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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107748
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】車両の障害物検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/04 20060101AFI20240802BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20240802BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240802BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20240802BHJP
   G01S 15/87 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G01S15/04
G01S15/931
G08G1/16 C
B60R21/00 991
G01S15/87
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011837
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 浩之
【テーマコード(参考)】
5H181
5J083
【Fターム(参考)】
5H181AA07
5H181CC11
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
5J083AA02
5J083AB12
5J083AB13
5J083AC17
5J083AD04
5J083AE01
5J083AE06
5J083AF07
5J083AF10
5J083BB01
5J083BE11
5J083CA01
5J083CA18
5J083EB11
(57)【要約】
【課題】警告等の対策の不要な実施により運転者に煩わしさを感じさせる事態を回避する。
【解決手段】車両1の後方に向く複数の超音波センサ251a、251bからの超音波の送波方向の伝播が、開位置にあるリアゲート212cにより妨げられる車両1において、第1超音波センサ251aと、開位置にあるリアゲート212cに対して第1超音波センサ251aとは異なる部位に超音波を照射する第2超音波センサ251bと、を設け、開位置にあるリアゲート212cにより、第2超音波センサ251bにより発せられた超音波を第1超音波センサ251aにより発せられた超音波よりも低い反射強度Irefをもって反射させる。第1超音波センサ251aにより検出された超音波の反射強度と第2超音波センサ251bにより検出された超音波の反射強度との間に所定以上の差ΔIrefが生じた場合に、障害物に対する対策の実施を回避または停止する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアゲートと、車両の後方に超音波を照射可能に設置された複数の超音波センサと、を備え、前記超音波センサにより発せられた超音波の送波方向の伝播が開位置にある前記リアゲートにより妨げられる車両の障害物検知装置であって、
前記超音波センサからの出力をもとに前記車両の後方に存在する障害物を検知する障害物検知手段と、
前記障害物検知手段により前記障害物が検知された場合に、前記障害物に対する所定の対策を実施する障害物対策手段と、を備え、
前記複数の超音波センサは、
第1超音波センサと、
前記開位置にあるリアゲートに対して前記第1超音波センサとは異なる部位に超音波を照射する第2超音波センサと、を含み、
前記リアゲートは、前記開位置にある状態で、前記第2超音波センサにより発せられた超音波を前記第1超音波センサにより発せられた超音波よりも低い反射強度をもって反射させ、
前記第1超音波センサにより検出された前記超音波の反射強度と前記第2超音波センサにより検出された前記超音波の反射強度との間に所定以上の差が生じた場合に、前記障害物対策手段による前記対策の実施を回避または停止する、車両の障害物検出装置。
【請求項2】
前記障害物対策手段は、前記障害物検知手段により前記障害物が検知されたことの前記車両の運転者または同乗者による認識を促す警告を実施する、請求項1に記載の車両の障害物検知装置。
【請求項3】
前記第1超音波センサからの超音波が照射される前記リアゲートの第1部位と前記第2超音波センサからの超音波が照射される前記リアゲートの第2部位とで、前記超音波の入射方向に対して前記第1および第2部位のなす角度が互いに相違する、請求項1に記載の車両の障害物検知装置。
【請求項4】
前記リアゲートは、閉位置にある当該リアゲートから後方に起立する突起部を前記第1部位に有し、
前記突起部は、前記リアゲートが前記開位置にある状態で、前記第1超音波センサにより発せられる前記超音波の前記第1部位に対する入射点を、前記第2超音波センサにより発せられる前記超音波の前記第2部位に対する入射点よりも前方に形成する、請求項3に記載の車両の障害物検知装置。
【請求項5】
前記第1超音波センサと前記第1部位とを結ぶ直線と、前記第2超音波センサと前記第2部位とを結ぶ直線とは、前記車両の前後方向に延びかつ互いに平行である、請求項4に記載の車両の障害物検知装置。
【請求項6】
前記第1超音波センサと前記第1部位とを結ぶ直線は、前記突起部における前記超音波の反射面に対して垂直である、請求項5に記載の車両の障害物検知装置。
【請求項7】
前記第1超音波センサは、前記第2超音波センサよりも発せられる超音波の強度が高い、請求項5に記載の車両の障害物検知装置。
【請求項8】
前記第1超音波センサは、第2超音波センサよりも車幅方向の内側に位置する、請求項7に記載の車両の障害物検知装置。
【請求項9】
前記リアゲートは、前記車両の荷台を開閉するリアゲートであって、前記荷台の床面部に沿って車幅方向に形成された回転軸を有し、閉位置にある状態で前記床面部を包囲する一方、前記閉位置から前記開位置へ前記回転軸を中心として後方に倒れるように回動可能に構成され、
前記複数の超音波センサは、前記回転軸の下方に設けられ、車幅方向に延びる前記車両の後壁部に、車幅方向に並べて設置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の車両の障害物検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の障害物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後方に存在する障害物を超音波センサにより検知し、運転者に対する警告を行う技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5794381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、トラック等、車両の後部に荷台を備え、「あおり」と呼ばれる可動ゲートにより荷台を側方または後方に開閉可能に構成された車両では、荷台を後方に開放させる可動ゲート(以下「リアゲート」という)が開いた状態にある場合に、超音波センサにより発せられた超音波にリアゲートが干渉し、超音波センサがこのリアゲートを障害物として検知することで、誤った警告を行ってしまうことが想定される。その場合は、車両の後方に実際には障害物が存在しないにも拘わらず警告が不要に実施され、運転者に煩わしさを感じさせることが懸念される。これに対し、リアゲートが開いた状態にあることを検知するセンサを設置することも考えられるが、新たなセンサの設置により製造コストの増加を招くという弊害がある。
【0005】
そこで、本発明は、警告等の対策の不要な実施により運転者に煩わしさを感じさせる事態を、新たなセンサによらず、比較的廉価な構成により回避することのできる車両の障害物検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため、本発明の一形態に係る車両の障害物検知装置は、リアゲートと、車両の後方に超音波を照射可能に設置された複数の超音波センサと、を備え、前記超音波センサにより発せられた超音波の送波方向の伝播が開位置にある前記リアゲートにより妨げられる車両の障害物検知装置であって、前記超音波センサからの出力をもとに前記車両の後方に存在する障害物を検知する障害物検知手段と、前記障害物検知手段により前記障害物が検知された場合に、前記障害物に対する所定の対策を実施する障害物対策手段と、を備え、前記複数の超音波センサは、第1超音波センサと、前記開位置にあるリアゲートに対して前記第1超音波センサとは異なる部位に超音波を照射する第2超音波センサと、を含み、前記リアゲートは、前記開位置にある状態で、前記第2超音波センサにより発せられた超音波を前記第1超音波センサにより発せられた超音波よりも低い反射強度をもって反射させ、前記第1超音波センサにより検出された前記超音波の反射強度と前記第2超音波センサにより検出された前記超音波の反射強度との間に所定以上の差が生じた場合に、前記障害物対策手段による前記対策の実施を回避または停止する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一形態によれば、第1および第2超音波センサの間で検出された超音波の反射強度に所定以上の差が生じた場合に、障害物に対する対策の実施を回避または停止することで、開いた状態にあるリアゲートを障害物と誤って検知し、警告等の対策を実施することを回避することが可能となる。これにより、警告等の対策の不要な実施により運転者に煩わしさを感じさせる事態を、新たなセンサによらず、比較的廉価な構成により回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る障害物検知装置を搭載した車両の車体部を左斜め後方から見た状態で示す斜視図である。
図2図1に示す車体部を後方から見た状態で示す背面図である。
図3図1に示す車体部(荷台)の、図2に示すA-A線による断面図である。
図4図1に示す車台部(荷台)を左方から見た状態で示す側面図である。
図5】開位置にあるリアゲートの超音波に対する干渉を模式的に示す説明図である。
図6】内側の超音波センサと外側の超音波センサとのそれぞれにより検出される反射波の信号強度(反射強度)および距離の関係を示す説明図である。
図7】本発明の一実施形態に係る障害物検知制御の基本的な流れを示すフローチャートである。
図8】本発明の他の実施形態に係る障害物検知制御の基本的な流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る障害物検知装置を搭載した車両1の車体部を左斜め後方から見た状態で示す斜視図である。図1中、矢印Frにより車両1の前後方向を示す。矢印Frの先が向く方向が車両1の前方であり、その反対が車両1の後方である。以下の説明では、車両1の前方に向かって右側を右方とし、左側を左方とする。図1は、車両1の車体部に加え、本実施形態に係る障害物検知装置の概略的な構成を併せて示す。
【0011】
図2は、本実施形態に係る車両1の車体部を後方から見た状態で示す背面図である。図2は、車台部との相対的な位置関係の把握のため、左右の後輪301a、301bを二点鎖線により模式的に示す。
【0012】
図2を適宜に参照しながら、図1に基づき、本実施形態に係る車両1の車台部の構成について説明する。後に述べるように、本実施形態に係る障害物検知装置は、電子制御ユニットとして構成されるコントローラ501と、後方監視用の外界センサである超音波センサ251a、251bと、キャブ11の内部に設置される警報器511と、により構成される。
【0013】
本実施形態に係る車両1は、平ボディ式のトラックであり、内部に運転席が設けられたキャブ11と、キャブ11の後方に配置された荷台21と、を備える。
【0014】
荷台21は、荷物が積載される平坦な床面部211を備え、この床面部211が、キャブ11の背面部11aと、「あおり」と呼ばれる開閉可能な可動ゲート212a、212b、212cと、により前後左右の四方から包囲された構成を有する。以下に、左側の可動ゲートを左あおりまたは左サイドゲート212aといい、右側の可動ゲートを右あおりまたは右サイドゲート212bといい、後側の可動ゲートを後あおりまたはリアゲート212cという。キャブ11の背面部11aには、ロードレスト111が取り付けられている。ロードレスト111は、板材等、長さのある荷物を立て掛けて積み込む際に、荷物の支えとして利用することが可能である。
【0015】
床面部211は、キャブ11の背面部11aから後方に延び、上方から見た平面視で前後方向に長い長方形状をなす。床面部211は、金属製の板材から形成され、車幅方向の両側を車両1の前後方向に延びる図示しない車台部のサイドメンバにより、下方から支持された状態にある。
【0016】
左サイドゲート212aおよび右サイドゲート212bは、全体長方形状の金属製の板材により形成され、床面部211の全長に亘って前後方向に延在する。左サイドゲート212aおよび右サイドゲート212bは、床面部211の左右夫々の端縁部に取り付けられたヒンジ(図示せず)により、床面部211に対して回転可能に支持された状態にあり、閉位置と開位置との間で夫々ヒンジを中心として回転可能である。左サイドゲート212aは、閉位置において床面部211に対して垂直に起立し、床面部211上方の積載空間の左端縁を画定する。右サイドゲート212bは、閉位置において床面部211から垂直に起立し、床面部211上方の積載空間の右端縁を画定する。左サイドゲート212aおよび右サイドゲート212bは、閉位置から夫々ヒンジを基点として外方ないし側方へ倒れるように90°回転させることで、開位置に移動させることが可能である。左サイドゲート212aは、開位置において、床面部211に対して平行に、つまり、水平に倒伏し、床面部211を左方に開放する。右サイドゲート212bは、開位置において、床面部211に対して平行に、つまり、水平に倒伏し、床面部211を右方に開放する。
【0017】
図3は、本実施形態に係る車両1の車台部(荷台21)の、図2に示すA-A線による断面図であり、図4は、車両1の車台部(荷台21)を左方から見た状態で示す側面図である。以下の説明では、図1および図2に加え、図3および図4を適宜に参照する。
【0018】
リアゲート212cは、全体長方形状の金属製の板材により形成され、床面部211の全幅に亘って車幅方向に延在する。図2に示すように、リアゲート212cは、床面部211の後端部に取り付けられたヒンジ213により、床面部211に対して回転可能に支持された状態にあり、閉位置と開位置との間でヒンジ213を中心として回転可能である。リアゲート212cは、閉位置において、床面部211に対して垂直に起立して、左サイドゲート212aおよび右サイドゲート212bの後端部に当接し、床面部211上方の積載空間の後端縁を画定する。リアゲート212cは、車幅方向の両端部にハンドル式の手動操作部214が設けられ、手動操作部214に取り付けられた掛け金を左右のサイドゲート212a、212bに設けられたフックに係止することで、閉位置に保持される。つまり、手動操作部214、掛け金およびフックは、リアゲート212cを閉位置に保持するロック機構を構成する。リアゲート212cは、手動操作部214の掛け金をフックから外し、さらに、閉位置からヒンジ213を基点として外方ないし後方へ倒れるように90°回転させることで、開位置に移動させることが可能である。リアゲート212cは、開位置において、床面部211に対して平行に、つまり、左サイドゲート212aおよび右サイドゲート212bと同様に水平に倒伏し、床面部211を後方に開放する。図4は、開位置にあるリアゲート212c’を二点鎖線により示す。
【0019】
荷台21は、以上に加え、リアゲート212cの下方において、床面部211の後端部から鉛直下向きに延びる後方垂下部241を備えるとともに、後方垂下部241に対して車幅方向の両端部に連設され、床面部211の後端部から前方に向けて延びる側方垂下部242と、を備える。側方垂下部242は、左右のサイドゲート212a、212bの後端部の下方かつ左右のリアフェンダ243の後方に位置する。本実施形態において、後方垂下部241と側方垂下部242とは、一体に形成され、床面部211の後端部直下の空間を左右および後方の三方から包囲する。後方垂下部241は、本実施形態に係る「後壁部」を構成する。
【0020】
本実施形態において、後方垂下部241には、後方監視用の複数の超音波センサ251a、251bが設けられているほか、テールランプユニット252a、252b、バックランプ253および後部リフレクタ254が設けられている。
【0021】
図2に示すように、複数の超音波センサ251a、251bは、車幅方向に間隔を空けて配置され、車両1の後方に超音波を照射可能に設置されている。複数の超音波センサ251a、251bの、車両1における前後方向および高さ方向の位置は、いずれも同じである。
【0022】
本実施形態では、前後方向に延びる車両1の中心軸に対し、近位側である内側と遠位側である外側とに夫々2つずつ、合計4つの超音波センサ251a、251bが設置されている。内側の超音波センサ251aは、車両1の中心軸に対して左右に1つずつ、中心軸から互いに等しい距離に配置され、外側の超音波センサ251bも、車両1の中心軸に対して左右に1つずつ、中心軸から互いに等しい距離に配置されている。つまり、外側の超音波センサ251bと中心軸との距離D1は、内側の超音波センサ251aと中心軸との距離D2よりも長い。そして、左側の内外2つの超音波センサ251a、251bは、左側のテールランプユニット252aを左右から挟む位置に設けられ、右側の内外2つの超音波センサ251a、251bは、右側のテールランプユニット252bを左右から挟む位置に設けられている。内側の超音波センサ251aは、本実施形態に係る「第1超音波センサ」を構成し、外側の超音波センサ251bは、本実施形態に係る「第2超音波センサ」を構成する。
【0023】
このように、複数の超音波センサ251a、251bを車幅方向に並べ、互いに間隔を空けて配置することで、車幅方向の広い範囲に亘って超音波を照射可能とし、車両1の全幅に亘って後方の障害物を検知することが可能である。本実施形態において、車幅方向に隣り合う超音波センサ同士の間隔は、互いの超音波の照射範囲が一部で重複するように設定されている。具体的には、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとの超音波の照射範囲が左側と右側とのそれぞれにおいて一部で重複する。さらに、内側の超音波センサ251a、251a同士の超音波の照射範囲も一部で重複する。
【0024】
さらに、本実施形態では、内側に配置された2つの超音波センサ251a、251aの方が外側に配置された2つの超音波センサ251b、251bよりも発射される超音波の強度が高く設定されている。ここで、超音波の強度とは、超音波センサ251a、251bにより発せられた超音波の振幅により規定する。つまり、本実施形態において、超音波の強度が高いとは、超音波の振幅が大きいことをいう。超音波の強度は、超音波センサ251a、251bの出力、つまり、超音波センサ251a、251bの振動子に供給される電力を増大させることにより高めることが可能である。内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとで超音波の強度を異ならせることにより、同じ周波数のもとでの超音波の到達距離を変化させることが可能である。これに限らず、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとで超音波の強度を互いに等しく設定してもよく、外側の超音波センサ251bの方を内側の超音波センサ251aよりも発射される超音波の強度を高く設定してもよい。
【0025】
テールランプユニット252a、252bは、図示しないヘッドランプと連動して夜間に点灯させるテールランプに加え、ブレーキの作動時に点灯させるブレーキランプおよび右折、左折、進路変更の際に点灯させるターンランプを一体に備える。
【0026】
バックランプ253は、後退時にシフトレバーがRレンジに入ることにより点灯させ、車両1の後方を照らすためのものである。
【0027】
後部リフレクタ254は、車両1に対して後方から照射される光を反射させ、後続車両の運転者に対して自車の存在および車幅等を認識させるためのものである。
【0028】
さらに、後方垂下部241には、凸状部255および緩衝突起部256が形成されている。
【0029】
凸状部255は、後方垂下部241のうち、テールランプユニット252a、252bが形成される部位の剛性を確保するものであり、後方垂下部241の表面から膨出するとともに、車幅方向に長い長方形状または長円形状をなし、車両1の中心軸に対して左右のそれぞれに設けられている。本実施形態において、凸状部255は、テールランプユニット252a、252bの近傍かつヒンジ213とテールランプユニット252a、252bとの間に形成されている。
【0030】
緩衝突起部256は、後方垂下部241の車幅方向の端縁部に設けられ、後方垂下部241の表面から後方に突出する。緩衝突起部256は、ゴム等、弾性を有する部材により形成され、リアゲート212cが開位置を超えて、つまり、閉位置から90°を超えて回転した場合に、リアゲート212cに対して後方垂下部241よりも先に当接して、後方垂下部241およびこれに設置された機器類への衝撃を緩和する。本実施形態において、緩衝突起部256は、外側に配置された左右夫々の超音波センサ251b、251bの近傍に配置されている。
【0031】
本実施形態において、リアゲート212cには、リアゲート212cの外面部から起立する突起部215が形成されている。リアゲート212cの外面部とは、リアゲート212cが閉位置にある状態で車両1の後方に向く表面部をいい、突起部215は、リアゲート212cが閉位置にある状態で外面部から後方に起立する。図2に示すように、突起部215は、車両1の中心軸から左右の互いに等しい距離に設けられており、車両1を上方から見た平面視において、突起部215の車幅方向の中心が、内側の超音波センサ251aの中心を通りかつ車両1の前後方向に延びる直線上に位置する。つまり、本実施形態において、突起部215と内側の超音波センサ251aとは、車両1の中心軸から車幅方向に互いに等しい距離にある。突起部215は、本実施形態に係る「突起部」を構成する。
【0032】
図5は、内側の超音波センサ251aおよび外側の超音波センサ251bのそれぞれにより発せられる超音波に対して開位置にあるリアゲート212cが干渉する様子を模式的に示す説明図である。図5(a)は、内側の超音波センサ251aからの超音波に対するリアゲート212cの干渉を示し、図5(b)は、外側の超音波センサ251bからの超音波に対するリアゲート212cの干渉を示す。内側および外側の超音波センサ251a、251bにより発せられた超音波の照射範囲Rを二点鎖線により示すとともに、この超音波の送波方向の伝播(送信波Wi)を実線の矢印により、受波方向の伝播(受信波Wr)を点線の矢印により示す。
【0033】
本実施形態では、リアゲート212cが開いた状態にある場合に、内外夫々の超音波センサ251a、251bにより発せられた超音波の送波方向、つまり、車両1の後方への伝播がこのリアゲート212cにより妨げられる。換言すれば、開位置にあるリアゲート212cが超音波の照射領域Rと部分的に重なり、具体的には、超音波の一部(より正確にいえば、超音波の波面の端部)がリアゲート212cの上端部に照射される。
【0034】
先に述べたように、リアゲート212cの上端部には、内側の超音波センサ251aの後方に突起部215が設けられており、内側の超音波センサ251aにより発せられた超音波は、この突起部215に照射される(図5(a))。これに対し、外側の超音波センサ251bの後方に突起部はなく、外側の超音波センサ251bにより発せられた超音波は、リアゲート212cの外面部に照射される(図5(b))。
【0035】
このように、本実施形態では、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとで、リアゲート212cに対する超音波の入射点Pa、Pbの位置が車両1の前後方向に相違し、内側の超音波センサ251aからの超音波の入射点Paが、外側の超音波センサ251bからの超音波の入射点Pbよりも前方に設定されている。リアゲート212cの上端部のうち、内側の超音波センサ251aにより発せられた超音波が照射される部位S1が「第1部位」(突起部215を含む)に相当し、外側の超音波センサ251bにより発せられた超音波が照射される部位S2が「第2部位」に相当する。本実施形態では、リアゲート212cの第1部位S1は、第2部位S2よりも前方に位置する。
【0036】
ここで、反射波の信号強度を維持し、反射強度差ΔIrefの確保を図るうえでは、第1部位S1は、第2部位S2よりもできるだけリアゲート212cの下端部、つまり、ヒンジ213に対する接合部に近いことが好ましい。しかし、第1部位S1の位置には、次のような制約がある。超音波センサ251a、251bは、超音波の発射から反射波の受信までに要した時間を、音速によりセンサから検知対象物までの距離に換算する。超音波の発射後、振動板への電圧の印加を停止したとしても、残響による超音波振動が短い時間ではあるが持続する。検知対象物がセンサから近い距離にあり、残響による超音波振動が残っている状態では、反射波の受信タイミングを正確に判定することが困難である。よって、受信タイミングの判定を超音波振動の減衰後に行うことができるように、センサと検知対象物との間には、ある程度の距離が必要となる。一般的には、30cmほどの距離が必要となる。
【0037】
さらに、本実施形態では、リアゲート212cに対する超音波の照射面が超音波センサ251a、251bからの超音波の伝播方向に対してなす角度、つまり、超音波の波面の法線方向に対してなす角度が、第1部位S1と第2部位S2とで相違する。具体的には、第1部位S1における照射面は、第2部位S2における照射面よりも超音波の伝播方向に対してなす角度が大きい。換言すれば、第1部位S1に照射される超音波は、第2部位S2に照射される超音波よりも照射面に対する入射角が小さい。これにより、突起部215は、内側の超音波センサ251aにより発せられた超音波と外側の超音波センサ251bにより発せられた超音波とで、リアゲート212cからの反射波の信号強度(つまり、反射強度)を異ならせる。本実施形態では、リアゲート212cにおける超音波の照射面は、第1部位S1では突起部215に形成され、第2部位S2ではリアゲート212cの外面部に形成される。そして、突起部215に形成される照射面は、内側の超音波センサ251aにより発せられた超音波の伝播方向に対して垂直である。
【0038】
図6は、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとのそれぞれについて、開位置にあるリアゲート212cの干渉により検出される反射波の信号強度(反射強度Iref)と、反射波をもとに音速との関係から検出される距離Dと、の関係を示す説明図である。
【0039】
図6に示すように、内側の超音波センサ251aは、リアゲート212cからの反射波、具体的には、突起部215により反射された超音波を高い信号強度をもって検出する。これに対し、外側の超音波センサ251bは、リアゲート212cからの反射波、具体的には、外面部により反射された超音波を突起部215からの反射波よりも低い信号強度をもって検出する。このように、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとで、検出される超音波の反射強度Irefの間には、差(以下「反射強度差ΔIref」という)が存在する。これに対し、超音波センサ251a、251bによる監視対象である通常の障害物、つまり、車両1後方の障害物からの反射波を検出する場合に、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとにより検出される超音波の間に、実質的な差は存在しないことから、反射強度差ΔIrefに着目することで、検出された反射波がリアゲート212cからのものであるか、車両1後方の障害物からのものであるかを判定することが可能である。以上の知見に基づき、本実施形態では、検出された反射波がリアゲート212cからのものである場合に、超音波センサ251a、251bからの出力に基づく障害物の検知を一時的に停止し、警報器511の作動を回避する。
【0040】
本実施形態に係る障害物検知装置は、コントローラ501、超音波センサ251a、251bおよび警報器511により構成される。本実施形態では、コントローラ501および超音波センサ251a、251bにより「障害物検知手段」が構成され、警報器511により「障害物対策手段」が構成される。
【0041】
コントローラ501は、電子制御ユニットとして、中央演算ユニット(CPU)、ROMおよびRAM等の記憶装置、入出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータにより構成される。
【0042】
コントローラ501は、超音波センサ251a、251bからの出力信号を入力し、それらの出力信号をもとに、以下の演算を実施し、車両1の後方に障害物を検知した場合に、警報器511を作動させて、運転者にその存在を認識させる。警報器511は、ブザーの鳴動等により聴覚的な警告を実施するものであってもよいし、ディスプレイへの表示等により視覚的な警告を実施するものであってもよい。さらに、これらの双方を実施するものであってもよい。
【0043】
図7は、本実施形態に係る障害物検知制御の基本的な流れを示すフローチャートである。本実施形態において、障害物検知制御は、コントローラ501により、運転者によるスタートボタンの操作等による車両1の始動後、所定の時間毎に繰り返し実行される。
【0044】
S101では、超音波センサ251a、251bからの出力信号を読み込む。
【0045】
S102では、超音波センサ251a、251bからの出力信号に基づき、所定以上の強度を有する反射波を受信したか否か判定する。本実施形態において、反射波の受信は、超音波センサ251a、251bのうち、いずれか一つによる受信をもって判定する。反射波を受信した場合は、S103へ進み、受信していない場合は、今回の制御を終了する。
【0046】
S103では、内側の超音波センサ251aにより検出された反射波の信号強度Irefと外側の超音波センサ251bにより検出された反射波の信号強度Irefとの差、つまり、反射強度差ΔIrefを検出する。反射強度差ΔIrefは、内側に配置された2つの超音波センサ251aのうちいずれか一方と外側に配置された2つの超音波センサ251bのうちいずれか一方とにより検出された反射波の信号強度Irefの差として検出してもよいし、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとにより検出された反射強度Irefを内外のそれぞれで平均し、平均値の差として検出してもよい。
【0047】
S104では、検出された反射強度差ΔIrefが所定の値SL1以下であるか否かを判定する。所定の差SL1以下である場合は、S105へ進み、所定の差SL1よりも大きい場合は、今回の制御を終了する。つまり、検出された反射強度差ΔIrefが所定の値SL1よりも大きい場合は、反射波の受信が開位置にあるリアゲート212cの干渉によるものであるとして、続くS105およびS106の処理を実行せずに今回の制御を終了する。
【0048】
S105では、車両1後方の障害物(以下「後方障害物」という)を検知したか否かを判定する。例えば、反射波を受信した超音波センサ251a、251bによる超音波の発射から反射波の受信までの時間を測定し、音速によりこれを障害物までの距離に換算する。そして、障害物までの距離が近い場合に、後方障害物を検知する。後方障害物を検知した場合は、S106へ進み、検知していない場合は、S106の処理を実行せずに今回の制御を終了する。
【0049】
S106では、警報器511を作動させ、後方障害物が存在することを運転者に認識させる。
【0050】
図7に示すフローチャートのS102からS105の処理は、コントローラ501が本実施形態に係る「障害物検知手段」として実行する処理に相当し、S106の処理は、コントローラ501が本実施形態に係る「障害物対策手段」として実行する処理に相当する。
【0051】
本実施形態に係る車両の障害物検知装置は、以上の構成を有する。以下に、本実施形態により得られる効果について説明する。
【0052】
第1に、複数の超音波センサ、つまり、内側の超音波センサ251aおよび外側の超音波センサ251bを設置し、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとで、開位置にある(つまり、開いた状態にある)リアゲート212cにより反射される超音波の信号強度を異ならせ、両者の超音波の反射強度の間に所定以上の差が生じた場合に、超音波センサ251a、251bからの出力に基づく障害物の検知を一時的に停止し、障害物に対する対策の実施を回避することとした。これにより、開いた状態にあるリアゲート212cを障害物と誤って検知して警告等の対策を実施することを回避し、新たなまたは専用のセンサによらず、少ない部品点数でかつ比較的廉価な構成により、警告等の対策の不要な実施により運転者に煩わしさを感じさせる事態を回避することが可能となる。
【0053】
ここで、障害物が検知された場合に、警報機511により警告を実施することにより、検知の事実の運転者または同乗者による認識を促し、走行時の安全性を確保することが可能となる。他方で、反射強度に所定以上の差が生じた場合に、警告の実施を回避または停止することで、リアゲート212cの干渉による誤った検知に基づく警告の実施を回避することが可能となる。
【0054】
第2に、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとでリアゲート212cに対する超音波の照射部位を異ならせ、内側の超音波センサ251aからの超音波が照射される第1部位S1と外側の超音波センサ251bからの超音波が照射される第2部位S2とで、超音波の入射方向に対して第1および第2部位S1、S2のなす角度を互いに異ならせることで、両者の超音波の反射強度Irefを容易に異ならせ、両者の反射強度Irefの間に比較的大きな差(つまり、反射強度差ΔIref)を形成することが可能となる。
【0055】
第3に、リアゲート212cの第1部位S1に突起部215を形成し、内側の超音波センサ251aからの超音波の第1部位S1への入射点Paをこの突起部215に設定して、内側の超音波センサ251aからの超音波の入射点Paを、外側の超音波センサ251bからの超音波の第2部位S2への入射点Pbよりも前方に形成することで、内側の超音波センサ251aにより検出される超音波の反射強度Irefと外側の超音波センサ251bにより検出される超音波の反射強度Irefとを、リアゲート212cの形状、具体的には、リアゲート212cの断面形状の適合により、容易に異ならせることが可能となる。
【0056】
第4に、第1部位S1と第2部位S2とがそれぞれの超音波センサ251a、251bを通りかつ車両1の前後方向に延びる直線上に位置することで、後方に存在する障害物を良好に検知可能としながら、突起部215からの反射波を良好に受信可能とし、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとの間で、反射強度差ΔIrefを充分に確保することが可能となる。
【0057】
第5に、内側の超音波センサ251aと第1部位S1とを結ぶ直線が、突起部215に対する超音波の照射面、つまり、突起部215における超音波の反射面に対して垂直であることで、内側の超音波センサ251aにより発せられた超音波が突起部215に対して垂直に入射し、反射することとなり、内側の超音波センサ251aからの超音波の反射強度Irefを特に高め、内側および外側の超音波センサ251a、251bの間で、反射強度差ΔIrefを充分に確保することが可能となる。
【0058】
第6に、内側の超音波センサ251aにより発せられる超音波の強度を外側の超音波センサ251bにより発せられる超音波の強度よりも高くすることで、より強度の高い超音波を突起部215により反射させ、内側および外側の超音波センサ251a、251bの間で、反射強度差ΔIrefを拡大することが可能となる。
【0059】
ここで、比較的高い強度の超音波を発射する超音波センサ251aを車幅方向の内側に、比較的低い強度の超音波を発射する超音波センサ251bを車幅方向の外側に夫々配置することで、車両の後方に存在する障害物については強度の高い超音波(内側の超音波センサ251aからの超音波)により充分な検知距離を確保するとともに、全ての超音波センサ251a、251bにより発せられる超音波の強度を一様に高くすることによる製造コストの増加を抑制することが可能となる。
【0060】
さらに、外側の超音波センサ251bにより発せられる超音波の強度を低くすることで、車両1の側方に存在し、本来の検知対象ではない障害物を外側の超音波センサ251bにより不要に検知し、警告等の対策を実施することによる煩わしさを回避することが可能となる。
【0061】
第7に、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとを、リアゲート212cの回転軸の下方において、車幅方向に並べて設置することで、複数の超音波センサ251a、251bの視野、特に上下方向の視野を良好に確保しながら、複数の超音波センサ251a、251bにより車幅方向の広い範囲を監視可能とし、車幅方向の広い範囲に亘って障害物を検知することが可能となる。
【0062】
以上の説明では、反射波の受信が開位置にあるリアゲート212cの干渉による場合に、障害物の検知を一時的に停止することにより、警報器511の作動自体を回避することとした(図7に示すフローチャートのS104)。これに限らず、所定の値SL1を超える反射強度差ΔIrefを検出した場合に、リアゲート212cが開位置にあること、つまり、リアゲート212cが開いた状態にあることを検知したとして、これを障害物の検知とは区別して運転者に認識させるようにしてもよい。
【0063】
図8は、その場合の適用例として、本発明の他の実施形態に係る障害物検知制御の基本的な流れを示すフローチャートである。
【0064】
S201からS203、S205、S206の処理は、図7に示すフローチャートのS101からS103、S105、S106で実行される処理と同様である。つまり、超音波センサ251a、251bからの出力信号を読み込み(S201)、反射波を受信した場合は(S202)、反射強度差ΔIrefを検出する(S203)。そして、検出された反射強度差ΔIrefが所定の値SL1以下であるか否かを判定し(S204)、所定の値SL1以下である場合は、S205へ進み、所定の値SL1よりも大きい場合は、S207へ進む。S205では、後方障害物を検知したか否かを判定し、後方障害物を検知した場合は、S206へ進んで警報器511を作動させ、後方障害物が存在することを運転者に認識させる。他方で、S207では、警報器511の作動により、リアゲート212cが開位置にあることを運転者に認識させる。この場合に、後方障害物を検知した場合(S206)とは異なる動作モードで警報器511を作動させることにより、リアゲート212cが開位置にあることを、後方障害物が存在する場合とは区別して運転者に認識させることが可能である。例えば、警報器511の作動音を異ならせたり、警告灯の表示を異ならせたりする。
【0065】
図7に示すフローチャートのS202およびS205の処理は、コントローラ501が本実施形態に係る「障害物検知手段」として実行する処理に相当し、S203、S204、S206およびS207の処理は、コントローラ501が本実施形態に係る「障害物対策手段」として実行する処理に相当する。
【0066】
本実施形態によれば、後方障害物が存在する場合とリアゲート212cが開位置にある場合とで、状況に応じた対策を実施することが可能となる。具体的には、所定の値SL1を超える反射強度差ΔIrefを検出した場合に、リアゲート212cが開位置にあることを検知したとして、後方障害物を検知した場合とは異なる動作モードで警報器511を作動させる。例えば、後方障害物が存在する場合は、連続的な警告音の発生により、運転者に対して高度の警告を実施する一方、リアゲート212cが開位置にある場合は、間欠的な警告音の発生により、運転者に対して注意を促す。
【0067】
以上の説明では、反射強度差ΔIrefの形成のため、リアゲート212cに突起部215を形成したが、これに限らず、リアゲート212cの形状または各部の傾斜を調整することにより、内側の超音波センサ251aと外側の超音波センサ251bとの間で、反射強度Irefに所定以上の差を形成することも可能である。
【0068】
さらに、以上の説明では、突起部215を車両1の中心軸に近い内側に、リアゲート212c外面の平坦部を外側に配置したが、これに限らず、突起部215を外側に、平坦部を内側に配置することも可能である。この場合は、外側の超音波センサ251bにより検出される超音波の反射強度Irefが、内側の超音波センサ251aにより検出される超音波の反射強度Irefよりも高くなる。
【0069】
そして、これに併せ、外側の超音波センサ251bにより発せられる超音波の強度を、内側の超音波センサ251aにより発せられる超音波の強度よりも高く設定することが可能である。突起部215を内側に、リアゲート212c外面の平坦部を外側に配置した状態で、外側の超音波センサ251bにより発せられる超音波の強度を、内側の超音波センサ251aにより発せられる超音波の強度よりも高く設定してもよいことは、勿論である。
【0070】
さらに、後方障害物を検知した場合の対策は、単に警報器511を作動させるだけでなく、警報器511の作動に加えるかまたはこれに代えて、車両1の後退自体を禁止したり、車両1の後退を許容するものの、その際に車軸にかかる駆動トルクを制限したりしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…車両、11…キャブ、11a…キャブの背面、111…ロードレスト、21…荷台、211…荷台の床面部、212a、212b…荷台のサイドゲート、212c…荷台のリアゲート、213…ヒンジ、214…ロック機構の手動操作部、215…突起部、241…後壁部、242…側壁部、243…リアフェンダ、251a…内側の超音波センサ(第1超音波センサ)、251b…外側の超音波センサ(第2超音波センサ)、252a、252b…テールランプユニット、253…バックライト、254…後部リフレクタ、301a、301b…後輪、501…コントローラ、511…警報器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8