(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107891
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】A/D変換器
(51)【国際特許分類】
H03M 3/02 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
H03M3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012067
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】和田 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】根塚 智裕
(72)【発明者】
【氏名】古田 善一
【テーマコード(参考)】
5J064
【Fターム(参考)】
5J064BA03
5J064BC06
5J064BC07
5J064BC08
5J064BC10
5J064BC11
5J064BC15
5J064BC16
(57)【要約】
【課題】積分器を備えてチョッピングを行う構成においても、タイミング制御がより簡単になるA/D変換器を提供する。
【解決手段】A/D変換器1に第一積分器2及び量子化器3を備え、更に信号入力チョッピングスイッチ10、第一積分容量チョッピング用入力スイッチ6、第一オペアンプ4の出力側に配置される出力側チョッピングスイッチ8及び15、量子化器3の出力より第一積分器2の入力に至るフィードバック経路中に配置されるフィードバックチョッピングスイッチを備える。チョッピングスイッチ6、8、10、15及びフィードバックチョッピングスイッチは同じ周波数Fchsysでチョッピング動作する。出力側チョッピングスイッチ8及び15は、量子化器3の入力値の極性がチョッピング動作の前後で一致するように配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号入力チョッピングスイッチ(10)と、
この信号入力チョッピングスイッチの後段に配置され、第一オペアンプ(4)と、第一積分容量(7)と、この第一積分容量の入力側に配置される第一積分容量チョッピング用入力スイッチ(6)と、を備える第一積分器(2、2A、21、66)と、
前記第一オペアンプの出力側に配置される1つ以上の出力側チョッピングスイッチ(8、15)と、
この出力側チョッピングスイッチの後段に配置される量子化器(3)と、
この量子化器の出力より前記第一積分器の入力に至るフィードバック経路中に配置されるフィードバックチョッピングスイッチ(16)と、を備え、
前記信号入力チョッピングスイッチ、前記出力側チョッピングスイッチ、前記フィードバックチョッピングスイッチ、及び前記第一積分容量チョッピング用入力スイッチは、同じ周波数でチョッピングされ、
前記出力側チョッピングスイッチは、前記量子化器の入力値の極性が、チョッピング動作の前後で一致するように配置されるA/D変換器。
【請求項2】
前記出力側チョッピングスイッチは、出力端子が前記量子化器の入力端子に接続される出力側第一チョッピングスイッチ(15)と、
入力端子が前記第一積分容量の出力側端子に接続され、出力端子が前記出力側第一チョッピングスイッチの入力端子と前記第一オペアンプの出力端子との共通接続点に接続される出力側第二チョッピングスイッチ(8)と、である請求項1記載のA/D変換器。
【請求項3】
前記第一オペアンプの入出力端子間を短絡する短絡スイッチ(9)を備え、
前記出力側チョッピングスイッチ(15)は、入力端子が前記第一オペアンプの出力端子と前記短絡スイッチの一端との共通接続点に接続され、出力端子が前記量子化器の入力端子と前記第一積分容量の一端との共通接続点に接続されている請求項1記載のA/D変換器。
【請求項4】
前記第一オペアンプの入力端子に接続されるアンプ入力チョッピングスイッチ(24)と、
前記第一オペアンプの出力端子に接続されるアンプ出力チョッピングスイッチ(25)と、を備え、
前記アンプ入力チョッピングスイッチ及び前記アンプ出力チョッピングスイッチは、前記信号入力チョッピングスイッチよりも高い周波数でチョッピングされ、
前記出力側チョッピングスイッチは、出力端子が前記量子化器の入力端子に接続される出力側第一チョッピングスイッチ(15)と、
入力端子が前記第一積分容量の出力側端子に接続され、出力端子が前記出力側第一チョッピングスイッチの入力端子と前記アンプ出力チョッピングスイッチの出力端子との共通接続点に接続される出力側第二チョッピングスイッチ(8)と、である請求項1記載のA/D変換器。
【請求項5】
前記第一オペアンプの入力端子に接続されるアンプ入力チョッピングスイッチ(24)と、
前記第一オペアンプの出力端子に接続されるアンプ出力チョッピングスイッチ(25)と、を備え、
前記アンプ入力チョッピングスイッチ及び前記アンプ出力チョッピングスイッチは、前記信号入力チョッピングスイッチよりも高い周波数でチョッピングされ、
前記出力側チョッピングスイッチ(15)は、入力端子が前記アンプ出力チョッピングスイッチの出力端子に接続され、出力端子が前記量子化器の入力端子と前記第一積分容量の一端との共通接続点に接続される請求項1記載のA/D変換器。
【請求項6】
信号入力チョッピングスイッチ(10)と、
この信号入力チョッピングスイッチの後段に配置され、第一オペアンプ(4)と、第一積分容量(7)と、この第一積分容量の入力側に配置される第一積分容量チョッピング用入力スイッチ(6)と、を備える第一積分器(23)と、
前記第一オペアンプの出力側に配置される出力側チョッピングスイッチ(15)と、
この出力側チョッピングスイッチの後段に配置される量子化器(3)と、
この量子化器の出力より前記第一積分器の入力に至るフィードバック経路中に配置されるフィードバックチョッピングスイッチ(16)と、
前記第一オペアンプの入力端子に接続され、前記信号入力チョッピングスイッチよりも高い周波数でチョッピングされるアンプ入力チョッピングスイッチ(24)と、を備え、
前記信号入力チョッピングスイッチ、前記フィードバックチョッピングスイッチ、及び前記第一積分容量チョッピング用入力スイッチは、同じ周波数で、且つ前記アンプ入力チョッピングスイッチよりも低い周波数でチョッピングされ、
前記出力側チョッピングスイッチは、入力端子が前記第一オペアンプの出力端子に接続され、出力端子が前記量子化器の入力端子と前記第一積分容量の一端との共通接続点に接続され、前記アンプ入力チョッピングスイッチをチョッピングする信号と前記信号入力チョッピングスイッチをチョッピングする信号との排他的論理和信号によりチョッピングされるA/D変換器。
【請求項7】
前記第一積分器と前記量子化器との間に接続される第二積分器(32、32A、47、49)を備える請求項1から6の何れか一項に記載のA/D変換器。
【請求項8】
前記第二積分器は、第二オペアンプ(33)と、第二積分容量(34)と、この第二積分容量の入力側に配置される第二積分容量チョッピング用入力スイッチ(44)と、を備え、
前記第一積分容量の出力側に配置される第一積分容量チョッピング用出力スイッチ(8)と、
前記第二オペアンプの出力側に配置される1つ以上の出力側チョッピングスイッチ(45,46)と、を備え、
前記信号入力チョッピングスイッチ、前記フィードバックチョッピングスイッチ、前記第一積分容量チョッピング用入力スイッチ、前記第一積分容量チョッピング用出力スイッチ、前記出力側チョッピングスイッチ、及び前記第二積分容量チョッピング用入力スイッチは、同じ周波数でチョッピングされ、
前記出力側チョッピングスイッチは、前記量子化器の入力値の極性が、チョッピング動作の前後で一致するように配置される請求項7記載のA/D変換器。
【請求項9】
前記出力側チョッピングスイッチは、出力端子が前記量子化器の入力端子に接続される出力側第一チョッピングスイッチ(46)と、
入力端子が前記第一積分容量の出力側端子に接続され、出力端子が前記出力側第一チョッピングスイッチの入力端子に接続される出力側第二チョッピングスイッチ(45)と、である請求項7記載のA/D変換器。
【請求項10】
前記出力側チョッピングスイッチ(46)は、入力端子が前記第二オペアンプの出力端子に接続され、出力端子が前記量子化器の入力端子と前記第二積分容量の一端との共通接続点に接続されている請求項8記載のA/D変換器。
【請求項11】
前記信号入力チョッピングスイッチと、前記第一積分器の入力端子との間に配置される増幅器(52)を備える請求項7記載のA/D変換器。
【請求項12】
前記信号入力チョッピングスイッチと、前記第一積分器の入力端子との間に配置される増幅器(52)を備える請求項8記載のA/D変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積分器を備えてチョッピングを行うA/D変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなA/D変換器の一例が、特許文献1や非特許文献1に開示されている。これらに開示されている構成では、A/D変換器の入出力側と積分器が備えている積分容量の入出力側とにそれぞれチョッピング用スイッチを配置して、これらのスイッチを同じ周波数でチョッピングしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国公開2022/0263520号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A CMOS Smart Temperature Sensor With a 3σ Inaccuracy of ±0.1 ℃ From -55 ℃ to 125 ℃ Michiel A. P. Pertijs, Kofi A. A. Makinwa, and Johan H. Huijsing JSSC2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
A/D変換器の出力部には量子化器が配置されるが、この量子化器に入力される値は、チョッピング用スイッチの前後で極性が反転する。例えば、特許文献1の
図3に示す構成では、量子化器116の入出力側にチョッピング用スイッチが配置されている。そのため、チョッピングによって量子化器116の入力信号が反転した際には、量子化器116のチョッピングを経た出力信号は正転となるので、入出力での信号極性が反転した状態となる。
【0006】
また、量子化器116の出力端子より、ゲイン素子108を介しているフィードバックパスには、D/Aコンバータ;DACが省略されている。そのため、チョッピングの前後についてDACの出力タイミングが適切となるように制御するには、当該出力タイミングだけでなく、量子化器での判定及び出力のタイミングも考慮する必要があり、タイミング制御が複雑になる、という問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、積分器を備えてチョッピングを行う構成においても、タイミング制御がより簡単になるA/D変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のA/D変換器によれば、信号入力チョッピングスイッチ(10)、このスイッチの後段に配置され、第一オペアンプ(4)、第一積分容量(7)、この容量の入力側に配置される第一積分容量チョッピング用入力スイッチ(6)を備える第一積分器(2,2A)、第一オペアンプの出力側に配置される1つ以上の出力側チョッピングスイッチ(8,15)、出力側チョッピングスイッチの後段に配置される量子化器(3)、及びこの量子化器の出力より第一積分器の入力に至るフィードバック経路中に配置されるフィードバックチョッピングスイッチ(16)を備える。
【0009】
信号入力チョッピングスイッチ、出力側チョッピングスイッチ、フィードバックチョッピングスイッチ、及び第一積分容量チョッピング用入力スイッチは、同じ周波数でチョッピングされる。出力側チョッピングスイッチは、量子化器の入力値の極性が、チョッピング動作の前後で一致するように配置される。このように構成すれば、フィードバック経路を介して第一積分器に入力される信号のタイミングを適正に制御するだけで、A/D変換器は正常に動作する。したがって、従来構成よりも信号のタイミング制御が簡単になる。
【0010】
具体的には、例えば請求項3記載のA/D変換器のように、第一オペアンプの入出力端子間を短絡する短絡スイッチ(9)を備える際に、1つの出力側チョッピングスイッチ(15)の入力端子を、第一オペアンプの出力端子と短絡スイッチの一端との共通接続点に接続し、同出力端子を、量子化器の入力端子と第一積分容量の一端との共通接続点に接続する。これにより、量子化器の入力値の極性がチョッピング動作の前後で一致するようになる。
【0011】
請求項5記載のA/D変換器によれば、請求項1の構成に加えて、第一オペアンプの入力端子に接続され、信号入力チョッピングスイッチよりも高い周波数でチョッピングされるアンプ入力チョッピングスイッチ(24)を備える。信号入力チョッピングスイッチ、フィードバックチョッピングスイッチ、及び第一積分容量チョッピング用入力スイッチは、同じ周波数で、且つアンプ入力チョッピングスイッチよりも低い周波数でチョッピングされる。出力側チョッピングスイッチ(15)は、入力端子が第一オペアンプの出力端子に接続され、出力端子が量子化器の入力端子と第一積分容量の一端との共通接続点に接続され、アンプ入力チョッピングスイッチをチョッピングする信号と信号入力チョッピングスイッチをチョッピングする信号との排他的論理和信号によりチョッピングされる。
【0012】
このように構成すれば、アンプ入力チョッピングスイッチを備える場合でも、出力側チョッピングスイッチを、アンプ入力チョッピングスイッチをチョッピングする信号と信号入力チョッピングスイッチをチョッピングする信号との排他的論理和信号によりチョッピングすることで、請求項1と同様の効果が得られると共に、出力側チョッピングスイッチを1つだけ設ければ良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態において、A/D変換器の構成を示す図
【
図2】A/D変換器を、差動構成を省略してモデル的に示す図
【
図4】第2実施形態において、A/D変換器の構成を示す図
【
図5】第1実施形態のA/D変換器と等価な構成を示す図
【
図6】第3実施形態において、A/D変換器の構成を示す図
【
図8】第4実施形態において、A/D変換器の構成を示す図
【
図10】第3実施形態のA/D変換器において一部のチョッピングスイッチをマージした構成を示す図
【
図11】第5実施形態において、A/D変換器の構成を示す図
【
図12】第6実施形態において、A/D変換器の構成を示す図
【
図13】第7実施形態において、A/D変換器の構成を示す図
【
図14】第8実施形態において、A/D変換器の構成を示す図
【
図15】第9実施形態において、A/D変換器の構成を示す図
【
図16】第10実施形態において、A/D変換器の構成を示す図
【
図17】第11実施形態において、A/D変換器の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態のA/D変換器1は差動構成であり、第一積分器2及び量子化器3を備えている。尚、以下の説明では、対称な差動構成について正側pと負側mの区別をつける必要がない限り、符号にp,mは付与しない。第一積分器2は、第一オペアンプ4、第一オペアンプ4の入出力端子間に接続されるスイッチ5、第一積分容量チョッピング用入力スイッチ6、第一積分容量7及び出力側第二チョッピングスイッチ8の直列回路、並びに短絡スイッチ9を備えている。すなわち、第一積分器2は、相関二重サンプリング型である。
【0015】
第一積分器2の入力端子には、信号入力チョッピングスイッチ10、DS用チョッピングスイッチ11、及び入力容量12の直列回路が接続されている。上記の「DS」はダブルサンプリングを意味する。また、同入力端子には、
図1では省略している、量子化器3の出力より第一積分器2の入力に至るフィードバック経路の接続部として、DAC入力スイッチ13及びDAC容量14の直列回路が接続されている。DAC入力スイッチ13は、フィードバック経路の複数のD/A変換器からの出力を切り替えて、第一オペアンプ4に入力する。第一積分器2の出力端子と量子化器3の入力端子との間には、出力側第一チョッピングスイッチ15が接続されている。
【0016】
スイッチ6,8、10、15及び後述するフィードバックチョッピングスイッチ16は、同一の周波数Fchsysでチョッピング動作する。DS用チョッピングスイッチ11は、A/D変換器1のダブルサンプリング用のスイッチであり、周波数Fchsysよりも高い周波数でチョッピング動作する。
【0017】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図2では、A/D変換器1を、差動構成を省略してモデル的に示している。また、上述したフィードバック経路、及び当該経路中にあるフィードバックチョッピングスイッチ16を示しているが、D/Aコンバータ;DACは省略している。また、
図3は、
図2と同じレベルで従来構成を示したものである。従来構成では、本実施形態のチョッピングスイッチ15及び16に相当するスイッチが存在しない。するとチョッピングの極性fchopが正の場合は問題ないが、極性fchopが負になると、量子化器の入力値の極性がチョッピング動作の前後で一致しなくなる。
【0018】
この場合、A/D変換器を正常に動作させるため、チョッピング動作の前後において、フィードバック経路中にあるDACからの信号出力タイミングが適正となるように制御するには、量子化器での信号判定及び出力のタイミングやDACの信号出力タイミングを全て考慮して制御する必要がある。したがって、タイミング制御が複雑になってしまう。
【0019】
これに対して、
図2に示す本実施形態のA/D変換器1では、チョッピングスイッチ15及び16を備えたことで、極性fchopが負になる場合でも量子化器3の入力値の極性がチョッピング動作の前後で一致する。したがって、タイミング制御は、専らDACの信号出力タイミングについて行えば良いので、タイミング制御が簡単になる。つまり、量子化器3の判定タイミングやDACの出力タイミングの制御は、チョッピングの切り替わりの影響を考慮する必要がない。尚、
図1では、入力電圧の極性が負の場合に、各ノードの極性がどのようになるかを示している。
【0020】
以上のように本実施形態によれば、A/D変換器1に第一積分器2及び量子化器3を備え、更に信号入力チョッピングスイッチ10、第一積分容量チョッピング用入力スイッチ6、第一オペアンプ4の出力側に配置される出力側チョッピングスイッチ8及び15、量子化器3の出力より第一積分器2の入力に至るフィードバック経路中に配置されるフィードバックチョッピングスイッチ16を備える。
【0021】
チョッピングスイッチ6、8、10、15及び16は同じ周波数Fchsysでチョッピング動作する。出力側チョッピングスイッチ8及びフィードバックチョッピング16は、量子化器3の入力値の極性が、チョッピング動作の前後で一致するように配置される。このように構成することで、従来構成よりも信号のタイミング制御が簡単になる。また、従来構成に比較して、チョッピングスイッチを量子化器3との間に1段多く設けているの
で、量子化器3からのキックバックノイズの影響を受け難くなる。
【0022】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
図4に示すように、第2実施形態のA/D変換器21は、A/D変換器1よりチョッピングスイッチを削減した構成となっている。
図5は、A/D変換器21の前段階として、
図1に示すチョッピングスイッチ8,15の配置と等価になるチョッピングスイッチ8,15の配置を示す。チョッピングスイッチ8を、短絡スイッチ9の出力側端子と、第一積分容量7と量子化器3の入力端子との共通接続点との間に配置する。チョッピングスイッチ15の入力端子を、第一オペアンプ4の出力端子に直接接続する。
【0023】
図4に示すA/D変換器21は、
図5におけるチョッピングスイッチ8,15の配置から、これらをマージしてチョッピングスイッチ15のみとした構成である。この場合、チョッピングスイッチ15は、第一オペアンプ4の出力端子と短絡スイッチ9の出力側端子との共通接続点と、第一積分容量7と量子化器3の入力端子との共通接続点との間に配置する。このように、第1実施形態の構成よりもチョッピングスイッチを削減できる。
【0024】
(第3実施形態)
図6に示すように、第3実施形態のA/D変換器22は、第一積分器2に替わる第一積分器23を備えている。第一積分器23では、第一積分容量7の入力側のスイッチ5と、短絡スイッチ9が削除されている。また、第一オペアンプ4の入力端子と出力端子とには、それぞれチョッピングスイッチ24,25が直接接続されている。
図7に示すように、チョッピングスイッチ24,25は、周波数Fchsysよりも高い周波数Fchblkによってチョッピング動作する。この場合、チョッピングスイッチ6,8及び15は、第1実施形態と同様に配置すれば良い。
【0025】
(第4実施形態)
図8に示すように、第4実施形態のA/D変換器26は、A/D変換器22よりチョッピングスイッチを削減した構成となっている。
図10は、A/D変換器26の前段階として、
図6に示すチョッピングスイッチ8と15とをマージした構成を示す。チョッピングスイッチ15を、チョッピングスイッチ25の出力端子と、第一積分容量7の一端と量子化器3の入力端子との共通接続点との間に配置する。
【0026】
図8に示す構成は、
図10に示す構成より、チョッピングスイッチ25と15を、1つのチョッピングスイッチ15にマージしたものである。この場合、チョッピングスイッチ15のチョッピングは、
図10に示すように、信号Fchsysと信号Fchblkとの排他的論理和をとった信号で行うようにする。このように、第3実施形態の構成よりもチョッピングスイッチを削減できる。
【0027】
(第5実施形態)
図11に示すように、第5実施形態のA/D変換器31は、第1実施形態の第一積分器2と量子化器3との間に、第二積分器32を配置した構成である。第二積分器32は、差動アンプ33、この入出力端子間に接続される積分容量34を備える。積分容量34の両端と基準電位点との間には、それぞれスイッチ35,36が接続されている。
【0028】
第一積分器2の出力端子と差動アンプ33の入力端子との間には、スイッチ37、サンプリング容量38及びスイッチ39の直列回路が接続されている。サンプリング容量38の両端と基準電位点との間には、それぞれスイッチ40,41が接続されている。また、差動アンプ33の入力端子には、第一積分器2と同様にフィードバック経路の接続部として、DAC入力スイッチ42及びDAC容量43の直列回路が接続されている。
【0029】
以上のように構成される第5実施形態によれば、第二積分器32を備え、適切なフィルタをかけることで量子化ノイズレベルをより低減できる。また、第二積分器32にチョッピングスイッチを設ける必要がない。
【0030】
(第6実施形態)
図12に示すように、第6実施形態のA/D変換器31Aは、A/D変換器31において第一積分器2に配置されていたチョッピングスイッチ15を、第二積分器32のスイッチ41と、スイッチ39とDAC容量43との共通接続点との間に配置した構成である。チョッピングスイッチ15を除いたものが第一積分器2Aであり、チョッピングスイッチ15を加えたものが第二積分器32Aである。以上のように構成される第6実施形態によれば、第5実施形態の構成に比較して、第二積分器32Aのサンプリング容量38のばらつきの影響を受け難くなる。
【0031】
(第7実施形態)
図13に示すように、第7実施形態のA/D変換器61は、A/D変換器31の第一積分器2を、第一積分器21に置き換えた構成である。
【0032】
(第8実施形態)
図14に示すように、第8実施形態のA/D変換器62は、A/D変換器31Aの第二積分器32Aを第二積分器32に置き換え、第二積分器32において、積分容量34の両端にチョッピングスイッチ44,45を配置し、量子化器3の入力端子にチョッピングスイッチ46を配置した構成である。チョッピングスイッチ44,45を加えたものが第二積分器47を構成している。以上のように構成された第8実施形態によれば、第二積分器47のオフセットの影響を低減できる。
【0033】
(第9実施形態)
図15に示すように、第9実施形態のA/D変換器63は、A/D変換器62のチョッピングスイッチ45,46をマージした構成であり、差動アンプ33の出力端子と、量子化器3の入力端子と第二積分容量34の一端との共通接続点との間にチョッピングスイッチ46を配置した構成である。以上が第二積分器49を構成している。
【0034】
(第10実施形態)
図16に示すように、第10実施形態のA/D変換器64は、A/D変換器31の入力側に、増幅器52を配置した構成である。増幅器52は、差動アンプ53、この入出力端子間に接続される積分容量54を備える。積分容量54の両端と基準電位点との間には、それぞれスイッチ55,56が接続されている。
【0035】
入力電圧Vinが与えられる端子と差動アンプ53の入力端子との間には、チョッピングスイッチ57及び58、サンプリング容量59の直列回路が接続されている。差動アンプ53の出力端子と第一積分器2の入力端子との間には、チョッピングスイッチ60が配置されている。チョッピングスイッチ58及び60は、ダブルサンプリング用のスイッチである。増幅器52は、容量結合アンプ(Capacitively Coupled Amplifier)である。
【0036】
以上のように構成される第10実施形態によれば、増幅器52により入力信号を増幅することで耐ノイズ特性が向上する。また、A/D変換器51の前段に抵抗分がある際には、サンプリング容量59の容量値を小さくすることで入力配線に流れる電流を削減できるので、前段の抵抗分により発生する電圧降下分の誤差を低減できる。
【0037】
(第11実施形態)
図17に示すように、第11実施形態のA/D変換器65は、A/D変換器62の入力側にあるチョッピングスイッチ10及び11を削除して、増幅器52を接続した構成である。チョッピングスイッチ10及び11を削除したものが、第一積分器66を構成している。
【0038】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0039】
図面中、1はA/D変換器、2は第一積分器、3は量子化器、4は第一オペアンプ、6は第一積分容量チョッピング用入力スイッチ、7は第一積分容量、8は出力側第二チョッピングスイッチ、9は短絡スイッチ、10は信号入力チョッピングスイッチ、15は出力側第一チョッピングスイッチ、16はフィードバックチョッピングスイッチを示す。