(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107821
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】面格子の取付構造および面格子付きサッシ
(51)【国際特許分類】
E06B 9/01 20060101AFI20240802BHJP
E06B 7/10 20060101ALI20240802BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
E06B9/01 K
E06B7/10
E06B5/16
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011941
(22)【出願日】2023-01-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】592220200
【氏名又は名称】株式会社丸忠
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】米丸 忠良
【テーマコード(参考)】
2E020
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E020AA02
2E020BA02
2E020BB02
2E020BC06
2E020EA06
2E036JA02
2E036JB01
2E036JC03
2E036KA03
2E036KA04
2E036LA06
2E036LB06
2E036MA08
2E036NB01
2E239CA01
2E239CA22
2E239CA26
2E239CA32
2E239CA57
2E239CA61
(57)【要約】
【課題】火災の発生によって火熱が窓の防火設備に加えられた場合に、ロック構造をより確実に解除できる、面格子の取付構造および面格子付きサッシを提供する。
【解決手段】面格子6をサッシ2に取り付けるための面格子の取付構造であって、当該取付構造は、面格子の面格子上枠31とサッシ2のサッシ上枠21との間で係合および係合解除が可能であるように構成されたロック構造10を備え、ロック構造は、1つの移動部材40と、移動部材を係合解除方向に付勢する付勢部材62と、温度ヒューズ12と、サッシおよび面格子に対する係合を行う係合部材50と、を有し、温度ヒューズは、面格子上枠および移動部材を連結固定し、係合部材は、長手方向に沿って複数個配設され、温度ヒューズの溶断によって、1つの移動部材が係合解除方向に移動して、複数個の係合部材のそれぞれが、係合の位置から係合解除の位置に動く。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面格子をサッシに取り付けるための面格子の取付構造であって、当該取付構造は、
前記面格子の面格子上枠と前記サッシのサッシ上枠との間で係合および係合解除が可能であるように構成されたロック構造を備え、
前記ロック構造は、
前記面格子上枠の長手方向に移動する1つの移動部材と、
前記移動部材を係合解除方向に付勢する付勢部材と、
所定温度で溶断する温度ヒューズと、
前記サッシおよび前記面格子に対する係合を行う係合部材と、を有し、
前記温度ヒューズは、前記面格子上枠および前記移動部材を連結固定し、
前記係合部材は、長手方向に沿って複数個配設され、
前記温度ヒューズの溶断によって、前記1つの移動部材が係合解除方向に移動して、前記複数個の係合部材のそれぞれが、前記係合の位置から前記係合解除の位置に動くことを特徴とする、面格子の取付構造。
【請求項2】
前記係合部材は、前記面格子上枠の側に突出する突出係合部を有し、該突出係合部が、大径部と、該大径部よりも小径の小径部とを有し、
前記移動部材は、大径貫通穴と、該大径貫通穴よりも小径の小径貫通穴とが長手方向に連なって形成された係合貫通穴を有し、
前記面格子上枠は、前記大径部の挿通を可能とする挿通穴を有し、
前記大径部の径は前記大径貫通穴の径よりも小さく且つ前記小径貫通穴の径よりも大きく、前記小径部の径は前記小径貫通穴の径よりも小さく、
前記挿通穴と前記小径貫通穴とが、前記長手方向に直交する長手直交方向に並ぶことによって、前記突出係合部の前記係合が可能になり、
前記挿通穴と前記大径貫通穴とが前記長手直交方向に並ぶことによって、前記突出係合部の前記係合解除が可能になることを特徴とする、請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記係合部材は、L字状に屈曲した形状を有するとともに前記サッシの側での第1係合を行う第1要素と、前記突出係合部を有するとともに前記面格子の側での第2係合を行う第2要素と、前記第1要素および前記第2要素を分離可能に連結固定する連結部とを備えることを特徴とする、請求項2に記載の取付構造。
【請求項4】
前記連結部は、前記突出係合部の内部に形成されたネジ穴と、前記ネジ穴に螺合する連結ネジとを有することを特徴とする、請求項3に記載の取付構造。
【請求項5】
前記連結部は、前記所定温度よりも低温で溶融する樹脂ワッシャをさらに有することを特徴とする、請求項4に記載の取付構造。
【請求項6】
前記移動部材は、前記面格子上枠に設けられたガイド長穴とガイドネジとによって長手方向に移動するようにガイドされ、前記ガイドネジは、前記面格子上枠と前記移動部材との間に可動隙間を形成する段部を有することを特徴とする、請求項1に記載の取付構造。
【請求項7】
前記係合部材は、長手方向に沿って離間して配設されることを特徴とする、請求項1に記載の取付構造。
【請求項8】
前記取付構造は、前記面格子の下端部に設けられて前記面格子を前記サッシに対して回動自在に軸支するように構成される軸支構造をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の取付構造。
【請求項9】
サッシと、
前記サッシに取り付けられる面格子と、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の取付構造とを備えることを特徴とする、面格子付きサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、面格子の取付構造および面格子付きサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
室内で火災が発生した場合においても、サッシ窓からの放熱を遮らない防火面格子が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の防火面格子は、所定温度に達したことを温度ヒューズが検知すると、ロック構造を解除して、面格子本体を揺動開放させることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のロック構造では、左右の解除腕部の基端部が温度ヒューズを介して連結されるとともに、その先端部に設けられた係合ボルトに対して、窓サッシ側の鉤部が係合している。そして、火災によって温度ヒューズが溶断すると、左右の解除腕部がそれぞれ異なる方向(反対方向)に動くことによって、ロック係合が解除される。
【0006】
特許文献1のロック構造では、ロック用の引っ張りバネと解除用の圧縮バネが使用されるが、これらのバネの付勢力は、バネの製造上の公差により左右で均等にすることが難しい。そのため、付勢力が左右の解除腕部のうちのどちらか一方に片寄って作用することにより、左右の解除腕部が「同時に」反対方向に動くことが妨げられる。
【0007】
また、係合ボルトおよび鉤部による係合では、面格子が傾倒しようとする負荷が作用している。このため、「左右同時の」係合解除が行われないと、遅れて係合解除される側のロック係合には傾倒しようとする負荷が掛かるので、係合解除を困難にする。したがって、特許文献1のロック構造は、左右の解除腕部が異なる動きをすることに起因して、左右の解除腕部が「同時に」動くことができずに、面格子本体の揺動開放を困難にするという問題を有する。
【0008】
そこで、この発明の課題は、火災の発生によって火熱が窓の防火設備に加えられた場合に、ロック構造をより確実に解除できる、面格子の取付構造および面格子付きサッシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る面格子の取付構造は、
面格子をサッシに取り付けるための面格子の取付構造であって、当該取付構造は、
前記面格子の面格子上枠と前記サッシのサッシ上枠との間で係合および係合解除が可能であるように構成されたロック構造を備え、
前記ロック構造は、
前記面格子上枠の長手方向に移動する1つの移動部材と、
前記移動部材を係合解除方向に付勢する付勢部材と、
所定温度で溶断する温度ヒューズと、
前記サッシおよび前記面格子に対する係合を行う係合部材と、を有し、
前記温度ヒューズは、前記面格子上枠および前記移動部材を連結固定し、
前記係合部材は、長手方向に沿って複数個配設され、
前記温度ヒューズの溶断によって、前記1つの移動部材が係合解除方向に移動して、前記複数個の係合部材のそれぞれが、前記係合の位置から前記係合解除の位置に動くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、火災の発生によって火熱が窓の防火設備に加えられた場合に、1つの移動部材の移動に連動して複数個の係合部材のそれぞれが係合の位置から係合解除の位置に動くので、ロック構造をより確実に解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の一実施形態に係る取付構造を含む面格子をサッシ側から見たときの図である。
【
図3】火災の発生によって面格子が開位置になったときの面格子付きサッシの斜視図である。
【
図4】この発明の取付構造におけるロック構造の展開図である。
【
図5】
図4のロック構造を構成する係合部材の展開図である。
【
図6】
図5の係合部材を別の角度から見たときの展開図である。
【
図7】係合部材が面格子に取り付けられるときのロック構造の展開図である。
【
図9】
図8のロック構造の要部を別の角度から見たときの図である。
【
図10】
図7のロック構造の要部を示す模式的断面図である。
【
図11】係合部材が面格子に取り付けられたときのロック構造の斜視図である。
【
図13】
図12のロック構造の要部を別の角度から見たときの図である。
【
図14】
図11のロック構造の要部を示す模式的断面図である。
【
図15】火災の発生で面格子が開位置になったときのロック構造の斜視図である。
【
図17】
図16のロック構造の要部を別の角度から見たときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1から
図18を参照しながら、この発明の一実施形態に係る面格子6の取付構造および面格子付きサッシ1を説明する。なお、この発明において、「1つの移動部材」という文言は、「単体の構成要素からなる」こと、および、「複数の構成要素からなるが一体化されることに単体と同じように働く」ことを含むことを意図している。
【0013】
図1は、この発明の一実施形態に係る取付構造を含む面格子6をサッシ2側から見たときの図である。
図2は、
図1に示す面格子6の側面図である。
図3は、火災の発生によって面格子6が開位置になったときの面格子付きサッシ1の斜視図である。
図4は、この発明の取付構造におけるロック構造10の展開図である。
図5は、
図4のロック構造10を構成する係合部材50の展開図である。
図6は、
図5の係合部材50を別の角度から見たときの展開図である。
図7は、係合部材50が面格子6に取り付けられるときのロック構造10の展開図である。
図8は、
図7のロック構造10の要部を示す図である。
図9は、
図8のロック構造10の要部を別の角度から見たときの図である。
図10は、
図7のロック構造10の要部を示す模式的断面図である。
図11は、係合部材50が面格子6に取り付けられたときのロック構造10の斜視図である。
図12は、
図11のロック構造10の要部を示す図である。
図13は、
図12のロック構造10の要部を別の角度から見たときの図である。
図14は、
図11のロック構造10の要部を示す模式的断面図である。
図15は、火災の発生で面格子6が開位置になったときのロック構造10の斜視図である。
図16は、
図15のロック構造10の要部を示す図である。
図17は、
図16のロック構造10の要部を別の角度から見たときの図である。
図18は、
図15に示したロック構造10の模式的断面図である。
【0014】
図3に示すように、面格子付きサッシ1は、サッシ2と、サッシ2に取り付けられる面格子6とを備える。サッシ2は、矩形状をしたサッシ枠体20を有する。サッシ枠体20は、サッシ上枠21と、サッシ横枠22と、サッシ2下枠23とを有する。サッシ枠体20は、住宅などの建造物に設けられた通風用の開口に固定されて使用される。サッシ2は、鉛直方向に立設状態で通風用の開口などに固定される。サッシ2は、防火設備として機能しており、例えば、2枚の窓を水平方向にスライド可能に収容する。
【0015】
図1~
図3に示すように、面格子6は、矩形状をした面格子枠体30を有する。面格子枠体30は、面格子上枠31と、面格子横枠32と、面格子下枠33とを有する。面格子6は、複数のルーバー7を開閉可能に支持する防犯用の部材である。面格子6の取付構造は、ロック構造10と、軸支構造15と、回動規制構造70とを備える。
【0016】
サッシ2に取り付けられた面格子6では、外側に傾倒しようとする負荷が作用するので、面格子6をサッシ2に対して回動自在に軸支するように構成された軸支構造15が設けられる。これにより、火災の発生によって火熱が窓の防火設備に加えられた場合、面格子6がサッシ2から離れるように回動するので、サッシ2が高温で変形することを防止できる。
図1および
図2に示すように、軸支構造15は、面格子6の下端部において、面格子6の正面視で、右側のコーナー部と左側のコーナー部とに設けられる。回動規制構造70は、面格子6の正面視で、面格子6の左側面上部および右側面上部に設けられている。軸支構造15として、面格子6をサッシ2に対して回動自在に軸支する様々な公知の構造が使用される。軸支構造15を構成する構成要素や部材は、耐熱性を有する金属材料(例えばステンレス)からなる。
【0017】
図2および
図3に示すように、回動規制構造70は、面格子6の回動を規制するとともに面格子6を支持するように構成される。回動規制構造70は、サッシ側ブラケット71と、サッシ側アーム72と、面格子側アーム75とを有する。なお、回動規制構造70を構成する構成要素や部材は、耐熱性を有する金属材料(例えばステンレス)からなる。
【0018】
サッシ側ブラケット71は、U字状に屈曲した板状体であり、サッシ2のサッシ横枠22の辺を挟んで係合するように構成される。サッシ側ブラケット71は、前後方向且つ上下方向に延在する。サッシ側ブラケット71には、サッシ側リンクピン74が立設されている。
【0019】
サッシ側アーム72は、サッシ2の側において、長円形状のサッシ側リンク穴73を有する。サッシ側リンクピン74は、サッシ側リンク穴73に挿通される。サッシ側アーム72は、サッシ側ブラケット71に対して回動自在に支持される。サッシ側アーム72は、面格子6の側において、上リンクピン78を有する。
【0020】
面格子側アーム75は、サッシ2の側において、長円形状の面格子6側リンク穴79を有する。上リンクピン78は、面格子6側リンク穴79に挿通される。面格子側アーム75は、面格子6の側において、上リンク穴を有する。面格子横枠32に立設された面格子側リンクピン76は、上リンク穴に挿通される。面格子側アーム75は、面格子横枠32に対して回動自在に支持される。
【0021】
上記回動規制構造70によれば、面格子側アーム75が面格子横枠32に回動自在に支持されるのに対して、サッシ側ブラケット71がサッシ横枠22の辺に係合するので、サッシ2にダメージを与えることなく、回動規制構造70を面格子付きサッシ1に配設できる。
【0022】
次に、
図1~
図18を参照しながら、面格子6の取付構造におけるロック構造10について説明する。ロック構造10を構成する構成要素や部材は、樹脂ワッシャ58を除いて、耐熱性を有する金属材料(例えばステンレス)からなる。
【0023】
ロック構造10は、面格子6の上端部に、すなわち面格子6の面格子上枠31に設けられて、面格子6の面格子上枠31とサッシ2のサッシ上枠21との間で係合および係合解除が可能であるように構成される。ロック構造10は、1つの移動部材40と、複数の係合部材50と、付勢部材62と、温度ヒューズ12とを有する。
【0024】
係合部材50は、サッシ上枠21と面格子上枠31との間に配置されて、サッシ上枠21に対する第1係合と面格子上枠31に対する第2係合とを行うように構成される。移動部材40は、面格子上枠31の長手方向(以下、単に長手方向という)に移動するように構成される。付勢部材62は、移動部材40を係合解除方向に付勢するように構成される。温度ヒューズ12は、面格子上枠31および移動部材40を連結固定するとともに所定温度で溶断するように構成される。
【0025】
複数の係合部材50は、面格子上枠31の長手方向に沿って離間して配設される。例えば、
図1に示すように、面格子6の上端部では、面格子6の正面視で、右側と、左側と、略中央部との三箇所において係合部材50が配設される。これにより、面格子6が外側に傾倒しようとする負荷が分散支持されて、特定の係合部材50に過大な負荷が掛かることを防止できる。例示として、3つの係合部材50が配設されているが、サッシ2や面格子6のサイズや重量に応じて複数個の係合部材50を適宜に配設することができる。
【0026】
係合部材50のそれぞれは、第1要素51と、第2要素54と、連結部60とを備える。第1要素51は、長手方向および上下方向に板状に延在するとともに、側面視でL字状に屈曲して面格子上枠31の側に突出する屈曲部52を有する。屈曲部52は、例えば、長手方向に離間した2つのネジ止め貫通穴53、53を有する。第1要素51の上部であり且つ面格子6側に位置する係合部は、サッシ上枠21のサッシ側の被係合部29に対する第1係合を行う。
【0027】
第2要素54は、長手方向および上下方向に板状に延在するとともに、突出係合部56を有する。突出係合部56は、対向する面格子上枠31の側に円柱状に突出する形状を有する。突出係合部56は、大径部56bおよび小径部56aを有する。大径部56bは、対向する面格子上枠31の側に位置する。小径部56aは、大径部56bよりも小径であるとともに、第1要素51の側に位置する。第2要素54の突出係合部56は、面格子上枠31に対する第2係合を行う。例えば、突出係合部56の端部が第2要素54に形成されたカシメ穴55に挿入したあと、かしめることによって、突出係合部56が第2要素54に固定される。これにより、突出係合部56を有する第2要素54の製造コストを低減できる。
【0028】
1つの移動部材40は、サッシ上枠21の長手方向および上下方向に延在する平坦な板状体であり、サッシ上枠21に対して長手方向に移動するように構成される。移動部材40は、例えば、単体の構成要素からなる。なお、移動部材40は、複数の構成要素からなるものの複数の構成要素によって一体化によって単体と同じように働くものであってもよい。移動部材40は、大径貫通穴41bと、大径貫通穴41bよりも小径の小径貫通穴41aとが長手方向に連なって形成された係合貫通穴41を有する。例えば、
図8において、面格子6の正面視で、小径貫通穴41aが左側に位置して、大径貫通穴41bが右側に位置する。
【0029】
図4に示すように、面格子上枠31は、大径部56bの挿通を可能とするように寸法構成された挿通穴35を有する。
図8、
図12および
図16に示すように、大径部56bの径は大径貫通穴41bの径よりも小さく且つ小径貫通穴41aの径よりも大きく、小径部56aの径は小径貫通穴41aの径よりも小さいように構成される。言い換えると、大径部56bは、大径貫通穴41bの挿通が可能であるが小径貫通穴41aの挿通が不可であり、小径部56aは小径貫通穴41aの挿通が可能であるように構成される。移動部材40が係合位置にあるとき、挿通穴35と小径貫通穴41aとが、長手方向に直交する長手直交方向に並ぶ(連通する)ことによって、突出係合部56の前記係合が可能になる。また、移動部材40が解除位置にあるとき、挿通穴35と大径貫通穴41bとが長手直交方向に並ぶ(連通する)ことによって、突出係合部56の係合が解除可能になる。これにより、突出係合部56の係合と係合解除とを容易に切り替えることができる。
【0030】
解除位置では、サッシ2の側に回転しようとする回転モーメントが係合部材50に作用することによって、係合部材50のそれぞれにおいて、突出係合部56が大径貫通穴41bおよび挿通穴35から抜け出るように動いて、第2係合が解除される。温度ヒューズ12の溶断によって、1つの移動部材40が係合解除方向に移動して、係合部材50のそれぞれが、係合位置から係合解除位置に動く。言い換えると、移動部材40の移動に連動して係合部材50のそれぞれが同様の動きをすることによって、第2係合が解除される。これにより、ロック構造10をより確実に解除できる。
【0031】
突出係合部56の内部には、ネジ穴56cが形成される。連結部60は、サッシ2の側での第1係合を行う第1要素51と、面格子6の側での第2係合を行う第2要素54とを分離可能に連結固定する機能を有する。これにより、ロック構造10における係合部材50を構成する第1要素51の連結固定だけを設置現場で行うことでよいので、設置現場での施工工数が低減されて、施工が容易になる。連結部60は、突出係合部56のネジ穴56cと、ネジ穴56cに螺合する連結ネジ57とによって少なくとも構成される。これにより、係合部材50における第1要素51の連結固定が非常に容易になる。
【0032】
連結部60は、温度ヒューズ12が溶断する所定温度(例えば120℃)よりも低温(例えば70℃~90℃)で溶融する樹脂ワッシャ58をさらに有する。樹脂ワッシャ58は、例えば熱可塑性樹脂から構成され、連結ネジ57のヘッド部と、第1要素51の屈曲部52との間に介在配置される。樹脂ワッシャ58を介在配置することにより、連結ネジ57の締め付け作業者の締め付け度合いによって、移動部材40とサッシ上枠21との間での密着度合いが影響を受けにくくなる。そして、樹脂ワッシャ58が温度ヒューズ12よりも先に溶融することによって、移動部材40とサッシ上枠21との間に、樹脂ワッシャ58の厚みに対応する溶融隙間が形成される。これにより、移動部材40が移動しやすくなり、第1係合および第2係合の解除が容易になる。
【0033】
移動部材40は、面格子上枠31に設けられたガイド長穴36とガイドネジ17とによって、長手方向に移動するようにガイドされる。面格子上枠31には、例えば、長手方向に離間した3つのガイド長穴36が形成される。ガイドネジ17は、ヘッド部と、ヘッド部に続く段部17aと、段部17aに続くネジ部を有する、いわゆる段付きネジである。ガイドネジ17の段部17aの一部分は、ガイド長穴36に収容される。段部17aは、面格子上枠31と移動部材40との間での可動隙間(例えば1mm)を形成する機能を有する。
【0034】
ガイドネジ17は、段部17aがガイド長穴36を挿通されるとともに、段部17aの末端が移動部材40におけるガイド貫通穴44の周囲部に当接して規制されるように構成される。段部17aの高さ(例えば4mm)は、面格子上枠31の厚みと可動隙間とを足し合わせたサイズに寸法構成される。これにより、移動部材40および面格子上枠31が、長手方向において製造公差による反りなどを有していても、移動部材40は長手方向にスムーズに移動できるので、第1係合および第2係合の解除が容易になる。
【0035】
図8および
図9に示すように、温度ヒューズ12は、面格子上枠31および移動部材40を連結固定するとともに所定温度(例えば120℃)で溶断するように構成される。温度ヒューズ12は、例えば、2枚の金属板を感熱部を介して段状に接合した構造を有する。温度ヒューズ12において、一方の金属板が面格子上枠31に対してヒューズ固定ネジ13でネジ止めされ、他方の金属板が移動部材40に対してヒューズ固定ネジ13でネジ止めされる。
【0036】
一方の金属板のネジ止めに使用されるヒューズ固定ネジ13は、面格子上枠31の枠貫通穴37に挿通されたあとヒューズ固定ナット14に螺合して、螺合したヒューズ固定ナット14は、移動部材40のスライド用長穴43に収容される。他方の金属板のネジ止めに使用されるヒューズ固定ネジ13は、面格子上枠31の矩形穴38に挿通されたあとヒューズ固定ナット14に螺合して、ヒューズ固定ネジ13のヘッド部は、矩形穴38に収容される。火災の発生によって火熱が面格子付きサッシ1に加えられた場合(例えば120℃になると)、温度ヒューズ12の感熱部が溶融して2枚の金属板が分離する。これにより、面格子上枠31および移動部材40の連結固定が解除されて、移動部材40が移動できる。
【0037】
図4、
図7、
図11および
図15に示すように、面格子上枠31と移動部材40との間には、付勢部材62が介在配置されている。付勢部材62は、例えば、引張コイルバネ62である。引張コイルバネ62の一方のバネフック64は、面格子上枠31に取り付けられるバネ係止ネジ19に引っ掛けられる。引張コイルバネ62の他方のバネフック64は、移動部材40に取り付けられるガイドネジ17に引っ掛けられる。引張コイルバネ62によって、面格子上枠31と移動部材40との間に張力が付与され、面格子6の正面視で、移動部材40は、長手方向において右側から左側に付勢される。言い換えると、移動部材40は、面格子6の側での第2係合を解除する方向に付勢される。
【0038】
面格子上枠31および移動部材40は、温度ヒューズ12によって連結固定されているので、温度ヒューズ12が溶断されるまでは、移動部材40の移動が規制される。しかしながら、温度ヒューズ12が溶断されると、移動部材40は、長手方向において右側から左側に、言い換えると、係合位置から解除位置に移動する(
図15および
図16において移動方向を矢印で示す)。
【0039】
次に、面格子6のロック構造10の組立・設置および動作について説明する。
【0040】
図4~
図6に示すように、この発明の取付構造におけるロック構造10を構成する各種の構成要素や部材が準備される。すなわち、移動部材40、係合部材50、付勢部材62および温度ヒューズ12などの構成要素や部材が準備される。そして、これらの構成要素や部材を面格子枠体30に組み込むための組立作業が、面格子6の製造現場でなされる。
【0041】
図8および
図9に示すように、面格子6の正面視および背面視で、面格子上枠31の挿通穴35と移動部材40の大径貫通穴41bとが並ぶ(連通する)ように、面格子上枠31および移動部材40が位置決めされる。面格子6の背面側から第2要素54の突出係合部56が挿通穴35および大径貫通穴41bに挿入され、そのあと、第2要素54が小径貫通穴41aの側にシフトされる。そして、温度ヒューズ12の一方の金属板が面格子上枠31にネジ止めされるとともに、温度ヒューズ12の他方の金属板が移動部材40にネジ止めされる。これにより、面格子上枠31および移動部材40は、温度ヒューズ12を介して連結固定される。それとともに、面格子上枠31および移動部材40は、ガイドネジ17およびナット18によってネジ止めされる。
【0042】
このような状態で、引張コイルバネ62における一端側のバネフック64が、引張コイルバネ62の近傍に位置するガイドネジ17に係止される。また、引張コイルバネ62における他端側のバネフック64が、面格子上枠31の上面に取り付けられたバネ係止ネジ19の下部に係止される。これにより、面格子上枠31および移動部材40が連結固定されるとともに、長手方向における右側から左側への矢印で示す付勢力F(解除方向への付勢力F)が移動部材40に作用する。このような例示的な手順に従って、上記構造を有する面格子6が組み立てられて、製品として出荷される。なお、第1要素51、連結ネジ57および樹脂ワッシャ58は、付属品として添付される。
【0043】
出荷された面格子6をサッシ2に設置する設置現場では、
図7~
図10に示すように、連結ネジ57および樹脂ワッシャ58を用いて、面格子6の背面側から、第1要素51が第2要素54の突出係合部56にネジ止めされる。その結果、
図11~
図14に示すように、ロック構造10を有する面格子6がサッシ2に設置されて、面格子付きサッシ1が完成となる。面格子6をサッシ2に設置するとき、第1要素51の面格子側の係合部59がサッシ上枠21のサッシ側の被係合部29に係合することによって、第1係合が形成される。
【0044】
上記のような面格子付きサッシ1を有する建造物において火災が発生すると、火熱によって、まず樹脂ワッシャ58が軟化して溶融する。その結果、移動部材40とサッシ上枠21との間に、樹脂ワッシャ58の厚みに対応する溶融隙間が形成される。
【0045】
火熱によってさらに高温になると、温度ヒューズ12が溶断する。その結果、面格子上枠31および移動部材40の連結固定が解除され、移動部材40は、
図15~
図17に示すように、引張コイルバネ62の付勢力Fによって、長手方向において右側から左側に、言い換えると、係合位置から解除位置に移動する。
【0046】
解除位置では、挿通穴35と大径貫通穴41bとが長手直交方向に並んでいる(連通している)。そして、係合部材50の重心がサッシ2の側に片寄った位置にあるために、サッシ2の側に回転しようとする回転モーメントが係合部材50に作用する。その結果、複数の係合部材50のそれぞれにおいて、突出係合部56が大径貫通穴41bおよび挿通穴35から抜け出るように動いて、第2係合が解除される。言い換えると、複数個の係合部材50の全てが同様の動きをすることによって、第2係合が解除される。第2係合の解除に伴って、第1係合も解除される。
図18に示すように、第1係合および第2係合が解除された係合部材50は、サッシ2および面格子6から切り離されて、重力により落下する。
【0047】
図15に示すように、複数個の係合部材50のそれぞれが切り離されて落下することにより、サッシ2の側での第1係合および面格子6の側での第2係合が解除される。そして、
図3に示すように、軸支構造15により、面格子6がサッシ2から離れる方向に回動するが、回動規制構造70により、面格子6の回動角度が規制される。面格子6がサッシ2から離れるように回動することで、面格子6による閉鎖空間が開放され、建造物内部での熱を外部に逃がすことができる。
【0048】
したがって、上述した面格子6の取付構造によれば、火災の発生によって火熱が窓の防火設備に加えられた場合、1つの移動部材40の移動に連動して複数個の係合部材50のそれぞれが係合の位置から係合解除の位置に動くので、ロック構造10をより確実に解除できる。
【0049】
また、面格子付きサッシ1であっても、サッシ2に対して防火上の悪影響を与えないようにすることができ、サッシ2の遮炎性能を維持することができる。また、面格子6が開いた状態でサッシ2に係止しているので、面格子6がサッシ2から不用意に脱落することを防止できる。
【0050】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0051】
面格子6の上端部に設けられるロック構造10の個数や配置は、サッシ2の大きさに応じて適宜に決められる。
【0052】
ロック構造10を構成する各種の構成要素や部材を面格子枠体30に組み込むための手順は、適宜に変更可能である。
【0053】
ガイドネジ17の段部17aによって、可動隙間が面格子上枠31と移動部材40との間に形成されるが、段部17aの代わりに、例えば別体の金属製スペーサを介在配置することによっても可動隙間を形成できる。
【0054】
上記実施形態では、ガイドネジ17はガイド用およびバネ固定用を兼ねているが、ガイド用ネジおよびバネ固定用ネジという2つのネジを用いることもできる。
【0055】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0056】
この発明の一態様に係る面格子6の取付構造は、
面格子6をサッシ2に取り付けるための面格子6の取付構造であって、当該取付構造は、
前記面格子6の面格子上枠31と前記サッシ2のサッシ上枠21との間で係合および係合解除が可能であるように構成されたロック構造10を備え、
前記ロック構造10は、
前記面格子上枠31の長手方向に移動する1つの移動部材40と、
前記移動部材40を係合解除方向に付勢する付勢部材62と、
所定温度で溶断する温度ヒューズ12と、
前記サッシ2および前記面格子6に対する係合を行う係合部材50と、を有し、
前記温度ヒューズ12は、前記面格子上枠31および前記移動部材40を連結固定し、
前記係合部材50は、長手方向に沿って複数個配設され、
前記温度ヒューズ12の溶断によって、前記1つの移動部材40が係合解除方向に移動して、前記複数個の係合部材50のそれぞれが、前記係合の位置から前記係合解除の位置に動くことを特徴とする。
【0057】
上記構成によれば、火災の発生によって火熱が窓の防火設備に加えられた場合、1つの移動部材40の移動に連動して複数個の係合部材50のそれぞれが係合の位置から係合解除の位置に動くので、ロック構造10をより確実に解除できる。
【0058】
また、一実施形態の面格子6の取付構造では、
前記係合部材50は、前記面格子上枠31の側に突出する突出係合部56を有し、該突出係合部56が、大径部56bと、該大径部56bよりも小径の小径部56aとを有し、
前記移動部材40は、大径貫通穴41bと、該大径貫通穴41bよりも小径の小径貫通穴41aとが長手方向に連なって形成された係合貫通穴41を有し、
前記面格子上枠31は、前記大径部56bの挿通を可能とする挿通穴35を有し、
前記大径部56bの径は前記大径貫通穴41bの径よりも小さく且つ前記小径貫通穴41aの径よりも大きく、前記小径部56aの径は前記小径貫通穴41aの径よりも小さく、
前記挿通穴35と前記小径貫通穴41aとが、前記長手方向に直交する長手直交方向に並ぶことによって、前記突出係合部56の前記係合が可能になり、
前記挿通穴35と前記大径貫通穴41bとが前記長手直交方向に並ぶことによって、前記突出係合部56の前記係合解除が可能になる。
【0059】
上記実施形態によれば、突出係合部56の係合と係合解除とを容易に切り替えることができる。
【0060】
また、一実施形態の面格子6の取付構造では、
前記係合部材50は、L字状に屈曲した形状を有するとともに前記サッシ2の側での第1係合を行う第1要素51と、前記突出係合部56を有するとともに前記面格子6の側での第2係合を行う第2要素54と、前記第1要素51および前記第2要素54を分離可能に連結固定する連結部60とを備える。
【0061】
上記実施形態によれば、ロック構造10における係合部材50を構成する第1要素51の連結固定だけを設置現場で行うことでよいので、設置現場での施工工数が低減されて、施工が容易になる。
【0062】
また、一実施形態の面格子6の取付構造では、
前記連結部60は、前記突出係合部56の内部に形成されたネジ穴56cと、前記ネジ穴56cに螺合する連結ネジ57とを有する。
【0063】
上記実施形態によれば、係合部材50における第1要素51の連結固定が非常に容易になる。
【0064】
また、一実施形態の面格子6の取付構造では、
前記連結部60は、前記所定温度よりも低温で溶融する樹脂ワッシャ58をさらに有する。
【0065】
上記実施形態によれば、移動部材40が移動しやすくなり、第1係合および第2係合の解除が容易になる
【0066】
また、一実施形態の面格子6の取付構造では、
前記移動部材40は、前記面格子上枠31に設けられたガイド長穴36とガイドネジ17とによって長手方向に移動するようにガイドされ、前記ガイドネジ17は、前記面格子上枠31と前記移動部材40との間に可動隙間を形成する段部17aを有する。
【0067】
上記実施形態によれば、移動部材40および面格子上枠31が、長手方向において製造公差による反りなどを有していても、移動部材40は長手方向にスムーズに移動できるので、第1係合および第2係合の解除が容易になる。
【0068】
また、一実施形態の面格子6の取付構造では、
前記係合部材50は、長手方向に沿って離間して配設される。
【0069】
上記実施形態によれば、面格子6が外側に傾倒しようとする負荷が分散支持されて、特定の係合部材50に過大な負荷が掛かることを防止できる。
【0070】
また、一実施形態の面格子6の取付構造では、
前記取付構造は、前記面格子6の下端部に設けられて前記面格子6を前記サッシ2に対して回動自在に軸支するように構成される軸支構造15をさらに備える。
【0071】
上記実施形態によれば、火災の発生によって火熱が窓の防火設備に加えられた場合、面格子6がサッシ2から離れるように回動するので、サッシ2が高温で変形することを防止できる。
【0072】
この発明の別の局面に係る面格子付きサッシ1は、
サッシ2と、
前記サッシ2に取り付けられる面格子6と、
上述した取付構造とを備えることを特徴とする。
【0073】
上記構成によれば、火災の発生によって火熱が窓の防火設備に加えられた場合、1つの移動部材40の移動に連動して複数個の係合部材50のそれぞれが係合の位置から係合解除の位置に動くので、ロック構造10をより確実に解除できる。
【符号の説明】
【0074】
1…面格子付きサッシ
2…サッシ
6…面格子
7…ルーバー
8…ネット
10…ロック構造
12…温度ヒューズ
13…ヒューズ固定ネジ
14…ヒューズ固定ナット
15…軸支構造
17…ガイドネジ
17a…段部
18…ナット
19…バネ係止ネジ
20…サッシ枠体
21…サッシ上枠
22…サッシ横枠
29…サッシ側の被係合部
30…面格子枠体
31…面格子上枠
32…面格子横枠
33…面格子下枠
35…挿通穴
36…ガイド長穴
37…枠貫通穴
38…矩形穴
40…移動部材
41…係合貫通穴
41a…小径貫通穴
41b…大径貫通穴
43…スライド用長穴
44…ガイド貫通穴
50…係合部材
51…第1要素
52…屈曲部
53…ネジ止め貫通穴
54…第2要素
55…カシメ穴
56…突出係合部
56a…小径部
56b…大径部
56c…ネジ穴
57…連結ネジ
58…樹脂ワッシャ
59…面格子側の係合部
62…引張コイルバネ(付勢部材)
64…バネフック
70…回動規制構造
71…サッシ側ブラケット
72…サッシ側アーム
73…サッシ側リンク穴
74…サッシ側リンクピン
75…面格子側アーム
76…面格子側リンクピン
78…上リンクピン
F…付勢力
【手続補正書】
【提出日】2023-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面格子をサッシに取り付けるための面格子の取付構造であって、当該取付構造は、
前記面格子の面格子上枠と前記サッシのサッシ上枠との間で係合および係合解除が可能であるように構成されたロック構造を備え、
前記ロック構造は、
前記面格子上枠の長手方向に移動する1つの移動部材と、
前記移動部材を係合解除方向に付勢する付勢部材と、
所定温度で溶断する温度ヒューズと、
前記サッシおよび前記面格子に対する係合を行う係合部材と、を有し、
前記温度ヒューズは、前記面格子上枠および前記移動部材を連結固定し、
前記係合部材は、長手方向に沿って複数個配設され、
前記温度ヒューズの溶断によって、前記1つの移動部材が係合解除方向に移動して、前記移動部材に対する前記複数個の係合部材の位置関係が変化することにより、前記複数個の係合部材のそれぞれが、前記係合の位置から前記係合解除の位置に変化することを特徴とする、面格子の取付構造。
【請求項2】
前記係合部材は、前記面格子上枠の側に突出する突出係合部を有し、該突出係合部が、大径部と、該大径部よりも小径の小径部とを有し、
前記移動部材は、大径貫通穴と、該大径貫通穴よりも小径の小径貫通穴とが長手方向に連なって形成された係合貫通穴を有し、
前記面格子上枠は、前記大径部の挿通を可能とする挿通穴を有し、
前記大径部の径は前記大径貫通穴の径よりも小さく且つ前記小径貫通穴の径よりも大きく、前記小径部の径は前記小径貫通穴の径よりも小さく、
前記挿通穴と前記小径貫通穴とが、前記長手方向に直交する長手直交方向に並ぶことによって、前記突出係合部の前記係合が可能になり、
前記挿通穴と前記大径貫通穴とが前記長手直交方向に並ぶことによって、前記突出係合部の前記係合解除が可能になることを特徴とする、請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記係合部材は、L字状に屈曲した形状を有するとともに前記サッシの側での第1係合を行う第1要素と、前記突出係合部を有するとともに前記面格子の側での第2係合を行う第2要素と、前記第1要素および前記第2要素を分離可能に連結固定する連結部とを備えることを特徴とする、請求項2に記載の取付構造。
【請求項4】
前記連結部は、前記突出係合部の内部に形成されたネジ穴と、前記ネジ穴に螺合する連結ネジとを有することを特徴とする、請求項3に記載の取付構造。
【請求項5】
前記連結部は、前記所定温度よりも低温で溶融する樹脂ワッシャをさらに有することを特徴とする、請求項4に記載の取付構造。
【請求項6】
前記移動部材は、前記面格子上枠に設けられたガイド長穴とガイドネジとによって長手方向に移動するようにガイドされ、前記ガイドネジは、前記面格子上枠と前記移動部材との間に可動隙間を形成する段部を有することを特徴とする、請求項1に記載の取付構造。
【請求項7】
前記係合部材は、長手方向に沿って離間して配設されることを特徴とする、請求項1に記載の取付構造。
【請求項8】
前記取付構造は、前記面格子の下端部に設けられて前記面格子を前記サッシに対して回動自在に軸支するように構成される軸支構造をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の取付構造。
【請求項9】
サッシと、
前記サッシに取り付けられる面格子と、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の取付構造とを備えることを特徴とする、面格子付きサッシ。