(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107843
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】車両用シートのシートクッション
(51)【国際特許分類】
B60N 2/02 20060101AFI20240802BHJP
A47C 7/14 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
B60N2/02
A47C7/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011979
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 拓弥
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084BA00
3B087BD16
(57)【要約】
【課題】乗員にシート幅方向の外力が及んだときに乗員を安定した状態で支持できる車両用シートのシートクッションを得る。
【解決手段】パンフレーム42に外力が付与されないとき、パンフレームを左側部及び右側部が同じ高さになる初期状態に保持し且つ外力が付与されたときにパンフレームが第1回転軸27回りに回転するのを許容する支持機構と、パンフレーム及びサイドフレーム45、50に設けられ且つサイドフレームに設けられた部位がパンフレームに設けられた部位よりも上方に位置する側方支持部62を構成するクッションパッド60と、左側部と右側部の一方が他方より下方に位置するようにパンフレームが回転したときに、一方と対向する一方のサイドフレームが他方と対向する他方のサイドフレームに接近するように、一方のサイドフレームを第2回転軸回りに回転させる側部制御機構と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材に、前後方向に延びる第1回転軸回りに回転可能に支持されたパンフレームと、
前記支持部材に、前後方向に延びる第2回転軸回りに回転可能に接続された、前記パンフレームの左側部及び右側部とそれぞれ対向する左右一対のサイドフレームと、
前記パンフレームに外力が付与されないとき、前記パンフレームを前記左側部及び前記右側部が同じ高さになる初期状態に保持し、且つ、外力が付与されたときに前記パンフレームが前記第1回転軸回りに回転するのを許容する支持機構と、
前記パンフレーム及び前記サイドフレームに設けられ、且つ、前記サイドフレームに設けられた部位が、前記パンフレームに設けられた部位よりも上方に位置する側方支持部を構成するクッションパッドと、
前記左側部と前記右側部の一方が他方より下方に位置するように前記パンフレームが回転したときに、前記一方と対向する一方の前記サイドフレームが前記他方と対向する他方の前記サイドフレームに接近するように、前記一方のサイドフレームを前記第2回転軸回りに回転させる側部制御機構と、
を備える車両用シートのシートクッション。
【請求項2】
前記側部制御機構が、
前記左側部及び前記右側部にそれぞれ形成された一対の押圧部と、
一対の前記サイドフレームの一部であり、前記初期状態にある前記パンフレームが回転したときに対向する前記押圧部によって押される一対の被押圧部と、
を備える請求項1記載の車両用シートのシートクッション。
【請求項3】
前記初期状態にある前記パンフレームが回転したときに、前記押圧部が前記被押圧部の前記第2回転軸と反対側の端部である先端部を押す請求項2記載の車両用シートのシートクッション。
【請求項4】
前記支持機構が圧縮コイルバネを備える請求項1又は請求項2記載の車両用シートのシートクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのシートクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シートクッションを備える車両用シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のシートが搭載された車両がカーブ状の道路を走行するとき、シートに着座した乗員に遠心力が及ぶ。上記特許文献1のシートクッションは、このような場合における乗員の支持状態に関して改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、乗員にシート幅方向の外力が及んだときに乗員を安定した状態で支持できる車両用シートのシートクッションを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車両用シートのシートクッションは、支持部材と、前記支持部材に、前後方向に延びる第1回転軸回りに回転可能に支持されたパンフレームと、前記支持部材に、前後方向に延びる第2回転軸回りに回転可能に接続された、前記パンフレームの左側部及び右側部とそれぞれ対向する左右一対のサイドフレームと、前記パンフレームに外力が付与されないとき、前記パンフレームを前記左側部及び前記右側部が同じ高さになる初期状態に保持し、且つ、外力が付与されたときに前記パンフレームが前記第1回転軸回りに回転するのを許容する支持機構と、前記パンフレーム及び前記サイドフレームに設けられ、且つ、前記サイドフレームに設けられた部位が、前記パンフレームに設けられた部位よりも上方に位置する側方支持部を構成するクッションパッドと、前記左側部と前記右側部の一方が他方より下方に位置するように前記パンフレームが回転したときに、前記一方と対向する一方の前記サイドフレームが前記他方と対向する他方の前記サイドフレームに接近するように、前記一方のサイドフレームを前記第2回転軸回りに回転させる側部制御機構と、を備える。
【0007】
請求項1に記載の車両用シートに着座した乗員にシート幅方向の外力が及んだときに、この外力に起因して、乗員がパンフレームの左側部と右側部の一方側に押されることがある。さらにこのとき、初期状態にあるパンフレームが第1回転軸回りに回転することを支持機構が許容することにより、パンフレームの左側部と右側部の一方が他方より下方に移動する。これにより側部制御機構が、左側部と右側部の一方と対向する一方のサイドフレームが左側部と右側部の他方と対向する他方のサイドフレームに接近するように、一方のサイドフレームを第2回転軸回りに回転させる。そのため、左側部と右側部の一方と対応する側方支持部によって乗員の身体が支持される。従って、請求項1に記載の車両用シートのシートクッションは、乗員にシート幅方向の外力が及んだときに乗員を安定した状態で支持できる。
【0008】
請求項2に記載の車両用シートのシートクッションは、請求項1記載の構成において、前記側部制御機構が、前記左側部及び前記右側部にそれぞれ形成された一対の押圧部と、一対の前記サイドフレームの一部であり、前記初期状態にある前記パンフレームが回転したときに対応する前記押圧部によって押される一対の被押圧部と、を備える。
【0009】
請求項2に記載の車両用シートのシートクッションの側部制御機構は、左側部及び右側部にそれぞれ形成された一対の押圧部と、一対のサイドフレームの一部であり、初期状態にあるパンフレームが回転したときに対向する押圧部によって押される一対の被押圧部と、を備える。そのため請求項2に記載の車両用シートのシートクッションは、乗員がパンフレームの左側部と右側部の一方側に押されたときに、一方のサイドフレームを確実に第2回転軸回りに回転させられる。
【0010】
請求項3に記載の車両用シートのシートクッションは、請求項2記載の構成において、前記初期状態にある前記パンフレームが回転したときに、前記押圧部が前記被押圧部の前記第2回転軸と反対側の端部である先端部を押す。
【0011】
請求項3に記載の車両用シートのシートクッションによれば、乗員がパンフレームの左側部と右側部の一方側に押されたときに、一方のサイドフレームがより確実に第2回転軸回りに回転する。
【0012】
請求項4に記載の車両用シートのシートクッションは、請求項1又は請求項2記載の構成において、前記支持機構が圧縮コイルバネを備える。
【0013】
請求項4に記載の車両用シートのシートクッションによれば、支持機構を簡単な構成により実現できる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の車両用シートのシートクッションは、乗員にシート幅方向の外力が及んだときに乗員を安定した状態で支持できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用シートの側面図である。
【
図3】
図1の3-3矢線に沿うロアレールを省略して示す断面図である。
【
図5】乗員がシートクッションに対して左側に移動したときの
図3と類似する断面図である。
【
図6】乗員がシートクッションに対して左側に移動したときの
図4に対応する拡大図である。
【
図7】車両用シートが搭載された車両と、車両が走行する道路と、を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る車両用シート20について、添付図面を参照しながら説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRはシート前方側を示しており、矢印UPはシート上方側を示しており、矢印LHはシート幅方向(左右方向)の左側を示している。
【0017】
図1に示されるように、車両10の車体の一部である車体フロア11に車両用シート20が設けられている。車両用シート20は、ロアレール21、アッパレール22、横桟(支持部材)23、24、軸受け部材(支持機構)25、26、第1回転軸27(支持機構)、圧縮コイルバネ(支持機構)28、29、軸受け部材(側部制御機構)32、33、第2回転軸(側部制御機構)34、35、トーションバネ(側部制御機構)37、38、シートクッション40、シートバック65及びヘッドレスト67を備える。
【0018】
図1に示されたように、車体フロア11の上面には、左右一対且つ前後方向に延びるロアレール21が固定されている。各ロアレール21には、左右一対のアッパレール22がそれぞれスライド可能に支持されている。さらに各アッパレール22には、アッパレール22のロアレール21に対するスライドを規制又は許容するスライドロック装置(図示省略)が設けられている。
【0019】
図2に示されたように、左右のアッパレール22の上面には、左右方向に延びる前後一対の横桟23、24がそれぞれ固定されている。さらに横桟23、24の上面の左右方向の中央部には軸受け部材25、26がそれぞれ固定されている。軸受け部材25、26は、互いに同軸をなす円筒状部材である。軸受け部材25、26には、前後方向に沿って延びる第1回転軸27が挿入されている。第1回転軸27は自身の軸線AX回りに、軸受け部材25、26に対して相対回転可能且つ軸線AX方向に相対移動不能である。第1回転軸27の上部には前後一対の連結部27aが固定されている。
【0020】
図2に示されたように、横桟23、24の第1回転軸27より左側に位置する部位には圧縮コイルバネ28の下端が固定されており、横桟23、24の第1回転軸27より右側に位置する部位には圧縮コイルバネ29の下端が固定されている。圧縮コイルバネ28、29は同一仕様であり、自由状態にあるときそれらの軸線は上下方向と平行である。
【0021】
図2に示されたように、横桟23の上面には左右一対の軸受け部材32が固定され、横桟24の上面には左右一対の軸受け部材33が固定されている。軸受け部材32及び軸受け部材33は円筒状部材である。左側の軸受け部材32と左側の軸受け部材33は同軸をなし、右側の軸受け部材32と右側の軸受け部材33は同軸をなす。左側の軸受け部材32、33には前後方向に沿って延びる第2回転軸34が挿入されている。第2回転軸34は自身の軸線AXL回りに、軸受け部材32、33に対して相対回転可能且つ軸線AXL方向に相対移動不能である。右側の軸受け部材32、33には前後方向に沿って延びる第2回転軸35が挿入されている。第2回転軸35は自身の軸線AXR回りに、軸受け部材32、33に対して相対回転可能且つ軸線AXR方向に相対移動不能である。
【0022】
シートクッション40は、パンフレーム42、サイドフレーム45、クッションパッド60及びカバー部材(図示省略)を備える。
【0023】
図2及び
図3に示されたように、横桟23、24及び圧縮コイルバネ28、29の直上に金属製のパンフレーム42が位置する。パンフレーム42の平面形状は略長方形である。第1回転軸27の各連結部27aがパンフレーム42の下面に固定されている。さらにパンフレーム42の下面の4か所に各圧縮コイルバネ28、29の上端がそれぞれ固定されている。そのためパンフレーム42は、第1回転軸27と一緒に軸受け部材25、26に対して相対回転可能である。パンフレーム42に対して外力が付与されないとき、圧縮コイルバネ28、29によってパンフレーム42が
図2及び
図3に示された初期状態に保持される。パンフレーム42の左側部と右側部が実質的に同じ高さになる状態がパンフレーム42の初期状態である。即ち、初期状態にあるときパンフレーム42は、上下方向に対して直交する水平面と略平行になる。パンフレーム42が初期状態にあるとき、圧縮コイルバネ28、29は自由状態になる。またパンフレーム42の左側部は押圧部(側部制御機構)43によって構成され、右側部は押圧部44によって構成されている。
【0024】
図2~
図6に示されたように、パンフレーム42の左右両側には金属製のサイドフレーム45、50が配置されている。前後方向に直行する断面で切断したときのサイドフレーム45、50の断面形状は
図3~
図6に示された形状である。サイドフレーム45、50は、略平板状の被押圧部(側部制御機構)46、51と、断面形状が略V字形をなすクッション支持部47、52と、を有する。さらに被押圧部46とクッション支持部47の接続部が第2回転軸34に固定され、被押圧部51とクッション支持部52の接続部が第2回転軸35に固定されている。パンフレーム42の押圧部43の直下に被押圧部46が位置し、押圧部44の直下に被押圧部51が位置する。即ち、押圧部43と被押圧部46が対向し、押圧部44と被押圧部51が対向する。
【0025】
さらに
図2に示されたように第2回転軸34の周囲にトーションバネ37が設けられ、第2回転軸35の周囲にトーションバネ38が設けられている。トーションバネ37の一端は第2回転軸34に固定され且つトーションバネ37の他端はサイドフレーム45の下面に接触している。トーションバネ38の一端は第2回転軸35に固定され且つトーションバネ38の他端はサイドフレーム50の下面に接触している。パンフレーム42が初期状態にあるとき、トーションバネ37、38は自由状態になる。
【0026】
図3及び
図5に示されたように、パンフレーム42の上面、サイドフレーム45のクッション支持部47の上面及びサイドフレーム50のクッション支持部52の上面にクッションパッド60が固定されている。クッションパッド60は、パンフレーム42に固定された本体部61と、クッション支持部47、52に固定された左右一対の側方支持部62と、を有する。左右の側方支持部62の上端部は本体部61よりも上方に位置する。クッションパッド60に対して外力が及ばないとき、トーションバネ37、38の付勢力によって、
図3及び
図4に示されたように、サイドフレーム45の被押圧部46の先端部46aが押圧部43の下面に接触し、サイドフレーム50の被押圧部51の先端部51aが押圧部44の下面に接触する。
【0027】
図示は省略されているがクッションパッド60の表面が可撓性材料からなるカバー部材によって覆われている。
【0028】
図1に示されたように、シートクッション40の後端部には、シートバック65の下端部が接続される。さらにシートバック65の上端部には、ヘッドレスト67が設けられる。これにより車両用シート20が完成する。
【0029】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0030】
例えば、車両10が
図7に示された道路70を矢印A方向に走行している場合を想定する。道路70は、直線状部71、曲線状部72、直線状部73、曲線状部74及び直線状部75を有する。このとき乗員PSが
図3に示された状態で車両用シート20に着座している。より詳細には、乗員PSの臀部PS1がシートクッション40によって支持され、且つ、左右の側方支持部62(カバー部材)が臀部PS1の左右両側に位置する。
【0031】
車両10が直線状部71上の位置P1を走行するとき乗員PSに遠心力はかからない。そのため、このとき乗員PSに左右方向(車両用シート20の幅方向)の外力は及ばない。このとき
図3及び
図4に示されたように、パンフレーム42が初期状態となる。さらにサイドフレーム45の被押圧部46の先端部46aがパンフレーム42の押圧部43の下面に接触し、且つ、サイドフレーム50の被押圧部51の先端部51aがパンフレーム42の押圧部44の下面に接触する。このときのサイドフレーム45、50の位置を初期位置と称する。サイドフレーム45、50が初期位置にあるとき、サイドフレーム45とサイドフレーム50は略左右対称になる。
【0032】
続いて車両10が曲線状部72上の位置P2を走行するとき、乗員PSに矢印F1で示された遠心力(外力)がかかる。そのため、パンフレーム42が初期状態にあるときと比べて乗員PSの重心が左側(F1方向)に移動する。これにより、押圧部43が押圧部44より下方に位置する態様でパンフレーム42が第1回転軸27回りに回転する。さらに前後の圧縮コイルバネ28が自由状態から圧縮し、前後の圧縮コイルバネ29が自由状態より伸張する。さらに初期状態より下方に移動した押圧部43がサイドフレーム45の被押圧部46の第2回転軸回34と反対側の端部である先端部46aを押し、これによりサイドフレーム45が第2回転軸34回りに
図5、
図6の矢印R1方向に回転する。さらにサイドフレーム45がある程度回転すると、
図6に示されたように、押圧部43の左端部が被押圧部46の上面を下方に向けて押す。そのため、サイドフレーム45のクッション支持部47が、パンフレーム42が初期状態にあるときと比べてサイドフレーム50側(右側)に接近し、クッション支持部47が左側から臀部PS1の左側部に接近する。さらにトーションバネ37が自由状態から変形することにより、
図3に符号FLで示す方向の回転付勢力を発生する。このとき
図6に示されたように、クッション支持部47が側方支持部62を介して臀部SP1に力FRを付与するので、臀部PS1の左側への移動が抑制される。
【0033】
この後に車両10が直線状部73上の位置P3を走行すると遠心力F1が消失するので、乗員PSの重心の位置が、車両10が直線状部71を走行しているときの位置に復帰する。そのため、パンフレーム42が初期状態に復帰し且つトーションバネ37の回転付勢力FLによりサイドフレーム45が初期位置に復帰する。
【0034】
続いて車両10が曲線状部74上の位置P4を走行するとき、乗員PSに矢印F2で示された遠心力(外力)がかかる。そのため、パンフレーム42が初期状態にあるときと比べて乗員PSの重心が右側(F2方向)に移動する。これにより、図示は省略してあるが、押圧部44が押圧部43より下方に位置する態様でパンフレーム42が第1回転軸27回りに回転する。さらに前後の圧縮コイルバネ29が自由状態から圧縮し、前後の圧縮コイルバネ28が自由状態より伸張する。さらに初期状態より下方に移動した押圧部44がサイドフレーム50の被押圧部51の第2回転軸回35と反対側の端部である先端部51aを押し、これによりサイドフレーム50が第2回転軸35回りに矢印R2方向(
図3参照)に回転する。さらにサイドフレーム50がある程度回転すると、押圧部44の右端部が被押圧部51の上面を下方に向けて押す。そのため、サイドフレーム50のクッション支持部52が、パンフレーム42が初期状態にあるときと比べてサイドフレーム45側(左側)に接近し、クッション支持部52が右側から臀部PS1の右側部に接近する。さらにトーションバネ38が自由状態から変形することにより、
図3に符号FRで示す方向の回転付勢力を発生する。このときクッション支持部52が側方支持部62を介して臀部SP1に左向きの力を付与するので、臀部PS1の右側への移動が抑制される。
【0035】
この後に車両10が直線状部75上の位置P5を走行すると遠心力F2が消失するので、乗員PSの重心の位置が、車両10が直線状部71を走行しているときの位置に復帰する。そのため、パンフレーム42が初期状態に復帰し且つトーションバネ38の回転付勢力FRによりサイドフレーム50が初期位置に復帰する。
【0036】
以上説明したように本実施形態の車両用シート20のシートクッション40は、乗員PSにシート幅方向の外力(遠心力)が及んだときに、乗員PSを安定した状態で支持できる。
【0037】
さらに本実施形態では、押圧部43、44が対向するサイドフレーム45、50の被押圧部46、51の先端部46a、51aを押す。即ち、第2回転軸34、35を「支点」、被押圧部46、51の先端部46a、51aを「力点」、クッション支持部47、52を「作用点」とする「てこの原理」を利用して、押圧部43、44が対向するサイドフレーム45、50を回転させる。そのため、押圧部43、44が対向するサイドフレーム45、50の被押圧部46、51の先端部46a、51aより第2回転軸34、35側の部位を押す場合と比べて、本実施形態のサイドフレーム45、50は乗員PSの臀部PS1側に回転し易い。即ち、本実施形態のシートクッション40は、臀部PS1の左右への移動を確実に抑制できる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0039】
例えば、車両用シート20が圧縮コイルバネ28、29の代わりに、横桟23、24に下端部が固定され且つパンフレーム42の下面に上端部が固定されたゴム部材を備えてもよい。
てもい。
【符号の説明】
【0040】
20 車両用シート
23 24 横桟(支持部材)
25 26 軸受け部材(支持機構)
27 第1回転軸(支持機構)
28 29 圧縮コイルバネ(支持機構)
32 33 軸受け部材(側部制御機構)
34 35 第2回転軸(側部制御機構)
37 38 トーションバネ(側部制御機構)
42 パンフレーム
43 44 押圧部(側部制御機構)
45 サイドフレーム
46 被押圧部(側部制御機構)
46a 先端部
50 サイドフレーム
51 被押圧部(側部制御機構)
51a 先端部
60 クッションパッド
62 側方支持部