IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 公益財団法人野田産業科学研究所の特許一覧

特開2024-107801分生子形成能が増大した糸状菌変異体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107801
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】分生子形成能が増大した糸状菌変異体
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/15 20060101AFI20240802BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20240802BHJP
   C12P 1/02 20060101ALI20240802BHJP
   A23L 31/00 20160101ALI20240802BHJP
   C12N 9/14 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
C12N1/15
C12N15/31
C12P1/02 Z
A23L31/00
C12N9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011914
(22)【出願日】2023-01-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年11月10日に、小川真弘、土屋慧、岩間亮、堀内裕之が、第21回糸状菌分子生物学コンファレンス要旨集において、小川真弘によってなされた発明の一態様を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】000173935
【氏名又は名称】公益財団法人野田産業科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 真弘
【テーマコード(参考)】
4B018
4B050
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B018LB04
4B018LB10
4B018MD07
4B018MD49
4B018MD58
4B018MD91
4B050DD04
4B050LL02
4B064AG01
4B064CA05
4B064CA19
4B064CC24
4B064CD19
4B064CD20
4B064DA10
4B065AA58X
4B065AA60X
4B065AA62X
4B065AA63X
4B065AC14
4B065BA02
4B065BA22
4B065BC01
4B065BD38
4B065BD39
4B065CA42
(57)【要約】
【課題】分生子形成能が増大した糸状菌変異体の提供。
【解決手段】本発明は、糸状菌を宿主とする変異体であって、srdA遺伝子に対応する遺伝子の機能が低下又は欠損する変異が導入されている、変異体の提供に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸状菌を宿主とする変異体であって、当該宿主が、以下の(a)~(d)のいずれかの塩基配列:
(a)配列番号1の塩基配列;
(b)配列番号1の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列;
(c)配列番号1の塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列;
(d)配列番号1の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列;
で表される遺伝子、あるいは以下の(e)~(g)のいずれかのアミノ酸配列:
(e)配列番号2のアミノ酸配列;
(f)配列番号2のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列;
(g)配列番号2のアミノ酸配列と同一性が80%以上であるアミノ酸配列;
で表されるタンパク質をコードする遺伝子、
を有しており、当該変異体において、当該宿主との比較で分生子形成能が増大する変異が導入されている、変異体。
【請求項2】
前記遺伝子が、Zn2Cys6型転写制御因子をコードする遺伝子、又はそのホモログ若しくはオーソログである、請求項1に記載の変異体。
【請求項3】
前記遺伝子が欠損又は破壊されている、請求項1又は2に記載の変異体。
【請求項4】
前記変異が、Zn2Cys6型転写制御因子のDNA結合ドメイン又は核移行シグナル部位における変異である、請求項1又は2に記載の変異体。
【請求項5】
前記変異が配列番号1の311位~317位における変異及び/又は2553位~2559位における変異である、請求項4に記載の変異体。
【請求項6】
前記糸状菌がアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・リュウチュウエンシス(Aspergillus luchuensis)、アスペルギルス・リュウチュウエンシス ミュータント カワチ(Aspergillus luchuensis mut.kawachii)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・アクレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・グラウクス(Aspergillus glaucus)、アスペルギルス・クラバツス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルス・フィシェリ(Aspergillus fischeri)又はアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)に属する、請求項1又は2に記載の変異体。
【請求項7】
更に、rseA遺伝子の機能を低下する変異が導入されている、請求項1又は2に記載の変異体。
【請求項8】
宿主との比較で、菌体外酵素生産能が増大している、請求項7に記載の変異体。
【請求項9】
前記菌体外酵素が、エンドキシラナーゼである、請求項8に記載の変異体。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の変異体の培養物又はその抽出物。
【請求項11】
糸状菌宿主との比較で分生子形成能が増大した変異体の製造方法であって、当該宿主において、請求項1又は2に記載の遺伝子の機能を低下させる工程を含む、製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の培養物又はその抽出物の製造方法であって、請求項1又は2に記載の変異体と植物性及び/又は動物性原料とを接触させる工程を含む、製造方法。
【請求項13】
前記原料が大豆及び小麦を含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記培養物が麹又は諸味である、請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】
有機性材料の加水分解産物の製造方法であって、請求項1又は2に記載の変異体、あるいはその培養物又はその抽出物と有機性材料とを接触させる工程を含む、製造方法。
【請求項16】
前記有機性材料が多糖又はタンパク質を含む、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
糸状菌において形成される分生子を増大させる方法であって、当該糸状菌において、請求項1又は2に記載の遺伝子の機能を低下させる工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分生子形成能が増大した糸状菌変異体等に関する。
【背景技術】
【0002】
アスペルギルス属の糸状菌は、世界中の様々な環境より分離される非常に良く知られたカビの仲間である。このアスペルギルス属の糸状菌の中でも、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、そしてアスペルギルス・リュウチュウエンシス(Aspergillus luchuensis)は麹菌と呼ばれ、東アジア地域の発酵産業に重要な役割を果たしている。例えば、アスペルギルス・オリゼは日本酒、醤油、味噌の製造に、アスペルギルス・ソーヤはおもに醤油の生産に、そしてアスペルギルス・リュウチュウエンシスは焼酎や泡盛の醸造に利用される(Ichishima, E. (2016). Biosci. Biotechnol. Biochem. 80, 1681)。
【0003】
麹菌をはじめとするカビ類は、菌体外に大量の加水分解酵素を分泌する能力があることが一般的に知られている。中でもこれら麹菌類により分泌される糖質加水分解酵素、タンパク質加水分解酵素、そして脂質加水分解酵素などの各種加水分解酵素群は、醸造の初期段階において重要な工程である原料の分解を担っている(村上英也 編著(2018)、麹学 第6版、日本醸造協会)。これら各種分解酵素の細胞外分泌能を強化するための様々な研究が行われている。
【0004】
またその研究には、麹菌類と同じくアスペルギルス属の糸状菌で、分子・細胞生物学的な解析が麹菌類よりも先行しているアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)が用いられる事も有る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Ogawa, M., et al. (2021). J. Biosci. Bioeng., 131, 589
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は以前、麹菌類においてタンパク質分泌を増強させることが知られていた変異遺伝子のアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)におけるオーソログであるrseA破壊株のタンパク質分泌量が増加することを示した(Ogawa, M., et al. (2021). J. Biosci. Bioeng., 131, 589)。しかしながら、rseA破壊株は細胞壁に異常があることや、分生子形成能が著しく低下していることなど、rseA破壊株には培養上のデメリットが存在していることが本発明者によって明らかとなった。
【0007】
そのため、rseA破壊株の分生子形成能を回復させる方法を見出すことができれば、高い菌体外酵素生産能と分生子形成能を有するアスペルギルス属糸状菌の育種に役立つ知見が得られることが期待される。さらにその知見は、分生子形成能が低下した糸状菌において、その分生子形成能を回復させる方法や、糸状菌において分生子形成量をより増大させる方法として、広く利用できる可能性がある。
【0008】
本発明は、分生子形成能が増大した糸状菌変異体等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、rseA破壊株を親株として分生子形成能を回復させる変異株を取得し、原因遺伝子としてZn2Cys6型転写制御因子をコードすると推定される遺伝子、AN5849を同定した。本明細書では、この遺伝子をsrdA(suppressor for reduced conidiation phenotype of rseA deletion mutant)と称する。
【0010】
即ち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
糸状菌を宿主とする変異体であって、当該宿主が、以下の(a)~(d)のいずれかの塩基配列:
(a)配列番号1の塩基配列;
(b)配列番号1の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列;
(c)配列番号1の塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列;
(d)配列番号1の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列;
で表される遺伝子、あるいは以下の(e)~(g)のいずれかのアミノ酸配列:
(e)配列番号2のアミノ酸配列;
(f)配列番号2のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列;
(g)配列番号2のアミノ酸配列と同一性が80%以上であるアミノ酸配列;
で表されるタンパク質をコードする遺伝子、
を有しており、当該変異体において、当該宿主との比較で分生子形成能が増大する変異が導入されている、変異体。
[2]
前記遺伝子が、Zn2Cys6型転写制御因子をコードする遺伝子、又はそのホモログ若しくはオーソログである、[1]に記載の変異体。
[3]
前記遺伝子が欠損又は破壊されている、[1]又は[2]に記載の変異体。
[4]
前記変異が、Zn2Cys6型転写制御因子のDNA結合ドメイン又は核移行シグナル部位における変異である、[1]又は[2]に記載の変異体。
[5]
前記変異が配列番号1の311位~317位における変異及び/又は2553位~2559位における変異である、[4]に記載の変異体。
[6]
前記糸状菌がアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・リュウチュウエンシス(Aspergillus luchuensis)、アスペルギルス・リュウチュウエンシス ミュータント カワチ(Aspergillus luchuensis mut.kawachii)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・アクレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・グラウクス(Aspergillus glaucus)、アスペルギルス・クラバツス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルス・フィシェリ(Aspergillus fischeri)又はアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)に属する、[1]又は[2]に記載の変異体。
[7]
更に、rseA遺伝子の機能を低下する変異が導入されている、[1]又は[2]に記載の変異体。
[8]
宿主との比較で、菌体外酵素生産能が増大している、[7]に記載の変異体。
[9]
前記菌体外酵素が、エンドキシラナーゼである、[8]に記載の変異体。
[10]
[1]又は[2]に記載の変異体の培養物又はその抽出物。
[11]
糸状菌宿主との比較で分生子形成能が増大した変異体の製造方法であって、当該宿主において、[1]又は[2]に記載の遺伝子の機能を低下させる工程を含む、製造方法。
[12]
[10]に記載の培養物又はその抽出物の製造方法であって、[1]又は[2]に記載の変異体と植物性及び/又は動物性原料とを接触させる工程を含む、製造方法。
[13]
前記原料が大豆及び小麦を含む、[12]に記載の製造方法。
[14]
前記培養物が麹又は諸味である、[12]に記載の製造方法。
[15]
有機性材料の加水分解産物の製造方法であって、[1]又は[2]に記載の変異体、あるいはその培養物又はその抽出物と有機性材料とを接触させる工程を含む、製造方法。
[16]
前記有機性材料が多糖又はタンパク質を含む、[15]に記載の製造方法。
[17]
糸状菌において形成される分生子を増大させる方法であって、当該糸状菌において、[1]又は[2]に記載の遺伝子の機能を低下させる工程を含む、方法。
【発明の効果】
【0011】
分生子形成不全の表現型は発酵産業等において不利な形質であるが、本発明によれば、糸状菌におけるsrdAを破壊等することで、菌体外酵素生産を保ちつつ、分生子形成能を回復させることができる。理論に拘束されることを意図するものではないが、糸状菌における分生子形成能の回復の効果は、細胞壁や細胞内シグナル伝達系の異常等に起因する様々な原因の分生子形成不全に対しても有効であると予想される
【0012】
また、糸状菌宿主においてsrdA破壊に加えて、rseAにも変異等が導入されている場合には、分生子形成能を回復させるだけではなく、いくつかの菌体外加水分解酵素の生産を増大させる場合もある。加水分解酵素の生産能の向上は、原料の加水分解工程が必要とされる醸造・発酵産業における生産性や効率性の増大に資する。しかしながら、本発明の変異体又はその培養物、又は培養物からの抽出物は、広く有機性材料の加水分解産物の製造方法に使用することができるため、その用途は食品分野に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】分子生物学的なモデルとして使用されるアスペルギルス・ニデュランスの菌糸、頂嚢、及び分生子部分を拡大した走査型電子顕微鏡(SEM)写真。A:菌糸;B:頂嚢;C:Bにおける分生子(胞子)の部分拡大写真。
図2】アスペルギルス・ニデュランスにおけるrseA破壊株であるDRA株と、その比較対象となる野生型株であるwtRA株の表現型との比較。A:最少培地上の各株のコロニーの写真;B:各株のSEM写真;C:固体培養サンプルのデジタルマイクロスコープ写真。各写真における左側がwtRA株であり、右側がDRA株である。
図3】アスペルギルス・ニデュランスDRA株のコロニー上に出現した自然変異株。
図4】rseA破壊とPCRによるその確認方法(実施例1)。図中のIからIIIで示した領域は遺伝子破壊確認の際にPCRにより増幅させる部分を示す。
図5】PCRによる自然変異株のrseA破壊確認(実施例1)。I:破壊時欠失領域;II:破壊用断片導入部分5’側;III:破壊用断片導入部分3’側。
図6】アスペルギルス・ニデュランスDRA株及び自然変異株のコロニーの表現型(実施例1)。A:wtRA株(野生型株);B:DRA株(rseA破壊株);C:変異株 B;D:変異株 D。
図7】DRA株及び抑圧変異株のSEM写真(実施例1)。A:wtRA株(野生型株);B:DRA株(rseA破壊株);C:変異株 B;D:変異株 D。
図8】次世代シーケンサーによる全ゲノム解析に用いた菌株の系統関係(実施例2)。
図9】変異導入部位周辺のアスペルギルス属糸状菌間における保存性(実施例2)。図中の矢印は、Cの1塩基欠失が生じた部位(上部)及びCの1塩基挿入が生じた部位(下部)を示す。
図10】実施例3にて作製を行った菌株の系統図。
図11】rseA破壊確認のサザンハイブリダイゼーションの概要(実施例3)。
図12】サザンハイブリダイゼーション(図11)によるN3149RP-rd2株におけるrseA破壊を確認した結果(実施例3)。
図13】srdA破壊とPCRによるその確認方法(実施例3)。図中のIからIIIで示した領域は遺伝子破壊確認の際にPCRにより増幅させる部分を示す。
図14】pyrGマーカー相補とPCRによるその確認方法(実施例3)。
図15】riboBマーカー相補とPCRによるその確認方法(実施例3)。
図16】PCRによるN3149RP-DRS株のsrdA破壊確認(実施例3)。I:破壊時欠失領域;II:破壊用断片導入部分5’側;III:破壊用断片導入部分3’側。
図17】PCRによるN3149RP-DS株のsrdA破壊確認(実施例3)。I:破壊時欠失領域;II:破壊用断片導入部分5’側;III:破壊用断片導入部分3’側。
図18】N3149RP-p1株およびN3149RP-DS株におけるpyrGマーカー相補の確認(実施例3)。
図19】N3149RP-C株およびN3149RP-DR株におけるriboBマーカー相補の確認(実施例3)。
図20】アスペルギルス・ニデュランスにおけるrseAsrdA二重破壊株とsrdA単独破壊株のコロニー写真(実施例4)。A:N3149RP-C(野生型株);B:N3149RP-DR(rseA破壊株);C:N3149RP-DRS(rseAsrdA破壊株)D:N3149RP-DS(srdA破壊株)。
図21】アスペルギルス・ニデュランスにおけるrseAsrdA二重破壊株とsrdA単独破壊株のSEM写真(実施例4)。A:N3149RP-C(野生型株);B:N3149RP-DR(rseA破壊株);C:N3149RP-DRS(rseAsrdA破壊株)D:N3149RP-DS(srdA破壊株)。
図22】推定されるsrdA破壊による分生子形成能回復のメカニズム(実施例4)。
図23】子嚢菌門の糸状菌におけるSrdAオーソログの系統樹(実施例5)。
図24】アスペルギルス属糸状菌におけるSrdAオーソログのアミノ酸配列の同一性(実施例5)。
図25】アスペルギルス属糸状菌のSrdAオーソログにおける主要なモチーフの保存性(実施例6)。
図26】変異株 Bによる菌体外キシラナーゼ生産(実施例7)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.糸状菌を宿主とする変異体及びその製法
本発明は、糸状菌を宿主とする変異体であって、srdA遺伝子に対応する遺伝子の機能が低下又は欠損する変異が導入されている変異体を提供する。
【0015】
麹菌をはじめとするアスペルギルス属糸状菌には、その生活環において無性生活環が存在する。この無性生活環においてこれらの生物は、菌糸として伸長して増殖するだけでなく(図1A)、一定の条件が整うと頂嚢(コニディアルヘッド)と呼ばれる分生子形成器官を形成する(図1B)。この頂嚢には小さな球状の分生子が形成される(図1B右側)。この分生子一つ一つが、再び菌糸として伸長し増殖する能力を有している。このように分生子形成は、アスペルギルス属糸状菌において、極めて重要な増殖方法の一つである(Adams, T.H.et al. (1998). Microbiol. Mol. Biol. Rev. 62, 35)。
【0016】
特に、麹菌の分生子は種麹とも呼ばれ、醸造微生物の保管に用いられるだけでなく、発酵の初期段階において、この種麹が原料に対して直接接種し使用される。(Hofrichter,M.,Ed.(2010).The Mycota X,2nd edition.Springer-Verlag)。したがって麹菌では、高い菌体外酵素生産性ともに、高い分生子形成能も求められることになる。
【0017】
アスペルギルス属糸状菌における分生子形成制御機構については、分子生物学的なモデル生物として利用されるアスペルギルス・ニデュランスにおいて集中的な解析が行われており、既に分生子形成制御に関与する転写制御因子が複数同定されている(Wu, M.Y., et al.(2018). mBio 9, e01130-18)。例えば、分生子形成に中心的な役割を果たす、BrlA、AbaAそしてWetAや、分生子形成を促進する働きをもつFlbB、FlbC、FlbD、そして分生子形成を抑制する働きを持つSfgAやNosAなどが知られている(Adams, T.H. et al.(1998). Microbiol. Mol. Biol. Rev. 62, 35; Lee, M.K., et al. (2016). Sci. Rep. 6, 28874)。また、アスペルギルス・ニデュランスにて見出されている主要な分生子形成制御因子は、そのオーソログが麹菌アスペルギルス・オリゼにも存在しており、アスペルギルス・オリゼとアスペルギルス・ニデュランスでは類似した分生子形成制御がとられていると考えられている(Ogawa,M.,et al. (2010). Fungal. Genet. Biol. 47,10)。したがって、モデル微生物であるアスペルギルス・ニデュランスを使用して得られた分生子形成制御に関する知見は、産業的に利用されるアスペルギルス・オリゼなどの麹菌類にも適用できることが想定される。
【0018】
アスペルギルス・ニデュランスのrseA破壊株では、分生子形成能が大幅に低下する現象が確認されている(Ogawa, M., et al. (2021). J. Biosci. Bioeng., 131, 589)。図2にはアスペルギルス・ニデュランスにおけるrseA破壊株であるDRA株と、その比較対象となる野生型株であるwtRA株の表現型を示した。DRA株のコロニーは野生型株と比べ明らかに色が薄くなっている(図2A)。またSEM写真(図2B)からしても、DRA株では頂嚢の形成数が大幅に低下するとともに、未成熟で異常な形の頂嚢しか形成されず、分生子形成能が低下していることが確認できる。また、通常アスペルギルス属糸状菌では分生子形成が促進される小麦フスマを用いた固体培養でも、野生型株では多数の頂嚢が形成されているのに対し、DRA株では頂嚢が形成されていない状態であることが、HiROX社製のデジタルマイクロスコープを用いた観測結果からも分かる(図2C)。rseA破壊株では、株により程度の差があるものの、産業利用上不利な形質を示すことがある。
【0019】
Zn2Cys6型の転写制御因子は、酵母Saccharomyces cerevisiaeのGAL4pに代表される真菌類において特徴的な転写制御因子である(MacPherson, S., et al. (2006). Microbiol. Mol. Biol. Rev. 70, 583)。また、Zn2Cys6型の転写制御因子としてアスペルギルス・ニデュランスでは、AlcRやPrnA、そしてNirAなどといった主要な転写制御因子が既に見出されている(Panozzo, C., et al.(1997). J. Biol. Chem. 272, 22859; Gomez, D., et al. (2002). Mol. Microbiol. 44, 585; Burger, G., et al.(1991). Mol. Cell. Biol. 11, 5746)。
【0020】
rseA破壊に起因する分生子形成不全を回復させる原因遺伝子として同定された、Zn2Cys6型転写制御因子をコードすると推定される遺伝子、AN5849は、配列番号1に示す全長3,571bpの7つのエクソンより構成される遺伝子である。AN5849は、Zn2Cys6型転写制御因子に相当する、配列番号2に示す1,077残基のアミノ酸をコードする。AN5849は抑圧変異の原因遺伝子の有力な候補であると考えられたことから、本発明者は、配列番号1の遺伝子を、srdA(uppressor gene for the conidiation defect of the seA eletion mutant)と命名した。
【0021】
また、srdAは、アスペルギルス属糸状菌において分生子形成を負に抑制する転写制御因子であるとも考えられる。そのため、srdAの遺伝子破壊や機能欠失は、rseA破壊株のみならず他の分生子形成不全株でも分生子形成を回復させることが可能であると予想される。
【0022】
srdAは、その遺伝子を破壊させるか、又は機能を欠失させることにより分生子形成能が増大する限り、Zn2Cys6型転写制御因子をコードする遺伝子、あるいはその変異体、ホモログ若しくはオーソログであってもよい。
【0023】
一実施態様において、srdAは、以下の(a)~(d)のいずれかの塩基配列:
(a)配列番号1の塩基配列;
(b)配列番号1の塩基配列において、1若しくは数個、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個、好ましくは2~5個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列;
(c)配列番号1の塩基配列と相同性が80%以上、好ましくは90%以上である塩基配列;
(d)配列番号1の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列;
で表される遺伝子、あるいは以下の(e)~(g)のいずれかのアミノ酸配列:
(e)配列番号2のアミノ酸配列;
(f)配列番号2のアミノ酸配列において、1若しくは数個、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個、好ましくは2~5個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列;
(g)配列番号2のアミノ酸配列と相同性が80%以上、好ましくは90%以上であるアミノ酸配列;
で表されるタンパク質をコードする遺伝子、
を有している。
【0024】
本明細書で使用する場合、「相同性」は同一性を指す場合がある。「同一性」とは、当該技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて2つの塩基配列又はアミノ酸配列をアラインさせた場合の、最適なアラインメントにおける、オーバーラップする全塩基又は全アミノ酸残基に対する、同一塩基又はアミノ酸残基の割合(%)を意味する。好ましくは、当該アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方もしくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである。
【0025】
上記のような塩基配列の配列相同性を示すような遺伝子は、上記のようにハイブリダイゼーションを指標に得ることもでき、ゲノム塩基配列解析等によって得られた機能未知のDNA群又は公共データベースの中から、当業者が通常用いている方法により、例えば、前述のBLASTソフトウェアを用いた検索により発見することも容易である。さらに、本発明遺伝子は、種々の公知の変異導入方法によって得ることもできる。
【0026】
ここで、ハイブリダイゼーションは、例えば、Molecular cloninng third.ed.(Cold Spring Harbor Lab.Press,2001)、又はカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Current protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al.,1987)に記載の方法等、当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行うことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
【0027】
本明細書において使用する場合、「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、温度60℃~68℃において、ナトリウム濃度15~900mM、好ましくは15~600mM、さらに好ましくは15~150mM、pH6~8であるような条件を挙げることができる。
【0028】
したがって、配列番号1の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列としては、例えば、全塩基配列との相同性の程度が、全体の平均で、約80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上である塩基配列で表される遺伝子であり、且つZn2Cys6型転写制御因子の機能を保持する遺伝子を挙げることができる。かかる相同性の程度は、配列番号2のアミノ酸配列の相同性についても適用される。
【0029】
2つの塩基配列又はアミノ酸配列における配列相同性を決定するために、配列は、比較に最適な状態に前処理される。例えば、一方の配列にギャップを入れることにより、他方の配列とのアラインメントの最適化を行う。その後、各部位におけるアミノ酸残基又は塩基が比較される。第一の配列におけるある部位に、第二の配列の相当する部位と同じアミノ酸残基又は塩基が存在する場合、それらの配列は、その部位において同一である。2つの配列における配列相同性は、配列間での同一である部位数の全部位(全アミノ酸又は全塩基)数に対する百分率で示される。
【0030】
上記の原理に従い、2つの塩基配列又はアミノ酸配列における配列相同性は、例えば、Karlin及びAltschulのアルゴリズム(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-2268、1990及びProc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877、1993)により決定される。このようなアルゴリズムを用いたBLASTプログラムやFASTAプログラムは、主に与えられた配列に対し、高い配列相同性を示す配列をデータベース中から検索するために用いられる。これらは、例えば、米国National Center for Biotechnology Informationのインターネット上のウェブサイトにおいて利用可能である。
【0031】
本明細書における糸状菌の宿主は、srdA遺伝子と相同性が高く、且つ同一の機能を有する遺伝子を保有する糸状菌であれば特に限定されない。そのような糸状菌は、アスペルギルス属糸状菌であることが好ましい。アスペルギルス属糸状菌の例として、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・リュウチュウエンシス(Aspergillus luchuensis)、アスペルギルス・リュウチュウエンシス ミュータント カワチ(Aspergillus luchuensis mut.kawachii)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・アクレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・グラウクス(Aspergillus glaucus)、アスペルギルス・クラバツス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルス・フィシェリ(Aspergillus fischeri)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、等が挙げられる。中でもアスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ソーヤ等が好ましい。
【0032】
糸状菌には、srdA遺伝子に対応する遺伝子の機能が低下又は欠損する変異が導入される。本明細書で使用する場合、「srdA遺伝子に対応する遺伝子の機能が低下又は欠損する変異」とは、宿主と比較した場合に分生子形成能を増大させるようなsrdA遺伝子の任意の変異を意味する。例えば、srdA遺伝子の一部又は全部を破壊すること、例えば、srdA遺伝子の一部又は全部を欠失させたり、srdA遺伝子の途中に薬剤耐性遺伝子等、別の遺伝子を挿入するなどして正常に機能しないように遺伝子を修飾すること等により、糸状菌の分生子形成能を増大させることができる。分子形成能の増大には分子形成能不全の回復も含まれる。
【0033】
一実施態様において、srdA遺伝子は欠損又は破壊されている。
【0034】
srdA遺伝子の欠失変異体は、srdA遺伝子のうちの欠失させたい任意の領域の両端をつなぎ合わせたベクターを用いて遺伝子組換えを行うことで任意の領域を欠失させることにより調製できる。ベクターには、形質転換された細胞を選択することを可能にするためのマーカー遺伝子が含まれていてもよい。マーカー遺伝子としては、例えば、adeA、pyrG、argB、trpC、niaD、sC、pyroA、riboBのような、宿主の栄養要求性を相補する遺伝子や、ピリチアミン、オーレオバシジンそしてオリゴマイシンなどの薬剤に対する抵抗遺伝子などが挙げられる。
【0035】
変異の種類や方法は特に限定されず、例えば、当業者にとって公知の部位特異的に変異を導入する方法、ランダムに変異を導入する方法、変異原となる薬剤を作用させる方法、紫外線照射法、タンパク質工学的手法等を広く用いることができる。特定の領域の一部又は全部を変異させてもよい。そのような領域として、DNA結合ドメインや核移行シグナル等の機能性部位を含む大部分の領域が挙げられる。
【0036】
一実施態様において、srdA遺伝子に対応する遺伝子の機能が低下又は欠損する変異は、配列番号1の311位~317位の間でのCの1塩基欠失又は2870位~2876位の間でのCの1塩基挿入である。
【0037】
一実施態様において、糸状菌を宿主とする変異体には更に、rseA遺伝子の機能を低下する変異が導入されている。
【0038】
麹菌アスペルギルス・オリゼそしてアスペルギルス・ソーヤでは、推定糖転移酵素の遺伝子であるrseAを破壊すると、菌体外酵素の生産量が増加することが見出されている(特許6529769号)。また本発明者らは以前、rseAの変異および破壊は分子生物学的モデル生物であるアスペルギルス・ニデュランスでもいくつかの菌体外酵素生産を増加させる効果があることを見出している(Ogawa, M., et al. (2021). J. Biosci. Bioeng., 131, 589)。
【0039】
RseAはアスペルギルス属糸状菌とペニシリウム属(Penicillium)糸状菌において広く保存されていることが確認されている。その他にも、本発明における糸状菌として、ニューロスポラ(Neurospora)属、トリコデルマ属(Trichoderma)、フザリウム属(Fusarium)等に属する菌株が意図される。rseA遺伝子を有するアスペルギルス属糸状菌として、アスペルギルス・ニデュランスFGSC A4株やアスペルギルス・オリゼRIB40(NBRC100959)、アスペルギルス・ソーヤNBRC4239、等がある。
【0040】
一実施態様において、rseA遺伝子は以下の(a)~(c)のいずれかのアミノ酸配列:
(a)アスペルギルス・ニデュランスFGSC A4由来の配列暗号55で示されるアミノ酸配列(NCBI RefSeq: XP_682338.1);
(b)配列番号55のアミノ酸配列において、1若しくは数個、例えば1個、2個、3個、4個5個、6個、7個、8個、9個、又は10個、好ましくは2~5個のアミノ酸が欠失、置換または付加されているアミノ酸配列;
(c)配列番号55のアミノ酸配列と相同性が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であるアミノ酸;
であらわされるタンパク質をコードする遺伝子であるか、
あるいは以下の(d)~(g)のいずれかの塩基配列:
(d)配列番号56(GenBank: BN001306.1:533275-535447);
(e)配列番号56又の塩基配列において、1若しくは数個、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個、好ましくは2~5個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列;
(f)配列番号56の塩基配列と相同性が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である塩基配列;
(g)配列番号56の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列;
で表される遺伝子であり、且つ加水分解酵素の生産を制御する遺伝子、
から選択される。
【0041】
アスペルギルス・ニデュランスFGSC A4のRseAのアミノ酸配列(配列番号55)とアスペルギルス・オリゼRIB40のRseAのアミノ酸配列(配列番号57)は、70%以上の同一性を有している。
【0042】
配列番号56の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列としては、例えば、全塩基配列との相同性の程度が、全体の平均で、約80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上である塩基配列で表される遺伝子であり、且つ加水分解酵素の生産制御に関与する遺伝子を挙げることができる。かかる相同性の程度は、本発明に係るタンパク質と相同のタンパク質についても適用される。
【0043】
「rseA遺伝子の機能が低下又は欠損する変異」とは、宿主と比較した場合に加水分解酵素の生産能を増大させるようなrseA遺伝子の任意の変異を意味する。例えば、rseA遺伝子の一部又は全部を破壊すること、例えば、rseA遺伝子の一部又は全部を欠失させたり、rseA遺伝子の途中に薬剤耐性遺伝子等、別の遺伝子を挿入するなどして正常に機能しないように遺伝子を修飾すること等により、糸状菌の加水分解酵素の生産能を増大させることができる。
【0044】
一実施態様において、rseA遺伝子の機能が低下又は欠損する変異は、加水分解酵素の生産を抑制する遺伝子の機能を低下又は欠損させる変異である。
【0045】
rseA遺伝子の欠失変異体は、rseA遺伝子のうちの欠失させたい任意の領域の両端をつなぎ合わせたベクターを用いて遺伝子組換えを行うことで任意の領域を欠失させることにより調製できる。ベクターには、形質転換された細胞を選択することを可能にするためのマーカー遺伝子が含まれていてもよい。マーカー遺伝子としては、例えば、adeA、pyrG、argB、trpC、niaD、sC、riboB、pyroAのような、宿主の栄養要求性を相補する遺伝子や、ピリチアミン、オーレオバシジンそしてオリゴマイシンなどの薬剤に対する抵抗遺伝子などが挙げられる。
【0046】
高い分生子形成能と酵素生産性を両立させる観点からは、srdAとrseAの両方の遺伝子が破壊されていることが好ましい。
【0047】
rseAの変異の種類や方法は特に限定されず、例えば、当業者にとって公知の部位特異的に変異を導入する方法、ランダムに変異を導入する方法、変異原となる薬剤を作用させる方法、紫外線照射法、タンパク質工学的手法等を広く用いることができる。部位特異的変異導入法により、対応するアミノ酸配列において、184位に相当するロイシンを欠失させるか、または他のアミノ酸、例えばセリンに置換する変異(L184S)を行うことでrseA遺伝子の機能を低下又は欠損させてもよい。RseAは、ヒアルロン酸合成酵素として知られるCps1と相同性が高い。Cps1ファミリーのアミノ酸配列には高度に保存された領域が複数存在しているが、触媒部位にあるDXDモチーフはクリプトコッカス・ネオフォルマンスの場合135位に、そしてアスペルギルス・オリゼRIB40の場合131位に位置する。糸状菌の上記184位に相当するロイシンはDXDモチーフの最初のアスパラギン酸から数えて約53残基下流に存在する。
【0048】
糸状菌では、rseA遺伝子が変異していることにより、糸状菌から産生する種々のタンパク質分解系加水分解酵素や多糖分解系加水分解酵素の生産能が有意に増大している。限定することを意図するものではないが、本発明により活性が増大する加水分解酵素、特に菌体外に分泌される加水分解酵素として、例えばアルカリプロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼ、キシラナーゼ、β-キシロシダーゼ、アラビノフラノシダーゼ、マンナナーゼ、β-マンシダーゼ、β-グルコシダーゼ、α-ガラクトシダーゼが挙げられる。
【0049】
2.変異体の用途
本発明は更に、上記変異体を用いて得られる培養物を提供する。本発明の変異体を含む培養物は、タンパク質を多く含む原料、例えば、植物性タンパク質を含む穀物類、野菜類など(例えば、大豆、小麦など)、そして動物性タンパク質を含む肉類、魚類などの加水分解工程で使用することができる。本明細書で使用する場合、「培養物」は変異体を添加した麹や、更には変異体を利用して得られる諸味等の発酵物を意味する。
【0050】
本発明の培養物は、上記変異体とタンパク質性の原料とを接触させる工程を含む方法により製造することができる。変異体を添加するタイミングは特に限定されない。本発明の効果、例えば向上した加水分解酵素生産能を損なわない限り、培養物の調製の途中又はその前後の工程で変異体以外の菌を添加して培養物を処理してもよい。その他の工程については、所望とする用途に応じて当業者が適宜決定することができる。
【0051】
本発明の変異体又はその培養物は、生産量が亢進された加水分解酵素により処理されることが必要な種々の分野、特に醸造・発酵産業での使用が想定される。例えば、糸状菌を利用して製造される種々の発酵食品、例えば醤油、味噌等の製造に本発明の変異体等を使用した場合、原料利用率の向上に資する。食品分野に限らず、本発明の変異体又はその培養物は、広く有機性材料の加水分解産物の製造方法に使用することができる。本明細書で使用する場合、「有機性材料」とは、天然・非天然の由来を問わず、広く炭素を主要元素として、酸素、水素、窒素原子などで構成される物質であって、糸状菌によって分解可能な物質を意味する。例えば、本発明の変異体又はその培養物によれば、糸状菌によって分解されるタンパク質、多糖、脂質等を含む食物残渣やバイオマスを効率的にその構成単位であるペプチドや単糖にまで分解することができる。
【0052】
以下、実施例に即して本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの記載によって、なんら制限されるものではない。
【実施例0053】
rseA破壊株における分生子形成不全が抑圧された自然変異株の表現型および遺伝子型の解析
【0054】
1.1.自然変異による分生子形成能が回復した変異株の取得
アスペルギルス・ニデュランスにおけるrseA(AN9069)破壊株であるDRA株(Ogawa, M., et al.(2021). J. Biosci. Bioeng. 131, 589に記載されている)をMMGp最少寒天培地に植菌し、37℃で7日間培養した。MMGp最少寒天培地の1L当たりの組成は、グルコース:20g、硫酸マグネシウム・7水和物:1.05g、塩化カリウム:0.53g、リン酸二水素カリウム:1.53g、硝酸ナトリウム:6.0g、ピリドキシン塩酸塩:0.5mg、×1000トレースメタル溶液1mL、寒天:15gであり、初期pHは6.5であった。×1000トレースメタル溶液の1Lあたりの組成は、硫酸第一鉄・7水和物:1.0g、硫酸亜鉛・7水和物:8.8g、硫酸銅・5水和物:0.4g、硫酸マンガン・4水和物:0.15g、四ホウ酸ナトリウム:0.1g、モリブデン酸アンモニウム・4水和物:0.05g、であった(Rowlands ,R.T., et al.(1973). Mol. Gen. Genet. 126, 201)。
【0055】
205個のDRA株のコロニーのうち、図3に示す2つのコロニーにて分生子形成が回復した自然変異株が出現した。出現した自然変異株は、それぞれ変異株 B、変異株 C、および変異株 Dという名称を付けた。このうち変異株 Bと変異株 Cは同じDRAコロニーから出現していたが、変異株 Dは別のDRAのコロニーから出現していた。そのため、遺伝的なバックグランドが異なると考えられる、変異株 Bと変異株 Dを以降の解析に用いた。
【0056】
1.2.自然変異株におけるrseA破壊の確認
変異株 Bおよび変異株 DにおいてrseAが破壊されているかをPCRにより確認した。その方法としては図4に概略を示した通りであり、遺伝子破壊により欠失される領域の検出をI.のPCRにて、遺伝子破壊用のDNA断片が目的とする場所に正しく導入されているかの検出を、II.(DNA断片導入の5’側の確認)およびIII.(DNA断片導入の3’側の確認)のPCRにて行っている。なお、遺伝子破壊用DNA断片の導入は、遺伝子破壊時に導入したDNA断片内に設計されたオリゴヌクレオチドプライマーと、遺伝子断片が導入された部位の外側のゲノム上の領域に設計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いたPCRを行うことにより確認している。
【0057】
2つの自然変異株を、YG液体培地(1Lあたりの組成で、酵母エキス5.0g、グルコース10g、×1000トレースメタル 1mL、初期pH6.5)にて3日間振とう培養し、プロメガ社のWizard Genomic DNA Purification Kitを使用しゲノムDNAを調製した。これを滅菌水により希釈しPCR用の鋳型DNAとして使用した。PCR用のオリゴヌクレオチドプライマーとしては、I.領域の検出には配列番号3および4に示すものを、II.に示す領域の検出には配列番号5および6に示すものを、III.に示す領域の検出には配列番号7および8に示すものを用いた。PCR用の酵素には、東洋紡株式会社のKOD Fx neoを使用した。PCRによる確認結果を図5に示した。IからIIIのいずれの領域を増幅し検出を行った際にも、自然変異株は、rseA破壊株と同じ増幅パターンを示した。これは、変異株 Bおよび変異株 DのrseAが破壊されていることを示しており、さらにこの2つの自然変異株は、破壊したはずのrseAが野生型のrseAに復元された復帰変異株ではなく、ゲノム上のrseA以外の領域に変異を有する、抑圧変異株であることを示唆するものであった。
【0058】
1.3.抑圧変異株の表現型観察
アスペルギルス・ニデュランスのDRA株、変異株 Bおよび変異株 DをMMGp最少寒天培地に植菌した。また、比較対象として、野生型株であるwtRA株(Ogawa, M., et al. (2021). J. Biosci. Bioeng., 131, 589)も、最少寒天培地に植菌した。これらの株を37℃で60時間培養後のコロニーの写真を図6に示した。DRA株では分生子形成能が大幅に低下しているため、コロニーの色が全体的に薄くなっているが、変異株 Bと変異株 DではwtRA株と同様に、コロニーに濃い緑色の部分が存在していたことから、これらの株では分生子形成が回復されているものと思われた。
【0059】
1.4.走査型電子顕微鏡観察用サンプルの固定化処理
上記コロニーについて、走査型電子顕微鏡(SEM)での高倍率の観察を行うことにより、各株の分生子の形成状態を直接的に調べることを試みた。SEM観察では、試料の前処理(固定化処理)が必要なため、以下の操作を行った。
最少寒天培地で60時間培養した各検体のコロニーを、2mm角に切り出し、2%のパラフォルムアルデヒドと2%のグルタルアルデヒドを含む100mMカコジル酸緩衝液(pH7.4)にて一晩、前固定した。これを、1%タンニン酸を含むカコジル酸緩衝液にて2時間固定したのち、さらに2%のオスミウム酸を含むカコジル酸緩衝液にて3時間固定した。固定化したサンプルは、エタノールの濃度グラジェントにより脱水し、tert-ブチルアルコール凍結乾燥法により乾燥させた後、オスミウムプラズマコーターにより処理した。
【0060】
1.5.抑圧変異株のSEM観察
固定化処理を行った検体を、日本電子製の走査型電子顕微鏡JSM-7500Fにより観察した(図7)。wtRA株では正常な頂嚢が形成され、そこに大量の分生子が形成されているが、DRA株では頂嚢の数が非常に少なくなり、形成されている頂嚢も、未発達の分生子形成数が少ないものしかない状態であった。一方、2つの抑圧変異株では正常な頂嚢が形成されており、そこにwtRA同様に大量の分生子が形成されていた。このように抑圧変異株では、電子顕微鏡レベルで観察しても、分生子形成が回復していることが分かった。また、抑圧変異株では頂嚢がwtRAよりも密集して形成されている様子が見られた。そのため抑圧変異株では、コロニー全体としての分生子形成量が野生型株であるwtRA株よりも多くなることが示唆された。
【実施例0061】
抑圧変異株とDRA株の次世代ゲノムシーケンス解析による抑圧変異原因遺伝子候補の同定
【0062】
2.1.次世代ゲノムシーケンス解析
2つの変異株における抑圧変異の原因遺伝子候補を絞り込むため、親株であるDRA株と2つの抑圧変異株の次世代シーケンサーを用いた全ゲノム解析を実施した(図8)。各検体をYP液体培地にて3日間振とう培養後、プロメガ社のWizard Genomic DNA Purification Kitを使用し菌体よりゲノムDNAを抽出した。これをさらにRNaseAにより処理し、混入しているRNAを分解したのち、キアゲン社のDNeasyミニカラムにて精製した。この精製ゲノムDNAを用いて次世代ゲノムシーケンス用のライブラリーを調製し、イルミナ社のHi-Seq2500を用いた100bp-paired endリードによるシーケンス解析を実施した。各検体の全リード数は、22.8Mから26.9Mで、いずれの検体もQ30を超える塩基の割合は92%以上であった。次に、ショートリードのシーケンス結果を、既知のアスペルギルス・ニデュランスのゲノム配列にマッピングした。マッピング時のリファレンス配列には、アスペルギルス・ニデュランスFGSC A4株のゲノムシーケンスのデータを使用した(Galagan, J.E., et al.(2005) Nature 438, 1105)。各検体のマッピング率は94.4% から98.4%であり、50× Depth以上を達成している割合は最も低いサンプルで90.8%であった。
【0063】
2.2.各抑圧変異株において特異的にみられる変異の同定
マッピングデータより、シーケンスの品質が低いことにより生じたと考えられるエラーを除外したのち、各変異株に特異的に生じている変異を同定した(表1及び2)。
【0064】
ゲノムシーケンス解析により見出された変異箇所
A.変異株 Bにおいて見出された変異部位(No.1 vs No.2)
【表1】
【0065】
B.変異株 D株において見出された変異部位(No.1 vs No.3)
【表2】
【0066】
変異株 Bでは、親株であるDRA株と比べて4か所の変異が見られ、そのうち遺伝子上への変異は3か所であった。また、変異株 Dではゲノム上に3か所の変異が見られ、そのうち遺伝子上への変異は1か所であった。2つの抑圧変異株で変異が生じていた遺伝子の中で、AN5849には、変異株 Bでは311~317の間でのCの1塩基欠失、変異株 Dでは2870~2876の間でのCの1塩基挿入の変異が導入されていた。AN5489は配列番号1に示す全長3,571bpの7つのエクソンより構成される遺伝子であり、配列番号2に示す1,077残基のアミノ酸よりなる、Zn2Cys6型の推定転写制御因子をコードする遺伝子であった。
【0067】
各抑圧変異株のsrdA上に生じた変異の遺伝子産物への影響をそれぞれ調べた。変異株 Bの変異は、srdAのエクソン1でフレームシフトとプレターミネーションを引き起こし、結果として本遺伝子産物のDNA結合ドメインや核移行シグナルなどの機能性部位を含む大部分の領域を欠失させるものであった。一方、変異株 Dの変異については、エクソン6上でフレームシフトとプレターミネーションを引き起こし、結果として本遺伝子産物のC末端領域に存在する核移行シグナルを欠失させるものであった。このように、変異株 Bと変異株 Dで見られたsrdA上への変異は、いずれも本遺伝子産物の構造に影響を及ぼすものであったため、AN5849は各変異株における抑圧変異の原因遺伝子の有力な候補であると考えられた。そのため本遺伝子をsrdA(uppressor gene for the conidiation defect of the seA eletion mutant)と名付け、さらなる解析を行った。
【0068】
変異株 BおよびDのsrdA上で変異が見られた領域を、アスペルギルス属糸状菌のsrdAオーソログ間で比較した結果を図9に示した。なお前述の通り、各抑圧変異株でのsrdAの変異は、いずれもエクソン上のものであることが分かったため、本比較はいずれもイントロンを含まないcDNAの配列を用いて実施した。比較に使用したアスペルギルス属糸状菌におけるsrdAオーソログの遺伝子配列のNCBI RefSeq アクセッション番号は、アスペルギルス・ニデュランス:XM_050612698.1、アスペルギルス・アクレアタス:XM_020202259.1、アスペルギルス・クラバツス:XM_001267733.1、アスペルギルス・フィシェリ:XM_001260313.1、アスペルギルス・フミガタス:XM_750046.1、アスペルギルス・グラウクス:XM_022549687.1、アスペルギルス・ニガー:XM_001390599.2であった。また、アスペルギルス・オリゼのsrdAの遺伝子配列については、NCBI RefSeqにXM_023233154として登録が有るが、これは585bpしかない短い部分配列であった。そのためXM_023233154のデータと近縁種であるアスペルギルス・フラバスのsrdAの遺伝子配列(XM_041294894)、そしてアスペルギルス・オリゼの第7番染色体SC011の配列(GenBank: AP007171.1)をもとに、3,204bpよりなるアスペルギルス・オリゼのsrdAのイントロンを含まない遺伝子配列をマニュアルで予測した(配列番号9)。これをアスペルギルス・オリゼのsrdAの遺伝子配列として使用し、図9に示す塩基配列のアラインメントの作成に使用した。その結果、いずれの抑圧変異株での変異部位の配列についても、アスペルギルス属糸状菌間で保存されておらず、むしろアスペルギルス・ニデュランスにおいて同一塩基が連続する特徴的な配列であったため、他のアスペルギルス属糸状菌のsrdAオーソログよりも対象部位への自然変異が導入されやすい状況にあった可能性が有ると思われる。
【実施例0069】
3.1.rseAsrdA二重破壊株の表現型観察に使用する菌株の作製
【0070】
実施例3では、実施例4の表現型観察で使用するための菌株の作製を行っている。本実施例で作製する菌株を、図10に系統図として示した。ここで最終的な目的としている株は、いずれも図10で右側に記載されているものであり、N3149RP-DRS株(rseAsrdA二重破壊株)、N3149RP-DS株(srdA単独破壊株)、N3149RP-DR株(srdA単独破壊株)、およびN3149RP-C株(コントロール株)の4種である。以降、個々の株の作製過程について詳細な記述を行う。
【0071】
3.2.N3149RP株にてrseAを破壊した株の作製
srdAが抑圧変異の原因遺伝子であるかを調べるために、rseAとsrdAの二重遺伝子破壊株を作製した。その第一段階として、アスペルギルス・ニデュランス N3149RP株のrseAを、pyrGマーカーを使用し破壊した。なお、N3149RP株は、アスペルギルス・ニデュランス NISL3149株の系統の、ウラシルとリボフラビンの栄養要求性マーカーを有する宿主株である。rseAの破壊は図4に示すDRA株と同じ方法にて実施した。遺伝子破壊用断片にて相同組換えに使用する5’側の領域については配列番号10および11に示すものを、3’側の領域については配列番号12と13に示すものを、そしてpyrGマーカーについては配列番号14および15に示すものをオリゴヌクレオチドプライマーとして用い、PCRにより増幅した。酵素には、正確性の高い東洋紡株式会社のKOD plus neoを使用し、鋳型DNAにはアスペルギルス・ニデュランス NISL3149株より調製したゲノムDNAを使用した。得られた各DNA断片をゲル抽出により精製後、混合し、これらをフュージョンPCR(Kuwayama, H. et al. Nucleic Acids Res. 30, e2, 2002)により結合させた。フュージョンPCRには配列番号10および配列番号13に示すオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。酵素にはKOD plus neoを使用した。このフュージョンPCR産物を、宿主株であるアスペルギルス・ニデュランス N3149RP株に導入し、pyrGポジティブセレクションにより選抜し形質転換体を得た。このN3149PR株のrseAを破壊した株を、N3149RP-rd2株と名付けた。
【0072】
N3149RP-rd2株のrseA破壊はサザンハイブリダイゼーションにて確認した。サザンハイブリダイゼーションは、ロシュ・ダイアグノスティクス社のジゴキシゲニン(DIG)ラベリングシステムを使用した。DIGラベルプローブは、アスペルギルス・ニデュランス・NISL3149株のrseA全長をpUC118ベクターにクローニングしたプラスミドであるpUC―rseA3.7Kを鋳型とし、配列番号16と配列番号17に示すオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、反応液にDIG DNAラベリングミックスを加えた状態でのPCRを行い調製した。PCR用の酵素には東洋紡株式会社のKOD Fx neoを使用した。
【0073】
N3149RP-rd2株のrseA破壊のサザンハイブリダイゼーションによる確認の概要を図11に示した。rseAが破壊されていない野生型の状態であると、3.5kbの断片が検出されるが、破壊されている場合には4.2kbのバンドが検出される。形質転換体のサザンハイブリダイゼーションの結果、4つのサンプルではいずれも4.2kbのバンドのみが検出されたため、N3149RP-rd2株ではrseAが破壊されていることが分かった(図12)。
【0074】
3.3.N3149RS-rd2株およびN3149RP株にてsrdAを破壊した株の作製
【0075】
rseAsrdA二重破壊株作製の第二段階として、N3149RP-rd2株のsrdAを、riboBマーカーを使用し破壊した。またsrdA単独破壊株を得るために、宿主株であるN3149RP株にてsrdAを破壊した株の作製も併せて実施した。riboBマーカーを用いたsrdAの破壊方法は、図13に示した通りである。
【0076】
3.4.riboBマーカーカセットを保持するプラスミド(pUC-PTgpdA-riboB)の構築
srdA破壊で使用するriboBマーカーカセットを、以下の手順にて調製した。riboB遺伝子は、発現状態を安定させることを目的とし、解糖系酵素の遺伝子であるgpdA遺伝子のプロモーター(PgpdA)とターミネーター(TgpdA)を利用し発現させるようにした。gpdAプロモーターは配列番号18および19の、gpdAターミネーターは配列番号20および21の、そしてriboBのORF部分は配列番号22および23のオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、アスペルギルス・ニデュランス NISL3149株のゲノムDNAを鋳型としたPCRにより増幅させた。PCR用の酵素には東洋紡株式会社のKOD plus neoを使用した。増幅したフラグメントをゲル抽出にて精製後、それらを3つのフラグメントを混合し、フュージョンPCRにて結合させた。フュージョンPCRには、配列番号17と配列番号22のオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。本フュージョンPCR産物は、pUC118のHincIIサイトにSLiCE法(Motohashi, K.(2015). BMC Biotechnol. 15, 47)にて導入するための配列が末端に付加された状態となっている。このフュージョンPCR産物をゲル抽出にて精製後、タカラバイオ株式会社より購入した、HincII消化および脱リン酸化処理済みのpUC118に、SLiCE法により導入した。得られたプラスミドは、pUC-PTgpdA-riboBと名付けた。
【0077】
3.5.srdA全長をpUC118にクローニングしたプラスミドの構築
配列番号24および25のオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、アスペルギルス・ニデュランスNISL3149株のゲノムDNAを鋳型としたPCRによりsrdAの全長を増幅した。PCR用の酵素には東洋紡株式会社のKOD plus neoを使用した。なお、配列番号24および25に示すオリゴヌクレオチドプライマーにはpUC118のHincIIサイトにSLiCE法で導入するための配列を5’末端側に付加している。得られたPCR産物をゲル抽出により精製後、pUC118にSLiCE法により導入した。本プラスミドはpUC-AN5849と名付けた。
【0078】
3.6.srdA破壊用断片を保持するプラスミド(pUC-AN5849-DEL)の構築
pUC-AN5849を適宜滅菌水で希釈しこれを鋳型としたPCRを実施し、SLiCE反応に使用する線状化したプラスミドを増幅した。オリゴヌクレオチドプライマーには配列番号26および27に示すものを使用し、酵素にはタカラバイオ株式会社のPrimeSTAR Maxを使用した。これに併せて、pUC-PTgpdA-riboBより、riboBマーカーカセットを配列番号28と29に示すオリゴヌクレオチドを用いたPCR反応により増幅した。なお、配列番号28と29のオリゴヌクレオチドプライマーには、線状化したpUC-AN5849にSLiCE反応で導入するための配列を5’側に付加してある。これら2つのDNAフラグメントをSLiCE反応により結合させることにより、srdA破壊用断片を保持するプラスミドを得た。本プラスミドは、pUC-AN5849-DELと名付けた。
【0079】
3.7.N3149RP株およびN3149RP-rd2株おいてsrdAを破壊した株の作製
pUC-AN5849-DELより、配列番号24および25に示すオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、srdA破壊用のDNAフラグメントをPCRにより増幅した。PCR用の酵素には、タカラバイオ株式会社のPrimeSTAR Maxを使用した。得られたsrdA遺伝子破壊用断片をアスペルギルス・ニデュランス N3149RP株(宿主株)およびN3149RP-rd2株(rseA破壊株)に導入し、riboBポジティブセレクションによりそれぞれ形質転換体を得た。N3149RP株RP-rd2のsrdAを破壊したrseAsrdA二重破壊株はN3149-DRS株と、N3149RP株のsrdAを破壊した株はN3149RP-ds1株と、それぞれ名付けた。
【0080】
3.8.N3149RP株およびN3149RP-ds1株において、pyrGマーカーを相補したコントロール株の作製
N3149RP株にてpyrGマーカーとriboBマーカーを相補した株(コントロール株)を得るための第一段階として、N3149RP株においてpyrGマーカーを相補した株を作製した。また、srdA単独破壊株であるN3149RP-ds1株はウリジン要求性を有する株であるため、本株のpyrGマーカーの相補も併せて実施した。pyrGマーカー相補の概要は図14に示す通りである。相同組換えに使用する5’側のDNAフラグメントは配列番号30および31の、3’側のDNAフラグメントは配列番号32および33の、そしてpyrGマーカーは配列番号34および35のオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、アスペルギルス・ニデュランス NISL3149株のゲノムDNAを鋳型としたPCRにより増幅した。なお、配列番号31、32、34および35のプライマーの5’側には、フュージョンPCRの際に利用する配列が付加してある。酵素には東洋紡株式会社のKOD plus neoを使用した。得られた3つのPCR産物をゲル抽出にて精製後、混合し、フュージョンPCRにて結合させた。フュージョンPCRには配列番号30および33のオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。得られたフュージョンPCR産物を、アスペルギルス・ニデュランス N3149RP株、またはN3149-sd1株に導入し、形質転換体を得た。pyrGマーカーを相補したN3149RP株をN3149RP-p1株と、またpyrGマーカーを相補したN3149RP-sd1株をN3149RP-DS株とそれぞれ名付けた。
【0081】
3.9.N3149RP-p1株にriboBマーカーを相補した株の作製
N3149RP株にpyrGとriboBを相補したコントロール株を作製する第二段階として、N3149RP-p1株のAN7725とAN7726の遺伝子間領域にriboBマーカーカセットを導入したマーカー相補株の作製を行った(図15)。配列番号36と37に記載したオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、AN7725とAN7726の遺伝子間領域を含むDNAフラグメントを増幅した。オリゴヌクレオチドプライマーには、SLiCE反応によりpUC118のHincIIサイトに導入するための配列を5’側に付加していたため、これを利用し、増幅したDNAフラグメントをpUCベクターに導入した。本プラスミドは、pUC-PSIGと名付けた。次に、配列番号38と39に示すオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、pUC-PSIGを鋳型としたPCRを実施しSLiCE反応に使用する線状化したプラスミドを得た。PCR用の酵素にはタカラバイオ株式会社のPrime STAR Maxを使用した。また、配列番号40と41に記すオリゴヌクレオチドプライマーを用い、pUC-PTgpdA-riboBを鋳型としたPCRを実施し、riboBマーカーカセットを増幅した。線状化したプラスミドおよびriboBマーカーカセットをSLiCE反応により結合させ、riboB相補用のDNAフラグメントが導入されたプラスミドである、pUC-PSIG-riboBを得た。
【0082】
pUC-PSIG-riboBを適宜滅菌水により希釈後、配列番号42と43に示すオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、riboB相補に利用するDNAフラグメントをPCRにより増幅した。酵素にはタカラバイオ株式会社のPrime STAR Maxを使用した。増幅したriboBマーカー相補用のDNA断片を、アスペルギルス・ニデュランス N3149RP-p1に導入し形質転換体を得た。N3149RP-p1株においてriboBマーカーを相補したコントロール用の菌株を、N3149RP-C株と名付けた。
【0083】
3.10.N3149RP-rd2株においてriboBマーカーを相補した株の作製
rseA単独破壊株であるN3149-rd2株は、リボフラビン要求性を有する株であるため、riboBマーカーの相補を実施した。pUC-PSIG-riboBより、配列番号42と43に示すオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、riboB相補に利用するDNAフラグメントをPCRにより増幅した。酵素にはタカラバイオ株式会社のPrime STAR Maxを使用した。得られたriboB相補用のDNAフラグメントを、N3149RP-rd2株に導入し形質転換体を得た。このriboBを相補したN3149RP-rd2株はN3149RP-DR株と名付けた。
【0084】
3.11.N3149RP-DRS株およびN3149RP-DS株におけるsrdA破壊のPCRによる確認
srdA破壊のPCRによる確認の概要を図13に示した。srdA遺伝子破壊により欠失される領域の検出をI.のPCRにて、遺伝子破壊用のDNA断片が目的とする場所に正しく導入されているかの検出を、II.(DNA断片導入の5’側の確認)およびIII.(DNA断片導入の3’側の確認)のPCRにて行っている。なお、遺伝子破壊用DNA断片導入は、遺伝子破壊時に導入したDNA断片内に設計されたオリゴヌクレオチドプライマーと、遺伝子断片が導入された部位の外側のゲノム上の領域に設計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いたPCRを行うことにより確認している。
【0085】
PCR用のオリゴヌクレオチドプライマーとしては、I.領域の検出には配列番号44および45に示すものを、II.に示す領域の検出には配列番号46および47に示すものを、III.に示す領域の検出には配列番号48および49に示すものを用いた。PCR用の酵素には、東洋紡株式会社のKOD Fx neoを使用した。鋳型DNAに各形質転換体より調製したゲノムDNAを使用し、PCR用の酵素には東洋紡株式会社のKOD Fx neoを用いた。rseAsrdA二重破壊株であるN3149RP-DRS株のsrdA破壊を確認した結果を図16に示した。srdAが正しく破壊されている場合には、Iではバンドが検出されず、IIおよびIIIでバンドが検出されるが、このパターンを示す形質転換体が複数存在することが確認された。そのため、N3149RP-DRS株においてsrdAが正しく破壊されている株が得られていることが分かった。また、同様の確認をsrdA単独破壊株であるN3149RP-DS株でも実施したところ、二重破壊株のものと同様にIではバンドが検出されず、IIおよびIIIでバンドが検出されるパターンの株が複数得られていることが分かった(図17)。このことから、srdA単独破壊株の系列でもsrdAが正しく破壊されている株が得られていることが分かった。
【0086】
3.12.N3149RP-p1株およびN3149RP-DS株におけるpyrG相補のPCRによる確認
形質転換体のpyrG相補のPCRによる確認の概要を図14に示した。pyrGマーカーの相補に使用したDNA断片が導入される部分の外側の領域に、配列番号50と51に示すオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。本プライマーセットを利用してPCRを行った場合、pyrG相補が行われていない株では5.1kbのバンドが検出されるが、pyrGが相補されている株の場合には7.2kbのバンドが検出される。この方法でN3149RP-p1株のpyrG相補を確認した結果を図18左側に示した。N3149RP-p1の系列株では、TF-2以外の全ての形質転換体においてpyrGマーカーが相補されていることが確認された。また、同様の確認をN3149PR-DS株でも実施した(図18右側)。その結果、srdA単独破壊株であるN3149RP-DS株でも、pyrGマーカーが正しく導入できている株が得られていることが分かった。
【0087】
3.13.N3149RP-C株およびN3149RP-DR株におけるriboB相補のPCRによる確認
形質転換体のriboB相補のPCRによる確認の概要を図14に示した。riboBの相補に使用したDNA断片が導入される部分の外側の領域に、配列番号52と53に示すオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。本プライマーセットを利用してPCRを行った場合、riboB相補が行われていない株では4.1kbのバンドが検出されるが、riboBが相補されている株の場合には7.0kbのバンドが検出される。この方法でN3149RP-C株を確認した結果を図19左側に示した。N3149RP-Cのでは、いずれの検体でも7.0kbのバンドが検出されており、これらの形質転換体では目的とする領域に正しくriboBマーカーを導入できていることが確認された。また、同様の確認をN3149PR-DR株にて実施した(図19右側)。この系列の形質転換体の場合、全ての検体で7.0kbのバンドが検出された。このことから、rseA単独破壊株であるN3149RP-DRにおいてもriboBマーカーが正しく導入できている株が得られていることが分かった。
【実施例0088】
rseAsrdA二重破壊株およびsrdA単独破壊株の表現型の観察
【0089】
4.1.MMGP最少寒天培地上でのコロニーの表現型の観察
N3149RP-DRS株(rseAsrdA二重破壊株)、N3149RP-DR(rseA単独破壊株)、N3149RP-DS株(srdA単独破壊株)、およびN3149RP-C(野生型コントロール株)の分生子をMMGp最少寒天培地に植菌し、37℃で60時間培養後、その表現型を観察した(図20)。実施例1のDRA株と同様に、rseA破壊株であるN3149-DR株では、分生子形成能が低下しており、コロニーの色が薄くなっている。一方、rseAsrdA二重破壊株であるN3149-DRS株では、コロニーに濃い緑色の部分が認められたことから、分生子形成能が大幅に回復していることが示唆された。この表現型は、実施例1に示した変異株 Bおよび変異株 Dと同様のものであった。また、srdAの単独破壊株であるN3149-DS株の表現型は、野生型株であるN3149RP-Cよりも、二重破壊株のN3149RP-DRS株に近いものであった。
【0090】
4.2.rseAsrdA二重破壊株およびsrdA単独破壊株のSEM観察
上記の最少寒天培地上で60時間培養した検体のコロニーを、2mm角に切り出し、SEM観察用試料の固定化処理を実施した。なお本固定化処理は、実施例1に記した抑圧変異株の固定化処理と同じ手順にて実施した。これら固定化済みの検体を、日本電子製の走査型電子顕微鏡JSM-7500Fにより観察した(図21)。rseA破壊株であるN3149RP-DR株では、頂嚢の数が減少するとともに、非常に小さく分生子数が少ない異常な頂嚢しか形成されず、分生子形成数の大幅な減少が引き起こされている様子が見られる。一方、rseAsrdA二重破壊株では、頂嚢がコントロール株であるN3149RP-Cよりも密集して存在しており、結果的にコントロール株以上にコロニーあたりの分生子量が増える状態であると考えられた。この表現型は、実施例1に記した変異株 Bおよび変異株 Dにて見られたものと同じであった。このことから、推定転写制御因子であるsrdA(AN5849)の機能欠失が、2つの変異株で見られた抑圧変異の原因であることが分かった。また、srdAの単独破壊株ではrseAsrdA二重破壊株と同様に、野生型株と比べて頂嚢が密集して存在するようになり、コロニーあたりの分生子数が野生株よりも増加する傾向が見られた。このように、srdAだけを破壊しても野生型と比べて分生子数が増加したことから、推定転写制御因子であるSrdAは、アスペルギルス・ニデュランスの分生子形成を抑制する働きをしていることが示唆された。また、srdA単独破壊株とrseAsrdA二重破壊株は同じ表現型を示したことから、SrdAはRseAよりも下流側で機能する因子であると考えらえる。
【0091】
4.3.srdA破壊がrseA破壊株の分生子形成能を回復させるメカニズムの推定
実施例1から4に記載したデータおよびrseA破壊株に関する既に公知の文献のデータを用いて、推定転写制御因子をコードするsrdAの遺伝子破壊がどのようにしてrseA破壊株の分生子形成能を回復させるのか、そのメカニズムを推測した(図22)。RseAは細胞壁に関連した酵素であると予想されており、rseA破壊株では細胞壁に異常が生じることが報告されている(Feng, X., et al.(2017). Mol. Microbiol. 105, 1; Ogawa, M., et al. (2021). J. Biosci. Bioeng., 131, 589)。また、rseA破壊株で生じた細胞壁の異常が、細胞壁のメンテナンス・維持に関連する細胞内シグナルでシグナル伝達経路であるCell wall integrity (CWI)経路やHigh-osmolarity glycerol (HOG)経路の過剰な活性化を引き起すことが知られており(Ogawa, M., et al. (2021). J. Biosci. Bioeng., 131, 589)、さらにこれが分生子形成制御系に伝わることで、rseA破壊株の分生子形成が極度に抑制されると考えられる。一方、実施例4に示す通り、rseAsrdA二重破壊株では分生子形成能が大幅に回復したことから、SrdAはrseA破壊株の分生子形成の抑制に主要な役割をしている因子であると言える。またSrdAが転写制御因子であることから考えると、本転写制御因子は細胞内のシグナルによる制御を受けて分生子形成をコントロール(抑制)する可能性が高い。従って、破壊や変異によりSrdAが機能しなくなった場合には、rseA破壊によって生じる細胞壁異常に起因した細胞内のシグナルが、結果として分生子形成制御系に伝わらない状態となり、分生子形成能が低下した状態からの著しい回復が見られるものと考えられる。本推定メカニズムからすると、srdA破壊および機能欠失による分生子形成能の回復の効果は、rseA破壊株に限定されるものでは無く、細胞壁や細胞内シグナル伝達系の異常等に起因する様々な原因の分生子形成不全に対しても有効であると予想される。
【実施例0092】
5.1.子嚢菌門に分類される糸状菌におけるSrdAオーソログの系統解析
各糸状菌におけるSrdAオーソログの存在を調べるために、アスペルギルス・ニデュランスのSrdAの配列である配列番号2に示すアミノ酸配列をクエリーとし、 NCBI nrのデータベース(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/)をBLASTpのプログラム(Altschul, S.F., et al.(1990)J. Mol. Biol. 215,403)を用いて検索した。その結果をもとにSrdAオーソログの系統樹を作成した。アミノ酸配列のアラインメントにはClustalW2.0 (Larkin, M. A. et al.(2007). Bioinformatics 23, 2947)のアルゴリズムを利用し、系統樹の作成にはMEGA11(Tamura, K. et al.(2021). Mol. Biol. Evol. 38, 3022)を用いた。系統樹の作成に使用したSrdAオーソログの生物種とそのアミノ酸配列のNCBI RefSeqまたはGenBankアクセッション番号は、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans):XP_050467077.1、アスペルギルス・クラバツス(Aspergillus clavatus):XP_001267734.1、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus):XP_755139.1、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger):XP_001390636.2、アスペルギルス・アクレアタス(Aspergillus aculeatus):XP_020059707.1、アスペルギルス・フィシェリ(Aspergillus fischeri):XP_001260314.1、アスペルギルス・グラウクス(Aspergillus glaucus):XP_022401682.1、ペニシリウム・ルーベンス(Penicillum rubens):KAF3031016.1、タラロマイセス・マルネッフェイ(Talaromyces marneffei):XP_002146493.1、 ピリクラリア・オリゼ(Pyricularia oryzae):XP_003709896.1、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea):XP_024550793.1、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia scleotiorum):APA11859.1、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa):XP_959206.3、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei):XP_006966347.1、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxyporum):EWZ37522.1、であった。なお、麹菌アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)のSrdAオーソログのアミノ酸配列は、XP_023093687.1としてNCBI RefSeqのデータベースに登録されているが、これは実施例2にて記した遺伝子配列と同様に、194残基の短いアミノ酸配列よりなる部分配列であった。そのため、マニュアルの遺伝子予測によって得られたアスペルギルス・オリゼのsrdAの塩基配列(cDNAの配列)である配列番号9を、コドン表に従って翻訳し(配列番号54)、これをアスペルギルス・オリゼのSrdAのアミノ酸配列として系統樹の作成に使用した。
【0093】
SrdAオーソログの系統樹を図23に示した。子嚢菌門に属する糸状菌においてSrdAのオーソログは広く保存されていることが分かった。また、アスペルギルス属糸状菌のSrdAオーソログは、系統樹上で一つのまとまった位置に存在していた。これは、アスペルギルス属糸状菌間のSrdAオーソログのアミノ酸配列に保存性があることを示唆するものである。
【実施例0094】
アスペルギルス属糸状菌におけるSrdAオーソログのアミノ酸配列の同一性と機能性モチーフの保存性
実施例5に示した8種類のアスペルギルス属糸状菌のSrdAオーソログのアミノ酸配列について、CluwtalW2.0のプログラムを使用しアラインメントしたのち、各SrdAオーソログ間のアミノ酸配列の同一性を調べた(図24)。アスペルギルス・ニデュランスのSrdAと各アスペルギルス属糸状菌のSrdAオーソログのアミノ酸配列の同一性は、52~54%であった。また、SrdAの転写制御因子として機能するために重要なモチーフである、Fungal Zn2Cys6 zinc binuclear motif (DNA結合ドメイン)および核移行シグナル周辺のアミノ酸残基の保存性を、8種類のアスペルギルス属糸状菌のSrdAオーソログ間で比較した(図25)。その結果、DNAドメインにおいて重要な働きをすると考えられる6つのシステイン残基(MacPherson, S., et al.(2006). Microbiol. Mol. Biol. Rev. 70, 583)や、核移行シグナルで重要な働きをすると考えられる塩基性のアミノ酸残基は(Lange, A., et al.(2007) J. Biol. Chem. 282, 5101)、これらSrdAオーソログ間で極めて高度に保存されていた。以上のことから、アスペルギルス属糸状菌のSrdAオーソログ間では、その転写制御因子としての機能も保存されている可能性が高いと考えられる。従って、srdAの破壊や機能欠失は、アスペルギルス・ニデュランスに限定されず、麹菌アスペルギルス・オリゼなどの他のアスペルギルス属糸状菌でも、分生子形成能を増大させる効果が有るものと予想される。
【実施例0095】
変異株 Bの菌体外キシラナーゼ生産性の評価
推定糖転移酵素をコードするrseAのアスペルギルス・ニデュランスにおける破壊株は、固体培養を実施した際に、キシラナーゼやマンナナーゼ、そしてプロテアーゼなどのいくつかの菌体外酵素を、野生株と比べて高生産することが知られている(Ogawa, M., et al. (2021). J. Biosci. Bioeng., 131, 589)。そこで、rseA破壊条件下で変異によりほぼ完全にsrdAが機能欠失していると考えられる変異株 Bの菌体外酵素生産性を調べることで、srdAの機能欠失が、rseA破壊によって引き起こされる菌体外酵素生産能の向上に影響を及ぼすかを調べた。なおここでは、キシラナーゼを菌体外酵素の代表例として用い評価を行った。
【0096】
アスペルギルス・ニデュランスの野生型株であるwtRA株とrseA破壊株であるDRA株、そして変異株 B(ΔrseA,srdA-)を1Mのスクロースを含むMMGp最少寒天培地に植菌し、7日間培養することにより各コロニー上に分生子を形成させた。この分生子を、滅菌水により回収し、滅菌したミラクロス(メルクミリポア社製)によりろ過することにより混入している菌糸を除去したのち、血球計算盤(トーマ)を使用し懸濁液中の分生子数をカウントした。滅菌水を用いて各分生子懸濁液を12,000,000個/mLになるように希釈した。次に、小麦フスマ62.5gと精製水50mLを良く混合後、10gずつ三角フラスコに分取し、綿栓により蓋をしてオートクレーブにより滅菌した。この滅菌済みの小麦フスマに、12,000,000個/mLに希釈した分生子懸濁液を250μLずつ植菌し良く混合したのち、37℃で3日間、相対湿度を90%以上に保ち培養した。培養終了後、本固体培養サンプル4gを50mLのポリプロピレンチューブに分取し、ここに20mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を16mL加え良く混合後、4℃で一晩静置した。これをさらに濾紙により濾過することにより固形物を除き、菌体外酵素抽出液を得た。
【0097】
上記菌体外酵素抽出液を使用し、キシラナーゼ活性の測定を行った。基質には、メガザイム社より購入したAzo-キシラン(バーチウッド由来)(S-AXBP)を用い、本製品の取扱説明書に従い活性測定を実施した。菌体外酵素液は適宜、100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)により希釈し活性測定に使用した。酵素のユニット値は、Azo-キシランの取扱説明書に記載されているアスペルギルス・ニガー由来のキシラナーゼを利用し作成された検量線を用い、590nmにおける各検体の吸光度をもとに算出した。なお、本試験については各検体とも培養から独立した3連で実施した。
【0098】
図26には、wtRAにおける3連の実験結果の平均値を100%とした時の、各検体の相対キシラナーゼ活性の測定結果を示した。なお本グラフは、いずれの系列も3連で実施した試験結果の平均値をプロットしたものである。過去の報告にある通りrseA破壊株であるDRA株では、キシラナーゼ活性が野生型株と比較して118%にまで上昇していた(Ogawa, M., et al. (2021). J. Biosci. Bioeng., 131, 589)。また、変異株 BではDRAよりは若干低下するものの、114%と野生型株よりも高いキシラナーゼ活性が検出された。従ってsrdAの機能欠失は、rseA破壊による菌体外酵素生産の増加に対して、それほど大きな影響を及ぼさないと考えられる。そのため、srdAの破壊および機能欠失は、高い分生子形成能と酵素生産性を両立させた有用なアスペルギルス属糸状菌の創出に利用できることが期待される。
【配列表フリーテキスト】
【0099】
配列番号1
名称:アスペルギルス・ニデュランス由来 srdAの遺伝子配列
[NCBI RefSeq: NC_066257.1:c2036088-2032518](3,571bp)(イントロンあり)
ATGATTGTCGCATGCGATAGACCGCCTGTCGAGCATCTGCGCCCGCCCAACCCGCCTACGCGAGACGTCGGAGCTGCTAGCATGGAAATCGTCACCACGGAGGAGAAATCAAGGATCTTCCCCCAGTACTCCGGCCCCCCGCCTCCAATGCATCGCATCCCGCCCGCGGAAGCGCCGCATGGCTTGCCAGGGGCCCCGGGCCTGTACGATCAGCCATGGCGCCCGTATCCCCCATATGAAAACCACCATGCCGAACCACGGCGGGTCGCGAACAATGCTCCGCAGCCTCCACTATCCACGCATCCCAACTACCCCCCAATGCACAGTCGGGAGCTGCCACAGCTCCCTTCGGACGGTCCTTTTAGCCGGCCCGCCAGCCTACCTGTGCCCGCAGCCCACGCACCCCCCGAGCCCCCTCAGCCGCAGCATGCCAATTACCACCCGATGAACGGTGCCATGAATGGCGCACCACCGGAGGCGTCGCCCGTCTCTGCGCCCGACTACGCCAGAACTCGCATGTCGTTTCCACCCCAGGAGCAGATCGCCCACAGCAATGGAGATCCCCCGCCGCCGCCGCAATCGCTCCCTCCGAATCAATATCCAACCACTGTTCCGCCGCCGATGACTCACACGCCAGCTCCTAATTACGACCCCAATTACAATTTCCAGAATAGGAACCGTAAGCCGACTCGGGCGCAGCAGGTATGATTCCATGTTCTATGAGCAAAGCAGCTGGTCAGGCTGACTCTCCTTTTAATCCAGGCCTGCGACCAGTGTCGAACAAGAAAAGCAAAGTGTGATGAGGGGCGACCAGCGTGCAGCCATTGTAAAGAGAACAACTATGTTTGCGTCTATAAAGAAGTGCCCCCGCACAAGTCAGTGGTCGCCTACTTTTTCTTCAAGTGATTGTGCTAACCTGATGGCCCTTTAGGCAGGACAAGTCCACGCAACTTTTGTTGGACCGGATACAGCAGTTGGATGATCAGTTAAATGTTAGGCTCGAGGCTGCGGAGCGGCTTCACCTCGGTCACGACAAGACTCTTGATCAGATGTTCAAGGTCGTCGAGTGGATTCGCGATCAAGTGCCTCGAGTTTGGTCGCAGTACCCAGTAATTAAGGCGGACGGCTTTGATGCTCCCCAGAAACCTGAAACAAAGGAGCTAGTGACTACGGAAGTTGCGAAACCTAACGAGTTTGACCCTTTCACCAAATCACTCATCCAGACTGGAGAGGATGGCGAACTCTCCATCCCCGTGGAGCATACAACAGCAGCGCATAAATTGCTCACTTGGCCGACAATCAAGGAACTGCTTCATGGCTATGACGAGAATTATGTGATGAGGCTTGAACAGTCTCGCGGACTGGTTCGATTTGAGGGCCGGGGCGAGACGCAGGGAATGGACGATGGACTAGGCTATGAGGTTCCTTCACAGCAAACGAGCCTCAGCACCAGCTTCGATGATAATTTTTCTCAGTACACTACCCCCACAGGTGCGCCCTGGAGTACAGCTCCTAAGTATAACGAGGCTCCTCCTGAAGTCAGGGGTATCGATGAGTTTGGCGTGATGTCGATAGATGCTGATACTGTCCGCCGTTATGTCAAGAGCTACTTGGAACACATACACAGACTCCATCCCTTCCTGAATCCGGTCGATCTAGAAAGGAGAATTGATGAATTCATCGCCATGCATTGTCCGACGAGCTCCATGTCAGCACATGGACTTAGCGCGAGGAATCCGATCGATACATCCAACAGGGGTGCTAAACGGAAACGATCTGGTGAAACCTTACAGGCAATGGGTTATGATGGACGGTCGCCCACGTCAGGGAATTCTGACGGTATCCCGCCGCGGAGAGTGGAGAAAACAATGCGAAACGCAATCATCCTGCTTGTACTGGCGCTCGGCCGCATCTGCGAAGTTCGTGACGAGCCAATTCGTGGGCCATGTATCGACCACGTTATCGACTACCGCACTGAACAAATCCCTGGAGCACCACGACGCGGCCCGAGACCTGGACCGAGAACTCCAGCTGGGACAGATGCATTGCCCCTTCATCAGGGCAGCTTTCATTCACCATATGACGACCGCTTAGCACCTACTCCTACTGCAACGGATGAGAGGTTCATCACTCTCCCAGACCCCCCTCACCTGAAAAATGTGGACACCGTTCCGGGTTTTGTGTACTACGCCTATGCCGCTGGGATTCTAGCTGCAAGTCAAGGGGCAACATCACTTCCTTATGCCCAGGCTGCTTTATTGGCGGGCTTGTATATTGGCCAGCTGGCACATCCTTTTCAGAGTCATTCCTGGATCGCACAGGCAGCAAGAGCATGTCAGAATCTTACCCTAGCGTGAGTCTAAGTTATGGGGAACACTTTCTGGCAAATCACTGATCAACGGTTTTAGGATGAACTATGGGAGCCTGGAAGGCGATGAGAAGGACCTTGTCTGTTTTGCTTACTGGACTTGTCTGCAGCTTGAAAGGTACTTGCGCCTTCTGAACGCCAGTATAAAGCTTAAAGCTCACAGTATGTAGTGATATTTTGGCCGAGCTGGATCTTCCTGCTAGCGGAATTTCCCGCTCCGAGTCACGTATCGACCTCCCCCTAGGCTCAATGCTCAAATTATCCAACACTATCTCGGAGCCCGATACGATGATGATGTTCTTCTACTCCACGCAAATACACCTCCGGAAAGTACTAAACCGTGTGCATACAGATTTATACAAAGTTATCAGTGAGTCTCCTCGATACATCTTTGAAAATCACGCGTTCTAAGTCTTTTGCCACAGAGAAAGGAGAAAACAAGTGGAACGGGACTACACAGGAAATCCTTAGCATGAATCTTGAATTATGGAGGAGTAGTCTCCCCCCAGAAATGAGGTGGAATGACAACGATCCTCCATCCCCCGATATCAACCATGCGCGCATGAGGGCCAAGTATTGGGGTGCGCGGTACATCATCCATAGGCCGGTGCTCTTCCATGCCCTACATTTCTTAGGACCGAACGCATCAGGATCGGCAGTGGATTCGCCGGCTGGACTTGCAGGATCTCACACATCGCCGTCCTTGGCGCACGGCCAACGCGCTACTGATATGACGCGCATTTCAAGTGACTTGGGCACGTTGCAGAGCTCAAATGGGGCTCATTCATACCGTGATCTTCCACCGAAGATACGCAGGGCATGTGGATTGTGTGTGCAAAGCGCTATTCAGAGCACCATCGCTTTTGACGGGGTCAAAGGCCGCCCAGTGGTGACGAACATTTTCGGTACTGCTCATGCGTACGTCCAACATATCTAAATTATCCCCTTGTCCTATTGAGTCTGACCTACCGTAACAGGCAATTTGGGAATATGCTGGTCCTATCCACCACATACTTGTCACACCTCCAGGAGCTTGTGGATCGGAACGACCTCGAGAGACTTCTGCGGAGAACTATTGCTTTCTTGCTCCGGAACCGAAACATCTCGCCGACGTTACGGGTTGATGCAAAGATCCTCACTGATATATACGAGAAAATATTCGAGGCGCCGCCCATTCTTACCGACGTAAATTTACCACACTAG

配列番号2
名称:アスペルギルス・ニデュランス由来SrdAのアミノ酸配列[NCBI RefSeq: XP_050467077.1](1,077残基)
Met Ile Val Ala Cys Asp Arg Pro Pro Val Glu His Leu Arg Pro Pro Asn Pro Pro Thr
Arg Asp Val Gly Ala Ala Ser Met Glu Ile Val Thr Thr Glu Glu Lys Ser Arg Ile Phe
Pro Gln Tyr Ser Gly Pro Pro Pro Pro Met His Arg Ile Pro Pro Ala Glu Ala Pro His
Gly Leu Pro Gly Ala Pro Gly Leu Tyr Asp Gln Pro Trp Arg Pro Tyr Pro Pro Tyr Glu
Asn His His Ala Glu Pro Arg Arg Val Ala Asn Asn Ala Pro Gln Pro Pro Leu Ser Thr
His Pro Asn Tyr Pro Pro Met His Ser Arg Glu Leu Pro Gln Leu Pro Ser Asp Gly Pro
Phe Ser Arg Pro Ala Ser Leu Pro Val Pro Ala Ala His Ala Pro Pro Glu Pro Pro Gln
Pro Gln His Ala Asn Tyr His Pro Met Asn Gly Ala Met Asn Gly Ala Pro Pro Glu Ala
Ser Pro Val Ser Ala Pro Asp Tyr Ala Arg Thr Arg Met Ser Phe Pro Pro Gln Glu Gln
Ile Ala His Ser Asn Gly Asp Pro Pro Pro Pro Pro Gln Ser Leu Pro Pro Asn Gln Tyr
Pro Thr Thr Val Pro Pro Pro Met Thr His Thr Pro Ala Pro Asn Tyr Asp Pro Asn Tyr
Asn Phe Gln Asn Arg Asn Arg Lys Pro Thr Arg Ala Gln Gln Ala Cys Asp Gln Cys Arg
Thr Arg Lys Ala Lys Cys Asp Glu Gly Arg Pro Ala Cys Ser His Cys Lys Glu Asn Asn
Tyr Val Cys Val Tyr Lys Glu Val Pro Pro His Lys Gln Asp Lys Ser Thr Gln Leu Leu
Leu Asp Arg Ile Gln Gln Leu Asp Asp Gln Leu Asn Val Arg Leu Glu Ala Ala Glu Arg
Leu His Leu Gly His Asp Lys Thr Leu Asp Gln Met Phe Lys Val Val Glu Trp Ile Arg
Asp Gln Val Pro Arg Val Trp Ser Gln Tyr Pro Val Ile Lys Ala Asp Gly Phe Asp Ala
Pro Gln Lys Pro Glu Thr Lys Glu Leu Val Thr Thr Glu Val Ala Lys Pro Asn Glu Phe
Asp Pro Phe Thr Lys Ser Leu Ile Gln Thr Gly Glu Asp Gly Glu Leu Ser Ile Pro Val
Glu His Thr Thr Ala Ala His Lys Leu Leu Thr Trp Pro Thr Ile Lys Glu Leu Leu His
Gly Tyr Asp Glu Asn Tyr Val Met Arg Leu Glu Gln Ser Arg Gly Leu Val Arg Phe Glu
Gly Arg Gly Glu Thr Gln Gly Met Asp Asp Gly Leu Gly Tyr Glu Val Pro Ser Gln Gln
Thr Ser Leu Ser Thr Ser Phe Asp Asp Asn Phe Ser Gln Tyr Thr Thr Pro Thr Gly Ala
Pro Trp Ser Thr Ala Pro Lys Tyr Asn Glu Ala Pro Pro Glu Val Arg Gly Ile Asp Glu
Phe Gly Val Met Ser Ile Asp Ala Asp Thr Val Arg Arg Tyr Val Lys Ser Tyr Leu Glu
His Ile His Arg Leu His Pro Phe Leu Asn Pro Val Asp Leu Glu Arg Arg Ile Asp Glu
Phe Ile Ala Met His Cys Pro Thr Ser Ser Met Ser Ala His Gly Leu Ser Ala Arg Asn
Pro Ile Asp Thr Ser Asn Arg Gly Ala Lys Arg Lys Arg Ser Gly Glu Thr Leu Gln Ala
Met Gly Tyr Asp Gly Arg Ser Pro Thr Ser Gly Asn Ser Asp Gly Ile Pro Pro Arg Arg
Val Glu Lys Thr Met Arg Asn Ala Ile Ile Leu Leu Val Leu Ala Leu Gly Arg Ile Cys
Glu Val Arg Asp Glu Pro Ile Arg Gly Pro Cys Ile Asp His Val Ile Asp Tyr Arg Thr
Glu Gln Ile Pro Gly Ala Pro Arg Arg Gly Pro Arg Pro Gly Pro Arg Thr Pro Ala Gly
Thr Asp Ala Leu Pro Leu His Gln Gly Ser Phe His Ser Pro Tyr Asp Asp Arg Leu Ala
Pro Thr Pro Thr Ala Thr Asp Glu Arg Phe Ile Thr Leu Pro Asp Pro Pro His Leu Lys
Asn Val Asp Thr Val Pro Gly Phe Val Tyr Tyr Ala Tyr Ala Ala Gly Ile Leu Ala Ala
Ser Gln Gly Ala Thr Ser Leu Pro Tyr Ala Gln Ala Ala Leu Leu Ala Gly Leu Tyr Ile
Gly Gln Leu Ala His Pro Phe Gln Ser His Ser Trp Ile Ala Gln Ala Ala Arg Ala Cys
Gln Asn Leu Thr Leu Ala Met Asn Tyr Gly Ser Leu Glu Gly Asp Glu Lys Asp Leu Val
Cys Phe Ala Tyr Trp Thr Cys Leu Gln Leu Glu Ser Asp Ile Leu Ala Glu Leu Asp Leu
Pro Ala Ser Gly Ile Ser Arg Ser Glu Ser Arg Ile Asp Leu Pro Leu Gly Ser Met Leu
Lys Leu Ser Asn Thr Ile Ser Glu Pro Asp Thr Met Met Met Phe Phe Tyr Ser Thr Gln
Ile His Leu Arg Lys Val Leu Asn Arg Val His Thr Asp Leu Tyr Lys Val Ile Lys Lys
Gly Glu Asn Lys Trp Asn Gly Thr Thr Gln Glu Ile Leu Ser Met Asn Leu Glu Leu Trp
Arg Ser Ser Leu Pro Pro Glu Met Arg Trp Asn Asp Asn Asp Pro Pro Ser Pro Asp Ile
Asn His Ala Arg Met Arg Ala Lys Tyr Trp Gly Ala Arg Tyr Ile Ile His Arg Pro Val
Leu Phe His Ala Leu His Phe Leu Gly Pro Asn Ala Ser Gly Ser Ala Val Asp Ser Pro
Ala Gly Leu Ala Gly Ser His Thr Ser Pro Ser Leu Ala His Gly Gln Arg Ala Thr Asp
Met Thr Arg Ile Ser Ser Asp Leu Gly Thr Leu Gln Ser Ser Asn Gly Ala His Ser Tyr
Arg Asp Leu Pro Pro Lys Ile Arg Arg Ala Cys Gly Leu Cys Val Gln Ser Ala Ile Gln
Ser Thr Ile Ala Phe Asp Gly Val Lys Gly Arg Pro Val Val Thr Asn Ile Phe Gly Thr
Ala His Ala Gln Phe Gly Asn Met Leu Val Leu Ser Thr Thr Tyr Leu Ser His Leu Gln
Glu Leu Val Asp Arg Asn Asp Leu Glu Arg Leu Leu Arg Arg Thr Ile Ala Phe Leu Leu
Arg Asn Arg Asn Ile Ser Pro Thr Leu Arg Val Asp Ala Lys Ile Leu Thr Asp Ile Tyr
Glu Lys Ile Phe Glu Ala Pro Pro Ile Leu Thr Asp Val Asn Leu Pro His End

配列番号3
名称:del-in-Fv2(オリゴヌクレオチドプライマー)
ATCGCTCTTTTGTAAGTGCTTCGGATCC

配列番号4
名称;del-in-Rv2(オリゴヌクレオチドプライマー)
TTATGACAGAGGAAAATAAGGCCTAGATCG

配列番号5
名称:5-CF(オリゴヌクレオチドプライマー)
TGCAAGAGTTCTATTTTGGACCTCGTCA

配列番号6
名称:Py-5-CR(オリゴヌクレオチドプライマー)

GATCTCGACCATCGTGGGCAATTGGT

配列番号7
名称;Py-3-CFv2(オリゴヌクレオチドプライマー)
CTTGAAGATTGGAGTTGGGCTGTGGTTAAG

配列番号8
名称:3-CRv2(オリゴヌクレオチドプライマー)
AGCTCTTGGTTACATAATGACAGCGTG

配列番号9
名称:アスペルギルス・オリゼ由来srdAの遺伝子配列 [マニュアル遺伝子予測](3,204bp)(イントロンなし)
ATGTCTCTCGCACTGAATCGACCGTCCACTGCGGATCTGCGGCGATCTGGTGATCCTAGCCGTAGCTGCGGACCCACGATTATGGAAATTATCTCAACGGACGATAAGCCGAAAACACTTCCTGCCTTTTCTGGACCTGCGCCCCCAATGCATCGCATTCCTCCCGACGGATCGCATGGTCCACCAAGTGTGCCGGGAATGTACGAACAGCCATGGCGCCATTATCCACCCTACGAAGGTCACCCAGCAGAACAACGTCGAACATCTACTGCTCCTCCGCCATTATCTTCACATGGGTACCCTGTTATCCCGAATCGCGAACTGCCGCAGCTTCCTCCCGACGGCCCGTATAGCCGACAGGGAAGCCTAACGGGCCCAAAACACACACCAACGGAAGCGCATCCATCGTTCCGGGGTCCCATGAACGGGACAGCTCATGAACCGGCACCGCATTCTGCGCCGCCTGAGTACCGATCTCGGATGTCTTTTACTCCTCAAGAGCCACATAGTAATGGCGATGCTCCGCCTCCATTACCGCCGCACTCAATTCCCCCGGCTCCATATTCTACTCCTGTTCCGCCCATGTCTCATACACCAGCCCCGTATGATTCTAGCTACTACCAAAGCCAAGCCTATGGCATTCGCCAGCGCAAGGCCGCACGAGCACAGCAGGCTTGCGATCAATGCCGAGCGAGGAAAGCAAAGTGCGATGAAGGTCGACCGTCATGTAGTCATTGCAAGGAAAACAACTTGAACTGCGTTTACAAAGAAGTCCCTCCGCACAAACAAGAAAAGGCGACCCAGCTCTTATTAGATCGATTGCAGTCATTCCAAGACGCTATATTAGACAGATTCGATCGTTTAGACCAGCTAAATACGGAGCACGGGAACAATTTCAACTCCATCCTGGCGAAGATAGACGCCAAGTCCGCATCTAAGGAACCACGGAAACCGGCAGTCCCGCAATTGGCAAAGAAGGACATAATCGATATCCAGGAATCAAAAGCCAAGGATGAGAATATTGCTACAATGCAGGAGCAGATACCAGAACCAAGTGAAACGACCACAGAGCAAGTTGTTCCTTCTGGTGAGGATGGTGAGCTCTCAATCCCTGTAGAGCATACAACAGCGGCCCACAAATTGCTGTTGTGGCCTTCAATTCGGAATCTTCTTCGTCCAAGAGAATATGATGAGGATTATGTGATGAAACTTGAAGAAAAAAGGGGCTTAATCCGTGTCTATGGCCGTGGAGAGGGAGATGAGACTAGTGAAGATCATGGCATGTGCTCACCGCCAACGACCTTGAGTACTAGCTTCAATGAAAGTCAGCCATACTACCCGGCATCCCCCCCTAATGGACCTTGGGGGGTGTACGTGAACCAACCCCAGATTAAACTTGAGAACAAAGGGCTTGACGAGGACGGCATGCTAACCGCGGACCCTGATATGGTTCGTCGTTATCATAAAAGCTATATGAAACATATGCACCAGCTTCATCCATTTCTTGATCAGAGTGACTTGGAGAACAAGGTCGATCATTTTATCAGGATGTACTGCCCATTGAAAGGTCCTGTGCGGTCCCCAGGAGTACTTAACAATCACTTGAATGATATGCCTCGAGGCGCAAAACGAAAGCGTTCATGCGAAAATTTACAAGGTGTGGGATGCGATGCGCAGTCTGCTGCGGAACAGGGTAGCGGCCGGCGTATAGAAAAATCCATCTATAATGCTATTATTCTTCTGGTCCTCGCTCTTGGCAGTATCTGCGAAGCCAATCCTGTGCCCGGCCCAGTCACAGATTACCAGGTGGACTTCCGAAAAGAGACAATATCTGGTCCTCCTACGCACGGTATATTATCACCCGCGGGTTCGGATTCTCTTCCTCAGTCGCAAGGCAGCGGTTATGTCGCGGAAAATCACACCTTTGCATCTCCTTCATTAATAGGCAATCGACAGAGTGGTGCTGAGGGGCACCCAATATCCCAAGACAAAAACCTGGATTATATTCCTGGATTAGCATTTTACGCATACGCTACCCAGATCCTTGGAAGTCTCCAAGGAGCAAATAGACTGCCTCACGTTCAAGCTGCCTTATTAGCAGGACTTTATGCAGGCCAGCTAGCGCACCCCTTCCAAAGCCACGGATGGATCTATCAAGCCGCCAGGGCTTGCCAAGTTTTGGTTCGATCAAAACGTTACACACAGATGCCTGATGGCCCCGACAAGGACCTTTACGATTTTGCGTACTGGACGTGCCTTCAGCTAGAGAGTGATATACTAGCAGAACTTGATCTTCCCGCTAGCGGCATATCCCGCTCGGAAGCTCGCATCTCCTTACCAAAGGGACGGTTTACTCTTAACCTTCCGAATGAAATTTCCGCCCCAAGTACTATGATGATGTTTTTTTACTCGGCCCAGATTCATCTAAGAAAGGTTCTCAACCGTGTTCATACTGATCTGTACAAAGTTGAAAAGCAAGGACAGACCCATTGGTCATCGCACGTTCAAGAAATCTTAAGTATGAATCTCGAACTTTGGCGAAACAGTCTACCTGCTGTGATGAAGTGGAAAGACACAGATCCACCATCAGAAGAGATTAACGTCGCACGGATGCGAGCTAAGTACTATGGTGCACGTTACATTATCCATCGCCCTTTACTTTATCATGCCCTTCATTACTATGGACAATTAGACCTTCGCGCATCATCGGATGGACCGTCTACTGAAGCTACTGCTATGACTTCTTCCAAATCGCAGCAGATATCACCGTCATTGAACCATAGTCAAGGTGCCACGAACATGGCACGTTTGTCAAGTGACATAGGTCCTGCATCTGGGCTTACAGGGATTGCACACCGCGACTTGCCCACAAAGCTACGAAGAGCTTGTAAAGTTTGTATTGATTCGGCTATGCTAAGTACAGTAGCCTTCGATGGCATAAAGGGTCGCCCGGTAGTGACCAACATTTTCGGCACTGCCCATGCACAATTTGGTAACATGTTGGTATTGTCCGCTACATACATGTCTAGCCTCTCGGAACTAGTGGATCGAAACGAACTCGAGAGACTTCTTAAGCGAACGATCAACTTTCTGCTGCAGAGTCGTTATATTTCTCCTAGTCTCCGAGCCGACGCGCGAATTCTTACTGAAATATACGAGAAAATATTTGGAAATCCCTCAGAGTGGAGGGATACAACCGATTAA

配列番号10
名称:Del-rseA-L-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
TGCAAGAGTTCTATTTTGGACCTCGTCA

配列番号11
名称:Del-rseA-L-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
ATCGTGGGCAATTGGTCTCAGCTGTCAATCGCGTACATTGAATGC

配列番号12
名称:Del-rseA-R-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
GTTGGGCTGTGGTTAAGTTGCTGTGTCAATGAAAGTCACATTCGCAA

配列番号13
名称:Del-rseA-R-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
CACTGCTCAAGACCGTACTTACCATGATG

配列番号14
名称:Del-rseA-P-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
CGATTGACAGCTGAGACCAATTGCCCACGATGGTCGAGATC

配列番号15
名称:Del-rseA-P-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
TTCATTGACACAGCAACTTAACCACAGCCCAACTCCAATCTTCAAG

配列番号16
名称:Del-rseA-S2-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
ATGAAAGTCACATTCGCAATACGTC

配列番号17
名称:Del-rseA-S2-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
CATGGCACCCTGTACTGTGAATATA

配列番号18
名称:AN-PgpdA-F-SLiCE(オリゴヌクレオチドプライマー)
GGATCCTCTAGAGTCCCAGACAGCTCTGGCGGCTCTGAGG

配列番号19
名称:AN-PgpdA-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
GAGCGATATACAACCGTGTGATGTCTGCTCAAGCGGGGTAG

配列番号20
名称:AN-TgpdA-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
CCATATGATTCAATGACTACATCTCCAAGGTTGATGCCCAATAG

配列番号21
名称:AN-TgpdA-R-SLiCE(オリゴヌクレオチドプライマー)
GCATGCCTGCAGGTCTGAAACAATTGAGAAGACAGGAAGGGTCTG

配列番号22
名称:AN-riboB-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
TTGAGCAGACATCACACGGTTGTATATCGCTCTAGAATCCTCAC

配列番号23
名称:AN-riboB-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
ACCTTGGAGATGTAGTCATTGAATCATATGGCCCATTTTAGAAATCTG

配列番号24
名称:AN5849-DEL-F-SLiCE(オリゴヌクレオチドプライマー)
GGATCCTCTAGAGTCAAGAGATTTCGCGTCAAACCAATCAAATG

配列番号25
名称:AN5849-DEL-R-SLiCE(オリゴヌクレオチドプライマー)
GCATGCCTGCAGGTCCTTTTGCCAGGTTGATCAGGTTGATCAC

配列番号26
名称:AN5849-DEL-vector-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
TCAATTGTTTCATGATATGACGCGCATTTCAAGTGACTTG

配列番号27
名称:AN5849-DEL-vector-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
GAGCTGTCTGGTGTAAGTGTAGCGTACCCGAGATGGTG

配列番号28
名称:PgpdA-DEL-insert-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
GCTACACTTACACCAGACAGCTCTGGCGGCTCTGAGG

配列番号29
名称:TgpdA-DEL-insert-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
CGCGTCATATCATGAAACAATTGAGAAGACAGGAAGGGTCTG

配列番号30
名称:Mut-rseA-L-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
CCTTAGTTAGAAGTGAGAAACAGGTTACC

配列番号31
名称:Mut-rseA-L-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
ATCGTGGGCAATTGGTCTGCATCGAAAGTACCTCGTATGTCTGCT

配列番号32
名称:Mut-rseA-Pro-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
GTTGGGCTGTGGTTAAGTGCGCTGCTGTTCTAGTCGCGAACAA

配列番号33
名称:Mut-rseA-R-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
TTGGTTACATAATGACAGCGTGCGAGTGC

配列番号34
名称:Mut-rseA-P-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
GGTACTTTCGATGCAGACCAATTGCCCACGATGGTCGAGATC

配列番号35
名称:Mut-rseA-P-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
CTAGAACAGCAGCGCACTTAACCACAGCCCAACTCCAATCTTCAAG

配列番号36
名称:PSIG-L-F-SLiCE(オリゴヌクレオチドプライマー)
GGATCCTCTAGAGTCCGTATTGGACACTTCGTTGAGTGCCAG

配列番号37
名称:PSIG-R-R-SLiCE(オリゴヌクレオチドプライマー)
GCATGCCTGCAGGTCGGTCATTATAACCGGATGAACTGCTCTCG

配列番号38
名称:PSIG-R-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
CTTCTCAATTGTTTCACATCTGTGGCCCAGTAAAACTCTGTTTCC

配列番号39
名称:PSIG-L-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
CGCCAGAGCTGTCTGGAAGGTCCGTCAAAGCTAAGTAGAGCAGA

配列番号40
名称:PSIG-PgpdA-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
AGCTTTGACGGACCTTCCAGACAGCTCTGGCGGCTCTGAGG

配列番号41
名称:PSIG-TgpdA-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
TACTGGGCCACAGATGTGAAACAATTGAGAAGACAGGAAGGGTCTG

配列番号42
名称:PSIG-L-F-ns1(オリゴヌクレオチドプライマー)
CGTATTGGACACTTCGTTGAGTGCCAG

配列番号43
名称:PSIG-R-R-ns1(オリゴヌクレオチドプライマー)
GGTCATTATAACCGGATGAACTGCTCTCG

配列番号44
名称:5849-DEL-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
CTGTATGATTGTCGCATGCGATAGACCG

配列番号45
名称:5849-DEL-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
CGGTCGTCATATGGTGAATGAAAGCTGC

配列番号46
名称:AN5849-DEL-CF(オリゴヌクレオチドプライマー)
AATCTGCCAATCTGCCAATCTGTAAATCAG

配列番号47
名称:Gene-5-Rv2-0723(オリゴヌクレオチドプライマー)
TGTGATGTCTGCTCAAGCGGGGTAG

配列番号48
名称:Gene-3-Fv2-0723(オリゴヌクレオチドプライマー)
CAATAGGAAACAGGTCGGAAGCCAATGG

配列番号49
名称:Gene-3-Rv2-0723(オリゴヌクレオチドプライマー)
GATAGCCAAAAACGAACCTTCTCGCGAGAG

配列番号50
名称:Mut-rseA-C-F(オリゴヌクレオチドプライマー)
TTCGACTAGAAGCCTCAGCGAGCTTATG

配列番号51
名称:Mut-rseA-C-R(オリゴヌクレオチドプライマー)
CTTGGCTATGTTGATAAGCGCAGAATCTG

配列番号52
名称:PSIG-L-F-C(オリゴヌクレオチドプライマー)
CCGCCATGCTAATTGACCTGGATAGATC

配列番号53
名称:PSIG-R-R-C(オリゴヌクレオチドプライマー)
TGTAGTGTCTAATGAAACCGAGGAAGACGC

配列番号54
名称:アスペルギルス・オリゼ由来SrdAのアミノ酸配列 [マニュアル遺伝子予測](1,067残基)
Met Ser Leu Ala Leu Asn Arg Pro Ser Thr Ala Asp Leu Arg Arg Ser Gly Asp Pro Ser
Arg Ser Cys Gly Pro Thr Ile Met Glu Ile Ile Ser Thr Asp Asp Lys Pro Lys Thr Leu
Pro Ala Phe Ser Gly Pro Ala Pro Pro Met His Arg Ile Pro Pro Asp Gly Ser His Gly
Pro Pro Ser Val Pro Gly Met Tyr Glu Gln Pro Trp Arg His Tyr Pro Pro Tyr Glu Gly
His Pro Ala Glu Gln Arg Arg Thr Ser Thr Ala Pro Pro Pro Leu Ser Ser His Gly Tyr
Pro Val Ile Pro Asn Arg Glu Leu Pro Gln Leu Pro Pro Asp Gly Pro Tyr Ser Arg Gln
Gly Ser Leu Thr Gly Pro Lys His Thr Pro Thr Glu Ala His Pro Ser Phe Arg Gly Pro
Met Asn Gly Thr Ala His Glu Pro Ala Pro His Ser Ala Pro Pro Glu Tyr Arg Ser Arg
Met Ser Phe Thr Pro Gln Glu Pro His Ser Asn Gly Asp Ala Pro Pro Pro Leu Pro Pro
His Ser Ile Pro Pro Ala Pro Tyr Ser Thr Pro Val Pro Pro Met Ser His Thr Pro Ala
Pro Tyr Asp Ser Ser Tyr Tyr Gln Ser Gln Ala Tyr Gly Ile Arg Gln Arg Lys Ala Ala
Arg Ala Gln Gln Ala Cys Asp Gln Cys Arg Ala Arg Lys Ala Lys Cys Asp Glu Gly Arg
Pro Ser Cys Ser His Cys Lys Glu Asn Asn Leu Asn Cys Val Tyr Lys Glu Val Pro Pro
His Lys Gln Glu Lys Ala Thr Gln Leu Leu Leu Asp Arg Leu Gln Ser Phe Gln Asp Ala
Ile Leu Asp Arg Phe Asp Arg Leu Asp Gln Leu Asn Thr Glu His Gly Asn Asn Phe Asn
Ser Ile Leu Ala Lys Ile Asp Ala Lys Ser Ala Ser Lys Glu Pro Arg Lys Pro Ala Val
Pro Gln Leu Ala Lys Lys Asp Ile Ile Asp Ile Gln Glu Ser Lys Ala Lys Asp Glu Asn
Ile Ala Thr Met Gln Glu Gln Ile Pro Glu Pro Ser Glu Thr Thr Thr Glu Gln Val Val
Pro Ser Gly Glu Asp Gly Glu Leu Ser Ile Pro Val Glu His Thr Thr Ala Ala His Lys
Leu Leu Leu Trp Pro Ser Ile Arg Asn Leu Leu Arg Pro Arg Glu Tyr Asp Glu Asp Tyr
Val Met Lys Leu Glu Glu Lys Arg Gly Leu Ile Arg Val Tyr Gly Arg Gly Glu Gly Asp
Glu Thr Ser Glu Asp His Gly Met Cys Ser Pro Pro Thr Thr Leu Ser Thr Ser Phe Asn
Glu Ser Gln Pro Tyr Tyr Pro Ala Ser Pro Pro Asn Gly Pro Trp Gly Val Tyr Val Asn
Gln Pro Gln Ile Lys Leu Glu Asn Lys Gly Leu Asp Glu Asp Gly Met Leu Thr Ala Asp
Pro Asp Met Val Arg Arg Tyr His Lys Ser Tyr Met Lys His Met His Gln Leu His Pro
Phe Leu Asp Gln Ser Asp Leu Glu Asn Lys Val Asp His Phe Ile Arg Met Tyr Cys Pro
Leu Lys Gly Pro Val Arg Ser Pro Gly Val Leu Asn Asn His Leu Asn Asp Met Pro Arg
Gly Ala Lys Arg Lys Arg Ser Cys Glu Asn Leu Gln Gly Val Gly Cys Asp Ala Gln Ser
Ala Ala Glu Gln Gly Ser Gly Arg Arg Ile Glu Lys Ser Ile Tyr Asn Ala Ile Ile Leu
Leu Val Leu Ala Leu Gly Ser Ile Cys Glu Ala Asn Pro Val Pro Gly Pro Val Thr Asp
Tyr Gln Val Asp Phe Arg Lys Glu Thr Ile Ser Gly Pro Pro Thr His Gly Ile Leu Ser
Pro Ala Gly Ser Asp Ser Leu Pro Gln Ser Gln Gly Ser Gly Tyr Val Ala Glu Asn His
Thr Phe Ala Ser Pro Ser Leu Ile Gly Asn Arg Gln Ser Gly Ala Glu Gly His Pro Ile
Ser Gln Asp Lys Asn Leu Asp Tyr Ile Pro Gly Leu Ala Phe Tyr Ala Tyr Ala Thr Gln
Ile Leu Gly Ser Leu Gln Gly Ala Asn Arg Leu Pro His Val Gln Ala Ala Leu Leu Ala
Gly Leu Tyr Ala Gly Gln Leu Ala His Pro Phe Gln Ser His Gly Trp Ile Tyr Gln Ala
Ala Arg Ala Cys Gln Val Leu Val Arg Ser Lys Arg Tyr Thr Gln Met Pro Asp Gly Pro
Asp Lys Asp Leu Tyr Asp Phe Ala Tyr Trp Thr Cys Leu Gln Leu Glu Ser Asp Ile Leu
Ala Glu Leu Asp Leu Pro Ala Ser Gly Ile Ser Arg Ser Glu Ala Arg Ile Ser Leu Pro
Lys Gly Arg Phe Thr Leu Asn Leu Pro Asn Glu Ile Ser Ala Pro Ser Thr Met Met Met
Phe Phe Tyr Ser Ala Gln Ile His Leu Arg Lys Val Leu Asn Arg Val His Thr Asp Leu
Tyr Lys Val Glu Lys Gln Gly Gln Thr His Trp Ser Ser His Val Gln Glu Ile Leu Ser
Met Asn Leu Glu Leu Trp Arg Asn Ser Leu Pro Ala Val Met Lys Trp Lys Asp Thr Asp
Pro Pro Ser Glu Glu Ile Asn Val Ala Arg Met Arg Ala Lys Tyr Tyr Gly Ala Arg Tyr
Ile Ile His Arg Pro Leu Leu Tyr His Ala Leu His Tyr Tyr Gly Gln Leu Asp Leu Arg
Ala Ser Ser Asp Gly Pro Ser Thr Glu Ala Thr Ala Met Thr Ser Ser Lys Ser Gln Gln
Ile Ser Pro Ser Leu Asn His Ser Gln Gly Ala Thr Asn Met Ala Arg Leu Ser Ser Asp
Ile Gly Pro Ala Ser Gly Leu Thr Gly Ile Ala His Arg Asp Leu Pro Thr Lys Leu Arg
Arg Ala Cys Lys Val Cys Ile Asp Ser Ala Met Leu Ser Thr Val Ala Phe Asp Gly Ile
Lys Gly Arg Pro Val Val Thr Asn Ile Phe Gly Thr Ala His Ala Gln Phe Gly Asn Met
Leu Val Leu Ser Ala Thr Tyr Met Ser Ser Leu Ser Glu Leu Val Asp Arg Asn Glu Leu
Glu Arg Leu Leu Lys Arg Thr Ile Asn Phe Leu Leu Gln Ser Arg Tyr Ile Ser Pro Ser
Leu Arg Ala Asp Ala Arg Ile Leu Thr Glu Ile Tyr Glu Lys Ile Phe Gly Asn Pro Ser
Glu Trp Arg Asp Thr Thr Asp End

配列番号55
アスペルギルス・ニデュランス由来RseAのアミノ酸配列[NCBI RefSeq: XP_682338.1]
Met His Ile Thr Tyr Met Arg Ala Phe Ile Ala Leu Phe Val Tyr Arg Tyr Leu Arg Leu
Val Val Asn Leu Ile Ser Phe Tyr Thr Phe Lys Pro Ile Pro Pro Pro Glu Asp Ser Arg
Leu Thr Ser Ser Asp Val Thr Val Ile Ile Pro Thr Leu Asp Gly Cys Gly Glu Glu Leu
Glu Arg Thr Ile Glu Thr Ile Leu Thr Asn Lys Pro His Glu Leu Leu Leu Val Thr Ile
Glu Ala Asn Lys Lys Lys Ala Glu Glu Met Leu Ser Arg Met Pro Ala Ala Lys Ser Arg
Ile Arg Leu Phe Thr Val Thr His Pro Asn Lys Arg Arg Gln Met Thr Arg Ala Ile Pro
Glu Val Thr Thr Thr Ile Thr Val Phe Ala Asp Asp Asp Val Ile Trp Pro Pro Lys Val
Leu Thr Trp Met Leu Ala Pro Phe Glu Lys Asp Asp Arg Tyr Gly Gly Val Val Thr Cys
Gln Arg Leu Lys Arg Ala Thr Ser Pro Thr Leu Ser Gln Arg Val Trp Gly Phe Leu Gly
Ala Leu Tyr Leu Glu Arg Arg Asn Phe Asp Cys Ala Ala Thr Thr His Ile Asp Gly Gly
Leu Pro Cys Met Ser Gly Arg Thr Val Ala Tyr Lys Thr Ser Ile Leu Gln Asp Asp Ala
Phe Thr Tyr Ala Phe Thr Asn Glu Gly Trp Trp Phe Gly Lys Tyr Gln Leu Asn Ala Asp
Asp Asp Asn Phe Ile Thr Arg Trp Met Val Ser His Gly Trp Glu Thr Phe Met Gln Tyr
His Pro Glu Ala Glu Val Gln Thr Thr Leu Glu Asp Asn Pro Thr Phe Leu Lys Gln Cys
Thr Arg Trp Ser Arg Ser Asn Trp Arg Ser Asn Leu Thr Ser Met Phe Asp Glu Gly His
Ile Trp His Arg Gln Pro Trp Ser Ala Tyr Ala Val His Met Thr Thr Leu Ser Pro Pro
Ala Leu Leu Gly Asp Leu Gly Leu Ile Phe Leu Cys His Lys Ala Thr Ala Ser Trp Asp
Glu His Ala His Met Leu Ala Met Ser Phe Leu Ala Ala Trp Met Phe Val Ser Lys Phe
Ile Lys Leu Leu Gly His Tyr Ile Arg Phe Pro Val Asp Trp Val Phe Leu Pro Val Ser
Ile Leu Phe Gly Tyr Phe His Gly Ala Ile Lys Met Tyr Ala Val Met Thr Leu Ser Ala
Thr Thr Trp Gly Ser Arg Glu Gly Ala Asp Asp Phe Asp Glu Glu Arg Met Lys Arg Arg
Pro Asp Ala Asp Pro Leu Lys Lys Pro Tyr Tyr His Lys Phe Arg Leu Asn Ala Asn Asp
Phe His His Arg Leu Val Pro Ser Val Thr Ser Ala Asp Ile Ser End

配列番号56
アスペルギルス・ニデュランス由来rseAの遺伝子配列(イントロンあり)(3'付加配列あり)
[GenBank: BN001306.1:533275-535447]
ATGCACATAACGTATATGCGAGCGTTCATCGCTCTTTTGTAAGTGCTTCGGATCCATTATGAGGTCTCTTGCTAACATTTTTTCAGTGTCTACCGGTATTTACGTCTTGTTGTGAATCTCATTTCATTCTATACATTCAAGCCTATCCCTCCCCCCGAGGATTCAAGATTGACGTCAAGTGATGTGACGGTCATAATCCCTACGCTGGATGGCTGTGGTGAAGAATTGGAGAGGACGATCGAAACCATCCTGACGAATAAGCCCCATGAGCTGCTTCTTGTTACAATTGAAGCAAACAAGAAGAAGGCTGAAGAAATGCTAAGCCGCATGCCCGCCGCCAAATCGAGAATCCGCCTGTTTACTGTCACCCACCCTAACAAACGCCGGCAAATGACTAGAGCTATCCCAGAGGTTACAACGACGATCACAGTGTTCGCGGATGACGATGTAATCTGGCCACCAAAGGTCCTCACCTGGATGCTGGCGCCCTTCGAGAAAGACGACCGATATGGAGGCGTGGTGACATGCCAGAGGCTCAAACGCGCTACTTCGCCTACCCTGTCACAGCGAGTCTGGGGATTTCTTGGAGCTCTCTACCTGGAACGGAGAAACTTTGATTGCGCCGCGACTACCCACATTGACGGCGGACTCCCCTGTATGTCCGGACGCACTGTCGCGTACAAAACCAGTATTCTGCAGGATGATGCGTTCACGTACGCCTTCACTAACGAAGGATGGTGGTTTGGCAAATACCAATTGAATGCTGACGATGACAACTTTATCACTCGATGGATGGTCTCACACGGCTGGGAAACTTTCATGCAATACCATCCTGAAGCGGAGGTTCAAACCACTTTGGAAGATAATCCTACTTTCTTGAAGCAATGCACCAGATGGTCTCGGAGTAATTGGAGGAGCAATCTCACTAGCATGTTCGATGAGGGGCATATTTGGCAGTAAGTAACATTTTCATTATATCTAAGTGAACAGTCGCTAACAGCTTATAGCCGTCAGCCTTGGAGCGCGTATGCCGTTCATATGACGACCCTCTCGCCCCCAGCTCTTCTCGGCGATCTAGGCCTTATTTTCCTCTGTCATAAGGCTACTGCCTCCTGGGACGAACATGCCCATATGCTGGCAATGTCGTTCCTTGCCGCCTGGATGTTTGTCAGTAAATTTATCAAACTCCTAGGCCATTACATACGATTTCCAGTTGACTGGGTTTTTCTTCCTGTGTCGATTCTTTTCGGCTATTTCCACGGTGCGATTAAGATGTACGCTGTGATGACACTTAGTGCAGTACGTACCCTTTCCCCCTTGACAATCAGCTACAATGCACCGTATTCCAGTTACGCTTTGGGTTCCCTACAACTTCCCCGGCGGGCATCCATCTGCATCCTCATCAATTATCCATTGGATTCTCTTCACCTTTGCTGTGTCAATGAAAGTCACATTCGCAATACGTCCTGTGCTAGGCTAACTGCCCTCTCTAATTTCAGACAACTTGGGGTAGCCGAGAAGGTGCCGATGATTTCGATGAGGAGCGCATGAAGAGGCGACCCGATGCCGATCCTCTCAAAAAACCCTACTATCATAAGTTCAGACTTAATGCGAATGATTTCCATCATCGACTAGTGCCTAGTGTAACCTCGGCCGATATCTCCTGACTTTCTATATTCACAGTACAGGGTGCCATGTCGGCGTGCTGATTGTTTGGACTTTACGAAGAAACGGTTTATGACTCGATCCTTGTGAGAGCAATGCGAGGAACTCCCCCAAACTCCTCATCTCCAGCCAACATCGCCCCGGCCGATGTATCATTCGTGCTTGCTGTCGTGAGAACCGCTAGAACAGCTTTTCCACGCTCGGCTTGACTTGCACATATGGCAGTCCTATTCTTTGTTGCGCAAATTTATTTATATGTTTTCTGTGTAAATTACAAAAGCGTGGGCGGGTTCTCGTCGCTTCATTTTCCTACCTTTTGATTAAAAACTGCTGTTTTATCGTTTTTCCTTGTTAGATCAATATTGGGAGGCTTTCTGAGAGTTCGTTTTTTTTTTTTACTTGTTAATTCCACGATATTAATATCTAATCAGCTTCTTTGAGTTATAACATTGCTGGAATCATGCGTCTTTATAGAAATGCCTTAA


配列番号57
アスペルギルス・オリゼ由来RseAのアミノ酸配列[NCBI_RefSeq: XP_023093213]
Met Leu Ser Leu Met Pro Ala Ser Lys Pro Arg Ile Arg Leu Phe Thr Val Thr His Pro
Asn Lys Arg Arg Gln Met Thr Arg Ala Ile Pro Glu Val Arg Thr Pro Ile Thr Ile Phe
Ala Asp Asp Asp Val Ser Trp Pro Ser Thr Val Leu Pro Trp Ile Leu Ala Pro Phe Glu
Lys Asp Glu Arg Tyr Gly Gly Val Val Thr Cys Gln Arg Leu Arg Arg Ala Ala Ala Pro
Thr Phe Ser Gln Arg Val Trp Gly Phe Leu Gly Ala Leu Tyr Leu Glu Arg Arg Asn Phe
Asp Cys Ala Ala Thr Thr His Val Asp Gly Gly Leu Pro Cys Met Ser Gly Arg Thr Val
Ala Tyr Arg Thr Asp Ile Leu Gln Asp Glu Gly Phe Thr Tyr Ala Phe Thr Asn Glu Glu
Trp Trp Phe Gly Arg Tyr Gln Leu Asn Ala Asp Asp Asp Asn Phe Ile Thr Arg Trp Met
Val Ser His Gly Trp Glu Thr Phe Met Gln Tyr His Pro Glu Ala Glu Val Leu Thr Thr
Leu Glu Asp Asn Pro Lys Phe Leu Lys Gln Cys Ala Arg Trp Ser Arg Ser Asn Trp Arg
Ser Asn Leu Thr Ser Met Phe His Glu Lys His Ile Trp Tyr Arg Gln Pro Trp Ser Ala
Tyr Ala Val His Leu Thr Thr Leu Ser Pro Pro Ala Leu Leu Gly Asp Leu Leu Leu Val
Leu Leu Cys His Lys Ala Thr Thr Ser Trp Glu Asp Asp Ser Arg Ala Leu Ala Met Gln
Ala Leu Gly Ala Trp Met Phe Val Ser Lys Phe Ile Lys Leu Leu Gly His Tyr Ile Arg
Tyr Pro Val Asp Phe Leu Leu Leu Pro Val Ser Ile Leu Phe Gly Tyr Phe His Gly Gly
Ile Lys Met Tyr Ala Val Met Thr Leu Asn Val Thr Thr Trp Gly Ser Arg Asp Gly Ala
Asp Asp Tyr Asp Ala Glu Arg Met Lys Lys Arg Thr Asp Ser Asp Leu Ser Ile Ala Thr
Arg His Asn Thr Ala Ile Ser Arg Ser Phe His Phe Ser Pro Ser Lys Thr Ala Ile Ala
His Pro Val Thr Ala His Gly Pro Pro Pro Lys Ala Pro Ser Ala Ala Leu Glu Tyr Asn
Glu Leu Met Arg Pro Gln Asp Gly Asn Glu Leu His Thr Arg Thr Ala Lys Pro Thr Pro
Leu Asn Lys Arg Phe Trp Lys Ser Val Asp Val Arg Ile Lys Pro Gly Ile Phe Ser Ser
Leu Phe Tyr Val End
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【配列表】
2024107801000001.xml