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特開2024-107782作業機械の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム及び作業システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107782
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】作業機械の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム及び作業システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011885
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】西井 康人
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB19
2B043BA02
2B043BA07
2B043BA09
2B043BB01
2B043BB03
2B043DA17
2B043EA01
2B043EA11
2B043EB05
2B043EB15
2B043EB16
2B043EC12
2B043EC14
2B043ED12
(57)【要約】
【課題】作業機の負荷が過大となることを回避しやすい作業機械の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム及び作業システムを提供する。
【解決手段】作業機械10の制御方法は、対象領域F1を移動しつつ、作業機によって対象領域F1内で作業を行う作業機械10の制御方法である。この制御方法は、作業機械10を後方に移動させる第1後進動作の許否を設定することと、第1後進動作の許否の設定状態に基づいて、対象領域F1内で作業機械10を移動させることと、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域を移動しつつ、作業機によって前記対象領域内で作業を行う作業機械の制御方法であって、
前記作業機械を後方に移動させる第1後進動作の許否を設定することと、
前記第1後進動作の許否の設定状態に基づいて、前記対象領域内で前記作業機械を移動させることと、を有する、
作業機械の制御方法。
【請求項2】
前記作業機械は、前記第1後進動作とは別に、旋回経路に含まれる第2後進動作を実施可能である、
請求項1に記載の作業機械の制御方法。
【請求項3】
前記第1後進動作と前記第2後進動作とのそれぞれについて、前記許否を設定可能である、
請求項2に記載の作業機械の制御方法。
【請求項4】
前記第1後進動作の設定状態に応じて、前記第2後進動作の選択肢が変化する、
請求項3に記載の作業機械の制御方法。
【請求項5】
前記第1後進動作が禁止されている場合に、前記第2後進動作については許否を設定可能とする、
請求項4に記載の作業機械の制御方法。
【請求項6】
前記第1後進動作が許可されている場合に、前記第2後進動作については許否を設定不可とする、
請求項4又は5に記載の作業機械の制御方法。
【請求項7】
前記第1後進動作が許可されている場合に、前記第2後進動作について許否を設定可能とするか否かを、別条件に基づいて決定する、
請求項4又は5に記載の作業機械の制御方法。
【請求項8】
前記第1後進動作の許否の設定状態に応じて、前記対象領域における前記作業機械の目標経路を提示する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の作業機械の制御方法。
【請求項9】
前記第1後進動作の許否は、前記作業機又は作業の種類に基づいて設定される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の作業機械の制御方法。
【請求項10】
前記作業機が牽引式である場合に、前記第1後進動作を禁止する、
請求項9に記載の作業機械の制御方法。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか1項に記載の作業機械の制御方法を、
1以上のプロセッサに実行させるための作業機械用制御プログラム。
【請求項12】
対象領域を移動しつつ、作業機によって前記対象領域内で作業を行う作業機械に用いられ、
前記作業機械を後方に移動させる第1後進動作の許否を設定する態様設定処理部と、
前記第1後進動作の許否の設定状態に基づいて、前記対象領域内で前記作業機械を移動させる制御処理部と、を備える、
作業機械用制御システム。
【請求項13】
請求項12に記載の作業機械用制御システムと、
前記作業機が装着される機体と、を備える、
作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象領域を移動しつつ、作業機によって対象領域内で作業を行う作業機械の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム及び作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、対象領域(圃場)内を自律走行することが可能な機体(走行機体)を備える作業機械(トラクタ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。関連技術に係る作業機械は、耕耘機等の種々の作業機が機体に取り外し可能に取り付けられている。この作業機械は、制御部により作業機械の各部(機体及び作業機等)を制御して、対象領域内を走行しながら作業(農作業)を行うことができるように構成されている。具体的には、制御部は、走行経路に沿って機体を自律走行させながら、走行経路に含まれる作業経路に沿って作業機により自律作業させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-121537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記関連技術の構成では、例えば、作業機が機体の後方に連結される牽引式の作業機である場合等において、走行経路において機体を後進させると、作業機と機体との連結部位が座屈したような格好となり作業機の負荷が過大となる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、作業機の負荷が過大となることを回避しやすい作業機械の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム及び作業システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る作業機械の制御方法は、対象領域を移動しつつ、作業機によって前記対象領域内で作業を行う作業機械の制御方法であって、前記作業機械を後方に移動させる第1後進動作の許否を設定することと、前記第1後進動作の許否の設定状態に基づいて、前記対象領域内で前記作業機械を移動させることと、を有する。
【0007】
本発明の一の局面に係る作業機械用制御プログラムは、前記作業機械の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0008】
本発明の一の局面に係る作業機械用制御システムは、対象領域を移動しつつ、作業機によって前記対象領域内で作業を行う作業機械に用いられる。前記作業機械用制御システムは、態様設定処理部と、制御処理部と、を備える。前記態様設定処理部は、前記作業機械を後方に移動させる第1後進動作の許否を設定する。前記制御処理部は、前記第1後進動作の許否の設定状態に基づいて、前記対象領域内で前記作業機械を移動させる。
【0009】
本発明の一の局面に係る作業システムは、前記作業機械用制御システムと、前記作業機が装着される前記作業機械の機体と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業機の負荷が過大となることを回避しやすい作業機械の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム及び作業システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る作業機械の外観を示す概略側面図である。
図2図2は、実施形態1に係る作業システムの概略ブロック図である。
図3図3は、実施形態1に係る作業システムにおける第1パターンの目標経路を示す概略図である。
図4図4は、実施形態1に係る作業システムにおける第2パターンの目標経路を示す概略図である。
図5図5は、実施形態1に係る作業システムにおける第2パターンの目標経路の要部を示す概略図である。
図6図6は、実施形態1に係る作業システムにおける第3パターン及び第4パターンの目標経路の要部を示す概略図である。
図7図7は、実施形態1に係る作業システムにおける目標経路の一例を示す概略図である。
図8図8は、実施形態1に係る作業システムにおける目標経路の一例を示す概略図である。
図9図9は、実施形態1に係る作業システムにおける目標経路の一例を示す概略図である。
図10図10は、実施形態1に係る作業システムにおける目標経路の一例を示す概略図である。
図11図11は、実施形態1に係る作業システムにおける目標経路の一例を示す概略図である。
図12図12は、実施形態1に係る作業システムにおける回数設定画面の表示例を示す概略図である。
図13図13は、実施形態1に係る作業システムにおける回数設定画面の他の表示例を示す概略図である。
図14図14は、実施形態1に係る作業システムにおける態様設定画面の表示例を示す概略図である。
図15図15は、実施形態1に係る作業機械用制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図16図16は、実施形態1に係る作業システムにおける圃場合筆画面の表示例を示す概略図である。
図17図17は、実施形態1に係る作業システムにおける合筆圃場均平作業画面の表示例を示す概略図である。
図18図18は、実施形態1に係る作業システムにおける高低差設定画面の表示例を示す概略図である。
図19図19は、実施形態1に係る作業機械用制御システムの他の機能を示す概念図である。
図20図20は、実施形態1の変形例に係る作業システムにおける第1パターンの目標経路を示す概略図である。
図21図21は、実施形態2に係る作業システムにおける目標経路の一例を示す概略図である。
図22図22は、実施形態2に係る作業システムにおける目標経路の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0013】
(実施形態1)
[1]全体構成
まず、本実施形態に係る作業システム100の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。本実施形態に係る作業機械用制御システム1(以下、単に「制御システム1」ともいう)は、作業機械10の機体11と共に作業システム100を構成する。機体11には作業機12が装着される。すなわち、作業システム100は、作業機械用制御システム1と、作業機12が装着される作業機械10の機体11と、を備えている。
【0014】
本実施形態では、制御システム1は、作業機械10の機体11に搭載されている制御装置13(図2参照)と、端末装置20と、を含んでいる。作業機械10と端末装置20とは、互いに通信可能である。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信(電波又は光を媒体とする通信)の適宜の通信方式により、直接的、又は通信網(ネットワーク)N1若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。作業機械10と端末装置20とは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、公衆電話回線、携帯電話回線網、パケット回線網又は無線LAN等の通信網N1を介して通信可能である。作業機械10及び端末装置20間の通信手段は、上記の例に限らず、適宜の通信手段によって実現される。また、作業機械10及び端末装置20が互いに通信可能であることは、制御システム1において必須の構成ではない。
【0015】
作業機械10は、対象領域F1(図3参照)を移動しつつ、作業機12によって対象領域F1内で何らかの作業を行う。本開示でいう「作業」は、作業機12が対象領域F1に対して実施する仕事であって、例えば、均平、播種、施肥、農薬散布、植付け(田植え)又は収穫等の各種の農作業、及び建設作業等の種々の作業を含む。本実施形態では一例として、作業機械10が行う作業は、対象領域F1の地表面を均一で平らな状態に整える均平作業であることとする。均平作業は、農作業の中でも対象領域F1である圃場を整備する整地作業の一種であって、例えば、水田の地表面が均平でないことに起因した育成むら等を抑制するための重要な作業である。
【0016】
作業機12は、作業機械10の機体11が対象領域F1を移動する際に、対象領域F1内で作業を実施する。本実施形態では一例として、作業機12は、均平作業を行うレベラ(均平機)であって、特に発光器からのレーザ光を受光器にて受光することで対象領域F1の高さを検知可能なレーザレベラであることとする。
【0017】
この種の作業機12には、三点リンクに直接的に取り付けられる直装式の作業機と、機体11に牽引される牽引式の作業機と、がある。直装式の作業機12であれば、機体11は前進のみならず後進も可能であるのに対して、牽引式の作業機12であれば、連結部分が折れ曲がらないように機体11は前進のみ可能となる。本実施形態では一例として、作業機12は、作業機械10の機体11に対して取り外し可能に取り付けられる、直装式のレーザレベラである。ここで、作業機12は機体11の後方側(機体11の前進方向とは反対側)に取り付けられる。つまり、(直装式)作業機12は、機体11の後方側に連結され、機体11の前進時に機体11と共に前進しつつ、作業を行う。本実施形態では、作業機12は作業機械10の構成要素に含まれることとするが、作業機12は、機体11から取り外し可能であるため、作業機械10の構成要素に含まれなくてもよい。
【0018】
本開示でいう「作業機械」は、例えば圃場等の対象領域F1において各種の作業を行う機械を意味し、一例として、トラクタ、播種機、田植機、散布機、噴霧機、移植機及び収穫機等の農業機械(農機)である。作業機械10は、例えば、建設機械(建機)等であってもよい。本実施形態では、特に断りが無い限り、作業機械10が作業機2としてのレーザレベラを装備したトラクタである場合を例に挙げて説明する。つまり、機体11としてのトラクタに、作業機12としての(直装式)レーザレベラが連結されることにより、作業機械10が構成される。この作業機械10では、圃場等の対象領域F1を機体11が走行することで、対象領域F1の地表面を均平にする均平作業が可能となる。
【0019】
このように、本実施形態では、機体11は、対象領域F1を走行することによって移動する車両であるため、作業機械10は「作業車両」を構成する。ただし、作業機械10は、作業車両に限らず、例えば、農薬散布用若しくは施肥用のドローン又はマルチコプタ等の作業飛翔体等であってもよい。
【0020】
また、本実施形態では一例として、作業機械10は、人(オペレータ)が搭乗可能でありながらも、自動運転(自律走行及び自律作業)により動作可能な自動機であることとする。ただし、これに限らず、作業機械10は、自動運転により動作する無人機であってもよいし、人(オペレータ)の操作(遠隔操作を含む)により動作してもよい。
【0021】
本開示でいう「対象領域」は、作業機械10が移動しながら、例えば、均平、播種、施肥、農薬散布、植付け(田植え)又は収穫等の各種の作業を行う領域であって、水田、畑、果樹園及び牧草地等を含む。例えば、稲、麦、大豆又はそば等の作物(農産物)を生育する水田又は畑が対象領域F1である場合、対象領域F1で育成される作物は農産物である。さらに、植木畑で植木を生育している場合には植木畑が対象領域F1となり、林業のように森林にて木材となる樹木を生育する場合には森林が対象領域F1となる。この場合、対象領域F1で生育される作物は植木又は樹木等である。本実施形態では、特に断りが無い限り、作業機械10は圃場(対象領域F1)の均平作業に用いられ、対象領域F1が稲の生育用の水田である場合を例に挙げて説明する。また、対象領域F1は圃場に限らず、例えば作業機械10が建設機械であれば、建設機械が作業を行う現場が対象領域F1となる。
【0022】
また、作業機械10は、対象領域F1(ここでは圃場)だけでなく、例えば、対象領域F1外の圃場外経路等の道路においても自動走行により移動可能である。作業機械10は、測位装置16(図2参照)により測位される作業機械10の現在位置の位置情報に基づいて、対象領域F1内及び対象領域F1外に予め設定された目標経路(圃場外経路を含む)に沿って自動走行(移動)可能に構成されている。圃場外経路は、例えば、複数の対象領域F1(圃場)間を接続する圃場間接続路である。圃場間接続路は、農道、林道、公道、私道又は自動車道等であって、作業機械10専用の道路であってもよいし、一般車両(乗用車等)が通行可能な道路であってもよい。
【0023】
[2]作業機械の構成
次に、本実施形態に係る作業機械10の構成について図1及び図2を参照して詳しく説明する。
【0024】
本実施形態では、説明の便宜上、作業機械10が使用可能な状態での鉛直方向を上下方向D1と定義する。作業機械10の機体11(の運転部111)に乗っている人(オペレータ)から見た方向を基準として、前後方向D2及び左右方向D3(図3参照)を定義する。左右方向D3の左側は、機体11を前方に走行(前進)させる場合の左側を指し、左右方向D3の右側は、機体11を前方に走行(前進)させる場合の右側を指す。ただし、これらの方向は、作業機械10の使用方向(使用時の方向)を限定する趣旨ではない。
【0025】
作業機械10は、図2に示すように、機体11及び作業機12に加えて、制御装置13、走行装置14、検出装置15、測位装置16及び通信装置17等を備えている。制御装置13、走行装置14、検出装置15、測位装置16及び通信装置17は、いずれも機体11に搭載されている。
【0026】
機体11は、人(オペレータ)が搭乗可能な運転部111(図1参照)を有している。運転部111には、操舵装置、変速装置及び操作装置等が配置されている。操舵装置、変速装置及び操作装置等は、オペレータ又は制御装置13によって操作される操作部である。したがって、作業機械10は、オペレータの手動操作による手動運転と、制御装置13による自動運転と、の両方を実施可能である。また、上述したように、機体11の後方側には作業機12が取り外し可能に連結されている。作業機12とは別の装置を機体11に連結することも可能である。
【0027】
本実施形態では、作業機12は、直装式のレーザレベラであるので、機体11の前進時に、対象領域F1としての圃場に対して均平作業を実施可能である。作業機12は、機体11に対する上下方向D1の相対位置(相対高さ)が可変である。これにより、対象領域F1の地表面である圃場面を基準とするときの作業機12の高さが可変となり、作業機12の高さを調節することによって、均平作業の目標とする目標面の高さを調節する。レーザレベラからなる作業機12は、発光器からのレーザ光を基準にして、自動制御で高さが変化し、地表面の高い箇所(盛り上がった箇所)の土を削って低い箇所へ運び、対象領域F1を均平にする。
【0028】
走行装置14は、図1に示すように、前輪141、後輪142、及び動力源(エンジン及び/又はモータ等)等を有している。前輪141及び後輪142は、例えば、それぞれ左右一対ずつ設けられている。走行装置14は、動力源で発生する動力で後輪142が駆動されることにより、機体11を走行(移動)させることが可能である。ここで、前輪141は操舵輪として機能し、左右方向D3への旋回を可能とする。これにより、機体11は、対象領域F1内を前後方向D2及び左右方向D3に移動するよう走行可能となる。例えば、作業機械10は、走行装置14によって対象領域F1内を蛇行するように移動しながら、対象領域F1の均平作業を実施する。
【0029】
本実施形態では特に、ぬかるんだ対象領域F1(圃場)を走行することを想定して、走行装置14は、前輪141には通常の車輪を採用し、駆動輪としての後輪142にはクローラ(履帯)を採用したハーフクローラ式であることとする。ハーフクローラ式の走行装置14は、駆動輪に通常の車輪を採用するホイール式の車両本体に比較して、大きな接地面積で駆動力を地面に伝えることができ、比較的ぬかるんだ状態の対象領域F1であっても、十分な走破性を発揮できる。ただし、走行装置14は、ハーフクローラ式に限らず、例えば、ホイール式であってもよいし、クローラ式であってもよい。
【0030】
少なくとも自律走行時には、上述したような操舵装置、変速装置及び操作装置等の制御装置13による操作に従って、走行装置14が動作する。例えば、走行装置14では、制御装置13による操舵装置の操作に応じて、油圧式パワーステアリング機構等によって前輪141の角度が変更され、機体11の進行方向が変更される。また、制御装置13による変速装置の操作に応じて、トランスミッションのギアが前進ギア又はバックギア等に切り替えられ、機体11の走行態様が前進又は後進等に切り替えられる。また、制御装置13は、操作装置のアクセル又はブレーキを操作して、動力源の回転数を制御したり、電磁ブレーキを用いて前輪141及び後輪142を制動したりする。
【0031】
検出装置15は、検出エリアの障害物を検出する。検出装置15は、障害物センサと、検出処理部と、を含んでいる。障害物センサは、カメラ(イメージセンサ)、ソナーセンサ、人感センサ、レーダ又はLiDAR(Light Detection and Ranging)等の種々のセンサを含み得る。障害物センサは、光又は音が測距点に到達して戻るまでの往復時間に基づいて測距点までの距離を測定するTOF(Time Of Flight)方式により、物体(障害物)までの距離を測定する3次元センサであってもよい。検出処理部は、障害物センサから取得する測定情報に基づいて障害物を検出する。ここで、検出処理部は、障害物の存否のみを検出してもよいし、障害物の位置、形状、数又は属性(種別等を含む)等を検出してもよい。
【0032】
検出装置15の検出結果は、制御装置13に出力されている。制御装置13は、少なくとも作業機械10の自動運転中に検出装置15が障害物を検出した場合、警報(音及び/又は光による報知を含む)の出力、及び走行装置14を制御することによる障害物の回避処理(迂回、減速又は停止等を含む)等を実行する。さらに、制御装置13は、障害物の位置情報、及び回避処理の実行履歴等を端末装置20に出力して端末装置20に表示等させてもよい。
【0033】
測位装置16は、機体11の現在位置(緯度、経度及び高度等)を求める。具体的に、測位装置16は、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の衛星測位システムを用いて機体11の現在位置(緯度及び経度)を算出する。つまり、測位装置16は、衛星からの測位信号を受信する測位用アンテナを有し、測位信号に基づいて現在位置を算出する。さらに、測位装置16は、慣性センサを含み、機体11の現在方位等の姿勢も検出可能である。
【0034】
また、測位装置16は、作業機械10に近い基地局(基準局)に対応する補正情報を利用して、作業機械10の現在位置を算出する、RTK(Real Time Kinematic)測位のように、比較的高精度で現在位置を検出してもよい。機体11の現在位置は、測位位置(測位用アンテナの位置)と同一位置であってもよいし、平面視における機体11の中心位置等のように測位位置からずれた位置であってもよい。測位装置16として、例えば、携帯電話端末、スマートフォン又はタブレット端末等が代用されてもよい。
【0035】
通信装置17は、作業機械10(制御装置13及び測位装置16等)を、有線又は無線で外部機器に接続し、外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インタフェースである。本実施形態では、通信装置17は、少なくとも外部機器である端末装置20との間で、通信網N1を介して相互に通信可能である。さらに、通信装置17は少なくとも無線にて通信網N1に接続可能であって、対象領域F1を移動(走行)する作業機械10でありながらも、端末装置20と随時通信を行うことが可能である。通信装置17として、例えば、携帯電話端末、スマートフォン又はタブレット端末等が代用されてもよい。
【0036】
制御装置13は、CPU(Central Processing Unit)等の1以上のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の1以上のメモリとを有するコンピュータシステムを主構成とし、種々の処理(情報処理)を実行する。本実施形態では、制御装置13は1以上のプロセッサを有するコンピュータシステムを主構成とするので、1以上のプロセッサが作業機械用制御プログラムを実行することにより、制御装置13が実現される。本実施形態では、制御装置13は、作業機械10全体の制御を行う統合コントローラであって、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)からなる。ただし、制御装置13は、統合コントローラと別に設けられていてもよい。
【0037】
制御装置13は、機体11の各部に設けられたデバイスと通信可能に構成されている。つまり、制御装置13には、作業機12、走行装置14、検出装置15、測位装置16及び通信装置17等が電気的に接続されている。これにより、制御装置13は、作業機12及び走行装置14等を制御したり、検出装置15及び測位装置16の検出結果を取得したりすることが可能である。ここで、制御装置13は、各種の情報(データ)の授受を、各デバイスと直接的に行ってもよいし、中継器等を介して間接的に行ってもよい。
【0038】
本実施形態では、制御装置13は、図2に示すように、制御処理部131と、記憶部132と、を備えている。
【0039】
制御処理部131は、走行装置14及び作業機12等、作業機械10の各部を制御する機能を有している。一例として、制御処理部131は、測位装置16により算出される作業機械10の現在位置と、予め設定されている目標経路とに基づいて、走行装置14を制御することによって、作業機械10の自律走行を行う。さらに、制御処理部131は、測位装置16により算出される作業機械10の現在位置と、予め設定されている目標経路とに基づいて、作業機12を制御することによって、目標経路上の適宜の位置で作業機械10による自律作業(本実施形態では均平作業)を行う。
【0040】
具体的には、制御処理部131は、端末装置20から走行開始指示を取得すると作業機械10の自動運転(自律走行及び自律作業)を開始させる。例えば、端末装置20の操作画面においてオペレータがスタートボタンを操作すると、端末装置20は走行開始指示を作業機械10に出力する。これにより、例えば、作業機械10は、対象領域F1内において目標経路R1(図3参照)に従って自律走行を開始し、作業機12による自律作業(本実施形態では均平作業)を行う。
【0041】
作業機械10を自動運転させるための目標経路R1は、例えば、端末装置20において生成される。すなわち、作業機械10は、端末装置20から目標経路R1に対応する経路データを取得し、目標経路R1に従って自動運転を行う。
【0042】
また、制御処理部131は、端末装置20から走行停止指示を取得すると作業機械10の自動運転(自律走行及び自律作業)を停止させる。例えば、端末装置20の操作画面においてオペレータがストップボタンを操作すると、端末装置20は走行停止指示を作業機械10に出力する。
【0043】
他の例として、作業機械10は、オペレータの手動操舵により走行してもよい。例えば、オペレータは、作業機械10に搭乗して、目標経路R1を確認しながら手動操舵により作業機械10を走行させる。
【0044】
記憶部132は、作業機械用制御プログラム、及び目標経路R1に関する目標経路情報等の種々のデータを記憶する不揮発性メモリ等である。つまり、制御処理部131は、記憶部132に記憶されている目標経路情報に基づいて、走行装置14に目標経路R1に沿った自律走行を実行させること等が可能である。
【0045】
また、作業機械10は、上述した構成に加えて、バッテリ、燃料タンク、表示装置及び各種センサ等を更に備えている。バッテリは、例えば、制御装置13等、作業機械10の各部に動作用の電力を供給する。特に制御装置13、検出装置15、測位装置16及び通信装置17等の電子機器は、バッテリからの電力供給により動作することで、走行装置14の動力源(エンジン)の停止中も動作可能である。表示装置は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような、ユーザ(オペレータ)に情報を提示するためのユーザインタフェースである。
【0046】
[3]端末装置の構成
次に、本実施形態に係る端末装置20の構成について図1及び図2を参照して詳しく説明する。
【0047】
本実施形態では、端末装置20は、上述したように作業機械10と通信可能であって、作業機械10の制御装置13と共に制御システム1を構成する。つまり、制御システム1の構成要素は、少なくとも作業機械10と端末装置20とに分散して設けられている。ただし、この構成に限らず、例えば、制御装置13の機能が端末装置20に設けられていてもよく、この場合には、制御システム1の構成要素は、端末装置20のみで実現されることになる。
【0048】
本実施形態では一例として、端末装置20は、タブレット端末、スマートフォン又はラップトップコンピュータ等の汎用端末で構成されている。端末装置20は、図2に示すように、情報処理部21、記憶部22、操作表示部23及び通信部24を備えている。さらに、端末装置20は、ユーザ(オペレータ)に対して音(音声を含む)を出力する音出力部、及びバッテリ等を更に備えている。
【0049】
情報処理部21は、CPU等の1以上のプロセッサと、ROM及びRAM等の1以上のメモリとを有するコンピュータシステムを主構成とし、種々の処理(情報処理)を実行する。本実施形態では、情報処理部21は1以上のプロセッサを有するコンピュータシステムを主構成とするので、1以上のプロセッサが作業機械用制御プログラムを実行することにより、情報処理部21が実現される。つまり、制御システム1に含まれる制御装置13の1以上のプロセッサと、情報処理部21の1以上のプロセッサと、がそれぞれ作業機械用制御プログラムを実行することにより、制御装置13と端末装置20とが協働して制御システム1が具現化される。
【0050】
情報処理部21は、端末装置20の各部(記憶部22、操作表示部23及び通信部24)と通信可能に構成されている。つまり、情報処理部21には、記憶部22、操作表示部23及び通信部24等が電気的に接続されている。これにより、情報処理部21は、記憶部22に対して情報を読み書きしたり、操作表示部23を表示制御したり、操作表示部23に対する操作入力を取得したりすることが可能である。ここで、情報処理部21は、各種の情報(データ)の授受を、各部と直接的に行ってもよいし、中継器等を介して間接的に行ってもよい。
【0051】
このような端末装置20は、ユーザ(オペレータ)による操作入力を受け付け、ユーザに種々の情報を出力するためのユーザインタフェースである。例えば、端末装置20は、操作表示部23に対するユーザの操作に応じた電気信号を出力することにより、ユーザによる各種の操作を受け付ける。さらに、端末装置20は、操作表示部23に種々の画面を表示することによって、ユーザに対して種々の情報を出力する。本開示でいう「画面」は、端末装置20の操作表示部23等にて表示される映像(画像)を意味し、図像、図形、写真、テキスト及び動画等を含む。端末装置20に表示される画面は、静止画だけでなく、刻一刻と変化する映像(動画)等を含む。
【0052】
記憶部22は、作業機械用制御プログラム、及び目標経路R1に関する目標経路情報等の種々のデータを記憶する不揮発性メモリ等である。さらに、記憶部22には、作業機情報、作業車両情報、圃場情報及び作業情報等の種々のデータが記憶可能である。作業機情報は、機体11に装着されている作業機12に関する情報であって、例えば、作業機12の種類(例えば、直装式のレーザレベラ/牽引式のレーザレベラ、播種機又は散布機等)、識別情報、機種名、型式及びサイズ(寸法)等の情報を含む。作業車両情報は、作業機械10の機体11(車両本体)に関する情報であって、例えば、機体11の種類(例えば、ハーフクローラ式/ホイール式等)、識別情報、機種名、型式及びサイズ(寸法)等の情報を含む。圃場情報は、対象領域F1とする圃場に関する情報であって、圃場の識別情報、圃場名、位置、形状、大きさ、作業を開始する作業開始位置(走行開始位置)、作業を終了する作業終了位置(走行終了位置)及び作業方向等の情報を含む。作業情報は、作業機械10が行う作業に関する情報であって、例えば、作業の種類(例えば、水平均平、傾斜均平、播種又は散布等)、及び作業を具体的にどのように行うか等の情報を含む。さらに、作業機械10による協調作業の有無、作業機械10が枕地において旋回する場合にスキップする作業経路の数であるスキップ数、枕地の幅及び非耕作地の幅等についても、作業情報に含まれてもよい。
【0053】
記憶部22に記憶されるこれらの情報(目標経路情報、作業機情報、作業車両情報、圃場情報及び作業情報等)は、操作表示部23に対するユーザ(オペレータ)による操作入力、又は作業機械10から取得されることにより、設定(登録)される。例えば、作業機情報における作業機12の種類については、ユーザが操作表示部23を操作することで指定してもよいし、作業機械10が機体11に装着された作業機12を自動的に判別して端末装置20に送信してもよい。これらの情報は、端末装置20が、作業機械10以外の外部機器(例えば、サーバ、外部記憶媒体又は他の端末装置等)から取得してもよい。
【0054】
操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるタッチパネル、マウス、キーボード、メカニカルスイッチ又はエンコーダのような操作部と、を備えるユーザインタフェースである。一例として、オペレータは、操作表示部23の表示部に表示される操作画面において、操作表示部23の操作部を操作して各種情報を設定(登録)する操作を行うことが可能である。例えば、オペレータは、作業機械10の自動運転(自律走行及び自立作業を含む)に関する自動運転情報(目標経路情報を含む)の設定を行うことが可能である。
【0055】
また、操作表示部23は、対象領域F1における作業の進捗状況、並びに作業機械10の目標経路R1、(実際の)移動軌跡、現在位置及び移動速度等を含む作業機械10の動作状況を表示することで、自動運転中の作業機械10のオペレータによる遠隔監視を可能とする。さらに、操作表示部23は、作業機械10の走行開始指示又は走行停止指示等をオペレータから受付可能である。端末装置20は、これらの走行開始指示又は走行停止指示等を作業機械10に送信することにより、作業機械10を遠隔制御することが可能である。したがって、オペレータによる作業機械10の遠隔操作が可能となる。
【0056】
通信部24は、端末装置20を、有線又は無線で作業機械10に接続し、作業機械10との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インタフェースである。本実施形態では、通信部24は、少なくとも作業機械10(の通信装置17)との間で、通信網N1を介して相互に通信可能である。さらに、通信部24は少なくとも無線にて通信網N1に接続可能であるため、作業機械10から十分に離れた場所であっても、作業機械10と随時通信を行うことが可能である。
【0057】
ところで、本実施形態では、情報処理部21は、図2に示すように、回数設定処理部211と、態様設定処理部212と、経路生成処理部213と、登録処理部214と、出力処理部215と、を有している。本実施形態では一例として、情報処理部21は1以上のプロセッサを有するコンピュータシステムを主構成とするので、1以上のプロセッサが作業機械用制御プログラムを実行することにより、これら複数の機能部(回数設定処理部211等)が実現される。情報処理部21に含まれる、これら複数の機能部は、複数の筐体に分散して設けられていてもよいし、1つの筐体に設けられていてもよい。
【0058】
回数設定処理部211は、作業回数を設定する回数設定処理を実行する。ここでいう「作業回数」は、対象領域F1内の同じ箇所に対して作業機械10が作業を行う回数である。作業回数は、基本的には、1以上の整数で設定される。例えば、対象領域F1の全域に対する作業回数が「1回」であれば、作業機械10は、作業を行っている状態(作業状態)の作業機12が対象領域F1の全域を満遍なく1回ずつ通過するように、対象領域F1の全域に対して一通り作業を行う。例えば、対象領域F1の全域に対する作業回数が「2回」であれば、作業機械10は、作業状態の作業機12が対象領域F1の全域を満遍なく2回ずつ通過するように、対象領域F1の全域に対して二度繰り返し作業を行う。つまり、作業回数が2回以上(複数回)に設定されていれば、対象領域F1の同じ箇所に対して作業機械10による作業が繰り返し行われることになる。
【0059】
ここで、作業回数の設定は、作業回数が何かしらの手段で指定又は決定されることをもって実現される。つまり、ここでいう「設定」は、ユーザ(オペレータ)が指定することのみならず、コンピュータ等によって指定されることも含む。本実施形態では一例として、回数設定処理部211は、設定された作業回数を記憶部22に記憶(登録)することとする。つまり、記憶部22に記憶されている作業回数が、回数設定処理部211で設定された作業回数である。
【0060】
本実施形態では一例として、作業回数は、作業精度に応じて設定される。本開示でいう「作業精度」は、作業機械10によって行われる作業に要求される作業の仕上げの精度を意味し、一例として、均平作業であれば、対象領域F1の平坦度が作業精度に当たる。例えば、作業精度が高い程、要求される作業の仕上げの精度が高くなるので、作業回数が多く設定される。そのため、均平作業に要求される平坦度が高ければ作業回数が多くなり、均平作業に要求される平坦度が低ければ作業回数が少なくなる傾向にある。その結果、作業精度に適した作業回数を設定することが可能である。他の例として、作業回数は、圃場情報等に応じて設定されてもよく、この場合において、例えば、複数の圃場を1つに合筆した「合筆圃場」であれば、作業回数は多くなる傾向にある。
【0061】
本実施形態では、回数設定処理部211は、作業回数を、所定ルールに従って自動的に設定可能に構成されている。すなわち、回数設定処理部211は、ユーザ(オペレータ)が作業回数を直接的に指定しなくとも、所定ルールに従って、自動的に作業回数を設定することが可能である。そのため、例えば、上記のように作業精度に応じて作業回数が設定される場合、回数設定処理部211は、作業精度が高くなるほどに作業回数を多くするように、作業精度と作業回数との対応関係を定めた所定ルールに従って、作業精度に応じた作業回数を自動的に設定する。この場合、ユーザにとっては作業精度を指定するだけで、この作業精度に適した作業回数が勝手に設定されることになり、作業回数の設定の手間が省ける。
【0062】
また、本実施形態では、回数設定処理部211は、作業回数を、ユーザの操作に従って設定可能に構成されている。すなわち、回数設定処理部211は、ユーザ(オペレータ)が、例えば、操作表示部23を操作して入力した回数をそのまま作業回数として設定することが可能である。そのため、例えば、ユーザが熟練者である場合等において、ユーザの経験を活かして適切な作業回数を設定することが可能となる。また、ユーザの操作に従って作業精度(一例として平坦度)が設定可能であってもよく、この場合に、回数設定処理部211は、設定された作業精度に従って作業回数を設定してもよい。
【0063】
ところで、互いに平行な2本の作業経路に沿って作業機械10が作業を行う際に、これら2本の作業経路の間に未作業地が生じないように、これら2本の作業経路間で作業機12の通過領域同士をオーバラップ(重複)させることがある。この場合、オーバラップした部分については、作業状態の作業機12が2回通過することになる。このように、作業機12によって作業が実施された作業領域(作業地)の一部(一般的には左右方向D3の端部)同士がオーバラップしているだけの場合、作業回数は「1回」である。すなわち、作業機12によって作業が実施された作業領域の略全域(最低でも半分以上)につき二度繰り返し作業が行われて初めて、作業回数が「2回」となる。
【0064】
ただし、作業回数は、小数を含んでもよい。例えば、作業の程度(強度を含む)を表す作業度が可変であれば、2回目の作業の作業度を1回の作業の半分にすることで、作業回数として「1.5回」を実現可能である。ここでいう「作業度」は、一例として、均平作業であれば1回の作業で行う均平化の程度(実質的には、移動させる土の量)が相当し、散布作業であれば1回の作業で行う散布量が相当する。さらに、作業を行わない非作業を、作業回数「0回」としてもよい。つまり、ある作業経路について作業回数が「0回」に設定されると、当該作業経路については作業が1度も行われないことになり、当該作業経路はスキップされることになる。
【0065】
態様設定処理部212は、少なくとも第1後進動作の許否を設定する態様設定処理を実行する。第1後進動作は、作業機械10を後方に移動させる動作である。第1後進動作の許否、つまり第1後進動作を許可(許容)するか禁止するかは、対象領域F1での作業機械10の移動(走行)の態様である移動態様の一つである。要するに、態様設定処理部212は、作業機械10の移動時の態様である移動態様(第1後進動作の許否を含む)を設定する。態様設定処理部212にて第1後進動作が許可されている場合、作業機械10は、例えば自律走行において、機体11を後方へと移動させる第1後進動作を実施可能となる。一方、態様設定処理部212にて第1後進動作が禁止されている場合、作業機械10は、例えば自律走行において、機体11を後方へと移動させる第1後進動作を実施不可となる。
【0066】
ここで、移動態様(第1後進動作の許否を含む)の設定は、移動態様が何かしらの手段で指定又は決定されることをもって実現される。つまり、ここでいう「設定」は、ユーザ(オペレータ)が指定することのみならず、コンピュータ等によって指定されることも含む。本実施形態では一例として、態様設定処理部212は、設定された移動態様を記憶部22に記憶(登録)することとする。つまり、記憶部22に記憶されている移動態様が、態様設定処理部212で設定された移動態様である。
【0067】
本実施形態では一例として、第1後進動作の許否は、作業機12又は作業の種類に基づいて設定される。つまり、機体11に装着されている作業機12に応じて、第1後進動作の許否が設定される。一例として、作業機12が直装式か牽引式かによって、又は作業機12がレベラか否か等によって、第1後進動作の許否が設定される。詳しくは後述するが、作業機12が牽引式である場合に、第1後進動作を禁止する。本実施形態では、作業機12は直装式のレーザレベラであって牽引式ではないため、第1後進動作は禁止されずに許可される。つまり、牽引式の作業機12であれば、基本的には、連結部分が折れ曲がらないように機体11は前進のみ行うことが好ましいのに対し、直装式の作業機12であれば、第1後進動作を許容することによって作業効率を向上できる。その結果、作業機12に適した移動態様を設定することが可能である。
【0068】
本実施形態では、態様設定処理部212は、移動態様を、所定ルールに従って自動的に設定可能に構成されている。すなわち、態様設定処理部212は、ユーザ(オペレータ)が移動態様を直接的に指定しなくとも、所定ルールに従って、自動的に移動態様を設定することが可能である。そのため、例えば、上記のように作業機12に応じて移動態様(第1後進動作の許否)が設定される場合、態様設定処理部212は、作業機12が牽引式であれば第1後進動作を禁止するように、作業機12と移動態様との対応関係を定めた所定ルールに従って、作業機12に応じた移動態様を自動的に設定する。特に、機体11にどのような作業機12が装着されているかは、ユーザが操作表示部23を操作して指定してもよいが、例えば、作業機械10において自動的に判別された結果が端末装置20に送信されてもよい。よって、ユーザにとっては作業機12を指定するだけ、又は作業機12の指定すらしなくても、この作業機12に適した移動態様が勝手に設定されることになり、移動態様の設定の手間が省ける。
【0069】
また、本実施形態では、態様設定処理部212は、移動態様を、ユーザの操作に従って設定可能に構成されている。すなわち、態様設定処理部212は、ユーザ(オペレータ)が、例えば、操作表示部23を操作して入力した第1後進動作の許否等をそのまま移動態様として設定することが可能である。そのため、例えば、ユーザが熟練者である場合等において、ユーザの経験を活かして適切な移動態様を設定することが可能となる。
【0070】
ここで、態様設定処理部212にて設定可能な移動態様は、第1後進動作の許否の他、第2後進動作の許否等を含んでいる。第2後進動作は、旋回経路に含まれる一時的な機体11の後進動作であって、機体11を後方に移動(進行)させる目的で行われる後進動作ではない。
【0071】
具体的には、作業機械10の旋回方法には、いわゆる「フィッシュテールターン」又は「ドン突きバック」のように、限られたスペース内で機体11の旋回を可能とするために、前進と後進とを切り替えつつ機体11を旋回させる種類の旋回方法がある。例えば、図6に示す旋回経路r14は、機体11が右方向に旋回しながら前進する第1経路r141、機体11が真っ直ぐ後進する第2経路r142及び機体11が右方向に旋回しながら前進する第3経路r143を含み、機体11の「フィッシュテールターン」を実現する。このような旋回経路に含まれる一時的な機体11の後進動作、例えば、図6の旋回経路r14に含まれる第2経路r142を走行する際の機体11の後進動作等は、機体11の切り返し用であって、機体11を後方に移動させる目的ではないため、第2後進動作の一例である。
【0072】
一方、作業機械10は、機体11を後ろ向きに移動させることで対象領域F1内を移動することも可能である。例えば、図4に示す非作業経路r12であれば、対象領域F1としての圃場の一端側の枕地領域から、他端側の枕地領域に向けて、機体11を後ろ向きに移動させる後進動作を実現する。このように図6の非作業経路r12を走行する際の機体11の後進動作等は、機体11を後方に移動させる目的であって、第1後進動作の一例である。
【0073】
経路生成処理部213は、対象領域F1において作業機械10を自動運転(自律走行及び自律作業)させるための目標経路R1を生成する経路生成処理を実行する。ここで、経路生成処理部213は、記憶部22に記憶されている、作業機情報、作業車両情報、圃場情報及び作業情報等を含む生成用データに基づいて、目標経路R1を生成する。つまり、目標経路R1は、例えば、操作表示部23に対するユーザ(オペレータ)による操作入力等によって設定(登録)される作業機情報、作業車両情報、圃場情報及び作業情報等に基づいて、経路生成処理部213が目標経路を生成する。
【0074】
本実施形態においては、生成用データには、作業回数及び移動態様が含まれる。すなわち、回数設定処理部211で設定される作業回数、及び態様設定処理部212にて設定される移動態様(第1後進動作の許否等を含む)に基づいて、経路生成処理部213は目標経路R1を生成可能である。経路生成処理部213は、生成した目標経路R1を対象領域F1に関連付けて登録する。
【0075】
具体的には、経路生成処理部213は、圃場情報に含まれる走行開始位置P1(図3参照)及び走行終了位置P2(図3参照)に基づいて、対象領域F1内の目標経路R1を生成する。例えば、経路生成処理部213は、生成用データに基づいて、図3及び図4に示すように、対象領域F1内において、走行開始位置P1から走行終了位置P2にかけて作業機械10の機体11を移動させるための目標経路R1を生成する。図3及び図4において、前後方向D2及び左右方向D3は、図3及び図4に示す作業機械10の機体11の向きを基準としたときの方向である。
【0076】
ここで、図3の例では、目標経路R1は、作業経路r11と、非作業経路r12と、を含む。作業経路r11は、作業機械10が作業機12で作業を行いながら走行(移動)する経路であって、非作業経路r12は、作業機械10が作業機12での作業を行わずに走行(移動)する経路である。図3に示す目標経路R1を、「第1パターン」の目標経路R1と定義する。
【0077】
また、図4の例では、目標経路R1は、作業経路r11と、非作業経路r12と、旋回経路r13と、を含む。作業経路r11は、作業機械10が作業機12で作業を行いながら走行(移動)する経路であって、非作業経路r12は、作業機械10が作業機12での作業を行わずに走行(移動)する経路である。旋回経路r13は、作業機械10が進行方向を変更する旋回走行を行うための経路である。旋回経路r13の走行(移動)中には作業機械10は作業機12での作業を行わないため、旋回経路r13は非作業経路の一種である。図4に示す目標経路R1を、「第2パターン」の目標経路R1と定義する。
【0078】
登録処理部214は、作業機情報、作業車両情報、圃場情報及び作業情報等を登録する登録処理を実行する。すなわち、目標経路R1の生成に用いられる作業機情報、作業車両情報、圃場情報及び作業情報等は、例えば、操作表示部23に対するユーザ(オペレータ)による操作入力等によって、登録処理部214によってそれぞれ登録(設定)される。
【0079】
出力処理部215は、例えば、目標経路R1の経路データを作業機械10に出力する出力処理を実行する。すなわち、経路生成処理部213で生成された目標経路R1に関する経路データは、出力処理部215から例えば通信部24に出力され、通信部24から作業機械10に送信される。
【0080】
例えば、オペレータは、作業を開始する際に、圃場(対象領域F1)の選択、作業の選択、目標経路R1の確認等を行い、作業開始指示を行う。オペレータが作業開始指示を行うと、出力処理部215は、経路生成処理部213が生成した目標経路R1の経路データを作業機械10に送信(出力)する。作業機械10は、端末装置20において生成された経路データを受信すると、当該経路データを記憶部132に記憶する。そして、作業機械10は、測位装置16により算出される作業機械10の現在位置と、経路データにて特定される目標経路R1と、に基づいて、自動運転(自律走行及び自律作業)を行う。
【0081】
さらに、出力処理部215は、生成された目標経路R1を操作表示部23に出力することで、操作表示部23に表示させることも可能である。出力処理部215の出力の態様は、上述したような作業機械10への送信又は表示に限らず、例えば、他装置(ユーザ端末等)への送信、印刷(プリントアウト)、非一時的記録媒体への書き込み、又は音声出力等であってもよい。
【0082】
端末装置20は、サーバが提供する農業支援サービスのウェブサイト(農業支援サイト)に通信網N1を介してアクセス可能であってもよい。この場合、端末装置20は、情報処理部21によってブラウザプログラムが実行されることにより、サーバの操作用端末として機能することが可能である。そして、サーバは、上述の各処理部を備え、各処理を実行する。
【0083】
[3]作業機械の制御方法
以下、図3図19を参照しつつ、主として制御システム1(制御装置13及び端末装置20)によって実行される作業機械10の制御方法(以下、単に「制御方法」という)の一例について説明する。
【0084】
本実施形態に係る制御方法は、コンピュータシステムを主構成とする制御システム1にて実行されるので、言い換えれば、作業機械用制御プログラム(以下、単に「制御プログラム」という)にて具現化される。つまり、本実施形態に係る制御プログラムは、制御方法に係る各処理を1以上のプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0085】
ここで、制御システム1は、制御プログラムを実行させるための予め設定された特定の開始操作が行われた場合に、制御方法に係る下記の各種処理を実行する。開始操作は、例えば、端末装置20でのアプリケーションプログラム(作業機械用制御プログラム)の起動操作等である。一方、制御システム1は、予め設定された特定の終了操作が行われた場合に、制御方法に係る下記の各種処理を終了する。終了操作は、例えば、端末装置20でのアプリケーションプログラム(作業機械用制御プログラム)の終了操作等である。
【0086】
また、図3図11等の目標経路R1を表す図面において、作業機械10が作業を行う経路(作業経路r11)を実線で示し、作業機械10が作業を行わない経路(非作業経路r12及び旋回経路r13等)を点線で示す。図3図11等の目標経路R1を表す図面では、平面視において対象領域F1について生成される目標経路R1(及び作業機械10)を模式的に表している。
【0087】
また、図4図7及び図11等の目標経路R1を表す図面において、互いに近接して表記される2つの経路は、実際には、対象領域F1の同一位置に配置される経路を意味する。一例として、図4において、非作業経路r12は、作業経路r11の右側にずれた位置に表記されているが、実際には、当該作業経路r11上に生成される。したがって、作業機械10は、作業経路r11に沿って前進動作した後、当該作業経路r11上を、非作業経路r12に沿って反対向きに移動(つまり後進動作)することで、同一直線状を前進/後進を切り替えて往復動作する。同様に、例えば、図3において、最終列(図中右端)の作業経路r11の終端から走行終了位置P2に延びる非作業経路r12は、当該作業経路r11上に生成されてもよい。この場合、作業機械10は、最終列の作業経路r11に沿って前進動作した後、当該作業経路r11上を、非作業経路r12に沿って反対向きに移動(つまり後進動作)することで、同一直線状を前進/後進を切り替えて往復動作する。
【0088】
また、以下では、対象領域F1が、平面視において長方形状の圃場であって、当該対象領域F1の外周縁のうち、一方の短辺を「第1辺f11」、他方の短辺を「第2辺f12」、一方の長辺を「第3辺f13」、他方の長辺を「第4辺f14」と仮定する。そして、当該対象領域F1において、走行開始位置P1は、第1辺f11と第3辺f13との間の角部付近に配置され、走行終了位置P2は、第2辺f12と第3辺f13との間の角部付近に配置されていることとする。
【0089】
[3.1]目標経路
まず、本実施形態に係る制御システム1にて、ある圃場からなる対象領域F1に対して生成される目標経路R1について説明する。上述したように、図3に示す目標経路R1は「第1パターン」の目標経路R1であって、図4に示す目標経路R1は「第2パターン」の目標経路R1である。図5は「第2パターン」の目標経路R1の要部を示す概略図である。さらに、図6には、「第3パターン」及び「第4パターン」の目標経路R1をそれぞれ示す。
【0090】
経路生成処理部213は、これら複数パターンの目標経路R1のうちのいずれかの目標経路R1を、態様設定処理部212で設定される移動態様、又はその他の生成用データ(作業機情報、作業車両情報、圃場情報及び作業情報等を含む)に基づいて、生成可能である。あるいは、経路生成処理部213は、これら複数パターンの目標経路R1のうちの2パターン以上の目標経路R1を生成してもよい。この場合、ユーザ(オペレータ)は、例えば、操作表示部23に表示される2パターン以上の目標経路R1の中から、いずれかの目標経路R1を選択する。
【0091】
第1パターンの目標経路R1は、図3に示すように、対象領域F1の一方の長辺(第3辺f13)側から他方の長辺(第4辺f14)側に向かう複数の作業経路r11を含んでいる。すなわち、図3に例示する目標経路R1においては、図中左下角部に設定された走行開始位置P1から、図中上方へと延びる作業経路r11が配置され、さらに、当該作業経路r11に沿った(平行な)複数の作業経路r11が、図中右方に一定間隔で配置される。ここで、隣接する一対の作業経路r11間は、第1辺f11側となる一の作業経路r11の終端(図中上端)と、第2辺f12側となる他の作業経路r11の始端(図中下端)とをつなぐ、非作業経路r12にて接続される。そして、対象領域F1中の最終列(図中右端)の作業経路r11の終端(図中上端)からは、図中右下角部に設定された走行終了位置P2に向けて、非作業経路r12が配置される。
【0092】
ここで、複数の作業経路r11は、いずれも作業機械10が作業機12での作業を行いながら前進動作する直線状の経路である。隣接する作業経路r11間の間隔は、作業機12の左右方向D3の幅寸法に基づいて設定されており、複数の作業経路r11に沿って作業機械10が走行することで、対象領域F1の略全域(外周部となる枕地領域を除く)に対して均平作業が行われる。一方、複数の非作業経路r12は、いずれも作業機械10が作業機12での作業を行わずに後進動作(第1後進動作)を行う非直線状の経路である。すなわち、作業機械10は、図3に示す目標経路R1に沿って自動運転を行うことで、第3辺f13及び第4辺f14間を往復しながら、第1辺f11から第2辺f12に向けて移動することになる。
【0093】
より詳細には、一の作業経路r11と他の作業経路r11とを接続する非作業経路r12は、一の作業経路r11の終端から少しだけ機体11が前進する経路、機体11が右方に移動するように旋回しながら後進する経路、機体11が作業経路r11に沿って真っすぐ後進する経路、機体11が右方に移動するように旋回しながら後進する経路、及び機体11が次の(他の)作業経路r11の始端に向けて前進する経路を含む。同様に、最終列(図中右端)の作業経路r11から延びる非作業経路r12は、当該作業経路r11の終端から少しだけ機体11が前進する経路、機体11が右方に移動するように旋回しながら後進する経路、及び走行終了位置P2に向けて機体11が作業経路r11に沿って真っすぐ後進する経路を含む。これにより、作業機械10は、非作業経路r12上を真っすぐ後進する際に、作業経路r11の右側を走行することとなる。その結果、作業機械10は、作業経路r11を走行し均平作業を行った際に作業機12の右側にあふれた畝状の土を、非作業経路r12上を後進する際に走行装置14で踏みつけることが可能となり、当該畝状の土を均すことが可能となる。さらに、作業機械10は、非作業経路r12において後進動作(第1後進動作)を行う際に、作業機12を地面に軽く接地させて、畝状の土を均してもよい。
【0094】
第2パターンの目標経路R1は、図4に示すように、対象領域F1の一方の長辺(第3辺f13)側から他方の長辺(第4辺f14)側に向かう複数の作業経路r11を含んでいる。すなわち、図4に例示する目標経路R1においては、図中左下角部に設定された走行開始位置P1から、図中上方へと延びる作業経路r11が配置され、さらに、当該作業経路r11に沿った(平行な)複数の作業経路r11が、図中右方に一定間隔で配置される。ここで、隣接する一対の作業経路r11間は、非作業経路r12及び旋回経路r13にて接続される。
【0095】
具体的に、非作業経路r12は、隣接する一対の作業経路r11のうち第1辺f11側となる一の作業経路r11の終端(図中上端)から、当該作業経路r11に沿って、当該作業経路r11の始端(図中下端)に向けて延びる経路である。旋回経路r13は、非作業経路r12の終端(図中下端)と、隣接する一対の作業経路r11のうち第2辺f12側となる他の作業経路r11の始端(図中下端)と、を接続し、作業機械10を旋回させる経路である。そして、対象領域F1中の最終列(図中右端)の作業経路r11の終端(図中上端)からは、当該作業経路r11に沿って、図中右下角部に設定された走行終了位置P2に延びる、非作業経路r12が配置される。
【0096】
ここで、複数の作業経路r11は、いずれも作業機械10が作業機12での作業を行いながら前進動作する直線状の経路である。隣接する作業経路r11間の間隔は、作業機12の左右方向D3の幅寸法に基づいて設定されており、複数の作業経路r11に沿って作業機械10が走行することで、対象領域F1の略全域(外周部となる枕地領域を除く)に対して均平作業が行われる。一方、複数の非作業経路r12は、いずれも作業機械10が作業機12での作業を行わずに後進動作(第1後進動作)を行う直線状の経路である。複数の非作業経路r12は、複数の作業経路r11とそれぞれ同一直線状に設定されており、作業機械10は、各作業経路r11に沿って前進動作した後、当該作業経路r11上を、非作業経路r12に沿って反対向きに移動(つまり後進動作)する。すなわち、作業機械10は、図4に示す目標経路R1に沿って自動運転を行うことで、第3辺f13及び第4辺f14間を往復しながら、第1辺f11から第2辺f12に向けて移動することになる。
【0097】
第2パターンの目標経路R1の旋回経路r13は、図5に示すように、機体11が旋回しながら後進する第1経路r131、及び機体11が旋回しながら前進する第2経路r132を含む。このように機体11の進行方向の切り返しを伴う旋回経路r13によれば、第3辺f13及び第4辺f14に沿った枕地領域において、比較的狭いスペースであっても、隣接する作業経路r11間での作業機械10の移動が可能となる。
【0098】
さらに、図5に示すように、走行開始位置P1付近、及び走行終了位置P2付近においては、旋回経路r13における旋回方向を対象領域F1の外周縁(第1辺f11及び第2辺f12)とは反対向きとすることが好ましい。つまり、第1辺f11に隣接する最初列(図中左端)の非作業経路r12につながる旋回経路r13にあっては、第1辺f11とは反対側(図中右方)に向けて機体11を旋回させることが好ましい。第2辺f12に隣接する最終列(図中右端)の作業経路r11につながる旋回経路r13にあっては、第2辺f12とは反対側(図中左方)に向けて機体11を旋回させることが好ましい。このような旋回経路r13によれば、第1辺f11及び第2辺f12に沿った枕地領域において、比較的狭いスペースであっても、機体11の旋回が可能となる。
【0099】
第3パターンの目標経路R1は、図6の左側に示すように、対象領域F1の一方の長辺(第3辺f13)側から他方の長辺(第4辺f14)側に向かう複数の作業経路r11を含んでいる。すなわち、第3パターンの目標経路R1においては、図中左下角部に設定された走行開始位置P1から、図中上方へと延びる作業経路r11が配置され、さらに、当該作業経路r11に沿った(平行な)複数の作業経路r11が、図中右方に一定間隔で配置される。ここで、隣接する一対の作業経路r11間は、旋回経路r14、非作業経路r12及び旋回経路r15にて接続される。
【0100】
具体的に、旋回経路r14は、隣接する一対の作業経路r11のうち第1辺f11側となる一の作業経路r11の終端(図中上端)と、非作業経路r12の始端(図中上端)と、を接続し、作業機械10を旋回させる経路である。非作業経路r12は、旋回経路r14の終端から、作業経路r11に沿って、当該作業経路r11との始端(図中下端)に向けて延びる経路である。旋回経路r15は、非作業経路r12の終端(図中下端)と、隣接する一対の作業経路r11のうち第2辺f12側となる他の作業経路r11の始端(図中下端)と、を接続し、作業機械10を旋回させる経路である。
【0101】
ここで、複数の作業経路r11は、いずれも作業機械10が作業機12での作業を行いながら前進動作する直線状の経路である。隣接する作業経路r11間の間隔は、作業機12の左右方向D3の幅寸法に基づいて設定されており、複数の作業経路r11に沿って作業機械10が走行することで、対象領域F1の略全域(外周部となる枕地領域を除く)に対して均平作業が行われる。旋回経路r14は、上述したように、第1経路r141、第2経路r142及び第3経路r143を含み、機体11の「フィッシュテールターン」を実現することで、機体11の向きを反転させる。
【0102】
複数の非作業経路r12は、いずれも作業機械10が作業機12での作業を行わずに前進動作する直線状の経路である。複数の非作業経路r12は、複数の作業経路r11とそれぞれ同一直線状に設定されており、作業機械10は、各作業経路r11に沿って前進動作した後、旋回経路r14で機体11の向きを反転させ、当該作業経路r11上を、非作業経路r12に沿って反対向きに前進動作する。第3パターンの目標経路R1の旋回経路r15は、図6に示すように、機体11が左方向に旋回しながら前進する第1経路r151、機体11が真っ直ぐ後進する第2経路r152及び機体11が左方向に旋回しながら前進する第3経路r153を含み、機体11の「フィッシュテールターン」を実現する。旋回経路r14,r15の走行(移動)中には作業機械10は作業機12での作業を行わないため、旋回経路r14,r15は非作業経路の一種である。
【0103】
すなわち、作業機械10は、図6に示す目標経路R1に沿って自動運転を行うことで、第3辺f13及び第4辺f14間を往復しながら、第1辺f11から第2辺f12に向けて移動することになる。また、機体11の進行方向の切り返しを伴う旋回経路r14,r15によれば、第3辺f13及び第4辺f14に沿った枕地領域において、比較的狭いスペースであっても、作業機械10の旋回が可能となる。ただし、特に旋回経路r15にあっては、隣接する作業経路r11間に十分な間隔がある場合、「フィッシュテールターン」は必須ではなく、機体11の進行方向の切り返しを伴わないUターン等が適用されてもよい。
【0104】
第4パターンの目標経路R1は、図6の右側に示すように、対象領域F1の一方の長辺(第3辺f13)側から他方の長辺(第4辺f14)側に向かう複数の作業経路r11を含んでいる。すなわち、第3パターンの目標経路R1においては、図中左下角部に設定された走行開始位置P1から、図中上方へと延びる作業経路r11が配置され、さらに、当該作業経路r11に沿った(平行な)複数の作業経路r11が、図中右方に一定間隔で配置される。ここで、隣接する一対の作業経路r11間は、旋回経路r13及び非作業経路r12にて接続される。
【0105】
具体的に、旋回経路r13は、隣接する一対の作業経路r11のうち第1辺f11側となる一の作業経路r11の終端(図中上端)と、非作業経路r12の始端(図中上端)と、を接続し、作業機械10を旋回させる経路である。非作業経路r12は、隣接する一対の作業経路r11のうち第2辺f12側となる他の作業経路r11と同一位置に配置され、旋回経路r13の終端から、当該作業経路r11に沿って、当該作業経路r11との始端(図中下端)に向けて延びる経路である。
【0106】
ここで、複数の作業経路r11は、いずれも作業機械10が作業機12での作業を行いながら前進動作する直線状の経路である。隣接する作業経路r11間の間隔は、作業機12の左右方向D3の幅寸法に基づいて設定されており、複数の作業経路r11に沿って作業機械10が走行することで、対象領域F1の略全域(外周部となる枕地領域を除く)に対して均平作業が行われる。一方、複数の非作業経路r12は、いずれも作業機械10が作業機12での作業を行わずに後進動作(第1後進動作)を行う直線状の経路である。複数の非作業経路r12は、複数の作業経路r11とそれぞれ同一直線状に設定されており、作業機械10は、各作業経路r11に沿って前進動作した後、当該作業経路r11の次の作業経路r11上を、非作業経路r12に沿って反対向きに移動(つまり後進動作)する。すなわち、作業機械10は、図6に示す目標経路R1に沿って自動運転を行うことで、第3辺f13及び第4辺f14間を往復しながら、第1辺f11から第2辺f12に向けて移動することになる。
【0107】
第4パターンの目標経路R1の旋回経路r13は、図6に示すように、機体11が旋回しながら前進する第1経路r131、及び機体11が旋回しながら後進する第2経路r132を含む。このように機体11の進行方向の切り返しを伴う旋回経路r13によれば、第3辺f13及び第4辺f14に沿った枕地領域において、比較的狭いスペースであっても、隣接する作業経路r11間での作業機械10の移動が可能となる。
【0108】
上述したようないずれの目標経路R1であっても、作業機械10は、当該目標経路R1の経路データを端末装置20から受信することで、目標経路R1に沿って自動運転を行う。このとき、作業機械10は、図中に実線で示す作業経路r11を走行する際には作業機12に作業を行わせ、図中に点線で示す非作業経路r12(又は旋回経路r13,r14,r15)を走行する際には作業機12に作業を行わせない。本実施形態では、作業機12は直装式のレーザレベラであるので、作業機械10は、作業経路r11を走行する際には作業機12を作業位置に配置することで作業機12に均平作業を行わせ、非作業経路r12(又は旋回経路r13,r14,r15)を走行する際には作業機12を上昇させて非作業位置に配置することで作業機12に均平作業を行わせない。つまり、経路データには、作業機械10が移動する経路を示す情報のみならず、作業機12による作業を実施するか否かといった作業内容に関する動作情報を含んでいる。
【0109】
結果的に、目標経路R1に沿って走行開始位置P1から走行終了位置P2に作業機械10が自律走行する間に、対象領域F1の略全域に対して作業(本実施形態では均平作業)が一通り実施されることになる。
【0110】
また、経路データに含まれる動作情報は、目標経路R1中の各経路(作業経路r11及び非作業経路r12等を含む)を走行する際の、走行装置14の移動速度(車速)及び/又はエンジン回転数等を含んでいてもよい。これにより、例えば、作業経路r11と非作業経路r12とで、作業機械10の移動速度(車速)及び/又はエンジン回転数等を変更することが可能である。一例として、作業経路r11を走行する際の作業機械10の移動速度(車速)は、非作業経路r12を走行する際に比較して低速に設定可能である。
【0111】
[3.2]作業回数
次に、本実施形態に係る制御システム1にて設定される作業回数について、図7図11を参照して説明する。
【0112】
本実施形態では、経路生成処理部213は、上述したように少なくとも回数設定処理部211で設定される作業回数に基づいて、目標経路R1を生成する。そのため、作業回数は、基本的には目標経路R1に反映されることになる。
【0113】
一例として、図7は、第2パターンの目標経路R1をベースにして、作業回数が設定された場合の目標経路R1を示している。図7の例では、第1辺f11側から1列目、2列目及び4列目の作業経路r11については作業回数が「2回」に設定され、第1辺f11側から3列目の作業経路r11については作業回数が「1回」に設定されている。
【0114】
この場合、制御処理部131は、作業回数に基づいて、対象領域F1内を目標経路R1に沿って作業機械10を移動させる。その結果、作業機械10は、目標経路R1に従って自動運転を行う場合、各列の作業経路r11について、それぞれ設定された作業回数分だけ繰り返し走行することになる。つまり、図7の例では、第1辺f11側から1列目、2列目及び4列目の各作業経路r11については、作業機械10は、1回目の均平作業を行いながら作業経路r11を始端から終端に向けて前進し、非作業経路r12で後進した上で、2回目の均平作業を行いながら作業経路r11を始端から終端に向けて前進することで、均平作業を2回実施する。一方、第1辺f11側から3列目の作業経路r11については、作業機械10は、1回目の均平作業を行いながら作業経路r11を始端から終端に向けて前進することで、均平作業を1回のみ実施する。各列の作業経路r11について設定された作業回数分の作業が完了すれば、作業機械10は、非作業経路r12及び旋回経路r13を通って、次列の作業経路r11の始端に移動する。
【0115】
このように、本実施形態に係る作業機械10の制御方法は、対象領域F1を移動しつつ、作業機12によって対象領域F1内で作業を行う作業機械10の制御方法であって、対象領域F1内の同じ箇所に対して作業機械10が作業を行う回数である作業回数を設定することと、作業回数に基づいて、対象領域F1内を目標経路R1に沿って作業機械10を移動させることと、を有する。
【0116】
したがって、作業機械10による作業を1回の自律走行で無理に完了しようとしなくとも、必要に応じて、複数回繰り返して作業機械10を自律走行させることが可能である。そのため、例えば、作業機12がレーザレベラである場合において、特に高低差が大きい箇所では、作業機械10による作業を複数回繰り返すこととすれば、作業機12が深く掘り込むことを抑制でき、作業機12の負荷を小さく抑えることが可能となる。結果的に、作業機12の負荷が過大となることを回避しやすい作業機械10の制御方法を提供できる。
【0117】
本実施形態では、作業機12は、対象領域F1を均平するためのレベラである。この種の作業機12においては、作業機械10による作業を1回の自律走行で無理に完了しようとすれば、特に高低差が大きい箇所では、作業機12が深く掘り込むことになり、作業機12の負荷が過大となりやすい。本実施形態に係る作業機械10の制御方法は、この種の作業機12に特に有用である。
【0118】
さらに、本実施形態では、目標経路R1は、作業機械10が作業を行いながら移動するための複数の作業経路r11を含む。作業回数は、複数の作業経路r11の各々について設定される。つまり、作業回数は各列の作業経路r11について個別に設定可能であるため、対象領域F1内の場所ごとに、異なる作業回数を設定することが可能である。例えば、高低差が大きい箇所では、作業回数を多く設定することで、作業機12の負荷を抑えつつも、対象領域F1の全域について効率的に均平作業を行うことができる。さらに、1つの作業経路r11の中でも、その部位ごとに、異なる作業回数が設定可能であってもよい。これにより、例えば、ある作業経路r11の一部のみ、作業回数を多く設定すること等が可能となる。
【0119】
また、作業回数は目標経路R1に反映されることに限らず、作業機械10の自動運転中にリアルタイムで設定されてもよい。例えば、本実施形態のように作業機12がレーザレベラであって、作業機12の高さが自動制御されるような場合には、作業経路r11の始端から終端に移動する間の作業機12の高さの変化量に応じて、当該作業経路r11の作業回数が設定されてもよい。つまり、作業機12の高さの変化量が所定量以下であれば、当該作業経路r11に対する均平作業は完了したこととして、次の作業経路r11へ進むこととする。この構成では、作業機12の高さの変化量が所定量以下となるまでは、作業機械10は、当該作業経路r11に対する均平作業を繰り返し行うこととなる。
【0120】
すなわち、図7の例において、第1辺f11側から4列目の作業経路r11について、作業機械10が、2回目の均平作業を行いながら作業経路r11を始端から終端に向けて前進した際、回数設定処理部211は、その間の作業機12の高さの変化量を監視する。そして、当該変化量が所定量以下であれば、回数設定処理部211は、当該作業経路r11の作業回数を「2回」に設定し、作業機械10は、作業回数分の作業を完了したと判断し、次の作業経路r11へと進む。一方、当該変化量が所定量より大きければ、回数設定処理部211は、当該作業経路r11の作業回数を1回分増加させて「3回」に設定し、作業機械10は、当該作業経路r11の均平作業を繰り返す。
【0121】
このように、回数設定処理部211は、作業機械10が実際に作業を行っている最中に、作業の進捗度を見ながら、作業回数を動的に設定してもよい。ここで、作業の進捗度を見るための手段は、上述したような作業機12の高さの変化量に限らず、例えば、作業機12の高低差、作業機械10にかかる負荷の大きさ、又は対象領域F1の状況(均平度等)であってもよい。
【0122】
また、本実施形態に係る制御方法では、図8に示すように、作業回数が2回以上に設定されている場合、対象領域F1のうち作業すべき領域の全域に対して1回分の作業が完了してから、次回分の作業を開始させることも可能である。図8では、第1パターンの目標経路R1を例示している。本実施形態では、このように、対象領域F1のうち作業すべき領域の全域に対して1回分の作業が完了してから、次回分の作業を開始する「全体モード」と、各列の作業経路r11ごとに作業回数分の作業を繰り返す「個別モード」と、を切替可能である。
【0123】
全体モードにおいては、目標経路R1は、走行終了位置P2から、走行開始位置P1に向けて延びる、回帰経路r16を含む。すなわち、例えば、複数の作業経路r11について作業回数が「2回」に設定されている場合に、作業機械10は、全列の作業経路r11に対してまずは1回目の作業を実施し、その後、回帰経路r16を通って、走行終了位置P2から走行開始位置P1に復帰する。回帰経路r16の走行(移動)中には作業機械10は作業機12での作業を行わないため、回帰経路r16は非作業経路の一種である。それから、作業機械10は、全列の作業経路r11に対して2回目の作業を実施する。回帰経路r16は、一例として、図8のように、走行終了位置P2から少しだけ機体11を後進させ、その後、走行開始位置P1に向けて機体11を旋回させながら前進させる経路からなる。回帰経路r16は、このような経路に限らず、例えば、図9に示すように、走行終了位置P2から走行開始位置P1に向けて機体11を旋回させながら前進させる経路のみで構成されてもよい。
【0124】
このように、作業機械10は、全体モードでは、各列の作業経路r11について2回目の作業が完了して初めて次の作業経路r11に移動するのではなく、作業回ごとに複数の作業経路r11についての作業を行うことができる。その結果、全体モードでは、個別モードに比較して、目標経路R1の総長さを短く抑えることができ、作業時間の短縮が期待できる。
【0125】
また、本実施形態に係る制御方法は、1回分の作業が完了する度に、当該作業の結果を確認すること、を更に有する。例えば、全体モードにおいては、作業機械10が走行終了位置P2に到達したときに、端末装置20は、対象領域F1の作業の進捗度(均平度等)を操作表示部23に表示させる。このとき、端末装置20は、次回(2回目以降)の作業開始を指示するオペレータからの操作を操作表示部23で受け付け、当該指示をもって、作業機械10に2回目(2巡目)の作業を開始させてもよい。これにより、オペレータは、作業の結果(進捗度等)を確認した上で、次回の作業を開始させることができる。あるいは、作業の結果(進捗度)の確認は、例えば、制御処理部131又は情報処理部21等が行ってもよい。
【0126】
さらに、本実施形態では、作業回数は、複数の作業経路r11の各々について設定可能であるので、図9に示すように、複数の作業経路r11のうちの少なくとも1つの作業経路r11をスキップ可能であることが好ましい。図9は、第1辺f11側から2列目の作業経路r11のみ作業回数が「1回」に設定されている場合の、全体モードにおける2回目(2巡目)の作業に係る目標経路R1を表している。図9では、1回目の作業経路r11を想像線(二点鎖線)で示す。このように、2回目の作業においては、第1辺f11側から1列目の作業経路r11の終端は、非作業経路r12によって第1辺f11側から3列目の作業経路r11の始端に接続されるため、当該非作業経路r12によって、第1辺f11側から2列目の作業経路r11がスキップされる。
【0127】
他の例として、2回目の作業において、第1辺f11側から2列目の作業経路r11を、作業機12での作業を行わずにダミー走行することも考えられる。ダミー走行する場合に比較して、作業経路r11をスキップすることで、目標経路R1の総長さを短く抑えることができ、作業時間の短縮が期待できる。
【0128】
ここで、目標経路R1は、作業機械10が作業を行わずに移動するための非作業経路(非作業経路r12、旋回経路r13,r14,r15及び回帰経路r16)を含む。非作業経路(非作業経路r12、旋回経路r13,r14,r15及び回帰経路r16)は、作業回数に応じて変化する。すなわち、例えば、2回目以降の作業を行うための回帰経路r16、及び作業経路r11をスキップするための非作業経路r12等は、作業回数に応じて適宜変化する。これにより、効率的な作業が実現可能である。
【0129】
また、本実施形態では、目標経路R1のうち、作業機械10が作業を行いながら移動するための作業経路r11を、作業を行う作業回ごとに設定可能である。例えば、図10では、2回目の作業における作業経路r11を、1回目の作業における作業経路r11に対して傾斜させた例を示す。図10では、全体モードにおける2回目(2巡目)の作業に係る目標経路R1を表しており、1回目の作業経路r11を想像線(二点鎖線)で示す。このように、作業回ごとに、例えば、第1辺f11に対する角度等が異なる作業経路r11が設定されることで、対象領域F1に対して作業のむらが生じにくくなる。
【0130】
さらに、図11に示すように、作業経路r11は、作業回によって作業機械10が移動する向きのみが異なってもよい。図11では、全体モードにおける2回目(2巡目)の作業に係る目標経路R1を表しており、1回目の作業経路r11を想像線(二点鎖線)で示す。つまり、図11の例では、作業機械10は、1回目の作業においては、第3辺f13から第4辺f14に向けて作業経路r11を移動するのに対し、2回目の作業においては、第4辺f14から第3辺f13に向けて作業経路r11を移動する。このように、作業回ごとに、異なる向きの作業経路r11が設定されることで、対象領域F1に対して作業のむらが生じにくくなる。
【0131】
[3.3]設定画面
次に、図12図14を参照して、作業回数を設定するための回数設定画面G1、及び移動態様を設定するための態様設定画面G2について説明する。本実施形態では、回数設定画面G1、及び態様設定画面G2は、それぞれ端末装置20に対する特定の操作がされることをもって、端末装置20の操作表示部23に表示されることとする。図12図14において、領域を表す一点鎖線、引出線及び参照符号は、いずれも説明のために付しているに過ぎず、実際に操作表示部23に表示される訳ではない。
【0132】
回数設定画面G1は、図12に示すように、経路選択部G11と、回数設定部G12と、経路表示部G13と、を含んでいる。経路選択部G11は、作業回数の設定対象となる作業経路r11を選択するためのユーザ(オペレータ)の操作を受け付けるオブジェクトである。図12では一例として、経路選択部G11は、一対のカーソルG111,G112及び一括ボタンG113を有している。回数設定部G12は、選択中の作業経路r11について作業回数を設定するためのユーザの操作を受け付けるオブジェクトである。図12では一例として、回数設定部G12は、一対のカーソルG121,G122及び回数窓G123を有している。経路表示部G13には、複数の作業経路r11がそれぞれの設定済みの作業回数と対応付けて表示され、かつ選択中の作業経路r11が強調表示される。ここで、作業経路r11ごとに作業回数の推奨値が初期値(デフォルト値)として設定されていることが好ましい。この場合、ユーザが作業回数を設定する前の状態では、経路表示部G13には、複数の作業経路r11がそれぞれの初期値(推奨値)である作業回数と対応付けて表示される。
【0133】
経路選択部G11においては、一対のカーソルG111,G112の操作に応じて、経路表示部G13内で選択中の作業経路r11が左右に移動し、一括ボタンG113が操作されると、経路表示部G13内の全ての作業経路r11が一括選択される。回数設定部G12においては、現在選択中の作業経路r11についての現在設定中の作業回数が回数窓G123に表示され、一対のカーソルG121,G122の操作に応じて回数窓G123の回数が増減する。
【0134】
このような回数設定画面G1に対するユーザ(オペレータ)の操作に応じて、回数設定処理部211は、作業回数を設定する。したがって、ユーザにおいては、回数設定画面G1で作業経路r11ごとの作業回数を確認しながら、作業回数を設定することが可能である。
【0135】
さらに、図13に示すように、回数設定画面G1の経路表示部G13等においては、作業経路r11に対応付けて、対象領域F1の各位置(地点)での高度情報が可視化されてもよい。図13の例では、高度情報に応じて色(濃淡)が異なる(ここでは濃い程に高い位置であることを示す)高度マップが、作業経路r11の背後(背景)に表示されている。このように高度情報が作業経路r11に対応付けて表示されることにより、ユーザにおいては、対象領域F1の高低差を確認しながら、作業回数を設定することが可能である。高度マップは、図13のように、対象領域F1を複数の小区画に区分したときの小区画ごとの高度情報を表す態様に限らず、対象領域F1内で高度に応じて連続的に色(濃淡)が変化する態様であってもよい。さらに、作業経路r11は、高度情報に対応付けられていればよく、高度情報(高度マップ等)に重畳表示される態様に限らず、例えば、高度情報と並べて表示されてもよい。対象領域F1の高度情報の取得方法については後述する。
【0136】
態様設定画面G2は、図14に示すように、第1設定部G21と、第2設定部G22と、経路表示部G23と、を含んでいる。第1設定部G21は、第1後進動作の許否を設定するためのユーザ(オペレータ)の操作を受け付けるオブジェクトである。図14では一例として、第1設定部G21は、許可ボタンG211及び禁止ボタンG212を有している。第2設定部G22は、第2後進動作の許否を設定するためのユーザの操作を受け付けるオブジェクトである。図14では一例として、第2設定部G22は、許可ボタンG221及び禁止ボタンG222を有している。経路表示部G23には、複数の作業経路r11を含む目標経路R1が表示される。
【0137】
第1設定部G21においては、許可ボタンG211の操作をもって、第1後進動作を許可するための操作を受け付け、禁止ボタンG212の操作をもって、第1後進動作を禁止するための操作を受け付ける。さらに、許可ボタンG211及び禁止ボタンG212のうち、選択中のオブジェクトが強調表示(一例として太枠表示)される。同様に、第2設定部G22においては、許可ボタンG221の操作をもって、第2後進動作を許可するための操作を受け付け、禁止ボタンG222の操作をもって、第2後進動作を禁止するための操作を受け付ける。さらに、許可ボタンG221及び禁止ボタンG222のうち、選択中のオブジェクトが強調表示(一例として太枠表示)される。
【0138】
ここで、経路表示部G23には、第1設定部G21及び第2設定部G22での設定値(第1後進動作の許否、及び第2後進動作の許否)を反映した目標経路R1が表示される。例えば、第1設定部G21の許可ボタンG211が操作されると、第1後進動作を許可した場合の目標経路R1が経路表示部G23に表示される。一方、第1設定部G21の禁止ボタンG212が操作されると、第1後進動作を禁止した場合の目標経路R1が経路表示部G23に表示される。このように、第1後進動作の許否の設定状態に応じて、対象領域F1における作業機械10の目標経路R1を提示する。ここで、目標経路R1の提示の態様としては、経路表示部G23等への表示に限らず、例えば、他装置(作業機械10を含む)への送信、印刷(プリントアウト)、非一時的記録媒体への書き込み、又は音声出力等であってもよい。
【0139】
このような態様設定画面G2に対するユーザ(オペレータ)の操作に応じて、態様設定処理部212は、移動態様(第1後進動作の許否、及び第2後進動作の許否)を設定する。しかも、移動態様の設定が即座に反映された目標経路R1が経路表示部G23に提示される。したがって、ユーザにおいては、態様設定画面G2で、設定値に基づいて生成される目標経路R1を確認しながら、移動態様(第1後進動作の許否、及び第2後進動作の許否)を設定することが可能である。
【0140】
ところで、経路生成処理部213は、上述したように少なくとも態様設定処理部212で設定される移動態様(第1後進動作の許否、及び第2後進動作の許否)に基づいて、目標経路R1を生成する。そのため、移動態様(第1後進動作の許否、及び第2後進動作の許否)は、基本的には目標経路R1に反映されることになる。
【0141】
一例として、本実施形態のように、作業機12が直装式のレーザレベラである場合、機体11の後進動作は許容されるので、第1後進動作は「許可」に設定される。そのため、例えば、第1パターン(図3参照)、第2パターン(図4参照)、第3パターン及び第4パターン(図6参照)のいずれの目標経路R1でも適用可能である。つまり、第1パターンの目標経路R1であれば、非作業経路r12の走行時に機体11が第1後進動作をすることになるところ、第1後進動作が「許可」に設定されていれば、当該目標経路R1についても適用可能となる。
【0142】
一方、例えば、作業機12が牽引式のレーザレベラ等である場合、機体11の後進動作は禁止されるので、第1後進動作は「禁止」に設定される。この場合には、例えば、第1パターン、第2パターン、第3パターン及び第4パターンのうち、第3パターン以外は適用不可となる。つまり、第1パターンの目標経路R1であれば、非作業経路r12の走行時に機体11が第1後進動作をすることになるところ、第1後進動作が「禁止」に設定されていれば、当該目標経路R1は適用不可となる。
【0143】
このようにして生成される目標経路R1の経路データが、端末装置20から作業機械10に送信されることで、作業機械10は、当該目標経路R1に沿って対象領域F1内を自動運転することができる。言い換えれば、作業機械10の制御方法は、第1後進動作の許否等の移動態様の設定状態に間接的に基づいて、対象領域F1内で作業機械10を移動させることになる。さらに、複数の目標経路R1の適用可能となる場合、これら複数の目標経路R1をユーザに提示(例えば表示)し、これら複数の目標経路R1の中から任意の目標経路R1をユーザに選択させてもよい。例えば、機体11の後進動作が許容(許可)される場合に、第1パターン、第2パターン、第3パターン及び第4パターンの全ての目標経路R1をユーザに提示し、その中から任意の目標経路R1をユーザが選択可能となる。
【0144】
すなわち、制御処理部131は、第1後進動作の許否の設定状態に基づいて、対象領域F1内で作業機械10を移動させる。その結果、作業機械10は、目標経路R1に従って自動運転を行う場合、第1後進動作の許否の設定状態に基づいて、少なくとも第1後進動作を行うか否かが変化する。
【0145】
このように、本実施形態に係る作業機械10の制御方法は、対象領域F1を移動しつつ、作業機12によって対象領域F1内で作業を行う作業機械10の制御方法であって、作業機械10を後方に移動させる第1後進動作の許否を設定することと、第1後進動作の許否の設定状態に基づいて、対象領域F1内で作業機械10を移動させることと、を有する。
【0146】
したがって、例えば、作業機12が機体11の後方に連結される牽引式の作業機である場合等において、走行経路において機体11を後進させることを回避でき、作業機12と機体11との連結部位が座屈したような格好となって作業機12の負荷が過大となることを回避できる。結果的に、作業機12の負荷が過大となることを回避しやすい作業機械10の制御方法を提供できる。
【0147】
さらに、本実施形態では、第1後進動作と第2後進動作とのそれぞれについて、許否を設定可能である。つまり、第1後進動作については禁止としつつも、旋回経路に含まれる第2後進動作については許可する、といった設定が可能である。したがって、例えば、図6に示す第3パターンの目標経路R1のように、第2後進動作する経路(第2経路r142,r152)を有する旋回経路r14,r15が含まれる目標経路R1を、適用可能となる。よって、作業機械10の目標経路R1の自由度が向上する。
【0148】
ここで、第1後進動作の設定状態に応じて、第2後進動作の選択肢が変化することが好ましい。この場合、例えば、態様設定画面G2において、第1設定部G21で第1後進動作が許可されているか禁止されているかによって、第2設定部G22での第2後進動作の選択肢が変化する。これにより、第2後進動作の許否の設定を、第1後進動作の許否の設定に連動させることができ、第1後進動作と第2後進動作との組み合わせについて、好ましい組み合わせを設定しやすくなる。
【0149】
具体的には、第1後進動作が禁止されている場合に、第2後進動作については許否を設定可能とすることが好ましい。例えば、態様設定画面G2において、第1設定部G21で禁止ボタンG212が操作された場合、第2設定部G22では許可ボタンG221及び禁止ボタンG222のいずれも操作(選択)可能な状態とする。これにより、例えば、作業機12が牽引式のレーザレベラ等である場合に、第1後進動作は「禁止」に設定しつつも、第2後進動作を許可することで、第3パターンの目標経路R1のような第2後進動作する経路を含む目標経路R1を、適用可能となる。
【0150】
また、第1後進動作が許可されている場合に、第2後進動作については許否を設定不可とすることが好ましい。例えば、態様設定画面G2において、第1設定部G21で許可ボタンG211が操作された場合、第2設定部G22では許可ボタンG221及び禁止ボタンG222のいずれも、非表示にする等の方法で、操作(選択)できない状態とする。この場合において、実際には、第2後進動作については「禁止」の設定に固定することが好ましい。これにより、例えば、第1後進動作及び第2後進動作の両方が許可に設定されることに起因して、生成すべき目標経路R1が発散するような事態を回避しやすくなる。
【0151】
また、第1後進動作が許可されている場合に、第2後進動作について許否を設定可能とするか否かを、別条件に基づいて決定することも好ましい。ここでいう「別条件」は、一例として、対象領域F1である圃場の形状若しくは大きさ、又は、作業機12若しくは作業の種類等である。例えば、対象領域F1である圃場の形状が、台形であるか、又は四角形以外の多角形であるような異形の場合、第1後進動作が許可されている場合でも、第2後進動作について許否を設定可能とする。反対に、対象領域F1である圃場の形状が異形でなければ、第1後進動作が許可されている場合でも、第2後進動作について許否を設定不可とする。これにより、別条件を加味して目標経路R1が生成されることになり、作業機械10の目標経路R1の自由度が向上する。
【0152】
ところで、本実施形態では、上述したように、第1後進動作の許否は、作業機12又は作業の種類に基づいて自動的に設定可能である。つまり、態様設定画面G2においてユーザが操作しなくとも、第1後進動作の許否等の移動態様が自動的に設定され得る。ここで、作業機12又は作業の種類の判定手段としては、例えば、ユーザが操作表示部23を操作して指定してもよいが、例えば、作業機械10において自動的に判別された結果が端末装置20に送信されてもよい。つまり、作業機12が機体11に装着されたときに、作業機12と機体11とが互いに通信することで、作業機12の種類等を自動的に判別可能であるので、当該判別結果が端末装置20に送信されてもよい。
【0153】
そして、このようにして自動的に設定される移動態様(第1後進動作の許否)は、例えば、態様設定画面G2の初期値(デフォルト値)として適用されてもよい。例えば、作業機12が牽引式である場合、自動的に第1後進動作が「禁止」に設定され、この状態で態様設定画面G2を表示すると、初期値として第1後進動作が「禁止」に設定される。ただし、この場合でも、ユーザが態様設定画面G2を操作して、第1後進動作を許可することは可能である。あるいは、ユーザによる変更が禁止された状態で、移動態様(第1後進動作の許否等)が自動的に設定されてもよい。また、第1後進動作が「禁止」に設定される作業の種類としては、例えば、代掻き作業等がある。
【0154】
[3.4]全体処理
次に、制御方法に係る処理の全体の流れについて、図15を参照して説明する。
【0155】
図15に示すように、制御システム1の回数設定処理部211は、回数設定画面G1を操作表示部23に表示させる(S1)。そして、回数設定処理部211は、回数設定画面G1においてユーザの操作に応じて作業回数の設定を行い、かつ作業回数の設定が完了した否かを判断する(S2)。例えば、回数設定画面G1の登録ボタンが操作されると、回数設定処理部211は、作業回数の設定が完了したと判断し(S2:Yes)、処理をステップS3に移行させる。作業回数の設定が完了していなければ(S2:No)、回数設定処理部211は、処理をステップS1に移行させる。
【0156】
ステップS3では、制御システム1の態様設定処理部212は、態様設定画面G2を操作表示部23に表示させる。そして、態様設定処理部212は、態様設定画面G2においてユーザの操作に応じて移動態様(第1後進動作の許否、第2後進動作の許否)の設定を行い、かつ移動態様の設定が完了した否かを判断する(S4)。例えば、態様設定画面G2の登録ボタンが操作されると、態様設定処理部212は、移動態様の設定が完了したと判断し(S4:Yes)、処理をステップS5に移行させる。移動態様の設定が完了していなければ(S4:No)、態様設定処理部212は、処理をステップS3に移行させる。
【0157】
ステップS5では、制御システム1の経路生成処理部213は、目標経路R1を生成する。ここで生成される目標経路R1には、少なくとも作業回数及び移動態様が反映される。そして、制御システム1の出力処理部215は、ユーザ(オペレータ)からの走行開始指示の有無を判断する(S6)。操作表示部23に対する特定の操作がされると、出力処理部215は、走行開始指示があった判断し(S6:Yes)、処理をステップS7に移行させる。走行開始指示がなければ(S6:No)、出力処理部215は、ステップS6の判断を継続する。
【0158】
ステップS7では、制御システム1の出力処理部215は、目標経路R1の経路データを、通信部24から作業機械10に送信することで出力する。経路データを受信した作業機械10の制御処理部131は、目標経路R1に従って作業機械10の自動運転制御を行う(S8)。
【0159】
制御システム1は、上記ステップS1~S8の処理を繰り返し実行する。ただし、図15に示すフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
【0160】
[3.5]圃場の合筆
次に、制御方法における圃場の合筆に係る機能について、図16及び図17を参照して説明する。複数の圃場を一つに統合する「合筆」が行われる際には、当該複数の圃場に関する圃場情報が更新されて合筆圃場(合筆された一つの圃場)に関する圃場情報が生成される。つまり、制御システム1としては、圃場情報を更新することをもって、圃場の合筆を行うことになる。ここで、圃場の合筆は、例えば、図16に示すような圃場合筆画面G3を制御システム1が操作表示部23に表示させた状態で、ユーザの手動操作によって行われる。具体的に、圃場合筆画面G3は、圃場表示部G31と、設定部G32と、を有している。圃場表示部G31には、合筆の候補となる複数の圃場に関する情報(例えば個々の圃場の形状を表すイメージ図等)が表示される。ユーザが、圃場表示部G31において合筆の対象とする複数の圃場を選択すると、選択中の圃場が強調表示(一例として太枠表示)される。複数の圃場が選択された状態で、ユーザが、設定部G32の登録ボタンG321を操作すると、選択中の複数の圃場が統合される。図16の例では、3つの圃場A,B,Cのうち圃場A,Bを選択中であるため、この状態で登録ボタンG321が操作されることにより、2つの圃場A,Bが統合されて一つの合筆圃場が生成される。また、制御システム1は、手動操作に代えて、例えば、隣接する2つの圃場間の畔を潰す作業等、複数の圃場を一つに統合するための「合筆作業」に係る情報を外部より取得し、当該情報に基づいて圃場情報を自動的に更新することで、圃場の合筆を実施してもよい。
【0161】
このようにして得られる合筆圃場においては、合筆対象とされた複数の圃場間の高低差に基づいて、均平作業が実施されることが好ましい。制御システム1は、例えば、合筆の対象とされた複数の圃場のそれぞれの高度情報から、これら複数の圃場における相対的な高低差を特定し、当該高低差に基づいて均平作業の要否を設定可能とする。一例として、制御システム1は、図17に示すような合筆圃場均平作業画面G4を操作表示部23に表示し、合筆圃場均平作業画面G4において、ユーザの手動操作に応じて均平作業の実施の要否を設定(決定)する。合筆圃場均平作業画面G4は、圃場表示部G41と、選択部G42と、を有している。圃場表示部G41には、合筆圃場について、合筆の対象とされた複数の圃場間の高低差に関する情報(例えば個々の圃場の平均高度を圃場ごとに可視化したイメージ図等)が表示される。具体的に、当該複数の圃場間の所定値以上の高低差の有無、及び高低差がある場合の高低差の大きさ等が、圃場表示部G41に表示される。ユーザは、圃場表示部G41で高低差を確認し、当該合筆圃場を対象領域F1として均平作業を実施する場合には、選択部G42で「はい」ボタンG421を操作する。これにより、制御システム1は、当該合筆圃場について均平作業における目標経路R1を自動的に生成する。ここで、制御システム1は、合筆対象の複数の圃場間の高低差に基づいて、目標経路R1を生成することが好ましい。一例として、図17では、圃場Aが圃場Bよりも「高い」場合を想定しているため、制御システム1は、相対的に「高い」圃場Aから相対的に「低い」圃場Bに向けて作業機械10が作業経路r11を走行するように、目標経路R1を生成する。ただし、合筆対象の複数の圃場間の高低差に基づいて、目標経路R1が生成されることは必須ではない。また、制御システム1は、手動操作に代えて、例えば、合筆対象の複数の圃場間の高低差に基づいて、均平作業の実施の要否を自動的に決定してもよい。
【0162】
[3.6]高低差の付与
次に、制御方法における圃場に対する高低差の付与に係る機能について、図18を参照して説明する。圃場によっては、圃場における配水の方向に応じて、又はユーザの意思により、地表面を斜めに均す傾斜均平によって圃場に意図的に高低差を付与する場合がある。一例として、制御システム1は、図18に示すような高低差設定画面G5を操作表示部23に表示し、高低差設定画面G5において、ユーザの手動操作に応じて対象領域F1たる圃場の高低差を設定する。高低差設定画面G5は、圃場表示部G51と、設定部G52と、一括均平ボタンG53と、を有している。ユーザは、高低差設定画面G5の圃場表示部G51において、高低差を設定する領域を、領域の外周線をなぞるスライド操作、又は3点以上の指定点を指定(タッチ)して当該指定点同士を結ぶ外形線を設定する操作等によって選択する。その上で、ユーザは、設定部G52のカーソルG521を操作することで、選択された領域の高度を高くし、設定部G52のカーソルG522を操作することで、選択された領域の高度を低くする。図18の例では、配水溝Aから圃場に水を呼び込み、配水溝Bへと排水する場合を想定し、圃場のうち配水溝A側を相対的に高く、配水溝B側を相対的に低くするように、圃場に対して高低差を付与する。この場合、制御システム1は、相対的に「低い」配水溝Bから相対的に「高い」配水溝A側に向けて作業機械10が作業経路r11を走行するように、目標経路R1を生成する。また、一括均平ボタンG53が操作されると、圃場表示部G51に表示されている圃場の全領域について、高低差を一括して「0」にする(つまり高低差無しとする)一括均平処理が実行される。これにより、高低差設定画面G5上で付与された高低差についても、一括してキャンセルすることが可能である。
【0163】
また、ユーザの意思により高低差を付与する場合には、例えば、圃場の中央部を外周部よりも高く若しくは低くする、又は、圃場の角部を中央部よりも高く若しくは低くする等、圃場の任意の位置に局所的に高低差を付与するケースもある。このようなケースにあっては、圃場のうち相対的に高くするべき箇所に土を集めたり、相対的に低くするべき箇所から土を除けたりすることができるよう、制御システム1は、均平作業の目標経路R1を生成することが好ましい。さらに、例えば、圃場全体を均平にした後、植付けから収穫までの一連の作業の中で、圃場に水を張る際の水の流れ等に起因して圃場の一部が低くなるような傾向がある場合に、当該一部を予め高くしておく等、圃場の傾向に応じて高低差が付されてもよい。
【0164】
さらに、圃場に付与された高低差に関する設定情報が、当該圃場と対応付けて記憶されてもよい。この場合、例えば、ある圃場に対応付けて記憶されている設定情報に基づいて、当該圃場に対する高低差の初期値(デフォルト値)を自動的に設定可能となる。これにより、同一の圃場に対する将来の均平作業時に、高低差を付与し直すことなく、設定済みの高低差を利用することが可能である。
【0165】
[3.7]その他の機能
次に、制御方法のその他の機能について、図19を参照して説明する。
【0166】
すなわち、対象領域F1としての圃場に高低差がある場合、作業機械10による均平作業は、高い領域から低い領域に向けて行うことが好ましい。例えば、図19の上段に示すように、第1辺f11及び第4辺f14の間の角部と、第2辺f12及び第3辺f13の間の角部とを結ぶ対角線にて対象領域F1を二分した際に、第1辺f11側の領域が相対的に高いと仮定する。この場合、経路生成処理部213は、例えば、図19の下段に示すように、対象領域F1の高い領域から低い領域に向けて作業経路r11が生成されるように、第1辺f11に対して傾斜した作業経路r11を含む目標経路R1を生成する。
【0167】
このように、対象領域F1の高低差に応じて、作業機械10の作業方向(作業経路r11の方向)が決定されることで、高低差がある対象領域F1に対する均平作業を効率的に行いやすくなる。特に、対象領域F1の勾配方向に沿って、作業経路r11の方向が設定されることがより好ましい。つまり、作業機械10による作業方向が、対象領域F1の勾配方向に近づくほど、均平作業の効率化を図りやすくなる。
【0168】
ここで、対象領域F1の勾配方向が一様でない場合には、対象領域F1の場所ごとに、作業方向を変更させることがよく、部分的に作業方向が反転してもよい。例えば、対象領域F1の外周部と中央部とで高低差がある場合には、中央部から外周部に向けて、又は外周部から中央部に向けて、作業経路r11が生成されることが好ましい。さらに、作業経路r11の走行順序等についても、対象領域F1の高低差に応じて決定されてもよい。
【0169】
また、対象領域F1の高低差が大きいほど、例えば、作業回数を多く設定することが好ましい。これにより、1回の作業における作業機12への負荷を小さく抑えることが可能である。この場合においても、作業経路r11ごとに作業回数が設定されてもよい。
【0170】
ここで、対象領域F1の高低差は、例えば、当該対象領域F1に対して、直前に別の作業を行った作業機械の走行履歴、又は、(均平)作業の開始前に作業機械10を非作業状態で走行させた際の走行履歴等から特定することが可能である。つまり、当該作業機械が対象領域F1を走行した際の、当該作業機械の各位置での高度情報を記録することで、当該高度情報から対象領域F1の高低差を取得可能である。ただし、対象領域F1の高低差の特定方法は、これに限らず、例えば、ドローン等で上空から三次元計測することや、ユーザが目視又は計測器を使用して、対象領域F1の高低差を特定してもよい。
【0171】
また、本実施形態に係る制御方法の更に他の機能として、作業機12にかかる負荷の大きさに応じて作業機12の高さを自動的に調節する機能を有している。具体的には、作業機械10の走行時において、作業機12にかかる負荷の大きさが大きくなるほど、作業機12の高さを上昇させることが好ましい。これにより、作業機12が深く掘り込むことで作業機12の負荷が過大となることを回避して、特に1回目の均平作業においては作業機12を浅めの位置に制御することができる。結果的に、作業回数は増えるものの、作業機12に過大な負荷がかかることを回避しやすくなる。
【0172】
[4]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0173】
本開示における制御システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラム(作業機械用制御プログラム)をプロセッサが実行することによって、本開示における制御システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御システム1に含まれる一部又は全部の機能部は電子回路で構成されていてもよい。
【0174】
また、制御システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは制御システム1に必須の構成ではなく、制御システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。反対に、実施形態1において、複数の装置(例えば制御装置13及び端末装置20)に分散されている機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。さらに、制御システム1の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0175】
また、端末装置20は、タブレット端末、スマートフォン又はラップトップコンピュータ等の汎用端末に限らず、専用端末で構成されていてもよい。さらに、1台の作業機械10に対して複数台の端末装置20が対応付けられていてもよい、この場合、複数台の端末装置20にて1台の作業機械10を制御可能である。反対に、複数台の作業機械10に対して1台の端末装置20が対応付けられていてもよく、この場合、1台の端末装置20にて複数台の作業機械10を制御可能である。
【0176】
また、上述した目標経路R1はいずれも一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、第1パターンの目標経路R1として、図3のような非作業経路r12に代えて、図20に示すような非作業経路r12が適用されてもよい。図20においては、非作業経路r12は、隣接する一対の作業経路r11のうち、第1辺f11側となる一の作業経路r11の終端から、第2辺f12側となる他の作業経路r11の始端に向けて延びる、非直線状の経路である。このような非作業経路r12を適用すれば、一対の作業経路r11間における作業機械10の移動に要する時間の短縮を図ることができ、作業効率の向上につながる。同様に、作業経路r11についても、例えば、非直線状の経路等であってもよい。
【0177】
また、作業機械10の作業方向(作業経路r11の方向)、及び/又は、作業経路r11の走行順序等については、対象領域F1の高低差に応じて自動的に設定されることは必須でなく、ユーザが任意に設定できてもよい。さらに、対象領域F1の高低差に応じて自動的に設定される作業機械10の作業方向等が、例えば、ユーザの操作を受け付ける経路設定画面等において、推奨値又は選択肢として適用されてもよい。この場合、例えば、作業経路r11の方向の推奨値として、対象領域F1の勾配方向に平行な方向が設定されても、ユーザの操作により、作業経路r11の方向を対象領域F1の勾配方向と直交する方向に変更すること等が可能である。
【0178】
(実施形態2)
本実施形態に係る作業機械10の制御方法は、作業機12が牽引式のレーザレベラである点で、実施形態1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0179】
本実施形態に係る作業機械10の制御方法では、第1後進動作が「禁止」に設定されるため、経路生成処理部213は、例えば、図21に示すように、第1後進動作を含まない目標経路R1を生成する。図21に例示する目標経路R1は、複数の作業経路r11と、複数の接続経路r17と、を含んでいる。複数の作業経路r11のうち、対象領域F1の中心と第1辺f11との間に位置する作業経路r11は、第3辺f13から第4辺f14に向けて作業機械10を前進動作させる直線状の経路である。複数の作業経路r11のうち、対象領域F1の中心と第2辺f12との間に位置する作業経路r11は、第4辺f14から第3辺f13に向けて作業機械10を前進動作させる直線状の経路である。そして、複数の接続経路r17は、作業経路r11同士を接続する経路であって、第3辺f13又は第4辺f14に沿って延びる経路である。
【0180】
複数の接続経路r17は、いずれも作業機械10が作業機12での作業を行わずに前進動作を行う経路である。ここで、第3辺f13側の接続経路r17は、第2辺f12から第1辺f11に向けて作業機械10を前進動作させ、第4辺f14側の接続経路r17は、第1辺f11から第2辺f12に向けて作業機械10を前進動作させる。すなわち、作業機械10は、図21に示す目標経路R1に沿って自動運転を行うことで、対象領域F1を旋回(図21の例では時計回り方向に旋回)しながら移動することになる。接続経路r17の走行(移動)中には作業機械10は作業機12での作業を行わないため、接続経路r17は非作業経路の一種である。
【0181】
また、図21に例示するような目標経路R1であっても、作業機械10が作業を行いながら移動するための作業経路r11を、作業を行う作業回ごとに設定可能である。例えば、図22では、2回目の作業における作業経路r11を、1回目の作業における作業経路r11に対して交差(ここでは直交)させた例を示す。図22では、全体モードにおける2回目(2巡目)の作業に係る目標経路R1を表しており、1回目の作業経路r11を想像線(二点鎖線)で示す。このように、作業回ごとに、例えば、第1辺f11に対する角度等が異なる作業経路r11が設定されることで、対象領域F1に対して作業のむらが生じにくくなる。
【0182】
また、図21及び図22の例では、対象領域F1の全体に対して一筆書きのように設定される一連の渦巻状の目標経路R1が生成されているが、この例に限らない。例えば、対象領域F1である圃場の大きさ若しくは形状、又は均平作業が必要な範囲等によっては、制御システム1は、対象領域F1を複数のブロックに区分し、ブロックごとに渦巻状の目標経路R1を生成してもよい。
【0183】
実施形態2の構成は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0184】
〔発明の付記〕
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0185】
<付記1>
対象領域を移動しつつ、作業機によって前記対象領域内で作業を行う作業機械の制御方法であって、
前記作業機械を後方に移動させる第1後進動作の許否を設定することと、
前記第1後進動作の許否の設定状態に基づいて、前記対象領域内で前記作業機械を移動させることと、を有する、
作業機械の制御方法。
【0186】
<付記2>
前記作業機械は、前記第1後進動作とは別に、旋回経路に含まれる第2後進動作を実施可能である、
付記1に記載の作業機械の制御方法。
【0187】
<付記3>
前記第1後進動作と前記第2後進動作とのそれぞれについて、前記許否を設定可能である、
付記2に記載の作業機械の制御方法。
【0188】
<付記4>
前記第1後進動作の設定状態に応じて、前記第2後進動作の選択肢が変化する、
付記3に記載の作業機械の制御方法。
【0189】
<付記5>
前記第1後進動作が禁止されている場合に、前記第2後進動作については許否を設定可能とする、
付記4に記載の作業機械の制御方法。
【0190】
<付記6>
前記第1後進動作が許可されている場合に、前記第2後進動作については許否を設定不可とする、
付記4又は5に記載の作業機械の制御方法。
【0191】
<付記7>
前記第1後進動作が許可されている場合に、前記第2後進動作について許否を設定可能とするか否かを、別条件に基づいて決定する、
付記4又は5に記載の作業機械の制御方法。
【0192】
<付記8>
前記第1後進動作の許否の設定状態に応じて、前記対象領域における前記作業機械の目標経路を提示する、
付記1~7のいずれかに記載の作業機械の制御方法。
【0193】
<付記9>
前記第1後進動作の許否は、前記作業機又は作業の種類に基づいて設定される、
付記1~8のいずれかに記載の作業機械の制御方法。
【0194】
<付記10>
前記作業機が牽引式である場合に、前記第1後進動作を禁止する、
付記9に記載の作業機械の制御方法。
【0195】
<付記11>
付記1~10のいずれかに記載の作業機械の制御方法を、
1以上のプロセッサに実行させるための作業機械用制御プログラム。
【符号の説明】
【0196】
1 作業機械用制御システム
10 作業機械
11 機体
12 作業機
100 作業システム
131 制御処理部
212 態様設定処理部
F1 対象領域
R1 目標経路
r13,r14,r15 旋回経路
図1
図2
図3
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