IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107869
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 29/00 20060101AFI20240802BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
F25D29/00 B
F25D23/02 304A
F25D23/02 304D
F25D23/02 306M
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012035
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】森野 厚司
【テーマコード(参考)】
3L045
3L102
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045AA07
3L045PA04
3L102JA01
3L102KA10
3L102KB16
3L102KB23
3L102KE02
3L102KE06
(57)【要約】
【課題】扉に操作性がよいスイッチが設けられる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本発明は、断熱箱体10と、断熱箱体10内に収容される収納ケース5yと、収納ケース5yが取り付けられる断熱扉10の引出扉5aとを具備し、引出扉5aは、外板5bと、外板5bの周囲に配された縁部材7uと、縁部材7uの延在方向に設けられ、後方に移動してスイッチ12を作動させる操作部材8とを備え、操作部材8は、正面視において、反外板5b側の面8m1が露出している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱箱体と、
前記断熱箱体内に収容される収納ケースと、
前記収納ケースが取り付けられる断熱扉の引出扉とを具備し、
前記引出扉は、
外板と、
前記外板の周囲に配された縁部材と、
該縁部材の延在方向に設けられ、後方に移動してスイッチを作動させる操作部材とを備え、
前記操作部材は、正面視において、反外板側の面が露出している
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記操作部材の反外板側には、別の扉があり、
前記操作部材の前端側は、反外板側の面及び外板側の面が露出している
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記操作部材の反外板側には、前記冷蔵庫の別の扉がなく、
前記操作部材の反外板側の面には、滑り止めが配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記操作部材の後端の外板側の面又は反外板側の面は、構造物で覆われている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項5】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記引出扉は、
前記操作部材の操作に伴い動作する操作部材機構と、
前記操作部材機構の近くに配置される手掛け部とを備えている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項6】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記操作部材は、
前記引出扉の上端側縁部に設けられている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項7】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記引出扉は、
上端部に、前記操作部材と、前記操作部材の近くに配置され利用者が前記引出扉を開ける際に手を掛ける手掛け部とを備えている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫には、扉として、引出扉と観音式扉とをもつ機種がある。
そして、引出扉にスイッチが設けられる場合がある。
例えば、特許文献1には、引出扉の傾斜的条面24に配された操作単元25が記載されている。
また、特許文献2には、押しボタン115が引出扉のハンドル112前面の、下方に延びる部分に設けられるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】CN110462318A号公報(図3等)
【特許文献2】特開2008-196745号公報(図23、段落0085等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷蔵庫の扉側にコントロールパネルやスイッチの機構を設けると、配線構造等の関係から、コントロールパネルやスイッチの機構の有無によって大幅に仕様が異なる。そのため、扉側の構造はシンプルにしたい。
そこで、扉側のスイッチをメカ的に作動させて箱体側の受けスイッチを反応させた場合、特許文献1の操作単元25や特許文献2の押しボタン115のように、傾斜面や前面に設けることが考えられる。
【0005】
すると、扉の縁真後ろに、扉と接触する箱体の開口縁があることから、扉側に設けたスイッチによる箱体側への作用が容易でない。また、操作単元25や押しボタン115が正面視から観察しやすい。そのため、外板(前側面23, 外板109)を重視する場合のデザイン性の観点からは、改善の余地がある。
特許文献1の操作単元25の詳細は明らかではないが、操作単元25が移動して他の部材に作用する機構は開示されていない。そのため、単にタッチパネルなどのコントロールパネルであると推察される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の冷蔵庫は、断熱箱体と、前記断熱箱体内に収容される収納ケースと、前記収納ケースが取り付けられる断熱扉の引出扉とを具備し、前記引出扉は、外板と、前記外板の周囲に配された縁部材と、該縁部材の延在方向に設けられ、後方に移動してスイッチを作動させる操作部材とを備え、前記操作部材は、正面視において、反外板側の面が露出している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る冷蔵庫の斜視図。
図2図1の第一切替室扉の拡大図。
図3図2のI方向矢視の第一切替室扉の上面図。
図4A図3のII-II断面図。
図4B】変形例の図3のII-II断面図。
図5図3のIII-III断面図。
図6】第一切替室扉の分解斜視図。
図7】アシストスイッチを斜め前上方から見た分解拡大斜視図。
図8】アシストスイッチを斜め下方から見た斜視図。
図9A】アシストスイッチ押し釦が押される前の箱体側アシスト制御スイッチを加えた図3のIV部拡大図。
図9B】アシストスイッチ押し釦が押された後の箱体側アシスト制御スイッチを加えた図3のIV部拡大図。
図9C】箱体側アシスト制御スイッチを斜め上方から見た斜視図。
図10】利用者がアシストスイッチ押し釦から手を離した状態のアシストスイッチ押し釦の天板を省略した状態の上面図。
図11】利用者がアシストスイッチ押し釦を手で押した状態のアシストスイッチ押し釦の天板を省略した状態の上面図。
図12A】変形例1の第一切替室扉の斜視図。
図12B】変形例1の第一切替室扉の分解斜視図。
図13】第2実施形態の第一切替室扉に設けたアシストスイッチを斜め前方から見た斜視図。
図14図13のIV方向矢視図。
図15A】アシストスイッチ押し釦の斜視図。
図15B図15AのV-V断面図。
図16】第3実施形態の第一切替室扉に設けたアシストスイッチを斜め前方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明は、冷蔵庫において、引き出し扉を引き出す際のアシストスイッチに係る発明である。アシストスイッチは、引き出し扉側(5a)に制御機構を駆動させるスイッチ(As)を設け、箱体(10)側に主なスイッチ制御機構(12)を設けている。
【0009】
<<第1実施形態>>
図1に、第1実施形態に係る冷蔵庫1の斜視図を示す。
なお、以下では、6ドアの冷蔵庫1を例に挙げて説明するが、6ドアの冷蔵庫1に限定されない。
第1実施形態の冷蔵庫1は、断熱箱体10と断熱箱体10の開口を開閉する扉(2a,2b,3a,4a,5a,6a)とを備えている。
【0010】
冷蔵庫1は、上方から順に冷蔵室2、製氷室3及び冷凍室4(第一冷凍室)、第一切替室5、並びに第二切替室6を有している。第一切替室5は、冷凍室(第二冷凍室)としてもよい。冷凍室4の内容積は、第一切替室5の内容積より小さくしてもよい。
【0011】
第一切替室5は、冷蔵温度帯(例えば、1℃~6℃)から長期冷凍保存温度帯(例えば、約-20℃~-15℃。好ましくは-18℃以下。)まで温度帯を切り替えられる。第二切替室6も同様に、野菜室の冷蔵温度帯から長期冷凍保存温度帯まで温度帯を切り替えられる。冷蔵庫1では、長期冷凍保存温度帯よりも高い温度帯として、冷凍保存温度帯(例えば、-10℃~-14℃、好ましくは約-12℃。)の切り替えも可能である。なお、食品が凍結しきらない虞があるため、冷凍保存温度帯の上限温度は-6℃とすることができる。
【0012】
冷蔵室2は、冷蔵温度帯(例えば、6℃)に設定されている。製氷室3および冷凍室4は、冷凍温度帯に設定されている。
【0013】
冷蔵庫1は、断熱箱体10の正面に、冷蔵室扉2a,2bと、製氷室扉3aと、冷凍室扉4aと、第一切替室扉5aと、第二切替室扉6aとを備えている。
冷蔵室扉2a,2bは、冷蔵室2を開閉する。製氷室扉3aは、製氷室3を開閉する。冷凍室扉4aは、冷凍室4を開閉する。第一切替室扉5aは、第一切替室5を開閉する。第二切替室扉6aは、第二切替室6を開閉する。
冷蔵室扉2a,2bは観音開きに構成されている。製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5a、および第二切替室扉6aは、手前方向に引き出し可能な引出扉である。冷蔵室扉2a,2b、製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5aおよび第二切替室扉6aは、庫内と外部空間を断熱する断熱扉である。また、冷蔵室扉2aの庫外側表面には、庫内の温度設定等の操作を行う操作部(図示せず)が設けられる。
【0014】
冷蔵室2と、冷凍室4及び製氷室3とは断熱仕切壁28によって隔てられている。また、冷凍室4及び製氷室3と、第一切替室5とは断熱仕切壁29によって隔てられている。断熱仕切壁29には真空断熱材(図示せず)が入れられている。
第一切替室5と第二切替室6とは断熱仕切壁30によって隔てられている。断熱仕切壁30には真空断熱材 (図示せず)が入れられている。
【0015】
断熱箱体10の天面庫外の手前側と、断熱仕切壁28の左右の前縁には、断熱箱体10と扉2a、2bを固定するための扉ヒンジ(図示せず)を備えている。上部の扉ヒンジは、扉ヒンジカバー16で覆われている。
冷蔵室2は、水を貯められる給水タンク11を備えている。また、製氷室3内には製氷皿(図示せず)を備えた自動製氷装置12が配設されている。そして、製氷皿に対して給水タンク21内の水が給水管を介して給水される。
【0016】
断熱箱体10は、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製の内箱(図示せず)との間に発泡断熱材(図示せず)を充填して形成されている。
冷蔵庫1は、断熱箱体10と、断熱箱体10の開口を閉じる断熱扉(2a,2b、3a、4a、5a、6a)によって、庫外と庫内が隔てられている。
断熱箱体10には発泡断熱材に加えて、発泡断熱材より熱伝導率が低い(断熱性能が高い)真空断熱材が外箱10aと内箱との間に複数実装されている。これら真空断熱材により、冷蔵庫1の内容積の低下を抑えて断熱性能を高めている。詳細には、断熱箱体10の背面に真空断熱材、下面(底面)に真空断熱材、左側面と右側面とにそれぞれ真空断熱材を実装している。断熱性能が高い真空断熱材の実装により、貯蔵室より温度が高い庫外からの熱の侵入を抑え、断熱性能を高めている。
【0017】
同様に、第一切替室扉5aと第二切替室扉6aとに、真空断熱材を実装することで、冷蔵庫1の断熱性能を高めている。
【0018】
冷蔵室扉2a,2bは、庫内側に複数の扉ポケットを備えている。また、冷蔵室2内は、棚によって複数の貯蔵スペースに区画されている。製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5aおよび第二切替室扉6aは、それぞれ一体に引き出される製氷室容器、冷凍室容器、第一切替室容器、第二切替室容器を備えている。
冷蔵庫1の上部後方には、冷蔵庫1に電源を供給するための電源基板39が設けられている。
【0019】
<第一切替室扉5aとアシストスイッチ押し釦8>
図2に、図1の第一切替室扉5aの拡大図を示す。
第一切替室扉5aの後下部には、第一切替室容器5yを下方から支持する支持枠5sが後方に一対延接されている。各支持枠5sの先端部は同期軸5jが固定されている。
第一切替室扉5aは、外板5bと外縁板7とアシストスイッチAsとを有している。
【0020】
図3に、図2のI方向矢視の第一切替室扉5aの上面図を示す。なお、図3では、支持枠5sを省略している。
第一切替室扉5aの上面中央には、アシストスイッチAsのアシストスイッチ押し釦8が設けられている。アシストスイッチ押し釦8は、反外板5b側の面8m1(図2参照)が外部に露出している。これにより、アシストスイッチ押し釦8を後方にスライドし易く、または、押し込み易くなっている。このアシストスイッチ押し釦8は、第一切替室扉5aを手前に引き出す際に利用者が操作するユーザインタフェース部分である。
【0021】
アシストスイッチ押し釦8の左右には、上扉外縁部材7uが設けられている。アシストスイッチ押し釦8は、利用者が第一切替室扉5aを開ける際に、利用者がアシストスイッチ押し釦8を後方に押下することで(押し込むことで)、第一切替室扉5aを手前に引き出す際にアシストする。即ち、利用者がアシストスイッチ押し釦8を後方に押下することで、第一切替室扉5aを手前に引き出す際に要する力が軽減され、引き出し操作が容易になる。
アシストスイッチ押し釦8は、利用者が後方に押下するストローク分s1(図3参照)、上扉外縁部材7uより前方に突き出ている。図2に示すように、アシストスイッチ押し釦8の前端側は、反外板5bの側の面8m1及び外板5bの側の面8m2が露出していることで、アシストスイッチ押し釦8を後方に押す際の操作性が確保される。
【0022】
図3に示す上扉外縁部材7uには、凹状の手掛け部7u3がアシストスイッチ押し釦8の近くに一対形成されている。これにより、利用者は、アシストスイッチ押し釦8を押した後、直ぐに手掛け部7u3に手をかけて、第一切替室扉5aを前方に引き出すことができる。
第一切替室扉5aは、その上端部に、アシストスイッチ押し釦8と、アシストスイッチ押し釦8の近くに手掛け部7u3が配置される。これにより、第一切替室扉5aを開ける際の操作性がよい。
【0023】
図4Aに、図3のII-II断面を示す。
アシストスイッチ押し釦8の後部下方には、上扉外縁部材7uに第1リブ7u1が後方に延びて形成されている。さらに、第1リブ7u1には、第2リブ7u2が上方および前方に延びて形成されている。第2リブ7u2は、上扉外縁部材7uの反外板5bの側の側面に設けられる。
この場合、第1リブ7u1と第2リブ7u2は、上扉外縁部材7uの後部に上扉外縁部材7uと一体に成型される。
【0024】
第1リブ7u1と第2リブ7u2があることで、利用者の手が、アシストスイッチ押し釦8の後部または後下部にかかることが、抑制される。これにより、利用者の手で、図4Aの矢印α11のように、アシストスイッチ押し釦8が後側から上方また前方に引っ張られて外れてしまうことを抑制できる。
或いは、第1リブ7u1は設けず、第2リブ7u2のみ設けてもよい。この場合、第2リブ7u2は、上扉外縁部材7uの後部に一体に成型される。
【0025】
図4Bに、変形例の図3のII-II断面を示す。
図4Bに示すように、第2リブ7u2は、設けず、第1リブ7u1のみ設けてもよい。この場合、第1リブ7u1は、上扉外縁部材7uの後部に上扉外縁部材7uと一体に成型される。
【0026】
図5に、図3のIII-III断面図を示す。
上扉外縁部材7uの後部には、一段下方に低い手掛け部7u3が設けられている。手掛け部7u3は、利用者が第一切替室扉5aを開ける際に手をかける箇所である。
利用者は、第一切替室扉5aは手前に開けるに際して、まず、図1の矢印α21のように、アシストスイッチ押し釦8を後方に押下する。これにより、第一切替室扉5aは、手前に少し引き出される。その後、利用者は、図5に示すように、指p1を、手掛け部7u3に引っ掛けて、図5の矢印α12のように、手前に引く。これにより、第一切替室扉5aとその後部に設けられる第一切替室容器5y(図2参照)が手前に引き出される。
【0027】
図4A図4Bに示すように、アシストスイッチ押し釦8の下方に第1リブ7u1および/または第2リブ7u2が形成されているので、利用者の指p1(図5参照)により、アシストスイッチ押し釦8が上方にめくられる(図4Aの矢印α11)ことが抑制される。
【0028】
<第一切替室扉5a>
図6に、第一切替室扉5aの分解斜視図を示す。
第一切替室扉5aは、外板5bと、内板5cと、上扉外縁部材7uと、下扉外縁部材7sと、アシストスイッチAsとを有している。なお、アシストスイッチAsも分解状態を示している。
外板5bは、鋼板製であり、前板5b1と左右に折り曲げた側板5b2とを有している。
【0029】
<アシストスイッチAs>
図7に、アシストスイッチAsを斜め下方から見た斜視図を示す。
図8に、アシストスイッチAsを斜め前上方から見た分解拡大斜視図を示す。
アシストスイッチAsは、アシストスイッチ押し釦8と、突き出しピン部9と、第一リンク20と、第二リンク21と、ねじりコイルバネ12とを有している。
【0030】
図2に示すように、アシストスイッチ押し釦8は、外板5bの側の面8m2および反外板5bの側の面8m1が外部に露出している。そのため、アシストスイッチ押し釦8は、前後方向にスライドしやすい。また、アシストスイッチ押し釦8が外板5bの上縁に設けられる場合に操作性が確保される。
【0031】
図8に示すように、上扉外縁部材7uには、円柱状のリンク支持ボス7u6、7u7が一対上方に向けて突出して形成されている。リンク支持ボス7u6、7u7は、それぞれ、第一リンク20と第二リンク21の回動支点となる。上扉外縁部材7uには、ねじりコイルバネ12の一方の腕部12bが係合されるバネ係合部7u10(図7参照)が形成されている。
【0032】
図7に示すように、アシストスイッチ押し釦8の下面には、下方に突き出す第1支持ボス8b1および第2支持ボス8b2が設けられている。
図8に示すように、第一リンク20は、回転支軸孔20aと押し釦連動孔20bと第一リンク連動長穴20cとが設けられている。
第二リンク21は、回転支軸孔21aと押し釦連動孔21bと第一リンク連動ボス21cが設けられている。また、第二リンク21は、一方側にバネ係合部21dが設けられ、他方側に板状の突き出しピン操作部21eが設けられている。
【0033】
アシストスイッチ押し釦8の第1支持ボス8b1(図7参照)は、第一リンク20の押し釦連動孔20b(図8参照)と嵌入している。
アシストスイッチ押し釦8の第2支持ボス8b2(図7参照)は、第二リンク21の押し釦連動孔21b(図8参照)と嵌入している。
これらの係合により、アシストスイッチ押し釦8の前後方向の動きが、第一リンク20と第二リンク21の各回転運動と連動する。
【0034】
<アシストスイッチAsの突き出しピン部>
図8に示すように、突き出しピン部9は、前後方向に長い略直方体形状を有している。突き出しピン部9の後部には、第二リンク21のピン操作部21eに係合する一対の係合凸部9a1,9a2(図7図8参照)が向かい合って形成されている。
【0035】
図7に示すように、係合凸部9a1と係合凸部9a2との間には、第二リンク21の板状の突き出しピン操作部21eが入る。
突き出しピン部9の前部には、箱体側アシスト制御スイッチ12のスイッチ部12a(図9A図9C参照)を押圧する押圧部9b(図8参照)を有している。
【0036】
図8に示すように、上扉外縁部材7uには、突き出しピン部9の左右に、突き出しピン部9の前後方向の運動をガイドする左右案内部7u9が設けられている。
また、図7に示すように、上扉外縁部材7uには、ねじりコイルバネ12の支持ボス7u8が下方に向けて突出して形成されている。
<突き出しピン部9の動作>
【0037】
図9Aの矢印α12に示すように、利用者がアシストスイッチ押し釦8を後方に押す。アシストスイッチ押し釦8が後方に押されると、第二リンク21の突き出しピン操作部21e(図7参照)の回転動作により、係合凸部9a1と係合凸部9a2とを有する突き出しピン部9が、上扉外縁部材7uの左右案内部7u9(図8参照)にガイドされ、前後方向に移動する。
突き出しピン部9は、左右案内部7u9に案内されスライドすることで、左右方向に振れることなく前後方向に移動できる。
【0038】
図9Aに、アシストスイッチ押し釦8が押される前の箱体側アシスト制御スイッチ12を加えた図3のIV部拡大図を示す。
断熱箱体10側に、第一切替室扉5aの開扉機構の箱体側アシスト制御スイッチ12が設けられている。
図9Bに、アシストスイッチ押し釦8が押された後の箱体側アシスト制御スイッチ12を加えた図3のIV部拡大図を示す。
【0039】
図9Cに、箱体側アシスト制御スイッチ12を斜め上方から見た斜視図を示す。
突き出しピン部9の後方への移動により、突き出しピン部9の押圧部9bが箱体側アシスト制御スイッチ12(図9B参照)のスイッチ部12a(図9C参照)を押圧する。箱体側アシスト制御スイッチ12のスイッチ部12aの押圧により、第一切替室扉5aの前方への移動である開放アシスト作業が遂行される。
【0040】
アシストスイッチ押し釦8は扉枠位置から、前後方向に略水平方向に動くため、箱体側アシスト制御スイッチ12に作用しやすい
ここで、アシストスイッチ押し釦8に連動する突き出しピン部9が箱体側アシスト制御スイッチ12のスイッチ部12aを押圧するストローク量をs0(図9B参照)とする。
突き出しピン部9によってスイッチ部12aがストローク量s0で押圧される(スイッチ部12aがONされる)と、制御部の制御により、モータが駆動され、第一切替室扉5aが、減速機構、ギアを介して、図1の白抜き矢印α13に示すように、手前側に引き出されるようにアシストされる。
【0041】
<アシストスイッチAsの組み立て>
図7に示すように、ねじりコイルバネ12の螺旋状のコイル部12aが上扉外縁部材7uの支持ボス7u8に嵌合される。
続いて、第二リンク21の回転支軸孔21a(図8参照)を、上扉外縁部材7uのリンク支持ボス7u7に嵌入して、第二リンク21を上扉外縁部材7uに取り付ける。また、図8に示すねじりコイルバネ12の一方の腕部12bを、上扉外縁部材7uのバネ係合部7u10(図7参照)に係合し、他方の腕部12cを、第二リンク21のバネ係合部21dに係合させる。
【0042】
なお、第二リンク1の押し釦操作部21eは、下方から、突き出しピン部9の後部の係合凸部9a1と係合凸部9a2との間に嵌合される。これにより、第二リンク21の回転動作が、押し釦操作部21eとの係合凸部9a1、9a2とを介して、突き出しピン部9に、前後方向運動として伝達される。
続いて、図8に示す第一リンク20の回転支軸孔20aを、上扉外縁部材7uのリンク支持ボス7u6(図7参照)に嵌合する。また、第一リンク20の第二リンク連動長穴20c(図8参照)を、上方から第二リンク21の第一リンク連動ボス21cに嵌入する。
【0043】
図8に示すように、第一リンク20の回転支軸孔20aを嵌入した上扉外縁部材7uのリンク支持ボス7u6の上部には抜け止め用のEリングe1を係合させている。同様に、第二リンク21の回転支軸孔21aを嵌入した上扉外縁部材7uのリンク支持ボス7u7の上部には抜け止め用のEリングe2を係合させている。
【0044】
<アシストスイッチAsの動作>
図10に、利用者がアシストスイッチ押し釦8から手を離した状態のアシストスイッチ押し釦8の天板8aを省略した状態の上面図を示す。
利用者がアシストスイッチ押し釦8に手を触れない状態では、アシストスイッチ押し釦8は上扉外縁部材7uより前方に、飛び出し量s1飛び出している。アシストスイッチ押し釦8の前方への飛び出し量s1と、突き出しピン部9のストローク量s0(図9A参照)には、s1>s0の関係がある。
【0045】
この関係により、アシストスイッチ押し釦8を上扉外縁部材7uの前面位置まで押圧する前に、図9Bに示すように、アシストスイッチ押し釦8で箱体側アシスト制御スイッチ12のスイッチ部12aを押圧できる。
そのため、利用者は手を、図1に示す第一切替室扉5aと製氷室扉3aとの間および第一切替室扉5aと冷凍室扉4aとの間に入れることなく、突き出しピン部9で、箱体側アシスト制御スイッチ12のスイッチ部12a(図9C参照)を押圧できる。
【0046】
利用者が第一切替室扉5aを、図10の白抜き矢印α10のように押すと、アシストスイッチ押し釦8の第1支持ボス8b1および第2支持ボス8b2が、アシストスイッチ押し釦8とともに後方に移動する。
第1支持ボス8b1および第2支持ボス8b2の後方への移動により(図10の矢印α11、図10の矢印α12)、第一リンク20がリンク支持ボス7u6の廻りに回転する(図11のβ11)。また、第二リンク21がリンク支持ボス7u7の廻りに回転する(図11のβ12)。
【0047】
図11に、利用者がアシストスイッチ押し釦8を手で押した状態のアシストスイッチ押し釦8の天板8aを省略した状態の上面図を示す。
ここで、第一リンク20と第二リンク21とは、第一リンク20の第一リンク連動長穴20cに第二リンク21の第一リンク連動ボス21cが嵌合する。この嵌合により、第一リンク20と第二リンク21とは、互いに拘束され左右が同期する動きをする。
そのため、アシストスイッチ押し釦8が左に偏った位置を後方に押圧された場合(図10の矢印α13)も、アシストスイッチ押し釦8が右に偏った位置を後方に押圧された場合(図10の矢印α14)も、アシストスイッチ押し釦8は左右が傾かないように同期して後方に移動できる。
【0048】
図11に示すように、第二リンク21がリンク支持ボス7u7の廻りに回転する(図11のβ12)ことで、突き出しピン操作部21eが後方に回転する。
突き出しピン操作部21eは、図7に示すように、係合凸部9a1と係合凸部9a2との間にあるので、突き出しピン部9が後方に移動する。これにより、図9Bに示すように、突き出しピン部9の押圧部9bが、箱体側アシスト制御スイッチ12のスイッチ部12a(図9C参照)を押圧する。この際、アシストスイッチ押し釦8は、扉枠の扉外縁部材7の位置から略水平に後方に移動するため、断熱箱体10に作用しやすい。
【0049】
箱体側アシスト制御スイッチ12のスイッチが入ると、制御部(図示せず)の制御により、モータが駆動され、第一切替室扉5aが、減速機構、ギアを介して、図1の白抜き矢印α13に示すように、アシストされ手前に少し引き出される。
その後、利用者は、手掛け部7u3(図2参照)に手を掛けて手前に引く。これにより、第一切替室扉5aとその後部に設けられる第一切替室容器5yが手前に引き出される。
【0050】
上記構成によれば、扉側の第一切替室扉5aにコントロールパネルや制御機構を設けると、配線構造等の関係から、配線構造等の有無によって大幅に仕様が異なることとなる。そこで、扉側の第一切替室扉5aのアシストスイッチAsの構成はシンプルにした。
そして、扉(第一切替室扉5a)側ではなく断熱箱体10の側に、主な制御機構(箱体側アシスト制御スイッチ12)を設け、扉(5a)側には制御機構を駆動させるアシストスイッチAs(図7参照)を設けた。
【0051】
そのため、第一切替室扉5aに操作性がよいスイッチが設けられる冷蔵庫1を実現できる。
<変形例1>
【0052】
図12Aに、変形例1の第一切替室扉25aの斜視図を示す。
図12Bに、変形例1の第一切替室扉25aの分解斜視図を示す。
変形例1の第一切替室扉25aは、第1実施形態の鋼板製に代えて、ガラス製の外板25bとしたものである。
変形例1の第一切替室扉25aは、外板25bと、内板25cと、上扉外縁部材27uと、下扉外縁部材27sと、側扉外縁部材27mと、側扉外縁部材27hと、アシストスイッチAsとを有している。
【0053】
外板25bは、ガラス製であり、平板状に形成されている。
変形例1によれば、第一切替室扉25aをガラスとすることにより、見た目がよくなり、視認性が向上する。そのため、第一切替室扉25aの意匠性が高まり、冷蔵庫1の意匠性が向上する。
【0054】
<<第2実施形態>>
図13に、第2実施形態の第一切替室扉5aに設けたアシストスイッチAs2を斜め前方から見た斜視図を示す。
【0055】
図14に、図13のIV方向矢視図を示す。
第2実施形態は、第1実施形態のアシストスイッチAsに代えて、アシストスイッチAs2を第一切替室扉5aの一方側面に設けたものである。
その他の構成は、第1実施形態と同様であるから、同様な構成要素には同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
第2実施形態の第一切替室扉5aは、鋼板製の外板5bと、外板5bの外縁部の外縁板7とを有している。
【0056】
第一切替室扉5aの一方側面は、中央にアシストスイッチAs2のアシストスイッチ押し釦28が設けられている。
アシストスイッチ押し釦28の上下には、鋼板製の外板5bが曲げ成形された側板5b2が設けられている。アシストスイッチ押し釦28は、利用者が第一切替室扉5aを開ける際に、利用者が後方に押下することで、第一切替室扉5aを手前に引き出す際にアシストされる。
【0057】
アシストスイッチ押し釦28は、その外側方に扉がないことから、アシストスイッチ押し釦28は前方に飛び出していない。アシストスイッチ押し釦28は、前面28mと一方面28iとが、外板5bの側板5b2と同面をもつように形成されている。
アシストスイッチ押し釦28の中央には、滑り止め28sが形成されている。
【0058】
図15Aに、アシストスイッチ押し釦28の斜視図を示す。
図15Bに、図15AのV-V断面図を示す。
アシストスイッチ押し釦28は、樹脂を用いて、長形の略蓋状に形成されている。滑り止め28sは、アシストスイッチ押し釦28の成形時に、図15Bに示すように、略波状に一体成形されている。なお、滑り止め28sは、アシストスイッチ押し釦28とは別体にして、アシストスイッチ押し釦28の中央に取り付ける構成としてもよい。
【0059】
箱体側アシスト制御スイッチ12は、断熱箱体10側に、アシストスイッチ押し釦28に連動する突き出しピン部9がスイッチ部12a(図9C参照)を押圧できる位置に設けられている。
利用者が、第一切替室扉5aを開ける際には、アシストスイッチ押し釦28の滑り止め28sに触れて、摩擦を使って後方に押す。これにより、突き出しピン部9がスイッチ部12a(図9C参照)を押圧して、第一切替室扉5aを開ける際にアシストされる。
【0060】
なお、利用者がアシストスイッチ押し釦28を後方に押下するストローク量s21(図14参照)は、第1実施形態と同様、スイッチ部12aがアシストスイッチ押し釦28の突き出しピン部9のストローク量s0(図9A参照)との間には、s21>s0の関係がある。
第2実施形態によれば、アシストスイッチAs2のアシストスイッチ押し釦28は、第一切替室扉5aから前方および側方に飛び出ることなく配置できる。
【0061】
また、アシストスイッチ押し釦28に、滑り止め28sを形成したので、利用者は滑り止め28sを用いて、確実かつ円滑にアシストスイッチ押し釦28を動作させることができる。
なお、アシストスイッチAs2は第一切替室扉5aの一方側面に設ける代わりに、他方側面に設けてもよい。または、アシストスイッチAs2は第一切替室扉5aの一方側面および他方側面の両方に設けてもよい。
【0062】
<<第3実施形態>>
図16に、第3実施形態の第一切替室扉5aに設けたアシストスイッチAs3を斜め前方から見た斜視図を示す。
第3実施形態は、アシストスイッチAs3を第一切替室扉5aの一方の上端側縁部に側方に飛び出して設けている。
具体的には、アシストスイッチAs3のアシストスイッチ押し釦38は、断熱箱体10の一方の側方に寸法s3、飛び出して設けられる。
【0063】
利用者が第一切替室扉5aを前方に開ける際には、アシストスイッチ押し釦38の断熱箱体10の一方の側方に飛び出す押圧箇所38aを後方に押す(図16の矢印α22)ことで、第一切替室扉5aの前方への開放をアシストする。
第3実施形態によれば、アシストスイッチ押し釦38を、冷蔵庫1の前方に飛び出すことなく、構成できる。
また、利用者が第一切替室扉5aを前方に開ける際には、アシストスイッチ押し釦38の押圧箇所38aを後方に押す(図16の矢印α22)ことで、開放できるので、利用者の指が第一切替室扉5aと冷凍室扉4aとの間に挟まることがない。
【0064】
なお、第3実施形態では、アシストスイッチ押し釦38を一方の側方に飛び出す場合を説明したが、図16とは反対に、第2のアシストスイッチ押し釦38を他方の側方に飛び出す構成としてもよい。或いは、アシストスイッチ押し釦38を、一方の側方および他方の側方の両方に備える構成としてもよい。
【0065】
<<その他の実施形態>>
1.本発明は、前記した実施形態、変形例の構成に限られることなく、添付の特許請求の範囲内で様々な変形形態、具体的形態が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 冷蔵庫
3a 製氷室扉(別の扉)
4a 冷凍室扉(別の扉
5y 第一切替室容器(収納ケース)
5a 第一切替室扉(引出扉)
5b 外板
7 外縁板(縁部材)
7u1 第1リブ(引出扉の一部、構造物)
7u2 第2リブ(引出扉の一部、構造物)
7u3 手掛け部
8 アシストスイッチ押し釦(操作部材)
8m1 反外板側の面
8m2 外板側の面
9 突き出しピン部(操作部材機構)
10 断熱箱体
12 ねじりコイルバネ(操作部材機構)
12 箱体側アシスト制御スイッチ(スイッチ)
20 第一リンク(操作部材機構)
21 第二リンク(操作部材機構)
28s 滑り止め
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図16