IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -入力装置 図1
  • -入力装置 図2
  • -入力装置 図3
  • -入力装置 図4
  • -入力装置 図5
  • -入力装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107900
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/04 20060101AFI20240802BHJP
   G06F 3/0338 20130101ALI20240802BHJP
   G05G 1/04 20060101ALI20240802BHJP
   G05G 5/04 20060101ALI20240802BHJP
   G05G 5/05 20060101ALI20240802BHJP
   G05G 25/00 20060101ALI20240802BHJP
   G05G 9/047 20060101ALN20240802BHJP
【FI】
H01H25/04 F
G06F3/0338 412
G05G1/04 Z
G05G5/04 B
G05G5/05
G05G25/00 C
G05G9/047
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012077
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000233778
【氏名又は名称】任天堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡西 紀昌
(72)【発明者】
【氏名】清野 史崇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】林 真人
(72)【発明者】
【氏名】三河 正明
(72)【発明者】
【氏名】大野 真稔
(72)【発明者】
【氏名】郡山 和彦
【テーマコード(参考)】
3J070
5B087
5G031
【Fターム(参考)】
3J070AA04
3J070BA05
3J070BA09
3J070BA51
3J070CB03
3J070CB37
3J070CC71
3J070CD12
3J070CD15
3J070CD23
3J070DA61
5B087AA09
5B087BC02
5B087BC13
5G031AS09J
5G031AS09N
5G031AS23H
5G031AS23J
5G031AS34H
5G031AS34J
5G031AS34K
5G031GS12
5G031HS16
5G031HU02
5G031HU92
5G031KS03
5G031KS20
5G031KS56
(57)【要約】
【課題】レバーを所定角度まで傾倒させて物理的に傾倒が規制された状態からのレバーのさらなる傾倒を、比較的簡単な構成により可能とすること。
【解決手段】入力装置は、傾倒操作可能なレバーと、レバーの傾倒を検出する検出機構と、レバーを傾倒した状態から中立状態へ復帰させる復帰機構と、レバーが所定の第1角度傾倒したときに、被当接部と当接することによって、レバーのさらなる傾倒を規制する当接部と、レバーが所定の第1角度傾倒した状態において、レバーに対してさらなる傾倒のための力が加えられた場合、弾性変形することにより、レバーをさらに傾倒させる弾性変形部とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾倒操作可能なレバーと、
前記レバーの傾倒を検出する検出機構と、
前記レバーを傾倒した状態から中立状態へ復帰させる復帰機構と、
前記レバーが所定の第1角度傾倒したときに、被当接部と当接することによって、前記レバーのさらなる傾倒を規制する当接部と、
前記レバーが前記第1角度傾倒した状態において、前記レバーに対してさらなる傾倒のための力が加えられた場合、弾性変形することにより、前記レバーをさらに傾倒させる弾性変形部と
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記被当接部は、前記レバーの底面、または、前記レバーとともに傾倒する部材の底面に設けられた凹部の内壁面であり、
前記当接部は、前記凹部の下側から前記凹部内に突出して設けられた凸部である
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記レバー、または、前記レバーとともに傾倒する部材は、
部分的に径が拡大された底板部を有し、
前記弾性変形部は、
前記底板部の内周縁部に沿って形成されている薄肉部である
ことを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記レバーとともに傾倒する部材として、前記レバーの内部で上下方向に移動可能に設けられ、前記レバーを中立状態に復帰させるためのアクチュエータを備え、
前記被当接部は、前記アクチュエータの底面に設けられた前記凹部の内壁面である
ことを特徴とする請求項2または3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記レバーの傾倒角度が、前記第1角度からさらに傾倒して所定の第2角度になったときに、前記レバー、または、前記レバーとともに傾倒する部材と当接することにより、前記レバーの前記第2角度からのさらなる傾倒を規制する第2被当接部を備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記検出機構は、
基板に設けられた抵抗体と、
前記レバーの傾倒に伴って前記抵抗体上を摺動する摺動子と
を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記検出機構は、
前記レバーの前記第1角度までの傾倒と、前記レバーの前記第1角度からのさらなる傾倒とを、いずれも検出できる
ことを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記抵抗体は、
前記レバーの前記第1角度までの傾倒のときに前記摺動子が摺動する第1の部分と、前記レバーの前記第1角度からのさらなる傾倒のときに前記摺動子が摺動する第2の部分とで、構成が異なる
ことを特徴とする請求項7に記載の入力装置。
【請求項9】
前記抵抗体は、
前記第1の部分と、前記第2の部分とで、材料が異なる
ことを特徴とする請求項8に記載の入力装置。
【請求項10】
前記抵抗体は、
前記第1の部分と、前記第2の部分とで、厚さが異なる
ことを特徴とする請求項8に記載の入力装置。
【請求項11】
前記抵抗体は、
前記第1の部分と、前記第2の部分とで、幅が異なる
ことを特徴とする請求項8に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム機のコントローラ等に用いられる入力装置において、可変抵抗器を用いて操作軸(レバー)の傾きを検出する技術が利用されている。このような入力装置においては、操作軸を傾倒させていくにつれ傾倒操作を復帰させようとする力が漸次的に変化し、最大傾倒角度に至ると傾倒操作がストップする技術が考案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-305646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の入力装置は、操作軸の傾倒角度が最大のとき(すなわち、操作軸の傾倒操作がストップした状態)に、レバーのさらなる傾倒操作を行うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る入力装置は、傾倒操作可能なレバーと、レバーの傾倒を検出する検出機構と、レバーを傾倒した状態から中立状態へ復帰させる復帰機構と、レバーが所定の第1角度傾倒したときに、被当接部と当接することによって、レバーのさらなる傾倒を規制する当接部と、レバーが所定の第1角度傾倒した状態において、レバーに対してさらなる傾倒のための力が加えられた場合、弾性変形することにより、レバーをさらに傾倒させる弾性変形部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係る入力装置によれば、レバーを所定角度まで傾倒させて物理的に傾倒が規制された状態からのレバーのさらなる傾倒を、比較的簡単な構成により可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る入力装置の外観斜視図
図2】一実施形態に係る入力装置(ケースが取り外された状態)の外観斜視図
図3】一実施形態に係る入力装置の分解斜視図
図4】一実施形態に係る入力装置の断面図
図5】一実施形態に係る入力装置が備えるレバーおよびアクチュエータの底面側を示す外観斜視図
図6】一実施形態に係る入力装置が備えるFPCの外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0009】
(入力装置100の概要)
図1は、一実施形態に係る入力装置100の外観斜視図である。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向を、上下方向とし、図中X軸方向を、前後方向とし、図中Y軸方向を、左右方向とする。
【0010】
図1に示す入力装置100は、ゲーム機等のコントローラ等に用いられる。図1に示すように、入力装置100は、ケース102の開口部102Aから上方に向って延在する柱状の、傾倒操作可能なレバー120を有する。入力装置100は、レバー120による前後方向(図中矢印D1,D2方向)および左右方向(図中矢印D3,D4方向)のみならず、これらの方向の間の全方向への傾倒操作が可能である。また、入力装置100は、レバー120の傾倒操作(傾倒方向および傾倒角度)に応じた操作信号を、FPC(Flexible Printed Circuits)112を介して外部へ出力することができる。
【0011】
(入力装置100の構成)
図2は、一実施形態に係る入力装置100(ケース102が取り外された状態)の外観斜視図である。図3は、一実施形態に係る入力装置100の分解斜視図である。図4は、一実施形態に係る入力装置100の断面図である。図5は、一実施形態に係る入力装置100が備えるレバー120およびアクチュエータ103の底面側を示す外観斜視図である。図6は、一実施形態に係る入力装置100が備えるFPC112の外観斜視図である。
【0012】
図2図4に示すように、入力装置100は、ケース102、レバー120、アクチュエータ104、ホルダ105、アクチュエータ106、アクチュエータ103、スプリング108、ホルダ107、押圧部材109、フレーム110、FPC112、メタルシート113、および固定板115を備える。
【0013】
ケース102は、上方に凸状のドーム形状を有している。ケース102は、内部空間に各構成部品(レバー120、アクチュエータ103,104,106、ホルダ105,107、および押圧部材109)が組み込まれる。ケース102は、ドーム形状を有する部分の頂部に、上方からの平面視において円形状をなす開口部102Aが形成されている。
【0014】
レバー120は、操作者によって傾倒操作がなされる部材である。レバー120は、軸部120Aおよび基部120Bを有する。軸部120Aは、ケース102の開口部102Aから上方に向って延在する概ね円柱状の部分であって、操作者によって直接、または他の部材を介して間接的に傾倒操作がなされる部分である。基部120Bは、ケース102の内部において軸部120Aの下端部を支持し、軸部120Aの傾倒操作に伴って回動する、概ね円柱状の部分である。
【0015】
アクチュエータ104は、上方に凸状に湾曲したドーム形状を有しており、当該湾曲形状に沿って左右方向(図中Y軸方向)に延在する長穴形状の開口部104Aを有する。アクチュエータ104は、左右方向における両端部の各々に外側に突出した回動軸104Bを有しており、当該回動軸104Bがケース102によって支持されることにより、当該回動軸104Bを回転中心として、前後方向(図中X軸方向)に回動可能に設けられる。
【0016】
アクチュエータ106は、アクチュエータ104の上側に設けられている。アクチュエータ106は、上方に凸状に湾曲したドーム形状を有しており、当該湾曲形状に沿って前後方向(図中X軸方向)に延在する長穴形状の開口部106Aを有する。アクチュエータ106は、前後方向における両端部の各々に外側に突出した回動軸106Bを有しており、当該回動軸106Bがケース102によって支持されることにより、当該回動軸106Bを回転中心として、左右方向(図中Y軸方向)に回動可能に設けられる。
【0017】
図2図4に示すように、アクチュエータ104およびアクチュエータ106は、開口部104Aおよび開口部106Aが互いに交差するように、互いに接触しない程度に離間して重なり合う。アクチュエータ104およびアクチュエータ106は、互いに重なり合った状態で、開口部104Aおよび開口部106Aをレバー120の軸部120Aが貫通し、レバー120の基部120Bが内側に組み込まれた状態で、基部120Bとともにケース102内に組み込まれる。
【0018】
ホルダ105は、その底面部において、摺動子105Aを保持する。ホルダ105は、摺動子105Aの摺動方向(X軸方向)に延在する長手形状を有する。ホルダ105は、摺動子105Aの摺動方向(X軸方向)にスライド可能に設けられる。ホルダ105の内側の側面の中央部には、突起105Bが設けられている。
【0019】
ホルダ107は、その底面部において、摺動子107Aを下保持する。ホルダ107は、摺動子107Aの摺動方向(Y軸方向)に延在する長手形状を有する。ホルダ107は、摺動子107Aの摺動方向(Y軸方向)にスライド可能に設けられる。ホルダ107の内側の側面の中央部には、突起107Bが設けられている。
【0020】
アクチュエータ104は、Y軸正側の回動軸104Bから下方に突出した係合部104Cを有する。係合部104Cは、FPC112上を前後方向(X軸方向)にスライド可能に設けられたホルダ105の内側の側面の中央部に設けられた突起105Bと係合する。アクチュエータ104は、レバー120による前後方向(X軸方向)への傾倒操作がなされたときに、レバー120の基部120Bとともに前後方向へ回動し、ホルダ105を前後方向にスライドさせる。これにより、ホルダ105の下部に保持された摺動子105AとFPC112に設けられた抵抗体112C,112E(図6参照)との電気的な接続状態が変化し、FPC112の接続部112Bから、レバー120の前後方向への傾倒操作(傾倒方向および傾倒角度等)に応じた抵抗値による操作信号が出力されることとなる。
【0021】
すなわち、アクチュエータ104、ホルダ105、摺動子105A、および抵抗体112C,112E(図6参照)は、「レバーの傾倒を検出する検出機構」を構成する。
【0022】
アクチュエータ106は、X軸正側の回動軸106Bから下方に突出した係合部106Cを有する。係合部106Cは、FPC112上を左右方向(Y軸方向)にスライド可能に設けられたホルダ107の内側の側面の中央部に設けられた、突起105Bと同様な突起107B(図示せず)と係合する。アクチュエータ106は、レバー120による左右方向(Y軸方向)への傾倒操作がなされたときに、レバー120の基部120Bとともに左右方向へ回動し、ホルダ107を左右方向にスライドさせる。これにより、ホルダ107の下部に保持された摺動子107AとFPC112に設けられた抵抗体112D,112E(図6参照)との電気的な接続状態が変化し、FPC112の接続部112Bから、レバー120の左右方向への傾倒操作(傾倒方向および傾倒角度)に応じた抵抗値による操作信号が出力されることとなる。
【0023】
すなわち、アクチュエータ106、ホルダ107、摺動子107A、および抵抗体112D,112E(図6参照)は、「レバーの傾倒を検出する検出機構」を構成する。
【0024】
アクチュエータ103は、軸部103Aおよび底板部103Bを有する。軸部103Aは、レバー120の貫通孔120C内に挿通して配置される丸棒状の部分である。底板部103Bは、軸部103Aの下端部に一体的に設けられた、円盤状の部分である。
【0025】
スプリング108は、アクチュエータ103の軸部103Aが挿通された状態で、アクチュエータ103とともに、レバー120の底面側(Z軸負側)の開口部120D(図4参照)内に組み込まれる。スプリング108は、レバー120を上方に付勢するとともに、アクチュエータ103の底板部103Bを下方に付勢する。これにより、スプリング108は、操作者によるレバー120の傾倒操作が解除されたときに、アクチュエータ103の底板部103Bをフレーム110の上面且つ中央部に押し当てて、当該底板部103Bを水平状態に戻すことで、レバー120を中立状態に復帰させる。
【0026】
すなわち、アクチュエータ103およびスプリング108は、「レバーを傾倒した状態から中立状態へ復帰させる復帰機構」を構成する。
【0027】
押圧部材109は、レバー120が下方に押し下げられたときに、アクチュエータ104のY軸負側の回動軸104Bによって下方に押し下げられることにより、FPC112上に設けられたメタルシート113を下方に押圧し、当該メタルシート113を弾性変形させることによって、FPC112上に形成されたスイッチ回路を導通状態とする。これにより、FPC112から、レバー120が下方へ押し下げられたことを示すスイッチオン信号が出力されることとなる。
【0028】
フレーム110は、ケース102の底面側の開口部を閉塞する、金属製且つ平板状の部材である。例えば、フレーム110は、金属板に対する各種加工(例えば、パンチング加工、折り曲げ加工等)がなされることによって形成される。フレーム110は、前側(X軸正側)の縁部および後側(X軸負側)の縁部の各々に、一対の爪部110Aが設けられている。フレーム110は、各爪部110Aが、ケース102の縁部に係合することにより、ケース102に対して固定的に結合される。
【0029】
FPC112は、「基板」の一例であり、可撓性を有するフィルム状の配線部材である。FPC112は、フレーム110上面から、フレーム110の側方(図中Y軸負方向)へ延在する延在部112Aを有しており、当該延在部112Aの先端に設けられた接続部112Bにより、外部へ接続される。FPC112は、レバー120の操作(傾倒操作および押圧操作)に応じた操作信号を、外部へ向けて伝送する。FPC112は、帯状の導体配線(例えば、銅箔等)の両表面を、可撓性および絶縁性を有するフィルム状の素材(例えば、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)等)で覆うことによって構成される。
【0030】
固定板115は、フレーム110の下側に設けられ、フレーム110の底面に重ねて設けられる、樹脂製且つ平板状の部材である。フレーム110の上面には、フレーム110およびケース102が載置された状態で、ケース102がねじ止め固定される。
【0031】
(レバー120の傾倒を規制する構造)
ここで、一実施形態に係る入力装置100は、図4および図5に示すように、アクチュエータ103(「レバーとともに傾倒する部材」の一例)が、底板部103Bの底面における中央部から上方に向かって凹んだ形状の凹部103Cを有する。凹部103Cの内壁面は、「被当接部」の一例である。凹部103Cは、平面視において円形状を有する。
【0032】
また、固定板115は、当該固定板115の上面における中央部から、上方に向かって突出した柱状の凸部115Aを有する。図4および図5に示すように、凸部115Aは、フレーム110の中央部に設けられた円形の開口部110Bを貫通して、アクチュエータ103の凹部103C内に入り込む。凸部115Aは、「当接部」の一例である。
【0033】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、図4に示すように、レバー120が所定の第1角度傾倒したときに、固定板115の凸部115Aが、凹部103Cの内壁面に当接することによって、レバー120のさらなる傾倒を物理的に規制する。
【0034】
但し、一実施形態に係る入力装置100は、レバー120のさらなる傾倒が物理的に規制された状態において、レバー120に対して、さらなる傾倒のための力が操作者から加えられた場合、レバー120の貫通孔120C内に挿通されているアクチュエータ103において、底板部103Bの内周縁部に沿って形成されている薄肉部(すなわち、底板部103Bの内周縁部とアクチュエータ103の軸本体とが接続されている部分)およびその周辺部分が弾性変形部103D(図4参照)として弾性変形することにより、レバー120のさらなる傾倒が可能である。このとき、弾性変形部103Dによる弾性力は、アクチュエータ103およびレバー120のさらなる傾倒状態を中立状態に向かう方向へと戻そうとする復帰力として機能するため、操作者は、第1角度までの傾倒操作と、第1角度を超えたさらなる傾倒操作とでは、異なる操作感触を得ることになる。具体的には、第1角度を超えたさらなる傾倒操作時には、より大きな復帰力が働くため、操作者は、そのより大きな復帰力に抗してレバー120を傾倒させることとなり、その復帰力の違いを感じつつ、さらなる傾倒操作を行うことになる。これにより操作者は、レバー120を中立状態から傾倒操作を行う際に、操作感触が途中で明確に切り替わる、二段階の操作感触を得ることができる。なお、入力装置100は、アクチュエータ103を有しない構成としてもよく、この場合、凹部103C、底板部103B、および弾性変形部103Dは、レバー120に設けられてもよい。また、レバー120の傾倒操作時に順次当接していく弾性変形部をさらに設けることによって、三段階以上の操作感触を得ることも可能である。
【0035】
なお、弾性変形部103Dの弾性変形によるレバー120の前後方向のさらなる傾倒にともなって、アクチュエータ104は、さらに前後方向に回動することができる。また、ホルダ105および摺動子105Aは、さらに前後方向にスライドすることができる。また、FPC112に設けられた抵抗体112C,112E(図6参照)は、さらにスライドした摺動子105Aに接触可能な長さを有しており、摺動子105Aのさらなるスライドにより、抵抗値がさらに変化することで、レバー120の前後方向のさらなる傾倒を検知することができる。
【0036】
また、弾性変形部103Dの弾性変形によるレバー120の左右方向のさらなる傾倒にともなって、アクチュエータ106は、さらに左右方向に回動することができる。また、ホルダ107および摺動子107Aは、さらに左右方向にスライドすることができる。また、FPC112に設けられた抵抗体112D,112E(図6参照)は、さらにスライドした摺動子107Aに接触可能な長さを有しており、摺動子107Aのさらなるスライドにより、抵抗値がさらに変化することで、レバー120の左右方向のさらなる傾倒を検知することができる。
【0037】
したがって、一実施形態に係る入力装置100によれば、レバー120を所定角度まで傾倒させて物理的に傾倒が規制された状態からのレバー120のさらなる傾倒操作を可能とすることができる。
【0038】
なお、一実施形態に係る入力装置100は、レバー120の傾倒角度が、所定の第1角度からさらに傾倒して所定の第2角度になったときに、アクチュエータ104またはアクチュエータ106(「レバー120とともに傾倒する部材」の一例)が、ケース102(「第2被当接部」の一例)に当接することにより、レバー120の第2角度からのさらなる傾倒を規制する。但し、「第2被当接部」は、これに限らず、例えば、当該入力装置100を内蔵するゲームコントローラの筐体の、レバー120が挿通される開口部の内周縁部等であってもよい。
【0039】
(変形例)
以下、一実施形態に係る入力装置100の変形例について説明する。
【0040】
一実施形態に係る入力装置100は、「被当接部」の一例として、アクチュエータ103の凹部103Cの内壁面を用い、「当接部」の一例として、固定板115の凸部115Aを用いているが、これらに限らない。
【0041】
例えば、「当接部」として、レバー120の軸部120Aを用い、「被当接部」として、ケース102の開口部102Aの内周縁部を用いてもよい。すなわち、レバー120が所定の第1角度傾倒したときに、レバー120の軸部120Aが、ケース102の開口部102Aの内周縁部に当接することにより、レバー120のさらなる傾倒を規制してもよい。この場合、レバー120が所定の第1角度傾倒した状態において、レバー120に対してさらなる傾倒のための力が加えられた場合、ケース102の開口部102Aの内周縁部が「弾性変形部」として弾性変形することにより、レバー120をさらに傾倒させてもよい。このために、ケース102の開口部102Aの内周縁部には、例えば、リング状の弾性部材が設けられてもよい。
【0042】
抵抗体112C,112Eの少なくともいずれか一方は、レバー120のX軸方向の傾倒角度が所定の第1角度までのときに摺動子105Aが摺動する第1の部分と、レバー120のX軸方向の傾倒角度が所定の第1角度より大きいとき(すなわち、さらに傾倒したとき)に摺動子105Aが摺動する第2の部分とで、互いに異なる構成を有してもよい。例えば、第1の部分と第2の部分とで、抵抗体の厚さ、幅、または材料を異ならせることにより、抵抗値を互いに異ならせてもよい。例えば、第2の部分の抵抗値を、第1の部分の抵抗値よりも低めてもよい。この場合、摺動子105Aの移動量あたりの出力の変化量を大きくすることができるため、わずかな傾倒角度の変化を検出し易くすることができる。なお、反対に、第2の部分の抵抗値を、第1の部分の抵抗値よりも高めてよい。
【0043】
同様に、抵抗体112D,112Eの少なくともいずれか一方は、レバー120のY軸方向の傾倒角度が所定の第1角度までのときに摺動子107Aが摺動する第1の部分と、レバー120のY軸方向の傾倒角度が所定の第1角度より大きいとき(すなわち、さらに傾倒したとき)に摺動子107Aが摺動する第2の部分とで、互いに異なる構成を有してもよい。例えば、第1の部分と第2の部分とで、抵抗体の厚さ、幅、または材料を異ならせることにより、抵抗値を互いに異ならせてもよい。例えば、第2の部分の抵抗値を、第1の部分の抵抗値よりも低めてもよい。この場合、摺動子105Aの移動量あたりの出力の変化量を大きくすることができるため、わずかな傾倒角度の変化を検出し易くすることができる。なお、反対に、第2の部分の抵抗値を、第1の部分の抵抗値よりも高めてよい。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
100 入力装置
102 ケース(第2被当接部)
102A 開口部
103 アクチュエータ
103A 軸部
103B 底板部
103C 凹部(被当接部)
103D 弾性変形部
104 アクチュエータ(検出機構、復帰機構)
104A 開口部
104B 回動軸
104C 係合部
105 ホルダ(検出機構)
105A 摺動子(検出機構)
105B 突起
106 アクチュエータ(検出機構)
106A 開口部
106B 回動軸
106C 係合部
107 ホルダ(検出機構)
107A 摺動子(検出機構)
107B 突起
108 スプリング(復帰機構)
109 押圧部材
110 フレーム
110A 爪部
110B 開口部
112 FPC
112A 延在部
112B 接続部
112C,112D,112E 抵抗体(検出機構)
113 メタルシート
115 固定板
115A 凸部
120 レバー
120A 軸部
120B 基部
120C 貫通孔
120D 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6