(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107804
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/27 20180101AFI20240802BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240802BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20240802BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240802BHJP
F21V 17/10 20060101ALI20240802BHJP
F21V 5/08 20060101ALI20240802BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20240802BHJP
G02B 5/00 20060101ALN20240802BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240802BHJP
【FI】
F21S43/27
F21S43/14
F21S43/20
F21V17/00 200
F21V17/00 505
F21V17/10 550
F21V5/08
G02B13/00
G02B5/00 Z
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011920
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】安部 俊也
【テーマコード(参考)】
2H042
2H087
3K011
【Fターム(参考)】
2H042AA05
2H042AA21
2H087KA29
2H087LA01
2H087PA02
2H087PA17
2H087PB02
2H087RA45
2H087RA46
3K011CA02
3K011HA02
3K011JA01
(57)【要約】
【課題】組み付け時の負担を低減する。
【解決手段】車両用灯具は、光を出射する光源と、光源からの光が入射する入射面と、入射面に設けられ光の波面を変換するメタサーフェス部と、波面が変換された光を出射する出射面と、出射面に設けられ光の一部を通過させるスリットを有する遮光部と、を有する光源側レンズと、光源側レンズにおいてスリットを通過した光を照射して照射パターンを形成する投影レンズとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と、
前記光源からの光が入射する入射面と、前記入射面に設けられ前記光の波面を変換するメタサーフェス部と、波面が変換された前記光を出射する出射面と、前記出射面に設けられ前記光の一部を通過させるスリットを有する遮光部と、を有する光源側レンズと、
前記光源側レンズにおいて前記スリットを通過した前記光を照射して照射パターンを形成する投影レンズと
を備える車両用灯具。
【請求項2】
前記遮光部は、金属材料を用いて薄膜状に形成される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記遮光部は、前記スリットを構成する第1開口部を有する
請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光源が搭載される光源基板と、
前記光源基板に固定されるフレーム部材と
を更に備え、
前記光源側レンズは、前記フレーム部材に支持され、
前記光源側レンズ及び前記フレーム部材の少なくとも一方に位置決め部が設けられる
請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記遮光部は、前記位置決め部に対応する第2開口部を有する
請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記光源基板は、前記光源が実装される実装面を有し、
前記フレーム部材は、前記実装面に固定され、
前記光源基板の前記実装面とは反対側の面に設けられ、外部に接続されるコネクタを更に備える
請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記光源は、1つ設けられる
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記メタサーフェス部は、前記スリットの短手方向についての寸法が前記スリットよりも大きく、前記スリットの長手方向についての寸法が前記スリットよりも小さい
請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
光源からの光を集光する光源側レンズと、光源側レンズで集光された光の一部を遮光するシェードと、シェードを介した光を車両前方に投影する投影レンズとを有する車両用灯具が知られている。このような車両用灯具において、光源側レンズとして、いわゆるメタレンズを備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。メタレンズは、例えば板状であり、光源からの光の波面を変更するメタサーフェス部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両用灯具では、シェードが単一部品として取り扱われる。この構成において、組み付けを行う場合、光源側レンズとシェードとの位置合わせを精度良く行う必要があり、負担が大きい。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、組み付け時の負担を低減することが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用灯具は、光を出射する光源と、前記光源からの光が入射する入射面と、前記入射面に設けられ前記光の波面を変換するメタサーフェス部と、波面が変換された前記光を出射する出射面と、前記出射面に設けられ前記光の一部を通過させるスリットを有する遮光部と、を有する光源側レンズと、前記光源側レンズにおいて前記スリットを通過した前記光を照射して照射パターンを形成する投影レンズとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、組み付け時の負担を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る車両用灯具を組み立てた状態の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る車両用灯具を組み立てた状態の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る車両用灯具を組み立てた状態の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る光源側レンズの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る光源側レンズの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る光源側レンズの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る車両用灯具の動作の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る車両用灯具の動作の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、車両用灯具により路面に形成される照射パターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
図1及び
図2は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を示す分解斜視図である。
図1は正面側から斜めに見た状態、
図2は背面側から斜めに見た状態を示している。
図3から
図5は、本実施形態に係る車両用灯具100を組み立てた状態の一例を示す図である。
図3は正面側から見た状態、
図4は左側から見た状態、
図5は下側から見た状態をそれぞれ示している。
図1から
図5に示すように、車両用灯具100は、光源部10と、光源側レンズ20と、投影レンズ30と、フレーム部材40とを備える。
【0011】
光源部10は、光源11及び基板(光源基板)12を有する。光源11は、例えばLED等の半導体型光源である。光源11は、光を出射する発光面11aを有する。発光面11aは、光源側レンズ20の入射面20aに対向して配置される。光源11は、発光面11aから単一色の光、例えば橙色(アンバー)の光を出射する。光源11は、例えば1つ配置される。なお、光源11は、複数設けられてもよい。また、発光面11aから出射される光の色は、橙色に限定されない。
【0012】
基板12は、実装面12aを有する。実装面12aには、光源11が実装される。基板12は、実装面12aとは反対側にコネクタ面12bを有する。コネクタ面12bには、コネクタ14が接続される。基板12は、光源11に電力を供給する配線、回路等が形成される。基板12には、実装面12aとコネクタ面12bとを貫通するスルーホールが設けられる。当該スルーホールを介して、実装面12aとコネクタ面12bとが電気的に接続される。
【0013】
光源側レンズ20は、光源11からの光を投影レンズ30側に出射する。光源側レンズ20は、例えば石英ガラス等、光を透過可能な材料を用いて例えば平板状等の板状に形成される。光源側レンズ20は、厚さ(前後方向の寸法)を、例えば0.3mm以上、1.5mm以下に設定することができる。
【0014】
図6から
図8は、本実施形態に係る光源側レンズ20の一例を示す図である。
図6は正面側(投影レンズ30側)から見た図、
図7は背面側(光源部10側)から見た図、
図8は
図6におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
図6から
図8に示すように、光源側レンズ20は、入射面20a及び出射面20bを有する。入射面20a及び出射面20bは、例えば平面状である。なお、入射面20a及び出射面20bは、湾曲した面であってもよい。光源側レンズ20は、入射面20aが光源11側に向き、出射面20bが投影レンズ30側に向くように配置される。
【0015】
光源側レンズ20は、入射面20aにメタサーフェス部21を有する、いわゆるメタレンズである。メタサーフェス部21は、光源11からの入射波面を後述するスリット24に向けて変換する。メタサーフェス部21は、例えばGaN(窒化ガリウム)、Si3N4(窒化ケイ素)等を用いて形成される。入射面20aに設けられるメタサーフェス部21の作用により、入射面20aから入射した光の波面が出射面20bに向けて変換され、当該波面が変換された光が出射面20bに到達する。出射面20bのうち後述する遮光部23に到達した光は遮光部23で遮光され、スリット24に到達した光はスリット24を通過して出射面20bから出射される。出射面20bから出射される光は、水平方向については、凸レンズのレンズ面から出射される場合と同様に、光軸AX側に収束するように集光された状態となり、鉛直方向については、出射面20bの上部から下部にかけて、水平方向から下方側に光が拡散された状態となる。
【0016】
メタサーフェス部21は、複数のピラー部22(
図9参照)を有する。ピラー部22は、柱状であり、入射面20aから光源11側に突出する。複数のピラー部22は、例えば左右方向及び前後方向に沿って、所定のピッチでマトリクス状に配置される。なお、複数のピラー部22は、円形状に配置された構成であってもよいし、同心円状に配置された構成であってもよい。複数のピラー部22は、例えば前後方向又は左右方向のいずれかの寸法がそれぞれ光源11から出射される光の波長の2倍以下である。このように複数のピラー部22の前後方向又は左右方向のいずれかの寸法を光源11からの光の波長の2倍以下とすることで、位相への安定性が高くなり、より作り易くなるためコストを低減できる。
【0017】
複数のピラー部22は、例えば電子ビームリソグラフィ法、ナノインプリント法、イオンエッチング法などの技術により形成することができる。なお、光源側レンズ20は、メタサーフェス部21と当該メタサーフェス部21以外の部分とが誘電率及び透磁率の異なる材料で構成することができる。
【0018】
メタサーフェス部21は、光源11側から見て、例えば円形状に形成される(
図7等参照)。メタサーフェス部21は、光源側レンズ20の光軸AXを含む円形状の領域から放射方向に同心円状に位相が周期的に変化するように位相分布が設定される(
図7の破線部分参照)。なお、当該同心円の中心と光軸AXとは、例えば上下方向等にずれていてもよい。位相分布の各周期において、ピラー部22の径は、位相が小さくなるにつれて徐々に小さくなるように設定することができる。メタサーフェス部21は、光源11の発光面11aにおける発光範囲の径と、メタサーフェス部21の径とが、例えば1:4となるように設けられる。例えば、発光面11aが縦1mm、横1mmの寸法を有する場合、発光範囲の径は1mmとなる。この場合、メタフェース部21の径は、4mm程度とすることができる。
図7では、光軸AXの軸方向から見た場合のスリット24の位置、寸法及び範囲の一例を一点鎖線で示している。
図7に示す例において、メタサーフェス部21は、後述するスリット24の短手方向(水平方向)についての寸法がスリット24よりも大きい。また、メタサーフェス部21は、スリット24の長手方向(上下方向)についての寸法がスリット24よりも小さい。換言すると、メタサーフェス部21は、光軸AXの軸方向から見た場合、水平方向についてはスリット24からはみ出す範囲に形成され、上下方向についてはスリット24の内側の範囲に形成される。
【0019】
光源側レンズ20は、出射面20bに遮光部23を有する。遮光部23は、例えば金属材料等を用いて薄膜状に形成される。遮光部23は、プリント、ラミネート、蒸着等の各種工法により形成することができる。遮光部23は、第1開口部23a及び第2開口部23bを有する。光源側レンズ20において、出射面20bは、遮光部23で覆われた状態となっている。また、光源側レンズ20において、出射面20bは、第1開口部23a及び第2開口部23bが形成される部分については、露出した状態となっている。
【0020】
第1開口部23aは、スリット24を構成する。スリット24は、メタサーフェス部21で波面が変換された光の一部を通過させる。スリット24は、例えば上下方向に延びた状態で形成される。なお、スリット24の数及び配置については上記に限定されない。例えば、スリット24は、
図6の一点鎖線で示すように、上下方向に3つ並んだ状態で形成されてもよい。このように、本実施形態では、スリット24を有する遮光部23が光源側レンズ20に設けられている。換言すると、光源側レンズ20は、波面が変換された光の一部を通過させる遮光機能を有している。このため、遮光部材を別途設けなくてもよい。
【0021】
第2開口部23bは、位置決め部25を構成する。位置決め部25は、位置決め部25は、光源側レンズ20の4つの角部の少なくとも1つに設けられる。本実施形態では、対向する角部に1つずつ、合計で2つの位置決め部25が設けられた構成である。なお、位置決め部25の数、寸法及び配置については上記に限定されない。位置決め部25が設けられることにより、光源側レンズ20をフレーム部材40に固定する際、位置決め部25が光軸AXに対して対応する位置に配置されているかどうかを画像認識等により確認しながら位置決めを行うことができる。このため、光源側レンズ20をフレーム部材40に対して適切な位置に配置することができる。
【0022】
図1から
図5に戻り、投影レンズ30は、レンズ部31と、脚部32とを有する。レンズ部31は、スリット24を通過した光を車両前方の路面に投影して照射パターンを形成する。投影レンズ30は、レンズ部31及び脚部32が一つの部材として形成される。投影レンズ30は、レンズ部31と脚部32とが別部材で形成された構成であってもよい。レンズ部31は、光源11からの光を透過可能な材料を用いて形成される。このような材料としては、例えばアクリル等の樹脂材料が挙げられるが、他の材料が用いられてもよい。
【0023】
レンズ部31は、入射面31aと、出射面31bとを有する(
図5参照)。入射面31aは、スリット24を通過した光が入射する。出射面31bは、入射面31aから入射した光を前方に出射する。脚部32は、レンズ部31の左右方向の両側に設けられる。脚部32は、基板12に固定される。
【0024】
フレーム部材40は、ベース部41と、壁部42とを有する。ベース部41は、板状であり、基板12に固定される。ベース部41は、光源11の周囲を囲うように矩形の環状に形成される。ベース部41は、開口部41aを有する。開口部41aは、光源11から出射される光を通過させる。開口部41aは、例えば矩形であるが、この構成に限定されず、円形等の他の形状であってもよい。ベース部41は、接合層44を介して基板12に接合される。接合層44は、例えばはんだ等の金属材料を用いて形成される。なお、フレーム部材40と基板12との接合には、接着剤等を用いた仮止めを併用してもよい。
【0025】
接合層44は、基板12において光源11の周囲の一部を空けた状態で設けられる。本実施形態において、接合層44は、光源11の左側及び右側に配置される。また、接合層44は、光源11の上側及び下側については配置されない。つまり、接合層44は、基板12のうち光源11の上側及び下側を空けた状態で設けられる。なお、基板12のうち接合層44が設けられない部分には、光源11に接続される配線等が配置されてもよい。
【0026】
壁部42は、ベース部41から光軸AXの軸線方向に沿って光の進行方向の前方に突出する。壁部42は、光源11の周囲を囲うように矩形に形成される。壁部42の突出方向の端部は、平面状の支持部43が形成される。支持部43は、基板12と平行又はほぼ平行に形成される。支持部43は、光源側レンズ20を支持する。壁部42は、通気部41c(
図2及び
図5参照)を有する構成である。通気部41cは、フレーム部材40の内周側と外周側とを連通する。通気部41cを設けることにより、光源11で発生した熱を対流によりフレーム部材40の外部に効率よく放熱することができる。なお、通気部41cは、フレーム部材40が基板12に固定された状態で、基板12の実装面12aに形成される配線のスペースを開けるように配置可能である。この場合、実装面12aに形成される配線とフレーム部材40との干渉を避けることができる。
【0027】
フレーム部材40は、例えばセラミックを用いて形成される。なお、フレーム部材40は、金属を用いて形成されてもよい。本実施形態において、セラミックを用いたフレーム部材40が設けられることにより、基板12におけるフレーム部材40の設置面積を抑制することができる。また、フレーム部材40は、金属を用いたフレーム部材に比べて線膨張係数が小さく、光源側レンズ20との線膨張係数の差が小さくなる。このため、フレーム部材40と光源側レンズ20との間の接合の信頼性が高まる。また、フレーム部材40は、金属を用いたフレーム部材に比べて電気絶縁性が高いため、基板12に形成される配線等の導体パターンと電気的に干渉することがない。このため、基板12上の導体パターンの設計自由度が高まる。更に、フレーム部材40は、金属を用いたフレーム部材に比べて放熱効率が高いため、基板12の放熱性を向上することができる。
【0028】
図9及び
図10は、本実施形態に係る車両用灯具100の動作の一例を示す図である。運転者による方向指示器等の操作に応じて、又はハザードランプ等の点灯に連動して、車両用灯具100は、光源11の発光面11aから光を出射する。
【0029】
発光面11aから出射された光Lは、光源側レンズ20の入射面20aに入射し、入射面20aに設けられるメタサーフェス部21の作用により光Lの波面が出射面20bに向けて変換される。波面が変換された光Lは、水平方向については、
図9に示すように、光軸AX側に集光された状態で出射面20bに到達する。また、波面が変更された光Lは、鉛直方向については、
図10に示すように、下方側に光が拡散され、かつ上方側に光の拡散が抑制されるように出射面20bに到達する。本実施形態において、光Lは、出射面20bの鉛直方向の最上部には、光軸AXに平行又はほぼ平行な状態で到達する。出射面20bに到達した光Lの一部は、
図9及び
図10に示すように、遮光部23のスリット24を通過し、残りは遮光部23により遮光される。スリット24を通過した光Lは、投影レンズ30のレンズ部31の入射面31aに入射し、出射面31bから車両前方に出射される。
【0030】
図11は、車両用灯具100により路面に形成される照射パターンの一例を示す図である。
図11に示すように、車両前方に出射された光Lにより、車両前方の路面上に照射パターンPが形成される。スリット24が上下方向に複数並んだ形状である場合、照射パターンPについても前後方向に複数並んだ状態で形成される(
図11の一点鎖線参照)。
【0031】
本実施形態に係る車両用灯具100では、光源側レンズ20が平板状であり、入射面20aにメタサーフェス部21を有する構成である。そのため、凸レンズを用いる場合に比べて薄型化が可能である。したがって、凸レンズを用いる場合に比べて、集光角度を小さくすることができる。この場合、スリット24を通過した光Lは、投影レンズ30の入射面31aの外周側には到達しない。したがって、投影レンズ30のうち収差の影響が大きい部分を利用することなく照射パターンPを形成できる。このため、照射パターンPを明瞭に形成することができる。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る車両用灯具100は、光を出射する光源11と、光源11からの光が入射する入射面20aと、入射面20aに設けられ光の波面を変換するメタサーフェス部21と、波面が変換された光を出射する出射面20bと、出射面20bに設けられ光の一部を通過させるスリット24を有する遮光部23と、を有する光源側レンズ20と、光源側レンズ20においてスリット24を通過した光を照射して照射パターンPを形成する投影レンズ30とを備える。
【0033】
この構成によれば、スリット24を有する遮光部23が光源側レンズ20に一体で設けられるため、遮光部材を別途設ける必要が無い。このため、車両用灯具100の部品点数を削減することができる。また、車両用灯具100の組み付けを行う際、光源側レンズ20と遮光部材との位置合わせが不要となる。これにより、車両用灯具100の組み付け時の負担を低減することができる。
【0034】
本実施形態に係る車両用灯具100において、遮光部23は、金属材料を用いて薄膜状に形成される。この構成によれば、金属材料を用いて薄膜状とすることにより、遮光部23を光源側レンズ20に容易に形成することができる。
【0035】
本実施形態に係る車両用灯具100において、遮光部23は、スリット24を構成する第1開口部23aを有する。この構成によれば、遮光部23を光源側レンズ20に形成する際、パターニング等により第1開口部23aを形成することにより、スリット24を容易に形成することができる。
【0036】
本実施形態に係る車両用灯具100は、光源11が搭載される基板12と、基板12に固定されるフレーム部材40とを更に備え、光源側レンズ20は、フレーム部材40に支持され、光源側レンズ20及びフレーム部材40の少なくとも一方に位置決め部25が設けられる。この構成によれば、光源側レンズ20がフレーム部材40を介して基板12に支持されるため、光源側レンズ20を安定して支持することができる。更に、光源側レンズ20のサイズ、光源側レンズ20と光源11との相対位置が変更される場合にフレーム部材40を変更すればよいため、多品種への対応が容易となる。また、位置決め部25が設けられることにより、組み立て時において光源側レンズ20及びフレーム部材40の少なくとも一方の位置精度を高めることができる。
【0037】
本実施形態に係る車両用灯具100において、遮光部23は、位置決め部25に対応する第2開口部23bを有する。この構成によれば、遮光部23を光源側レンズ20に形成する際、パターニング等により第2開口部23bを形成することにより、位置決め部25を容易に形成することができる。
【0038】
本実施形態に係る車両用灯具100において、基板12は、光源11が実装される実装面12aを有し、フレーム部材40は、実装面12aに固定され、基板12の実装面12aとは反対側のコネクタ14面12bに設けられ、外部に接続されるコネクタ14を更に備える。この構成によれば、コネクタ14を基板12の実装面12aとは反対側のコネクタ面12bに設けることにより、実装面12a側にその分のスペースを開けることができる。このため、車両用灯具100を構成する他の構成部材との間の干渉を抑制することができる。なお、他の構成部材としては、例えば、車両用灯具100に他の機能ランプが設けられる場合、当該他の機能ランプの構成部材等が挙げられる。
【0039】
本実施形態に係る車両用灯具100において、光源11は、1つ設けられる。この構成によれば、光源11の個数を1つとすることにより、消費電力及び発熱量を低減することができる。
【0040】
本実施形態に係る車両用灯具100において、メタサーフェス部21は、スリット24の短手方向(水平方向)についての寸法がスリット24よりも大きく、スリット24の長手方向(上下方向)についての寸法がスリット24よりも小さい。この構成によれば、メタサーフェス部21でスリット24の短手方向について集光され、スリット24の長手方向について拡散される光について、効率的にスリット24を通過させることができる。
【0041】
本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、車両用灯具100が車両Mの前部に配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。車両用灯具100は、車両Mの後部又は側部に配置される構成であり、車両Mの後方又は側方の路面に照射パターンを形成する構成であってもよい。
【0042】
また、上記実施形態に係る車両用灯具100においては、路面に照射パターンPを形成する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、車両Mの前方又は後方において、路面以外の場所に照射パターンを形成する構成であっても本開示の技術を適用可能である。
【0043】
また、上記実施形態に係る車両用灯具100において、位置決め部25は、遮光部23に形成された第2開口部23bにより構成される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。位置決め部25は、例えば光源側レンズ20の角部が切り欠かれた構成等の他の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
AX…光軸、L…光、M…車両、P…照射パターン、10…光源部、11…光源、11a…発光面、12…基板、12a…実装面、12b…コネクタ面、14…コネクタ、20…光源側レンズ、20a,31a…入射面、20b,31b…出射面、21…メタサーフェス部、22…ピラー部、23…遮光部、23a…第1開口部、23b…第2開口部、24…スリット、25…位置決め部、30…投影レンズ、31…レンズ部、32…脚部、40…フレーム部材、41…ベース部、41a…開口部、41c…通気部、42…壁部、43…支持部、44…接合層、100…車両用灯具