(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107814
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】架台基礎及び屋根下地
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20240802BHJP
E04B 7/18 20060101ALI20240802BHJP
E04B 5/40 20060101ALI20240802BHJP
E04D 13/00 20060101ALI20240802BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20240802BHJP
【FI】
E04D13/18
E04B7/18 Z ETD
E04B5/40 Z
E04D13/00 K
H02S20/23 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011932
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】片岡 春香
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108FG01
2E108KK07
2E108KS05
2E108LL01
2E108MM08
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】デッキプレートに対して架台基礎がより高い耐力を持って取り付けられることを可能にする。
【解決手段】互いに異なる方向に交互に傾斜した傾斜部123を介して互いに連続する複数の山頂部121と谷底部122が連なって形成された屋根下地100に用いられる波形状のデッキプレート120における設備設置用の架台基礎1であって、傾斜部123に固定される一対の固定脚部13及び一対の固定脚部13間を延在している取付板部11を有する2つの連続する山頂部121に跨がって載置可能なアタッチメントプレート10と、アタッチメントプレート10の取付板部11に取り付けられる連結装置30と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる方向に交互に傾斜した傾斜部を介して互いに連続する複数の山頂部と谷底部が連なって形成されていて屋根下地に用いられる波形状のデッキプレートに設備を設置する用の架台基礎であって、
前記傾斜部に固定される一対の固定部及び前記一対の固定部間を延在している取付部を有し2つの連続する前記山頂部に跨がって載置可能なアタッチメントプレートと、
前記アタッチメントプレートの前記取付部に取り付けられていて前記設備が連結される連結装置と、
を備えることを特徴とする架台基礎。
【請求項2】
前記連結装置は、前記デッキプレートに前記アタッチメントプレートが固定された状態において、前記谷底部に対向する位置で前記取付部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の架台基礎。
【請求項3】
前記取付部は、前記連結装置を部分的に収容し、内周面に前記連結装置と係合する係合部を有する少なくとも1つの凹部を有し、
前記連結装置は、前記凹部に収容される外周面に前記凹部の側の前記係合部と係合する係合部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の架台基礎。
【請求項4】
前記連結装置は、前記凹部において前記アタッチメントプレートに対して締結されていることを特徴とする請求項3に記載の架台基礎。
【請求項5】
設備を設置する用の屋根下地であって、
互いに異なる方向に交互に傾斜した傾斜部を介して互いに連続する複数の山頂部と谷底部が連なって形成された波形状のデッキプレートと、
2つの連続する前記山頂部に跨がって前記傾斜部に固定される一対の固定部及び前記一対の固定部間を延在している取付部を有するアタッチメントプレート及び前記アタッチメントプレートの前記取付部に取り付けられる連結装置を有し、前記設備が連結される架台基礎と、
を備え、
前記アタッチメントプレートは、前記固定部においてのみ少なくとも1つの締結部材により前記傾斜部に固定されており、
前記連結装置は、複数の締結部材により前記取付部に固定されている
ことを特徴とする屋根下地。
【請求項6】
前記アタッチメントプレートは、前記デッキプレートに対して前記固定部においてのみ前記締結部材を介して固定されることを特徴とする請求項5に記載の屋根下地。
【請求項7】
前記締結部材は、一方の前記固定部から他方の前記固定部にわたって延在していて、前記デッキプレートに前記アタッチメントプレートが固定された状態において前記固定部間にある前記傾斜部に対して前記アタッチメントプレートを固定することを特徴とする請求項5に記載の屋根下地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台基礎及び屋根下地に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の太陽電池モジュールを備えた太陽光発電設備が設置された屋根が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような屋根は、屋根下地に用いられるデッキプレートの上面に断熱材を設けて、この断熱材をさらに防水材で覆ってなるデッキ下地屋根である。
【0003】
このような屋根における架台設置構造(設備を設置する用の架台基礎)は、太陽光発電設備等の設備や機器等の架台のフレームを取付ける構造であって、受け具、嵩上げ台、防水覆い材、固定レール、シール用テープ及びつかみ具を備える。
【0004】
受け具の構成は、例えば、頭部と、この頭部から下方に延びる複数の脚部と、を有する金具であって、これら複数の脚部が断熱材にその上面から突き刺さって屋根下地であるデッキプレートの波山部分(山頂部)上面に配置される。また、嵩上げ台は、断熱材の上から受け具上に配置され、上面から受け具を貫通するねじ部材(締結部材)により屋根下地であるデッキプレートに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の嵩上げ台は、脚部が一の山頂部に載せられた状態の受け具と共に、デッキプレートに対して垂直に貫通するねじ部材を介してデッキプレートの山頂部に取り付けられているだけである。この場合、デッキプレートに対する架台設置構造の設置位置が限定されており、設置の自由度を高めたいという要望があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、デッキプレートに対する架台基礎の設置自由度を高めることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、互いに異なる方向に交互に傾斜した傾斜部を介して互いに連続する複数の山頂部と谷底部が連なって形成されていて屋根下地に用いられる波形状のデッキプレートにおける設備を設置する用の架台基礎であって、前記傾斜部に固定される一対の固定部及び前記一対の固定部間を延在している取付部を有し2つの連続する前記山頂部に跨がって載置可能なアタッチメントプレートと、前記アタッチメントプレートの前記取付部に取り付けられていて前記設備が連結される連結装置と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係るアタッチメントプレートにおいて、前記連結装置は、前記デッキプレートに前記アタッチメントプレートが固定された状態において、前記谷底部に対向する位置で前記取付部に取り付けられている。
【0010】
本発明の一態様に係るアタッチメントプレートにおいて、前記取付部は、前記連結装置を部分的に収容し、内周面に前記連結装置と係合する係合部を有する少なくとも1つの凹部を有し、
前記連結装置は、前記凹部に収容される外周面に前記凹部の側の前記係合部と係合する係合部を有する。
【0011】
本発明の一態様に係るアタッチメントプレートにおいて、前記連結装置は、前記凹部において前記アタッチメントプレートに対して締結されている。
【0012】
さらに上記課題を解決するために本発明は、設備を設置する用の屋根下地であって、互いに異なる方向に交互に傾斜した傾斜部を介して互いに連続する複数の山頂部と谷底部が連なって形成された波形状のデッキプレートと、2つの連続する前記山頂部に跨がって前記傾斜部に固定される一対の固定部及び前記一対の固定部間を延在している取付部を有するアタッチメントプレート及び前記アタッチメントプレートの前記取付部に取り付けられる連結装置を有し、前記設備が連結される架台基礎と、を備え、前記アタッチメントプレートは、前記固定部においてのみ少なくとも1つの締結部材により前記傾斜部に固定されており、前記連結装置は、複数の締結部材により前記取付部に固定されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係るアタッチメントプレートにおいて、前記アタッチメントプレートは、前記デッキプレートに対して前記固定部においてのみ前記締結部材を介して固定される。
【0014】
本発明の一態様に係るアタッチメントプレートにおいて、前記締結部材は、一方の前記固定部から他方の前記固定部にわたって延在していて、前記デッキプレートに前記アタッチメントプレートが固定された状態において前記固定部間にある前記傾斜部に対して前記アタッチメントプレートを固定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、デッキプレートに対して架台基礎がより高い耐力を持って取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本発明に係る架台基礎を採用した屋根下地を概略的に示す斜視図である。
【
図1B】
図1Aに示す屋根下地における架台基礎の部分を拡大して示す断面図である。
【
図2A】本発明に係る屋根下地を部分的に示す平面図である。
【
図3A】本発明に係る架台基礎を示す斜視図である。
【
図3B】本発明に係る架台基礎を分解して示す分解斜視図である。
【
図4A】デッキプレートの山頂部にアタッチメントプレートを取り付ける工程を示す図である。
【
図4B】アタッチメントプレートに架台を取り付ける工程を示す図である。
【
図4C】屋根断熱材等を設置する工程を示す図である。
【
図5】変形例1に係る架台基礎を示す斜視図である。
【
図6A】変形例1に係る架台基礎がデッキプレートに取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図6C】変形例1に係る架台基礎がデッキプレートに取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図7】変形例2に係る架台基礎を示す斜視図である。
【
図8A】変形例2に係る架台基礎がデッキプレートに取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図8C】変形例2に係る架台基礎がデッキプレートに取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図9】変形例3に係る架台基礎を示す斜視図である。
【
図10A】変形例3に係る架台基礎がデッキプレートに取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図10C】変形例3に係る架台基礎がデッキプレートに取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図11】変形例4に係る架台基礎を示す斜視図である。
【
図12A】変形例4に係る架台基礎がデッキプレートに取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図12C】変形例4に係る架台基礎がデッキプレートに取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図13A】変形例5に係る架台基礎1Eを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
【0018】
図1Aは、本発明に係る架台基礎1を採用した屋根下地100を概略的に示す斜視図である。
図1Bは、
図1Aに示す屋根下地100における架台基礎1の部分を拡大して示す断面図である。本発明に係る架台基礎1は、屋根下地100に用いられたデッキプレート120に取り付けられて、例えば、太陽光発電設備、水加熱をするための温水ユニット、エアコンの室外ユニット等の機器、その他看板等を含む設備200を建築物の屋根に設置するための設備等を設置する用の構造物である。
【0019】
<屋根下地>
屋根下地100は、デッキプレート120と、屋根断熱材140と、屋根防水材160と、本発明に係る架台基礎1と、を備える。なお、以下において、デッキプレート120が梁Bと梁Bとに架け渡される方向を、デッキプレート120の長手方向(長さ方向)Lとし、長手方向Lに交差してデッキプレート120が延びる方向を短手方向(幅方向)Wとする。
【0020】
架台基礎1には、後述する設備用ボルト34を介して固定レール210が固定されている。固定レール210は、例えば、断面がU字状の鋼材である。固定レール210は、後述するデッキプレート120に対して長手方向Lに沿うようにして設けられている。固定レール210には、設備200から延びる支柱220が固定されている。これにより、設備200は、屋根下地100に設置されている。なお、固定レール210は、短手方向Wに沿うように設けることもでき、また、設備200は、固定レール210を介さずに、架台基礎1に直接的に、又は、屋根下地100に直接的に設置されていてもよい。
【0021】
[デッキプレート]
図2Aは、本発明に係る屋根下地100を部分的に示す平面図である。
図2Bは、
図2AにおけるB-B線に沿った断面図である。
図2Cは、
図2Aに示す屋根下地100の側面図である。本発明に係る架台基礎1は、例えば、後述するデッキプレート120に取り付けることができるが、架台基礎1が取り付けられるデッキプレートは、特に限定されない。デッキプレート120は、表面処理が施された薄板状の鋼板をロールフォーミング等することによって形成した波型鋼板である。デッキプレート120は、山頂部121と、谷底部122と、傾斜部123と、を有する。なお、デッキプレート120には、表面処理が施されていなくてもよい。
【0022】
デッキプレート120は、長手方向Lに延びる山頂部121及び谷底部122それぞれが同様に長手方向Lに延びる傾斜部123を介して互いに短手方向Wに連続する波形状をなしている。
【0023】
デッキプレート120のプレート単体では、2つの山頂部121と、1つの谷底部122と、2組の一対の傾斜部123とからなり、短手方向Wに沿った断面において波型に形成されている。なお、デッキプレート120の短手方向Wの寸法によっては、一のデッキプレート120に1つの山頂部121のみが設けられていてもよい。また、一のデッキプレート120が短手方向Wにおいて他のデッキプレート120と連結された場合、デッキプレート120同士の連結部は、谷底部122として機能する。デッキプレート120は、長手方向Lの両端部においてエンドクローズ加工が施されていてもよい。
【0024】
山頂部121は、梁Bと梁Bとの間に架け渡された状態において、梁Bに対して離間して上側に位置する平坦に形成された部分であり、長手方向Lに延在する板状の部分である。山頂部121は、溝1210を有する。溝1210は、谷底部122の側に向けて凹むように形成されている。溝1210は、長手方向Lに延在し、溝1210が1つの場合には短手方向Wにおいて中央近傍に設けられている。
【0025】
山頂部121における溝1210により、山頂部121の強度が向上する。溝1210は、山頂部121に1つ形成されている場合に限らず、複数形成されていてもよい。なお、溝1210は、延在せず所定の間隔をあけて形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
【0026】
谷底部122は、山頂部121に対して平行又は略平行であり、デッキプレート120が梁Bと梁Bとの間に架け渡された状態において、梁Bに載置される平坦に形成された部分である。谷底部122は、長手方向Lに延在する板状の部分である。谷底部122は、短手方向Wにおいて山頂部121とは重ならない。なお、山頂部121に形成される溝1210が谷底部122に形成されていてもよい。
【0027】
傾斜部123は、山頂部121と谷底部122とを連結する部分であり、長手方向Lに延在する板状の部分である。傾斜部123は、短手方向Wにおいて山頂部121の両端部の側から斜めに谷底部122に向かって延びている。短手方向Wにおいて互いに隣り合う傾斜部123は、それぞれ異なる方向に山頂部121から互いに離間するように延びている。傾斜部123は、山頂部121及び谷底部122に対して所定の角度、例えば、鈍角を形成するように傾斜している。なお、山頂部121に形成される溝1210が傾斜部123に形成されていてもよい。
【0028】
傾斜部123には複数のエンボス部1230が形成されている。各エンボス部1230は、長手方向Lに沿って所定の間隔をあけて設けられている。エンボス部1230は、デッキプレート120の内側から外側に向けて凸に形成されている。エンボス部1230により、デッキプレート120の剛性が高まる。なお、エンボス部1230の間隔は任意に設定することができ、例えば、長手方向Lに沿って間隔なく延在していてもよい。
【0029】
谷底部122と傾斜部123との間の移行部には膨出部124が形成されている。膨出部124は、一の山頂部121における一対の傾斜部123において互いに反対の側に突出した部分である。すなわち、谷底部122を挟んで対向する一対の傾斜部123において、膨出部124は対向するように形成されており、互いに近づく方向に膨出している。
【0030】
膨出部124と谷底部122との間には長手方向Lに沿って延在する係合溝(蟻溝)が形成されている。係合溝の短手方向Wに沿った断面は湾曲するように形成されている。係合溝は、一の山頂部121における一対の傾斜部123において互いに接近する方向に形成されている。すなわち、デッキプレート120の谷底部122を挟んで対向する一対の傾斜部123において、係合溝は、対向するように形成されており、互いに離れる方向に湾曲している。なお、係合溝には、長手方向Lに沿って所定の間隔をあけてエンボス加工により短手方向Wに谷底部122に向かって凸部が形成されていてもよい。
【0031】
[屋根断熱材、屋根防水材]
屋根断熱材140は、例えば、フェノールフォーム等の、空気を含む軽量材(発泡材料等)によって形成された板状部材である。屋根断熱材140は、屋根下地100全体にデッキプレート120上に、架台基礎1の部分を除いて敷き詰められている。屋根防水材160は、例えば、合成樹脂系シートやアスファルト系シート等であって、その材質や厚さ等を限定するものではないが、所定の環境対応性(日射や雨滴に暴露された際に、劣化し難い性質)を有している。屋根防水材160は、敷き詰められた屋根断熱材140に敷かれる。また、屋根断熱材140の上、下、又は上下に、例えば、木毛セメント板等によって形成された板状部材の野地板(図示せず)が設けられていてもよい。
【0032】
[架台基礎]
本発明に係る架台基礎1は、互いに異なる方向に交互に傾斜した傾斜部123を介して互いに連続する複数の山頂部121と谷底部122が連なって形成されていて屋根下地100に用いられる波形状のデッキプレート120における設備200等を設置する用の架台基礎1であって、傾斜部123に固定される一対の固定脚部13及び一対の固定脚部13間を延在している取付板部11を有し2つの連続する山頂部121に跨がって載置可能なアタッチメントプレート10と、アタッチメントプレート10の取付板部11に取り付けられていて設備200等が連結される連結装置30と、を備えることを特徴とする。以下、本発明に係る架台基礎1について具体的に説明する。
【0033】
架台基礎1は、デッキプレート120に取り付けられて、設備200が固定レール210又は支柱220を介して取り付けられる用に供される構造体である。架台基礎1は、アタッチメントプレート10と、連結装置30と、を備える。なお、設備200は、架台基礎1によりデッキプレート120に直接的に取り付けられていてもよい。
【0034】
(アタッチメントプレート)
図3Aは、本発明に係る架台基礎1を示す斜視図である。
図3Bは、本発明に係る架台基礎1を分解して示す分解斜視図である。アタッチメントプレート10は、デッキプレート120の2つの山頂部121を跨ぐようにしてデッキプレート120に取り付けられる、例えば、鋼材、樹脂等により形成された板状部材である。アタッチメントプレート10は、正面視においてU字状又は略U字状に形成されている。アタッチメントプレート10は、設備200の支柱220が固定される固定レール210が長手方向L、又は、短手方向Wに沿って配置される位置、若しくは、支柱220が配置される位置で、デッキプレート120の一の山頂部121に設けられている。
【0035】
本実施の形態におけるアタッチメントプレート10は、互いに異なる方向に交互に傾斜した傾斜部123を介して互いに連続する複数の山頂部121と谷底部122が連なって形成された屋根下地100に用いられる波形状のデッキプレート120に対して設備200の設置用の連結装置30を取り付ける用に供される板状部材である。
【0036】
アタッチメントプレート10は、取付板部(取付部)11と、一対の固定脚部(固定部)13と、を有する。取付板部11は、アタッチメントプレート10がデッキプレート120に取り付けられた状態(以下、単に「取付状態」ともいう)において隣接する2つの山頂部121に載置可能な長さを有している。ここで、取付状態においてデッキプレート120の長手方向Lに延びる取付板部11の寸法を、アタッチメントプレート10の幅10Wとし、取付状態においてデッキプレート120の短手方向Wに延びる取付板部11の寸法を、アタッチメントプレート10の長さ10Lとする。なお、取付板部11は、隣接する3つ以上の山頂部121に載置可能な長さを有していてもよい。
【0037】
取付状態において、取付板部11は、2つの山頂部121にわたるように平坦に形成されている。短手方向Wにおける取付板部11の寸法は、隣接する2つの山頂部121を結ぶ長さ121L(
図2A参照)と同じ又は略同じである。なお、取付板部11は、固定脚部13が延びる側に凹に形成された凹部を有していてもよい。この場合、凹部は、取付状態において、長手方向Lに沿って延びており、山頂部121に形成されている溝1210に突入する。凹部によりアタッチメントプレート10の剛性が高まり、凹部が溝1210に入り込むことにより、デッキプレート120に対するアタッチメントプレート10の短手方向Wにおける安定的な位置決めが可能になる。
【0038】
一対の固定脚部13は、取付状態において、長手方向Lに沿って延びる取付板部11の両縁にそれぞれ設けられていて、傾斜部123に沿って延びている。つまり、固定脚部13はそれぞれ、取付板部11から互いに離れるように延びている。一対の固定脚部13は、取付板部11に対して互いに接近及び離間可能に弾性変形可能であってもよい。固定脚部13は、取付板部11に対して、例えば、鈍角をなしている。固定脚部13の先端部は、取付状態において、デッキプレート120の膨出部124の取付板部11に面する部分にまで達している。
【0039】
固定脚部13は、傾斜部123に沿った形状を有しており、取付状態において、傾斜部123に面接触するようになっている。各固定脚部13には、取付状態において、デッキプレート120のエンボス部1230と係合する係合凸部が設けられていてもよい。係合凸部は、アタッチメントプレート10の内側から外側に凸に形成されている。係合凸部は、長手方向Lに沿って延びている。この場合、アタッチメントプレート10とデッキプレート120との係合により、アタッチメントプレート10をデッキプレート120から外そうとする外力に対する耐力が高まる。また、施工時においては、仮置きの状態でのずれを抑制することができ、施工性が向上する。なお、傾斜部123の表面形状によっては、傾斜部123と固定脚部13との間に隙間が形成されていてもよい。
【0040】
アタッチメントプレート10は、固定脚部13でのみデッキプレート120に取り付けられている。具体的にアタッチメントプレート10は、取付状態において、例えば、ドリリングタッピングねじ等の複数のビス(締結部材)DB1により固定脚部13においてデッキプレート120の傾斜部123に取り付けられている。ビスDB1は、2段で長手方向Lに沿って各固定脚部13においての複数箇所に打ち込まれる。
【0041】
(連結装置)
連結装置30は、取付状態において、2つの山頂部121間を延びる取付板部11に取り付けられ、アタッチメントプレート10を介してデッキプレート120に連結される。連結装置30には設備200の支柱220又は固定レール(架台)210が取り付けられる。連結装置30は、断面円形の本体31と、部材間断熱材36と、を有する。
【0042】
本体31は、筒状部32と、天面部33と、設備用ボルト34と、底面部35と、を有する。筒状部32は、例えば、鋼材、樹脂等により、断面円形状に形成された筒状部材であり、一方の端部を、例えば、鋼材、樹脂等により形成されたた板状の天面部33により閉鎖されている。天面部33の外径は、筒状部32の外径と同じ又は略同じである。天面部33は、筒状部32に対して、例えば、溶接等により同心的に一体に連結されている。なお、天面部33の形状は特に限定されず、筒状部32の形状に対応していればよい。
【0043】
天面部33の中心、つまり、筒状部32の中心を通る軸線上に設備用ボルト34が取り付けられている。設備用ボルト34は、例えば溶接等により、天面部33に固定されている。設備用ボルト34は、設備200の支柱220が固定される固定レール210、支柱220、又は、設備200に直接螺合するようになっている。
【0044】
天面部33とは反対側の筒状部32の他方の端部には、例えば、鋼材、樹脂等により形成された底面部35が、例えば、溶接等により取り付けられている。底面部35は、平面視矩形の板部材である。底面部35の一部は、筒状部32に取り付けられた状態において、筒状部32の外周面から外方に延出して、いわゆるフランジの機能を有する部分を形成している。なお、底面部35の形状は限定されず、例えば、他の多角形状や円形状等であってもよい。
【0045】
本体31は、底面部35において、例えば、ドリリングタッピングねじ等の複数のビス(締結部材)DB2が打ち込まれることにより、アタッチメントプレート10の取付板部11に対して取り付けられているとともに、アタッチメントプレート10を介してデッキプレート120に山頂部121の間で取り付けられる。複数のビスDB2が筒状部32を環状に囲むように配置されている。
【0046】
部材間断熱材36は、例えば、ABS樹脂や、フェノールフォーム等の、断熱効果のある材によって形成された板状部材である。取付状態において、部材間断熱材36は、底面部35とアタッチメントプレート10との間に設けられる。部材間断熱材36は、例えば、平面視矩形状に形成されており、底面部35と同じ又は略同じ寸法をもって形成されている。部材間断熱材36は、ビスDB2により本体31及びアタッチメントプレート10に対して固定されるようになっている。なお、部材間断熱材36の形状は、矩形状に限定されず、少なくとも筒状部32の形状に対応して又は筒状部32よりも大きく形成されていればよい。
【0047】
[屋根下地の構築工程]
次に本実施の形態に係る架台基礎1をデッキプレート120に設置する方法について説明する。
図4Aは、デッキプレート120の山頂部121にアタッチメントプレート10を取り付ける工程を示す図である。
【0048】
まず、デッキプレート120上において設備200が配置される位置、具体的には、設備200が固定される固定レール210又は支柱220が配置されるデッキプレート120の山頂部121の所定の位置にアタッチメントプレート10を設置する。アタッチメントプレート10は、2つの山頂部121に対して固定脚部13の側から嵌めるように設置する。アタッチメントプレート10は、固定脚部13において2つの山頂部121を挟み込むので、アタッチメントプレート10がデッキプレート120に対して、長手方向L及び短手方向Wにおいて所望の位置からずれることを防ぐことができる。
【0049】
次いで、固定脚部13それぞれにおいてデッキプレート120の傾斜部123に2段で長手方向Lに沿って複数のビスDB1を打ち込んで、アタッチメントプレート10をデッキプレート120に固定する。
【0050】
図4Bは、アタッチメントプレート10に連結装置30を取り付ける工程を示す図である。次いで、部材間断熱材36を、山頂部121の間を延在する取付板部11においてアタッチメントプレート10に載置し、部材間断熱材36の上に本体31を底面部35の側から載せる。本体31の底面部35にビスDB2を打ち込んで、連結装置30をアタッチメントプレート10に対して固定する。
【0051】
図4Cは、屋根断熱材140等を設置する工程を示す図である。次いで、屋根断熱材140を連結装置30以外のデッキプレート120の部分が隠れるように敷き詰める。連結装置30と屋根断熱材140との間の間隙には、別の断熱材150を充填する(
図1A参照)。次いで、屋根断熱材140を覆うように屋根防水材160を設置する(
図2参照)。最終的に、連結装置30を含めて防水補強材によって覆う。
【0052】
アタッチメントプレート10を取付板部11においてビスを介してデッキプレート120の山頂部121に取り付けることも可能であるが、この場合、取付板部11におけるビスを避けるようにして連結装置30を取り付ける必要がある。そのため、連結装置30の取付位置は限定されてしまう。
【0053】
これに対して、本実施の形態に係る架台基礎1を用いて構築された屋根下地100においては、互いに隣接する2つの山頂部121に跨がるようにしてデッキプレート120に取り付けられていて、固定脚部13においてのみデッキプレート120の傾斜部123と連結されている。これにより2つの山頂部121にわたって延在する取付板部11に対して自由な位置で連結装置30を取り付けることができる。特に、連結装置30をデッキプレート120の山頂部121の間で取付板部11に取り付けることができる。
【0054】
なお、上記の実施の形態において、アタッチメントプレート10は、デッキプレート120に対して、ビスDB1を介して固定されていたが、ボルト及びナットによって固定されていてもよい。この場合、デッキプレート120の傾斜部123及びアタッチメントプレート10の固定脚部13にそれぞれ孔が形成されていればよい。それぞれの孔を互いに整合させてボルトを挿入してナットを締結させることにより、アタッチメントプレート10は、デッキプレート120に対して強固に連結される。ボルト及びナットを使用することにより、例えば、ビスDB1よりも少ない数のボルト及びナットによりアタッチメントプレート10をデッキプレート120に対して固定しても、十分な固定強度を確保することができる。また、ワンサイドボルトやリベットなどを使用すればナットを省略できるため大幅に作業を削減することができる。
【0055】
[変形例1]
次に、変形例1に係る架台基礎1Aについて説明する。
図5は、変形例1に係る架台基礎1Aを示す斜視図である。
図6Aは、変形例1に係る架台基礎1Aがデッキプレート120に取り付けられた状態を示す平面図である。
図6Bは、
図6AにおけるB-B線に沿った断面図である。
図6Cは、変形例1に係る架台基礎1Aがデッキプレート120に取り付けられた状態を示す側面図である。なお、架台基礎1Aについて、架台基礎1と同じ部分については、同じ又は類似の符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
変形例1に係る架台基礎1Aは、アタッチメントプレート10Aと、連結装置30Aと、連結具40Aと、を備える。アタッチメントプレート10Aは、取付板部(取付部)11Aと、一対の固定脚部(固定部)13と、を有する。取付板部11Aの板厚は、取付板部11の板厚よりも厚くなっている。
【0057】
取付板部11Aは、取付凹部15Aを有する。この取付凹部15Aは、連結装置30Aを取り付ける用に供されており、所定の深さを持ったいわゆる止まり孔として形成されている。取付凹部15Aは、平面視において、例えば、楕円形、長円形、角丸長方形に形成されている。取付凹部15Aは、一方の固定脚部13から他方の固定脚部13に向かって延在している。取付凹部15Aの内周面には、後述する連結装置30Aの本体31の外周面と係合する、例えば、雌ねじ山等の係合部16Aが形成されている。取付板部11aの側面部11Sには、複数の貫通孔14Aが形成されている。複数の貫通孔14Aは、アタッチメントプレート10Aの長さ10Lの方向に沿って所定の間隔を開けて設けられている。各貫通孔14Aは、アタッチメントプレート10Aの幅10Wにわたって取付凹部15Aを超えて取付板部11aを貫通している。
【0058】
連結装置30Aは、断面円形の本体31Aと、部材間断熱材36Aと、を有する。本体31Aは、筒状部32Aと、天面部33と、設備用ボルト34と、を有する。筒状部32Aは、外周面に、例えば、雄ねじ山等の係合部37Aを有する。係合部37Aは、設備用ボルト34が設けられている側とは反対の側の他端部に形成されている。筒状部32Aの直径は、取付凹部15Aとの係合を考慮して適宜設定することができる。部材間断熱材36Aは、アタッチメントプレート10Aの取付凹部15A内に収容されていて、筒状部32Aの他端部の側の端面と接触している。
【0059】
連結具40Aは、取付凹部15Aに取り付けられた連結装置30Aを取付板部11Aに連結する。連結具40Aは、例えば、ボルト41A及びナット42Aにより形成されている。連結具40Aのボルト41Aは、デッキプレート120に対する架台基礎1Aの取付状態において、アタッチメントプレート10Aの幅10Wよりも長く形成されている。
【0060】
連結具40Aのボルト41Aは、アタッチメントプレート10Aの幅10Wの方向に沿って取付凹部15Aに取り付けられた筒状部32Aを貫通するように一の貫通孔14Aに挿通されている。ボルト41Aの突出した先端(ボルト41Aのヘッドが設けられていない端)にはナット42Aが締結されている。なお、筒状部32Aには、連結具40Aのボルト41Aが挿通される貫通孔が径方向に延びている。
【0061】
変形例1に係る架台基礎1Aによれば、少なくとも架台基礎1と同じ効果を奏することができる。さらに、架台基礎1Aにおけるアタッチメントプレート10Aは、取付凹部15Aを有しているので、短手方向Wにおいて自由な位置に連結装置30Aを取り付けることができる。また、本体31Aは、取付凹部15Aと螺合等により係合することができるので、より容易に取付板部11Aに取り付けることができる。
【0062】
さらに、連結具40Aにより連結装置30Aをアタッチメントプレート10Aにより強固に取り付けることができる。なお、変形例1に係る架台基礎1Aは、連結具40Aを有していたが、連結具40Aを有していなくてもよい。連結装置30Aとアタッチメントプレート10Aの取付凹部15Aとの係合状態は、連結具40Aがなくても維持することができる。
【0063】
また、取付凹部15Aは、延び方向に沿って対向する縁に複数の対をなす円弧部を、例えば、貫通孔14Aの位置に有していてよい。この場合、取付凹部15Aの円弧部における内周面には雌ねじ山が形成されている。適宜対をなす円弧部を選択して筒状部32Aを連結装置30が取り付けられるようになっていてもよい。
【0064】
また、アタッチメントプレート10Aは、デッキプレート120に対して、ビスDB1を介して固定されていたが、ボルト及びナットによって固定されていてもよい。ボルト及びナットを使用することにより、例えば、ビスDB1よりも少ない数のボルト及びナットによりアタッチメントプレート10Aをデッキプレート120に対して固定しても、十分な固定強度を確保することができる。ボルト及びナットを使用することにより、例えば、1つのボルト及びナットにより、アタッチメントプレート10Aをデッキプレート120に対して固定しても、十分な固定強度を確保することができる。また、ワンサイドボルトやリベットなどを使用すればナットを省略できるため大幅に作業を削減することができる。
【0065】
[変形例2]
次に、変形例2に係る架台基礎1Bについて説明する。
図7は、変形例2に係る架台基礎1Bを示す斜視図である。
図8Aは、変形例2に係る架台基礎1Bがデッキプレート120に取り付けられた状態を示す平面図である。
図8Bは、
図8AにおけるB-B線に沿った断面図である。
図8Cは、変形例2に係る架台基礎1Bがデッキプレート120に取り付けられた状態を示す側面図である。なお、架台基礎1Bについて、架台基礎1,1Aと同じ部分については、同じ又は類似の符号を付し、その説明は省略する。
【0066】
変形例2に係る架台基礎1Bは、アタッチメントプレート10Bと、連結装置30Bと、を備える。アタッチメントプレート10Bは、取付板部(取付部)11Bと、一対の固定脚部(固定部)13と、を有する。取付板部11Bの板厚は、取付板部11の板厚よりも厚くなっている。取付板部11Bは、複数の取付凹部15Bを有する。
【0067】
取付凹部15Bは、連結装置30Aを取り付ける用に供されており、所定の深さを持ったいわゆる止まり孔として形成されている。取付凹部15Bは、平面視において、例えば、円形状に形成されている。複数の取付凹部15Bは、一方の固定脚部13と他方の固定脚部13との間で、アタッチメントプレート10の長さ10Lの方向に沿って所定の間隔をあけて設けられている。各取付凹部15Bの内周面には、後述する連結装置30Bの本体31の外周面と係合する、例えば、雌ねじ山等の係合部16Bが形成されている。
【0068】
連結装置30Bは、断面円形の本体31Bと、部材間断熱材36Bと、を有する。本体31Bは、筒状部32Bと、天面部33と、設備用ボルト34と、を有する。筒状部32Bは、設備用ボルト34が設けられている側とは反対の側の他端部に、取付凹部15Bの係合部16Bと係合する、例えば、雄ねじ山等の係合部37Bが形成されている。部材間断熱材36Bは、平面視円形に形成されていて、アタッチメントプレート10Bの取付凹部15B内に収容されており、筒状部32Bの他端部の側の端面と接触している。
【0069】
変形例2に係る架台基礎1Bによれば、少なくとも架台基礎1と同じ効果を奏することができる。さらに、架台基礎1Bにおけるアタッチメントプレート10Bは、複数の取付凹部15Bを有しているので、短手方向Wにおいて自由な位置に連結装置30Bを取り付けることができる。また、本体31Bは、係合部37Bにより、取付凹部15Bと全周にわたって係合することができるので、より容易にかつ強固に取付板部11Bに取り付けることができる。また、本体31Bは、取付凹部15Bにねじ込まれることになるので、部材間断熱材36Bとの接触がより強固になり、また、ビスDB2を省略することができる。
【0070】
なお、アタッチメントプレート10Bは、デッキプレート120に対して、ビスDB1を介して固定されていたが、ボルト及びナットによって固定されていてもよい。ボルト及びナットを使用することにより、例えば、ビスDB1よりも少ない数のボルト及びナットによりアタッチメントプレート10Bをデッキプレート120に対して固定しても、十分な固定強度を確保することができる。ボルト及びナットを使用することにより、例えば、1つのボルト及びナットにより、アタッチメントプレート10Bをデッキプレート120に対して固定しても、十分な固定強度を確保することができる。また、ワンサイドボルトやリベットなどを使用すればナットを省略できるため大幅に作業を削減することができる。
【0071】
[変形例3]
次に、変形例3に係る架台基礎1Cについて説明する。
図9は、変形例3に係る架台基礎1Cを示す斜視図である。
図10Aは、変形例3に係る架台基礎1Cがデッキプレート120に取り付けられた状態を示す平面図である。
図10Bは、
図10AにおけるB-B線に沿った断面図である。
図10Cは、変形例3に係る架台基礎1Cがデッキプレート120に取り付けられた状態を示す側面図である。なお、架台基礎1Cについて、架台基礎1,1A,1Bと同じ部分については、同じ又は類似の符号を付し、その説明は省略する。
【0072】
変形例3に係る架台基礎1Cは、アタッチメントプレート10Cと、連結装置30と、固定具50Cと、を備える。架台基礎1Cにおいては、アタッチメントプレート10Cは、1つの固定具50Cによって取り付けられている。
【0073】
アタッチメントプレート10Cは、取付板部(取付部)11Cと、一対の固定脚部(固定部)13Cと、を有する。取付板部11Cは、デッキプレート120に対するアタッチメントプレート10Cの取付状態において、2つの山頂部121を短手方向Wにおいて超えている。一対の固定脚部13Cはそれぞれ、取付板部11Cに対して垂直又は略垂直に延びている。一対の固定脚部13Cの間隔は、2つの山頂部121において互いに対向しない傾斜部123における膨出部124間の間隔に相当又は略相当する。各固定脚部13Cには、後述する固定具50Cが挿通される挿通孔131Cが形成されている。アタッチメントプレート10Cをデッキプレート120に設置した場合、一対の固定脚部13Cは、内面において膨出部124と接触するようになっている。
【0074】
固定具50Cは、ボルト51Cとナット52Cと、を有する。ボルト51Cは、一対の固定脚部13Cを貫通する長さをもった、例えば、鋼製の棒状部材である。つまり、ボルト51Cは、アタッチメントプレート10Cの長さ10Lを超える長さを持っている。ナット52Cは、一方の固定脚部13Cから突出したボルト51Cの両端に締結される。ボルト51Cの外周面にはねじ山が形成されている。固定具50Cは、一対の固定脚部13Cの間で2つの山頂部121における傾斜部123を貫通している。
【0075】
変形例3に係る架台基礎1Cによれば、少なくとも架台基礎1と同じ効果を奏することができる。さらに、架台基礎1Cにおけるアタッチメントプレート10Cは、アタッチメントプレート10Cが跨がる2つの山頂部121の全ての傾斜部123に固定具50Cを介して固定されている。固定具50Cにより、架台基礎1Cをより強固にデッキプレート120に取り付けることができる。
[変形例4]
次に、変形例4に係る架台基礎1Dについて説明する。
図11は、変形例4に係る架台基礎1Dを示す斜視図である。
図12Aは、変形例4に係る架台基礎1Dがデッキプレート120に取り付けられた状態を示す平面図である。
図12Bは、
図12AにおけるB-B線に沿った断面図である。
図12Cは、変形例4に係る架台基礎1Dがデッキプレート120に取り付けられた状態を示す側面図である。なお、架台基礎1Dについて、架台基礎1Cと同じ部分については、同じ又は類似の符号を付し、その説明は省略する。
【0076】
変形例4に係る架台基礎1Dは、アタッチメントプレート10Dと、連結装置30Aと、連結具40Aと、固定具50Cと、を備える。アタッチメントプレート10Dは、取付板部(取付部)11Dと、一対の固定脚部(固定部)13Dと、を有する。取付板部11Dの板厚は、取付板部11Cの板厚よりも厚くなっている。取付板部11Dは、取付凹部15Dを有する。
【0077】
取付凹部15Dは、連結装置30Aを取り付ける用に供されており、所定の深さを持った止まり孔として形成されている。取付凹部15Dは、平面視において、例えば、楕円形、長円形、角丸長方形に形成されている。取付凹部15Dは、一方の固定脚部13Dから他方の固定脚部13Dに向かって延在している。取付凹部15Dの内周面には、後述する連結装置30Aの本体31Aの外周面と係合する、例えば、雌ねじ山等の係合部16Dが形成されている。取付板部11Dは、複数の貫通孔14Dを有する。複数の貫通孔14Dは、アタッチメントプレート10Dの長さ10Lの方向に沿って所定の間隔を開けて設けられている。各貫通孔14Dは、アタッチメントプレート10Dの幅10Wにわたって取付凹部15Dを超えて取付板部11Dを貫通している。
【0078】
一対の固定脚部13Dはそれぞれ、取付板部11Dに対して垂直又は略垂直に延びている。一対の固定脚部13Dの間隔は、2つの山頂部121において互いに対向しない傾斜部123における膨出部124間の間隔に相当又は略相当する。各固定脚部13Dには、後述する固定具50Cが挿通される挿通孔131Dが形成されている。アタッチメントプレート10Cをデッキプレート120に設置した場合、一対の固定脚部13Cは、内面において膨出部124と接触するようになっている。
【0079】
連結装置30Aは、断面円形の本体31Aと、部材間断熱材36Aと、を有する。本体31Aは、筒状部32Aと、天面部33と、設備用ボルト34と、を有する。筒状部32Aは、外周面に、例えば、雄ねじ山等の係合部37Aを有する。係合部37Aは、設備用ボルト34が設けられている側とは反対の側の他端部に形成されている。筒状部32Aの直径は、取付凹部15Dの係合部16Dとの係合を考慮して適宜設定することができる。部材間断熱材36Aは、アタッチメントプレート10Aの取付凹部15D内に収容されていて、筒状部32Aの他端部の側の端面と接触している。
【0080】
連結具40Aは、取付凹部15Dに取り付けられた連結装置30Aを取付板部11Dに連結する。連結具40Aは、例えば、ボルト41A及びナット42Aにより形成されている。連結具40Aのボルト41Aは、デッキプレート120に対する架台基礎1Aの取付状態において、アタッチメントプレート10Aの幅10Wよりも長く形成されている。
【0081】
連結具40Aのボルト41Aは、アタッチメントプレート10Dの幅10Wの方向に沿って取付凹部15Dに取り付けられた筒状部32Aを貫通するように一の貫通孔14Dに挿通されている。ボルト41Aの突出した先端(ボルト41Aのヘッドが設けられていない端)にはナット42Aが締結されている。なお、筒状部32Aには、連結具40Aのボルト41Aが挿通される貫通孔が径方向に延びている。
【0082】
変形例4に係る架台基礎1Dによれば、少なくとも架台基礎1,1Cと同じ効果を奏することができる。さらに、架台基礎1Aにおけるアタッチメントプレート10Aは、取付凹部15Dを有しているので、短手方向Wにおいて自由な位置に連結装置30Aを取り付けることができる。また、本体31Aは、取付凹部15Dと係合することができるので、より容易に取付板部11Dに取り付けることができる。
【0083】
なお、変形例4に係る架台基礎1Dは、連結具40Aを有していたが、連結具40Aを有していなくてもよい。連結装置30Aとアタッチメントプレート10Dの取付凹部15Dとの係合状態は、連結具40Aがなくても維持することができる。
【0084】
また、取付凹部15Dは、一方の固定脚部13Dと他方の固定脚部13Dとの間で所定の間隔をあけて設けられている変形例2における取付凹部15Bであってもよい。
【0085】
[変形例5]
次に、変形例5に係る架台基礎1Eについて説明する。
図13Aは、変形例5に係る架台基礎1Eを示す斜視図である。
図13Bは、
図13AにおけるB-B線に沿った断面図である。
図13Cは、
図13AにおけるC-C線に沿った断面図である。なお、架台基礎1Eについて、架台基礎1と同じ部分については、同じ又は類似の符号を付し、その説明は省略する。架台基礎1Eは、アタッチメントプレート10Eと、連結装置30と、を備える。
【0086】
アタッチメントプレート10Eは、取付板部11Eと、側面部12Eと、一対の固定脚部13Eと、を有する。取付板部11Eは、取付孔部14Eを有する。取付孔部14Eは、平面視において、例えば、楕円形、長円形、角丸長方形に形成されていて、一方の固定脚部13Eから他方の固定脚部13Eに向かって延在している。この取付孔部14Eの周に沿って、取付板部11Eの厚さ方向に延びるように板状の孔壁部15Eが設けられている。取付孔部14E及び孔壁部15Eは、連結装置30を取り付ける用に供されており貫通孔を形成している。
【0087】
アタッチメントプレート10Eは、全体的に鋼板により形成されている。例えば、取付板部11E、側面部12E、一対の固定脚部13E、孔壁部15Eはそれぞれ、個別の鋼板により形成されていて、取付板部11E、側面部12E及び一対の固定脚部13Eは、互いに溶接等により箱状に接合されており、孔壁部15Eは、取付孔部14Eの縁に沿って溶接等により接合されている。より具体的には、側面部12Eは、アタッチメントプレート10Eの長さ10Lの方向に沿った取付板部11Eの縁に、また一対の固定脚部13Eは、アタッチメントプレート10Eの幅10Wの方向に沿った取付板部11Eの縁に、また孔壁部15Eは、取付孔部14Eの周縁に沿って、例えば、溶接等により取付板部11Eに接合されている。なお、変形例5において、孔壁部15Eは、取付孔部14Eの全周にわたって接合されているが、アタッチメントプレート10Eの長さ10Lに沿った取付孔部14Eの縁にのみ接合されていてもよい。
【0088】
側面部12Eには、複数の貫通孔121Eが形成されている。複数の貫通孔121Eは、アタッチメントプレート10Eの長さ10Lの方向に沿って所定の間隔を開けて設けられている。各貫通孔121Eは、アタッチメントプレート10Eの幅10Wにわたって孔壁部15Eを超えて形成されている。
【0089】
取付板部11Eは、デッキプレート120に対するアタッチメントプレート10Eの取付状態において、2つの山頂部121を短手方向Wにおいて超えている。一対の固定脚部13Eはそれぞれ、取付板部11Eに対して垂直又は略垂直に延びている。一対の固定脚部13Eの間隔は、2つの山頂部121において互いに対向しない傾斜部123における膨出部124間の間隔に相当又は略相当する。各固定脚部13Eには、固定具50E(ボルト51E及びナット52E)が挿通される挿通孔131Eが形成されている。アタッチメントプレート10Eをデッキプレート120に設置した場合、一対の固定脚部13Eは、内面において膨出部124と接触するようになっている。
【0090】
連結装置30の筒状部32は、径方向に貫通する貫通孔を有する。貫通する貫通孔は、連結装置30がアタッチメントプレート10Eの取付孔部14Eに取り付けられた状態において、アタッチメントプレート10Eのいずれか一の貫通孔121Eと整合して、連結具40A(ボルト41A及びナット42A)が挿通される。
【0091】
連結装置30がアタッチメントプレート10Eの取付孔部14Eに取り付けられた状態において、その底面部35は、アタッチメントプレート10Eの幅10Wの方向に対向する孔壁部15Eの、取付孔部14Eの延在方向に面する端面17Eに接触している。
【0092】
次に、変形例5に係る架台基礎1Eをデッキプレート120に設置する方法について説明する。まず、連結装置30をアタッチメントプレート10Eに固定する。連結装置30の筒状部32を取付孔部14Eに底面部35が端面17Eに接触するまで挿入する。次いで、連結装置30を取付孔部14Eに沿って移動させて、任意(所望)の位置で側面部12Eの貫通孔121Eと、筒状部32の貫通孔と、を整合させてボルト41Aを一方の側面部12Eから挿通して、他方の側面部12Eから突出したボルト41Aの先端部にナット42Aを締結する。
【0093】
次いで、アタッチメントプレート10Eを2つの山頂部121に対して固定脚部13Eの側から嵌めるように設置して、一方の固定脚部13Eの側から挿通孔131Eにボルト51Cを挿入して、他方の固定脚部13Eの側から突出したボルト51Cの先端部にナット52Cを締結する。これにより、架台基礎1Eは、デッキプレート120に取り付けられる。
【0094】
変形例5に係る架台基礎1Eによれば、連結装置30がアタッチメントプレート10Eに連結された状態において、筒状部32は、固定具50Cにより孔壁部15Eに連結されて、筒状部32の軸線方向に働く力に対して抵抗しつつ、底面部35がアタッチメントプレート10Eの孔壁部15Eの端面17Eに接触しているので、取付孔部14Eに沿った連結装置30の回転は防がれる。
【0095】
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態及び変形例における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。なお、上記の実施の形態及び変形例に係る架台基礎は、アタッチメントプレートに連結装置が組み付けられた状態において、屋根下地を構築する現場に持ち込まれてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1,1A,1B,1C,1D・・・架台基礎
10,10D,10B,10C,10D・・・アタッチメントプレート、11,11A,11B,11C,11D・・・取付板部(取付部)、13,13C,13D・・・固定脚部(固定部)
30,30A,30B・・・連結装置
120・・・デッキプレート、121・・・山頂部、122・・・谷底部、123・・・傾斜部