IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特開-収容皿および化粧料容器 図1
  • 特開-収容皿および化粧料容器 図2
  • 特開-収容皿および化粧料容器 図3
  • 特開-収容皿および化粧料容器 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107805
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】収容皿および化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/00 20060101AFI20240802BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
A45D34/00 510Z
A45D34/04 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011922
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
(57)【要約】
【課題】化粧料等の液状の内容物を含浸させた含浸体の、該内容物の残量を目視によって簡単に確認することのできる収容皿と、該収容皿を備えた化粧料容器を提供すること。
【解決手段】周壁21aと周壁21aの下端につながる底壁21bとによって区画された収納空間23を有する皿本体21と、内容物を含浸させるとともに、皿本体21の収納空間23に配置される含浸体22とを備え、含浸体22に、含浸体22に含浸された内容物の有無の視認を可能とする開口部22aを設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁と該周壁の下端につながる底壁とによって区画された収納空間を有する皿本体と、内容物を含浸させるとともに、該皿本体の該収納空間に配置される含浸体とを備え、
該含浸体に、該含浸体に含浸された内容物の有無の視認を可能とする開口部を設けたことを特徴とする収容皿。
【請求項2】
前記開口部は、前記含浸体の外表面から前記皿本体の底壁に向けて掘り下げられた少なくとも1つの凹部または切欠き部であることを特徴とする請求項1に記載した収容皿。
【請求項3】
前記開口部は、前記含浸体を貫いて前記皿本体の底壁へと到達する少なくとも1つの貫通孔または切欠き部であることを特徴とする請求項1に記載した収容皿。
【請求項4】
前記皿本体は、前記周壁に設けられ、前記含浸体の上端縁部に被さって前記収納空間に配置された前記含浸体の、該収納空間からの抜け出しを阻止する環状体を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載した収容皿。
【請求項5】
請求項1に記載した収容皿を備えた化粧料容器であって、
前記収容皿を着脱自在に収納、保持する容器本体と、該容器本体を密閉保持する外蓋とを備え、
前記容器本体は、その底壁に、該容器本体に収納、保持された該収容皿を押圧することによって該容器本体からの取り外しを可能とする貫通開口を有することを特徴とする化粧料容器。
【請求項6】
前記皿本体は、前記周壁に設けられ、前記含浸体の上端縁部に被さって、前記含浸体の、前記皿本体の収納空間からの抜け出しを阻止する環状体を有し、
前記容器本体または前記収容皿は、ヒンジを介して開閉可能に保持され、前記環状体の全周に当接させて前記皿本体の収納空間を密閉保持するとともに、その上面を塗布具の配置面とする中蓋を備えることを特徴とする請求項5に記載の化粧料容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の化粧料等を含浸させた含浸体を収容した収容皿と、該収容皿を備えた化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リキッドファンデーション等の液状の化粧料をスポンジのような多孔質の材料に含浸させ、それをコンパクトケースに収容した化粧料容器が知られている(特許文献1)。このような化粧料容器は、化粧料を含浸させた多孔質の材料の表面にパフを押し付け、該材料から滲み出てパフに付着(染み込んだ)化粧料を肌に付けることで、手指を汚すことなく簡単に使用することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6887720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の化粧料容器では、化粧料が多孔質の材料内に含浸されているため、その残量を目視で確認することができず、交換時期を把握できない点に改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明では、化粧料等の液状の内容物を含浸させた含浸体の、該内容物の残量を目視によって簡単に確認することのできる収容皿と、該収容皿を備えた化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために開発した本発明の収容皿は、周壁と該周壁の下端につながる底壁とによって区画された収納空間を有する皿本体と、内容物を含浸させるとともに、該皿本体の収納空間に配置される含浸体とを備え、該含浸体に、該含浸体に含浸された内容物の有無の視認を可能とする開口部を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の収容皿において、前記開口部は、前記含浸体の外表面から前記皿本体の底壁に向けて掘り下げられた少なくとも1つの凹部または切欠き部であることが好ましい。
【0008】
また、本発明の収容皿において、前記開口部は、前記含浸体を貫いて該皿本体の底壁へと到達する少なくとも1つの貫通孔または切欠き部であることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明の収容皿において、前記皿本体は、前記周壁に設けられ、前記含浸体の上端縁部に被さって前記収納空間に配置された前記含浸体の、該収納空間からの抜け出しを阻止する環状体を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明は、前記収容皿を備えた化粧料容器であって、前記収容皿を着脱自在に収納、保持する容器本体と、該容器本体を密閉保持する外蓋とを備え、前記容器本体は、その底壁に、該容器本体に収納、保持された該収容皿を押圧することによって該容器本体からの取り外しを可能とする貫通開口を有することを特徴とする。
【0011】
なお、本発明の収容皿を備えた化粧料容器において、前記皿本体は、前記周壁に設けられ、前記含浸体の上端縁部に被さって、前記含浸体の、前記皿本体の収納空間からの抜け出しを阻止する環状体を有し、前記容器本体または前記収容皿が、ヒンジを介して開閉可能に保持され、前記環状体の全周に当接させて前記皿本体の収納空間を密閉保持するとともに、その上面を塗布具の配置面とする中蓋を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、収容皿を構成する内容物の含浸体に開口部を設けたことにより、パフ等の塗布具によって含浸体の表面を押圧した際に、該含浸体から前記開口部に滲み出てくる内容物の量や速さによって、該含浸体内の内容物の残量を目視によって確認することができる。つまり、含浸体に内容物が十分に残っている場合には、該含浸体から内容物が前記開口部に瞬時に滲み出てくるのに対し、該含浸体内の内容物の残量が少なくなってくると、含浸体から前記開口部への内容物の滲み出しが遅くなったり、滲み出しが確認できなくなる。したがって、使用者が、含浸体から開口部への内容物の滲み出しの有無や速さによって、含浸体内の内容物の残量を視認することができるようになり、前記収容皿の交換時期を適宜、把握することができる。
【0013】
また、本発明の化粧料容器によれば、容器本体が収容皿を着脱自在に収納、保持することができ、該容器本体の底壁に設けた貫通開口を介して手指で押圧することで、使用者が収容皿を簡単に取り外すことができるため、該収容皿をレフィル容器として交換して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明にしたがう化粧料容器の一実施形態を示した図であり、(a)は平面図、(b)は図1(a)のA-A位置における断面図、(c)は底面図である。
図2】含浸体に内容物が十分に残存している場合に、含浸体の表面を押圧した際の収容皿の状態を示した図であり、(a)は断面図、(b)は平面図(環状体と含浸体のみを示す)である。
図3】含浸体に内容物が残っていない場合に、含浸体の表面を押圧した際の収容皿の状態を示した図であり、(a)は断面図、(b)は平面図(環状体と含浸体のみを示す)である。
図4】含浸体に設けた開口部の他の実施形態を示した図であり、環状体と含浸体のみを平面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明にしたがう化粧料容器の一実施形態を示した図であり、(a)は平面図、(b)は図1(a)のA-A位置における断面図、(c)は底面図である。図2は、含浸体に内容物が十分に残存している場合に、含浸体の表面を押圧した際の収容皿の状態を示した図であり、(a)は断面図、(b)は平面図(環状体と含浸体のみを示す)であり、図3は、含浸体に内容物が残っていない場合に、含浸体の表面を押圧した際の収容皿の状態を示した図であり、(a)は断面図、(b)は平面図(環状体と含浸体のみを示す)である。図4は、含浸体に設けた開口部の他の実施形態を示した図であり、環状体と含浸体のみを平面図で示したものである。
【0016】
図1図3における符号1は化粧料容器であり、リキッドファンデーションなどの液状の化粧料からなる内容物を収容、保持した収容皿2と、該収容皿2を着脱自在に収納、保持する容器本体3と、該容器本体3を密閉保持する外蓋4と、容器本体3に開閉可能に保持され、収容皿2を密閉保持する中蓋5と、を備える。なお、中蓋5は、収容皿2に開閉可能に保持されるように構成してもよい。
【0017】
収容皿2は、皿本体21と内容物を含浸させた含浸体22とから構成される。
皿本体21は、周壁21aと該周壁21aの下端につながる底壁21bとからなり、該周壁21aと底壁21bによって収納空間23が区画されている。皿本体21は、合成樹脂等の素材を用いて製造することができるが、素材の材質および成形法についてはとくに限定されない。また、本実施形態では、円形の皿本体21を一例として示しているが、皿本体21の形状はデザインや用途等に基づいて適宜変更することができ、図示した形状に限定されない。
【0018】
皿本体21には、底壁21bの周縁部から周壁21aの外周を囲うように立設された円筒形の外筒24と、該外筒24の上端部から外方に向かって延びる円環状の天壁25と、該天壁25の外縁部から垂下保持された円筒形のべース26が連設されている。
【0019】
皿本体21の収納空間23には含浸体22が配置され、含浸体22の上端部が、皿本体21上端の開口21cから外部に露出している。含浸体22は、液状の内容物を吸引保持して含浸するものであり、例えばパフ等の塗布具によって表面を押圧し、該含浸体22から滲み出た内容物を塗布具に付着させて使用される。そのため、含浸体22は、例えばスポンジのような多孔質で、弾性を有する軟質の材料からなることが好ましい。
【0020】
含浸体22は、平面視中央部に円形の開口部22aを有している。開口部22aは、塗布具7によって含浸体22の、皿本体21の開口21cから露出した部分を押圧した際に、含浸体22から滲み出た内容物を一時的に貯留する部分である。
【0021】
図2および図3に示すように、塗布具7によって含浸体22の表面を押圧すると、含浸体22に内容物が十分に吸引保持されている場合には、図2のように含浸体22から内容物が滲み出て開口部22aの下部に貯留される(黒色で示した部分)のに対し、含浸体22内の内容物の残量が少なくなったり、なくなると、含浸体22から開口部22aに内容物が滲み出る速度が遅くなったり、図3のように含浸体22から開口部22aへの内容物の滲み出しが確認できない。そのため、含浸体22の表面を押圧した際の、開口部22a内への内容物の滲み出しの様子(内容物の有無や速度)を目視で確認することで、含浸体22に吸引保持された内容物の有無や交換時期を判断することができる。なお、開口部22aへ滲み出した内容物は、含浸体22への押圧を解除することにより、再び含浸体22に吸引保持される。
【0022】
図1~3に示す開口部22aはいずれも、含浸体22を貫いて皿本体21の底壁21bへと到達する円形の貫通孔からなるが、開口部22aは、含浸体22の外表面から皿本体21の底壁21bに向けて掘り下げられた、非貫通の凹部とすることもできる。
【0023】
また、開口部22aは、貫通または非貫通を問わず、例えば図4(a)に示すような切欠き部とすることや、図4(b)に示すような角形形状とすること、図4(c)に示すように複数個(図では4個)設けることもでき、開口部22aは、含浸体22からの内容物の滲み出しの様子を目視によって確認(視認)することができればどのような形状(多角形、楕円形等)、サイズであってもよく、また形成位置や個数もとくに限定されない。例えば、開口部22aを、平面視中央部ではなく外周部分に設けた場合、塗布具7で含浸体22の表面を押圧しつつ、内容物の滲み出しを視認することができる。
【0024】
なお、開口部22aが、皿本体21の底壁21bへと到達する貫通孔や切り欠き部からなる場合には、底壁21bの色を、内容物の色に合わせて調整(反対色など)することで、開口部22aに滲み出る内容物の有無を視認しやすくなる。
【0025】
含浸体22は、皿本体21の開口21cの縁部に沿って環状体6を設けることで収納空間23からの抜け出しが防止されるように構成されている。環状体6は、皿本体21の周壁21aの外側に嵌合される円筒状の嵌合部61と、該嵌合部61の上端から周壁21a上端および収納空間23に向かって延びる環状鍔部62とからなり、嵌合部61は周壁21aと外筒24との隙間に配置されている。
【0026】
容器本体3は、皿本体21を収納、保持するものであり、周壁31と、該周壁31の下端につながる底壁32とからなり、底壁32には円形状の貫通開口33が設けられている。容器本体3は、合成樹脂等の素材を用いて、射出成型等によって製造することができるが、素材の材質、成形法についてはとくに限定されない。また、本実施形態では、円形の容器本体3を一例として示しているが、容器本体3の形状はデザインや用途等に基づいて適宜変更することができ、図示した形状に限定されない。
【0027】
皿本体21は、底壁21bの周縁にリブ28を有し、該リブ28を貫通開口33の縁部に設けられたリブ34に嵌合すると共に、皿本体21に連設されたベース26の下端に設けられた突部26aを、周壁31の内壁面に設けられた突起部35にアンダーカット嵌合することで容器本体3内に安定して収納、保持させることができる。また、皿本体21は、容器本体3内に収納、保持された際、皿本体21が容器本体3内で回転することがないように回り止めがなされている。
一方、皿本体21を容器本体3から取り外す際には、皿本体21の底壁21bを、貫通開口33を介して手指で押し上げることで、皿本体21と容器本体3との上記嵌合部分(リブ28とリブ34、突部26aと突起部35)が外れて簡単に取り外すことができる。そのため、含浸体22に吸引保持された内容物がなくなった際には、使用者が、皿本体21を容器本体3から取り外して、新しいものに簡単に取り換えることができ、容器本体3を繰り返し利用することができる。
【0028】
外蓋4は、周壁41と、該周壁41の上端につながる天壁42とからなり、容器本体3にヒンジ43を介して開閉可能(回動可能)に保持されている。これにより、外蓋4は、容器本体3の開口を閉鎖して密閉保持する位置と、開放する位置との間で回動可能となっている。外蓋4の天壁42の下面には、鏡44が設けられている。外蓋4は、合成樹脂等の素材を用いて、射出成型等によって製造することができるが、素材の材質、成形法についてはとくに限定されない。外蓋4の形状はデザインや用途等に基づいて適宜変更することができ、図示した形状に限定されない。また、外蓋4は、容器本体3に螺合やアンダーカット嵌合等によって取り付けるようにしてもよい。
【0029】
中蓋5は、収容皿2の開口21cを密閉保持するための部材である。中蓋5は、収容皿2の開口21cを覆う円板状の蓋部51と、該蓋部51の周縁につながり、蓋部51の上方および下方に延在する円筒状の周壁52とを有し、蓋部51の上面側に、該蓋部51と周壁52によって塗布具7の収納空間53が形成されている。中蓋5の周壁52の一部には、外方に向けて突出する連結部54が設けられている。連結部54は、断面視で略C字形からなり、容器本体3の軸部36を回動可能に把持しており、これにより中蓋5は、開口21cを閉塞する位置と、開放する位置との間で回動可能となっている。
【0030】
外蓋4を回動可能に保持するヒンジ43と、中蓋5を回動可能に保持する軸部36は、容器軸O回りで90°ずれた位置に配置されている。このため、外蓋4と中蓋5を開いた状態においても、中蓋5によって外蓋4の鏡44の視認が阻害されることを防止することができる。
【0031】
中蓋5の、連結部54と容器軸Oを挟んで反対の位置にある周壁52に、外方に突出する突片57が設けられ、該突片57を手指で押し上げ、押し下げることで中蓋5を開閉させることができる。
【0032】
蓋部51には、周壁52の近傍位置に、該蓋部51下面から垂下保持された第1リング部55および第2リング部56が設けられている。中蓋5を閉めた状態では、第1リング部55が外筒24の上端部と天壁25の上面から突出するシール筒25aとの隙間に密に係合し、第2リング部56が、外筒24の上端部と環状体6(嵌合部61)との間に形成される隙間に密に係合する。このため、蓋部51によって収容皿2内を気密に保つことができ、収容皿2内の含浸体22が乾燥したり、埃やゴミ等が侵入するのを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の収容皿および該収容皿を備える化粧料容器は、液状の化粧料等の内容物を収容するのに有用であり、該収容皿はレフィル容器として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 化粧料容器
2 収容皿
21 皿本体
21a 周壁
21b 底壁
21c 開口
22 含浸体
22a 開口部
23 収納空間
24 外筒
25 天壁
25a シール筒
26 ベース
26a 突部
28 リブ
3 容器本体
31 周壁
32 底壁
33 貫通開口
34 リブ
35 突起部
36 軸部
4 外蓋
41 周壁
42 天壁
43 ヒンジ
44 鏡
5 中蓋
51 蓋部
52 周壁
53 収納空間
54 連結部
55 第1リング部
56 第2リング部
57 突片
6 環状体
61 嵌合部
62 環状鍔部
7 塗布具

図1
図2
図3
図4