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特開2024-107827異なる配信方式のストリームを空間多重化伝送部によって送受信する装置及びプログラム
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  • 特開-異なる配信方式のストリームを空間多重化伝送部によって送受信する装置及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107827
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】異なる配信方式のストリームを空間多重化伝送部によって送受信する装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2381 20110101AFI20240802BHJP
   H04N 21/438 20110101ALI20240802BHJP
   H04N 21/24 20110101ALI20240802BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20240802BHJP
   H04J 1/00 20060101ALI20240802BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20240802BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240802BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20240802BHJP
【FI】
H04N21/2381
H04N21/438
H04N21/24
H04B7/06 890
H04J1/00
H04B7/08 710
H04W16/28 130
H04W4/06
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011948
(22)【出願日】2023-01-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】510040569
【氏名又は名称】一般社団法人日本ケーブルラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 修一
【テーマコード(参考)】
5C164
5K067
【Fターム(参考)】
5C164FA08
5C164GA03
5C164SB24P
5C164SB41P
5C164TA06S
5C164TA14S
5C164TB04S
5C164TB13S
5C164UB21P
5C164UB41S
5C164UC27S
5C164YA21
5K067EE10
5K067EE16
5K067KK03
(57)【要約】
【課題】配信方式のストリームの特性に応じて、マルチストリーム又はダイバーシティによって空間多重化伝送部から送受信する装置等を提供する。
【解決手段】M(≧2)個のアンテナそれぞれに対応した入力ポートを持つ空間多重化伝送手段を有し、複数の受信装置へ、第1の配信方式ストリームと第2の配信方式ストリームとを同時に送信する送信装置であって、第1の配信方式ストリームのデータを、M個の入力ポート全てに出力すると共に、第2の配信方式ストリームのデータを、M個の入力ポートのいずれか1つへ出力するデータ分離手段を有する。空間多重化伝送手段は、MIMO(Multi Input Multi Output)に対応したアンテナを有する。また、第1の配信方式ストリームは、ブロードキャスト(放送)のものであり、第2の配信方式ストリームは、ユニキャスト(通信)のものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
M(≧2)個のアンテナそれぞれに対応した入力ポートを持つ空間多重化伝送手段を有し、複数の受信装置へ、第1の配信方式ストリームと第2の配信方式ストリームとを同時に送信する送信装置であって、
第1の配信方式ストリームのデータを、M個の入力ポート全てに出力すると共に、第2の配信方式ストリームのデータを、M個の入力ポートのいずれか1つへ出力するデータ分離手段を
有することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
空間多重化伝送手段は、各アンテナから第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で送信する場合、第1の配信方式ストリームのデータを第1の周波数帯域から送信すると共に、第2の配信方式ストリームのデータを第2の周波数帯域から送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
空間多重化伝送手段は、各アンテナから1つの周波数帯域で送信する場合、第1の配信方式ストリームのデータを送信するスロットと、第2の配信方式ストリームのデータを送信するスロットとを交互に切り替えて送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項4】
空間多重化伝送手段は、MIMO(Multi Input Multi Output)に対応したアンテナを有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項5】
リアルタイム型放送方式に基づいて、
第1の配信方式ストリームは、ブロードキャスト(放送)であって、誤りデータに対して再送信することできないものであり、
第2の配信方式ストリームは、ユニキャスト(通信)であって、誤りデータに対して再送信することができるものである
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項6】
複数のコンテンツを入力し、受信装置と共有するストリーム構成規則に基づいて、1つ以上のコンテンツを第1の配信方式ストリームとして合成すると共に、それ以外のコンテンツを第2の配信方式ストリームとして合成し、データ分離手段へ出力するストリーム合成手段を
更に有することを特徴とする請求項5に記載の送信装置。
【請求項7】
ストリーム合成手段は、コンテンツのIP(Internet Protocol)アドレスに応じて、第1の配信方式ストリーム又は第2の配信方式ストリームを識別する
ことを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
【請求項8】
N(≧2)個のアンテナそれぞれに対応した出力ポートを持つ空間多重化伝送手段を有し、送信装置から、第1の配信方式ストリームと第2の配信方式ストリームとを同時に受信する受信装置であって、
第1の配信方式ストリームのデータをN個の出力ポート全てから入力して、第1の配信方式ストリームを合成すると共に、第2の配信方式ストリームそれぞれのデータをN個の出力ポートのいずれか1つから入力して、第2の配信方式ストリームを合成するデータ合成手段を
有することを特徴とする受信装置。
【請求項9】
空間多重化伝送手段は、各アンテナから、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で受信する場合、N個のアンテナ全てから第1の周波数帯域で受信したデータを、N個の出力ポートの全てから出力すると共に、各アンテナから第2の周波数帯域で受信したデータを、各出力ポートから出力する
ことを特徴とする請求項8に記載の送信装置。
【請求項10】
空間多重化伝送手段は、各アンテナから、1つの周波数帯域で受信する場合、出力ポート毎に、第1の配信方式ストリームのデータを受信するスロットと、第2の配信方式ストリームのデータを受信するスロットとを交互に切り替えて出力する
ことを特徴とする請求項8に記載の送信装置。
【請求項11】
空間多重化伝送手段は、MIMOに対応したアンテナを有する
ことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項12】
リアルタイム型放送方式に基づいて、
第1の配信方式ストリームは、ブロードキャスト(放送)であって、誤りデータに対して再送信することできないものであり、
第2の配信方式ストリームは、ユニキャスト(通信)であって、誤りデータに対して再送信することができるものである
ことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項13】
送信装置と共有するストリーム構成規則に基づいて、第1の配信方式ストリームから1つ以上のコンテンツに分離すると共に、第2の配信方式ストリームからそれ以外のコンテンツを分離するストリーム分離手段を
更に有することを特徴とする請求項12に記載の送信装置。
【請求項14】
請求項1から3のいずれか1項に記載の送信装置となる基地局へ、複数のコンテンツを同時に送信するコアシステム装置であって、
複数のコンテンツを入力し、受信装置と共有するストリーム構成規則に基づいて、1つ以上のコンテンツを第1の配信方式ストリームとして合成すると共に、それ以外のコンテンツを第2の配信方式ストリームとして合成し、基地局へ送信するストリーム合成手段を
を有することを特徴とするコアシステム装置。
【請求項15】
コンテンツは、MPEG-DASH(Moving Pictures Expert Group - Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)のプロトコルによって構成されている
ことを特徴とする請求項14に記載のコアシステム装置。
【請求項16】
M(≧2)個のアンテナそれぞれに対応した入力ポートを持つ空間多重化伝送手段を有し、複数の受信装置へ、第1の配信方式ストリームと第2の配信方式ストリームとを同時に送信する送信装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
第1の配信方式ストリームのデータを、M個の入力ポート全てに出力すると共に、第2の配信方式ストリームのデータを、M個の入力ポートのいずれか1つへ出力するデータ分離手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
N(≧2)個のアンテナそれぞれに対応した出力ポートを持つ空間多重化伝送手段を有し、送信装置から、第1の配信方式ストリームと第2の配信方式ストリームとを同時に受信する受信装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
第1の配信方式ストリームのデータをN個の出力ポート全てから入力して、第1の配信方式ストリームを合成すると共に、第2の配信方式ストリームそれぞれのデータをN個の出力ポートのいずれか1つから入力して、第2の配信方式ストリームを合成するデータ合成手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP放送(Internet Protocol)の配信装置の技術に関する。特に、ブロードキャスト及びユニキャストの配信方式に適する。
【背景技術】
【0002】
IP放送の配信システムは、コンテンツの配信設備となるコアシステム装置と、無線区間となる基地局(eNodeB, gNodeB)、及び、複数の端末(User Equipment)とを有する。
コアシステム装置は、例えばMBMS(Multimedia Broadcast / Multicast Service)として機能する。MBMSは、例えばBMSC(Broadcast Multicast Service Center)としてのコンテンツサーバから複数のチャネルのコンテンツを受信する。そして、そのコンテンツを、基地局を介して複数の端末へ配信する。
【0003】
従来、放送局と放送補完サーバとを備えた放送補完システムの技術がある(例えば非特許文献1参照)。この技術によれば、放送局は、コンテンツを、複数の端末へ向けてブロードキャストで同報的に放送する。また、端末は、欠損データをIP補完するべく、欠損したセグメントIDを、放送補完サーバへ送信する。放送補完サーバは、端末から、そのセグメントを再送信する。即ち、この技術は、ブロードキャストで配信されたコンテンツを、端末内で完全に蓄積した後で再生する「蓄積型放送サービス」に適用されるものである。そのために、端末は、コンテンツの再生について、リアルタイム性を問題としていない。
【0004】
ここで、例えばケーブルテレビ事業を想定した場合、視聴環境の整備に際し、ユーザ宅への引込ケーブルの敷設が必要となる。例えば映像における4K放送や8K放送が普及するほど、特に集合住宅では棟内設備の広帯域化のための高額な改修費用が必要となってくる。そのために、引込ケーブルに代えて、移動通信システムのローカルIP放送を用いたケーブルテレビ事業が検討されている。ローカルIP放送として、例えば5Gや4Gを用いることによって、高い伝送品質を確保することもできる。
【0005】
これに対し、ケーブルテレビ事業にIP放送の技術を適用し、放送局が、ブロードキャストでデータを放送する技術もある(例えば非特許文献2参照)。この技術によれば、端末として受信したコンテンツを即時に再生する「リアルタイム型放送サービス」を想定している。
例えば基地局が集合住宅に向けてIP放送を提供する場合、一部のユーザ宅の端末における受信環境によっては、ブロードキャストの受信品質が劣化する場合もある。その場合、端末は、ブロードキャストで受信した欠損データを検知し、それを補完するシーケンスを実行する。具体的には、一部の端末における受信環境に基づく多少のデータの欠損を、ユニキャストによって補完する。これによって、基地局は、ブロードキャストの受信品質が劣化した端末に対しても、リアルタイム型放送サービスを維持することができる。
【0006】
他の従来技術として、基地局と端末との間の無線技術に、複数のアンテナを用いて通信速度を向上させるMU-MIMO(Multi User - Multi Input Multi Output)がある。この技術は、送信データを予め複数の信号に分割し、それらを複数のアンテナから同じ周波数帯域で同時に送信する。周波数帯域の帯域幅当たりのビットレートを高くすることができ、フェージングを低減することができる。
【0007】
尚、更に他の従来技術として、例えばMBMS(Multimedia Broadcast / Multicast Service)の技術もある。MBMSは、例えばBMSC(Broadcast Multicast Service Center)としてのコンテンツサーバから複数のチャネルのコンテンツを受信する。そして、そのコンテンツを、基地局(eNodeB, gNodeB)を介して複数の端末(User Equipment)へ配信する。
MBMSのベアラサービスとして、ファイル修復サーバとしてのHTTP(Hypertext Transfer Protocol)サーバのURI(Uniform Resource Identifier)を設定する技術もある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、端末は、MBMSのコアシステム装置から配信されたデータに欠損がある場合、コアシステム装置へ、SIP(Session Description Protocol)再勧誘メッセージを送信する。SIP再勧誘メッセージには、SDP(Session Description Protocol)オファーとURIを含み、ファイル修復セッションを開始する。そして、端末は、ファイル修復サーバとしてのHTTPサーバへ、欠損したセグメントID(IDentifier)を要求し、そのセグメントを受信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6113317号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】IPTV技術のモバイルマルチメディア放送への展開、NTTサイバーソリューション研究所、[online]、[令和5年1月27日検索]、インターネット<URL:https://www.ntt.co.jp/journal/0910/files/jn200910022.pdf>
【非特許文献2】「IP配信、IP放送を支える要素技術」、一般社団法人日本ケーブルラボ、[online]、[令和5年1月27日検索]、インターネット<https://www.jlabs.or.jp/tst/wp-content/uploads/2022/09/seminar2022-tech_s02.pdf>
【非特許文献3】「MPEG-DASH」、NHK放送技術研究所、[online]、[令和5年1月27日検索]、インターネット<URL:https://www.ite.or.jp/contents/keywords/1701keyword.pdf>
【非特許文献4】「ローカル5G検討作業班報告書概要(案)」、総務省総合通信基盤局電波部移動通信課、[online]、[令和5年1月27日検索]、インターネット<URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000688562.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
無線通信方式のMIMOは、複数の入力ポートに入力された異なる複数のストリームを同時に送信し、スループットを向上させる「マルチストリームMIMO」として利用される。一方で、1つのストリームを、複数のアンテナから同時に送信することによって、誤り耐性を向上させる「ダイバーシティMIMO」として利用されることもある。この場合、スループットは向上しないが、いずれか1つのアンテナの組で受信できればよい。
【0011】
ここで、MIMOのような基地局と端末との間の無線通信方式と、前述したようにコアシステム装置から配信されるブロードキャスト及びユニキャストの配信方式とは、レイヤの相違から、一般的に別々に検討されている。
これに対し、本願の発明者は、配信方式ストリームがブロードキャストか又はユニキャストかに応じて、マルチストリームMIMOとダイバーシティMIMOとを適応的に利用することができないか、と考えた。
【0012】
そこで、本発明は、配信方式のストリームの特性に応じて、マルチストリーム又はダイバーシティによって空間多重化伝送部から送受信する装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、M(≧2)個のアンテナそれぞれに対応した入力ポートを持つ空間多重化伝送手段を有し、複数の受信装置へ、第1の配信方式ストリームと第2の配信方式ストリームとを同時に送信する送信装置であって、
第1の配信方式ストリームのデータを、M個の入力ポート全てに出力すると共に、第2の配信方式ストリームのデータを、M個の入力ポートのいずれか1つへ出力するデータ分離手段を
有することを特徴とする。
【0014】
本発明の送信装置における他の実施形態によれば、
空間多重化伝送手段は、各アンテナから第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で送信する場合、第1の配信方式ストリームのデータを第1の周波数帯域から送信すると共に、第2の配信方式ストリームのデータを第2の周波数帯域から送信する
ことも好ましい。
【0015】
本発明の送信装置における他の実施形態によれば、
空間多重化伝送手段は、各アンテナから1つの周波数帯域で送信する場合、第1の配信方式ストリームのデータを送信するスロットと、第2の配信方式ストリームのデータを送信するスロットとを交互に切り替えて送信する
ことも好ましい。
【0016】
本発明の送信装置における他の実施形態によれば、
空間多重化伝送手段は、MIMO(Multi Input Multi Output)に対応したアンテナを有する
ことも好ましい。
【0017】
本発明の送信装置における他の実施形態によれば、
リアルタイム型放送方式に基づいて、
第1の配信方式ストリームは、ブロードキャスト(放送)であって、誤りデータに対して再送信することできないものであり、
第2の配信方式ストリームは、ユニキャスト(通信)であって、誤りデータに対して再送信することができるものである
ことも好ましい。
【0018】
本発明の送信装置における他の実施形態によれば、
複数のコンテンツを入力し、受信装置と共有するストリーム構成規則に基づいて、1つ以上のコンテンツを第1の配信方式ストリームとして合成すると共に、それ以外のコンテンツを第2の配信方式ストリームとして合成し、データ分離手段へ出力するストリーム合成手段を
更に有することも好ましい。
【0019】
本発明の送信装置における他の実施形態によれば、
ストリーム合成手段は、コンテンツのIP(Internet Protocol)アドレスに応じて、第1の配信方式ストリーム又は第2の配信方式ストリームを識別する
ことも好ましい。
【0020】
本発明によれば、N(≧2)個のアンテナそれぞれに対応した出力ポートを持つ空間多重化伝送手段を有し、送信装置から、第1の配信方式ストリームと第2の配信方式ストリームとを同時に受信する受信装置であって、
第1の配信方式ストリームのデータをN個の出力ポート全てから入力して、第1の配信方式ストリームを合成すると共に、第2の配信方式ストリームそれぞれのデータをN個の出力ポートのいずれか1つから入力して、第2の配信方式ストリームを合成するデータ合成手段を
有することを特徴とする。
【0021】
本発明の受信装置における他の実施形態によれば、
空間多重化伝送手段は、各アンテナから、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で受信する場合、N個のアンテナ全てから第1の周波数帯域で受信したデータを、N個の出力ポートの全てから出力すると共に、各アンテナから第2の周波数帯域で受信したデータを、各出力ポートから出力する
ことも好ましい。
【0022】
本発明の受信装置における他の実施形態によれば、
空間多重化伝送手段は、各アンテナから、1つの周波数帯域で受信する場合、出力ポート毎に、第1の配信方式ストリームのデータを受信するスロットと、第2の配信方式ストリームのデータを受信するスロットとを交互に切り替えて出力する
ことも好ましい。
【0023】
本発明の受信装置における他の実施形態によれば、
空間多重化伝送手段は、MIMOに対応したアンテナを有する
ことも好ましい。
【0024】
本発明の受信装置における他の実施形態によれば、
リアルタイム型放送方式に基づいて、
第1の配信方式ストリームは、ブロードキャスト(放送)であって、誤りデータに対して再送信することできないものであり、
第2の配信方式ストリームは、ユニキャスト(通信)であって、誤りデータに対して再送信することができるものである
ことも好ましい。
【0025】
本発明の受信装置における他の実施形態によれば、
送信装置と共有するストリーム構成規則に基づいて、第1の配信方式ストリームから1つ以上のコンテンツに分離すると共に、第2の配信方式ストリームからそれ以外のコンテンツを分離するストリーム分離手段を
更に有することも好ましい。
【0026】
本発明によれば、前述した送信装置となる基地局へ、複数のコンテンツを同時に送信するコアシステム装置であって、
複数のコンテンツを入力し、受信装置と共有するストリーム構成規則に基づいて、1つ以上のコンテンツを第1の配信方式ストリームとして合成すると共に、それ以外のコンテンツを第2の配信方式ストリームとして合成し、基地局へ送信するストリーム合成手段を
を有することを特徴とする。
【0027】
本発明のコアシステム装置における他の実施形態によれば、
コンテンツは、MPEG-DASH(Moving Pictures Expert Group - Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)のプロトコルによって構成されている
ことも好ましい。
【0028】
本発明によれば、M(≧2)個のアンテナそれぞれに対応した入力ポートを持つ空間多重化伝送手段を有し、複数の受信装置へ、第1の配信方式ストリームと第2の配信方式ストリームとを同時に送信する送信装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
第1の配信方式ストリームのデータを、M個の入力ポート全てに出力すると共に、第2の配信方式ストリームのデータを、M個の入力ポートのいずれか1つへ出力するデータ分離手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、N(≧2)個のアンテナそれぞれに対応した出力ポートを持つ空間多重化伝送手段を有し、送信装置から、第1の配信方式ストリームと第2の配信方式ストリームとを同時に受信する受信装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
第1の配信方式ストリームのデータをN個の出力ポート全てから入力して、第1の配信方式ストリームを合成すると共に、第2の配信方式ストリームそれぞれのデータをN個の出力ポートのいずれか1つから入力して、第2の配信方式ストリームを合成するデータ合成手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明の装置及びプログラムによれば、配信方式のストリームの特性に応じて、マルチストリーム又はダイバーシティによって空間多重化伝送部から送受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明における送信装置及び受信装置の機能構成図である。
図2】本発明における第1の実施形態に基づく送信装置の説明図である。
図3】本発明における第2の実施形態に基づく送信装置の説明図である。
図4】本発明における受信装置の説明図である。
図5】IP放送のシステム構成図である。
図6図5におけるコアシステム装置、基地局及び端末の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明における送信装置及び受信装置の機能構成図である。
【0034】
本発明は、リアルタイム型放送サービスに基づくものであって、送信装置1は、複数のコンテンツ(マルチコンテンツ)を、複数の受信装置2へ配信するものである。コンテンツとしては、例えば地上波放送やインターネット放送で配信されるようなマルチメディアデータである。
【0035】
ここで、コンテンツの配信方式としては、例えば以下の2つがある。
「ブロードキャスト(放送)」によれば、コンテンツを、全ての受信装置2へ同報的に配信する。受信装置2は、誤りデータに対しても再送信を要求することはできない。
「ユニキャスト(通信)」によれば、コンテンツを、各受信装置2からの視聴要求(オンデマンド)に応じて送信する。受信装置2は、誤りデータに対しても再送信を要求し、再度、データを受信することができる。また、受信装置2は、ユニキャストによって、ユーザが視聴するコンテンツの選択情報や、制御情報(後述するストリーム構成規則など)を、送信装置1へ送信することもできる。
【0036】
図1によれば、送信装置1は、空間多重化伝送部10と、データ分離部11と、ストリーム合成部12とを有する。これら機能構成部は、送信装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、装置の送信方法としても理解できる。
また、図1によれば、受信装置2は、空間多重化伝送部20と、データ合成部21と、ストリーム分離部22とを有する。これら機能構成部は、受信装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、装置の受信方法としても理解できる。
【0037】
<送信装置1>
図2は、本発明における第1の実施形態に基づく送信装置の説明図である。
図3は、本発明における第2の実施形態に基づく送信装置の説明図である。
【0038】
[ストリーム合成部12]
ストリーム合成部12は、複数のコンテンツを入力し、「ストリーム構成規則」に基づいて以下のように合成する。
・1つ以上のブロードキャスト(放送)のコンテンツを、「第1の配信方式ストリーム」として合成する。
・それ以外のユニキャスト(通信)のコンテンツを、「第2の配信方式ストリーム」として合成する。
そして、ストリーム合成部12は、各ストリームを、データ分離部11へ出力する。
【0039】
ここで、ストリーム合成部12は、コンテンツのIPアドレスに応じて、第1の配信方式ストリーム又は第2の配信方式ストリームを識別することができる。IPアドレスがブロードキャストアドレスである場合、第1の配信方式ストリームに合成し、ユニキャストアドレスである場合、第2の配信方式ストリームに合成する。
【0040】
また、ストリーム合成部12は、空間多重化伝送部の入力ポート数(アンテナ数)と、第2の配信方式ストリームの本数とが、同数とすることが好ましい。また、第1の配信方式ストリームの本数は、実施形態の中では1本であるとして説明するが、勿論、複数本であってもよい。
【0041】
「ストリーム構成規則」は、ストリーム合成部12と、受信装置2のストリーム分離部22との間で共有される。ストリーム構成規則は、送信装置1における第1の配信方式ストリームと第2の配信ストリームとの配信割合や、複数の受信装置2におけるコンテンツの受信状況に応じて、リアルタイムに更新される。
【0042】
図2及び図3によれば、ストリーム合成部12には、例えば複数のコンテンツc1~c9が入力されている。ここで、ストリーム構成規則には、以下のように規定されているとする。
第1の配信方式ストリーム:コンテンツc3,c5,c8
第2の配信方式ストリーム:コンテンツc1,c2
:コンテンツc4, c7
:コンテンツc6
:コンテンツc9
【0043】
また、ストリーム構成規則には、複数のコンテンツを1つの配信方式ストリームに合成する際に、各コンテンツのデータを、配信方式ストリームのデータ系列として、どのように構成するか、についても規定する。
第1の配信方式ストリームaについては、例えばコンテンツc3,c5,c8のデータをそれぞれ、交互にスロットに組み合わせたものであってもよい。
また、第2の配信ストリームbについても、例えばコンテンツc1,c2のデータをそれぞれ、交互にスロットに組み合わせたものであってもよい。
【0044】
[データ分離部11]
データ分離部11は、以下のようにストリームを出力する。
・第1の配信方式ストリームのデータを、(複製して)空間多重化伝送部10のM個の入力ポート全てに出力する。
・第2の配信方式ストリームのデータを、空間多重化伝送部10のM個の入力ポートのいずれか1つへ出力する。
図2及び図3によれば、データ分離部11は、第1の配信方式ストリームaと、第2の配信方式ストリームb、c、d、eとを入力している。
【0045】
本発明によれば、ブロードキャストのような第1の配信方式ストリームについては、ダイバーシティによって誤り耐性を高めて送信する。一方で、ユニキャストのような第2の配信方式ストリームについては、マルチストリームによってスループットを高めて送信する。
【0046】
ここで、データ分離部11は、空間多重化伝送部10の送信形式に応じて、以下の2つの実施形態のいずれかを実行する。
<空間多重化伝送部10が複数の周波数帯で送信する実施形態>
<空間多重化伝送部10が1つの周波数帯で送信する実施形態>
【0047】
<空間多重化伝送部10が複数の周波数帯で送信する実施形態>
図2によれば、データ分離部11は、例えば以下のように、空間多重化伝送部10の入力ポートへ入力する。
入力ポートP1:第1の配信方式ストリームaと第2の配信方式ストリームbとの
2つのデータ系列
入力ポートP2:第1の配信方式ストリームaと第2の配信方式ストリームcとの
2つのデータ系列
入力ポートP3:第1の配信方式ストリームaと第2の配信方式ストリームdとの
2つのデータ系列
入力ポートP4:第1の配信方式ストリームaと第2の配信方式ストリームeとの
2つのデータ系列
【0048】
<空間多重化伝送部10が1つの周波数帯で送信する実施形態>
図3によれば、データ分離部11は、例えば以下のように、空間多重化伝送部10の入力ポートへ入力する
入力ポートP1:第1の配信方式ストリームaのデータと、第2の配信方式ストリームbのデータとを、交互にスロットに統合した1つのデータ系列
入力ポートP2:第1の配信方式ストリームaのデータと、第2の配信方式ストリームcのデータとを、交互にスロットに統合した1つのデータ系列
入力ポートP3:第1の配信方式ストリームaのデータと、第2の配信方式ストリームdのデータとを、交互にスロットに統合した1つのデータ系列
入力ポートP4:第1の配信方式ストリームaのデータと、第2の配信方式ストリームeのデータとを、交互にスロットに統合した1つのデータ系列
【0049】
[空間多重化伝送部10]
空間多重化伝送部10は、M(≧2)個のアンテナそれぞれに対応した入力ポートを持つ。具体的には、MIMOに対応したアンテナを有する。
本発明の空間多重化伝送部10は、複数の受信装置2へ、「第1の配信方式データ」と「第2の配信方式データ」とを同時に送信する。ここで、空間多重化伝送部10は、前述した送信形式の実施形態に応じて、以下のように実行する。
【0050】
<空間多重化伝送部10が複数の周波数帯で送信する実施形態>
図2によれば、空間多重化伝送部10は、入力ポート毎に入力されたデータを、以下のように、各アンテナから送信する。
・第1の配信方式ストリームのデータを、第1の周波数帯域で、各アンテナから送信する。
・第2の配信方式ストリームのデータを、第2の周波数帯域で、各アンテナから送信する。
【0051】
<空間多重化伝送部10が1つの周波数帯で送信する実施形態>
図3によれば、空間多重化伝送部10は、入力ポート毎に入力された各データ系列を、1つの周波数帯域で、各アンテナから送信する。
【0052】
<受信装置2>
図4は、本発明における受信装置の説明図である。
【0053】
[空間多重化伝送部20]
空間多重化伝送部20は、N(≧2)個のアンテナそれぞれに対応した出力ポートを持つ。そして、空間多重化伝送部20は、送信装置1から、第1の配信方式ストリームと第2の配信方式ストリームとを同時に受信する。
空間多重化伝送部20は、具体的には、N個のデータを受信可能なMIMOに対応したアンテナを有する。
【0054】
空間多重化伝送部20は、送信装置1の空間多重化伝送部20の送信形式に応じて、以下の2つの実施形態のいずれかを実行する。
【0055】
<空間多重化伝送部が複数の周波数帯で受信する実施形態>
空間多重化伝送部20は、アンテナによって受信したデータを、以下のように出力する。
・N個のアンテナ全てから第1の周波数帯域で受信したデータを、N個の出力ポートの全てから出力する。
・各アンテナから第2の周波数帯域で受信したデータを、各出力ポートから出力する。
【0056】
<空間多重化伝送部が1つの周波数帯で受信する実施形態>
空間多重化伝送部20は、アンテナによって受信したデータを、以下のように出力する。
・出力ポート毎に、第1の配信方式ストリームのデータを受信するスロットと、第2の配信方式ストリームのデータを受信するスロットとを交互に切り替えて出力する。
【0057】
[データ合成部21]
データ合成部21は、第1の配信方式ストリームのデータをN個の出力ポート全てから入力して、「第1の配信方式ストリーム」を合成する。
このとき、第1の配信方式ストリームについては、第1の実施例として、いずれか1つの出力ポートから最初に出力されたデータを、合成するものであってもよい。
また、第2の実施例として、N個の出力ポートの中で、N個全ての出力ポートから出力されたN個のデータについて、多数決処理によって多数となったデータを、合成するものであってもよい。
合成された第1の配信方式ストリームは、ストリーム分離部22へ出力される。
【0058】
また、データ合成部21は、第2の配信方式ストリームそれぞれのデータをN個の出力ポートのいずれか1つから入力して、「第2の配信方式ストリーム」を合成する。
合成された第2の配信方式ストリームは、ストリーム分離部22へ出力される。
【0059】
[ストリーム分離部22]
ストリーム分離部22は、送信装置1のストリーム合成部12に対応して、出力ポート毎にデータ列を入力し、「ストリーム構成規則」に基づいて以下のように合成する。
・第1の配信方式ストリームから、1つ以上のブロードキャスト(放送)のコンテンツに分離する。
・第2の配信方式ストリームから、それ以外のユニキャスト(通信)のコンテンツを分離する。
前述したように、「ストリーム構成規則」は、ストリーム合成部12と、受信装置2のストリーム分離部22との間で共有される。
【0060】
図4によれば、ストリーム分離部22は、各ストリームから、複数のコンテンツc1~c9が分離されている。
第1の配信方式ストリームa:コンテンツc3,c5,c8
第2の配信方式ストリームb:コンテンツc1,c2
第2の配信方式ストリームc:コンテンツc4, c7
第2の配信方式ストリームd:コンテンツc6
第2の配信方式ストリームe:コンテンツc9
【0061】
本発明における送信装置1及び受信装置2によれば、ブロードキャストのように再送によって誤ったデータを再送信することができない第1の配信方式ストリームについては、ダイバーシティによって誤り耐性を高めて、空間多重化伝送部10及び20で送受信する。
一方で、ユニキャストのように、誤ったデータを再送信することができる第2の配信方式ストリームについては、マルチストリームによってスループットを高めて、空間多重化伝送部10及び20で送受信する。
【0062】
図5は、本発明におけるIP放送のシステム構成図である。
【0063】
図5によれば、ケーブルテレビ事業のネットワークシステムを、IP放送に適用したシステムである。このシステムによれば、コンテンツサーバ4と、コアシステム装置3と、前述した送信装置となる基地局1と、前述した受信装置となる端末2とを有する。コアシステム装置3と端末2との間は、基地局1を介したローカルIP放送に基づく通信設備となる。
【0064】
<コンテンツサーバ4>
コンテンツサーバ4は、コアシステム装置3へ、複数のチャネルのコンテンツを送信する。コアシステム装置3がMBMSとして機能する場合、コンテンツサーバ4はBMSCとして機能する。
【0065】
コンテンツサーバ4から送信されるコンテンツは、MPEG-DASH(Moving Pictures Expert Group - Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)のプロトコルによって構成されているとする(例えば非特許文献3参照)。
MPEG-DASHとは、インターネット上におけるアダプティブなHTTP(HyperText Transport Protocol)ストリーミングのプロトコルである。これによって、別途の動画配信サーバを要することなく、Webサイトの高速化・大規模化に利用されるCDN(Contents Delivery Network)をそのまま適用できる。また、アダプティブストリーミングによって、動的に映像品質を切替えることができ、安定した配信を実現する。
【0066】
MPEG-DASHを適用したプロトコルスタックは、コンテンツの配信方式となるブロードキャスト又はユニキャストに応じて、以下のように表される。
<ブロードキャストのコンテンツ>
MPEG-DASH
HTTP
UDP
IP(ブロードキャストアドレス)
<ユニキャストのコンテンツ>
MPEG-DASH
HTTP
TCP
IP(受信装置のユニキャストアドレス)
このように、最上位層ではMPEG-DASHのセグメント系列として配信される。また、リアルタイム型放送サービスに適用するべく、コンテンツのセグメント長は、比較的短く設定されている。
【0067】
図6は、図5におけるコアシステム装置、基地局及び端末の機能構成図である。
【0068】
<コアシステム装置3>
コアシステム装置3は、コンテンツサーバ4から受信した複数のコンテンツを、リアルタイム型放送サービスとして配信するものである。コアシステム装置3は、複数のコンテンツを、送信装置となる基地局1へ同時に配信する。
【0069】
本発明のコアシステム装置3は、前述した送信装置1のストリーム合成部12を有する。ストリーム合成部12は、複数のコンテンツを入力し、端末2と共有する「ストリーム構成規則」に基づいて、1つ以上のコンテンツをブロードキャストストリーム(第1の配信方式ストリーム)として合成すると共に、それ以外のコンテンツをユニキャストストリーム(第2の配信方式ストリーム)として合成し、基地局1へ送信する。
【0070】
また、ストリーム合成部12は、受信装置となる端末2から、ユーザ所望の「視聴要求」を受信するものであってもよい。視聴要求は、例えば、端末2との間でC(Control)プレーンのコネクションに基づいて受信される。受信した視聴要求に応じて、当該コンテンツを、ブロードキャストストリーム又はユニキャストストリームに合成するものであってもよい。
【0071】
<第1の配信方式ストリーム又は第2の配信方式ストリームへのコンテンツの振り分け>
ブロードキャスト(第1の配信方式ストリーム)の場合、端末2からの視聴要求の有無にかかわらず、固定的に送信されるものである。一方で、ユニキャスト(第2の配信方式ストリーム)の場合、各端末2からの視聴要求に応じて、オンデマンドで送信されるものである。ストリーム合成部12は、コンテンツサーバ4から受信したコンテンツ毎に、例えばIPアドレスに応じて、ブロードキャスト又はユニキャストを識別することができる。
【0072】
一方で、本発明によれば、コンテンツがブロードキャストアドレスであっても、端末2を特定し、ユニキャストで送信するものであってもよい。例えばブロードキャストで配信しているコンテンツについて、端末2におけるその受信品質が所定条件以下に劣化する場合がある。その場合、端末2は、コアシステム装置3へ、視聴中のコンテンツにおける受信品質劣化情報を送信する。これに対し、コアシステム装置3のストリーム合成部13は、当該コンテンツを当該端末2へ向けて、ユニキャストで送信するようにする。
【0073】
また、コアシステム装置3は、端末2から視聴要求を受信することによって、そのコンテンツがブロードキャストで配信されていない場合、ユニキャストでその端末2へ送信するものであってもよい。そして、コアシステム装置3は、視聴数が所定数以上となるコンテンツを、ブロードキャストで配信することができる。
例えば所定数=5と設定することによって、視聴要求を受信した端末2が4台まではユニキャストで送信するが、視聴要求を受信した端末2が5台以上となった際に、そのコンテンツをブロードキャストで配信することができる。勿論、視聴要求を受信した端末2が0台である場合、配信を停止する。
【0074】
尚、コアシステム装置3は、ブロードキャストストリームとユニキャストストリームとの配信割合に応じて、任意のコンテンツの配信方式を適応的に切り替えることもできる。コアシステム装置3と端末2との間で、「ストリーム構成規則」が共有されていればよい。
【0075】
<基地局1>
基地局1は、前述した図1の送信装置におけるデータ分離部11及び空間多重化伝送部10のみを有する。
基地局1は、コアシステム装置3から受信したコンテンツを、移動通信システムのローカルIP放送として、複数の端末2へ放送する。
ローカル5Gとしては、例えば4.8Ghz帯の利用を見込むことができる(例えば非特許文献4参照)。本発明の実施形態によれば、4×4のアンテナを持つMIMOとして記載しているが、192×192のアンテナを持つMassive MIMOを適用することもできる。その場合、最大通信速度として、下り640Mbps、上り160Mbpsが想定される。
例えば100MHz帯の中で、0~20MHz帯と20MHz~100MHz帯とに区分することができる。
【0076】
<端末2>
端末2は、前述した図1の受信装置と同じ機能部を有する。
【0077】
端末2は、コアシステム装置3へ、ユーザ所望のコンテンツにおける視聴要求を送信する。視聴要求は、コアシステム装置3と端末2との間で、C(Control)プレーンのコネクションに基づいて送信されるものであってもよい。
また、このコネクションを用いて、前述したように、端末2のストリーム分離部22と、コアシステム装置3のストリーム合成部12との間で、「ストリーム構成規則」を共有する。ストリーム構成規則を共有することによって、特定のコンテンツについて、コアシステム装置3側でブロードキャスト又はユニキャストを切り替えることものできるし、端末2側でブロードキャスト又はユニキャストを切り替えることもできる。
【0078】
以上、詳細に説明したように、本発明の装置及びプログラムによれば、配信方式のストリームの特性に応じて、マルチストリーム又はダイバーシティによって空間多重化伝送部から送受信することができる。
【0079】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0080】
1 送信装置、基地局
10 空間多重化伝送部
11 データ分離部
12 ストリーム合成部
2 受信装置、端末
20 空間多重化伝送部
21 データ合成部
22 ストリーム分離部
3 コアシステム装置
4 コンテンツサーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
空間多重化伝送手段は、各アンテナから、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域で受信する場合、N個のアンテナ全てから第1の周波数帯域で受信したデータを、N個の出力ポートの全てから出力すると共に、各アンテナから第2の周波数帯域で受信したデータを、各出力ポートから出力する
ことを特徴とする請求項8に記載の受信装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
空間多重化伝送手段は、各アンテナから、1つの周波数帯域で受信する場合、出力ポート毎に、第1の配信方式ストリームのデータを受信するスロットと、第2の配信方式ストリームのデータを受信するスロットとを交互に切り替えて出力する
ことを特徴とする請求項8に記載の受信装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項13
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項13】
送信装置と共有するストリーム構成規則に基づいて、第1の配信方式ストリームから1つ以上のコンテンツに分離すると共に、第2の配信方式ストリームからそれ以外のコンテンツを分離するストリーム分離手段を
更に有することを特徴とする請求項12に記載の受信装置。