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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107793
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】液晶パネル
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
G02F1/1335 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011898
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幸生
(72)【発明者】
【氏名】本保 すみれ
【テーマコード(参考)】
2H291
【Fターム(参考)】
2H291FA02Y
2H291FA14Y
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA46Y
2H291FB02
2H291HA05
2H291HA15
2H291LA25
(57)【要約】
【課題】視野角特性が良好であり、表示画像のぼやけを抑制することができる液晶パネルを提供する。
【解決手段】複数の画素を含む表示領域を有し、カラーフィルタ基板と、液晶層と、対向基板とをこの順に備える液晶パネルであって、上記カラーフィルタ基板は、支持基板と、光散乱粒子を含む複数の光散乱層と、上記複数の光散乱層を区分するブラックマトリクスとを有し、上記複数の光散乱層は、上記支持基板よりも上記液晶層側に配置され、かつ上記複数の画素毎に配置される液晶パネル。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を含む表示領域を有し、カラーフィルタ基板と、液晶層と、対向基板とをこの順に備える液晶パネルであって、
前記カラーフィルタ基板は、支持基板と、光散乱粒子を含む複数の光散乱層と、前記複数の光散乱層を区分するブラックマトリクスとを有し、
前記複数の光散乱層は、前記支持基板よりも前記液晶層側に配置され、かつ前記複数の画素毎に配置されることを特徴とする液晶パネル。
【請求項2】
前記カラーフィルタ基板は、更に、前記ブラックマトリクスに区分された複数のカラーフィルタを含むカラーフィルタ層を有し、
前記複数の光散乱層は、それぞれ、前記複数のカラーフィルタのいずれか一つと、前記支持基板との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項3】
前記複数の光散乱層は、更に着色材を含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項4】
前記光散乱粒子は、三次元空間における最短寸法に対する最長寸法の比が1.0以上、1.1以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶パネル。
【請求項5】
前記ブラックマトリクスは、前記支持基板と接することを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶パネル。
【請求項6】
前記複数の光散乱層は、それぞれ、前記複数のカラーフィルタのいずれか一つと接することを特徴とする請求項2に記載の液晶パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、液晶パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、表示のために液晶組成物を利用する表示装置であり、その代表的な表示方式は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を備えるTFT基板と、TFT基板に対向して配置される対向基板と、TFT基板及び対向基板間に封入された液晶層とを有する液晶パネルに対してバックライトから光を照射し、液晶層に含まれる液晶分子に対して電圧を印加して液晶分子の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御するものである。
【0003】
液晶表示装置では、光散乱層(光散乱膜)を配置し、表示画面の明るさを向上させたり、視野角特性を向上させたりすることが検討されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0004】
特許文献1には、集光型のバックライトと、前記バックライトからの光が入射する第1直線偏光子および前記光が出射する第2直線偏光子を有する液晶パネルと、前記第2直線偏光子と対向する光散乱膜と、前記光散乱膜と対向する第3直線偏光子とを備え、前記光散乱膜は、有機高分子化合物および該有機高分子化合物に含有された光散乱粒子を含む機能層を備え、前記第3直線偏光子は、前記第2直線偏光子の偏光軸の向きと同じ向きの偏光軸を有する液晶表示装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、透明基板と、この透明基板上の各絵素部に対応する部位に各々設けられ各絵素部を透過する透過光をそれぞれ対応する色に着色させる複数のカラーフィルタ層を備える液晶表示装置用カラーフィルタ基板において、上記透明基板における絵素間部に対応する部位に、この部位を透過する透過光を散乱させる光散乱層を設けた液晶表示装置用カラーフィルタ基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2020/196897号
【特許文献2】特開平07-270771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光散乱層を配置することで透過率や視野角特性を改善できる一方で、光散乱層が外光を反射し、コントラストが低下することがあった。また、本発明者らの検討によると、カラーフィルタ層と光散乱層との距離が離れていると、表示画像がぼやけて見えることがあった。
【0008】
上記特許文献1では、液晶パネルの外側に光散乱膜を配置し、更に第3直線偏光子を配置することで、視野角を広げながら、外光の戻りを抑制して外光反射を抑制している。しかしながら、液晶表示装置の厚みや重量が増加する、液晶パネルの反りが発生する等の問題が考えられる。また、表示画像がぼやけるという課題は残ったままである。
【0009】
特許文献1のように、液晶パネルの外側に光散乱膜を配置すると表示画像がぼやけて視認される理由について、以下に図3を用いて説明する。図3は、比較形態に係る液晶パネルの一例を示した断面模式図である。図3では、比較形態に係る液晶パネル1000として、観察者側から、偏光板1053、光散乱層1022、偏光板1051、カラーフィルタ基板1020、液晶層1030、対向基板1040、偏光板1052をこの順に有する場合を例示した。カラーフィルタ基板1020は、支持基板1021上にブラックマトリクス1023とカラーフィルタ層1024と第一電極1025とを有してもよい。対向基板1040は、支持基板1041上に第二電極(画素電極)1042を有してもよい。
【0010】
カラーフィルタ基板1020を観察者側に配置した場合、対向基板1040側から液晶パネル1000に入射され各カラーフィルタ1024R、G及びBを透過した光は、コリメート光ではないため、光散乱層1022へ到達するまでに各カラーフィルタ1024R、1024G及び1024Bの配置領域よりも広がって光散乱層1022に入射される。更に、上記入射光は、光散乱層1022中の光散乱粒子1001に当たって散乱することで、更に広がって観察者側に出射される。図3に示したように、比較形態に係る液晶パネル1000は、カラーフィルタ層1024と光散乱層1022との間に、支持基板1021及び偏光板1051を有し、カラーフィルタ層1024と光散乱層1022との間が遠いため、光散乱層1022から観察者側に出射される光はより広がり、実際のカラーフィルタ1024R、1024G及び1024Bの範囲よりも広がって見え、観察者からは表示画像がぼやけて視認される。
【0011】
特許文献2では、絵素間部に対応する部位に光散乱層を設け、絵素間部に入射された光線の一部をカラーフィルタ層に入射させて画面表示に利用することで、表示画面の明るさを向上させている。しかしながら、表示光が透過する絵素部に光散乱層が配置されていないことから、絵素部で入射光が充分に広がらず、視野角特性を向上させるには更なる検討の余地があった。
【0012】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、視野角特性が良好であり、表示画像のぼやけを抑制することができる液晶パネルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明の一実施形態は、複数の画素を含む表示領域を有し、カラーフィルタ基板と、液晶層と、対向基板とをこの順に備える液晶パネルであって、上記カラーフィルタ基板は、支持基板と、光散乱粒子を含む複数の光散乱層と、上記複数の光散乱層を区分するブラックマトリクスとを有し、上記複数の光散乱層は、上記支持基板よりも上記液晶層側に配置され、かつ上記複数の画素毎に配置される液晶パネル。
【0014】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記カラーフィルタ基板は、更に、上記ブラックマトリクスに区分された複数のカラーフィルタを含むカラーフィルタ層を有し、上記複数の光散乱層は、それぞれ、上記複数のカラーフィルタのいずれか一つと、上記支持基板との間に配置される液晶パネル。
【0015】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は(2)の構成に加え、上記複数の光散乱層は、更に着色材を含む液晶パネル。
【0016】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)~(3)のいずれかの構成に加え、上記光散乱粒子は、三次元空間における最短寸法に対する最長寸法の比が1.0以上、1.1以下である液晶パネル。
【0017】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)~(4)のいずれかの構成に加え、上記ブラックマトリクスは、上記支持基板と接する液晶パネル。
【0018】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(2)の構成に加え、上記複数の光散乱層は、それぞれ、上記複数のカラーフィルタのいずれか一つと接する液晶パネル。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、視野角特性が良好であり、表示画像のぼやけを抑制することができる液晶パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係る液晶パネルの一例を示した断面模式図である。
図2】実施形態2に係る液晶パネルの一例を示した断面模式図である。
図3】比較形態に係る液晶パネルの一例を示した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。なお、以下の説明において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して適宜用い、その繰り返しの説明は適宜省略する。本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【0022】
本明細書中、観察者側とは、対象となる部材を観察者に対向して配置した状態において、対象となる部材に対して観察者により近い側を意味し、背面側とは、対象となる部材に対して観察者からより遠い側を意味する。例えば、液晶パネルの観察者側とは、液晶パネルの表示面に対してより観察者に近い側を意味し、背面側とは、液晶パネルの表示面に対して観察者からより遠い側を意味する。
【0023】
(実施形態1)
実施形態1に係る液晶パネルは、複数の画素を含む表示領域を有し、カラーフィルタ基板と、液晶層と、対向基板とをこの順に備える液晶パネルであって、上記カラーフィルタ基板は、支持基板と、光散乱粒子を含む複数の光散乱層と、上記複数の光散乱層を区分するブラックマトリクスとを有し、上記複数の光散乱層は、上記支持基板よりも上記液晶層側に配置され、かつ上記複数の画素毎に配置される。また、上記カラーフィルタ基板は、更に、上記ブラックマトリクスに区分された複数のカラーフィルタを含むカラーフィルタ層を有し、上記複数の光散乱層は、それぞれ、上記複数のカラーフィルタのいずれか一つと、上記支持基板との間に配置される。
【0024】
以下に図1を用いて、実施形態1に係る液晶パネルについて説明する。図1は、実施形態1に係る液晶パネルの一例を示した断面模式図である。図1に示したように、実施形態1に係る液晶パネル100Aは、複数の画素10を含む表示領域を有し、カラーフィルタ基板20と、液晶層30と、対向基板40とをこの順に備える。
【0025】
実施形態1では、カラーフィルタ基板20は、支持基板21と、複数の光散乱層22と、ブラックマトリクス23とを有し、更に、ブラックマトリクス23に区分された複数のカラーフィルタを含むカラーフィルタ層24を有する。カラーフィルタ基板20は観察者側に配置され、対向基板40は背面側に配置されることが好ましい。カラーフィルタ基板20は、観察者側から、支持基板21、光散乱層22、カラーフィルタ層24の順に積層されることが好ましい。
【0026】
支持基板21、後述する支持基板41は、光透過性の基材であれば特に限定されず、例えば、ガラス、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0027】
複数の光散乱層22は、入射された光を散乱させる層であり、光散乱粒子1を含む。複数の光散乱層22は、支持基板21よりも液晶層30側に配置されている。すなわち、液晶パネル100Aは、光散乱層22がカラーフィルタ基板20の内部に配置されるインセルパネルである。カラーフィルタ基板20を観察者側に配置した場合、画像を表示するための光は、対向基板40側から液晶パネル100Aに入射される。対向基板40、液晶層30及びカラーフィルタ層24を透過した光は、光散乱層22に入射され、光散乱層22中の光散乱粒子1に当たって散乱することで更に広がって観察者側に出射される。光散乱層22を配置することで、光の出射方向を広げることができ、視野角特性を向上させることができる。また、光散乱層22がカラーフィルタ基板20に含まれるインセルパネルとすることで、カラーフィルタ層24と光散乱層22との距離を近づけることができ、特許文献1のように液晶パネルの外側に光散乱膜が配置される構成よりも、表示画像のぼやけを抑制することができる。
【0028】
複数の光散乱層22は、複数の画素毎に配置される。液晶パネル100Aの背面側から入射された光は、各画素を透過する際に画素毎に配置された光散乱層22で散乱され、観察者側に出射されるため、視野角が拡大し、視野角特性を改善できる。実施形態1では、複数の光散乱層22は、それぞれ、複数のカラーフィルタのいずれか一つと、支持基板21との間に配置される。光散乱層22を各カラーフィルタと支持基板21との間に配置することで、散乱光が隣接するカラーフィルタに入射することを抑制し、液晶パネル100Aを斜め方向から見た場合でも、隣接するカラーフィルタを透過した光の色が混ざらず、色変化を抑制でき、色視野角を拡大できる。
【0029】
複数の光散乱層22は、それぞれ、複数のカラーフィルタのいずれか一つと接することが好ましい。光散乱層22とカラーフィルタとが接することで、より表示画像のぼやけを抑制することができる。
【0030】
光散乱層22は、光散乱粒子1がバインダー樹脂中に分散されていることが好ましい。光散乱層22の散乱強度は、光散乱粒子1の屈折率と上記バインダー樹脂の屈折率との差、光散乱粒子1の粒子径、光散乱層22に含まれる光散乱粒子1の体積濃度、光散乱層22の厚み等により調整することができる。
【0031】
光散乱粒子1は樹脂からなる粒子であることが好ましい。上記光散乱粒子1を構成する樹脂は、熱硬化樹脂であることが好ましく、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等、及びこれらの樹脂の架橋物、縮合物等が挙げられる。光散乱粒子1の屈折率は、例えば、1.5~1.7であってよい。上記屈折率は、島津製作所製の精密分光計「GMR-1D」を用いて、最小偏角法で測定することができる。
【0032】
光散乱粒子1は球状であることが好ましく、真球に近い形状であることがより好ましい。光散乱粒子1は、三次元空間における最短寸法に対する最長寸法の比(最長寸法/最短寸法)が1.0以上、1.1以下であることが好ましい。カラーフィルタ基板20側の偏光板51と対向基板40側の偏光板52との間に光散乱層22を配置すると、偏光板52を透過した直線偏光が光散乱層22で散乱されて偏光状態が変化し、偏光解消が起こり、コントラストが低下する等、表示品位が低下することがあるが、三次元空間における最短寸法に対する最長寸法の比を上記範囲とすることで、偏光解消を抑制しつつ、視野角を拡大し、外光反射を抑制することができる。三次元空間における最短寸法に対する最長寸法の比は、1.0以上、1.05以下であることがより好ましい。上記三次元空間における最長寸法、最短寸法は、それぞれ、光散乱粒子を三次元測定し光散乱粒子の最大径、最小径をいう。
【0033】
光散乱粒子の最長寸法及び最短寸法は、以下の方法により測定される。まず、顕微鏡を用いて、暗視野において散乱膜の表面(受光面又は出光面)の法線方向から散乱膜(の内部)を撮像した後、撮像画像をパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)に格納する。この際、撮像画像中には、実際のスケールも併せて保存される。次に、PCにインストールされたソフトウェア(マイクロソフト社のPOWERPOINT(登録商標)等)を用いて、撮像画像における粒子の外縁をトレースする。トレースした粒子領域が重なっている場合は、各粒子領域の位置をずらすことによって、重なりが解消されたオブジェクトを得る。次に、画像解析ソフトウェア(米国国立衛生研究所により公開されたImageJ等)に上記したオブジェクトを含む電子ファイルを読み込むことによって、光散乱粒子の最大寸法及び最小寸法が出力される。
【0034】
光散乱粒子1の平均粒子径は、0.5m以上、5μm以下であってもよく、1μm以上、3μm以下であってもよい。上記光散乱粒子の平均粒子径(体積%)は、例えば、BECKMAN COULTER製の精密粒度分布測定装置「Multisizer 4e」等を用いて、コールター法で測定することができる。
【0035】
光散乱粒子1の具体例としては、日本触媒社製の「エポスター(登録商標)S12」(メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、平均粒子径:1.2μm、屈折率:1.66)等が挙げられる。
【0036】
光散乱層22に用いられるバインダー樹脂は、光散乱粒子1との屈折率差があれば特に限定されないが、透明性が高く、粒子分散性に優れた樹脂が好ましい。光散乱層22の散乱度を向上させる観点からは、光散乱粒子1の屈折率と上記バインダー樹脂の屈折率の差が大きい方が好ましい。上記バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。
【0037】
光散乱粒子1の屈折率と上記バインダー樹脂の屈折率との差は、例えば、0.17以上、0.3以下であってもよく、0.2以上であってもよい。
【0038】
カラーフィルタ層24は、複数のカラーフィルタを含む。カラーフィルタ層24は、異なる色のカラーフィルタを含んでもよい。カラーフィルタ層24は、例えば、赤色のカラーフィルタ24R、緑色のカラーフィルタ24G、青色のカラーフィルタ24Bを含んでもよく、更に他の色のカラーフィルタを含んでもよい。対向基板40側から入射された光は、液晶層30、カラーフィルタ層24、光散乱層22を透過し、観察者側に透過することで、所望の色に着色され、視野角を広げつつカラー表示を行うことができる。
【0039】
異なる色のカラーフィルタの色の配置は特に限定されないが、例えば、液晶パネル100Aの行方向及び列方向のいずれか一方の方向に沿って、異なる色のカラーフィルタが配置され、行方向及び列方向の他方の方向に沿って、同じ色のカラーフィルタが配置されるストライプ配置であってもよい。
【0040】
複数のカラーフィルタは、ブラックマトリクス23により区分されている。また、複数の光散乱層22もブラックマトリクス23により区分されている。図1に示したように、実施形態1においては、光散乱層22とカラーフィルタとの積層体が、ブラックマトリクス23により画素毎に区分されていることが好ましい。光散乱層22とカラーフィルタとの積層体は、画素毎にブラックマトリクス23に囲まれていてもよい。また、少なくとも異なる色のカラーフィルタ間にブラックマトリクス23が配置されていればよく、例えば、複数のカラーフィルタが上述のストライプ配置で配置される場合は、ブラックマトリクス23は、液晶パネル100Aの行方向及び列方向の少なくとも一方向に沿って配置されてもよいし、行方向及び列方向に沿って配置されてもよい。
【0041】
赤色、緑色及び青色のカラーフィルタ24R、24G、24Bは、それぞれ、バインダー樹脂中に、赤色、緑色及び青色の着色材が含まれるものであってもよい。上記カラーフィルタに用いるバインダー樹脂は、液晶パネルの分野で通常用いられるものを用いることができ、例えば、光散乱層22で用いられるものと同様のものを用いることができる。
【0042】
上記赤色、緑色及び青色の着色材は、顔料でも染料であってもよく、液晶パネルの分野で通常用いられるものを用いることができる。本明細書中、溶媒に溶けるものを染料、溶けないものを顔料という。赤色顔料としては、アゾ顔料、ジケトピロロピロール系、アントラキノン系、キノフタロン系、イソインドリン系、ペリノン系、ペリレン系、ベンズイミダゾロン系顔料等を用いることができる。青色顔料としては、アルミニウムフタロシアニン顔料等を用いることができる。緑色顔料としては、亜鉛フタロシアニン顔料等を用いることができる。
【0043】
染料としては、アゾ系染料、アゾ金属錯体系染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、フタロシアニン系染料、メチン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、カチオン系染料、シアニン系染料、ニトロ系染料、キノリン系染料、ナフトキノン系染料、オキサジン系染料、ペリレン系染料、ジケトピロロピロール系染料、キナクリドン系染料、アンサンスロン系染料、イソインドリノン系染料、イソインドリン系染料、インダンスロン系染料、クマリン系染料、キナクリドン系染料、ピランスロン系染料、フラバンスロン系染料、ペリノン系染料等が挙げられる。
【0044】
ブラックマトリクス23は遮光性の部材である。ブラックマトリクス23としては、バインダー樹脂中に黒色の着色材が添加されたものであってもよい。黒色の着色材としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料等が挙げられる。ブラックマトリクス23に用いられるバインダー樹脂は、液晶パネルの分野で通常用いられるものを用いることができ、例えば、光散乱層22で用いられるものと同様のものを用いることができる。
【0045】
ブラックマトリクス23は、支持基板21と接することが好ましい。すなわち、光散乱層22を支持基板21の全面に形成するのでなく、ブラックマトリクス23と支持基板21との間に光散乱層22が配置されず、カラーフィルタ24R、24G、24Bと支持基板21の間に光散乱層22が配置されることが好ましい。このような構成とすることで、カラーフィルタ層24の厚みを増加させることなく、ブラックマトリクス23の厚みを厚くすることができる。ブラックマトリクス23の全体が支持基板21と接することがより好ましい。
【0046】
ここで、液晶パネルの黒表示時にバックライトが点灯していると、観察者側に光の一部が透過する光漏れが観察されることがある。上記光漏れは、ブラックマトリクス23の厚みを厚くすることで低減することができる。また、ブラックマトリクス23の厚みを厚くすることで外光反射も抑制することができる。光漏れや外光反射を抑制する観点からは、ブラックマトリクス23の厚みを厚くすることが好ましいものの、ブラックマトリクス23を厚くすると、ブラックマトリクス23とカラーフィルタ層24の重なり部の段差が大きくなることで、表示品位が悪化することがある。そのため、表示品位を保つ観点から、カラーフィルタ基板20の液晶層30側の表面はできるだけ平坦にし、ブラックマトリクス23と各カラーフィルタとの重なり部分の段差を小さくすることが望ましい。一方で、カラーフィルタ層24の厚みを厚くすると、液晶パネルの輝度の低下や、着色材の濃度調整等のカラーフィルタ材料の仕様変更によるコストアップ等が考えられる。上述のように、光散乱層22をブラックマトリクス23と支持基板21との間に配置せず、カラーフィルタ24R、24G、24Bと支持基板21の間に光散乱層22を配置することで、カラーフィルタの厚みを増加させることなく、光散乱層22の厚み分だけブラックマトリクス23の厚みを厚くすることができ、光漏れを抑制して黒表示時の表示品位を向上させ、また、外光反射を抑制することができる。
【0047】
上記ブラックマトリクスの厚みは、例えば、2μm以上、10μm以下であってもよい。上記範囲とすることで、効果的に黒表示時の光漏れ、外光反射を抑制することができる。
【0048】
カラーフィルタ基板20は、更に、第一電極25を有してもよい。第一電極25は、後述する第二電極(画素電極)42と液晶層30を挟んで対向して配置される電極であり、第一電極25と第二電極42との間に電圧を印加することで、液晶層中に電界を発生させ、液晶分子の配向を制御することができる。液晶パネル100Aは、電圧無印加状態で黒表示となるノーマリーブラックであってもよい。上記電圧無印加状態は、液晶分子の閾値未満の電圧が印加される場合も含む。
【0049】
第一電極25の材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の光透過性の導電材料が挙げられる。
【0050】
カラーフィルタ基板20の製造方法としては、例えば、支持基板21上にブラックマトリクス23を形成し、ブラックマトリクス23で区切られた領域(ブラックマトリクス23が形成されていない領域)に複数の光散乱層22を形成し、複数の光散乱層22のそれぞれと重畳するように各カラーフィルタを形成してカラーフィルタ層24を作製する方法が挙げられる。カラーフィルタの一部は平面視において、ブラックマトリクス23と重なっていてもよく、カラーフィルタとブラックマトリクス23とが重なる部分は段差があってもよいが、上記段差が少ない(平坦)であることが好ましい。更に、カラーフィルタ層24上に第一電極25を形成してもよい。
【0051】
液晶層30は、液晶分子を含有する。上記液晶分子は、下記式(L)で定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有するもの(ポジ型液晶)であっても、負の値を有するもの(ネガ型液晶)であってもよい。また、上記液晶分子は、0℃~60℃の範囲でネマティック性を示すものが好ましい。
Δε=(液晶分子の長軸方向の誘電率)-(液晶分子の短軸方向の誘電率) (L)
【0052】
対向基板40は、支持基板41と第二電極42を有してもよい。第二電極42は、画素毎に配置される画素電極であってもよい。実施形態1では、カラーフィルタ基板20に第一電極25が配置され、対向基板40に第二電極42が配置される縦電界方式の液晶パネルを例示したが、対向基板40側に第一及び第二電極が絶縁体層を介して配置された横電界方式の液晶パネルであってもよい。上記横電界方式としては、FFS(Fringe Field Switching)モード、IPS(In-Plane-Switching)モードが挙げられる。一般的に縦電界方式は、横電界方式と比べて視野角特性が低いことから、縦電界方式の液晶パネルに光散乱層22を配置した方が、視野角改善効果が大きくなる。
【0053】
第二電極42の材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の光透過性の導電材料が挙げられる。
【0054】
図示していないが、カラーフィルタ基板20と液晶層30との間、及び、対向基板40と液晶層30との間に、それぞれ配向膜を有してもよい。電圧無印加状態における液晶分子の配向方位及びチルト角は、上記配向膜により制御することができる。上記配向膜は特に限定されず、液晶パネルの分野で通常用いられるものを用いることができる。
【0055】
液晶パネル100Aは、カラーフィルタ基板20の液晶層30と反対側に偏光板51を有し、対向基板40の液晶層30と反対側に偏光板52を有してもよい。偏光板51、52は、液晶パネルの分野で通常用いられるものを用いることができる。偏光板51、52は、例えば、吸収型の直線偏光板であってもよい。偏光板51と偏光板52とは、互いの透過軸が略直交するようにクロスニコルに配置されることが好ましい。
【0056】
カラーフィルタ基板20の液晶層30と反対側に偏光板51を有することで、液晶パネル100Aは外光反射を抑制することができる。液晶パネル100Aに観察者側から入射される光(外光)は、カラーフィルタ基板20側に配置された偏光板51を通過し、光散乱層22で観察者側に反射されるが、偏光板51により反射光の透過が抑制されるため、外光反射を抑制することができる。図3に示した比較形態1のように、カラーフィルタ基板側に2枚の偏光板を配置しなくても外光反射を抑制できるため、液晶パネルの厚みを薄く、軽量化でき、液晶パネルの反りも抑制できる。
【0057】
液晶パネル100Aは、表示状態において所望の画像を表示する表示領域と、上記表示領域を囲む額縁領域を含んでもよい。表示領域には、上述の複数の画素が配置される。上記額縁領域にはベゼル、シール材、ドライバ、駆動回路等が配置されてもよい。複数の光散乱層22は、平面視において上記表示領域と重なる領域に配置されていればよく、上記額縁領域と重なる領域に配置されていなくてもよい。
【0058】
液晶パネル100Aは背面側にバックライトを備えてもよい。バックライトは特に限定されず、一般的なバックライトを用いることができる。例えば、導光板の端面に光源を配置するエッジライト型でもよいし、光源を面内に多数配置して拡散板等で均整度を高めた直下型であってもよい。
【0059】
(実施形態2)
実施形態2に係る液晶パネルは、複数の画素を含む表示領域を有し、カラーフィルタ基板と、液晶層と、対向基板とをこの順に備える液晶パネルであって、上記カラーフィルタ基板は、支持基板と、光散乱粒子を含む複数の光散乱層と、上記複数の光散乱層を区分するブラックマトリクスとを有し、上記複数の光散乱層は、上記支持基板よりも上記液晶層側に配置され、かつ上記複数の画素毎に配置される。また、上記複数の光散乱層は、更に着色材を含む。
【0060】
以下に図2を用いて、実施形態2に係る液晶パネルについて説明する。図2は、実施形態2に係る液晶パネルの一例を示した断面模式図である。図2に示したように、実施形態2では、上記複数の光散乱層は、光散乱粒子1に加え、更に着色材を含む。光散乱層122以外の構成は実施形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0061】
実施形態2に係る液晶パネル100Bは、光散乱粒子1と着色材を含む光散乱層122がカラーフィルタ基板120に含まれるインセルパネルであることで、特許文献1のように液晶パネルの外側に光散乱膜が配置される構成よりも、表示画像のぼやけを抑制することができる。
【0062】
図2に示したように、複数の光散乱層122は、複数の画素毎に配置され、ブラックマトリクス23により区分される。カラーフィルタ基板120を観察者側に配置した場合、画像を表示するための光は、対向基板40側から入射され、対向基板40及び液晶層30を透過し、光散乱粒子1及び着色材を含む光散乱層122に入射され、光散乱粒子1に当たって散乱することで更に広がって観察者側に出射される。実施形態2では、光散乱層122が光散乱粒子1と着色材を含むことで、カラーフィルタの役割を兼ねており、光散乱層122を透過し、観察者側に出射された光は所望の色に着色され、視野角を広げつつカラー表示を行うことができる。
【0063】
光散乱層122はバインダー樹脂を含んでもよい。上記バインダー樹脂は、実施形態1の光散乱層で用いられるものと同様のものを用いることができる。
【0064】
実施形態2において、光散乱層122の厚さは、2μm以上、10μm以下が好ましく、3μm以上、8μm以下がより好ましい。上記光散乱層122の厚さは、ブラックマトリクス23と重なっていない部分の厚さである。
【0065】
複数の光散乱層122は、異なる色の着色材を含んでもよい。複数の光散乱層122は、例えば、光散乱粒子1と赤色の着色材を含む赤色の光散乱層122R、光散乱粒子1と緑色の着色材を含む緑色の光散乱層122G、光散乱粒子1と青色の着色材を含む青色の光散乱層122Bを含んでもよい。更に、光散乱粒子1と他の色の着色材を含む光散乱層を含んでもよい。上記赤色、緑色及び青色の着色材は、実施形態1のカラーフィルタで用いられるものと同様のものを用いることができる。
【0066】
異なる色の着色材を含む光散乱層122の色の配置は特に限定されないが、例えば、液晶パネル100Bの行方向及び列方向のいずれか一方の方向に沿って、異なる色の着色材を含む光散乱層122が配置され、行方向及び列方向の他方の方向に沿って、同じ色の着色材を含む光散乱層122が配置されるストライプ配置であってもよい。
【0067】
複数の光散乱層122は、ブラックマトリクス23により区分されている。複数の光散乱層122は、画素毎にブラックマトリクス23に囲まれていてもよい。また、少なくとも異なる色の着色材を含む光散乱層122間にブラックマトリクス23が配置されていればよく、例えば、異なる色の着色材を含む複数の光散乱層122が上述のストライプ配置で配置される場合は、ブラックマトリクス23は、液晶パネル100Bの行方向及び列方向の少なくとも一方向に沿って配置されてもよいし、行方向及び列方向に沿って配置されてもよい。
【0068】
実施形態2においても、ブラックマトリクス23は、支持基板21と接することが好ましい。すなわち、ブラックマトリクス23と支持基板21との間に光散乱層122が配置されないことが好ましい。ブラックマトリクス23の全体が支持基板21と接することがより好ましい。実施形態2では、光散乱層122がカラーフィルタの役割を兼ねることから、ブラックマトリクス23の厚みを厚くすることができ、光漏れを抑制して黒表示時の表示品位を向上させ、また、外光反射を抑制することができる。
【0069】
カラーフィルタ基板120の製造方法としては、例えば、支持基板21上にブラックマトリクス23を形成し、ブラックマトリクス23で区切られた領域(ブラックマトリクス23が形成されていない領域)に光散乱層122を形成する方法が挙げられる。実施形態2は、光散乱層122がカラーフィルタ層の機能を兼ねることから、光散乱層とカラーフィルタ層とを分けて作製する実施形態1よりも工程数が少ないため、コストを低減させることができ、塗布制度も高くすることができる。光散乱層122の一部は平面視において、ブラックマトリクス23と重なっていてもよく、光散乱層122とブラックマトリクス23とが重なる部分は段差があってもよいが、上記段差が少ない(平坦)であることが好ましい。
【符号の説明】
【0070】
1、1001:光散乱粒子
10:画素
20、1020:カラーフィルタ基板
21、1021:支持基板
22、122、1022:光散乱層
23、1023:ブラックマトリクス
24、1024:カラーフィルタ層
24B:青色のカラーフィルタ
24G:緑色のカラーフィルタ
24R:赤色のカラーフィルタ
25、1025:第一電極
30、1030:液晶層
40、1040:対向基板
41、1041:支持基板
42、1042:画素電極
51、52、1051、1052、1053:偏光板
100A、100B、1000:液晶パネル
122B:青色の光散乱層
122G:緑色の光散乱層
122R:赤色の光散乱層
図1
図2
図3