(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107819
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】つなぎ用金具及びつなぎ用金具を用いた建物施工方法
(51)【国際特許分類】
E04G 5/04 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
E04G5/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011939
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】林 哲平
(72)【発明者】
【氏名】尾山 誠
(57)【要約】
【課題】施工性を向上することが可能なつなぎ用金具を提供する。
【解決手段】つなぎ用金具1は、仮設足場を保持するために用いられる。つなぎ用金具1は、左右の腰壁パネルB5の間に配置され、左右の腰壁パネルを連結するように取り付けられるベース部材10、20と、ベース部材に着脱可能に連結され、ベース部材から左右の腰壁パネルの隙間B7を通過して仮設足場に向かって延びて、仮設足場のつなぎ部材に接続される延出部材30と、を備えている。ベース部材10は、左右の腰壁パネルB5それぞれの対向面に設けられた被連結部に連結される左右のパネル連結部12を有する。つなぎ用金具1が左右の腰壁パネルB5に連結されたときに、ベース部材10は、パネル連結部12から建物の外側に向かって長尺に延びて、腰壁パネルB5の外面よりも建物の内側に配置される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物よりも外側に設置される仮設構造体を保持するために用いられるつなぎ用金具であって、
前記建物の外部に面して設置される左右の腰壁パネルの間に配置され、左右の前記腰壁パネルを連結するように取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材に着脱可能となるように連結され、前記ベース部材から左右の前記腰壁パネルの間に形成される隙間を通過して前記仮設構造体に向かって延びて、前記仮設構造体又は前記仮設構造体を保持するつなぎ部材と接続される延出部材と、を備え、
前記ベース部材は、左右の前記腰壁パネルそれぞれの対向面に設けられた被連結部に連結される左右のパネル連結部を有し、
前記つなぎ用金具が左右の前記腰壁パネルに連結されたときに、前記ベース部材は、前記パネル連結部から前記建物の外側に向かって前記腰壁パネルの対向面に沿って長尺に延びて、前記腰壁パネルの外面よりも前記建物の内側に配置されることを特徴とするつなぎ用金具。
【請求項2】
前記ベース部材は、左右の前記パネル連結部を有し、前記腰壁パネルの対向面に沿って延びている第1ベース部材と、該第1ベース部材の延出端部に接続され、前記腰壁パネルの対向面に沿って延びている第2ベース部材と、を備え、
前記第2ベース部材は、左右の前記腰壁パネルの前記隙間に配置されるベース本体部と、前記ベース本体部の幅方向の外側面から前記腰壁パネルに向かって張り出している張り出し部と、を有し、
前記張り出し部は、左右の前記腰壁パネルの間に形成される前記隙間よりも幅広となるように形成され、前記建物の間口方向において前記腰壁パネルの縁部と重なる位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のつなぎ用金具。
【請求項3】
前記張り出し部は、前記ベース本体部の外側面から左右に張り出しており、
左右の前記張り出し部は、それぞれ前記ベース本体部から前記腰壁パネルに向かって延びている第1延出部と、前記第1延出部の延出端部から前記第1ベース部材に向かって延びている第2延出部と、を有し、
左右の前記第2延出部が、前記建物の間口方向において前記第1ベース部材を挟持していることを特徴とする請求項2に記載のつなぎ用金具。
【請求項4】
前記ベース部材は、左右の前記腰壁パネルの上面に設けられた前記被連結部に上方から差し込まれるように連結され、
前記ベース部材は、左右の前記腰壁パネルと、左右の前記腰壁パネルを上方から覆う腰壁カバーとによって保持されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のつなぎ用金具。
【請求項5】
前記ベース部材は、前記腰壁カバーによって上方から覆われ、かつ、前記建物の出幅方向において前記建物の外側から少なくとも一部覆われ、
前記延出部材は、前記ベース部材の延出端部の外面に着脱可能に取り付けられ、左右の前記パネル連結部よりも下方位置に配置され、
左右の前記パネル連結部は、前記腰壁カバーによって前記建物の外側から覆われ、
前記延出部材は、前記腰壁カバーよりも下方位置を通過して前記建物の外側に向かって長尺に延びていることを特徴とする請求項4に記載のつなぎ用金具。
【請求項6】
前記つなぎ用金具は、前記ベース部材の延出端部の外面に着脱可能に取り付けられ、防水性を有するキャップを備え、
前記つなぎ用金具は、
前記延出部材が前記ベース部材の延出端部の外面に取り付けられ、前記仮設構造体を保持するための第1の使用状態と、
前記延出部材の代わりに前記キャップが前記ベース部材の延出端部の外面に取り付けられ、前記建物の防水性を確保するための第2の使用状態との間で切り替え可能となっていることを特徴とする請求項1に記載のつなぎ用金具。
【請求項7】
請求項1に記載のつなぎ用金具を用いた建物施工方法であって、
前記建物の躯体に左右の前記腰壁パネルを取り付ける工程と、
前記左右の腰壁パネルに連結させるように前記ベース部材を取り付ける工程と、
前記左右の腰壁パネルと、前記ベース部材とを上方から覆うように腰壁カバーを取り付ける工程と、
前記ベース部材に前記延出部材を取り付ける工程と、
前記延出部材と、前記仮設構造体又は前記仮設構造体を保持する前記つなぎ部材とを接続する工程と、
前記腰壁パネルよりも外側位置から前記延出部材を操作することで、前記延出部材を前記ベース部材から取り外す工程と、を含み、
前記腰壁カバーを取り付ける工程では、前記ベース部材を前記建物の出幅方向において前記建物の外側から少なくとも一部覆うように、前記腰壁カバーを取り付け、
前記延出部材を取り付ける工程では、前記腰壁カバーよりも下方位置を通過させるように前記延出部材を取り付けることを特徴とするつなぎ用金具を用いた建物施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つなぎ用金具及びつなぎ用金具を用いた建物施工方法に係り、建物よりも外側に設置される仮設構造体を保持するために用いられるつなぎ用金具及びつなぎ用金具を用いた建物施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の施工時又は修繕時(補修時)において、室外側から施工作業を行うために仮設足場や仮設手摺り等の仮設構造体が設置されている。
このとき、建物よりも外側に設置された仮設構造体の安定化を図るために、建物の躯体と、仮設構造体とを連結するつなぎ用金具が利用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
なお、つなぎ用金具は、仮設構造体に直接取り付けられても良いし、仮設構造体を保持するつなぎ部材に取り付けられても良い。
【0003】
特許文献1、2の壁つなぎ装置(壁つなぎ取り付け金物)は、建物の外部に面して設置される腰壁パネル(立ち上がり壁パネル)の上端部に取り付けられるクランプ部と、クランプ部から仮設足場に向かって延びており、仮設足場を保持するつなぎ材に接続される接続部材と、を備えている。
クランプ部は、腰壁パネルを挟み込むように取り付けられている。接続部材は、クランプ部に対して接続部材の長さを調整可能となるように接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-14812号公報
【特許文献2】特開2012-62723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1、2のようなつなぎ用金具は、腰壁パネルの上端部に取り付けられるため、腰壁パネルの構造性能(強度構造性能)に影響を与える虞があった。
詳しく説明すると、腰壁パネルの施工にあたっては、一般に腰壁パネルの下端部が建物の躯体にパネル固定具を介して固定されている。そうすると、上記つなぎ用金具の取り付け位置では、腰壁パネルの固定位置から距離が遠いため、腰壁パネルに比較的大きなモーメントが加わってしまう。その結果、腰壁パネルの構造性能に影響を与える虞があった。
【0006】
また、特許文献1、2のようなつなぎ用金具は、腰壁パネルを挟み込むように取り付けられるため、腰壁パネルの両面にある仕上げ面材を意図せず変形、損傷等させてしまう虞があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、従来よりも施工性の向上を果たすことが可能なつなぎ用金具及びつなぎ用金具を用いた建物施工方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、従来よりも腰壁パネル(腰壁)の構造性能に影響を与えることがなく、仮設構造体を好適に保持することが可能なつなぎ用金具及びつなぎ用金具を用いた建物施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明のつなぎ用金具によれば、建物よりも外側に設置される仮設構造体を保持するために用いられるつなぎ用金具であって、前記建物の外部に面して設置される左右の腰壁パネルの間に配置され、左右の前記腰壁パネルを連結するように取り付けられるベース部材と、前記ベース部材に着脱可能となるように連結され、前記ベース部材から左右の前記腰壁パネルの間に形成される隙間を通過して前記仮設構造体に向かって延びて、前記仮設構造体又は前記仮設構造体を保持するつなぎ部材と接続される延出部材と、を備え、前記ベース部材は、左右の前記腰壁パネルそれぞれの対向面に設けられた被連結部に連結される左右のパネル連結部を有し、前記つなぎ用金具が左右の前記腰壁パネルに連結されたときに、前記ベース部材は、前記パネル連結部から前記建物の外側に向かって前記腰壁パネルの対向面に沿って長尺に延びて、前記腰壁パネルの外面よりも前記建物の内側に配置されること、により解決される。
【0009】
上記構成により、従来よりも施工性の向上を果たし、腰壁パネルの構造性能に影響を与えることがなく、仮設構造体を好適に保持することが可能なつなぎ用金具を実現できる。
詳しく述べると、つなぎ用金具は、左右の腰壁パネルの間に配置され、左右の腰壁パネルを連結するように取り付けられる。また、左右の腰壁パネルの対向面に沿って長尺に延びており、左右の腰壁パネルに挟まれた位置に配置される。そのため、従来よりも腰壁パネルの構造性能(強度)に影響を与えることがなく、仮設構造体を好適に保持可能なつなぎ用金具となる。
また、つなぎ用金具がパネル連結具としての役割も担うことで、施工部材の部品点数を削減し、施工作業を向上させることができる。
また上記のように、ベース部材は、腰壁パネルの外面よりも建物の内側に配置されている。そのため、建物の施工作業又は修繕作業を終えた後は、建物にベース部材をそのまま取り付けておき、延出部材を取り外すことで、腰壁パネルの納まり構造が良好になる。
【0010】
このとき、前記ベース部材は、左右の前記パネル連結部を有し、前記腰壁パネルの対向面に沿って延びている第1ベース部材と、該第1ベース部材の延出端部に接続され、前記腰壁パネルの側面に沿って延びている第2ベース部材と、を備え、前記第2ベース部材は、左右の前記腰壁パネルの前記隙間に配置されるベース本体部と、前記ベース本体部の幅方向の外側面から前記腰壁パネルに向かって張り出している張り出し部と、を有し、前記張り出し部は、左右の前記腰壁パネルの間に形成される前記隙間よりも幅広となるように形成され、前記建物の間口方向において前記腰壁パネルの縁部と重なる位置に配置されると良い。
上記のように、ベース部材(第1ベース部材、第2ベース部材)が左右の腰壁パネルの間に形成される隙間(目地)に納まることで、左右の腰壁パネルにつなぎ用金具を強固に取り付けることができる。
また上記のように張り出し部を有することで、左右の腰壁パネルの間からつなぎ用金具が建物の外側へ抜けてしまうことを防ぐことができる。
【0011】
このとき、前記張り出し部は、前記ベース本体部の外側面から左右に張り出しており、左右の前記張り出し部は、それぞれ前記ベース本体部から前記腰壁パネルに向かって延びている第1延出部と、前記第1延出部の延出端部から前記第1ベース部材に向かって延びている第2延出部と、を有し、左右の前記第2延出部が、前記建物の間口方向において前記第1ベース部材を挟持していると良い。
上記構成により、第1ベース部材及び第2ベース部材を強固に組み付けることができ、左右の腰壁パネルにつなぎ用金具を強固に取り付けることができる。
【0012】
このとき、前記ベース部材は、左右の前記腰壁パネルの上面に設けられた前記被連結部に上方から差し込まれるように連結され、前記ベース部材は、左右の前記腰壁パネルと、左右の前記腰壁パネルを上方から覆う腰壁カバーとによって保持されると良い。
上記構成により、左右の腰壁パネルにつなぎ用金具を容易に取り付けることができ、施工性を向上させることができる。
また上記構成により、つなぎ用金具が、左右の腰壁パネルと腰壁カバーとによって保持されるため、つなぎ用金具によって仮設構造体を好適に保持することができる。
【0013】
このとき、前記ベース部材は、前記腰壁カバーによって上方から覆われ、かつ、前記建物の出幅方向において前記建物の外側から少なくとも一部覆われ、前記延出部材は、前記ベース部材の延出端部の外面に着脱可能に取り付けられ、左右の前記パネル連結部よりも下方位置に配置され、左右の前記パネル連結部は、前記腰壁カバーによって前記建物の外側から覆われ、前記延出部材は、前記腰壁カバーよりも下方位置を通過して前記建物の外側に向かって長尺に延びていると良い。
上記構成により、腰壁カバーによってベース部材を上方及び建物の外側から覆うことができ、かつ、腰壁カバーと延出部材を互いに干渉しないように配置できる。
【0014】
このとき、前記つなぎ用金具は、前記ベース部材の延出端部の外面に着脱可能に取り付けられ、防水性を有するキャップを備え、前記つなぎ用金具は、前記延出部材が前記ベース部材の延出端部の外面に取り付けられ、前記仮設構造体を保持するための第1の使用状態と、前記延出部材の代わりに前記キャップが前記ベース部材の延出端部の外面に取り付けられ、前記建物の防水性を確保するための第2の使用状態との間で切り替え可能となっていると良い。
上記構成により、建物の施工後又は修繕後において、建物の外側から延出部材を取り外し、延出部材の代わりに防水性キャップを取り付けることができる。そうすることで、シンプルな構成で左右の腰壁パネルの隙間の防水性能を確保できる。
【0015】
また前記課題は、上記つなぎ用金具を用いた建物施工方法であって、前記建物の躯体に左右の前記腰壁パネルを取り付ける工程と、前記左右の腰壁パネルに連結させるように前記ベース部材を取り付ける工程と、前記左右の腰壁パネルと、前記ベース部材とを上方から覆うように腰壁カバーを取り付ける工程と、前記ベース部材に前記延出部材を取り付ける工程と、前記延出部材と、前記仮設構造体又は前記仮設構造体を保持する前記つなぎ部材とを接続する工程と、前記腰壁パネルよりも外側位置から前記延出部材を操作することで、前記延出部材を前記ベース部材から取り外す工程と、を含み、前記腰壁カバーを取り付ける工程では、前記ベース部材を前記建物の出幅方向において前記建物の外側から少なくとも一部覆うように、前記腰壁カバーを取り付け、前記延出部材を取り付ける工程では、前記腰壁カバーよりも下方位置を通過させるように前記延出部材を取り付けること、によっても解決される。
上記構成により、従来よりも施工性の向上を果たすことが可能なつなぎ用金具を用いた建物施工方法を実現できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のつなぎ用金具及びつなぎ用金具を用いた建物施工方法によれば、従来よりも施工性の向上を果たすことが可能となる。
また、従来よりも腰壁パネル(腰壁)の構造性能に影響を与えることがなく、仮設構造体を好適に保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】建物、つなぎ用金具、つなぎ部材及び仮設足場の外観図である。
【
図2】腰壁パネル、つなぎ用金具、つなぎ部材及び仮設足場の斜視図である。
【
図3】腰壁パネル、つなぎ用金具(キャプを含む)の斜視図である。
【
図4】梁、パネル固定金具、腰壁パネルの分解斜視図である。
【
図5】梁、パネル固定金具、腰壁パネルの組図である。
【
図6】左右の腰壁パネル、腰壁カバー、つなぎ用金具の分解斜視図である。
【
図7】左右の腰壁パネル、腰壁カバー、つなぎ用金具の組図である。
【
図8】つなぎ用金具の斜視図であって、第1ベース部材、第2ベース部材、延出部材の分解斜視図である。
【
図9】第1ベース部材、第2ベース部材、延出部材の組図である。
【
図10】第1ベース部材、第2ベース部材、キャップの斜視図である。
【
図11A】腰壁パネル、腰壁カバー、第1使用状態のつなぎ用金具の側断面図である。
【
図11B】腰壁パネル、腰壁カバー、第2使用状態のつなぎ用金具の側断面図である。
【
図12】腰壁パネル、つなぎ用金具の側断面図である。
【
図13】腰壁パネル、第2実施形態のつなぎ用金具の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図13を参照して説明する。
本実施形態は、建物よりも外側に設置される仮設構造体(仮設足場)を保持するために用いられ、従来よりも腰壁パネルの構造性能に影響を与えることがなく、仮設構造体を好適に保持することを可能とする「つなぎ用金具」に関するものである。
また、「つなぎ用金具を用いた建物施工方法」に関するものである。
【0019】
<全体構成>
つなぎ用金具1は、
図1、
図2に示すように、建物B(建物Bの躯体)に取り付けられる金具であって、建物Bよりも外側に設置される仮設足場Sを保持するために用いられる。
つなぎ用金具1は、仮設足場Sを保持する「つなぎ金具」としての機能と、建物Bを構成する左右の腰壁パネルB5を連結する「パネル連結金具」としての機能とを兼ね備えた部材である。
なお、つなぎ用金具1は、仮設足場Sを保持するために利用されるほか、仮設手摺り等のような転落防止用の仮設構造体を保持するために利用されても良い。
【0020】
つなぎ用金具1は、
図2に示すように、建物Bの左右の腰壁パネルB5の間に配置され、左右の腰壁パネルB5を連結するように取り付けられ、腰壁パネルB5から建物Bの外側に突出するように延びている。
詳しく述べると、つなぎ用金具1は、
図6、
図7に示すように、隣り合う腰壁パネルB5の上方から差し込まれるように取り付けられる。そして、隣り合う腰壁パネルB5の間に形成される隙間B7(目地)を通過して仮設足場Sに向かって延びている。
【0021】
つなぎ用金具1は、
図2に示すように、建物Bの施工中又は修繕中に、仮設足場S(つなぎ部材S4)と連結される。そして、建物Bの施工作業又は修繕作業を終えた後に、
図3に示すように、建物の意匠性を確保し、防水性能を確保するために防水キャップによって被覆される。
以下、建物B、仮設足場Sを説明した後に、つなぎ用金具1の詳細を説明する。
【0022】
<建物の構成>
建物Bは、
図1、
図4~
図7に示すように、上下方向に長尺な複数の柱(不図示)と、当該柱同士を連結し、建物Bの間口方向に延びている梁B1と、梁B1上に固定される床パネルB2と、梁B1にパネル固定金具B3を介して取り付けられ、間口方向に沿って並ぶように配置される腰壁パネルB5と、を備えている。
【0023】
梁B1の取り付けプレートB1cは、
図4に示すように、横断面T字形状のプレートであって、梁B1のウェブB1a及び上下のフランジB1bに溶接固定されている。取り付けプレートB1cの外側面には、上下方向及び幅方向に間隔をあけて複数の取り付け穴B1dが形成されている。
パネル固定金具B3は、梁B1に腰壁パネルB5を固定する金具であって、隣り合う左右の腰壁パネルB5を保持するとともに、左右の腰壁パネルB5を連結している。
パネル固定金具B3は、梁B1の取り付けプレートB1cの外側面に取り付けボルトB4によって取り付けられ、左右の腰壁パネルB5の隙間B7に配置される。
なお、パネル固定金具B3は、梁B1の取り付けプレートB1cに取り付けられるが、ウェブB1aの外側面に取り付けられても良いし、フランジB1bの上面又は底面に取り付けられても良い。あるいは、不図示の柱の外側面に取り付けられても良い。
【0024】
腰壁パネルB5は、
図4~
図7に示すように、建物のバルコニー(ベランダ)を構成する矩形板状の壁部材であって、建物の外部に面して設置されている。
具体的には、腰壁パネルB5は、矩形状のパネルフレームB5aと、防水性を有する防水材B5b(二次防水材)と、通気性を確保するための胴縁B5c(縦胴縁)と、矩形状の仕上げ面材B5dと、を備えている。なお、仕上げ面材B5dは、パネルフレームB5aの両面側に固定されている。
【0025】
パネルフレームB5aは、断面U字形状の長尺な鋼材を矩形状に枠組みすることで形成されている。枠組みされたパネルフレームB5aによって囲まれる空間内には、断熱材が充填されている。
防水材B5bは、例えば、断熱ボード(グラスウールボード)と、断熱ボードの表面に貼り付けられた防水シート(二次防水シート)とから構成されている。なお、防水材B5bは、防水性を有する断熱ボード(例えば発泡系断熱ボード)であっても良く、防水シートを不要の構成にしても良い。
隣り合う腰壁パネルB5の間には、気温変化等による膨張を考慮して隙間B7(目地)が形成されている。隙間B7には、
図6に示すように、防水性能を確保するためのシーリング材B8(湿式のシーリング材や乾式の防水ガスケット等)が充填されている。
【0026】
左右の腰壁パネルB5の幅方向の外側面(対向面)の下方部分には、
図4に示すように、上下方向に間隔を空けて複数の連結穴B5eが形成されている。左右の連結穴B5eに連結ボルトB6が差し込まれることで、左右の腰壁パネルB5同士が連結される。
また、左右の腰壁パネルB5の外側面(対向面)の上端部分には、
図6に示すように、連結溝B5fが切り欠き形成されている。左右の連結溝B5fにつなぎ用金具1が差し込まれることで、左右の腰壁パネルB5同士が強固に連結される。
【0027】
左右の腰壁パネルB5の上方には、
図6、
図7に示すように、建物Bの間口方向に長尺な腰壁カバーB9が取り付けられる。
腰壁カバーB9は、左右の腰壁パネルB5を上方から連結するとともに、左右の腰壁パネルB5及びつなぎ用金具1を上方から覆っている。
【0028】
このように、つなぎ用金具1は、左右の腰壁パネルB5の上面に形成された連結溝B5fに上方から取り付けられ、左右の腰壁パネルB5の隙間B7を通過して仮設足場Sに向かって延びている。つなぎ用金具1が左右の腰壁パネルB5及び腰壁カバーB9によって保持されることで、腰壁パネルB5の構造性能に影響を与えることなく、仮設足場Sを好適に保持することができる。
【0029】
<仮設足場>
仮設足場Sは、
図1、
図2に示すように、建物の施工中又は修繕中に用いられる仮設構造体であって、建物Bよりも外側に設置されている。
仮設足場Sは、上下方向に長尺な複数の支柱S1と、互いに隣り合う支柱S1に架け渡され、建物の出幅方向に延びている複数の連結部材S2と、互いに隣り合う連結部材S2に架け渡され、建物の間口方向に延びている複数の足場板S3と、を備えている。
つなぎ部材S4は、建物Bに対して仮設足場Sを保持するために用いられる部材である。
つなぎ部材S4は、建物Bの出幅方向において建物B側に設けられ、つなぎ用金具1に接続される接続部材S4aと、接続部材S4aから仮設足場S側に向かって延びており、伸縮自在な伸縮部材S4bと、伸縮部材S4bの延出端部に設けられ、仮設足場S(支柱S1)に取り付けられるクランプS4cと、を備えている。
【0030】
上記のように、つなぎ用金具1は、
図1、
図2に示すように、建物の施工中又は修繕中に、仮設足場Sに固定されたつなぎ部材S4と連結される。
なお、つなぎ用金具1は、仮設足場Sを保持するつなぎ部材S4と接続されているが、特に限定されず、仮設足場S(例えば支柱S1や足場板S3)と直接接続され、仮設足場Sを直接保持することとしても良い。
【0031】
<つなぎ用金具の構成>
つなぎ用金具1は、
図8~
図10に示すように、左右の腰壁パネルB5に取り付けられるベース部材10、20と、ベース部材10、20に着脱可能に取り付けられ、ベース部材10、20から仮設足場Sに向かって延びており、つなぎ部材S4に接続される延出部材30と、を備えている。
また、つなぎ用金具1は、ベース部材10、20に着脱可能に取り付けられ、防水性を有するキャップ40を備えている。
つなぎ用金具1は、
図9に示すように、延出部材30がベース部材10、20の延出端部の外面に取り付けられ、仮設足場Sを保持するための「第1使用状態」と、
図10に示すように、延出部材30の代わりにキャップ40がベース部材10、20の延出端部の外面に取り付けられ、建物Bの防水性を確保するための「第2使用状態」との間で切り替え可能となっている。
詳しく述べると、延出部材30は、左右の腰壁パネルB5の隙間B7を通過して仮設足場Sに向かって延びており、腰壁パネルB5よりも外側位置から操作されることでベース部材10、20から取り外し可能となっている。キャップ40についても同様に、腰壁パネルB5よりも外側位置から操作されることでベース部材10、20から取り外し可能となっている。
【0032】
第1ベース部材10は、
図8、
図9に示すように、板状の鋼材を加工することで形成された部材であって、左右の腰壁パネルB5を連結した状態で隙間B7に配置されている。
第1ベース部材10は、つなぎ用金具1が腰壁パネルB5に取り付けられたとき、腰壁パネルB5の外面よりも建物の内側に配置されている。
第1ベース部材10は、左右の腰壁パネルB5の対向面に沿って長尺に延びている矩形板状のベース本体部11と、ベース本体部11の幅方向の外側面から腰壁パネルB5に向かって突出し、腰壁パネルB5(連結溝B5f)に連結される左右のパネル連結部12と、を備えている。
ベース本体部11の延出端部(外側端部)の外面には、延出部材30を取り付けるための取り付け穴13(ネジ穴)が形成されている。
【0033】
パネル連結部12は、第1ベース部材10の側面視においてベース本体部11の延出方向の内側端部側に配置されている。
また、パネル連結部12はベース本体部11の上方位置に配置されており、取り付け穴13は、パネル連結部12よりも下方位置に配置されている。
【0034】
第2ベース部材20は、
図8~
図10、
図12に示すように、防水性を有する材料から形成された横断面略Y字形状の部材であって、左右の腰壁パネルB5の隙間B7に配置され、第1ベース部材10の外側端部に取り付けられている。
第2ベース部材20は、左右の腰壁パネルB5の側面に沿って延びており、腰壁パネルB5の外面よりも建物の内側に配置されている。
具体的には、第2ベース部材20は、可撓性を有する材料(例えばゴム材料)から形成された部材であって、隙間B7に配置されるベース本体部21と、ベース本体部21の幅方向の外側面から腰壁パネルB5に向かって張り出している左右の張り出し部22と、を備えている。
ベース本体部21の延出端部(外側端部)の外面には、延出部材30を貫通させ、延出部材30を第1ベース部材10(取り付け穴13)に導くための貫通穴23が形成されている。また、ベース本体部21の延出端部の外面において貫通穴23よりも上方位置には、キャップ40を取り付けるための差し込み穴24が形成されている。
【0035】
張り出し部22は、ベース本体部21から腰壁パネルB5に向かって延びている第1延出部22aと、第1延出部22aの延出端部から第1ベース部材10に向かって延びている第2延出部22bと、を有している。
左右の第2延出部22bは、建物Bの間口方向において第1ベース部材10を挟持している。詳しく述べると、ベース本体部21及び左右の第2延出部22bが、第1ベース部材10の延出端部を囲むように保持している。
【0036】
左右の張り出し部22は、
図12に示すように、左右の腰壁パネルB5の隙間B7よりも幅広となるように形成され、建物Bの間口方向において腰壁パネルB5の縁部と重なる位置に配置されている。
詳しく述べると、腰壁パネルB5の胴縁B5cは、建物Bの間口方向においてパネルフレームB5a、防水材B5b、仕上げ面材B5dそれぞれの縁部よりも中央側に寄らせた位置に配置されている。言い換えれば、腰壁パネルB5の幅方向の縁部のうち、胴縁B5cに対応する位置には凹部(窪み部)が形成されている。張り出し部22は、腰壁パネルB5の当該凹部に納まるように配置されている。
そうすることで、つなぎ用金具1が隙間B7から建物Bの外側へ抜けてしまうことを防ぐことができる。
【0037】
左右の張り出し部22は、
図12に示すように、それぞれ第2延出部22bの延出端部から第1延出部22a側とは反対側に突出し、可撓性を有するヒレ部22c(突出部)をさらに有している。
左右のヒレ部22cは、左右の腰壁パネルB5(防水材B5b)にそれぞれ当接することで、第1ベース部材10と左右の腰壁パネルB5との間隙を密閉するように構成されている。詳しく述べると、ヒレ部22cは、腰壁パネルB5に当接することで弾性変形し、腰壁パネルB5に密着することができる。
そうすることで、ヒレ部22cが隙間B7の防水性能(二次防水性能)を担うことができる。
【0038】
延出部材30は、
図8、
図9、
図11Aに示すように、長尺な軸部材であって、第2ベース部材20を貫通し、第1ベース部材10の外面に着脱可能に連結されている。
延出部材30は、ベース部材10、20から隙間B7を通過して仮設足場Sに向かって延びており、仮設足場S(つなぎ部材S4)と接続されている。
具体的には、延出部材30は、長尺な本体部31と、本体部31の基端部に形成され、第1ベース部材10(取り付け穴13)に螺合される取り付け軸32と、本体部31の延出端部に形成され、つなぎ部材S4に接続される接続部33と、を有している。
【0039】
本体部31は、左右の腰壁パネルB5の間の隙間B7を通過できる大きさで形成されている。
接続部33は、例えばナット部材(高ナット)であって、本体部31に溶接で接合されている。接続部33の延出端部にある接続穴33aが、つなぎ部材S4の接続部材S4a(接続ボルト)と螺合可能となっている。
なお、接続部33は、本体部31に溶接されている場合に限られず、本体部31に螺合され、本体部31に対して着脱可能に取り付けられても良い。
【0040】
キャップ40は、
図10、
図11Bに示すように、防水性を有する長方形状の防水キャップであって、第2ベース部材20の外面に着脱可能に連結されている。
具体的には、キャップ40は、可撓性を有する材料(例えばゴム材料)から形成され、上下方向に長尺なキャップ本体部41と、キャップ本体部41の内面からそれぞれ突出し、第2ベース部材20の貫通穴23に差し込まれる第1突起部42と、差し込み穴24に差し込まれる第2突起部43と、を備えている。
キャップ40は、
図11Bに示すように、延出部材30の代わりに第2ベース部材20の延出端部の外面に取り付けられ、建物Bの防水性能を確保している。
【0041】
上記構成において、
図11Aに示すように、つなぎ用金具1(ベース部材10、20)は、腰壁カバーB9によって上方から覆われ、かつ、建物Bの出幅方向において建物の外側及び内側から少なくとも一部覆われている。
詳しく述べると、腰壁カバーB9は、つなぎ用金具1を上方から覆うカバー上方部B9aと、つなぎ用金具1を建物の外側及び内側から覆うカバー外側部B9b及びカバー内側部B9cと、を有している。
そうすることで、腰壁カバーB9によってベース部材10、20を上方及び建物の外側及び内側から覆うことができ、ベース部材10、20を好適に保持できる。
例えば、仮設足場Sの揺れによってつなぎ用金具1にモーメントが加わったとき、つまりは、つなぎ用金具1にパネル連結部12を回転中心とした回転モーメントが加わったときに、左右の腰壁パネルB5及び腰壁カバーB9によってつなぎ用金具1を好適に保持することができる。
【0042】
また上記構成において、
図11Aに示すように、延出部材30は、第2ベース部材20の外面に取り付けられ、パネル連結部12よりも下方位置に配置されている。
パネル連結部12は、腰壁カバーB9によって建物Bの外側から覆われている一方で、延出部材30は、腰壁カバーB9よりも下方位置を通過して建物Bの外側に向かって長尺に延びている。
そうすることで、腰壁カバーB9と延出部材30を干渉させないように配置できる。
【0043】
また上記構成において、
図11Bに示すように、第2ベース部材20は、隙間B7に沿って(上下方向に沿って)設けられた防水性を有するシーリング材B8と連続するように配置されている。
詳しく述べると、シーリング材B8は、一次防水ガスケットB8aと、二次防水ガスケットB8bと、を有している。二次防水ガスケットB8bは、上下方向において第2ベース部材20と連続するように配置されている。また、一次防水ガスケットB8aは、上下方向においてキャップ40と連続するように配置されている。
そうすることで、左右の腰壁パネルB5の隙間B7において防水性能を効果的に確保することができる。
【0044】
また上記構成において、
図12に示すように、建物Bの施工後又は修繕後には、第2ベース部材20(ベース本体部21、張り出し部22)及びキャップ40が、隙間B7の一次防水性能を担うことができる(一次防水ラインを確保できる)。
そして、第2ベース部材20のヒレ部22cが防水材B5bに密着することで、ヒレ部22cが隙間B7の二次防水性能を担うことができる(二次防水ラインを確保できる)。
例えば、第1ベース部材10と腰壁パネルB5(パネルフレームB5a)との間隙から雨水が侵入することを好適に防止できる。
【0045】
<つなぎ用金具の第2実施形態>
次に、第2実施形態のつなぎ用金具101について
図13に基づいて説明する。
なお、上述したつなぎ用金具1と重複する内容は説明を省略する。
【0046】
つなぎ用金具101は、左右の腰壁パネルB5に連結される第1ベース部材110と、第1ベース部材110を外側から囲むように取り付けられる枠状の第2ベース部材120と、第1ベース部材の延出方向の外面に取り付けられるキャップ140と、を備えている。
なお、第1実施形態と同様に、建物Bの施工中又は修繕中には、第1ベース部材110の外面に長尺な延出部材が取り付けられる。そして、建物Bの施工作業又は修繕作業を終えた後には、
図13に示すように、第1ベース部材110の外面に、延出部材の代わりにキャップ140が取り付けられる。
【0047】
第1ベース部材110(ベース本体部111)は、左右のパネル連結部112から左右の腰壁パネルB5の対向面に沿って長尺に延びており、腰壁パネルB5の外面よりも建物Bの内側に配置されている。
第2ベース部材120は、防水性を有し、第1ベース部材110の外形に合わせて形成された枠状の部材である。第2ベース部材120は、第1ベース部材110の幅方向の外側面から腰壁パネルB5に向かって張り出すように取り付けられている。
キャップ140は、第1ベース部材110の外面に直接取り付けられている。
【0048】
上記シンプルな構成であっても、第2ベース部材120が防水材B5bに密着することで、第2ベース部材120が隙間B7の二次防水性能を担うことができる。
上記第2実施形態であっても、腰壁パネルB5の構造性能に影響を与えることなく仮設足場Sを好適に保持することができ、かつ、防水性能を確保することが可能なつなぎ用金具を実現できる。
【0049】
<つなぎ用金具を用いた建物施工方法>
次に、つなぎ用金具1を用いた建物施工方法について説明する。
当該施工方法は、施工作業中又は修繕作業中の工程として、建物Bの躯体に左右の腰壁パネルB5を取り付ける「第1工程」と、左右の腰壁パネルB5にベース部材10、20を取り付ける「第2工程」と、左右の腰壁パネルB5とベース部材10、20を上方から覆うように腰壁カバーB9を取り付ける「第3工程」と、ベース部材10、20に延出部材30を取り付ける「第4工程」と、延出部材30と仮設足場S(つなぎ部材S4)を接続する「第5工程」と、を含むものである。
また、当該施工方法は、施工作業後又は修繕作業後の工程として、延出部材30をベース部材10、20から取り外す「第6工程」と、ベース部材10、20にキャップ40を取り付ける「第7工程」と、を含むものである。以下、詳しく説明する。
なお、建物の施工にあたって、上記以外の施工工程については説明を省略する。
【0050】
「第1工程」では、
図4、
図5に示すように、作業者が、建物Bの梁B1にパネル固定金具B3を介して腰壁パネルB5を取り付ける。
「第2工程」では、
図6、
図7に示すように、作業者が、左右の腰壁パネルB5の上面にある連結溝B5fにベース部材10、20を上方から差し込むように取り付ける。
なお、この時点で既にベース部材10、20に延出部材30を組み付けてつなぎ用金具1を完成させている場合には、「第4工程」を省略できる。
【0051】
「第3工程」では、
図6、
図7に示すように、作業者が、左右の腰壁パネルB5に腰壁カバーB9を上方から取り付ける。
このとき、腰壁カバーB9は、つなぎ用金具1を上方から覆い、かつ、建物Bの出幅方向において建物Bの外側及び内側からから覆うように取り付けられる。
「第4工程」、「第5工程」では、
図6に示すように、作業者が、ベース部材10、20に延出部材30を組み付けてつなぎ用金具1を完成させる。そして、
図2に示すように、つなぎ用金具1と仮設足場S(つなぎ部材S4)を接続する。
【0052】
「第6工程」では、
図11A、
図11Bに示すように、作業者が、腰壁パネルB5よりも外側位置から延出部材30を操作することで、延出部材30をベース部材10、20から取り外す。
「第7工程」では、作業者が、腰壁パネルB5よりも外側位置からベース部材10、20にキャップ40を取り付ける。
【0053】
上記建物施工方法であれば、腰壁パネルB5の構造性能に影響を与えることがなく、仮設足場Sを好適に保持できる。また、上記構造性能に加えて防水性能を好適に確保できる。さらには、施工性の向上を果たすことができる。
【0054】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、
図6に示すように、つなぎ用金具1が、第1ベース部材10と、第2ベース部材20と、延出部材30とを備えているが、特に限定されるものではない。
例えば、第1ベース部材10及び第2ベース部材を一体部材として構成しても良い。
また例えば、第2ベース部材20を不要の構成とし、つなぎ用金具1が、第1ベース部材10と、第1ベース部材10に直接取り付けられる延出部材30とから構成されても良い。その場合には、第1ベース部材10が、左右の腰壁パネルB5の隙間B7に沿って延びて、腰壁パネルB5の仕上げ面材B5dまで長尺に延びていると良い。
【0055】
上記実施形態では、
図8に示すように、延出部材30が第2ベース部材20を貫通して延びているが、特に限定されるものではなく、延出部材30が上下方向又は幅方向において第2ベース部材20を避けて延びていても良い。
【0056】
上記実施形態では、
図6に示すように、つなぎ用金具1が左右の腰壁パネルB5の上端部に取り付けられているが、特に限定されない。
例えば、つなぎ用金具1が、左右の腰壁パネルB5の下端部に取り付けられても良い。その場合には、つなぎ用金具1が、隙間B7に配置され、左右の腰壁パネルB5を連結するように取り付けられ、梁B1(取り付けプレートB1c)に取り付けられると良い。
【0057】
上記実施形態では、
図6に示すように、つなぎ用金具1が左右の腰壁パネルB5の隙間B7(縦目地)に配置されているが、腰壁パネルB5に限定されなくても良い。
例えば、つなぎ用金具1が左右の外壁パネルの隙間(縦目地)に配置され、左右の外壁パネルを連結するように取り付けられても良い。あるいは、つなぎ用金具1が上下の外壁パネルの隙間(横目地)に配置され、上下の外壁パネルを連結するように取り付けられても良い。
【0058】
上記実施形態で説明した建物B(腰壁パネルB5)、第1ベース部材10、第2ベース部材20、延出部材30、キャップ40それぞれの取り付け構造や連結構造、掛け止め構造についてはあくまで一例である。これら組み付け構造の様式を適宜変更しても良い。
【0059】
上記実施形態では、主として本発明に係るつなぎ用金具、つなぎ用金具を用いた建物施工方法に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
B 建物(建物の躯体)
B1 梁
B1a ウェブ
B1b フランジ
B1c 取り付けプレート
B1d 取り付け穴
B2 床パネル
B3 パネル固定金具
B4 取り付けボルト
B5 腰壁パネル(壁パネル)
B5a パネルフレーム
B5b 防水材(二次防水材)
B5c 胴縁(縦胴縁)
B5d 仕上げ面材
B5e 連結穴
B5f 連結溝(被連結部)
B6 連結ボルト
B7 隙間(目地)
B8 シーリング材
B8a 一次防水ガスケット
B8b 二次防水ガスケット
B9腰壁カバー
B9a カバー上方部
B9b カバー外側部
B9c カバー内側部
S 仮設足場(仮設構造体)
S1 支柱
S2 連結部材
S3 足場板
S4 つなぎ部材
S4a 接続部材
S4b 伸縮部材
S4c クランプ
1、101 つなぎ用金具
10、110 第1ベース部材(ベース部材)
11、111 ベース本体部
12、112 パネル連結部
13 取り付け穴(取り付け部)
20、120 第2ベース部材
21 ベース本体部
22 張り出し部
22a 第1延出部
22b 第2延出部
22c ヒレ部(突出部)
23 貫通穴
24 差し込み穴
30 延出部材
31 本体部
32 取り付け軸(被取り付け部)
33 接続部
33a 接続穴
40、140 キャップ(一次防水キャップ)
41 キャップ本体部
42 第1突起部
43 第2突起部