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特開2024-107866保持部材及びそれを備えた建築物の勾配屋根
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107866
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】保持部材及びそれを備えた建築物の勾配屋根
(51)【国際特許分類】
   E04B 7/22 20060101AFI20240802BHJP
   E04B 7/02 20060101ALI20240802BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20240802BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
E04B7/22
E04B7/02 521Z
E04B1/76 500Z
E04B1/80 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012027
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110664
【氏名又は名称】ナンカイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】小西 健夫
(72)【発明者】
【氏名】山中 みなみ
(72)【発明者】
【氏名】潮 真之介
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA16
2E001FA17
2E001GA12
2E001HD03
2E001LA11
2E001LA13
(57)【要約】
【課題】勾配屋根の屋根下地材に沿って断熱材を効率よく配置することができる保持部材及びそれを備えた建築物の勾配屋根を提供する。
【解決手段】保持部材1は、支持部材32に取り付けられる被取付部2と、被取付部2から延出方向D2に沿って下向きに延びる延出部3と、断熱材33を保持する保持部4と、を備えている。被取付部2は、支持部材32において上を向く上向き面34b1に載置される載置部2aと、断熱材33の重量により延出部3が延出方向D2に沿った姿勢から鉛直方向に沿った姿勢となるように保持部材1が回転することを規制するために支持部材32において下を向く下向き面34b2に当接する当接部2bと、を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の勾配屋根における屋根下地材を支持するために所定の傾斜方向に延びる支持部材における所定の取付対象部に取り付けられ、前記取付対象部の下でかつ前記傾斜方向に沿って配置されるように断熱材を保持するための保持部材であって、
前記取付対象部に取り付けられる被取付部と、
前記被取付部が前記取付対象部に取り付けられた状態において前記被取付部から前記傾斜方向と直交する延出方向に沿って下向きに延びる延出部と、
前記延出部に設けられているとともに前記断熱材を保持する保持部と、を備え、
前記被取付部は、前記保持部材の荷重を前記支持部材に預けるように前記取付対象部において上を向く上向き面に載置される載置部と、前記載置部が前記上向き面上に載置された状態において前記断熱材の重量により前記延出部が前記延出方向に沿った姿勢から鉛直方向に沿った姿勢となるように前記保持部材が回転することを規制するために前記取付対象部において下を向く下向き面に当接する当接部と、を有する、
保持部材。
【請求項2】
前記当接部は、前記被取付部が前記取付対象部に取り付けられた状態において、前記載置部において前記回転の支点となる部分から前記傾斜方向において下に離れている、請求項1に記載の保持部材。
【請求項3】
前記被取付部が前記取付対象部に取り付けられた状態において、前記当接部は、前記傾斜方向において前記載置部の範囲内に設けられている、請求項1又は2に記載の保持部材。
【請求項4】
前記支持部材は、前記傾斜方向に沿って配置されるとともに前記上向き面及び前記下向き面を有する前記取付対象部と、前記傾斜方向及び前記延出方向と直交する横方向における前記取付対象部の縁部から前記延出方向に沿って上に突出する突出部と、を有し、
前記被取付部は、前記載置部及び前記当接部により前記取付対象部を前記延出方向に挟んだ状態で、前記突出部を内包するように前記載置部と前記当接部とを連結する連結部を有する、請求項1又は2に記載の保持部材。
【請求項5】
前記被取付部は、前記横方向において前記連結部から離れるに従い、前記延出方向において前記当接部から離れるように前記載置部から延びて終端する導入用端部を有する、請求項4に記載の保持部材。
【請求項6】
前記連結部は、前記横方向において前記当接部から離れるに従い、前記延出方向の上向きに細くなる形状を有する、請求項4に記載の保持部材。
【請求項7】
前記支持部材は、前記傾斜方向に沿って配置されるとともに前記下向き面を有する基部と、前記傾斜方向及び前記延出方向と直交する横方向における前記基部の縁部から前記延出方向に沿って上に突出するとともに前記上向き面を有する突出部と、を有し、
前記被取付部は、前記載置部及び前記当接部により前記基部及び前記突出部を前記延出方向に挟んだ状態で前記突出部の側面に沿って配置されるように前記載置部と前記当接部とを連結する連結部と、前記連結部との間で前記突出部を前記横方向に挟持する挟持部と、を有する、請求項1又は2に記載の保持部材。
【請求項8】
建築物の勾配屋根であって、
屋根下地材と、
所定の傾斜方向に沿って互いに平行に延びるとともに前記屋根下地材を支持する一対の支持部材と、
前記各支持部材における所定の取付対象部にそれぞれ取り付けられた、請求項1又は2に記載の一対の保持部材と、
前記一対の支持部材の間に跨るように前記一対の保持部材により保持された断熱材と、を有する建築物の勾配屋根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材を保持するための保持部材及びそれを備えた建築物の勾配屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1には、天井施工下地に対して天井材を支えるための天井材施工目地材が開示されている。この天井材施工目地材は、天井施工下地に対して水平に支持される水平幅板と、水平幅板の裏面から下方に延びるウエブ板と、ウエブ板の下端縁から水平に延びる水平幅板と平行な下側フランジ板と、下側フランジ板と対向するように下側フランジ板と水平幅板との間においてウエブ板から水平に延びる中間フランジ板と、を備えている。
【0003】
ところで、建築物における屋根の外側と内側との間における断熱性能の向上が近年要望されている。この要望を満たすためには、屋根下地材を支持する支持部材に対して屋根下地材に沿って断熱材を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-133339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、屋根の断熱性能の向上のために、例えば、特許文献1に記載の天井材施工目地材を用いて支持部材に対して断熱材を取り付けることが考えられる。
【0006】
しかし、勾配屋根に対して断熱材を取り付ける場合、特許文献1に記載の天井材施工目地材を傾斜した支持部材に対して取り付ける必要があるところ、特許文献1に記載の天井材施工目地材は、勾配屋根への取り付けを想定したものではない。
【0007】
本発明の目的は、勾配屋根の屋根下地材に沿って断熱材を効率よく配置することができる保持部材及びそれを備えた建築物の勾配屋根を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第一の発明は、建築物の勾配屋根における屋根下地材を支持するために所定の傾斜方向に延びる支持部材における所定の取付対象部に取り付けられ、前記取付対象部の下でかつ前記傾斜方向に沿って配置されるように断熱材を保持するための保持部材であって、前記取付対象部に取り付けられる被取付部と、前記被取付部が前記取付対象部に取り付けられた状態において前記被取付部から前記傾斜方向と直交する延出方向に沿って下向きに延びる延出部と、前記延出部に設けられているとともに前記断熱材を保持する保持部と、を備え、前記被取付部は、前記保持部材の荷重を前記支持部材に預けるように前記取付対象部において上を向く上向き面に載置される載置部と、前記載置部が前記上向き面上に載置された状態において前記断熱材の重量により前記延出部が前記延出方向に沿った姿勢から鉛直方向に沿った姿勢となるように前記保持部材が回転することを規制するために前記取付対象部において下を向く下向き面に当接する当接部と、を有する、保持部材を提供する。
【0009】
本発明によれば、支持部材の上向き面上に載置部を載置することにより保持部材の荷重を支持部材に預けることができる。この状態で、保持部に対して断熱材を保持させると保持部材に対して断熱材の荷重が加えられ、その結果、載置部における上向き面に接触している領域のうち傾斜方向において最も上の部分(載置部において回転の支点となる部分:以下、回転支点という)を支点して保持部材が回転しようとする。本発明では、保持部材が回転することを規制するために前記取付対象部において下を向く下向き面に当接する当接部が設けられているため、保持部材の回転を有効に規制することができる。
【0010】
したがって、本発明によれば、勾配屋根の屋根下地材に沿って断熱材を効率よく配置することができる。
【0011】
第二の発明は、第一の発明において、前記当接部は、前記被取付部が前記取付対象部に取り付けられた状態において、前記載置部において前記回転の支点となる部分から前記傾斜方向において下に離れていることが好ましい。
【0012】
第二の発明によれば、当接部が載置部において前記回転の支点となる部分から傾斜方向において下に離れているため、保持部材の回転をより有効に規制することができる。
【0013】
第三の発明は、第一の発明又は第二の発明において、前記被取付部が前記取付対象部に取り付けられた状態において、前記当接部は、前記傾斜方向において前記載置部の範囲内に設けられていることが好ましい。
【0014】
第三の発明では、当接部が傾斜方向において載置部の範囲内に設けられている、つまり、傾斜方向において当接部の両側に載置部の一部(回転支点となる部分)を配置することができる。そのため、特定の姿勢で上記のように保持部材の回転を規制した状態で支持部材に取り付けることができるだけでなく、特定の姿勢から傾斜方向に反転させた姿勢においても保持部材の回転を規制した状態で支持部材に取り付けることができる。そのため、保持部材の取り付け姿勢が一つに固定されている場合と比較して施工性を向上することができる。
【0015】
第四の発明は、第一~第三の何れか一つの発明において、前記支持部材は、前記傾斜方向に沿って配置されるとともに前記上向き面及び前記下向き面を有する前記取付対象部と、前記傾斜方向及び前記延出方向と直交する横方向における前記取付対象部の縁部から前記延出方向に沿って上に突出する突出部と、を有し、前記被取付部は、前記載置部及び前記当接部により前記取付対象部を前記延出方向に挟んだ状態で、前記突出部を内包するように前記載置部と前記当接部とを連結する連結部を有することが好ましい。
【0016】
第四の発明によれば、連結部により突出部を内包した状態で載置部及び当接部によって取付対象部を延出方向に挟むことにより、当該載置部と当接部との間からの突出部の抜け出しを抑制した状態で被取付部を取付対象部に取り付けることができる。したがって、被取付部を取付対象部に取り付けた状態において被取付部が横方向に移動して支持部材から脱落するのを抑制することができる。
【0017】
第五の発明は、第四の発明において、前記被取付部は、前記横方向において前記連結部から離れるに従い、前記延出方向において前記当接部から離れるように前記載置部から延びて終端する導入用端部を有することが好ましい。
【0018】
第五の発明によれば、横方向において連結部から離れるに従い、導入用端部と当接部との間の距離が離れるように導入用端部が傾斜しているため、被取付部の取付対象部に対する取付時において、載置部と当接部との間に突出部を誘い込むことができる。したがって、互いに密着した載置部と当接部との間に突出部を挿入する場合と比較して保持部材の支持部材に対する施工性を向上することができる。
【0019】
第六の発明は、第四又は第五の発明において、前記連結部は、前記横方向において前記当接部から離れるに従い、前記延出方向の上向きに細くなる形状を有することが好ましい。
【0020】
第六の発明によれば、載置部と当接部との間に挿入された突出部の先端を連結部の先細りの形状に沿って横方向に導くことができるとともに、突出部の先端部が連結部の先細り部分に挿入されることによって突出部を横方向に位置決めすることができる。したがって、支持部材に取り付けられた保持部材を横方向に位置決めすることができる。
【0021】
第七の発明は、第一又は第二の発明において、前記支持部材は、前記傾斜方向に沿って配置されるとともに前記下向き面を有する基部と、前記傾斜方向及び前記延出方向と直交する横方向における前記基部の縁部から前記延出方向に沿って上に突出するとともに前記上向き面を有する突出部と、を有し、前記被取付部は、前記載置部及び前記当接部により前記基部及び前記突出部を前記延出方向に挟んだ状態で前記突出部の側面に沿って配置されるように前記載置部と前記当接部とを連結する連結部と、前記連結部との間で前記突出部を前記横方向に挟持する挟持部と、を有することが好ましい。
【0022】
第七の発明によれば、載置部が突出部の上向き面に載置され、かつ、当接部が基部の下向き面に当接した状態で連結部と挟持部との間で突出部を挟持することができるため、断熱材の荷重による保持部材の回転を規制しながら、支持部材に対して保持部材を横方向に位置決めすることができる。 さらに、本発明は、建築物の勾配屋根であって、屋根下地材と、所定の傾斜方向に沿って互いに平行に延びるとともに前記屋根下地材を支持する一対の支持部材と、前記各支持部材における所定の取付対象部にそれぞれ取り付けられた、第一~第七の発明の一対の保持部材と、前記一対の支持部材の間に跨るように前記一対の保持部材により保持された断熱材と、を有する建築物の勾配屋根を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、勾配屋根の屋根下地材に沿って断熱材を効率よく配置することができる保持部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係る保持部材が適用された建築物の勾配屋根の一部を示す正面断面図であり、断熱材の一部を省略したものである。
図2図1のII-II線断面図である。
図3図2に示される保持部材の斜視図である。
図4図2に示される保持部材の図3とは別の視点による斜視図である。
図5図2に示される保持部材の被取付部を支持部材に取り付ける手順を示すものであり、載置部と当接部との間に支持部材の突出部を導入する前の状態を示す。
図6図2に示される保持部材の被取付部を支持部材に取り付ける手順を示すものであり、突出部が載置部と当接部との間に導入された状態を示す。
図7図2のVIII-VIII線断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る保持部材が適用された建築物の勾配屋根における図2相当図である。
図9図8に示される保持部材の斜視図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る保持部材を有する建築物の勾配屋根における図2相当図である。
図11図10に示す保持部材の一つを支持部材から分離して示す側面図である。
図12図11に示す保持部材の保持部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態に係る保持部材1が適用された建築物の勾配屋根の一部を示す正面断面図であり、断熱材の一部を省略したものである。図2は、図1のII―II線断面図である。
【0027】
図1及び図2を参照して、建築物の勾配屋根30は、屋根下地材31と、所定の傾斜方向D1に沿って互いに平行に延びるとともに屋根下地材31を支持する複数の支持部材32(図1及び図2では1本の支持部材32を示す)と、各支持部材32における所定の取付対象部にそれぞれ取り付けられた複数の保持部材1と、互いに隣接する一対の支持部材32の間に跨り、かつ、傾斜方向D1に沿って配置されるように保持部材1に保持された複数の断熱材33と、を有する。
【0028】
屋根下地材31は、支持部材32上に設けられる野地板と、野地板上に設けられるルーフィングと、を含む。
【0029】
複数の支持部材32は、傾斜方向D1に延びるとともに互いに平行に配置されている。また、各支持部材32は、鉄骨材により構成されている。具体的に、支持部材32は、一対のC形鋼34と、C形鋼34同士を接続する接続部材(例えば、ボルト:図示省略)と、を備えている。C形鋼34は、ウェブ34aと、ウェブ34aの両縁から延びて互いに対向する一対のフランジ(傾斜部に相当)34bと、各フランジ34bの端部から対向するフランジ34bに向けて突出するリップ(突出部に相当)34cと、を有する。また、一対のC形鋼34は、それぞれのフランジ34bの裏面(フランジ34bと反対側を向く面)が向き合った状態で接続部材によって互いに接続されている。支持部材32は、フランジ34bが傾斜方向D1に沿って配置され、リップ34cが傾斜方向D1及び傾斜方向D1と直交する延出方向D2と直交する横方向D3におけるフランジ34bの縁部から延出方向に沿って各リップ34cが互いに対向するように(それぞれ上に)突出した状態で建築物の躯体(図示せず)に固定されている。
【0030】
断熱材33は、互いに隣接する2本の支持部材32のそれぞれに取り付けられた後述の保持部材1に両側から保持されることによって互いに隣接する2本の支持部材32に亘り、かつ、傾斜方向D1に沿って設けられている。また、断熱材33は、グラスウール等の繊維系断熱材に比べて剛性の高い材質により板状に形成されている。例えば、断熱材33は、発泡ウレタンにより形成されている。
【0031】
保持部材1は、支持部材32におけるフランジ34b(所定の取付対象部に相当)に取り付けられ、フランジ34bの下でかつ傾斜方向D1に沿って配置されるように断熱材33を保持するためのものである。具体的に、保持部材1は、フランジ34bに取り付けられる被取付部2と、被取付部2がフランジ34bに取り付けられた状態において前記被取付部2から延出方向D2に沿って下向きに延びる延出部3と、延出部3に設けられているとともに断熱材33を保持する保持部4と、を備えている。
【0032】
図3及び図4は、図2に示される保持部材の斜視図である。また、図5及び図6は、図2に示される保持部材1の被取付部2をフランジ34bに取り付ける手順を示すものである。
【0033】
図2図6を参照して、被取付部2は、フランジ34bにおいて上を向く上向き面34b1に載置される載置部2aと、載置部2aが上向き面34b1上に載置された状態においてフランジ34bの下を向く下向き面34b2の下に配置される当接部2bと、載置部2a及び当接部2bによりフランジ34bを延出方向D2に挟んだ状態で、リップ34cを内包するように載置部2aと当接部2bとを連結する連結部2cと、横方向D3において連結部2cから離れる方向に載置部2aから延びて終端する導入用端部2dと、を備えている。
【0034】
載置部2aは、保持部材1の荷重を支持部材32に預けるようにフランジ34bの上向き面34b1に載置される。具体的に、載置部2aは、後述する連結部2cと導入用端部2dとの間に形成される角部に相当する部分である。
【0035】
当接部2bは、載置部2aが上向き面34b1上に載置された状態において、下向き面34b2に当接し、断熱材33の重量により延出部3が延出方向D2に沿った姿勢から鉛直方向に沿った姿勢となるように保持部材1が回転することを規制するために設けられている。具体的には、図7に示すように、断熱材33が保持部材1に保持されると、傾斜方向D1における載置部2aの最も上の部分P1(以下、回転支点P1という)を中心として保持部材1が回転しようとする。被取付部2が支持部材32に取り付けられた状態において、当接部2bは、載置部2aにおける回転支点P1から傾斜方向D1において下に離れた位置で下向き面34b2に当接している。そのため、回転支点P1を中心とする保持部材1の回転を当接部2bによって有効に規制することができる。
【0036】
また、当接部2bは、被取付部2がフランジ34bに取り付けられた状態において、傾斜方向D1において載置部2aの範囲R1内に設けられている。そのため、保持部材1を延出方向D2に沿った軸を中心として180°回転させても(傾斜方向D1に反転させても)傾斜方向D1において当接部2bの上に回転支点P1を配置することができる。したがって、例えば、傾斜方向D1に反転させた保持部材1を隣りの支持部材32に対して取り付けた場合であっても、回転支点P1を中心とする保持部材1の回転を抑制することができる。
【0037】
さらに、当接部2bは、載置部2aとの間でフランジ34bを挟持するようにフランジ34bの厚みよりも小さな間隔を持って載置部2aに対向している。本実施形態では、図5に示すように、支持部材32に対する取付前の状態において載置部2aと当接部2bとは互いに接触している。
【0038】
図2図4を参照して、導入用端部2dは、横方向D3において連結部2cから離れるに従い、延出方向D2において当接部2bから離れるように載置部2aから延びて終端する。
【0039】
連結部2cは、延出方向D2の上向きに細くなる形状を有する。具体的に、連結部2cは、延出部3側に位置する当接部2bの端部から延出方向D2において上向きに延びる第一部分2c1と、第一部分2c1の上端部から横方向D3において第一部分2c1から離れるに従い当接部2bに近づくように第一部分2c1から載置部2aまで延びる第二部分2c2と、を有する。なお、本実施形態では、図3及び図4に示すように、傾斜方向D1における当接部2bの両側部分に一対の第一部分2c1が設けられ、第二部分2c2は、各第一部分2c1から延びる一対の延長部分(符号省略)と、両延長部分の先端部同士を接続する接続部分(符号省略)と、を有する。
【0040】
以上のように、被取付部2は、導入用端部2dと、連結部2cと、を有するため、図5及び図6に示すように、容易且つ確実に支持部材32に取り付けることができる。
【0041】
被取付部2を支持部材32に取り付ける場合、まず、図5に示すように、導入用端部2dと当接部2bとの間にリップ34cが入り込むように、被取付部2をリップ34cに対して上から押し当てる。
【0042】
この押し当て状態において、リップ34cの先端を中心として保持部材1を図5における反時計回りに回転させることにより、図6に示すように、連結部2cの弾性変形を伴いながら載置部2aと当接部2bとが互いに離間することに応じて、リップ34cが連結部2cの内側に挿入される。なお、図6では、便宜上、保持部材1が弾性変形していない状態を図示している。
【0043】
さらに、保持部材1を反時計回りに回転させることにより、図2に示すように、リップ34cが連結部2cの奥まで挿入されるとともに、フランジ34bが載置部2aと当接部2bとの間で挟持される。
【0044】
図2図4を参照して、延出部3は、被取付部2が支持部材32に取り付けられた状態において傾斜方向D1及び延出方向D2に延びる平面に沿って配置される板状の部分である。本実施形態において、延出部3の横方向D3における厚み寸法は、支持部材32のC形鋼34を構成する鋼材の板厚寸法よりも小さい。
【0045】
保持部4は、被取付部2が支持部材32に取り付けられた状態において断熱材33を延出方向D2に挟持する6枚の挟持片5a、5b、5c、6a、6b、6cを有する。挟持片5a、5b、5cは、延出部3から横方向D3の一方に向けて延び、挟持片6a、6b、6cは、延出部3から横方向D3の他方に向けて延びる。具体的に、挟持片5aは、延出部3の下端部に設けられ、挟持片5bは、挟持片5aの上に設けられ、挟持片5cは、挟持片5bの上に設けられている。挟持片5aと挟持片5bとの間隔、及び、挟持片5bと挟持片5cとの間隔は、それぞれ断熱材33を挟持可能な間隔、具体的には、断熱材33の延出方向D2の厚みと同等又はこれより小さく設定されている。また、挟持片5a、5b、5cにおいて互いに対向する面(断熱材33を挟持するための面)は、それぞれ傾斜方向D1に沿って配置されている。さらに、挟持片5a、5cは、それぞれ断熱材33を確実に挟持するために断熱材33に対して付勢力を与えるための板バネ部(符号省略)を有している。より詳細に、挟持片5aは、横方向D3に沿って延びる平板部(符号省略)と、板バネ部(符号省略)と、を有するのに対し、挟持片5cは、板バネ部のみを有している。挟持片6a、6b、6cは、挟持片5a、5b、5cに対して横方向に対称の構成を有しているため、これらの説明を省略する。なお、本実施形態における保持部材1は、1枚の金属板の曲げ加工によって形成されているため、挟持片5a及び挟持片6aの傾斜方向D1における位置、及び、挟持片5c及び挟持片6cにおける傾斜方向D1における位置が互いに異なる。同様の理由から挟持片5b及び挟持片6bの大きさが互いに異なる。
【0046】
保持部4においては、挟持片5aと挟持片5bとの間、挟持片5bと挟持片5cとの間、挟持片6aと挟持片6bとの間、及び、挟持片6bと挟持片6cとの間で、それぞれ断熱材33の端部が断熱材33の厚み方向に挟持される。挟持片5a~5c、6a~6cにおける断熱材33を挟持するための面は、被取付部2が支持部材32に取り付けられた状態で、それぞれ傾斜方向D1に沿って配置されているため、保持部4により断熱材33を屋根下地材31(傾斜方向D1)に沿って配置することができる。
【0047】
また、挟持片5c及び挟持片6cと当接部2bとの間には、被取付部2が支持部材32に取り付けられた状態において、支持部材32に取り付けられるブレースB(図2参照)を配置するために延出方向D2の間隙が設けられている。
【0048】
以上のように、前記実施形態によれば、図2に示すように、フランジ34bの上向き面34b1上に載置部2aを載置することにより保持部材1の荷重を支持部材32に預けることができる。この状態で、保持部4に対して断熱材33を保持させると保持部材1に対して断熱材33の荷重が加えられ、その結果、図7に示すように、載置部2aにおける上向き面34b1に接触している領域のうち傾斜方向において最も上の回転支点P1を支点して保持部材1が回転しようとする。前記実施形態では、回転支点P1から傾斜方向D1において下に離れた位置に当接部2bが設けられているため、当接部2bが支持部材32の下向き面34b2に当接することによって保持部材1の回転を有効に規制することができる。
【0049】
したがって、勾配屋根30の屋根下地材31に沿って断熱材33を効率よく配置することができる。
【0050】
前記実施形態では、当接部2bが傾斜方向D1において載置部2aの範囲R1(図7)内に設けられている、つまり、傾斜方向D1において当接部2bの両側に載置部2aの一部(回転支点P1となる部分)を配置することができる。そのため、例えば、図2に示す姿勢で保持部材1の回転を規制した状態でフランジ34b(図2の左側のC形鋼34)に取り付けることができるだけでなく、特定の姿勢から傾斜方向D1に反転させた姿勢においても保持部材1の回転を規制した状態でフランジ34b(例えば、図2の右側のC形鋼34)に取り付けることができる。そのため、保持部材1の取り付け姿勢が一つに固定されている場合と比較して施工性を向上することができる。
【0051】
第1実施形態によれば、図2に示すように、連結部2cによりリップ34cを内包した状態で載置部2a及び当接部2bによってフランジ34bを延出方向D2に挟むことにより、当該載置部2aと当接部2bとの間からのリップ34cの抜け出しを抑制した状態で被取付部2をフランジ34bに取り付けることができる。したがって、被取付部2をフランジ34bに取り付けた状態において被取付部2が横方向に移動して支持部材32から脱落するのを抑制することができる。
【0052】
第1実施形態によれば、横方向D3において連結部2cから離れるに従い、導入用端部2dと当接部2bとの間の距離が離れるように導入用端部2dが傾斜しているため、被取付部2のフランジ34bに対する取付時において、載置部2aと当接部2bとの間にリップ34cを誘い込むことができる。したがって、互いに密着した載置部2aと当接部2bとの間にリップ34cを挿入する場合と比較して保持部材1の支持部材32に対する施工性を向上することができる。
【0053】
第1実施形態によれば、載置部2aと当接部2bとの間に挿入されたリップ34cの先端を連結部2cの先細りの形状に沿って横方向D3に導くことができるとともに、リップ34cの先端部が連結部2cの先細り部分に挿入されることによってリップ34cを横方向D3に位置決めすることができる。したがって、フランジ34bに取り付けられた保持部材1を横方向D3に位置決めすることができる。
【0054】
以下、図8及び図9を参照して、本発明の第2実施形態の構成を説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態と異なる部分に関して主に説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係る保持部材が適用された建築物の勾配屋根における図2相当図である。図9は、図8に示される保持部材の斜視図である。
【0055】
第2実施形態に係る保持部材11は、傾斜方向D1に延びる支持部材35の後述するフランジ35a(取付対象部に相当)に取り付けられ、フランジ35aの下でかつ傾斜方向D1に沿って配置されるように断熱材33を保持するためのものである。
【0056】
支持部材35は、第1実施形態と異なり、H形鋼により構成されている。具体的に、支持部材35は、傾斜方向D1に沿って延びる上下一対のフランジ35aと、傾斜方向D1と直交する延出方向D2に延びるとともにフランジ35aの中間部同士を連結するウェブ35bと、を有する。
【0057】
保持部材11は、フランジ35aに取り付けられる被取付部12と、被取付部12がフランジ35aに取り付けられた状態において被取付部から延出方向D2に沿って下向きに延びる延出部13と、延出部13に設けられているとともに断熱材33を保持する保持部14と、を備えている。
【0058】
被取付部12は、保持部材11の荷重を支持部材35に預けるようにフランジ35aにおいて上を向く上向き面35a1に載置される載置部12aと、載置部12aが上向き面35a1上に載置された状態において断熱材33の重量により延出部13が延出方向D2に沿った姿勢から鉛直方向に沿った姿勢となるように保持部材11が回転することを規制するためにフランジ35aにおいて下を向く下向き面35a2に当接する当接部12bと、を有する。なお、第1実施形態と同様に、当接部12bと載置部12aとの間隔は、フランジ35aを挟持可能な間隔、具体的には、フランジ35aの厚み寸法と同等又はこれよりも小さく設定されている。具体的に、第2実施形態では、当接部12bと載置部12aとの間隔がフランジ35aの厚みよりも小さく設定されている。一方、第1実施形態と異なり、載置部12a及び当接部12bの傾斜方向D1に沿った幅寸法は、実質的に同等に設定されている。
【0059】
また、被取付部12は、載置部12a及び当接部12bによりフランジ35aを延出方向D2に挟んだ状態で、フランジ35aの先端部を内包するように載置部12aと当接部12bとを連結する連結部12cと、傾斜方向D1及び延出方向D2と直交する横方向D3において連結部12cから離れるに従い、延出方向D2において当接部12bから離れるように載置部12aから延びて終端する導入用端部12dと、を備えている。連結部12cがリップ34cではなくフランジ35aの先端部を内包する点で、第1実施形態と異なる。
【0060】
さらに、被取付部12は、第1実施形態と異なり、載置部12aが上向き面35a1に載置された状態においてフランジ35aの上向き面35a1に対して付勢力を与えるための板バネ部12eを有する。これにより、載置部12a及び当接部12bによるフランジ35aの挟持状態を安定化することができる。
【0061】
また、第2実施形態では、第1実施形態と異なり、当接部12bが保持部14の一部としても兼用されている。また、第2実施形態における保持部14は、第1実施形態と異なり、延出部13から横方向D3の双方に延びるのではなく片方にだけ延びている。
【0062】
具体的に、保持部14は、被取付部12がフランジ35aに取り付けられた状態において断熱材33を延出方向D2に挟持するための挟持片15a、15bを有する。挟持片15aは、延出部13の下端部に設けられ、挟持片15bは、挟持片15aの上に設けられている。さらに、第2実施形態では、当接部12bが挟持片15bの上に設けられている。挟持片15aと挟持片15bとの間隔、及び、当接部12bと挟持片15bとの間隔は、断熱材33を挟持可能な間隔、具体的には、断熱材33の厚み寸法と同等又はこれよりも小さく設定されている。
【0063】
また、上記のように、当接部12bが保持部14の一部として兼用されていることに伴い、被取付部12は、当接部12bから下に突出するとともに断熱材33に対して下向きの付勢力を加えるための板バネ部12fをさらに備えている。板バネ部12fが設けられていることにより、当接部12bと挟持片15bとの間で断熱材33を安定して保持することができる。
【0064】
以下、図10図12を参照して、本発明の第3実施形態の構成を説明する。なお、第3実施形態において第2実施形態と異なる部分に関して主に説明する。図10は、本発明の第3実施形態に係る保持部材を有する建築物の勾配屋根における図2相当図である。図11は、図10に示す保持部材の一つを支持部材から分離して示す側面図である。図12は、図11に示す保持部材の保持部を拡大して示す平面図である。
【0065】
第3実施形態に係る保持部材21は、第1実施形態の保持部材1と異なり、支持部材32のリップ(突出部)34cの上向き面34c1上に載置されるとともにフランジ(基部)34bの下向き面34b2に当接するようにリップ34c及びフランジ34b(これらが取付対象部に相当)に取り付けられる被取付部22を有する。
【0066】
具体的に、被取付部22は、リップ34cの上向き面34c1に載置される載置部22aと、載置部22aが上向き面34c1に載置された状態においてフランジ34bの下向き面34b2の下に配置される当接部22bと、前記載置部22a及び前記当接部22bによりリップ34c及びフランジ34bを挟んだ状態でリップ34cの側面に沿って配置されるように載置部22aと当接部22bとを連結する連結部22cと、連結部22cとの間でリップ34cを横方向D3に挟持する挟持部22dと、を有する。載置部22aは、上向き面34c1よりも長い横方向D3の寸法を有する。連結部22cは、載置部22aの端部から当接部22bの端部まで延出方向D2に延びる。挟持部22dは、横方向D3において載置部22aの連結部22cとは反対側の端部から連結部22cに近づくように延出方向D2の下向に延びる挟持部分22d1と、挟持部分から連結部22cから離れるように延出方向D2の下向に延びる導入用端部22d2と、を有する。上述の実施形態と同様に、導入用端部22d2を有するため、導入用端部22d2と連結部22cとの間にリップ34c及びフランジ34bを効率よく挿入することができる。
【0067】
また、第3実施形態に係る保持部材21は、上述した実施形態のように被取付部2、12の延出方向D2の直下に保持部4、14を配置するための延出部3、13とは異なり、被取付部22から横方向D3に離れた位置に保持部24を配置するための延出部23を有する。
【0068】
第3実施形態に係る延出部23は、支持部材32の横方向D3の中央位置、つまり、互いに連結された2つのC形鋼34の間の位置に保持部24を配置するためのものである。具体的に、延出部23は、被取付部22から延出方向D2の下向きに延びる基部23aと、基部23aの先端部から横方向D3に延びる横延び部23bと、横延び部23bから延出方向D2の下向きに延びる先端部23cと、を有する。
【0069】
さらに、第3実施形態に保持部材21は、上述した実施形態のように断熱材33を延出方向D2に挟むための保持部4、14とは異なり、比較的剛性の高い断熱材(例えば、発泡ウレタン)33に対して横方向D3に刺し込まれることにより断熱材33を保持する。具体的に、保持部材21は、延出部23の先端部23cから横方向D3における基部23aに近づく方向に延びる上下一対の保持部24を有する。図12に示すように、保持部24は、断熱材33へ刺し込むために先細りの平面形状を有する。 第3実施形態によれば、載置部22aがリップ34cの上向き面34c1に載置され、かつ、当接部22bがフランジ34bの下向き面34b2に当接した状態で連結部22cと挟持部22dとの間でリップ34cを挟持することができる。そのため、断熱材33の荷重による保持部材21の回転を規制しながら、支持部材32に対して保持部材21を横方向D3に位置決めすることができる。
【0070】
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の態様を採用することもできる。
【0071】
第1実施形態及び第2実施形態のように、断熱材33を延出方向に挟むことにより断熱材33を保持する保持部4、14を有する保持部材1、11においては、断熱材33の厚み方向対応する距離だけ延出方向D2に離れた少なくとも一対の保持部4、14が設けられていればよい。
【0072】
一方、第3実施形態のように、断熱材33に刺し込まれることにより断熱材33を保持する保持部24を有する保持部材21においては、少なくとも一つの保持部24が設けられていればよい。
【0073】
また、第1~第3実施形態では、支持部材として鋼材により構成されたものを例示したが、支持部材は、木材により構成されたものであってもよい。
【0074】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0075】
第一の発明は、建築物の勾配屋根における屋根下地材を支持するために所定の傾斜方向に延びる支持部材における所定の取付対象部に取り付けられ、前記取付対象部の下でかつ前記傾斜方向に沿って配置されるように断熱材を保持するための保持部材であって、前記取付対象部に取り付けられる被取付部と、前記被取付部が前記取付対象部に取り付けられた状態において前記被取付部から前記傾斜方向と直交する延出方向に沿って下向きに延びる延出部と、前記延出部に設けられているとともに前記断熱材を保持する保持部と、を備え、前記被取付部は、前記保持部材の荷重を前記支持部材に預けるように前記取付対象部において上を向く上向き面に載置される載置部と、前記載置部が前記上向き面上に載置された状態において前記断熱材の重量により前記延出部が前記延出方向に沿った姿勢から鉛直方向に沿った姿勢となるように前記保持部材が回転することを規制するために前記取付対象部において下を向く下向き面に当接する当接部と、を有する、保持部材を提供する。
【0076】
第二の発明は、第一の発明において、前記当接部は、前記被取付部が前記取付対象部に取り付けられた状態において、前記載置部において前記回転の支点となる部分から前記傾斜方向において下に離れていることが好ましい。
【0077】
第三の発明は、第一の発明又は第二の発明において、前記被取付部が前記取付対象部に取り付けられた状態において、前記当接部は、前記傾斜方向において前記載置部の範囲内に設けられていることが好ましい。
【0078】
第四の発明は、第一~第三の何れか一つの発明において、前記支持部材は、前記傾斜方向に沿って配置されるとともに前記上向き面及び前記下向き面を有する前記取付対象部と、前記傾斜方向及び前記延出方向と直交する横方向における前記取付対象部の縁部から前記延出方向に沿って上に突出する突出部と、を有し、前記被取付部は、前記載置部及び前記当接部により前記取付対象部を前記延出方向に挟んだ状態で、前記突出部を内包するように前記載置部と前記当接部とを連結する連結部を有することが好ましい。
【0079】
第五の発明は、第四の発明において、前記被取付部は、前記横方向において前記連結部から離れるに従い、前記延出方向において前記当接部から離れるように前記載置部から延びて終端する導入用端部を有することが好ましい。
【0080】
第六の発明は、第四又は第五の発明において、前記連結部は、前記横方向において前記当接部から離れるに従い、前記延出方向の上向きに細くなる形状を有することが好ましい。
【0081】
第七の発明は、第一又は第二の発明において、前記支持部材は、前記傾斜方向に沿って配置されるとともに前記下向き面を有する基部と、前記傾斜方向及び前記延出方向と直交する横方向における前記基部の縁部から前記延出方向に沿って上に突出するとともに前記上向き面を有する突出部と、を有し、前記被取付部は、前記載置部及び前記当接部により前記基部及び前記突出部を前記延出方向に挟んだ状態で前記突出部の側面に沿って配置されるように前記載置部と前記当接部とを連結する連結部と、前記連結部との間で前記突出部を前記横方向に挟持する挟持部と、を有することが好ましい。
【0082】
さらに、本発明は、建築物の勾配屋根であって、屋根下地材と、所定の傾斜方向に沿って互いに平行に延びるとともに前記屋根下地材を支持する一対の支持部材と、前記各支持部材における所定の取付対象部にそれぞれ取り付けられた、第一~第七の発明の一対の保持部材と、前記一対の支持部材の間に跨るように前記一対の保持部材により保持された断熱材と、を有する建築物の勾配屋根を提供する。
【符号の説明】
【0083】
1、11、21 保持部材
2、12、22 被取付部
2a、12a、22a 載置部
2b、12b、22b 当接部
2c、12c、22c 連結部
2d、12d 導入用端部
3、13、23 延出部
4、14、24 保持部
30 勾配屋根
31 屋根下地材
32 支持部材
33 断熱材
34b、35a フランジ(取付対象部の一例)
34b1、35a1、34c1 上向き面
34b2、35a2 下向き面
D1 傾斜方向
D2 延出方向
D3 横方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12