化し、その後に個片化された複数のチップに各種の加工処理が施されることによって製造されることが一般的である。
【0005】
このような積層セラミックコンデンサの製造方法が具体的に開示された文献としては、例えば、特開2003-332171号公報(特許文献1)、特開2015-070205号公報(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1に記載の手法を用いて電子部品を製造する場合には、切断工程において発生したバリや異物等をチップから除去するために、チップの洗浄処理が必須となる。この洗浄処理としては、例えば洗浄液中においてチップを撹拌する洗浄方法が用いられる。
【0008】
しかしながら、当該洗浄方法を用いた場合には、撹拌によって離脱したバリや異物等がチップに再付着する現象が発生し易く、確実にこれを除去することが困難である問題があった。この除去しきれないバリや異物等は、その後に実施される各種の工程において不具合を発生させる原因となり、歩留まりが低下する結果を招いていた。
【0009】
また、上記洗浄方法を用いた場合には、撹拌の際にチップ同士が接触することによってチップに欠けや割れが発生してしまい、これによって歩留まりが低下する問題も生じていた。
【0010】
さらには、上記洗浄方法を用いた場合には、洗浄液中においてチップが撹拌されることによってチップの向きが定まらなくなってしまう問題があった。そのため、その後の工程におけるチップの方向決めや位置決めが困難になってしまい、生産性が低下する結果を招いていた。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するものであり、マザーブロックを複数の個片化したチップに切断した際に生じる切断面に残るバリや異物等を効率的に除去し、洗浄工程時間の低減を可能とし、生産性を向上させることができる電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る電子部品の製造方法は、電子部品の材料であるマザーブロックを切断することにより、前記マザーブロックを複数のチップに個片化する工程と、前記複数のチップを保持用粘着シートに保持させる工程と、前記複数のチップが保持された前記保持用粘着シートを収納容器に備える工程と、前記収納容器を、液体が充填された洗浄槽に浸漬し、前記液体により前記複数のチップを洗浄する工程と、を備える。前記複数のチップを洗浄する工程では、前記液体に振動が付与され、前記洗浄槽は移動機構及び回転機構を備え、前記移動機構は直線的に前記収納容器を移動させ、前記回転機構は前記収納容器を回転させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、マザーブロックを複数の個片化したチップに切断した際に生じる切断面に残るバリや異物等を効率的に除去し、洗浄工程時間の低減を可能とし、生産性を向上させることができる電子部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態における電子部品の製造方法に従って製造された積層セラミックコンデンサの斜視図である。
【
図2】
図1に示す積層セラミックコンデンサの
図1中に示すII-II線に沿った断面図である。
【
図3】
図1に示す積層セラミックコンデンサの
図1中に示すIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態における洗浄装置の概略斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態における電子部品の製造方法に従った積層セラミックコンデンサの製造方法を概略的に示すフロー図である。
【
図6】
図5に示す貼り付け工程を示す概略図である。
【
図7】
図5に示す切断工程後のワークの状態を示す概略図である。
【
図8】
図5に示す洗浄工程(1回目)を示す概略図である。
【
図9】洗浄工程時において洗浄液中を進行する振動波の状態を模式的に表した図である。
【
図10】
図5に示す移し替え工程を示す概略図である。
【
図11】
図5に示す外部電極形成工程を示す図であり、(A)はその工程の一例を示し、(B)は外部電極形成状態の一例を示す。
【
図12】
図5に示す外部電極形成工程を示す図であり、(A)はその工程の他の一例を示し、(B)は外部電極形成状態の他の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、
図1~
図11(B)を参照して詳細に説明する。
【0016】
本発明の製造方法は、電子部品に適用可能である。電子部品としては、例えば、積層セラミックコンデンサ及び表面実装型積層コイル部品が挙げられる。
【0017】
以下に示す実施の形態は、電子部品である積層セラミックコンデンサの製造方法に本発明を適用した場合を例示する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一の又は共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態)
【0018】
まず、本発明の実施の形態における電子部品の製造方法を説明するに先立って、当該製造方法に従って製造された積層セラミックコンデンサ1について説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ1の概略斜視図である。
図2は、
図1に示すII-II線に沿った断面図である。
図3は、
図1に示すIII-III線に沿った断面図である。
【0020】
図1乃至
図3に示すように、積層セラミックコンデンサ1は、全体として略直方体形状を有する電子部品であり、セラミック素体2と一対の外部電極5とを有している。
【0021】
図2及び
図3に示すように、セラミック素体2は、所定の方向に沿って交互に積層された誘電体層3と導電体層としての内部電極層4とによって構成されている。誘電体層3は、例えば、チタン酸バリウムを主成分とするセラミック材料にて形成されている。また、誘電体層3は、後述するセラミックシートの原料となるセラミック粉末の副成分としてのMn化合物、Mg化合物、Si化合物、Co化合物、Ni化合物、希土類化合物等を含んでいてもよい。一方、内部電極層4は、例えばNi、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等に代表される金属材料にて形成されている。
【0022】
セラミック素体2は、誘電体層3となるセラミックシートの表面に内部電極層4となる導電性ペーストが印刷された素材シートを複数準備し、これら複数の素材シートを積層して圧着することでマザーブロック10を形成し、当該マザーブロック10を切断し、個片化することで製作される。
【0023】
図1及び
図2に示すように、一対の外部電極5は、セラミック素体2の所定方向の両端部の表面を覆うように互いに離間して設けられている。一対の外部電極5は、それぞれ導電膜にて構成されている。
【0024】
図2に示すように、積層方向に沿って誘電体層3を挟んで隣り合う一対の内部電極層4のうちの一方は、積層セラミックコンデンサ1の内部において一対の外部電極5のうちの一方に電気的に接続されており、積層方向に沿って誘電体層3を挟んで隣り合う一対の内部電極層4のうちの他方は、積層セラミックコンデンサ1の内部において一対の外部電極5のうちの他方に電気的に接続されている。これにより、一対の外部電極5間は、複数のコンデンサ要素が電気的に並列に接続された状態となっている。
【0025】
ここで
図1乃至
図3に示すように、一対の外部電極5が並ぶ方向を積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lとして定義し、セラミック素体2における誘電体層3と内部電極層4との積層方向を厚み方向Tと定義し、これら長さ方向L及び厚み方向Tのいずれにも直交する方向を幅方向Wとして定義すると、図示する積層セラミックコンデンサ1は、長さ方向Lに沿った外形寸法が最も長くなるように構成された細長の略直方体形状を有している。
【0026】
なお、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの外形寸法及び幅方向Wの外形寸法の代表値としては、例えば3.2[mm]×1.6[mm]、2.0[mm]×1.25[mm]、1.6[mm]×0.8[mm]、1.0[mm]×0.5[mm]、0.8[mm]×0.4[mm]、0.6[mm]×0.3[mm]、0.4[mm]×0.2[mm]が挙げられる。
【0027】
次に、洗浄装置について
図4及び
図8を用いて説明する。
【0028】
図4に示すように、洗浄装置100は、タンク110と、真空脱気装置120と、超音波発振器132と、収納容器140と、を主として備えている。
【0029】
図4に示すように、タンク110は、洗浄槽111と、リザーブ槽112とを含んでいる。洗浄槽111及びリザーブ槽112は、いずれも洗浄液113で満たされている。洗浄液113としては、純水あるいは各種の洗浄剤を含む水溶液が好適に用いられる。洗浄槽111とリザーブ槽112とは、これらの間を洗浄液113が移動できるように流通可能に構成されている。洗浄槽111には、洗浄液113の水流を発生させる機構が別途設けられている。
【0030】
図4に示すように、真空脱気装置120は、リザーブ槽112に配管121を介して接続されている。真空脱気装置120は、タンク110を満たす洗浄液113中に含まれる空気を脱気する。洗浄装置100においては、タンク110内の洗浄液113が配管121を経由して真空脱気装置120に循環されることにより、洗浄液113の真空脱気処理が行われる。
【0031】
図4に示すように、洗浄槽111の底部には、振動板130と当該振動板130に組み付けられた超音波振動子131が設置されている。振動板130及び超音波振動子131は、洗浄液113に振動を付与する振動源となる。超音波振動子131が振動することによって生じた振動は、振動板130を介して洗浄液113に付与される。
図4の矢印AR1にて示す方向に向けて(すなわち鉛直上方に向けて)、洗浄液113中を振動波が進行する。
【0032】
超音波発振器132は、タンク110の外部に設置されており、ケーブル133を介して超音波振動子131に接続されている。超音波発振器132は、超音波振動子131に所定の電圧信号を印加することにより、超音波振動子131を発振させる。ここで、超音波振動子131の発振周波数は、様々な周波数域に設定することができるが、例えば28[kHz]に設定される。
【0033】
洗浄槽111は、モータを内蔵することにより、移動機構に加えて回転機構を有した構造となっている。そのため、収納容器140を、洗浄槽111に対して、直線的に動かすことができるとともに、洗浄槽111に対して回転することができる。例えば、収納容器140は、鉛直方向上下に直線的に揺動することに加えて、鉛直方向とは垂直な方向に回転することが可能である。また、回転方向は、正転方向(右回り)に加えて、逆転方向(左回り)も可能である。回転方向は、収納容器140の移動方向に垂直である必要はない。つまり、移動機構による直線的な移動方向と直交しない方向に、回転機構は収納容器140を回転させることも可能である。また、回転機構は、収納容器140を鉛直方向とは垂直な方向に回転させてもよい。
図4に示すように、洗浄槽111内の洗浄液113の水流は、矢印AR3方向に従って流れている。収納容器140は、水流と同じ方向である矢印AR3方向に回転することもできるし、矢印AR3方向とは逆方向に回転することもできる。
【0034】
収納容器140は、
図4において矢印AR2にて示す方向に向けて(すなわち鉛直下方に向けて)下降することにより、被洗浄物を保持した状態で当該被洗浄物を洗浄液113中に浸漬する。ここでは、収納容器140は、被洗浄物である複数のチップ20が保持用粘着シート30Aに保持された状態で洗浄液113中に浸漬するように構成されている。
【0035】
収納容器140は、矢印AR2にて示す方向に向けて下降しながら、
図4において矢印AR3にて示す方向に向けて(すなわち水平方向に向けて)回転することができる。このとき、矢印AR3の方向は、洗浄槽111内を流れる洗浄液113の流動方向と同じ方向に回転することが好ましい。洗浄槽111内を流れる洗浄液113の流動方向と同じ方向で回転することにより、被洗浄物の内面の汚れ、バリや異物等を取り除くことが可能になる。ただし、収納容器140の回転方向は、この方向に限定されず、洗浄槽111の洗浄液113が流れる流動方向と逆方向であってもよい。
【0036】
洗浄装置100には、さらに図示しないフィルタが設置されている。当該フィルタは、被洗浄物としての複数のチップ20から離脱したバリや異物等を回収するためのものであり、好適には配管121に設けられる。当該フィルタを設置することにより、複数のチップ20から離脱したバリや異物等は、洗浄槽111からリザーブ槽112を経由した後に当該フィルタによって回収される。また、フィルタによって浄化された後の洗浄液113は、真空脱気装置120を経由して再度タンク110に供給されるため、洗浄液113が常に浄化された状態に維持できるとともに、洗浄液113の再利用が可能になる。
【0037】
図5は、本発明の実施の形態における電子部品の製造方法に従った積層セラミックコンデンサ1の製造方法を概略的に示すフロー図である。
図6から
図11(B)は、
図5に示す工程を具体的に説明するための図である。次に、
図5から
図11(B)を参照して、本実施の形態における電子部品の製造方法について説明する。
【0038】
本実施の形態における電子部品の製造方法は、上述した構成の積層セラミックコンデンサ1の製造に好適に適用できる。基本的な処理の流れは、まず複数の積層セラミックコンデンサ1の材料であるマザーブロック10を製作し、次にマザーブロック10を切断することによってマザーブロック10を複数のチップ20に個片化し、個片化後のチップ20を洗浄し、洗浄後のチップ20に各種の加工処理を施す。
【0039】
具体的には、
図5に示すように、まずマザーブロック10を製作する(
図5の工程S1)。より詳細には、マザーブロック10は、誘電体層3と導電体層とが交互に積層されたものであり、上述したように、誘電体層3となるセラミックシートの表面に内部電極層4となる導電性ペーストが印刷された素材シートを複数準備し、これら複数の素材シートを積層して圧着することにより、マザーブロック10を製作する。
【0040】
次に、
図5に示すように、マザーブロック10を第1保持用粘着シートに保持させる(
図5の工程S2)。
図6は、マザーブロック10を第1保持用粘着シートに保持させる工程の概略図である。より詳細には、
図6に示すように、準備したマザーブロック10の主面のうちの一方の面に第1保持用粘着シート30Aを保持させる。これにより、マザーブロック10は、第1保持用粘着シート30Aに保持された状態となる。
【0041】
ここで、第1保持用粘着シート30Aは、粘着性を有するものであれば、各種のものが利用できる。本実施の形態では、加熱により粘着性が低下する発泡剥離シートを用いたが、例えば、加熱により伸長するエキスパンドシートが利用できる。
【0042】
次に、
図5に示すように、マザーブロック10の切断を行う(
図5の工程S3)。
図7は、
図5に示す切断工程後のワークの状態を示す概略図である。
【0043】
より詳細には、
図7に示すように、第1保持用粘着シート30Aは、マザーブロック10を保持している。次に、マザーブロック10は、行列状に分断するように切断される。そのため、マザーブロック10は、複数のチップ20に個片化される。マザーブロック10の切断には、ブレードを用いた押し切りやダイサを用いたダイシングが利用できる。なお、これら個片化されたチップ20は、上述した積層セラミックコンデンサ1に具備されるセラミック素体2の材料部品となり、最終的には、積層セラミックコンデンサ1の一部になる。
【0044】
図7に示すように、本実施の形態においては、マザーブロック10の切断に先立ってマザーブロック10は、第1保持用粘着シート30Aに保持される。そのため、マザーブロック10は、複数のチップ20に切断された後においても、複数のチップ20が第1保持用粘着シート30Aによって保持された状態が維持されている。なお、複数のチップ20は、
図7に示すように、整列された状態であり、複数のチップ20の間には、切断によって生じた隙間Gが位置している。ここで、当該隙間Gの大きさは、ブレード又はダイサの刃の厚みに対応した大きさ(例えば100[μm]程度)となる。
【0045】
次に、
図5に示すように、チップの洗浄(1回目)を行う(
図5の工程S4)。
図8は、
図5に示す洗浄工程(1回目)を示す概略図である。
【0046】
マザーブロック10の切断時には、複数のチップ20の端部においてバリが発生する可能性があり、また、バリ以外の異物が複数のチップ20に付着する場合もある。さらには、切断工程の前段階においてマザーブロック10に既に異物が付着していた場合には、当該異物が複数のチップ20に付着した状態がそのまま引き継がれる場合がある。本実施の形態における電子部品の製造方法に含まれる洗浄工程(1回目及び後述する2回目を含む)は、これらバリや異物等が複数のチップ20に付着していた場合にこれらがその後の工程における不具合の原因となってしまうため、バリや異物等を複数のチップ20から除去するための処理である。
【0047】
図8に示すように、洗浄工程(1回目)は、上述した本実施の形態における洗浄装置100を用いる。複数のチップ20を第1保持用粘着シート30Aに貼り付けた状態のまま第1保持用粘着シート30Aが収納容器140によって保持された状態とする。当該収納容器140を洗浄槽111に向けて下降させることにより、複数のチップ20は洗浄液113に浸漬される。収納容器140は、上下に動きながら、洗浄槽111内の洗浄液113の流動方向と同一方向に回転している。ここで、収納容器140としては、
図8に示すように、第1保持用粘着シート30Aは、第1保持用粘着シート30Aの周縁部を保持することが可能な枠状のものを使用することが好ましい。収納容器140は洗浄槽111と水平に配置されてもよいし、
図8に示すように垂直に配置されてもよい。
【0048】
第1保持用粘着シート30Aによって保持された状態のまま洗浄液113に浸漬された複数のチップ20は、洗浄槽111内に設置された振動板130及びこれに組み付けられた超音波振動子131にて振動が付与された洗浄液113によって超音波洗浄される。つまり、本実施の形態では、洗浄する工程の洗浄方法は、超音波を用いた洗浄方法である。これにより、バリや異物等は、複数のチップ20から除去される。ここで、バリや異物等は、洗浄液113中を進行する振動波によって複数のチップ20から離脱させられる。そのため、バリや異物等が複数のチップ20に再付着することが効果的に抑制される。以上から、チップ20を単なる撹拌によって洗浄する場合に比べ、洗浄効果は非常に大きいものとなる。
【0049】
その際、
図8に示すように、収納容器140を図中に示すDR方向(すなわち、振動波の進行方向である矢印AR1方向と平行な方向に沿って)に揺動させると、さらなる洗浄効果を得ることができる。すなわち、
図9に示すように、洗浄液113は、振動板130を起点として洗浄液113に発生した振動波の腹に相当する部分(図中において点Pで示す部分)において圧力が高い状態となり、当該振動波の節に相当する部分(図中において点Qで示す部分)において圧力が低い状態となる。そのため、収納容器140を振動波の波長λの半波長(すなわち、λ/2)以上のストロークで揺動させることにより、複数のチップ20がいずれもこれら振動波の腹及び節が位置する部分を確実に通過するようになり、複数のチップ20が満遍なく、かつ、高い洗浄力をもって洗浄されることになる。例えば、洗浄液113に印加される超音波の周波数が28[kHz]である場合、波長λはおよそ54[mm]となる。そのため、収納容器140のストロークとしては、これを約27[mm]以上とすることが好ましい。
【0050】
また、
図8に示すように、収納容器140を図中に示す矢印AR3方向(すなわち、洗浄槽111内の洗浄液113の流動方向と同一の方向)に回転することとすれば、さらなる洗浄効果を得ることができる。例えば、バリや異物等は、より均等に複数のチップ20から除去することができる。この際、収納容器140の回転速度は、960[秒/回]であることが好適であるが、55[秒/回]から120[秒/回]の範囲の回転速度であってもよい。例えば、回転速度が60[秒/回]である場合には、収納容器140は、960[秒]の間に16回転する。この場合に、収納容器140の上下方向の揺動は、6回以上16回以下の動作であることが好ましい。
【0051】
なお、洗浄時間は、特に制限されるものではないが、好適には3[分]以上に設定される。また、洗浄後においては、洗浄槽111から取り出された複数のチップ20にエアを吹き付けること等により、複数のチップ20に乾燥処理を施してもよい。
【0052】
さらに、洗浄装置100に付設された真空脱気装置120は、真空脱気処理を行う。真空脱気処理された洗浄液113によって複数のチップ20が洗浄されると、キャビテーションが発生することによる洗浄効率の低下を効果的に抑制することができる。
【0053】
次に、
図5に示すように、複数のチップ20の移し替えを行う(
図5の工程S5)。
図10は、
図5に示す移し替え工程を示す概略図である。
【0054】
図10に示すように、移し替え工程において、複数のチップ20を第1保持用粘着シート30Aが保持した状態のまま、第1保持用粘着シート30Aとは反対側に位置する複数のチップ20の面に第2保持用粘着シート30Bを貼り付ける。
【0055】
その後、
図10に示すように、第1保持用粘着シート30Aを複数のチップ20から剥がすことにより、複数のチップ20は、第2保持用粘着シート30Bに保持される。第2保持用粘着シート30Bは、本実施の形態では、発泡剥離シートを使用したが、例えば、エキスパンドシートも使用可能である。なお、第2保持用粘着シート30Bの粘着力は、第1保持用粘着シート30Aの粘着力と比較して強ければ、より好適である。
【0056】
複数のチップ20は、第2保持用粘着シート30Bによって保持された状態となる。そのため、複数のチップ20は、第1保持用粘着シート30Aに保持されていた面が露出する。複数のチップ20は、第1保持用粘着シート30Aによって保持された状態の場合と同様に、整列された状態に維持されている。
【0057】
次に複数のチップ20の洗浄(2回目)を行う(
図5の工程S6)。洗浄工程(2回目)では、上述した洗浄装置100を用いる。洗浄工程(2回目)は、洗浄工程(1回目)と同様の洗浄処理を行う。ここで、洗浄工程(2回目)が洗浄工程(1回目)と相違する点は、複数のチップ20が第2保持用粘着シート30Bに保持されている点のみである。洗浄工程(2回目)は、複数のチップ20のうちの第1保持用粘着シート30Aが保持していた面及びこれに隣接する部分の周側面からバリや異物等を除去するための処理である。
【0058】
次に、外部電極5の形成を行う(
図5の工程S7)。
図11(A)及び
図11(B)は、
図5に示す外部電極5の形成工程の一例を示す図である。
【0059】
図11(A)及び
図11(B)に示すように、本実施の形態において、外部電極5の形成は、ペースト材料40の塗布によって行われる。この場合には、チップ20の長さ方向Lの一方の端部がペースト材料40に浸漬される。ペースト材料40は、チップ20に付着する。その後、チップ20の長さL方向の他方の端部についても同様の処理によってペースト材料40が付着する。
【0060】
次に熱処理が行われる(
図5の工程S8)。熱処理は、複数のチップ20に形成された外部電極5を複数のチップ20に焼き付け、それと同時に複数のチップ20を焼結する。なお、熱処理が完成した後に、焼き付けられた外部電極5をさらにめっき層にて覆うめっき処理が施されてもよい。
【0061】
以上において説明した本実施の形態における電子部品の製造方法を適用して製造した積層セラミックコンデンサ1では、複数のチップ20は、第1保持用粘着シート30A及び第2保持用粘着シート30Bによって保持された状態で、収納容器140が上下方向に移動を行い、さらに上下方向とは垂直な方向に回転し、超音波洗浄処理が施される。そのため、本実施の形態における電子部品の製造方法では、撹拌によってチップを洗浄する場合に比べてバリや異物等のチップへの再付着が抑制され、高い洗浄効果が得られる。また、本実施の形態における電子部品の製造方法では、洗浄工程後において実施される工程における不具合を低減でき、歩留まりの向上を図ることができる。不具合とは、例えば、バリや異物等が存在することによる外部電極形成不全である。
【0062】
洗浄工程におけるバリや異物等の除去が不十分であった場合には、上述した外部電極形成工程において、複数のチップと形成される外部電極との間に隙間が生じてしまう。そのため、信頼性が大幅に損なわれる問題及び外部電極の形成自体が行えない問題が生じてしまう。しかしながら、本実施の形態における電子部品の製造方法を適用した場合、このような問題の発生を抑制することができるため、歩留まりの向上を図ることができる。
【0063】
また、本実施の形態における電子部品の製造方法を適用した積層セラミックコンデンサ1は、洗浄工程の際に複数のチップ20同士が接触することがない。そのため、複数のチップ20は、欠け及び割れの発生が抑制され、本実施の形態における電子部品の製造方法では、歩留まりの向上を図ることができる。
【0064】
さらに、本実施の形態における電子部品の製造方法を適用した積層セラミックコンデンサ1は、洗浄後においても複数のチップ20が第1保持用粘着シート30A又は第2保持用粘着シート30Bによって保持された状態に維持されるため、複数のチップ20の向きが定まっている。そのため、洗浄後に実施される工程において複数のチップ20は、方向決め及び位置決めを容易に行うことができる。以上から、本実施の形態における電子部品の製造方法は、生産性を大幅に向上させることができる。
【0065】
また、洗浄工程後に実施される外部電極5の形成工程において、複数のチップ20の長さ方向L、厚み方向T及び幅方向Wがいずれも定まった状態にある。そのため、外部電極5を形成する複数のチップ20の両端部を所定の方向に向けた状態でチップ20をハンドリングすることが可能となる。このことから、外部電極5を効率的に形成することができる。そのため、本実施の形態における電子部品の製造方法は、大幅に生産性を向上させることができるといい得る。
【0066】
以上から、本実施の形態における電子部品の製造方法は、歩留まり及び生産性を向上させることが可能である。そのため、本実施の形態における電子部品の製造方法では、信頼性が高く、高性能の電子部品を安価に製造することができる。
【0067】
次に、本発明の効果を確認するために行った検証試験について説明する。検証試験においては、本発明の実施の形態における積層セラミックコンデンサ1の製造方法を実施例としている。なお、表1及び表2において、回答速度が「高速」とは34秒/回転を意味し、回転速度が「中速」とは75秒/回転を意味し、「低速」とは120秒/回転を意味する。
【0068】
下表は、実験例0~4を比較した表である。実験例0は、収納容器140の回転は行わず、上下動作のみを行い、150[秒]の間に振動子1200[W]を与えた。実験例1~4は、洗浄槽内の水流方向の回転方向、回転速度をそれぞれ変更した。
【0069】
【0070】
検証試験として、実験例1は、正転(右回り)で、回転速度が低速の状態で上下動作を行うことにより、バリ除去効果が最も高かった(バリの取り残し量が最も少なかった)。実験例2~4は、実験例1に比べるとバリ除去効果は小さいものの、実用化に耐え得るバリ除去効果を発揮した。回転を実験例0は、バリの取り残しが多かった。そのため、実験例1が最も洗浄効果が高いといい得る。
【0071】
洗浄槽111内の収納容器140の回転速度が速くなると、洗浄槽111内に水流が発生する。そのため、超音波が水流によって乱れることにより、バリ洗浄効果は、減衰することが確認された。実験例2と比較して、実験例1が最も洗浄効果が高くなったのは、収納容器140の回転速度によるものと考えられる。
【0072】
次に、収納容器140に備え付けられた複数のチップ20の設置個所及び上下動作速度を変更し、バリの取り残し確認を行った。
【0073】
【0074】
実験例5、7~9において、十分なバリ除去効果が確認された。実験例5、7~9において、バリ除去効果に大きな差は確認されなかった。上下動作がない実験例6について、バリの取り残し不良が多く見つかった。そのため、収納容器140の上下動作は、バリや異物等の除去において、大きな役割を果たしているといい得る。
【0075】
実験例7は、実験例5と比較すると大きな差はないものの、回転速度が低速の実験例1と比較するとバリの取り残しが多かった。そのため、回転速度は、低速の方がよいことがわかった。
【0076】
実験例8では、複数のチップ20の向きを左向きにした場合、実験例1の左向き同条件よりもバリ除去効果が低減していた。これは、複数のチップ20の一部が外向きに配置されることで、超音波の振動を受けられず、バリ除去効果が低減したものと考えられる。
【0077】
実験例9は、実験例8と同様に、バリ除去効果が低減していた。
【0078】
上記実験結果より、回転方向は右回りであり、上下動作を有していることが、バリ除去効果を高めていることが確認できた。
【0079】
さらに、上記検証結果を踏まえ、複数のチップ20の向きをすべて内向きにした状態で、回転速度の条件を上記検証結果よりもさらに低速の領域に設定し、その他の条件は、実験例0~9と同一として検証を行った。回転速度の条件を下表3に示す。
【0080】
【0081】
【0082】
シート付着(DAD要因)とは、ダイシングカットの際に発生したバリを表している。また、上記検証結果に(n=10000個)の場合を示す。回転速度については、120[秒/回]まで下げたとしても、洗浄能力に差は見られなかった。具体的には、表4に示すように、条件1~条件4では、シート付着が0[ppm]であった。これに対して、条件5ではシート付着が100[ppm]であった。そのため、条件1~4は、条件5に対して、より改善しているといい得る。表3及び表4から、回転速度が25[秒/回]においても0[ppm]であったことを考慮すると、回転速度は、1回転あたり34[秒]から120[秒]の範囲内においては、安定してバリ除去効果を有しているといい得る。
【0083】
超音波装置の超音波振動子の大きさが規格として決まっている。一度に複数のチップ20が保持された保持用シートを複数配置してバリの除去を行う場合、複数のチップ20が保持された保持用粘着シート30A同士の間隔は、2[cm]以上必要となる。複数のチップが保持された保持用粘着シート同士の間隔は、2[cm]以下の場合、効果的にバリ除去を行うことができない。一方、複数の保持用粘着シート30A又は保持用粘着シート30Bの間隔を2[cm]以上とした場合には、複数の保持用粘着シート30A又は保持用粘着シート30Bを収納容器140に備え付けることも可能である。
【0084】
超音波装置の大きさにより、収納容器140に複数のチップ20が保持された保持用粘着シート30Aを並べられる枚数は、本実施の形態では、面積生産、生産効率、合理化を考えると16枚となる。複数のチップ20が保持された保持用粘着シート30Aは、本実施の形態では、1枚につき、60[秒]以内で洗浄を完了する必要がある。この場合、洗浄に要する時間は、60[秒]×16[枚]=960[秒]が必要となる。従って、本発明において、面積生産、生産効率、合理的に複数のチップ20が保持された保持用粘着シート30Aを多く洗浄しようとした場合、960[秒/回]の回転速度で回転することが好ましい。また、洗浄に要する時間は960[秒]であるので、960[秒]の約数であってもよい。例えば、回転速度は、480[秒/回]、320[秒/回]、240[秒/回]、80[秒/回]、40[秒/回]、32[秒/回]であれば好適である。その場合、上記の例における回転回数は、それぞれ2回、3回、4回、12回、24回、30回に相当する。例えば、回転時間を960[秒]、回転回数を1-30回とすると、回転速度は、32[秒/回]から960[秒/回]の範囲となる。
【0085】
以下、変形例について列記する。
【0086】
一対の外部電極5は、例えば、焼結金属層とめっき層の積層膜にて構成される。焼結金属層は、例えばCu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等のペーストあるいはこれら材料からなる金属粉末を含む導電性樹脂ペーストを焼き付けることで形成される。めっき層は、例えばNiめっき層とこれを覆うSnめっき層とによって構成される。めっき層は、これに代えてCuめっき層やAuめっき層であってもよい。また、一対の外部電極5は、めっき層のみによって構成されていてもよい。
【0087】
誘電体層3の材質は、上述したチタン酸バリウムを主成分とするセラミック材料に限られず、他の高誘電率のセラミック材料(例えば、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3等を主成分とするもの)を誘電体層3の材質として選択してもよい。また、内部電極層4の材質は、上述した金属材料に限られず、他の誘電体材料を内部電極層4の材質として選択してもよい。
【0088】
当該洗浄に際しては、収納容器140によって第1保持用粘着シート30Aがそのシート面と平行な方向に沿って伸長された状態としてもよい。このようにすれば、第1保持用粘着シート30Aによって保持された複数のチップ20のうち隣り合うチップ間(すなわち、上述した隙間Gの大きさ)が広がった状態となるため、隣り合うチップの対向面間に位置するバリや異物等がより確実に除去できるようになる。
【0089】
図11に示すように、外部電極5の形成においては、積層セラミックコンデンサ1の材料である導電性のペースト材料40が複数のチップ20に塗布される。又は、
図12に示すように、外部電極5の形成工程では、積層セラミックコンデンサ1の材料である導電性のシート状部材50が複数のチップ20に貼り付けられることで形成されてもよい。
【0090】
外部電極5の形成は、
図12(A)及び
図12(B)に示すように、シート状部材50の貼り付けによって行われる場合には、複数のチップ20の長さ方向Lの一方の端部にシート状部材50が貼り付けられる。その後、複数のチップ20の長さL方向の他方の端部についても同様の処理によってシート状部材50が貼り付けられる。
【0091】
なお、外部電極の形成に際しては、上述したペースト材料40の塗布及びシート状部材50の貼り付けが複数回繰り返されてもよいし、これらペースト材料40の塗布及びシート状部材50の貼り付けが組み合わされてもよい。
【0092】
また、以上本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。
【0093】
<1>
電子部品の材料であるマザーブロックを切断することにより、マザーブロックを複数のチップに個片化する工程と、複数のチップを保持用粘着シートに保持させる工程と、
複数のチップが保持された保持用粘着シートを収納容器に備え付ける工程と、収納容器を、洗浄液が充填された洗浄槽に浸漬し、洗浄液により複数のチップを洗浄する工程と、を備え、複数のチップを洗浄する工程では、洗浄液に振動が付与され、洗浄槽は移動機構及び回転機構を備え、移動機構は、収納容器を直線的に移動させ、回転機構は、収納容器を回転させる、電子部品の製造方法。
【0094】
<2>
移動機構は、鉛直方向に沿って収納容器を直線的に移動させる、
<1>に記載の電子部品の製造方法。
【0095】
<3>
回転機構は、移動機構による収納容器の移動方向と、直交しない方向に収納容器を回転させる、
<1>又は<2>に記載の電子部品の製造方法。
【0096】
<4>
回転機構は、収納容器を鉛直方向とは垂直な方向に回転させる、
<1>又は<2>に記載の電子部品の製造方法。
【0097】
<5>
洗浄する工程の洗浄方法は、超音波を用いた洗浄方法である、
<1>から<4>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【0098】
<6>
収納容器は、洗浄槽の洗浄液の流動方向と同一方向に回転する、
<1>から<5>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【0099】
<7>
複数の保持用粘着シートが収納容器に備え付けられた状態である、
<1>から<6>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【0100】
<8>
収納容器が複数の保持用粘着シートを最大枚数保持した場合の収納容器の回転時間は、最大960[秒]であり、その回転回数は、1回から30回の間である、
<1>から<7>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【0101】
<9>
収納容器の回転速度は、34[秒/回]から120[秒/回]の範囲である、
<1>から<8>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【符号の説明】
【0102】
10 マザーブロック
20 チップ
30A、30B 保持用粘着シート
111 洗浄槽
113 洗浄液
140 収納容器
AR2 鉛直方向