IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井関農機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107740
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 57/22 20060101AFI20240802BHJP
   A01D 63/04 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
A01D57/22 F
A01D63/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011828
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 学
【テーマコード(参考)】
2B081
【Fターム(参考)】
2B081AA01
2B081BB05
2B081CC25
2B081DA11
2B081DD03
2B081DD05
2B081DD14
2B081DD47
(57)【要約】
【課題】従来、引起装置と伝動筒の接続を解除し、一対の支持アームを伸縮または回転させることで、刈取装置を前方に移動させ、詰まった穀稈の除去作業を行う空間を機体前側に確保する構成のため、詰まった穀稈を取り除いた後に、引起装置と伝動筒を接続し直す作業、詰まり除去前には引起装置と伝動筒の分離作業が必要になるので、再度刈取作業に戻るまでに、多くの時間と労力を費やす問題がある。
【解決手段】走行装置2と圃場に植生する作物を引き上げる引起装置15と作物を刈り取る刈取機構21と刈取機構21の左側後方に作物を引き継いで脱穀する脱穀装置3を備えるコンバインにおいて、引起装置15の下部側に、引起装置15の上部側を機体前後方向に回動可能に支持する開閉回動軸23を設け、開閉回動軸23中心に引起装置15を機体前側に回動させると、引起装置15の上部側にメンテナンススペースMが確保されることを特徴とするコンバイン。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)と圃場に植生する作物を引き上げる引起装置(15)と作物を刈り取る刈取機構(21)と刈取機構(21)の左側後方に作物を引き継いで脱穀する脱穀装置(3)を備えるコンバインにおいて、引起装置(15)の下部側に、引起装置(15)の上部側を機体前後方向に回動可能に支持する開閉回動軸(23)を設け、開閉回動軸(23)中心に引起装置(15)を機体前側に回動させると、引起装置(15)の上部側にメンテナンススペース(M)が確保されることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
引起装置(15)は、複数条の引起構成体(16)を左右方向に並べて構成し、左右両外側の引起構成体(16A)は回動機構を備えない構成とし、左右両外側の引起構成体(16A)の左右間に位置する引起構成体(16)のうち、少なくとも一つの下部に開閉回動軸(23)を装着し、引起装置(15)に駆動力を伝動する引起伝動機構(D)は、引起構成体(16)の上部側から入力し、連結状態を解除すると引起構成体(16B)が回動可能になることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
引起伝動機構(D)は、左右方向に駆動力を伝動する伝動横軸(30)と、伝動横軸(30)から縦方向に伝動方向を切り替える伝動縦軸(31)と、伝動縦軸(31)から各引起構成体(16)に駆動力を振り分ける引起伝動ケース(32)で構成し、伝動縦軸(31)は上部軸(33)と下部軸(34)とに分割し、連結クラッチ機構(35)を介して連結し、連結クラッチ機構(35)を解除位置に移動させると、伝動縦軸(31)が分割状態となり、下部軸(34)を引き抜くと引起構成体(16)が回動可能な非連結状態となることを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
引起装置の作業速度を切り替える引起変速レバー(36)を設け、引起変速レバー(36)を中立に操作して伝動を遮断すると、引起構成体(16)の引起ラグチェン(19)を手動操作により、伝動縦軸(31)が回転可能になる構成とし、連結クラッチ機構(35)は、引起構成体(16)の上端部と伝動横軸(30)の間の空間部(37)から目視可能な位置に配置され、連結/非連結状態を目視で判断できることを特徴とする請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
回動する引起構成体(16)の開閉回動軸(23)は、分草フレーム(12)にボス(40)とピン(41)を介して装着し、開閉回動軸(23)は引起フレーム(17)の下部側と連結し、引起し上部側が回動する構成とし、引起装置(15)の引起カバー(42)は上方に回動可能に装着し、引起カバー(42)内には、前側傾斜姿勢とした引起構成体(16)を保持する姿勢保持部材(43)を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項6】
分草フレーム(12)の先端に、穀稈を引き起こすと共に隣接し合う穀稈を引き離す分草杆(11)を配置し、分草杆(11)の上部側は、引起構成体(16)を機体前側に回動させた際に引起構成体(16)の下方に位置する高さとし、分草杆(11)の上部側には、機体前後方向に回動可能な延長上部分草杆(11A)を装着することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項7】
回動する引起構成体(16)のうち、2条分の引起構成体(16)が同時に回動する部分には、絡み合う穀稈を分離させる分草ガイドバー(47)の機体上部側を機体前側に突出させて配置し、左右端部の回動しない引起構成体(16)と隣接する、回動する引起構成体(16)の左右間に設ける1条分の分草杆(11)の上部には、棒状の分草ガイド(48)を設け、分草ガイド(48)の位置は、左右端部の回動しない引起構成体(16)寄りとすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穀稈を刈り取る刈取装置に作物の穀稈が詰まった際、引起装置と伝動筒の接続を解除し、一対の支持アームを伸縮または回転させることで、刈取装置を前方に移動させ、詰まった穀稈の除去作業を行う空間を機体前側に確保する構成は、公知である(特許文献1)。
また、従来、引起装置と伝動筒を分離させ、支持アームの軸心回りに引起装置を時計方向又は反時計方向に回転させることができる構成は、公知である(特許文献2)。
また、従来、支持アームの軸心回りに、左側の引起装置を時計方向に回転させて引起装置の左部を前側に移動させると共に、右側の引起装置を反時計方向に回転させて引起装置の右部を前側に移動させることができる構成は、公知である(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-29568号公報
【特許文献2】特開2012-139118号公報
【特許文献3】特開2013-99301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち、特許文献1の刈取装置では、引起装置と伝動筒の接続を解除し、一対の支持アームを伸縮または回転させることで、刈取装置を前方に移動させ、詰まった穀稈の除去作業を行う空間を機体前側に確保する構成のため、詰まった穀稈を取り除いた後に、引起装置と伝動筒を接続し直す作業、さらには詰まり除去前には引起装置と伝動筒の分離作業が必要になるので、詰まりが生じた後、再度刈取作業に戻るまでに、多くの時間と労力を費やす問題がある。
前記公知例のうち、特許文献2に記載の刈取装置では、引起装置と伝動筒を分離させると、支持アームの軸心回りに引起装置を時計方向又は反時計方向に回転させることができる構成であるため、引起装置と伝動筒の分離、接続に要する作業は特許文献1に比し、比較的容易であるものの、穀稈を除去する作業を行うための作業スペースを機体前側に大きく形成することができず、詰まった穀稈の除去作業は行えるものの、先行特許文献1に比べると時間がかかる問題がある。
前記公知例のうち、特許文献3に記載の刈取装置では、支持アームの軸心回りに、左側の引起装置を時計方向に回転させて引起装置の左部を前側に移動させると共に、右側の引起装置を反時計方向に回転させて引起装置の右部を前側に移動させることができる構成であるため、特許文献3の方式では、引起装置と伝動筒の分離、接続に要する作業は比較的容易であるものの、穀稈を除去する作業を行うための作業スペースを機体前側に大きく形成することができず、詰まった穀稈の除去作業は行えるものの、先行特許文献1に比べると時間がかかる問題がある。
本願は、刈取装置の引起装置の移動を容易にし、刈取装置における詰まり穀稈の除去を含むメンテナンスを行うための、メンテナンススペースの形成の容易化を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明では、走行装置2と圃場に植生する作物を引き上げる引起装置15と作物を刈り取る刈取機構21と刈取機構21の左側後方に作物を引き継いで脱穀する脱穀装置3を備えるコンバインにおいて、引起装置15の下部側に、引起装置15の上部側を機体前後方向に回動可能に支持する開閉回動軸23を設け、開閉回動軸23中心に引起装置15を機体前側に回動させると、引起装置15の上部側にメンテナンススペースMが確保されることを特徴とするコンバインとしたものである。
請求項2の発明では、引起装置15は、複数条の引起構成体16を左右方向に並べて構成し、左右両外側の引起構成体16Aは回動機構を備えない構成とし、左右両外側の引起構成体16Aの左右間に位置する引起構成体16のうち、少なくとも一つの下部に開閉回動軸23を装着し、引起装置15に駆動力を伝動する引起伝動機構Dは、引起構成体16の上部側から入力し、連結状態を解除すると引起構成体16Bが回動可能になることを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
請求項3の発明では、引起伝動機構Dは、左右方向に駆動力を伝動する伝動横軸30と、伝動横軸30から縦方向に伝動方向を切り替える伝動縦軸31と、伝動縦軸31から各引起構成体16に駆動力を振り分ける引起伝動ケース32で構成し、伝動縦軸31は上部軸33と下部軸34とに分割し、連結クラッチ機構35を介して連結し、連結クラッチ機構35を解除位置に移動させると、伝動縦軸31が分割状態となり、下部軸34を引き抜くと引起構成体16が回動可能な非連結状態となることを特徴とする請求項2に記載のコンバインとしたものである。
請求項4の発明では、引起装置の作業速度を切り替える引起変速レバー36を設け、引起変速レバー36を中立に操作して伝動を遮断すると、引起構成体16の引起ラグチェン19を手動操作により、伝動縦軸31が回転可能になる構成とし、連結クラッチ機構35は、引起構成体16の上端部と伝動横軸30の間の空間部37から目視可能な位置に配置され、連結/非連結状態を目視で判断できることを特徴とする請求項3に記載のコンバインとしたものである。
請求項5の発明では、回動する引起構成体16の開閉回動軸23は、分草フレーム12にボス40とピン41を介して装着し、開閉回動軸23は引起フレーム17の下部側と連結し、引起し上部側が回動する構成とし、引起装置15の引起カバー42は上方に回動可能に装着し、引起カバー42内には、前側傾斜姿勢とした引起構成体16を保持する姿勢保持部材43を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコンバインとしたものである。
請求項6の発明では、分草フレーム12の先端に、穀稈を引き起こすと共に隣接し合う穀稈を引き離す分草杆11を配置し、分草杆11の上部側は、引起構成体16を機体前側に回動させた際に引起構成体16の下方に位置する高さとし、分草杆11の上部側には、機体前後方向に回動可能な延長上部分草杆11Aを装着することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコンバインとしたものである。
請求項7の発明では、回動する引起構成体16のうち、2条分の引起構成体16が同時に回動する部分には、絡み合う穀稈を分離させる分草ガイドバー47の機体上部側を機体前側に突出させて配置し、左右端部の回動しない引起構成体16と隣接する、回動する引起構成体16の左右間に設ける1条分の分草杆11の上部には、棒状の分草ガイド48を設け、分草ガイド48の位置は、左右端部の回動しない引起構成体16寄りとすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、引起装置15の下部側に設けや開閉回動軸23中心に引起装置15を開く側(機体前側)に回動させる構成としているので、開閉回動軸23中心に引起装置15を開く側に回動させると、引起装置15の上部側にメンテナンススペースMを形成でき、引起装置15を開放状態にすると自重で開放状態を維持するので、メンテナンス作業中に意図せず引起装置15が元の位置に戻る(閉じる)ことがなく、作業の安全性が確保され、また、開放状態を維持する大掛かりなダンパー等の姿勢保持部材が不要となるので、引起装置15を含めた刈取装置4全体の部品数の削減や構造の簡潔化を図ることができる。
請求項2の発明では、メンテナンスや詰まりの解消作業時に開放する頻度の高い、左右の引起構成体16の間に位置する中間の中間引起構成体16Bを前方回動可能とすることにより、回動操作する際の重量(操作荷重)を軽くでき、作業者の労力が軽減され、各引起構成体16に駆動力を伝動する引起伝動機構Dが、引起構成体16の上部側に着脱自在に連結されることにより、引起伝動機構Dが引起構成体16の受け部材を兼ねるので、連結を解除した際に引起構成体16が前方回動することを防止できる。
請求項3の発明では、伝動縦軸31の連結状態を切り替える連結クラッチ機構35を、引起構成体16の回動ロック機構とすることにより、作業場に工具を持ち込んでいなくても引起構成体16の回動ロックを解除できるので、穀稈の詰まりの解消に要する作業時間の短縮が図られる。
請求項4の発明では、手動操作で伝動縦軸31を連結解除可能な位置に回転させることができるので、作業者は工具が無くても作業できると共に、作業に必要な労力が軽減される。
引起構成体16と伝動横軸30の間から連結クラッチ機構35の状態を目視できるので、連結や解除を行いやすく、作業能率が向上する。
請求項5の発明では、ボス40とピン41を介して開閉回動軸23を装着したことにより、引起構成体16を前方回動させた際に、引起構成体16の底部(ラグ)が地面に接触しない状態となるので、引起構成体16の破損が防止される。
引起上部カバー42を上方に回動可能としたことにより、引起装置15の上部を露出させることができるので、メンテナンスや調整作業が容易に行える。
姿勢保持部材43を設けたことにより、メンテナンス作業や穀稈の詰まり解消作業中に、引起構成体16が回動しないので、作業スペースが狭まることが防止される。
請求項6の発明では、分草杆(分草体)11の上部側を、機体前側に回動させた引起構成体16の下方に位置する高さとしたことにより、引起構成体16の回動範囲を狭めることが無く、メンテナンスや穀稈の除去作業スペースを広く確保できる。
分草杆11の上部側に延長上部分草杆11Aを設けることにより、引起構成体16の回動範囲を狭めることを防止できると共に、穀稈を引起装置15に近付くまで分草杆11に持ち上げさせることができるので、穀稈の刈取が安定する。
請求項7の発明では、分草ガイドバー47の機体上部側を機体前方に突出させて設けることにより、開閉動作の際に取っ手として用いることができるので、開閉に要する労力の軽減が図られる。
棒状の分草ガイド48を、左右端部の回動しない引起構成体16に寄せて配置することにより、回動する引起構成体16の回動軌跡に干渉しない配置になるので、接触による破損が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】コンバインの側面図。
図2】刈取装置の側面図および引起構成体の概略側面図。
図3】引起構成体の一部側面図および連結クラッチ機構の側面図と引起構成体の一部正面図。
図4】連結クラッチ機構の一部正面図および平面図。
図5】開閉回動軸付近の側面図。
図6】引起構成体を前方回動させた状態の開閉回動軸付近の側面図。
図7】引起構成体を前方回動させた状態の側面図。
図8】延長分草杆の側面図および正面図。
図9】4条刈の刈取装置の引起装置の正面図。
図10】刈取装置の正面図および側面図。
図11】引起構成体を前方回動させる前の刈取装置の斜視図および一部の引起構成体を前方回動させた状態の刈取装置の概略斜視図。
図12】5条刈の刈取装置の引起装置の一部正面図。
図13】6条刈の刈取装置の引起装置の正面図。
図14】7条刈の刈取装置の引起装置の正面図。
図15】コンバインの平面図。
図16】コンバインの平面図。
図17】姿勢保持部材(ケーブルフック)の使用状態の側面図および姿勢保持部材の収納状態の正面図。
図18】一部の引起構成体を前方回動させた状態の他の実施形態の概略斜視図。
図19】同側面図。
図20】刈取装置のフレームの他の実施形態の斜視図。
図21】リンクアームを設けた実施形態の側面図。
図22】一部の引起構成体を前方回動させた状態の他の実施形態の概略斜視図。
図23】ケーブルあるいはアームを設けた実施形態の側面図。
図24】注油ホースを設けた刈取フレームを設けた実施形態の斜視図。
図25】クローラーを省略した走行装置の側面図。
図26】同平面図。
図27】後方フット付近の正面図および側面図。
図28】転輪の平面図および側面図ならびに背面図。
図29】転輪の平面図および側面図ならびに背面図。
図30】操縦部のハンドルバ-付近の正面図および斜視図ならびに平面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は走行装置であり、走行装置2の上方の一側に刈り取られた穀稈を穀粒と排藁に分離させる脱穀装置3を設け、脱穀装置3の前方に該脱穀装置3に供給する穀稈を圃場から刈り取る刈取装置4を設け、脱穀装置3の側方にグレンタンク5を設け、グレンタンク5の前方には操縦部6を設けている(図1)。
なお、本発明を説明するにあたり、理解を容易にするため、コンバインの前進走行方向を基準に前後・左右・上下等の方向を示して説明するが、これにより、本発明の構成が限定されることはない。
前記刈取装置4は、最前方位置に圃場の穀稈を分草する分草装置10を設ける。分草装置10は左右方向に複数並設する。分草装置10は穀稈を分草する分草杆(分草体)11を前後方向の分草フレーム12の先端に取付け、分草フレーム12の基部は刈取装置4の刈取フレーム13に取付ける(図2)。
分草装置10の後方には圃場の穀稈を引起する引起装置15を設ける。引起装置15は引起構成体16を左右方向に複数並設して構成する。各引起構成体16の構成は任意であり、は引起フレーム17に引起ラグ18を取付けた引起ラグチェン19を掛け回し、引起ラグチェン19の前側を引起カバー20で包囲して構成する(図2)。
【0009】
走行装置2と圃場に植生する作物を引き起こす引起装置15と作物を刈り取る刈取機構21と刈取機構21の左側後方に作物を引き継いで脱穀する脱穀装置3を備えるコンバインにおいて、引起装置15の下部側に、引起装置15の上部側を機体前後方向に回動可能に支持する開閉回動軸23を設け、開閉回動軸23中心に引起装置15を開く側(機体前側)に回動させると、引起装置15の上部側にメンテナンススペースMが確保される構成とする(図7)。
この場合、引起装置15を作業状態とするロック装置のロックを解除して、開閉回動軸23中心に引起装置15を開く側(機体前側)に回動させて、引起装置15の上部側にメンテナンススペースMを形成する。
すなわち、走行装置2の前方に設けた刈取装置4は、少なくとも、刈取装置4の前側部分に圃場に植生する作物を引き起こす引起装置15を設け、引起装置15の後側に引起した作物を刈り取る刈刃24を有する刈取機構21を設け、引起装置15の後方で刈取機構21の上方に切断した作物(穀稈)を後方に搬送する穀稈搬送装置25を設けて構成する。
26は穀稈搬送装置25の一部を構成する穂先側搬送装置、27は支持ケース、28は刈取支持アーム、29は掻込装置、29Aは掻込支持フレームである。
【0010】
そして、引起装置15は、引起装置15の上部側を、引起装置15の下部側所定位置に設けた、引起装置15の上部側を機体前後方向に回動可能に支持する開閉回動軸23中心に引起装置15を開く側(機体前側)に回動させ、引起装置15の上部後側にメンテナンススペースMを形成する。
換言すると、引起装置15(引起構成体16)は、各引起構成体16の下部側所定位置に設けた開閉回動軸23中心に、引起構成体16の上部側が機体前方向に回動するように構成し、引起構成体16の上部側を機体前方向に回動させて各引起構成体16の上部後側にメンテナンススペースMを形成する。
そのため、引起装置15の下部側に開閉回動軸23を設けたことにより、引起装置15の上部を開放状態にすると自重で開放状態を維持することができ、メンテナンス作業中に意図せず引起装置15が元の位置に戻る(閉じる)ことがなく、作業の安全性が確保される。
また、開放状態を維持する大掛かりなダンパー等の姿勢保持構成が不要となるので、引起装置15を含めた刈取装置4全体の部品数の削減や構造の簡潔化を図ることができる。
引起装置15は、開閉回動軸23中心に引起装置15の上部後側に形成されるメンテナンススペースMに見合った分だけ、前方回動させればよく、従来のように、大きく引起装置15を移動させる必要はなく、開放状態の引起装置15の回動範囲が抑えられるので、狭いスペースでも引起装置15の開閉(回動)が可能であり、メンテナンス作業性が向上すると共に、詰まった穀稈の除去作業を速やかに行える。
【0011】
この場合、引起装置15の所定位置に設けたロック機構のロックを解除して、開閉回動軸23中心に引起装置15を開く側(機体前側)に回動させて、引起装置15の上部側にメンテナンススペースMを形成するので、通常刈取作業中に引起装置15が前方回動するのを防止する。
引起装置15は、複数条の引起構成体16を左右方向に並べて構成し、左右両外側の引起構成体16Aは回動機構を備えない構成とし、左右両外側の引起構成体16Aの左右間に位置する引起構成体16のうち、少なくとも一つの中間引起構成体16Bの下部に開閉回動軸23を装着し、引起装置15に駆動力を伝動する引起伝動機構Dは、引起構成体16の上部側から入力し、連結状態を解除すると引起構成体16が回動可能になる構成とする(図3)。
すなわち、引起装置15は、複数の引起構成体16を左右方向に並設し、複数の引起構成体16のうち、左右両側の引起構成体16Aは刈取フレーム13側に前方回動不能状態に取付け、左右両外側の引起構成体16Aの間に位置する引起構成体16Bは、下部に設けた開閉回動軸23を中心に前方回動する構成とする(図6、7)。
また、引起装置15に駆動力を伝動する引起伝動機構Dは、引起構成体16の上部側から入力する構成とすると共に、引起構成体16を引起伝動機構Dに対し着脱自在に構成し、伝動機構Dと引起構成体16との連結状態を解除すると、引起構成体(引起構成体16B)16の前方回動可能になる構成とする。
【0012】
そのため、メンテナンスや詰まりの解消作業時に開放する頻度の高い、左右の引起構成体16の間に位置する中間の中間引起構成体16Bを前方回動可能とすることにより、回動操作する際の重量(操作荷重)を軽くでき、作業者の労力が軽減される。
各引起構成体16に駆動力を伝動する引起伝動機構Dが、引起構成体16の上部側に着脱自在に連結されることにより、引起伝動機構Dが引起構成体16の受け部材を兼ねるので、連結を解除した際に引起構成体16が前方回動することを防止できる。
引起伝動機構Dは、左右方向に駆動力を伝動する伝動横軸30と、伝動横軸30から縦方向に伝動方向を切り替える伝動縦軸31と、伝動縦軸31から各引起構成体16に駆動力を振り分ける引起伝動ケース32で構成する。
伝動縦軸31は上部軸33と下部軸34とに分割し、連結クラッチ機構35を介して連結する。
連結クラッチ機構35を解除位置に移動させると、伝動縦軸31が分割状態となり、下部軸34を取り外し可能な位置に位置させると、引起構成体16が回動可能な非連結状態となる。
すなわち、連結クラッチ機構35を解除位置に移動させると、引起伝動ケース32に装着される下部軸34が前後方向に移動可能な状態となり、引起構成体16と共に前後方向に回動可能な非連結状態になる。
【0013】
そのため、伝動縦軸31の連結状態を切り替える連結クラッチ機構35を、引起構成体16の回動ロック機構を兼用することにより、作業場に工具を持ち込んでいなくても引起構成体16の回動ロックを解除できるので、穀稈の詰まりの解消に要する作業時間の短縮が図られる。
引起装置15の作業速度を切り替える引起変速レバー36を所定位置に設け(図1、15)、引起変速レバー36を中立位置に操作して伝動を遮断すると、引起構成体16の引起ラグチェン19を手動操作により、伝動縦軸31が回転可能になる構成とし、連結クラッチ機構35は、引起構成体16の上端部と伝動横軸30の間の空間部37から目視可能な位置に配置され、連結/非連結状態を目視で判断できる(図3)。
なお、図15、16の実施形態では、操縦部6の前側操作パネルに引起変速レバー36を設けているが、刈取装置4の前側から充分に手が届く範囲に設けられている。
手動操作で伝動縦軸31を連結解除可能な位置に回転させることができるので、作業者は工具が無くても作業できると共に、作業に必要な労力が軽減される。
引起構成体16と伝動横軸30の間から連結クラッチ機構35の状態を目視できるので、連結や解除を行いやすく、作業能率が向上する。
上部伝導筒50内に伝動横軸30を回転自在に軸装し、上部伝導筒50に縦伝動パイプ31Aの上部を固定状態に取付け、縦伝動パイプ31Aを上側筒33Aと下側筒34Aとに分割構成し、上側筒33Aと下側筒34Aとの間に連結クラッチ機構35を設ける(図3)。
【0014】
開閉回動軸23は引起フレーム17の下部側と連結し、引起し上部側が回動する構成とする。引起装置15の引起上部カバー42は上方に回動可能に装着する。
引起上部カバー42内には、前側傾斜姿勢とした引起構成体16を保持する姿勢保持部材(フックロッド)43を設ける(図17)。
すなわち、分草フレーム12に側面視において逆L型状のピン(ステー)41を固定状態に設け、ピン41の先端に設けたボス40に開閉回動軸23を設け、開閉回動軸23中心に引起構成体16が前方回動するように構成する(図5)。
ボス40と開閉回動軸23と引起構成体16の引起フレーム17との関係は、任意であり、開閉回動軸23中心に引起構成体16が前方回動すればよく、ボス40に対して開閉回動軸23が、回転自在あるいは固定状態のいずれの構成でもよい。
同様に、開閉回動軸23は引起フレーム17側に固定状態あるいは回転自在に取付けてもよい。
引起上部カバー42は、伝動横軸30あるいは伝動横軸30を内蔵させた上部伝導筒50の前側周辺を包囲するものであり、引起上部カバー42と上部伝導筒50との間の空間内に姿勢保持部材43を収納する。姿勢保持部材43は先端を前方回動させて前側傾斜姿勢とした引起構成体16の上部所定部分に係止し、姿勢保持部材43の基部を伝動横軸30あるいは上部伝導筒50側に係止する(図7、17)。
【0015】
ボス40とピン41を介して開閉回動軸23を装着したことにより、引起構成体16を前方回動させた際に、引起構成体16の底部(ラグ)が地面に接触しない状態となるので、引起構成体16の破損が防止される。
引起上部カバー42を上方に回動可能としたことにより、引起装置15の上部を露出させることができるので、メンテナンスや調整作業が容易に行える。
姿勢保持部材43を設けたことにより、メンテナンス作業や穀稈の詰まり解消作業中に、引起構成体16が回動しないので、作業スペースが狭まることが防止される。
分草フレーム12の先端に、穀稈を引き起こすと共に隣接し合う穀稈を引き離す分草杆(分草体)11を配置する(図2)。
分草杆11の上部側は、引起構成体16を機体前側に回動させた際に引起構成体16の下方に位置する高さとし、分草杆11の上部側には、機体前後方向に回動可能な延長分草杆(延長分草体)11Aを装着する(図8)。
分草杆11の上部側を、機体前側に回動させた引起構成体16の下方に位置する高さとしたことにより、引起構成体16の回動範囲を狭めることが無く、メンテナンスや穀稈の除去作業スペースを広く確保できる。
分草杆11の上部側に延長分草杆11Aを設けることにより、引起構成体16の回動範囲を狭めることを防止できると共に、穀稈を引起装置15に近付くまで分草杆11に持ち上げさせることができるので、穀稈の刈取が安定する。
【0016】
回動する引起構成体16のうち、2条分の引起構成体16が同時に回動する部分には、絡み合う穀稈を分離させる分草ガイドバー47の機体上部側を機体前側に突出させて配置する(図10)。
左右端部の回動しない引起構成体16と隣接する、回動する引起構成体16の左右間に設ける1条分の分草杆11の上部には、棒状の分草ガイド48を設ける(図9、10)。
分草ガイド48の位置は、左右端部の回動しない引起構成体16寄りとする(図10)。
すなわち、引起装置15は、圃場の複数条の穀稈の引起に対応させるように、引起構成体16を左右方向に複数並べて構成しており、複数の引起構成体16のうち、左右両外側の引起構成体16Aは刈取フレーム13に対して回動させない固定状態に取付け、左右両外側の引起構成体16Aの間に位置する中間引起構成体16Bを前方回動させる構成とするが、この場合、左右両外側の引起構成体16Aの間に位置する回動引起構成体16Bは、少なくとも1条分の穀稈を引起するが、複数条の穀稈を引起すために複数条の穀稈に対応させて複数の回動引起構成体16Bを設けることになる。この複数の回動引起構成体16Bは、単独あるいは一体的に前方回動可能に構成する。
【0017】
例えば、4条刈りの場合、左右両外側の引起構成体16Aの間に位置する2個の回動引起構成体16Bを設け、この二つの回動引起構成体16Bは一体で前方回動させる構成とすると、構成を簡素にし、かつ、回動操作も容易にできる(図11)。
また、5条刈りの場合、3個の回動引起構成体16Bを設けることになるが、3個の回動引起構成体16Bのうち、二つの回動引起構成体16Bは一体で前方回動させる構成とし、残る1個の回動引起構成体16Bは単独で前方回動させる構成とする(図12)。
そのため、左右両外側の引起構成体16Aの間に、複数の回動引起構成体16Bを設け、一部または全部は回動引起構成体16Bを一体で前方回動可能に構成する。
換言すると、左右両外側の引起構成体16Aと上部伝導筒50とにより、門型フレーム状に配置して固定側引起構成体16Aを構成し、左右両外側の引起構成体16Aの間に、回動引起構成体16Bを配置する構成としているので、回動引起構成体16Bの前方回動を円滑に行える。
回動する複数の回動引起構成体16Bのうち、2条分の引起構成体16が同時(一体)に回動する回動引起構成体16Bには、左右の回動引起構成体16Bの左右中間位置に縦方向に長い軸棒部材により形成した分草ガイドバー47を設ける。分草ガイドバー47は上側部分を機体前方に突出させて形成する。
【0018】
同様に、図13では6条刈の引起装置15を示し、図14では7条刈の引起装置15を示している。
そのため、引起ラグ18が作用しない2個の引起構成体16Bの背中合わせの引起フレーム17部分に穀稈が絡むのを分草ガイドバー47が防止することができる。
また、左右両側の回動しない固定引起構成体16Aと隣接する、回動する回動引起構成体16Bとの間に設けた分草杆11の上部に棒状の分草ガイド48を設け、分草ガイド48の位置は、正面視において、分草杆11の左右中間位置よりも、隣接する回動しない固定引起構成体16A寄りに配置する。
そのため、回動引起構成体16Bが回動するときに、回動引起構成体16Bの引起ラグ18が前方回動するとき、分草ガイド48との干渉を防止する。
分草ガイドバー47の機体上部側を機体前方に突出させて設けることにより、開閉動作の際に取っ手(把手)として用いることができるので、開閉に要する労力の軽減が図られる(図10)。
棒状の分草ガイド48を、左右端部の回動しない引起構成体16に寄せて配置することにより、回動する引起構成体16の回動軌跡に干渉しない配置になるので、接触による破損が防止される(図12)。
【0019】
すなわち、分草杆11および棒状の分草ガイド48は位置不動なので、引起構成体16を前方回動させる際に、前方回動する引起構成体16の引起ラグ18が分草ガイド48に当接干渉する虞があるが、回動しない引起構成体16側に寄せて配置しているので、当接干渉を防止する。
3~7条自脱型コンバイン刈取装置4の引起装置15の一部または全部の引起構成体16を前方回動可能に構成する。
そのため、引起装置15の後方に、メンテナンススペ-スMを作ることができ、刈取搬送部穀稈搬送装置25に詰まった穀稈を除去等の早期解除可能となる。
引起フレーム17および引起カバー20を一体で下端部の開閉回動軸23を中心に、引起構成体16の上部を前方へ倒す構成とする。
そのため、従来のように、引起構成体16を上部に振り上げることなく、メンテナンススペースMを確保できるので、メンテナンス時の安全性確保を向上させられる。
引起構成体16を前方に倒すだけであるので、従来のように、引起装置15の全重量を支持して振り上げル必要は無く、小力で引起オープン可能となる。
従来のオープン方法では、引起装置15の下部を刈取フレームから着脱する必要があり、工具も必要となるが、本発明では、工具レスでオ-プン状態まで時間を要さない。
【0020】
引起構成体16を上方に振り上げないので、特に、保持具(ダンパ)不要で部品点数削減とコストダウン可能となる。
引起構成体16を上方に振り上げずに、引起構成体16の後方にメンテナンススペースMを形成できるので、メンテナンススペースMを確保するための作業スペースは狭くても可能である。
すなわち、従来では、引起装置15を大きく上方に振り上げるので、そのためのスペースが必要になり、広いメンテナンス作業スペースを要するが、本発明では、引起構成体16を前方回動させるだけのスペースがあれば、メンテナンス可能となる。
引起装置15は、複数の引起構成体16を左右方向に並設し、複数の引起構成体16のうち、左右両側の引起構成体16Aは刈取フレーム13側に位置固定状態に取付け、左右両外側の引起構成体16の間に位置する一つまたは複数の引起構成体16Bは、引起構成体16Bの下部に設けた開閉回動軸23を中心に前方回動する構成とする。
この場合、3条刈りの刈取装置4なら中央の1条分の引起構成体16を、4条刈りの刈取装置4なら中央の2条分の引起構成体16を、5条刈りの刈取装置4なら中央の2条と1条の引起構成体16を、6条刈りの刈取装置4なら2条の引起構成体16の2箇所を、7条刈りの刈取装置4なら中央の2条の引起構成体16の2箇所と1条の引起構成体16を前方に倒せる構成とすればよい。
【0021】
そのため、左右両外側の引起構成体16を固定状態としているので、刈取装置4の剛性を確保した状態で、中間に位置する引起構成体16を前方回動させるので、簡単操作で引起装置15の後方に、メンテナンススペ-スMを作ることができ、刈取搬送部穀稈搬送装置25に詰まった穀稈を除去等の早期解除可能となる。
引起フレーム17と引起カバー20と引起ラグ18と引起伝動ケース32は一体で上部伝導筒50と分離し、前方へ垂直より前(30度程度)傾斜させてメンテナンススペ-スMを作る構成としている。
そのため、引起構成体16を上部に振り上げないので、メンテナンス時の安全性を確保でき、引起構成体16重量を開閉回動軸23で支持した状態で引起しオープン可能となり、オープン作業を容易にでき、工具レスでオ-プン状態まで時間を要さず、引起構成体16の重量を支持させるダンパー等の保持具を不要とし、部品点数削減とコストダウン可能となり、しかも、引起構成体16を振り上げないのでオ-プン状態を小スペ-スで実現可能となる。
伝動横軸30と引起伝動ケース32との間に設けた連結クラッチ機構35を分割・分離して、引起構成体16を刈取フレーム13に対して前方回動させる構成とする(図3)。
【0022】
そのため、引起構成体16の前方回動を容易にでき、スペースMの形成を容易にし、穀稈詰まり対処等のメンテナンス作業を容易にする。
連結クラッチ機構35は伝動縦軸31の上下中間部に設け、連結クラッチ機構35の構成は任意であり、連結クラッチ機構35の上部軸33と下部軸34との回転伝達を入切すると共に、上部軸33と下部軸34とを分割・分離および接合する構成であればよい。
例えば、連結クラッチ機構35は伝動縦軸31の上部軸33の下部と下部軸34の上部の何れか一方に凸形状の凸爪53を形成し、何れか他方に凹形状の凹溝54を形成し、凸爪53と凹溝54とをかみ合わせ状態にしてロックすると回転伝導状態となり、凸爪53と凹溝54とを分離するとロック解除となり、引起構成体16を前方回動可能に構成とする(図3)。
連結クラッチ機構35は、伝動縦軸31を上部軸33と下部軸34とに上下に分離構成し、上部軸33の下部と下部軸34の上部の何れか一方に凸形状の凸爪53を形成し、何れか他方に凹形状の凹溝54を形成し、凸爪53と凹溝54とをかみ合わせ状態にしてロックすると回転伝導状態となり、凸爪53と凹溝54とを分離するとロック解除となり、引起構成体16を前方回動可能に構成する(図3)。
【0023】
すなわち、 伝動縦軸31を上部軸33と下部軸34とに上下に分割構成し、上部軸33の下部と下部軸34の上部の何れか一方に前記連結クラッチ機構35の凸爪53を設け、上部軸33の下部と下部軸34の上部の何れか他方に前記連結クラッチ機構35の凹溝54を設けて、連結クラッチ機構35を伝動縦軸31の中間部に設けている。
そして、凸爪53と凹溝54とが係合したロック状態のとき、上部軸33の駆動回転が下部軸34に伝達される。
そして、伝動縦軸31のうち、凹溝54の向きを前後方向にすると、凹溝54から凸爪53を離脱可能状態にでき、この状態で、上部軸33を伝動横軸30側に残したまま、下部軸34と引起構成体16本体を前方回動させることができる。
分離時に凸爪53を前後方向位置にするために、引起変速レバー36を中立位置に合わせ、伝導を断絶(遮断)し、引起ラグチェン19を手動で上下させると、凸爪53は小力で位置調整可能となるように構成する。
すなわち、引起構成体16へ伝達する駆動力を入切する連結クラッチ機構35を、回転伝達経路中に設け、連結クラッチ機構35を引起変速レバー36で「切」にすると、引起構成体16の引起ラグ18は手動で回転させることができ、引起ラグ18を手動回転させると、これにより、伝動縦軸31が回転するので、引起ラグ18を手動で回転させて、凸爪53を前後方向の解除可能位置に位置合わせし、連結クラッチ機構35を解除して引起構成体16を前方回動させる。
【0024】
そのため、工具レスで、連結クラッチ機構35のロック解除して、引起構成体16をオ-プンさせることができる。
なお、連結クラッチ機構35を引起変速レバー36により操作する機構は任意であり、例えば、引起し変速レバー36が切位置に来たことを検知するスイッチ(図示省略)を設け、このスイッチがONになると連結クラッチ機構35を切に動作するソレノイド等を設ければよい。
また、引起し変速レバー36にクラッチ入切ワイヤを設け、このクラッチ入切ワイヤの端部に切ピンを設け、引起し変速レバー36が切位置に操作されると、連結クラッチ機構35に切ピンが接触することで連結クラッチ機構35が切状態になるという構成でもよい。
凸爪53と凹溝54の連結クラッチ機構35と引起変速レバ36は互いに近傍に配置する。
そのため、連結クラッチ機構35の操作を容易にする。
凸爪53と凹溝54により構成する連結クラッチ機構35は、前記空間部37から目視可能に構成する(図3)。
【0025】
凸爪53と凹溝54により構成する連結クラッチ機構35は、連結クラッチ機構35の歯元にはスペ-ス54Aを形成する(図4)。
そのため、連結クラッチ機構35の凸爪53と凹溝54の接続あるいは解除操作を容易にする。
引起構成体16の下部の開閉回動軸23は、多条刈りの複数並設した引起構成体16のうち、中央2個の引起構成体16の最下端部と分草フレーム12をボス40とピン41で保持した構成とする。
すなわち、中央2つの引起し構成体16が、回動支軸23を支点として、機体前後(上下)方向に回動する構成とする(図5、9)。
なお、この場合、中央2つの引起し構成体16Bのみが、上下回動する構成とし、左右両端側の引起し構成体16Aは刈取フレーム13側に通常時は固定しているが、左右両端側の引起し構成体16Aもボルト等を取り外すことで着脱自在に取付け、メンテナンスを容易にしている。
そのため、刈取作業時に、回動する引起ラグ18の先端が圃場面に接触する等の干渉を防止する。
なお、多条刈の刈取装置4では、複数ある中間引起し構成体16Bを一体で前方回動させる構成としてもよい。
【0026】
伝動横軸30の前方に設けた引起上部カバー42は、上方へ回動オ-プン可能とする。
そのため、引起し構成体16の前方回動を円滑にする。
引起上部カバー42を上方回動させる構成とすると、引起し上部カバー42の先端は円弧を描いて移動するので、下端部位置は引起しカバー20の上方の空間部37に入り込むので、着脱時に干渉することはない。
一方、引起し上部カバー42を機体前側に引き出したり、取り外したりするものでは、引起しカバー42を戻す際に上下方向にぶれやすく、引起しカバー20の上端部付近に接触しやすく、取り外しが難しくなる。
また、連結クラッチ機構35のかみ合わせの確認を容易化させられる。
また、引起上部カバー42を上方へ回動オ-プンさせた状態で、伝動横軸30側と前方回動させた引起構成体16とを姿勢保持部材43にて連結保持する(図17)。
この場合、使用していない姿勢保持部材43は元の位置に戻した引起上部カバー42内に収納しうるように構成すると、姿勢保持部材43の内側スペースを有効活用できると共に、姿勢保持部材43の連結保持作業を容易にできる。
【0027】
また、引起上部カバー42を上方へ回動オ-プンさせた状態で、伝動横軸30側と前方回動させた引起構成体16とをケーブルフック63にて連結保持する構成とし(図17)、ケーブルフック63は元の位置に戻した引起上部カバー42内に収納しうるように構成する。
そのため、ケーブルフック63の内側スペースを有効活用できると共に、ケーブルフック63の連結保持作業を容易にできる。
オ-プンさせる引起構成体16の裏(後側)には、引起ラグテンション部材65および引起カバ-保持部材66を下部筒34Aに設置させる構成とする(図3)。
すなわち、引起ラグテンション部材65は、複数の引起しラグ18を備えて周回する引起しチェン19の上部スプロケット19A付近に設けられ(図3)、引起しチェン19の弛みを防止する板部材である。
また、引起しカバー保持部材66は、引起伝動ケース32の左右両側に設けられ、引起構成体16を各々装着する部材あり、各々引起フレーム17側に上下2本ずつボルト(図示省略)により装着する。
下部筒34Aは、連結クラッチ機構35が連結状態であるときに、引起伝動ケース32内に駆動力を伝動する上下方向の下部軸34を包囲するものである。
【0028】
伝動横軸30と下部の分草フレーム12間にフレ-ムパイプ70で連結保持する構成とする(図7)。
そのため、引起構成体16の前方オープン時には強度メンバ-である引起構成体16が無くなるが、上部伝動ケース71と分草フレーム12をフレ-ムパイプ70により強固に支持できる。
また、フレ-ムパイプ70に穂先ガイド72と伝導脱着保持具73を取付ける。
そのため、上下に分割可能構成でありながら、通常作業時に下部筒34Aを伝導脱着保持具73によりフレ-ムパイプ70(刈取装置4の固定側)側に固定することができ、作業を安定して行える。
引起構成体16の上部後側には上側穂先ガイド74を設け、上側穂先ガイド74は引起構成体16と共に前方回動する構成とし、上側穂先ガイド74の下方に設けた下側穂先ガイド75はフレ-ムパイプ70で保持する構成とする。
伝動横軸30と伝動縦軸31の間の連結クラッチ機構35を分割・分離して回動させる構成とし、引起構成体16を前方へ回動させる際には引起構成体16の下端部と分草杆11との干渉するため、回避させる構成とし、分草フレーム12の上方の干渉部位を無くす形状とする。
すなわち、分草杆11の上部高さを低く形成し、引起構成体16の下端部との干渉防止する。
【0029】
分草杆11を上下に2分割して構成し、上部分草杆11Aを前方へ回動可能にし、引起構成体16のオープン時の干渉を防止する。
また、少なくとも、分草杆11の上部分草杆11Aは柔軟な樹脂素材で形成する。
そのため、引起構成体16の前方回動時に、引起構成体16が上部分草杆11Aに接触したとしても、引起構成体16と上部分草杆11Aとの双方の破損を防止する。
フレ-ムパイプ70と倒伏させる引起構成体16間をリンクア-ム78により連結する(図21)。
そのため、引起構成体16の過剰な前方回動を抑制する。
フレ-ムパイプ70と倒伏させる引起構成体16間を長孔ア-ム79またはケ-ブル80でつなぎ、引起構成体16を倒伏させた時の位置保持させる構成とする(図23)。 そのため、倒伏時の引起構成体16を強固に支持する。
また、長孔ア-ム79またはケ-ブル80でつなぐことにより、任意の倒伏角度で引起構成体16を強固に支持する。
【0030】
引起ラグチェン19の注油ホース81は、引起構成体16の下方の分草フレーム12から開閉回動軸23付近を通し、引起ローラ82付近へ配索する構成とする(図24)。
そのため、注油ホース81の存在が引起構成体16の前方倒伏回動の障害となるのを防止する。
穂先センサ83はフレ-ムパイプ70に配置する(図19)。
そのため、穂先センサ83の存在が、引起構成体16の前方回動に干渉しない。
引起構成体16が隣接する隙間の中間に丸棒状の分草ガイドバー47を設置するが、引起構成体16オープンの際に他部品への干渉防止し、かつ、オ-プンの取っ手かわりとして利用する形状・配置とする(図10)。
引起ラグ18が対面する隙間の中間に丸棒状の分草ガイドバー47を設置するが、引起構成体16のオープンの際に引起ラグ18に干渉しないように回動しない側のラグ引起ラグ18側に寄せ、隙間を形成する(図10)。
3、5、7条コンバインで引起ラグ18が対面せず、カバ-する場所で、引起構成体16の際に引起ラグ18がカバ-に干渉しないように引起ラグ18と引起カバー20間に隙間を形成する。
【0031】
そのため、収納姿勢で上方移動中の引起しラグ18の外側端部が引起しカバー20の内側端部に接触しないので、引起しラグ18の摩耗による穀稈の引起し性能が低下することや、引起しラグ18を備える引起しチェンが飛んで、穀稈の引起し損ないが生じことが防止される。
ハンドルバ-85の左部86を上部に凸型に形成し、安全ガードの機能ももたせ、視界性と刈取搬送部への落下防止を確保した形状とする(図30)。
そのため、走行作業中の転倒による巻き込まれ防止・安全性向上させられる。
左部凸型スペ-ス87は刈取装置4の左端先端(未刈かん)の視界をさえぎらず、HSTレバ-を操作する腕周辺にも影響ない形状とする。
図30に示したとおり、ハンドルバー85の機体内側である左部86に凸部スペース87を形成し、凸部スペース87の下部には、HSTレバー等の操作部材を配置する。
これにより、ハンドルバー85が操縦者の動作を妨げることを防止できる。また、ハンドルバー85は棒状の部材を曲げ加工して構成するので、区間部から前側を視認しやすくなる。
したがって、走行装置2により機体を走行させ、刈取装置4で圃場の穀稈を刈取り、刈取穀稈を脱穀装置3に供給して刈り取られた穀稈を穀粒と排藁に分離させる。
この場合、刈取作業中に刈取装置4の穀稈搬送装置25の何れかの部分に、刈取穀稈が絡まることがあるが、本発明では、引起装置15の複数並設した引起構成体16のうちの一部を、下部側に設けた開閉回動軸23中心に機体前方向に回動可能に構成しているので、詰まり発生したときは、機体の走行を停止させ、刈取装置4の駆動を停止させ、開閉回動軸23中心に引起構成体16を機体前側に回動させると、引起装置15の上部側にメンテナンススペースMが形成される。
【0032】
グリスニップル87を上傾斜で転輪保持ステ-88の円筒部89に設置する(図26)。
グリスニップル87の上端部には微細なグリスの注入孔が形成されており、グリスニップル87に高圧をかけてグリスを注入するグリスガン等を押し当てることで、円筒部89内にグリスを注入する。
こうした高圧でグリスを注入供給する構成であるため、グリスニップル89に形成された注入孔からは、グリスの粘性等の要因によりグリスの漏出は防止される。
したがって、キャップが外れてグリスが圃場に漏れ出す、ということがなく、圃場の汚染やグリス不足による摩耗が防止される。
また、本構成では、転輪保持ステー88の円筒部89の断面形状で凹部となる部分に形成しているので、グリスニップル89は地面との接触を回避できる。
さらには、側面視において、グリスニップル87を後上がり傾斜姿勢で設けているので、グリスガン等のグリスの供給装置を当てやすく、供給作業の能率を向上させられる。
そのため、転輪90の耐久性を向上させ、湿田・畔超え・圃場侵入時の機体姿勢の安定化を図ることができ、メンテナンス性能向上(転輪給油性)させられる。
【0033】
転輪90は両側分割構成で走行フレ-ム91の両側トラックローラフレ-ム92の下部から下方へ脱着可能とした構成とし、上部転輪90のASSY内部のRBBにグリ-ス注入するグリスニップル93を上傾斜で転輪保持ステ-88の円筒部89に設置する(図26)。
そのため、耐久性向上(第一転輪軸保護)、湿田・畔超え・圃場侵入時の機体姿勢安定化、メンテナンス性能向上(転輪給油性)させられる。
上部・下部転輪90は、グリ-ス注入しやすいように転輪ASSYを背面合わせ位置に配置する。
下部転輪90を左右1個づつ増加させる。
そのため、シャフト破損・転輪外周摩耗低減・振動防止が図れる。 追加する転輪90は機体中央部の前後クロ-ラガイドグリスニップル93の間に配置する。
そのため、耐久性向上(第一転輪軸保護)、湿田・畔超え・圃場侵入時の機体姿勢の安定化、メンテナンス性能向上(転輪給油性)、畔越え・機体積み下ろしの姿勢安定化を図ることができる。
【0034】
機体走行方向の前方から第一、第二転輪90は前側フット94、第五、第六転輪90は後方フット95をまたいで均等振り分け配置した構成とする。
そのため、振動低減とフット耐久性向上させられる。
転輪保持ステ-88と円筒部89とを一体鋳物に形成する。
そのため、部品精度と強度アップを図ることができる。
上部転輪ASSY内部のRBBにグリ-ス注入するグリスニップル93を上傾斜で転輪保持ステ-88の円筒部89に設置する。
そのため、直進性向上・部品点数削減・コストダウン・軽量化を図れる。
走行フレ-ム後方下部にクロ-ラテンションアーム96は、1個の角チュ-ブを挿入するが、その下部の角チュ-ブにも平行挿入し、アイドルロ-ラ99の傾き防止する。
そのため、耐久性向上(第一転輪軸保護)、湿田・畔超え・圃場侵入時の機体姿勢安定化、メンテナンス性能向上(転輪給油性)、直進性向上・部品点数削減・コストダウン・軽量化を図れる。
コーン収穫の際は前後バランス改善目的で後方重量をUPさせる必要があり、先の角チュ-ブ97を無垢材とし、ウエイト代わりとして交換部品とする(図19)。
【符号の説明】
【0035】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、10…分草装置、11…分草杆(分草体)、11A…延長上部分草杆、12…分草フレーム、13…刈取フレーム、15…引起装置、16…引起構成体、17…引起フレーム、18…引起ラグ、19…引起ラグチェン、20…引起カバー、21…刈取機構、23…開閉回動軸、24…刈刃、25…穀稈搬送装置、30…伝動横軸、31…伝動縦軸、32…伝動ケース、33…上部軸、34…下部軸、34A…下部筒、35…連結クラッチ機構、36…引起変速レバー、37…空間部、40…ボス、41…ピン、42…引起上部カバー、43…姿勢保持部材、47…分草ガイドバー、48…分草ガイド、50…上部伝導筒、53…凸爪、54…凹溝、63…ケーブルフック、65…引起ラグテンション部材、66…引起カバ-保持部材、70…フレ-ムパイプ、71…上部伝動ケース、72…穂先ガイド、73…伝導脱着保持具、74…上側穂先ガイド、75…下側穂先ガイド、78…リンクア-ム、79…長孔ア-ム、80…ケ-ブル、81…注油ホース、82…引起ローラ、83…穂先センサ、85…ハンドルバ-、86…左部、87…左部凸型スペ-ス、88…転輪保持ステ-、89…円筒部、90…転輪、91…走行フレ-ム、93…グリスニップル、94…前側フット、95…後方フット、96…クロ-ラテンションアーム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30