IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図1
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図2
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図3
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図4
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図5
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図6
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図7
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図8
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図9
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図10
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図11
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図12
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図13
  • 特開-金属板アンテナおよびアンテナ装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107839
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】金属板アンテナおよびアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20240802BHJP
   H01Q 9/42 20060101ALI20240802BHJP
   H01Q 9/40 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q9/42
H01Q9/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011974
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】稲船 浩司
(72)【発明者】
【氏名】古賀 健一
(72)【発明者】
【氏名】古池 竜也
(72)【発明者】
【氏名】森 惠
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AA02
5J045AB06
5J045DA08
5J045GA00
5J045LA01
(57)【要約】
【課題】インピーダンス整合と基板上での安定的な配置とを両立する金属板アンテナを提供する。
【解決手段】基板に配置される金属板アンテナであって、前記基板と略平行に配置される平行部と、前記平行部と略直交するように前記平行部から延出され、前記基板に形成される金属箔パターンを介して給電点と接触する給電点接触部と、前記給電点接触部とは別途に形成され、前記平行部と略直交するように前記平行部から延出された脚部と、を有し、前記金属箔パターンと前記給電点との接触面積は、前記金属箔パターンと給電点接触部との接触面積よりも狭い、金属板アンテナが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に配置される金属板アンテナであって、
前記基板と略平行に配置される平行部と、
前記平行部と略直交するように前記平行部から延出され、前記基板に形成される金属箔パターンを介して給電点と接触する給電点接触部と、
前記給電点接触部とは別途に形成され、前記平行部と略直交するように前記平行部から延出された脚部と、
を有し、
前記金属箔パターンと前記給電点との接触面積は、前記金属箔パターンと給電点接触部との接触面積よりも狭い、
金属板アンテナ。
【請求項2】
前記脚部は、前記基板に形成される金属箔パターンと接触する、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項3】
前記平行部、前記給電点接触部、および前記脚部の長さにより規定されるアンテナ長が、規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/2となるように形成される、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項4】
前記平行部、前記給電点接触部、および前記脚部の長さにより規定されるアンテナ長が、規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/4となるように形成される、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項5】
伝送線路アンテナである、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項6】
逆Lアンテナである、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項7】
逆Fアンテナである、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項8】
分岐給電伝送線路アンテナである、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項9】
1枚の金属板により形成される、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項10】
前記平行部、前記給電点接触部、または前記脚部の少なくともいずれかにスリットまたは開口部を有する、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項11】
前記平行部、前記給電点接触部、または前記脚部の少なくともいずれかにスタブを有する、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項12】
前記平行部、前記平行部、前記給電点接触部、および前記脚部のうち少なくともいずれか2つに囲まれる空間に、絶縁性材料が充填されている、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項13】
互いに接触しない複数の金属板により形成される、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項14】
前記規定の通信規格は、超広帯域無線通信を含む、
請求項3に記載の金属板アンテナ。
【請求項15】
基板、および前記基板に配置される金属板アンテナ、を備え、
前記金属板アンテナは、
前記基板と略平行に配置される平行部と、
前記平行部と略直交するように前記平行部から延出され、前記基板に形成される金属箔パターンを介して給電点と接触する給電点接触部と、
前記給電点接触部とは別途に形成され、前記平行部と略直交するように前記平行部から延出された脚部と、
を有し、
前記金属箔パターンと前記給電点との接触面積は、前記金属箔パターンと給電点接触部との接触面積よりも狭い、
アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板アンテナおよびアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多種多様なアンテナが開発されている。例えば、非特許文献1には、基板上に配置されるディスクモノポールアンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Satoshi Honda、外3名、"A DISK MONOPOLE ANTENNA WITH 1:8 IMPEDANCE BANDWIDTH AND OMNIDIRECTIONAL RADIATION PATTERN"、[online]、平成4年9月25日、PROCEEDINGS OF ISAP '92, SAPPORO, JAPAN、[令和4年9月22日検索]、インターネット〈https://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.452.3926&rep=rep1&type=pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に開示されるようなアンテナでは、インピーダンス整合が課題となる。また、非特許文献1に開示されるようなアンテナは、基板上に安定して配置するための工夫が求められる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、インピーダンス整合と基板上での安定的な配置とを両立する金属板アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、基板に配置される金属板アンテナであって、前記基板と略平行に配置される平行部と、前記平行部と略直交するように前記平行部から延出され、前記基板に形成される金属箔パターンを介して給電点と接触する給電点接触部と、前記給電点接触部とは別途に形成され、前記平行部と略直交するように前記平行部から延出された脚部と、を有し、前記金属箔パターンと前記給電点との接触面積は、前記金属箔パターンと給電点接触部との接触面積よりも狭い、金属板アンテナが提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、基板、および前記基板に配置される金属板アンテナ、を備え、前記金属板アンテナは、前記基板と略平行に配置される平行部と、前記平行部と略直交するように前記平行部から延出され、前記基板に形成される金属箔パターンを介して給電点と接触する給電点接触部と、前記給電点接触部とは別途に形成され、前記平行部と略直交するように前記平行部から延出された脚部と、を有し、前記金属箔パターンと前記給電点との接触面積は、前記金属箔パターンと給電点接触部との接触面積よりも狭い、アンテナ装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、インピーダンス整合と基板上での安定的な配置とを両立する金属板アンテナを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】比較装置90の構成例について説明するための図である。
図2】本発明の一実施形態に係るアンテナ装置10が伝送線路アンテナ110を備える場合の構成例について説明するための図である。
図3】同実施形態に係るアンテナ装置10が逆Lアンテナ120を備える場合の構成例について説明するための図である。
図4】同実施形態に係るアンテナ装置10が逆Fアンテナ130を備える場合の構成例について説明するための図である。
図5】同実施形態に係るアンテナ装置10が分岐給電伝送線路アンテナ140を備える場合の構成例について説明するための図である。
図6】同実施形態に係る金属箔パターン180と接触する脚部について説明するための図である。
図7】同実施形態に係る脚部116の変形例について説明するための模式図である。
図8】同実施形態に係る、脚部116と基板150との接触箇所の直上近傍に形成される開口部210について説明するための図である。
図9】同実施形態に係るスリット220について説明するための図である。
図10】同実施形態に係るスリット220について説明するための図である。
図11】同実施形態に係る電流を迂回させるための構造としての開口部210について説明するための図である。
図12】同実施形態に係るスタブ240の形成例を示す図である。
図13】同実施形態に係るモールド構造の例を示す図である。
図14】同実施形態に係る複数の金属板から形成される伝送線路アンテナ110について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
また、本明細書及び図面においては、複数存在する同種の構成を区別して説明する場合に、符号の末尾にアルファベットを付す場合がある。一方、複数存在する同種の構成を区別する必要がない場合、上記アルファベットを省略し、複数存在する同種の構成のすべてに共通する説明がなされる場合がある。
【0012】
<1.実施形態>
<<1.1.金属板アンテナの形状例>>
本発明の一実施形態に係るアンテナ装置10に備えられる金属板アンテナの有利性について説明するために、まず、図6を参照して、比較装置90に備えられる金属板アンテナ910について説明する。
【0013】
図6は、比較装置90の構成例を示す図である。図6に示すように、比較装置90は、基板950上に配置される金属板アンテナ910を備える。
【0014】
金属板アンテナ910は、基板950と略平行に配置される平行部912と、平行部912と略直交するように平行部912から延出され、基板950に配置される給電点970と接触する給電点接触部914と、給電点接触部914とは別途に形成され、平行部912と略直交するように平行部912から延出され、基板950に形成されるGND960と接触する脚部916と、を備える。
【0015】
金属板アンテナ910は、GND960を鏡面として形成される鏡像により1波長(λ)ループアンテナとして動作する伝送線路アンテナである。
【0016】
また、金属板アンテナ910は、1枚の金属板をプレス加工することにより形成されてもよい。
【0017】
金属板アンテナ910が有する給電点接触部914は、図示するように、給電点970と接触する下端の幅が上端の幅よりも短く形成されてもよい。
【0018】
上記のような形状によれば、インピーダンス整合をより取りやすくなる効果が期待される。
【0019】
しかし、ここで、給電点970と接触する給電点接触部914の下端の幅をより短くしようとする場合(例えば、1mm以下)、精密なプレス加工技術が求められる。
【0020】
また、給電点970と接触する給電点接触部914の下端の幅をより短くしようとした場合、基板950上における金属板アンテナ910の自立が困難となる場合がある。
【0021】
本発明の一実施形態に係る金属板アンテナは、上記のような点に着目して発想されたものであり、インピーダンス整合と基板上での安定的な配置とを両立するものである。
【0022】
このために、本実施形態に係るアンテナ装置10に備えられる金属板アンテナは、以下に述べるような特徴的な形状を有する。
【0023】
以下、図1図4の各図を順に参照しながら、本実施形態に係る金属板アンテナの形状例について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係るアンテナ装置10が伝送線路アンテナ110を備える場合の構成例について説明するための図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係るアンテナ装置10は、伝送線路アンテナ110を備えてもよい。
【0026】
本実施形態に係る伝送線路アンテナ110は、基板150と略平行に配置される平行部112と、平行部112と略直交するように平行部112から延出され、基板150に形成される金属箔パターン180(格子柄で示す)を介して基板150に配置される給電点170(斜線で示す)と接触する給電点接触部114と、給電点接触部114とは別途に形成され、平行部112と略直交するように平行部112から延出され、基板150に形成されるGND160(ドット柄で示す)と接触する脚部116と、を備える。
【0027】
ここで、図1に示すアンテナ装置10は、金属箔パターン180と給電点170との接触面積が、金属箔パターン180と給電点接触部114との接触面積よりも狭いことを特徴の一つとする。
【0028】
上記のような特徴によれば、図6に示す比較装置90と同様にインピーダンス整合をより容易に取ることが可能となる。
【0029】
さらには、基板150上における金属箔パターン180の形成は、上述したようなプレス加工と比較して容易かつ精度が高いことから、本実施形態に係るアンテナ装置10は、比較装置90に対し有利な効果を有する。
【0030】
また、上記特徴のように金属箔パターン180を形成する場合、給電点接触部114の下端の幅を短く加工する必要がないため、給電点接触部114と基板150との接触面積を増大させることができ、基板150上において金属板アンテナをより安定的に配置することが可能となる。
【0031】
なお、金属箔パターン180は、例えば、銅箔等により形成されてもよい。
【0032】
アンテナ装置10が伝送線路アンテナ110を備える場合、伝送線路アンテナ110は、平行部112、給電点接触部114、および脚部116の長さにより規定されるアンテナ長が、規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/2となるように形成される。
【0033】
ただし、本実施形態に係る金属板アンテナは、図1に示す伝送線路アンテナに限定されない。
【0034】
例えば、本実施形態に係る金属板アンテナは、図2に示すような逆Lアンテナ120であってもよい。
【0035】
図2に示す逆Lアンテナ120は、基板150と略平行に配置される平行部122と、平行部122と略直交するように平行部122から延出され、基板150に形成される金属箔パターン180を介して基板150に配置される給電点170と接触する給電点接触部124と、給電点接触部124とは別途に形成され、平行部122と略直交するように平行部122から延出され、基板150と接触する脚部126と、を備える。
【0036】
脚部126と基板150との接触箇所は、図示するように、電気的に絶縁される。
【0037】
上記のような構成によれば、インピーダンス整合と基板上での安定的な配置とを両立することが可能となる。
【0038】
アンテナ装置10が逆Lアンテナ120を備える場合、逆Lアンテナ120は、平行部122、給電点接触部124、および脚部126の長さにより規定されるアンテナ長が、規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/4となるように形成される。
【0039】
また、例えば、本実施形態に係る金属板アンテナは、図3に示すような逆Fアンテナ130であってもよい。
【0040】
図3に示す逆Fアンテナ130は、基板150と略平行に配置される平行部132と、平行部132と略直交するように平行部132から延出され、基板150に形成される金属箔パターン180を介して基板150に配置される給電点170と接触する給電点接触部134と、給電点接触部134とは別途に形成され、平行部132と略直交するように平行部132から延出され、基板150に形成されるGND160と接触する脚部136と、を備える。
【0041】
上記のような構成によれば、インピーダンス整合と基板上での安定的な配置とを両立することが可能となる。
【0042】
アンテナ装置10が逆Fアンテナ130を備える場合、逆Fアンテナ130は、平行部132、給電点接触部134、および脚部136の長さにより規定されるアンテナ長が、規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/4となるように形成される。
【0043】
また、例えば、本実施形態に係る金属板アンテナは、図4に示すような分岐給電伝送線路アンテナ140であってもよい。
【0044】
図4に示す分岐給電伝送線路アンテナ140は、基板150と略平行に配置される平行部142と、平行部142と略直交するように平行部142から延出され、基板150に形成される金属箔パターン180を介して基板150に配置される給電点170と接触する給電点接触部144と、給電点接触部134とは別途に形成され、平行部142と略直交するように平行部142一端および他端から各々延出され、基板150に形成されるGND160と接触する2つの脚部146と、を備える。
【0045】
上記のような構成によれば、インピーダンス整合と基板上での安定的な配置とを両立することが可能となる。
【0046】
アンテナ装置10が分岐給電伝送線路アンテナ140を備える場合、分岐給電伝送線路アンテナ140は、平行部142、給電点接触部144、および脚部146の長さにより規定されるアンテナ長が、規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/2となるように形成される。
【0047】
以上、本実施形態に係る金属板アンテナの形状例について述べた。なお、図1図4の各々で示した各金属板アンテナの形状はあくまで一例であり、本実施形態に係る金属板アンテナの形状はかかる例に限定されない。
【0048】
本実施形態に係る金属板アンテナは、規定の通信規格に準拠した無線信号を送受するために、平行部、給電点接触部、および脚部の長さにより規定されるアンテナ長が、規定の通信規格に準拠した無線信号の波長に基づき決定されてよい。
【0049】
上記規定の通信規格には、例えば、超広帯域無線通信(Ultra-Wide Band:UWB)無線通信が挙げられる。
【0050】
また、本実施形態に係る金属板アンテナが有する脚部は、基板150に配置される金属箔パターン180と接触してもよい。
【0051】
図6は、伝送線路アンテナ110が有する脚部116が基板150に形成される金属箔パターン180と接触する場合の構成例を示す図である。
【0052】
脚部116がさらに金属箔パターン180と接触することで、インピーダンス整合の調整がより容易になる効果が期待される。
【0053】
なお、図5においては、伝送線路アンテナ110が有する脚部116が基板150に形成される金属箔パターン180と接触する場合を例示したが、逆Lアンテナ120、逆Fアンテナ130、および分岐給電伝送線路アンテナ140の各々が有する脚部126、脚部136、および脚部146も同様に金属箔パターン180と接触してもよい。
【0054】
<<1.2.金属板アンテナの変形例>>
以上、本実施形態に係る金属板アンテナについて基本説明を行った。続いて、本実施形態に係る金属板アンテナの変形例について述べる。
【0055】
なお、以下の変形例に関する説明においては、伝送線路アンテナ110を主な例として採用するが、逆Lアンテナ120、逆Fアンテナ130、および分岐給電伝送線路アンテナ140についても同様の変形が可能である。
【0056】
まず、金属板アンテナが有する脚部の変形例について述べる。
【0057】
図1においては、伝送線路アンテナ110の脚部116が基板150との接触面において給電点接触部114の方向へ折り曲げられる場合を例示した。脚部116がこのような折り曲げ構造を有する場合、基板150との接触面積が増すことで伝送線路アンテナ110が基板150上においてより安定的に自立することが可能となる。
【0058】
ただし、本実施形態に係る脚部116の形状はかかる例に限定されない。
【0059】
図7は、本実施形態に係る脚部116の変形例について説明するための模式図である。
【0060】
図7の上段に示すように、本実施形態に係る脚部116は、給電点接触部114とは反対の方向に向けて折り曲げられてもよい。
【0061】
また、図7の中段に示すように、本実施形態に係る脚部116は、給電点接触部114とは反対の方向に向けて折り曲げられた後、略垂直方向にさらに折り曲げられてもよい。
【0062】
この場合、はんだ等の導電性接着剤による固定においてフィレットを形成しやすく、さらには形成されたフィレットの確認がしやすいというメリットがある。
【0063】
一方、本実施形態に係る脚部116は、図7の下段に示すように、折り曲げ構造を有せずともよい。
【0064】
この場合であっても、はんだ等の導電性接着剤により固定することで、伝送線路アンテナ110は基板150上に自立可能である。
【0065】
また、伝送線路アンテナ110は、脚部116と基板150との接触箇所の直上近傍に開口部210を有してもよい。
【0066】
伝送線路アンテナ110は、金属材料を用いて形成されるため、熱伝導率が高い。このため、はんだ等の導電性接着剤による固定を実施する際、熱が上方に逃げやすい傾向がある。
【0067】
しかし、図8に示すように、脚部116と基板150との接触箇所の直上近傍に開口部210が形成される場合、熱が上方に逃げることを効果的に防止し、はんだ等の導電性接着剤による固定を効率的に実施することが可能となる。
【0068】
次に、アンテナ長の確保に関する変形例について述べる。
【0069】
目的とするアンテナ長を確保するために、本実施形態に係る金属板アンテナは、スリット220等の電流を迂回させるための構造を有してもよい。
【0070】
図9および図10は、本実施形態に係るスリット220について説明するための図である。
【0071】
図9に示すように、本実施形態に係る伝送線路アンテナ110は、平行部112、給電点接触部114または脚部116に1つまたは複数のスリット220を有してもよい。
【0072】
図9に示すように、伝送線路アンテナ110がスリット220を有する場合、電流がスリット220を迂回して流れることとなり、平行部112、給電点接触部114および脚部116の長さにより規定されるアンテナ長をより長く確保することが可能となる。
【0073】
なお、図9においては、複数のスリット220が同一方向に形成される場合を例示したが、本実施形態に係るスリット220の形成パターンはかかる例に限定されない。
【0074】
本実施形態に係るスリット220は、例えば、図10の上段および下段に示すように、対向する2方向に形成されてもよい。
【0075】
また、金属板アンテナに形成される、電流を迂回させるための構造は、スリット220に限定されない。当該構造は、開口部210であってもよい。
【0076】
図11は、電流を迂回させるための構造としての開口部210について説明するための図である。
【0077】
図11に示すように、本実施形態に係る伝送線路アンテナ110は、平行部112、給電点接触部114または脚部116に1つまたは複数の開口部210を有してもよい。
【0078】
図11に示すように、伝送線路アンテナ110が開口部210を有する場合、電流が開口部210を迂回して流れることとなり、平行部112、給電点接触部114および脚部116の長さにより規定されるアンテナ長をより長く確保することが可能となる。
【0079】
以上、電流を迂回させるための構造としてのスリット220および開口部210について説明した。スリット220および開口部210の形成パターンは、目的とするアンテナ長、金属板アンテナのサイズ等に応じて適宜設計されてよい。
【0080】
次に、本実施形態に係る金属板アンテナがスタブ240を有する場合の変形例について述べる。
【0081】
図12は、本実施形態に係るスタブ240の形成例を示す図である。
【0082】
図12に示すように、本実施形態に係る伝送線路アンテナ110は、平行部112、給電点接触部114または脚部116のうちのいずれか、または複数に1つまたは複数のスタブ240を有してもよい。
【0083】
スタブ240は、図12の上段に示すように、給電点接触部114と脚部116とを結ぶ方向に対し略直交する方向に延長するよう形成されてもよい。
【0084】
上記のように形成されるスタブ240によれば、給電点接触部114と脚部116とを結ぶ方向と直交する方向にさらに電流を流すことができ、伝送線路アンテナ110を円偏波アンテナとして機能させることが可能となる。
【0085】
または、スタブ240は、図12の下段に示すように、給電点接触部114と脚部116とを結ぶ方向に対し略直交する方向に延長した後、さらに基板150に向かって延長するよう形成されてもよい。
【0086】
また、スタブ240は、例えば、図12において二点鎖線で示す箇所において折り曲げられてもよい。
【0087】
本実施形態に係るスタブ240によれば、偏波およびアンテナ長を効率的に調整することが可能となる。
【0088】
次に、本実施形態に係るモールド構造について述べる。
【0089】
図13は、本実施形態に係るモールド構造の例を示す図である。
【0090】
図13の上段に示すように、本実施形態に係る平行部112、給電点接触部114、および脚部116のうち少なくともいずれか2つに囲まれる空間には、絶縁性材料250が充填されていてもよい。
【0091】
または、図13の下段に示すように、本実施形態に係る伝送線路アンテナ110は、上記空間に加え、平行部112、給電点接触部114または脚部116の少なくともいずれかの外側が絶縁性材料250により覆われていてもよい。
【0092】
このような、絶縁性材料250を用いたモールド構造によれば、金属板アンテナの形状の変化を効果的に防止することができる。
【0093】
次に、本実施形態に係る金属板の変形例について述べる。
【0094】
上記では、本実施形態に係る金属板アンテナが1枚の金属板から形成される場合を主に説明した。
【0095】
一方、本実施形態に係る金属板アンテナは、複数の金属板から構成されてもよい。
【0096】
図14は、本実施形態に係る複数の金属板から形成される伝送線路アンテナ110について説明するための図である。
【0097】
図14に示すように、本実施形態に係る伝送線路アンテナ110は、金属板110Aおよび金属板110Bから構成されてもよい。
【0098】
金属板110Aおよび金属板110Bの間の領域は、直流的には導通していないものの、当該領域はコンデンサとして動作することから、高周波の導通は実現され、伝送線路アンテナ110のアンテナとしての機能もまた実現される。
【0099】
なお、金属板110Aおよび金属板110Bの間の領域には、図14に示すように、例えば、絶縁性材料250が充填されてもよい。
【0100】
この場合、伝送線路アンテナ110の形状(構造)をより安定して保持することが可能となる。
【0101】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0102】
10:アンテナ装置、110:伝送線路アンテナ、120:逆Lアンテナ、130:逆Fアンテナ、140:分岐給電伝送線路アンテナ、112、122、132、142:平行部、114、124、134、144:給電点接触部、116、126、136、146:脚部、150:基板、160:GND、170:給電点、180:金属箔パターン、210:開口部、220:スリット、240:スタブ、250:絶縁性材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14